説明

画像形成システム、画像形成装置、非正常事態通知方法、およびプログラム

【課題】効率的かつ適切に非正常事態を解決することが可能な画像形成システム、画像形成装置、非正常事態通知方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の画像形成システムは、画像の印刷を行う画像形成システムであって、前記画像形成システムは、非正常事態の発生を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された非正常事態と関連して発生する非正常事態の発生を予測する第1の予測手段と、前記第1の予測手段により予測された非正常事態を表示する第1の表示手段とを画像形成装置に実現して、より効率的かつ適切に非正常事態を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非正常事態を予測すると共に、使用者に対して通知する処理を行う画像形成システム、画像形成装置、非正常事態通知方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置で作成された画像や文書のデータを用紙に印刷する処理を行う画像形成装置は、機能性の向上が進んでおり、モノクロ印刷やカラー印刷の他、両面印刷の機能やサイズの変更など様々な印刷を行うことが可能となっている。また、画像形成装置では、用紙トレイ内の用紙切れとして挙げられる非正常事態が発生するとすぐに検出され、液晶パネルなどの表示部に通知されるようになっている。
【0003】
特許文献1に記載されているシステムでは、その1つの例として、使用されているプリンタでの用紙のプリント枚数、電源通電時間などを含むプリンタ情報が、遠隔地にネットワーク接続されたコンピュータに送信されている。このコンピュータは、送信されたプリンタ情報を受信して高度の処理により発生し得る非正常事態の予測を行い、その予測した内容を送信して送り返しマンマシンインタフェースに表示する処理を行う。
【0004】
また、特許文献2に記載されているシステムでは、プリンタ管理サーバが、プリンタの使用状況に関する情報を取得し、取得された使用状況と非正常事態との関係を解析し、その解析した関係からプリンタの非正常事態の発生時期などを予測している。そして、プリンタは、この予測した結果を、プリンタに通知してその予測結果をそのプリンタ自身の印刷機能を用いて印刷し、液晶パネルなどの表示手段を用いることなく非正常事態の発生時期や内容をプリンタユーザに確実に通知可能としている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−23408号公報
【特許文献2】特開2004−364261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の技術には、以下のような問題があった。特許文献1に記載されているシステムでは、1つの非正常事態が予測されるとマンマシンインタフェースに表示されるが、これに伴って副次的ないし並列的に発生し得る非正常事態については、予測がされないという問題があった。
【0007】
近年のプリンタを始めとする画像形成装置は、内部の構成がより複雑化、高度化してきており1つの非正常事態が発生すれば、これに伴って複数の非正常事態が更に発生することは、実際に起こっている例がある。このような場合に、副次的ないし並列的に発生し得る非正常事態について予測を行わなければ、ユーザは、実際にこれらの非正常事態を知ることができず迅速に対応することができなかった。
【0008】
また、特許文献1および2に記載されているいずれのシステムも、非正常事態を予測し、その予測結果の内容を通知する処理を行うまでとなっているため、実際に使用者がどのようにして非正常事態を解決すれば良いかわからなくなる場合があった。
【0009】
つまり、非正常事態を予測することと解決することとは、直接の関係が無く、非正常事態の内容によっては解決することが困難であり、予測結果の内容を通知するのみでは使用者がどのような行動をとるべきか判断できない場合があった。
【0010】
以上のように、従来の技術では、複数発生した非正常事態や内容の通知のみでは、効率的に解決することが困難であるという課題が残っていた。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、より効率的かつ適切に非正常事態を解決することが可能な画像形成システム、画像形成装置、非正常事態通知方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために請求項1に係る発明は、画像の印刷を行う画像形成システムにおいて、検知手段により非正常事態が検知されると、この検知された非正常事態と関連して、副次的ないし並列的に発生し得る別の非正常事態を同時に予測する。そして、例えば液晶パネルなどを用いた表示手段に、予測された非正常事態を、検知された非正常事態と共に表示する処理を行う。