説明

画像形成システム、及び封筒への封入封緘方法

【課題】折り処理された冊子の封入封緘が正常に行われなかった場合、2部目以降から自動的に増し折り回数を増やして、封入封緘が可能となるようにする。
【解決手段】封筒フラップ部の検品結果が異常と判断された場合、封筒を封筒検品装置の異常排出トレイに排出し(S108)、封筒の内容物の枚数、紙種、紙厚から封筒に封入するための必要増し折り回数を決定し(S109)た後、リカバリ処理を行い、作成された中綴じ冊子についてS109で決定した回数分増し折りを施し(S112)、中綴じ冊子を封筒に封入して封緘し(S113)、封筒のフラップ部を検品し(S114)、正常と判断された場合(S114:OK)、封筒を正常排出トレイ6に排出し(S115)、異常と判断された場合には(S114:NO)、画像形成装置の操作パネルにエラー表示を行い(S116)、異常と判断された封筒を異常排出トレイに排出(S117)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状記録媒体(以下、用紙と称する)に画像を形成する画像形成装置、用紙に対して所定の後処理を施す用紙後処理装置、封筒を封緘する封緘装置、及び封筒の封緘状態を検査する封筒検品装置を備えた画像形成システムに係り、特に、封筒のフラップの掲載状態の検査結果に基づいて用紙束の折り目の増し折りを行って用紙束を封入、封緘する機能を有する画像形成システム、及びこのシステムで実行される封筒への封入封緘方法に関する。
【背景技術】
【0002】
封筒フラップで封緘した封筒の封緘状態を検査する封筒フラップ封緘検査装置として例えば特許文献1に記載された発明が公知である。この種の検査装置では、封筒の封緘状態を検出することができる。前記特許文献1(特開2010−006385号公報)には、フラップ先端辺の方向に対して直角方向に封筒を搬送する搬送手段と、封筒の搬送位置を検出する搬送検出手段と、搬送位置を入力しフラップ先端辺の近傍において開となるゲートを生成するゲート生成手段と、搬送経路の上方から封筒表面の変位を所定のサンプリング周期で検出し変位データを出力する変位センサと、ゲートが開となっている間の変位データを記憶する記憶手段と、記憶した変位データに対して差分演算を行い差分変位データを生成する差分演算手段と、差分変位データの全てが所定値内であるときに封緘状態を良と判定し、それ以外は不良と判定する良否判定手段とを備え、未封緘の封筒を高い信頼性で検出できるようにした発明が開示されている。
【0003】
一方、増し折りを行う装置が特許文献2(特開2009−149435号公報)に記載されている。この発明は、搬入されてきたシート部材を折り手段により折り処理するシート処理装置において、折り処理されたシート束の折り部にさらに折り増しする折り増しコロをシート搬送方向に対して略直交する方向に移動させて折り増し処理を行う際、折り処理されたシート束の端部からの距離によって設定された複数の区間ごとに前記折り増しコロによる増し折り回数を変更する。また、シート束の増し折り回数はシートの綴じ枚数、シートの厚み、及びシート束の厚みのいずれかに基づいて変更され、あるいは、前記区間及び前記回数を複数組み合わせた複数のパターンを予め設定し、そのパターンを前記枚数、厚み、後続の機器などの条件に応じて変更して折り増しを行うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように特許文献1記載の発明では、未封緘の用紙を高い信頼性で検出することはできる。しかし、封筒に中綴じ冊子が封入され、封緘されたとき、封筒の封緘状態が異常であることが検出され、その原因が冊子の厚みや枚数オーバである場合がある。このような場合には、ユーザが封筒のサイズを変更するか、封筒に封入する中綴じ冊子の枚数を減らして再度印刷を行って封緘する必要があり、いずれにしても生産性の低下を招いている。
【0005】
なお、特許文献2記載の発明は、シート束を折る際に増し折りを行う機能を有するもので、未封緘の封筒を検出するという機能を備えているわけでない。
【0006】
本発明は、このような未封緘の封筒の検知装置と増し折り装置を組み合わせたもので、本発明が解決しようとする課題は、折り処理された冊子の封入封緘が正常に行われなかった場合、2部目以降から自動的に増し折り回数を増やして、封入封緘が可能となるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第1の手段は、用紙に対して画像形成する画像形成手段と、前記画像形成手段側から搬入されてきた用紙あるいは複数の用紙からなる冊子に対して折り処理を施す折り手段と、前記折り手段によって折り処理が施された用紙あるいは冊子を封筒に封入し、封緘する封入封緘手段と、前記封入封緘手段によって封緘された封筒のフラップ部が正常に封緘されているか否かを検出する検品手段と、を備えた画像形成システムにおいて、前記検品手段によって封筒のフラップ部が正常に封緘されていないと判断されたとき、封筒のサイズあるいは冊子を構成する用紙の枚数を変更することなく、2部目以降の用紙または冊子について前記折り手段によって用紙または冊子の折り目に対して増し折りさせ、増し折りされた前記用紙または冊子を前記封入封緘手段によって封筒に封入し、封緘させる制御手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段において、前記封入された封筒内部の内容物の厚みに起因して封筒のフラップ部の封緘が正常でないと判断されたとき、前記用紙または冊子の増し折りが実行されることを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1または第2の手段において、前記検品手段で異常と検出したとき、その異常とされた封筒の厚み若しくは封筒のフラップ部の浮き上がり方に応じて増し折り回数が決定されることを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第3の手段において、前記折り増し回数が封入される内容物の紙種、紙厚、及び用紙枚数の少なくとも1つに基づいて決定されることを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記検品手段は封筒を排出するための正常トレイ及び異常トレイを備え、前記封緘の検品で異常と判断された封筒は異常トレイに排出することを特徴とする。
