説明

画像印刷システムをデジタル制御して印刷画像の所望の色濃度を達成する方法およびシステム

【課題】画像印刷システムの調子再現曲線を制御する方法を提供する。
【解決手段】印刷画像センサからの印刷画像データを使用して実印刷画像調子再現曲線を生成するステップと、実印刷画像調子再現曲線を目標印刷画像調子再現曲線と比較することによって1セットの調整コントーン値を決定するステップであり、調整コントーン値は、印刷画像の目標色濃度データが画像印刷システムで達成される印刷コントーン値を表すステップと、調整画像転写面反射率データを決定して目標画像転写面調子再現曲線を更新するステップであり、調整画像転写面反射率データは、調整コントーン値で目標画像転写面調子再現曲線を補間することによって得られるステップと、後のトナー像データを制御して更新目標画像転写面調子再現曲線を達成するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像印刷システムの調子再現曲線(TRC)を制御するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日のビジネス界および科学界では、色は情報伝達の要素として不可欠となっている。色は、認識と考えの共有を促進する。デジタル・カラー・プリント・エンジンの開発に関与する会社は、連続的に、それらの製品の全画質を改善する方法を模索している。画質に影響する要素の1つは、毎日、毎週、毎月、撮像装置またはプリンタで同じ品質の画像出力を一貫して生成する能力である。プリンタにおける色は、インク/トナー変動、温度変動、使用される媒体のタイプ、環境等により時間とともに漂流する傾向がある。特に、電子マーケティングが、実例となる印刷またはディスプレイ媒体での商品の正確な表示により重要性を置くので、印刷色の可能性を効率的に維持するための長年にわたる切実な商業上の必要性があった。
【0003】
色印刷特性は、色管理における重大な課題である。特性プロセスは、実質的には、デバイス依存、例えば、プリンタCMYと、デバイス独立、例えば、CIELAB値との間の関係を確立する。ICCプロフィールの誘導、較正用カラー変換などのいくつかのカラー管理のタスクは、物理的なデバイスの正確な数学的特性から利益を享受する。
【0004】
プリンタ特性変換を構築する最も有名な技術は、研究室マッピングにCMY(K)を誘導するために、数学的な取り付けおよび補間と共に、色サンプル、つまり、CMY(K)パッチの多数のセットを印刷し、測定することを含む。特性変換の精度は、印刷され、測定されたパッチの数(N)に明らかに依存する。パッチ測定の1つの態様は、全体プリンタ・ページまたは感光体ベルト(つまり、画像印刷システムの全体クロスプロセス位置)にわたって単一密度の多数の全幅パッチを生成する閉ループ均一補正システムを含む。そのような全幅パッチは、サイクル中に全幅アレイセンサによって測定されて、外部画素列に対する各内部画素列における調子再現曲線(TRC)のプリンタモデルを得る。測定は、次いで使用される特定の中間調スクリーンによってそのページの各位置に印刷されるトナー量および印刷インクを次いで示すことができる。TRCにおけるいかなるばらつき(つまり、真の目的とする色からのばらつき)も、中間調TRCの再マッピングによって画像パスにおいて補償される。そのような再マッピングは、一般的には、空間的に変化するTRC補正(SVT)と称せられ、これらの再マッピングは、各色および各中間調スクリーンに固有である。また、従来のプロセス制御パッチの実現では、各現像筐体のための制御パッチは、プロセス方向に沿って移動するドラムまたはベルトタイプ感光体上で、連続画像間で、インタードキュメントゾーン(IDZ)に生成される。これらの制御パッチは、トナー・パッチ・センサで検知され、アクチュエータは、3点トナー応答曲線(TRC)を維持するように調整される。
【0005】
画像印刷システム(閉ループ均一補正システムを使用している)では、絶対色は、Vmag(現像ロール電圧)、レーザ出力、およびVmc(現像ロールと画像転写面の帯電領域との間の電圧差)をアクチュエータとして使用して、基準位置で3点TRCの測定に応じて一般的に制御され、カラー較正は、TRC中間調ドット線形化ルーチンによって達成される。基準位置カラー(TRC)が他の手段によって制御され、測定されるので、この基準位置でTRCを変更するために、閉ループ均一補正システムの必要はない。また、閉ループ均一補正システムは、すべての画素でTRCを補正して、基準位置を変更しないままで(平均して)、基準TRCと一致させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、画像印刷システムの調子再現曲線(TRC)を制御する方法およびシステムの改良を提供する。