このため、複数発生した非正常事態に対しても、発生の事実を確認してより効率的かつ適切に対応し解決することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より効率的かつ適切に非正常事態を解決することが可能な画像形成システム、画像形成装置、非正常事態通知方法、およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による画像形成システム1が備えている複数の画像形成装置10、20、30・・・のうち、例えば画像形成装置10の一実施形態の概略構成図である。この図1は、画像形成装置10の一実施形態として、ファクシミリ機能や、スキャナ機能、印刷機能等を有する複合機の構成を示すブロック図である。
【0015】
画像形成装置10は、ADFを備えるスキャナ装置11およびパネルおよび入力キーなどの入力部12からデータまたは画像データを取得している。スキャナ装置11などが取得した画像データは、スキャナI/F101を介して画像処理部103へと送られている。また、画像形成装置10は、システムコントローラとして機能するCPU104を備えている。CPU104は、画像形成装置10の各アプリケーション処理部の実行を、メソッド呼出しなどを使用して管理している。
【0016】
また、画像形成装置10は、さらに画像などを処理したり、アプリケーション・ソフトウェアの実行空間を与えるためのRAM105と、処理を行うためのデータまたはプログラムなどを格納したROM106とを備えていて、RAM105、ROM106は、CPU104による画像処理装置の機能提供を可能としている。
【0017】
さらに、画像形成装置10は、印刷実行中や電源起動後の待機中に生じたエラーや不具合等として挙げられる非正常事態に対応する処理を行う非正常事態処理部107を備えている。この非正常事態処理部107については、図2を用いて後述する。
【0018】
画像形成装置10が使用するCPUとしては、より具体的には、例えば、PENTIUM(登録商標)〜PENTIUM(登録商標)IV、PENTIUM(登録商標)互換CPU、POWER PC(登録商標)、MIPSなどを挙げることができる。
【0019】
また、使用するオペレーティングシステム(OS)としては、MacOS(商標)、Windows(登録商標)、Windows(登録商標)200X Server、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)またはそれ以外の適切なOSを挙げることができる。さらに、画像形成装置10は、上述したOS上で動作する、C、C++、Visual C++、VisualBasic、Java(登録商標)などのオブジェクト指向のプログラミング言語により記述されたアプリケーション、プログラムを格納し、実行する。
【0020】
画像処理部103は、イメージスキャナにより取得された画像データに対してフィルタリング処理、文字画像抽出処理、網点画像抽出処理などを実行し、その結果生成される各種の属性値に基づき画像処理を行い、プリント指令をエンジンコントローラ109へと送出する。エンジンコントローラ109は、画像形成装置10の仕様に応じて、直接またはUSB(Universal Serial BUS)またはIEEE1284などのバスを介して、給紙用のトレイ(トレイP、Q、R、S)、感光体ドラム、現像装置、定着装置などを含むプリンタに対して作像を行わせている。また、画像形成装置10は、ファクシミリコントローラ108またはネットワークインタフェースカード(NIC)110、ATA、シリアルATA、ATAPI、ATA−4などの規格を有する記憶装置インタフェース111などのインタフェースを備えている。
【0021】
ファクシミリコントローラ108は、取得した画像データをG3、G4などのファクシミリフォーマットへと変換させ、モデムなどのファクシミリ送受信装置112またはDSU/TA13を介してT.4、T.6、T.90などの通信プロトコルの下で、公衆電話網またはISDNなどを経由してアナログまたはディジタル回線を介してファクシミリ通信を行っている。
【0022】
また、NIC110は、100BASE−TXなどのイーサネット(登録商標)ケーブルを介してローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはインターネットなどのネットワーク15へと接続されていて、ユーザに対して画像形成装置10をリモートプリンタとして機能させ、またSMTP、POPなどのプロトコルの下で電子メールなどのサービスを提供させている。なお、電子メールなどのサービスは、NIC110を経由せず、モデムなどを介してPPP(Point-to-Point Protocol)のもと、ダイアルアップ接続で都度接続先を指定して送受信することもできる。また、本発明の画像形成装置10は、インターネットなどのネットワーク15に接続された、ディレクトリサーバまたはファイルサーバなどの情報処理装置16に接続されていて、種々のトランザクションを可能としている。なお、このネットワーク15上には、画像形成装置10と同様に印刷機能を有する他の画像形成装置20、30、・・・が接続されており、後述するように、使用者の使用状況などの様々な情報が送受信可能である。