【0012】
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記検品手段によって封筒が異常と判断された場合、その旨表示する表示手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記折り手段の前段に中綴じ手段を備え、前記制御手段は、増し折り後、次の部以降が中綴じ手段に搬送されてくるタイミングを制御することを特徴とする。
【0014】
第8の手段は、第1ないし第7のいずれかの手段において、前記折り手段は、中折り手段と増し折り手段を含み、中折り手段の後段に増し折り手段が配置されていることを特徴とする。
【0015】
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段において、前記検品手段が封筒を積載するためのスタックトレイを備えていることを特徴とする。
【0016】
第10の手段は、第9の手段において、前記検品手段が前記封筒のフラップ部の検品を行う検品モードと検品を行わず封筒を前記スタックトレイに排出する積載モードとを備えていることを特徴とする。
【0017】
第11の手段は、第1ないし第10のいずれかの手段において、前記画像形成手段を備えた画像形成装置と、前記折り手段を備えた用紙後処理装置と、前記封入封緘手段を備えた封入封緘装置と、前記検品手段を備えた封筒検品装置と、が前記順で連結され、前記制御手段が前記画像形成装置に設けられていることを特徴とする。
【0018】
第12の手段は、用紙に対して画像形成する画像形成手段と、前記画像形成装置から搬入されてきた用紙あるいは複数の用紙からなる冊子に対して折り処理を施す折り手段と、前記折り手段によって折り処理が施された用紙あるいは冊子を封筒に封入し、封緘する封入封緘手段と、前記封入封緘手段によって封緘された封筒のフラップ部が正常に封緘されているか否かを検出する検品手段と、を備え、前記検品手段によって封筒のフラップ部が正常に封緘されていないと判断されたとき、封筒のサイズあるいは冊子を構成する用紙の枚数を変更することなく、2部目以降の用紙または冊子について前記折り手段によって用紙または冊子の折り目に対して増し折りさせ、増し折りされた前記用紙または冊子を前記封入封緘装置によって封筒に封入し、封緘させる封筒への封入封緘方法を特徴とする。
【0019】
なお、後述の実施形態では、画像形成手段及び画像形成装置は画像形成装置1に、折り手段及び用紙後処理装置は用紙後処理装置3に、封入封緘手段及び封入封緘装置は封入封緘装置4に、検品手段及び検品装置は封筒検品装置5に、封筒は符号100a,100bに、フラップ部は符号101a,101bに、制御手段は画像形成装置1のCPU1Uに、正常トレイは正常排出トレイ6に、異常トレイは異常排出トレイ7に、中折り手段は折りプレート54及び折りローラ55に、増し折り手段は増し折りローラ58に、スタックトレイはスタック部80若しくはスタックトレイ78に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、折り処理された冊子の封入封緘が正常に行われなかった場合、2部目以降から自動的に増し折り回数を増やして冊子厚を減少させるので、封入封緘が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1における封入封緘装置の内部構造を示す図である。
【図3】図1における用紙後処理装置の内部構造を示す図である。
【図4】図3に示したMの部分の詳細である増し折り機構を示す図である。
【図5】図1に示した封筒検品装置の内部構成を示す図である。
【図6】封筒の搬送方向と垂直の方向に複数設置された変位センサの詳細を示す図である。
【図7】封筒検品装置の封緘状態を検出する部分を示す説明図である。
【図8】本実施形態における画像形成システムのフラップ部の検品処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図8において分岐したAにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図10】中綴じ冊子増し折りの際の回数設定を決定する際に使用されるテーブルの一例を示す図である。
【図11】増し折りが行われたときに増し折り回数と後続紙のJOB間隔を示す図である。
【図12】画像形成装置の上面に設置されている操作パネルの正面図である。
【図13】リカバリ処理中の封筒フラップ部検品で異常と判断された場合の操作パネルの表示例を示す図である。
【図14】図1に示した画像形成システムの制御構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、用紙後処理装置によって作成された中折り冊子または中折り中綴じ冊子を封筒に封入して封緘し、その封筒の封緘状態の検品を行った後の処理において、前記冊子が封入封緘された封筒の封緘状態が異常と判断された場合、その封筒の厚み、封入された冊子の紙種、紙厚、枚数に応じて2部目以降の冊子について必要回数分増し折りし、冊子厚さを低減することにより封緘の異常が生じないようにしたものである。
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【0025】
同図において、本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置1、用紙後処理装置3、封入封緘装置4、及び封筒検査装置5から基本的に構成されている。画像形成装置1は、本体部がMFP(Multi Function Peripheral)からなり、上部にはADF(Auto Document Feeder)2と表示装置付きの操作パネル1−Aが、下部には複数の給紙段1−Bがそれぞれ設けられている。
【0026】
用紙後処理装置3は画像形成装置1の用紙搬送方向下流側に連結され、画像形成装置1から搬送されてきた用紙にユーザが任意に選択した後処理が施される。封入封緘装置4は用紙後処理装置3の下流側に連結され、後処理を施された用紙または用紙束がこの封入封緘装置4で封筒に封入され、封緘される。封入される封筒及び封入物は画像形成装置1の前記給紙段1−Bにそれぞれセットされており、画像形成装置1から封入封緘装置4へそれぞれ搬送される。さらにその下流に封筒検品装置5が連結されている。封筒検品装置5は封入封緘された封筒のフラップ部について検品を行い、正常と判断された場合は封筒を排出トレイ6へ排出し、異常と判断された場合には封筒を排出トレイ7へ排出する。以下、排出トレイ6は正常排出トレイ6と、排出トレイ7は異常排出トレイ7と称す。