【0007】
本開示の1つの態様によれば、画像印刷システムの調子再現曲線(TRC)を制御するコンピュータにより実現される方法が提供される。方法は、1つまたは複数のコンピュータ・プログラム・モジュールを実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含むコンピュータシステムにおいて実現される。方法は、入力画像データに基づいて画像転写面にトナー像を形成するとともに、トナー像を出力媒体に転写して印刷画像を形成することによって、印刷画像を印刷するステップと、印刷画像の印刷中に画像転写面センサを使用して画像転写面上のトナー像を測定してトナー像データを得るステップであり、トナー像データは、画像転写面上のトナー像の領域被覆度を表す1セットの画像転写面コントーン値を含むステップと、トナー像データを制御して目標画像転写面調子再現曲線を達成するステップと、印刷画像センサを使用して出力媒体上の印刷画像を測定して印刷画像データを得るステップであり、印刷画像データは、出力媒体上の印刷画像の領域被覆度を表す1セットの印刷コントーン値を含むステップと、印刷画像データを使用して実印刷画像調子再現曲線を生成するステップと、実印刷画像調子再現曲線を目標印刷画像調子再現曲線と比較することによって1セットの調整コントーン値を決定するステップであり、調整コントーン値は、印刷画像の目標色濃度データが画像印刷システムにおいて達成される印刷コントーン値を表すステップと、調整画像転写面反射率データを決定して目標画像転写面調子再現曲線を更新するステップであり、調整画像転写面反射率データは、調整コントーン値で目標画像転写面調子再現曲線を補間することによって得られるステップと、画像転写面センサからの後のトナー像データを制御して更新目標画像転写面調子再現曲線を達成するステップとを含む。
【0008】
本開示の他の態様によれば、画像印刷システムの調子再現曲線(TRC)を制御するためのシステムが提供される。システムは、印刷エンジン、画像転写面センサ、印刷画像センサ、プロセッサ、およびコントローラを含む。印刷エンジンは、入力画像データに基づいて画像転写面上にトナー像を形成するとともに、トナー像を出力媒体に転写して印刷画像を形成するように構成されている。画像転写面センサは、画像転写面上のトナー像を測定してトナー像データを得るように構成されている。トナー像データは、画像転写面上のトナー像の領域被覆度を表す1セットの画像転写面コントーン値を含む。印刷画像センサは、出力媒体上の印刷画像を測定して印刷画像データを得るように構成されている。印刷画像データは、出力媒体上の印刷画像の領域被覆度を表す1セットの印刷コントーン値を含む。プロセッサは、(a)印刷画像データを使用して実印刷画像調子再現曲線を生成し、(b)実印刷画像調子再現曲線を目標印刷画像調子再現曲線と比較することによって、1セットの調整コントーン値を決定し、調整コントーン値は、印刷画像の目標色濃度データが画像印刷システムにおいて達成される印刷コントーン値を表し、(c)調整画像転写面反射率データを決定して目標画像転写面調子再現曲線を更新し、調整画像転写面反射率データは、調整コントーン値で目標画像転写面調子再現曲線を補間することによって得られるように構成されている。コントローラは、画像転写面からの後のトナー像データを制御して、更新目標画像転写面調子再現曲線を達成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の実施形態による画像印刷システムの調子再現曲線を制御する方法を説明する図である。
【図2】本開示の実施形態による画像印刷システムの調子再現曲線を制御するためのシステムを組込む例示的画像印刷システムを説明する図である。
【図3】本開示の実施形態による実印刷画像調子再現曲線(TRC)および目標印刷画像TRCの例示的グラフ表示を説明する図である。
【図4】本開示の実施形態による各印刷コントーン値で、線形化(または調整)コントーン値の例示的グラフ表示を説明する図である。
【図5】本開示の実施形態による、異なる画像転写面コントーン値での現在の(または初期の)目標画像転写面TRCの、および異なる印刷コントーン値での調整または線形化画像転写面反射率データの例示的グラフ表示を説明する図である。
【図6】本開示の実施形態による、異なる印刷コントーン値での調整または線形化画像転写面反射率データの、および異なる画像転写面コントーン値での更新目標画像転写面TRCの例示的グラフ表示を説明する図である。