【0023】
また、記憶装置インタフェース111は、ハードディスクドライブ、SDカード、メモリ・スティックなどの外部記憶装置を接続し、ADFにより取得されたオリジナルの画像データ、アドレス帳データなどを外部記憶装置に格納させている。この他、画像形成装置10は、SCSIなどの適切なインタフェースを使用し、USB、PCIなどのバスを介してフレキシブルディスク、CD−ROM、DVD、MOなどの外部記憶装置17(この記憶装置17が記憶手段に相当する。)と接続されていてもよい。
【0024】
図2は、画像形成装置10内に設けられた非正常事態処理部107の構成を示す説明図である。非正常事態処理部107には、上述のNIC110を介して画像データなどの各種の情報を送受信するネットワーク接続部120と、実際に発生した非正常事態と関連して発生する非正常事態の発生を予測する非正常事態予測部121(この非正常事態予測部121が第1および第2の予測手段に相当する。)が含まれている。
【0025】
非正常事態予測部121は、印刷実行中や電源起動後の待機中に生じたエラーや不具合等として挙げられる非正常事態の発生を、後述するように、非正常事態検知部124a、124b、124cのいずれかが検知するとこれに応じて、この非正常事態と関連して発生する後の非正常事態の発生を発生以前に予測するための処理を行う。
【0026】
ここで、図4は、記憶装置17に記憶されているテーブル400のデータ構成を示す説明図である。このテーブル400には、予め各種の非正常事態の名称、内容と、これらの非正常事態と関連して副次的に、または並列的に発生し得る非正常事態の名称、内容とが関連付けられて記憶されている。例えば図4に示すように、テーブル400には、1つの非正常事態Aと、この非正常事態Aと関連して発生し得る非正常事態B、C、Dの名称、内容とが関連付けられて記憶されている。この他、例えば、用紙切れの場合には、トレイAに用紙を補給、また、ジャムの場合には、ジャム箇所の表示および復旧方法などを挙げることができる。
【0027】
これらの非正常事態B、C、Dとしては、例えば非正常事態Aが発生した装置内の箇所に対して周辺や隣接しており、印刷実行中に同時または連動して動作する箇所や構成部分などで発生し得る非正常事態が挙げられる。また、非正常事態B、C、Dとして、例えば異なる色のトナーや異なるトレイなどを始めとして、非正常事態Aと関連がある内容の非正常事態であっても良い。
【0028】
非正常事態予測部121は、非正常事態検知部124a、124b、124cのいずれかが非正常事態の発生を検知すると、記憶装置インタフェース111を介して記憶装置17に記憶されたテーブル400をルックアップ(参照)する。そして、この検知した非正常事態に関連付けられた非正常事態の名称、内容および解決方法などを検索し、この検索した名称、内容および解決方法などのデータを読み出す処理を行う。
【0029】
また、非正常事態予測部121は、検知された非正常事態と関連して発生する後の非正常事態の予測処理と同時に、ネットワーク15上に接続された他の画像形成装置20、30、・・・で発生し得る非正常事態を発生以前に予測するための処理を行う。
【0030】
図5は、記憶装置17に記憶されているテーブル500のデータ構成を示す説明図である。このテーブル500には、予め各種の使用状況の内容と、これらの使用状況で発生し得る非正常事態の名称、内容および解決方法とが関連付けられて記憶されている。例えば図5に示すように、テーブル500には、1つの使用状況Xと、この使用状況Xと関連して発生し得る非正常事態Y、Zの名称、内容および解決方法とが関連付けられて記憶されている。
【0031】
これらの非正常事態Y、Zとしては、例えば使用状況Xに含まれている印刷量や、印刷実行の継続時間、電源通電時間、使用状態などを始めとして、使用状況Xに含まれている内容や情報に対して、印刷実行中にこれらの内容や情報を原因として発生し得る非正常事態が挙げられる。また、非正常事態B、C、Dとして、例えば同じトナーやトレイなどを始めとして、非正常事態Aと同じ内容の非正常事態であっても良い。
【0032】
非正常事態予測部121は、非正常事態検知部124a、124b、124cのいずれかが非正常事態の発生を検知すると、NIC110およびネットワーク15を介して隣接する他の画像形成装置20、30、・・・から使用状況に関する情報を取得する処理を行う。そして、記憶装置インタフェース111を介して記憶装置17に記憶されたテーブル500をルックアップ(参照)する。この取得した使用状況に関連付けられた非正常事態の名称、内容および解決方法などを検索し、この検索した名称、内容および解決方法などのデータを読み出す処理を行う。