【0027】
図2は図1における封入封緘装置4の内部構造を示す図である。同図において、封入封緘装置4は、搬送方向上流側から第1及び第2の入口搬送路9,10、上搬送路12、封筒搬送路14、封入物搬送路15、中間トレイ18、下搬送路26、ポケット29、及び搬出搬送路34を備え、第1及び第2の搬送路9,10が上搬送路12と合流する部分には第1の分岐爪11が、上搬送路12から封入物搬送路15に分岐する個所には第2の分岐爪13が、それぞれ設けられている。第1の入口搬送路9の最上流側には第1の入口センサ8−Aが、第2の入口搬送路10の最上流側には第2の入口センサ8−Bが設けられ、用紙後処理装置3側から封入封緘装置4に搬入される封筒あるいは封入物を検知する。
【0028】
封筒が搬入される場合には、給紙段1−Bにセットされた封筒は画像形成装置1内部に給紙され、宛名等が印字された後に用紙後処理装置3経由して封入装置4へ搬送されてくる。封筒はまず第1の入口搬送路9に搬入されてくる。封筒が第1の入口搬送路9に搬入されてくると、封筒は入口センサ8−Aによって検知され、検知後、図2に示す各搬送ローラが駆動を開始して封筒の搬送が開始される。各搬送ローラは図示しない駆動モータによって予め設定された群単位で駆動され、駆動モータの駆動は図示しないモータドライバ及び図示しない制御回路のCPUによって制御される。
【0029】
封筒が入口センサ8−Aによって検知され搬送が開始されたとき、第1の分岐爪11は上搬送路12に導く位置(図2の図示位置から反時計方向に回動し、上搬送路12が開放された位置)に回動しており、封筒は上搬送路12へ搬送されていく。一方、第2の分岐爪13は封筒搬送路14に導く位置(図2の図示位置から時計方向に回動し、封筒搬送路14が開放された位置)に移動しており、封筒は上搬送路12から垂直下方の封筒搬送路14へ搬送されていく。封筒搬送路14に沿って搬送される封筒は、封筒搬送路14の最下流部に設けられたチャックコロ対23によって封筒のフラップ部を噛んだ状態で保持され、封入物が封入されてくるのを待つ。このとき、チャックコロ対23の下流側の下搬送路26の最上流側に設けられた揺動コロ対25は下搬送路26から離間する方向(矢印D1の方向)へ退避し、封筒とは接しない位置に位置している。
【0030】
封筒に封入される封入物は、ADF2によって原稿読み取り後、原稿に対応した用紙が給紙段1−Bから画像形成装置1内に給紙され、画像形成された後に用紙後処理装置3経由して封入封緘装置4へ搬送されてくる。封入物が単一の用紙、または端綴じ処理が施された用紙束の場合、第1の入口搬送路9に搬入されてくる。このような用紙または用紙束は入口センサ8−Aによって封入物として検知された後、各搬送ローラが駆動され、封入物の搬送が開始される。
【0031】
これに対して、封入物が用紙後処理装置3で中綴じ処理を施された冊子の場合は、第2の入口搬送路10に搬入されてくる。この場合、第2の入口センサ8−Bによって封入物として検知された後、各搬送ローラが駆動され封入物の搬送が開始される。その際、第1の分岐爪11は第2の入口搬送路10から上搬送路12に導く位置(図2の図示位置)へ移動しており、封入物は上搬送路12へ搬送され、その後は、単一の用紙、または端綴じ処理が施された用紙束と同じ搬送路を辿る。封入物が上搬送路12に搬送された後、第2の分岐爪13は封入物搬送路15に封入物を導く位置(図2の図示位置)へ移動しており、封入物は上搬送路12から封入物搬送路15へ搬送されていく。
【0032】
封入物は封入物搬送路15に沿って搬送され、搬送途中で封入物排紙センサ16を通過し、中間トレイ18へ排出される。封入物が中間トレイ18に排出された後、戻しコロ17は中間トレイ18に接する位置に移動し、封入物に当接し、コロによって封入物を後端ストッパ21の方向へ搬送する。搬送完了すると、封入物はサイドジョガー対20によって整合される。封筒に封入する全ての封入物が中間トレイ18上で揃うまで同じ動作が繰り返される。
【0033】
封入物が全て中間トレイ18上に積載された後、後端ストッパ21は矢印D2の方向へ退避する。後端ストッパ21の退避後、先端ストッパ19は矢印D3の方向への移動を開始し、封入物束をパックユニット22内へ搬送する。封入物束のパックユニット22への搬送が完了した後、パックユニット22は軸22aを中心に矢印D4の方向へ回動し、封入物束はチャックコロ対23部に保持された封筒へ、パックユニット22内の搬送ローラによりガイド板24に沿って搬送され、封入される。封入完了後、揺動コロ対25は矢印D1と逆方向に移動し、封筒の搬送路26へ搬送が開始される。
【0034】
封入物が封緘された封筒は下搬送路26を経由し、封筒方向転換ポケット29内に進入し、封筒方向転換ポケット29では、その下端に設けられたセンサ30により封筒の挿入が検知される。封筒がポケットに挿入された後、封筒のフラップの糊付部に湿化部材27が接触し、前記糊付部を水で濡らす。湿化部材27の一部には水保持部28が設けられており、この部分がフラップの糊付部と接触する。このとき、ポケット29内に一旦収納された封筒は、フラップが未だ開いている状態で、このフラップから駆動排出ローラ31及び従動排出ローラ32の回転によりこれらのローラ31,32のニップ間に噛み込まれ、フラップが封筒に重ねられる。そして、駆動排出ローラ及び従動排出ローラ31,32間の押圧力により両者が接着され、固定される。この封緘された封筒はローラ32,33間を通り、排出搬送路34を上方に搬送され、封入封緘装置4の下流機側に搬出される。
【0035】
図3は、図1における用紙後処理装置3の内部構造を示す図である。用紙後処理装置3自体は公知なので、動作とともに構成を簡単に説明する。なお、搬送路及び分岐爪は封入封緘装置4と重なるが、両者については参照符号の相違で明示し、下記の説明では、特に用紙後処理装置3の搬送路あるいは分岐爪という限定は付していない。
【0036】