【図7】画像転写面上のトナー像からの反射率データと印刷画像からの色濃度データとの関係の例示的グラフ表示を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態による画像印刷システム200の調子再現曲線を制御するための方法100およびシステム202が、図1および2にそれぞれ示されている。
【0011】
本開示の方法100は、オンベルトTRC制御システム用の目標画像転写面TRCを更新して、所望の印刷画像TRCを達成する。目標画像転写面TRCは、(a)現在の(または初期の)目標画像転写面TRC(オンベルト制御システムに使用される)、(b)例えば、インライン分光光度計(ILS)を使用して測定された現在の(または実際のまたは測定された)印刷画像TRC(オンベルト制御を備えた)、(c)目標または所望の印刷画像TRCを使用して更新される。更新目標画像転写面TRCは、目標(または所望の)印刷画像TRCで、現在の(または初期の)目標画像転写および実際の(または現在の)印刷画像TRCを補間することによって決定される。方法100(および図1および3〜6)の手順110〜114が、更新目標画像転写面TRCがどのように決定されるかの詳細な説明を提供する。この更新目標画像転写面TRCは、次いで、オンベルトTRC制御システムによって使用されて、目標または所望の印刷画像TRCを達成する。以下の検討から明らかなように、オンベルトデジタルTRC制御に使用される(画像転写面)コントーン位置は、較正(ILS印刷測定)のために測定された(印刷画像)コントーン位置と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0012】
図1は、本開示の実施形態による画像印刷システム200(図2に示すように)の調子再現曲線を制御するための方法100を提供する。方法100は、1つまたは複数のコンピュータ・プログラム・モジュールを実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサ204(図2で示し、図2に関して説明するように)を含むコンピュータシステムにおいて実現される、コンピュータにより実現される方法である。
【0013】
方法100は手順101で開始する。手順102では、印刷画像が印刷される。すなわち、トナー像が、まず、(受けた)入力画像データに基づいて、(図2で示し、図2に関して説明するように)画像転写面214上に形成される。トナー像は、次いで出力媒体に転写されて印刷画像を形成する。
【0014】
ユーザーは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースを使用して、またはワークステーションによって画像印刷システム200にアクセスするとともに操作することが可能である。グラフィカル・ユーザー・インターフェースまたはワークステーションは、ネットワークによって画像印刷システム200と通信する。デジタル・フロント・エンド(DFE)は、ワークステーションまたはメモリから受けた画像データを処理し、画像データを(図2で示し、図2に関して説明するように)印刷エンジン206に供給されるバイナリ・プリント・レディ・データに変換する。印刷エンジン206は、プリント・レディ・データに応じて出力媒体上に印刷画像を生成する。
【0015】
方法100は、次いで手順104に進む。手順104では、画像転写面214上のトナー像は、(図2で示し、図2に関して説明するように)画像転写面センサ210を使用して測定されて、トナー像データを得る。トナー像データは、印刷画像の印刷中に測定される。
【0016】
画像転写面センサ210は、強化されたトナー領域被覆度センサ(ETAC)、静電圧センサ(ESV)、全幅アレイ(FWA)センサ、および単位面積残質量(RMA)センサの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0017】
トナー像データは、画像転写面214上のトナー像の領域被覆度を表す1セットの画像転写面コントーン値を含む。
【0018】
実画像転写面TRCは、トナー像データを使用してプロセッサ204によって生成される。実画像転写面TRCは、異なる画像転写面コントーン値でのトナー像の(画像転写面センサ210からの)測定された反射率データを表す。すなわち、実画像転写面TRCは、一般的には、トナー像中の1ドットまたは1画素での画像転写面コントーン値を、トナー像の実際のまたは測定された反射率データに関連付ける。
【0019】
実画像転写面TRCは、目標画像転写面TRCを達成するように制御される。一実施形態では、目標画像転写面TRCは予め定められている。
【0020】
目標画像転写面TRCは、異なる画像転写面コントーン値でのトナー像の所望の反射率データを表す。すなわち、目標または所望の画像転写面TRCは、一般的には、トナー像中の1ドットまたは1画素での画像転写面コントーン値を、トナー像の所望の反射率データに関連付ける。