【0033】
更に、非正常事態処理部107には、非正常事態予測部121により予測された非正常事態に関する情報を画面表示するための表示制御を行う画面表示制御部122と、液晶パネルなどにより実現される画面表示部123(これらの画面表示制御部122、画面表示部123が第1および第2の記憶手段に相当する。)と、非正常事態の発生を検知する非正常事態検知部124a、124b、124c・・・(これらの非正常事態検知部124a、124b、124c・・・が検知手段に相当する。)とを備えている。
【0034】
図3は、画面表示部123の画面上に検知、予測された非正常事態を表示した様子を示す説明図である。画面表示制御部122は、上述の予測処理によって得られた非正常事態の名称、内容および解決方法などのデータを非正常事態予測部121から受け取る。そして、画面表示部123の画面上に、図3に示すように、予測された非正常事態の各データを、検知された非正常事態と同時に表示するための表示制御処理を行う。画面表示部123は、画面表示制御部122での表示制御処理を受けて画面表示を行う。
【0035】
また、画面表示制御部122は、他の画像形成装置の予測処理によって得られた非正常事態の名称、内容および解決方法などのデータを非正常事態予測部121から受け取る。そして、画面表示部123の画面上に、他の画像形成装置で予測された非正常事態の各データを、検知された非正常事態と同時に表示するための表示制御処理を行う。画面表示部123は、画面表示制御部122での表示制御処理を受けて画面表示を行う。
【0036】
非正常事態検知部124a、124b、124c・・・は、画像形成装置10内のスキャナ装置11や画像処理部103、ファクシミリコントローラ108、エンジンコントローラ109、プリンタ14など、印刷機能を始めとする各種機能の構成部分に取り付けられており、トナー切れ、用紙切れ、紙詰まり(ジャム)などの非正常事態の発生を検知する機能を有している。
【0037】
続いて、本実施の形態における画像形成システム1が備えている例えば画像形成装置10の非正常事態発生時での動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、画像形成装置10は、非正常事態検知部124a、124b、124c・・・のいずれかによって、例えば1つの非正常事態Aの発生が検知されると、ステップS601で、非正常事態予測部121によりこの非正常事態Aに関連して発生する別の非正常事態B、C、Dを予測するための処理を行う。画像形成装置10は、テーブル400をルックアップして、非正常事態Aと関連付けられた非正常事態B、C、Dを検索し読み出す処理を行う。
【0039】
そして、画像形成装置10は、検知された非正常事態Aと、ステップS601において予測された非正常事態B、C、Dとを画面表示制御部122により、画面表示部123に同時に表示させる処理を行う。
【0040】
このとき、画像形成装置10は、画面表示制御部122により、非正常事態A、B、C、Dの名称および内容と、使用者が解決するための具体的な手順や操作、作業などを示した解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる処理を行う。
【0041】
画像形成装置10が、非正常事態A、B、C、Dの名称および内容と解決方法とを画面表示部123に表示させると、ステップS602で操作者は、画面表示部123に表示された解決方法に従って、非正常事態Aを解決するための手順を行う。
【0042】
次に、ステップS603〜S605で操作者は、同様に画面表示部123に表示された解決方法に従って、非正常事態B、C、Dを解決するための手順を続けて行う。
【0043】
続いて、本実施の形態における画像形成装置10での用紙切れの非正常事態発生時での動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0044】
画像形成装置10は、例えば非正常事態検知部124aによって、非正常事態としてトレイPの用紙切れの発生が検知されると、非正常事態予測部121によりこの非正常事態に関連して発生する別の非正常事態を予測するための処理を行う。画像形成装置10は、テーブル400をルックアップして、トレイPの用紙切れの発生と関連付けられた、例えば他のトレイでの用紙切れの発生などが含まれた非正常事態を検索し読み出す処理を行う。
【0045】
画像形成装置10は、非正常事態予測部121により予測した結果、別の非正常事態として他のトレイでの用紙切れの発生の予測結果が得られると、ステップS701で、エンジンコントローラ109を制御してトレイQ、R、S内に収容されている用紙が、一定量以下であるか否かを判定する処理を行う。判定した結果、トレイQ、R、Sのいずれも一定量以下ではない場合には(No)、画像形成装置10は、トレイQ、R、Sの用紙補充は必要ないと判断し、ステップS703で、画面表示制御部122により、トレイPの用紙切れの発生と、その解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。そして、その解決方法として、使用者がトレイPに印刷用紙を補充するための具体的な手順を表示した画像などを表示する。