入口搬送路Aから第1及び第2の分岐爪35,36で振り分けられた用紙は、下搬送路Bに導かれ、搬送ローラ37,38,39及びスティプル排紙ローラ40により処理トレイTに排出される。処理トレイTでは、スティプル排紙ローラ40により順次排出される用紙を後端フェンスと叩きコロによって用紙搬送方向を、ジョガーフェンスによって用紙搬送方向と直交する方向をそれぞれ整合し、スティプルする直前までは同様の動作を繰り返す。用紙束が処理トレイT上で仮整合された後、用紙束先端部は放出ローラ43と加圧コロ44により挟持され、分岐ガイド板41と可動ガイド42とが分岐ガイド板41の下端側の支軸を中心に放出ローラ43方向へ回動することにより処理トレイCへ導かれる経路が形成される。用紙束は加圧コロ44と可動ガイド44によって案内されて処理トレイCに導かれるが、その際、用紙束は放出爪45によって押し上げられ、放出ローラ43の回転により処理トレイC側へと搬送される。放出ローラ43は放出ベルトの駆動軸に設けられており放出ベルトと同期して駆動される。
【0037】
放出爪45は放出ローラ43を用紙束後端が通過するまで駆動され、用紙束を搬送する。処理トレイCに導かれた用紙束は、さらに束搬送ローラ上46と束搬送ローラ下47によって搬送される。そのとき、各用紙束の搬送方向のサイズに応じて異なった位置に可動後端フェンス48が停止し、待機している。待機している可動後端フェンス48に用紙束先端が当接してスタックされると、束搬送ローラ下47の圧が解除され、後端叩き爪51により用紙束の後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う。一方、中綴じジョガーフェンス50によって幅方向、可動後端フェンス48と後端叩き爪51により搬送方向の整合動作が行われる。
【0038】
両方向の整合が終了すると、用紙束の中央部が中綴じスティプラSにより綴じ処理される。ここで、可動後端フェンス48は可動後端フェンスHPセンサ52からのパルス制御により位置決めされていて、後端叩き爪51は後端叩き爪HPセンサ53からのパルス制御により位置決めされている。中綴じされた用紙束は束搬送ローラ下47の加圧が解除されたまま可動後端フェンス48の移動に伴って上方に運ばれ、その後、綴じられた針部近傍は略直角方向に折りプレート54により押され、その対向する折りローラ55のニップへと導かれる。予め回転していた折りローラ55はその用紙束を加圧搬送することによって用紙束中央に折りを施し、そのまま下流機、ここでは封入封緘装置4に搬送する。なお、折りローラ55と排紙ローラ57との間には増し折り機構が設けられている。
【0039】
図4は、図3に示したMの部分の詳細である増し折り機構を示す図である。増し折り機構は、用紙後処理装置3において中綴じ処理を行った冊子の折り目を増し折りする機構である。図4において、同図(A)は増し折り処理において加圧ローラ58によって用紙束の折り目を増し折りする際の動作を示し、同図(B)は増し折り処理後の排紙処理時の状態を示す。
【0040】
図4において、加圧ローラ58は折りローラ55の搬送方向下流側の近接した位置に設けられ、シート搬送方向に対して直交する方向に移動する。図4(A)に示すように用紙束60は、折りローラ55によって折られた後、そのまま矢印方向に搬送され、用紙束先端がセンサ59を通過してから用紙束先端が加圧ローラ58による押圧位置に対応する位置まで一定パルス数搬送されて停止する。なお、ここでは搬送モータがステッピングモータであることから搬送距離を駆動パルス数で制御している。加圧ローラ58は用紙搬送方向に対して直交する方向に移動し、その移動の過程で用紙先端の折り部を加圧する。そこで、用紙束先端の停止位置は加圧ローラ58の前記移動軌跡上に設定されている。
【0041】
増し折り機構は、加圧ローラ58、加圧ローラ58を移動させる駆動モータ58a、用紙搬送方向と直交する方向に延設され、加圧ローラ58のホルダを上下動可能に案内するガイド部材58b、用紙搬送方向と直交する方向に延設されたガイドレールに沿って摺動自在に保持されるとともに加圧ローラ58を支持するブラケット58d、前記加圧ローラ58のホルダを前記ブラケット58dに対して上下動可能に連結し、圧縮スプリングによって加圧ローラ58に押圧力を付与する支軸58c等を含む公知の構成のものである。図4(B)に示すように加圧ローラ58は用紙束の搬送範囲外に初期位置が設定され、図4(A)に示す位置に用紙束先端が達したときに用紙束を停止させ、その位置で、駆動モータ58aの回転により図示しない動力伝達機構によりブラケット58dがガイドレールに沿って用紙束搬送方向と直交する方向(紙面に垂直な方向)に往復動し、用紙束先端の折り目を加圧する。これにより折り目の増し折り処理が行われ、折り目が強化され、用紙束も平坦化される。増し折りが終了し、加圧ローラ58が初期位置に退避すると、折りローラ対55によって用紙束の搬送が再開され、排紙センサ56を通過し、排紙ローラ57によって装置外へ、あるいは後続の装置へ搬送される(図4(B):矢印方向)。
【0042】
図5は図1に示した封筒検品装置5の内部構成を示す図である。なお、以下の説明において、搬送路及び分岐爪は封入封緘装置4、用紙後処理装置3と重なるが、両者については参照符号の相違で明示し、特に封入封緘装置4、用紙後処理装置3の搬送路あるいは分岐爪という限定は付していない。
【0043】
図5において、封筒検品装置(封筒フラップ部検品装置)5は、入口搬送路62、上搬送路72、第1及び第2の下搬送路64,73、入口搬送路62から第1の下搬送路64と上搬送路72とを分岐する第1の分岐爪63、上搬送路72と下搬送路73を分岐する第2の分岐爪71、上搬送路72の搬送ベルト66設置部に隣接させて設けられたロータリエンコーダ67、及び第1の下搬送路64の最下流部に設けられたスタック部80から基本的に構成されている。
【0044】
このように大略構成された封筒検品装置5には検品モードと積載モードの2つのモードが設定されている。検品モードは封筒の封緘部の検査を行うモードであり、積載モードは封筒の封緘部分の検品を行わずにスタック部80に封筒を積載するモードである。
【0045】