【0021】
方法100は、次いで手順106に進む。手順106では、出力媒体上の印刷画像は、印刷画像センサ212を使用して測定されて印刷画像データを得る。印刷画像データは、出力媒体上の印刷画像の領域被覆度を表す1セットの印刷コントーン値を含む。
【0022】
印刷画像センサ212は、分光光度計、濃度計、比色計、分光計、およびスペクトルカメラの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0023】
方法100は、次いで手順108に進む。手順108では、実印刷画像調子再現曲線は、印刷画像データを使用してプロセッサ204によって生成される。一実施形態では、実印刷画像調子再現曲線は、異なる印刷コントーン値での印刷画像の(印刷画像センサ212からの)測定された色濃度を表す。一実施形態では、印刷画像の色濃度は、デルタE(dE)単位で測定される。
【0024】
一実施形態では、印刷画像センサ212から得られた実印刷画像データが制御されて、所望または目標印刷画像調子再現曲線を達成する。一実施形態では、目標印刷画像調子再現曲線が予め定められている。目標印刷画像調子再現曲線は、異なる印刷コントーン値での印刷画像の所望の色濃度を表す。
【0025】
図3は、本開示の実施形態による印刷コントーン値での実際の(または現在の)印刷画像TRCおよび印刷コントーン値での目標(または所望の)印刷画像TRCの例示的グラフ表示を説明する。実印刷画像調子再現曲線は、一般的には、印刷画像中の1ドットまたは1画素での印刷コントーン値を、印刷画像の実際のまたは測定された色濃度データに関連付ける。目標または所望の印刷画像調子再現曲線は、一般的には、印刷画像中の1ドットまたは1画素での印刷コントーン値を、印刷画像の所望の色濃度データに関連付ける。
【0026】
以下の表1は、例示的印刷コントーン値、および目標印刷画像TRCの印刷画像の例示的目標または所望の色濃度値を示す。印刷画像コントーン値は、X軸データを形成し、目標または所望の(印刷画像の)色濃度値は、図3に示す目標印刷画像TRCに関するY軸データを形成する。
【表1】

【0027】
以下の表2は、例示的印刷コントーン値、および実印刷画像TRCの印刷画像の例示的な実際のまたは測定された色濃度値を示す。印刷コントーン値は、X軸データを形成し、(印刷画像の)実色濃度値は、図3に示す実印刷画像TRCに関するY軸データを形成する。上で述べたように、印刷画像の実色濃度値は、印刷画像センサ212から得られる。
【表2】

【0028】
TRC線形化は、以下に説明する手順110〜114によって達成される。方法100の手順110では、1セットの調整または線形化コントーン値がプロセッサ204によって決定される。1セットの調整コントーン値は、実印刷画像TRCを目標印刷画像TRCと比較することによって決定される。調整コントーン値は、印刷画像の目標または所望の色濃度データが画像印刷システムにおいて達成される印刷コントーン値を表す。
【0029】
一実施形態では、線形化または調整コントーン値は、(a)印刷コントーン値および(b)印刷画像の目標または所望の色濃度値での印刷画像(例えば、オンベルト制御で測定された21のデータポイントで)の(印刷画像センサ212からの)測定または実色濃度値を直線的に補間することによって決定される。データの補間(つまり、多項式を使用する曲線適合の方法)は、本技術分野で一般的に公知であり、したがって、本明細書では詳細に説明しない。
【0030】
各印刷コントーン値に相当する線形化または調整コントーン値が算出される。例えば、図3、4および表3に示すように、印刷コントーン値153に相当する線形化または調整コントーン値は104である。言いかえれば、線形化または調整コントーン値104は、現在の画像印刷システムにおいて印刷画像の正確な色濃度値を生成する。図4および表3は、各21の異なる印刷コントーン値または位置で線形化コントーン値を示す。これらの線形化コントーン値は、所望のまたは目標印刷画像TRCを達成する。一実施形態では、印刷画像の測定は、可能とされたオンベルトデジタルTRC制御システムでなされる。
【0031】
以下の表3は、例示的印刷コントーン値、および(例示的な)対応する線形化コントーン値を示す。印刷コントーン値は、X軸データを形成し、線形化コントーン値は、図4の例示的グラフ表示においてY軸データを形成する。
【表3】

【0032】
方法100は、次いで手順112に進む。手順112では、調整画像転写面反射率データは、プロセッサ204によって決定される。調整画像転写面反射率データが決定されて目標画像転写面TRCを更新する。調整画像転写面反射率データは、調整または線形化コントーン値で目標画像転写面TRCを補間するによって得られる。