【0046】
一方、判定した結果、トレイQ、R、Sのいずれかが一定量以下となっている場合には(Yes)、画像形成装置10は、一定量以下となっているトレイの用紙補充が必要であると判断し、ステップS702で、画面表示制御部122により、トレイPと一定量以下となっているトレイの用紙切れの発生と、それらの解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。そして、その解決方法として、使用者がトレイPと一定量以下となっているトレイに印刷用紙を補充するための具体的な手順を表示した画像などを表示する。
【0047】
続いて、本実施の形態における画像形成装置10での印刷量が多い場合に発生し得る非正常事態を予測する動作について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
まず、画像データなどに基づいて印刷が実行されると、画像形成装置10は、ステップS801で、CPU104によって印刷実行中の印刷量が予め設定された一定の閾値を超えているか否かを判定する処理を行う。
【0049】
画像形成装置10は、CPU104により判定した結果、一定の閾値を超えていない場合には(No)、画像形成装置10は処理を終了する。
【0050】
一方、画像形成装置10は、CPU104により判定した結果、一定の閾値を超えている場合には(Yes)、ステップS802で、非正常事態予測部121により一定の閾値を超えている場合に関連して発生する別の予測するための処理を行う。画像形成装置10は、テーブル400をルックアップして、印刷量が一定の閾値を越えている場合と関連付けられた、例えばトナー切れや用紙切れなどの非正常事態を検索し読み出す処理を行う。
【0051】
そして、画像形成装置10は、非正常事態予測部121により予測した結果、別の非正常事態の発生の予測結果が得られると、画面表示制御部122により、予測した別の非正常事態の発生と、その解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。
【0052】
次に、本実施の形態における画像形成装置10での用紙切れの非正常事態発生時に他の画像形成装置での非正常事態を予測する動作について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0053】
画像形成装置10は、例えば非正常事態検知部124aによって、非正常事態としてトレイAの用紙切れの発生が検知されると、非正常事態予測部121により他の画像形成装置20で発生する非正常事態を予測するための処理を行う。画像形成装置10は、他の画像形成装置20から使用状況に関する情報を取得する処理を行う。テーブル500をルックアップして、この取得した使用状況と関連付けられた、例えばトナー切れや用紙切れなどが含まれた非正常事態を検索し読み出す処理を行う。
【0054】
画像形成装置10は、非正常事態予測部121により予測した結果、他の画像形成装置20で発生する非正常事態としてトレイでの用紙切れの発生の予測結果が得られると、ステップS901で、CPU104によりトレイ内に収容されている用紙残量の要求を、画像形成装置20に対して行う。
【0055】
そして、画像形成装置20でエンジンコントローラ109を制御してトレイ内に収容されている用紙残量が検出され、ネットワーク15、NIC110を介して送信されると、画像形成装置10は、CPU104によりこの用紙残量を受け取る。
【0056】
画像形成装置10は、ステップS902で、この用紙残量が一定量以下であるか否かを判定する処理を行う。判定した結果、トレイのいずれも一定量以下ではない場合には(No)、画像形成装置10は、ステップS904で、画像形成装置20のトレイの用紙補充は必要ないと判断し、画面表示制御部122により、トレイAの用紙切れの発生と、その解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。そして、その解決方法として、使用者がトレイAに印刷用紙を補充するための具体的な手順を表示した画像などを表示する。
【0057】
一方、判定した結果、画像形成装置20のトレイのいずれかが一定量以下となっている場合には(Yes)、画像形成装置10は、ステップS903で、画像形成装置20のトレイの用紙補充が必要であると判断し、画面表示制御部122により、トレイAと画像形成装置20のトレイの用紙切れの発生と、それらの解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。そして、その解決方法として、使用者がトレイAと画像形成装置20のトレイに印刷用紙を補充するための具体的な手順を表示した画像などを表示する。