検品モード時には、入口センサ61で封筒検品装置5の上流機から排出されてきた封筒を検知すると、各搬送ローラが駆動され、封筒の搬送が開始される。封筒は入口搬送路62上を搬送され、第1の分岐爪63によって封筒の搬送先が上搬送路72か第1の下搬送路64に選択される。封筒の封緘部に対して検品を行う検品モードの場合、第1の分岐爪63は図5に図示された位置から時計方向に回動し、上搬送路72側を開放した位置にあり、封筒はこの第1の分岐爪63の上側を通って上搬送路72側の搬送ベルト66上に搬送される。搬送ベルト66の下面には周面が当該搬送ベルト66と接触して回転するローラ68が設けられている。ローラ68は、搬送ベルト66が走行することにより滑ることなく連れ回りする。ローラ68の回転軸にはロータリエンコーダ67が設けられ、両者は一体で回転する。ロータリエンコーダ67は回転を検出して走行信号を出力する。搬送ベルト66の経路の上面には光電センサ65と変位センサ69が設置されている。
【0046】
変位センサ69は封筒の搬送方向と垂直の方向に複数設置されている。変位センサ69の詳細は図6に示す。変位センサ69は主に封筒のフラップ部の検品に使用される。検品の具体的な方法に関しては後述する。検品完了後、封筒の封緘状態が正常と判断された場合、封筒は用紙検知センサ72を通過し、図5に示した位置にある第2の分岐爪71の上面を通って上搬送路72に搬送され、正常排紙センサ79を通過し、そのまま正常排出トレイ6に排出される。これに対して、封筒の封緘状態が異常と判断された場合は、第2の分岐爪71は図5に示す位置から反時計方向に回動して第2の下搬送路73側を開放し、封筒は第2の分岐爪71の下面を通って下搬送路73に導かれ、異常排紙センサ74を通過し、異常排出トレイ7に排出される。
【0047】
封筒の封緘部分の検品を必要しない場合、ユーザが積載モードを選択し、封筒は検品部分を通過せずにスタック部80に積載される。積載モードでは、封筒検品装置5の上流機から排出されてきた封筒が検知されると、各搬送ローラが駆動され、封筒の搬送が開始される。このとき第1の分岐爪63は図5の位置となっており、封筒は下搬送路64に搬送され、スタック排紙センサ75を通過し、スタックトレイ78上に排紙される。スタックトレイ78上に排紙された封筒は先端ジョガー77、サイドジョガー76によって搬送方向と搬送方向に対して直交する方向が揃えられる。このスタックトレイ78は封筒検品装置5の前方カバーを開いているときに手前側に引き出して封筒を回収することができる。なお、スタック部80はサイドジョガー76,先端ジョガー77、及びスタックトレイ78を備えている。
【0048】
図6は、図5に示した封筒検品装置5の封緘状態を検出する検出部の概略を上面から見た説明図である。なお、封筒のフラップ部の検品方法は前述の特許文献1にも記載されているように公知のため簡潔に説明する。
【0049】
図6において、搬送方向上流側に位置する第1の封筒100aは、破線の部分が良好な封筒におけるフラップの先端を示しており、実線で示すこの封筒のフラップ101aの先端はその破線の部分から外れているため封緘状態が不良の状態である。これに対して搬送方向下流側の第2の封筒100bはフラップ101bの先端を示す実線が破線に一致し、封緘状態が良好の封筒を示している。以下、第1、第2の封筒100a,100bのフラップを区別しない場合はフラップ101と総称する。
【0050】
複数の変位センサ69a,69b・・・は、搬送手段66の搬送経路の上方から封筒表面の変位(上下位置)を所定のサンプリング周期で検出し変位データを出力するセンサである。変位センサ69a,69b・・・は搬送ベルト66の搬送経路の上部にフラップ101先端辺の方向(矢印で示す搬送方向と平行であり、搬送方向に対向する方向)に向けて配置され、その各々が封筒表面の複数個所の変位を検出する構成となっている。図6においては、5個の変位センサ69a,69b・・・の各々を通過し搬送方向に延長する一点鎖線が示されている。
【0051】
この一点鎖線は搬送ベルト66による移送が行われたときの、変位センサ69a,69b・・・の検出位置の軌跡を示している。この検出位置の軌跡から明らかなように、複数個の変位センサ69a,69b・・・を設置することによって、フラップ101の先端辺の方向の複数個所を検査対象部位として未封緘の封筒の検出を行うことが可能となる。
【0052】
搬送される封筒の搬送位置は搬送ベルト66のロータリエンコーダ67設置位置よりも上流側に配置された光電センサ65と、前記ロータリエンコーダ67とによって検出される。具体的には光電センサ65によって封筒の先端を検出すると、光電センサ65から通過信号が出力され、ロータリエンコーダ67で回転を検出して走行信号を出力する。この通過信号と走行信号を入力してフラップ先端辺の近傍が変位センサ69a,69b・・・の検出位置となる間に「開」となるゲートを生成する。
【0053】
通過信号が入力される度に、その通過した封筒に対するゲートを生成する演算を行う。この演算は、通過信号を入力した後の走行信号を計数する演算と、その計数値を所定の開設定値、所定の閉設定値と比較する演算であり、前記演算により計数された計数値が所定の「開」設定値から所定の「閉」設定値までの間においてゲートを「開」とし、それ以外の間においてゲートを「閉」とする。所定の「開」設定値と所定の「閉」設定値はフラップ先端辺の近傍が変位センサ69a、69b・・・の検出位置となる間において「開」となるように決定される。
【0054】
変位センサ69a,69b・・・が出力する変位データはゲートが「開」となっている間に記憶する。変位データはデジタルデータであって、変位センサ69a、69b・・・により所定のサンプリング周期で出力が行われる。良否判定は差分演算によって演算された差分変位データの全てが所定値内であるときに封緘状態を良と判定し、それ以外は不良と判定する。
図7は封筒検品装置5の封緘状態を検出する部分を示す説明図である。同図(A)は図6に示した封筒検品装置5の検品部分の側面図である。同図において、第1の封筒100aはフラップ部が完全に封緘されておらず、浮き上がった状態であり、第2の封筒100bはフラップ部が完全に封緘された状態となっている。第1及び第2の封筒100a,100bは搬送ベルト66によって搬送方向に搬送される。
【0055】
変位センサ69a,69b・・・としては、封筒表面にレーザ光線を投光して形成されたスポットの位置から三角測定の原理で変位を検出するレーザ変位センサが使用される。ロータリエンコーダ67は回転軸がローラ68の回転軸に結合され、両者は一体で回転する。ローラ68は図7(A)に示すように周面が搬送ベルト66に接触しており前述のように搬送ベルト66の走行に伴って連れ回りする。