【0033】
以下の表4は、例示的画像転写面コントーン値、および現在の(または初期の)目標(または所望の)画像転写面TRCの(画像転写面上の)トナー像の(例示的な)対応する反射率データを示す。画像転写面コントーン値は、X軸データを形成し、反射率データは、図5に示す現在の目標画像転写面TRC用のY軸データを形成する。
【表4】

【0034】
以下の表5は、例示的印刷コントーン値、および更新された目標(または所望の)画像転写面TRCの(画像転写面上の)トナー像の(例示的な)対応する正規化または調整または線形化反射率データを示す。表5の線形化反射率データは、21の印刷コントーン値で得られる。
【表5】

【0035】
現在のまたは初期の目標画像転写面TRC(反射率データ(つまり、表4の左欄)および画像転写面コントーン値(つまり、表4の右欄)を、線形化または調整された各コントーン値(つまり、図3の左欄)で直線的に補間することによって、線形化された(または調整または正規化された)画像転写面反射率データ(つまり、上記表5の右欄)が印刷コントーン値で得られる。所望のまたは目標印刷画像TRCは、これらの線形化コントーン値によって(更新目標画像転写面TRCの計算のために)考慮される。
【0036】
一実施形態では、表2で示すように、印刷画像の(印刷画像センサ212からの)色濃度値は、21の異なる印刷コントーン位置で測定される。しかし、(色濃度値が測定される)印刷コントーン位置の数は、合計でかなり変えることができる。一実施形態では、トナー像の反射率データは、14の異なる画像転写面コントーン位置で測定される。しかし、(反射率データが測定される)画像転写面コントーン位置の数は、合計でかなり変えることができる。
【0037】
印刷コントーン位置の数が画像転写面コントーン位置の数と異なる場合、次いで、印刷コントーン値での線形化または調整または正規化された反射率データ(表5および図5に示される)は、画像転写面コントーン値で直線的に補間されて、更新目標画像転写面TRCを決定する(表6および図6に示す)。すなわち、更新目標画像転写面TRCは、14の異なる画像転写面コントーン値で、線形化反射率データ(つまり21の異なる印刷コントーン値で)を直線的に補間することによって得られる。この補間は図6に示される。この更新目標画像転写面TRCのデータは、以下の表6に示される。したがって、印刷コントーン位置の数が、画像転写面コントーン位置の数と異なる場合、図3〜6に示す手順が、更新目標画像転写面TRCを決定するために使用されてもよい。
【0038】
以下の表6は、例示的画像転写面コントーン値、および更新された目標(または所望の)画像転写面TRCの(画像転写面上の)トナー像の(例示的な)対応する正規化または調整または線形化反射率データを示す。表6の線形化反射率データが、14の画像転写面コントーン値で得られる。
【表6】

【0039】
他の実施形態では、印刷コントーン位置は、画像転写面コントーン位置と同じであってもよい。すなわち、オンベルトTRC制御に使用されるコントーンは、印刷較正に使用されるコントーンと同じであってもよい。これは、手順を非常に単純化してオンベルト目標TRCを更新する。そのような実施形態では、単一の補間ステップが行われて、更新目標画像転写面TRCを決定する。特に、実印刷画像TRCおよび現在の目標画像転写が、印刷画像の目標色濃度値(dE値)で補間されて、更新目標画像転写面TRCを決定する。したがって、印刷コントーン位置の数は、画像転写面コントーン位置の数と同じである場合、図3〜5に示される手順が使用されて、更新目標画像転写面TRCを決定する。
【0040】
方法100は、次いで手順114に進む。手順114では、画像転写面センサからの後のトナー像データが(コントローラ208(図2で示し、図2について説明するように)によって)制御されて、更新目標画像転写面調子再現曲線を達成する。更新目標画像転写面調子再現曲線は、画像印刷システムの色較正および空間相関に使用される。方法100は、手順116で終了する。
【0041】
図2は、本開示のシステム202(つまり、画像印刷システムの調子再現曲線を制御するための)を組込む例示的画像印刷システム200を示す。システム202は、印刷エンジン206、プロセッサ204、コントローラ208、画像転写面センサ210、および印刷画像センサ212を含む。
【0042】