図7(B)は図7(A)の変位センサ69a,69b・・・と光電センサ65の検出信号に基づいて得られる変位データを模式的に示した図である。図7(B)のグラフは図7(A)に示す封筒フラップ封緘検査装置の側面図と搬送方向の位置において対応関係を有しており、その位置において変位センサ69a,69b・・・が検出した変位(時間に対する差分)が示されている。図7(B)において「a」、「d」、「g」の部分は搬送ベルト66の表面の変位データである。「b」の部分は封筒100aのフラップ部分の表面の変位データ、「c」の部分は封筒100aの本体部分の表面の変位データ、「e」の部分は封筒100bのフラップ部分の表面の変位データ、「f」の部分は封筒100bの本体部分の表面の変位データである。
図7(C)には鎖線で閾値が示されている。この閾値は所定値内と所定値外を区分する境界値である。境界値である閾値をいずれの区分とするかは多くにおいて実質的な影響がなく任意である。この場合には、変位データの差分演算を行い、差分変位データ(ab,bb1,bb2、cd,ee1,ee2)の全てが閾値以上または閾値より大きいときには所定値内であるとして封緘状態を良と判定する。また、それ以外、すなわち差分変位データの内に1つでも閾値より小さい、または閾値以下のときには所定値外であるとして封緘状態を不良と判定する。図7(C)では、符号「b」における差分bb2が閾値を超えているので、封緘が良好に行われていないことが分かる。なお、変位データの差分演算方法についても例えば前記特許文献1に記載されており、公知のため省略する。
【0056】
図8は本実施形態における画像形成システムのフラップ部の検品処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートは、封筒物1部を作成する処理であり、内容物については封入が可能である内容物であることが前提である。
【0057】
図8において、まず、画像形成装置1で画像を形成し(ステップS101)、画像が形成された用紙に対して用紙後処理装置3で中綴じ処理を行う(ステップS102)。中綴じ処理を行った後、中綴じ冊子は用紙後処理装置3の下流側にある封入封緘装置4に搬送される。この封入封緘装置4にて中綴じ冊子を封筒に封入し、封緘する(ステップS103)。その後、封入封緘装置4の下流側にある封筒検品装置(封筒フラップ部検品装置)5に中綴じ冊子を搬送する。
【0058】
封筒検品装置5にて封筒のフラップ部の検品を行う前に動作モードが検品モードかどうかを確認する。ここで検品モードでない場合(ステップS104:NO)、封筒はそのまま封筒検品装置5のスタックトレイ78に排出される(ステップS107)。検品モードの場合(ステップS104:YES)は検品部で検品を行う。検品後、検品結果が正常である場合(ステップS105:OK)は、封筒フラップ部検品装置5の正常排出トレイ6に封筒を排出(ステップS106)し、処理を終了する。ここで検品結果が異常と判断された場合(ステップS105:NG)は「A」の処理に分岐する。図9は分岐した「A」の処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS105において封筒フラップ部の検品結果が異常と判断された場合、まず、その封筒を封筒検品装置5の異常排出トレイ7に排出する。(ステップS108)。その後、異常と判断された封筒の内容物の枚数、紙種、紙厚から封筒に封入するための必要増し折り回数を決定する(ステップS109)。これに引き続きてリカバリ処理を行い、画像形成(ステップS110)、中綴じ処理(ステップS111)まで前回と同様の処理を行う。
【0060】
次いで、作成された中綴じ冊子についてステップS109で決定した回数分増し折りを施し(ステップS112)、中綴じ冊子を封筒に封入して封緘し(ステップS113)、封筒のフラップ部を検品する(ステップS114)。ステップS114の検品で、正常と判断された場合(ステップS114:OK)、封筒を正常排出トレイ6に排出し(ステップS115)、処理を終了する。
【0061】
しかし、ここでも検品結果が異常と判断された場合には(ステップS114:NO)、画像形成装置1の操作パネル1−Aにエラー表示を行い(ステップS116)、異常と判断された封筒を異常排出トレイ7に排出(ステップS117)し、処理を終了する。
【0062】
なお、今回は封筒物1部の作成例のみを挙げたが、封筒物を複数部作成する場合も同様に可能である。この場合、異常を検出した際のリカバリのタイミングは、その時点のJOBの必要枚数分画像形成をした後にリカバリ分の画像形成を開始する。
【0063】
また、封入自体が不可能であった場合も同様にリカバリ処理で増し折りを施すことができるが、この場合、リカバリ後も封入が不可能、若しくは封入が可能でも封緘状態が異常と判断される可能性は高くなると予想される。
【0064】
図10は、中綴じ冊子増し折りの際の回数設定を決定する際に使用されるテーブルである。このテーブルは画像形成装置1のRAMに格納されている。本実施形態では、中綴じ冊子の厚みが原因で封緘検品装置5の検品が異常と判断された場合、もう一度画像形成装置1からリカバリ印刷を開始し、中綴じ冊子を作成後に増し折りを施して封筒に封入封緘するのが本発明の特徴であるが、その増し折りを何回行うかは予め決定しておく必要がある。図10に示したテーブルは、中綴じ冊子の増し折り回数を紙種紙厚、さらに内容物の枚数別に設定したものである。実際の処理の際はこの表の設定回数分だけ中綴じ冊子に増し折りを施し、再度、封筒に封入し、封緘する。
【0065】
図10に示したテーブルでは、紙種が「普通紙」、「再生紙」、「グロス紙、マット紙」の3種に設定され、各紙種に対して6種の紙厚を設定し、設定された紙厚と用紙枚数との関係において最適な増し折り回数が設定されている。画像形成装置1のCPUは、このテーブルを参照して増し折り回数を設定する。なお、図10における増し折り回数は増し折りローラ58が初期位置から移動して初期位置に戻るまで、言い換えれば1往復動を1回としている。増し折り回数はここでは3回から9回であるが、増し折りローラの加圧スプリングの押圧力に応じて最適な設定回数は異なってくるので、図10に示した関係は用紙後処理装置3の構成や前記押圧力に応じて異なり、図10の関係に限定されることはない。
【0066】
基本的には図10のテーブルに示した設定回数で封緘検品装置5の判断も正常になるはずであるが、何らかの原因でそれでも異常と判断された場合は処理を中断し、前述のステップS116の異常発生の表示が画像形成装置1の操作パネル1−Aに行われることになる。
【0067】
図11は、増し折りが行われたときに増し折り回数と後続紙のJOB間隔を示す図である。増し折り回数が決定し、実際に増し折りを行うと、増し折り回数によって増し折りが完了するまでの時間が異なるため、後続紙が搬送されてくるまでの時間を余分に確保する必要が生じてくる。そこで、本実施形態では、図11に示すように増し折り回数に応じてJOB間の間隔を制御する。図11の関係もテーブルとして画像形成装置1のRAMに記憶され、CPUがJOB実行の際に参照し、図11に示したJOB間隔にしたがってJOBを実行する。なお、ここでいうJOBは、用紙に画像を形成し、一部の用紙束を作成し、その用紙束を綴じて中折りし、封筒に入れるまでの処理を単位としている。その間に増し折りが行われるので、その間、次のジョブの開始時刻を遅らせる。その時間が図11にいう必要JOB間時間となる。
【0068】
すなわち、本実施形態では、用紙後処理装置3で中綴じ冊子を作成する前段階として冊子の必要枚数分をスティプルトレイTで全てまとめる。ここで、例え必要枚数分まとめ終わったとしても、中綴じ処理中、若しくは冊子を増し折りしている最中にはこの用紙束を中綴じ処理部に搬送することはできない。そのため、図11のテーブルに記載されている時間を待って後続紙を搬送する。なお、図11の場合の設定時間も、装置構成によって異なるので、あくまで一例に過ぎない。
【0069】
図12は画像形成装置1の上面に設置されている操作パネル1−Aの正面図である。
【0070】
同図において、操作パネル1−Aは、表示画面a、テンキーb、ストップキーc、スタートキーd、電源キーe、機能選択キー群fを備えている。表示画面aにメッセージや入力キーが階層表示され、テンキーbは数字入力を行う。ストップキーcは処理の停止を入力し、スタートキーdは画像形成開始のトリガー信号を付与する。電源キーeは電源のON/OFFを制御する。機能選択キー群fは、コピー、プリンタ、スキャナなどの各機能を選択するためキーが複数設置されたものである。
【0071】
図13は、この操作パネル1−Aの表示例を示す図である。この表示例は、リカバリ処理中の封筒フラップ部検品で異常と判断された場合の例である。すなわち、図9のフローチャートに示したようにリカバリ処理で増し折りを施した後に再度冊子を封筒に封入し、封緘した後、封筒フラップ部の検品を行うが、それでも封筒フラップ部が異常と判断された場合、封筒を異常排出トレイ7に搬送し、画像形成装置1の操作パネル1−Aの表示画面aに「リカバリJOBで封筒フラップ部異常を検出しました。処理を停止します。」というメッセージa1を表示し、異常発生を通知する。この通知に対して「OK」ボタンa2の押下を求め、ユーザの確認動作があると、次の処理に進む
本実施形態では同一のJOBに対してリカバリ処理を複数回行うことはせず、そのかわり図10で示した表に基づいて増し折り回数を1回で決定する。これによってリカバリを複数回繰り返し行うことがなく、生産性の向上にもつながる。このため、このリカバリで増し折り処理を施しても封入封緘が正常に行われないときは、ユーザは前記メッセージ表示により異常を回避するため、
・封筒のサイズを変更する。
【0072】
・内容物の枚数を減らす。
【0073】
・内容物の紙種を変更する。
【0074】
・紙厚の異なる用紙に変更する。
【0075】
などの処理を行い、再度、封入封緘を行うようにすれば良い。
【0076】
図14は、図1に示した画像形成システムの制御構成を示す図である。図14において、オンラインの画像形成システムは、画像形成装置1に対して用紙後処理装置3が接続され、この用紙後処理装置3に封入封緘装置4が接続され、この封入封緘装置4に封筒検品装置5が接続されるという構成になっている。画像形成装置1、用紙後処理装置3、封入封緘装置4及び封筒検品装置5はそれぞれCPU1U,3U,4U,5Uと通信ポート1P,3P1,3P2,4P1,4P2,5Pを備え、画像形成装置1と用紙後処理装置3は通信ポート1Pと3P1により、用紙後処理装置3と封入封緘装置4は通信ポート3P2と4P1により、封入封緘装置4と封筒検品装置5は通信ポート4P2と5Pとにより相互に通信可能となっている。操作パネル1−Aは画像形成装置1に図示しないI/Fにより接続され、画像形成装置1のCPU1Uからの表示指示により前述の表示が実行され、操作パネル1−Aからのキー入力により画像形成装置1に対してユーザから操作入力が行われる。
【0077】
画像形成装置1、用紙後処理装置3、封入封緘装置4及び封筒検品装置5にそれぞれ搭載されているCPU1U,3U,4U,5Uは、同じく画像形成装置1、用紙後処理装置3、封入封緘装置4及び封筒検品装置5にそれぞれ搭載されたROMに格納されたプログラムコードをそれぞれ読み出し、RAMに展開するとともに、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用して、前記プログラムコードにしたがった処理を実行する。これにより、前述の表示制御や処理が行われる。
【0078】
これらの各装置は、前記通信ポート1P,3P1,3P2,4P1,4P2,5Pを介して電気的に直列に、また、少なくとも用紙搬送路を介して機械的にも直列に接続されており、オンライン処理の場合には、電気的には同時に制御される。前記図8及び図9のフローチャートの処理は画像形成装置1のCPU1Uによって指示され、画像形成は画像形成装置1によって、中綴じ処理、中折り処理、増し折り処理は用紙後処理装置3によって、封入封緘は封入封緘装置4によって、封筒のフラップ101a,101b部の検品は封筒検品装置5によってそれぞれ実行される。なお、封筒のフラップ101a,101b部の検品の良否は画像形成装置1のCPU1Uによって判断され、この判断結果に応じてOKであれば、前記ステップS115で封筒は正常排紙トレイ7に排出され、NGであれば、前記ステップS116でエラー表示が行われ、ステップS117で封筒は異常排紙トレイ6に排出されることになる。
【0079】
以上のように、本実施形態によれば、中折りまたは中綴じされた冊子を封筒に封入、封緘した後、冊子の厚みで封緘状態が異常と判断された場合、2部目以降に異常が検出されたJOBについて冊子に対して増し折り施して封入するというリカバリ処理を実行する。これによってユーザが封筒のサイズや用紙の枚数を変更することなく冊子の封入、封緘処理を継続することができ、生産性を高めることが可能となる。