説明するように、印刷エンジン206は、複数の画像/現像サブシステム(例えば、CMYK)216を有するマルチカラー・エンジンであり、画像/現像サブシステムは、画像転写面214上に個々のカラー・トナー像(つまり、入力画像データに基づく)を形成するために適切であり、ここで、画像転写面214は、次いでトナー像を出力媒体に転写して、印刷画像をその上に形成する。画像印刷システム200は、また、紙の源または印刷可能基板を含む。
【0043】
一般的に知られているように、入力文書の出力コピーを生成するために、画像転写面214はコロナ帯電器(図示せず)を使用して帯電され、次いでラスター出力スキャナ(レーザ)(図示せず)にさらされて、画像転写面214上に潜像を形成する。トナーは、複数の現像ユニット216から潜像に適用される。潜像に適用されたトナーは、転写ステーションで出力媒体に転写される。出力媒体は、トナーが出力媒体に永久的に貼られるように搬送機構によってフューザに移動される。
【0044】
図2を参照すると、印刷エンジン206は、入力画像データに基づいて画像転写面214上にトナー像を形成するとともに、トナー像データを出力媒体に転写して印刷画像を形成するように構成されている。
【0045】
画像転写面センサ210は、画像転写面214上のトナー像を測定してトナー像データを得るように構成されている。トナー像データは、画像転写面214上のトナー像の領域被覆度を表す1セットの画像転写面コントーン値を含む。
【0046】
画像転写面センサ210は、強化されたトナー領域被覆度センサ、静電圧センサ、全幅アレイ(FWA)センサ、および単位面積残質量(RMA)センサの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0047】
画像転写面センサ210から得られたトナー像データは、コントローラ208によって制御されて、目標画像転写面調子再現曲線を達成する。一実施形態では、目標画像転写面調子再現曲線は、予め定められている。
【0048】
印刷画像センサ212は、出力媒体上の印刷画像を測定して印刷画像データを得るように構成されている。印刷画像データは、出力媒体上の印刷画像の領域被覆度を表す1セットの印刷コントーン値を含む。印刷画像センサ212から得られた印刷画像データは、目標印刷画像調子再現曲線を達成するように制御される。一実施形態では、目標印刷画像調子再現曲線は、予め定められている。
【0049】
印刷画像センサ212は、分光光度計、濃度計、比色計、分光計、およびスペクトルカメラの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0050】
プロセッサ204は、1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。したがって、本明細書で広く使用される用語「プロセッサ」は、単一プロセッサまたは多重プロセッサを称する。一実施形態では、プロセッサ204は、コンピュータシステムの一部、またはコンピュータシステムを形成することができる。システム200は、メモリを含み、プロセッサ204によって受けたデータ、およびプロセッサ204によって生成されたデータを記憶していてもよい。
【0051】
プロセッサ204は、(a)印刷画像データおよび1セットの印刷コントーン値を使用して実印刷画像調子再現曲線を生成し、(b)実印刷画像調子再現曲線を目標印刷画像調子再現曲線と比較することによって、1セットの調整コントーン値を決定し、調整コントーン値は、印刷画像の目標色濃度データが画像印刷システムにおいて達成される印刷コントーン値を表し、(c)調整画像転写面反射率データを決定して目標画像転写面調子再現曲線を更新し、調整画像転写面反射率データは、調整コントーン値で目標画像転写面調子再現曲線を補間することによって得られるように構成されている。
【0052】
コントローラ208は、画像転写面からの後のトナー像データを制御して、更新目標画像転写面調子再現曲線を達成するように構成されている。
【0053】
本開示の方法100およびシステム202は、印刷画像の色濃度値と、画像転写面上のトナー像の(デルタE(dE)単位で測定された)所望のまたは目標反射率データ(未測定データ)との間の相関性を提供する。そのような相関性は、画像印刷システム200の較正に使用されてもよい。すなわち、この相関性を使用することによって、オンベルト反射率目標が選択されて、紙上で所望のdEを達成する。画像転写面上のトナー像の目標反射率が、現在の目標反射率(測定された反射率値ではなく)に基づくので、オンベルト反射率目標は、閉ループ法において更新される。すなわち、画像転写面上のトナー像の目標反射率が、印刷画像(つまり、所望の印刷画像TRC)の所望の色濃度値をいかによく達成するかについてフィードバックがある。画像転写面上のトナー像の目標反射率は、また、実デジタルTRC補正から独立している。
【0054】