【0080】
そして、このようなリカバリ処理において必要回数分増し折りを施してもまだ、封入、封緘が正常に行われない場合のみ、封筒サイズの変更、内容物の枚数、紙種あるいは紙厚を変更すれば良いので、このような場合の生産効率の低下も最小限で抑えることができる。
【0081】
なお、本実施形態では、画像形成装置1、用紙後処理装置3、封入封緘装置4、及び封筒検査装置5を連結して1つのシステムを構成しているが、画像形成装置1内に用紙後処理装置3、封入封緘装置4、及び封筒検査装置5の各機能を実現する用紙後処理手段、封入封緘手段、及び封筒検査手段を一体に組み込んでシステムを構成することも可能である。すなわち、本発明は本実施形態に示した例に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2010−006385号公報
【特許文献2】特開2009−149435号公報
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置
1U CPU
3 用紙後処理装置
4 封入封緘装置
5 封筒検品装置
6 正常排出トレイ
7 異常排出トレイ
54 折りプレート
55 折りローラ
58 増し折りローラ
78 スタックトレイ
80 スタック部
100a,100b 封筒
101a,101b フラップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して画像形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段側から搬入されてきた用紙あるいは複数の用紙からなる冊子に対して折り処理を施す折り手段と、
前記折り手段によって折り処理が施された用紙あるいは冊子を封筒に封入し、封緘する封入封緘手段と、
前記封入封緘手段によって封緘された封筒のフラップ部が正常に封緘されているか否かを検出する検品手段と、
を備えた画像形成システムにおいて、
前記検品手段によって封筒のフラップ部が正常に封緘されていないと判断されたとき、封筒のサイズあるいは冊子を構成する用紙の枚数を変更することなく、2部目以降の用紙または冊子について前記折り手段によって用紙または冊子の折り目に対して増し折りさせ、増し折りされた前記用紙または冊子を前記封入封緘手段によって封筒に封入し、封緘させる制御手段を備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成システムにおいて、
前記封入された封筒内部の内容物の厚みに起因して封筒のフラップ部の封緘が正常でないと判断されたとき、前記用紙または冊子の増し折りが実行されること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成システムにおいて、
前記検品手段で異常と検出したとき、その異常とされた封筒の厚み若しくは封筒のフラップ部の浮き上がり方に応じて増し折り回数が決定されること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成システムにおいて、
前記折り増し回数が封入される内容物の紙種、紙厚、及び用紙枚数の1つに基づいて決定されること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
前記検品手段は封筒を排出するための正常トレイ及び異常トレイを備え、前記封緘の検品で異常と判断された封筒は異常トレイに排出すること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
前記検品手段によって封筒が異常と判断された場合、その旨表示する表示手段を備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
前記折り手段の前段に中綴じ手段を備え、
前記制御手段は、増し折り後、次の部以降が中綴じ手段に搬送されてくるタイミングを制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
前記折り手段は、中折り手段と増し折り手段を含み、中折り手段の後段に増し折り手段が配置されていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
前記検品手段が封筒を積載するためのスタックトレイを備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成システムにおいて、
前記検品手段が前記封筒のフラップ部の検品を行う検品モードと検品を行わず封筒を前記スタックトレイに排出する積載モードとを備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成手段を備えた画像形成装置と、
前記折り手段を備えた用紙後処理装置と、
前記封入封緘手段を備えた封入封緘装置と
前記検品手段を備えた封筒検品装置と、
が前記順で連結され、前記制御手段が前記画像形成装置に設けられていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
用紙に対して画像形成する画像形成手段と、
前記画像形成装置から搬入されてきた用紙あるいは複数の用紙からなる冊子に対して折り処理を施す折り手段と、
前記折り手段によって折り処理が施された用紙あるいは冊子を封筒に封入し、封緘する封入封緘手段と、
前記封入封緘手段によって封緘された封筒のフラップ部が正常に封緘されているか否かを検出する検品手段と、
を備え、
前記検品手段によって封筒のフラップ部が正常に封緘されていないと判断されたとき、封筒のサイズあるいは冊子を構成する用紙の枚数を変更することなく、2部目以降の用紙または冊子について前記折り手段によって用紙または冊子の折り目に対して増し折りさせ、
増し折りされた前記用紙または冊子を前記封入封緘装置によって封筒に封入し、封緘させること
を特徴とする封筒への封入封緘方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−236001(P2011−236001A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108341(P2010−108341)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】