本開示の方法およびシステムによって提供される閉ループ制御は、現在の状態における誤差を補正する。また、本開示の方法およびシステムは、入力画像モジュールの十分なプロセス幅の測定で、ILSクロスプロセス位置をそろえるためのいかなる位置合わせ手順を含まない。また、本開示の方法およびシステムでは、コントーン値の異なる固有のセットが、オンベルト制御および(上記説明するような)紙較正に使用されてもよい。従来の方法とは対照的に、静かなレベルドット(アルゴリズムまたは方法を概説するコントーン・レンダリング・モジュール(CRM)におけるドットスイッチングを必要とする)は、本開示の方法およびシステムでは印刷されない。
【0055】
本開示は、このように、均一誤差を補正するだけでなく画像印刷システムでの絶対色を制御する閉ループシステムを提供する。この閉ループシステムは、一般的には、「デジタルTRC制御」と称せられている。すなわち、閉ループシステムは、ある基準位置で、測定されたTRCではなく絶対目標(または照準)TRCに補正する能力を有する。
【0056】
本開示は、ベルト上の絶対TRC目標を決定する方法について記載する。デジタルTRC制御で、オンベルト制御に使用される絶対TRC目標は、最終的に紙上の色に影響する。したがって、この目標を規定することは、画像印刷システムのための色較正として役立つ。また、この色較正は、各中間調スクリーンに固有である。
【0057】
記載された実施形態は、また、高集積並列印刷(TIPP)システムに有利に使用されてもよい。マルチプリンタが単一の印刷ジョブを出力するように制御されるようなシステムが公知である。例えば、そのような集積印刷システムは、少なくとも第1および第2の隣接するプリンタ、および2つのプリンタに、および2つのプリンタから一連の媒体シートを選択的に搬送するための少なくとも1つのインターフェース媒体搬送手段を含む。そのようなシステムは、また、第2のプリンタによって印刷される印刷シートと、第1のプリンタからの印刷シートをまとめるための出力を含むシートバイパス部を含んでいてもよい。
【0058】
本明細書で使用される用語「媒体」は、標準8 1/2×11インチの便箋、A4紙、または8 1/2×14インチの法定紙などの一枚の紙を含んでいてもよい。しかし、「媒体」は、ボンド紙、羊皮紙、布、ボール紙、プラスチック、透明紙、フィルム、箔、または他の印刷媒体基板などの他のサイズおよび印刷可能媒体のタイプを含んでいてもよいことが理解される。紙へのいかなる言及も限定と解釈されない。異なる等級および/または光沢媒体が使用されてもよい。
【0059】
画像転写面208は、感光体ドラム、感光体ベルト、中間転写ベルト、中間転写ドラム、および他の画像転写面の少なくとも1つである。すなわち、用語の画像転写面208は、画像を受ける任意の表面を意味し、これは、中間表面(つまり、画像が、印刷文書への転写に先立って形成されたドラムまたはベルト)であってもよい。
【0060】
本明細書で使用される単語「画像印刷システム」は、複写機、製本機械、ファクシミリ装置、または多機能マシンなどの任意のデバイスを含む。さらに、単語「画像印刷システム」は、インクジェット、レーザ、または他の純プリンタを含んでいてもよく、それは任意の目的のための印刷出力機能を行う。
【0061】
本開示の実施形態では、プロセッサは、例えば、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの様々な組み合わせで作製されてもよい。本開示は、また、機械可読媒体上に記憶された指示として実行されてもよく、1つまたは複数のプロセッサを使用して読み出され、実行されてもよい。一実施形態では、機械可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータデバイス)によって読み出されてもよい形態で情報を記憶する、および/または伝送するための様々な機構を含んでいてもよい。例えば、機械可読記憶媒体は、オンリーメモリ、ランダム・アクセス・メモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイス、および情報を記憶するための他の媒体を含んでいてもよく、機械可読伝送媒体は、搬送波、赤外線信号、デジタル信号、および情報を伝送するための他の媒体を含めて、伝播信号の形態を含んでいてもよい。ファームウェア、ソフトウェア、ルーチンまたは指示が、あるアクションを行う特定の例示的態様および実施形態の観点では、上記開示に記載されている可能性があるが、そのような記載は、単に便宜上であり、そのような行為が、実際には、コンピュータデバイス、制御演算装置、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、または指示を実行する他のデバイスまたはマシンに起因することが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像印刷システムの調子再現曲線(TRC)を制御するためのコンピュータにより実現される方法であって、前記方法が、1つまたは複数のコンピュータ・プログラム・モジュールを実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含むコンピュータシステムにおいて実現され、
前記方法が、
入力画像データに基づいて画像転写面にトナー像を形成するとともに、前記トナー像を出力媒体に転写して印刷画像を形成することによって、前記印刷画像を印刷するステップと、
前記印刷画像の前記印刷するステップ中に画像転写面センサを使用して前記画像転写面上の前記トナー像を測定してトナー像データを得るステップであり、前記トナー像データは、前記画像転写面上の前記トナー像の領域被覆度を表す1セットの画像転写面コントーン値を含むステップと、
前記トナー像データを制御して目標画像転写面調子再現曲線を達成するステップと、
印刷画像センサを使用して前記出力媒体上の前記印刷画像を測定して印刷画像データを得るステップであり、前記印刷画像データは、前記出力媒体上の前記印刷画像の領域被覆度を表す1セットの印刷コントーン値を含むステップと、
前記印刷画像データを使用して実印刷画像調子再現曲線を生成するステップと、
実印刷画像調子再現曲線を目標印刷画像調子再現曲線と比較することによって1セットの調整コントーン値を決定するステップであり、前記調整コントーン値は、前記印刷画像の目標色濃度データが前記画像印刷システムで達成される前記印刷コントーン値を表すステップと、
調整画像転写面反射率データを決定して前記目標画像転写面調子再現曲線を更新するステップであり、前記調整画像転写面反射率データは、前記調整コントーン値で前記目標画像転写面調子再現曲線を補間することによって得られるステップと、
前記画像転写面センサからの後のトナー像データを制御して前記更新目標画像転写面調子再現曲線を達成するステップと、
を含む、コンピュータにより実現される方法。
【請求項2】
前記印刷コントーン値が前記画像転写面コントーン値と異なる場合に、前記画像転写面コントーン値で前記更新目標画像転写面調子再現曲線を補間するステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
画像印刷システムの調子再現曲線(TRC)を制御するためのシステムであって、
前記システムが、
入力画像データに基づいて画像転写面上にトナー像を形成するとともに、前記トナー像を出力媒体に転写して印刷画像を形成するように構成された印刷エンジンと、
前記画像転写面上の前記トナー像を測定してトナー像データを得るように構成された画像転写面センサであり、前記トナー像データは、前記画像転写面上の前記トナー像の領域被覆度を表す1セットの画像転写面コントーン値を含む画像転写面センサと、
前記出力媒体上の前記印刷画像を測定して印刷画像データを得るように構成された印刷画像センサであり、前記印刷画像データは、前記出力媒体上の前記印刷画像の領域被覆度を表す1セットの印刷コントーン値を含む、印刷画像センサと、
(a)印刷画像データを使用して実印刷画像調子再現曲線を生成し、
(b)前記実印刷画像調子再現曲線を目標印刷画像調子再現曲線と比較することによって、1セットの調整コントーン値を決定し、前記調整コントーン値は、前記印刷画像の目標色濃度データが前記画像印刷システムにおいて達成される前記印刷コントーン値を表し、
(c)調整画像転写面反射率データを決定して目標画像転写面調子再現曲線を更新し、前記調整画像転写面反射率データは、前記調整コントーン値で前記目標画像転写面調子再現曲線を補間することによって得られるように構成されたプロセッサと、
前記画像転写面からの後のトナー像データを制御して、前記更新目標画像転写面調子再現曲線を達成するように構成されたコントローラと、
を含む、システム。
【請求項4】
前記印刷コントーン値が前記画像転写面コントーン値と異なる場合に、前記更新目標画像転写面調子再現曲線が前記画像転写面コントーン値で補間される、請求項3のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−85285(P2012−85285A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211250(P2011−211250)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】