【0058】
次に、本実施の形態における画像形成装置10での用紙切れの非正常事態発生時に他の画像形成装置での複数の非正常事態を予測する動作について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0059】
画像形成装置10は、例えば非正常事態検知部124aによって、非正常事態としてトレイAの用紙切れの発生が検知されると、非正常事態予測部121により他の画像形成装置20で発生する非正常事態を予測するための処理を行う。画像形成装置10は、他の画像形成装置20から使用状況に関する情報を取得する処理を行う。テーブル500をルックアップして、この取得した使用状況と関連付けられた、例えばトナー切れや用紙切れなどが含まれた非正常事態を検索し読み出す処理を行う。
【0060】
画像形成装置10は、非正常事態予測部121により予測した結果、他の画像形成装置20で発生する非正常事態としてトレイでの用紙切れの発生の予測結果が得られると、ステップS1001で、CPU104によりトレイ内に収容されている用紙残量の要求を、画像形成装置20に対して行う。
【0061】
そして、画像形成装置20でエンジンコントローラ109を制御してトレイ内に収容されている用紙残量が検出され、ネットワーク15、NIC110を介して送信されると、画像形成装置10は、CPU104によりこの用紙残量を受け取る。
【0062】
また、画像形成装置10は、ステップS1002で、CPU104により他の非正常事態の検知の要求を、画像形成装置20に対して行う。
【0063】
画像形成装置10は、ステップS1003で、画像形成装置20の用紙残量が一定量以下であるか否かを判定する処理を行う。判定した結果、トレイのいずれも一定量以下ではない場合には(No)、画像形成装置10は、ステップS1006で、画像形成装置20のトレイの用紙補充は必要ないと判断し、画面表示制御部122により、トレイAの用紙切れの発生と、その解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。そして、その解決方法として、使用者がトレイAに印刷用紙を補充するための具体的な手順を表示した画像などを表示する。
【0064】
一方、判定した結果、画像形成装置20のトレイのいずれかが一定量以下となっている場合には(Yes)、画像形成装置10は、ステップS1004で、画像形成装置20のトレイの用紙補充が必要であると判断し、画像形成装置20でさらに他の非正常事態が検知されたか否かを判定する処理を行う。
【0065】
ステップS1003での要求処理に応じて、画像形成装置20で非正常事態検知部124a、124b、124c・・・を制御して他の非正常事態が検知されない旨の情報が送信され、検知されていない場合には(No)、画像形成装置10は、ステップS1007で、画像形成装置20のトレイの用紙補充が必要であると判断し、画面表示制御部122により、トレイAと画像形成装置20のトレイの用紙切れの発生と、それらの解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。そして、その解決方法として、使用者がトレイAと画像形成装置20のトレイに印刷用紙を補充するための具体的な手順を表示した画像などを表示する。
【0066】
一方、ステップS1003での要求処理に応じて、画像形成装置20で非正常事態検知部124a、124b、124c・・・を制御して他の非正常事態が検知された旨の情報と、非正常事態の名称、内容および解決方法などのデータが送信され、検知された場合には(Yes)、画像形成装置10は、ステップS1005で、画面表示制御部122により、トレイAの用紙切れと画像形成装置20のトレイの用紙切れと他の非正常事態の発生と、それらの各解決方法を共に画面表示部123に同時に表示させる。そして、その解決方法として、使用者がトレイAと画像形成装置20のトレイに印刷用紙を補充するための具体的な手順や、他の非正常事態を解決するための手順、操作、作業を表示した画像などを表示する。
【0067】
以上のように、本実施の形態における画像形成システム1では、非正常事態検知部124a、124b、124c・・・のいずれかによって1つの非正常事態の発生が検知されると、これに関連して発生する別の非正常事態を予測し、予測された非正常事態の名称および内容と、解決方法を表示させる処理を行う。
【0068】
このため、1つの非正常事態が発生したときに、副次的または並列的に発生する非正常事態が発生以前の時点で予測、表示されるので、使用者は、併せて解決させておいてその発生を未然に防止でき、効率的に解決していくことができる。また、同時に解決方法を表示させるので、これに従ってより効率的かつ適切に非正常事態を解決することができる。
【0069】
また、画像形成システム1では、1つの画像形成装置で非正常事態の発生が検知されると、他の画像形成装置で予測、検知された非正常事態のデータも表示させるため、使用者は、他の画像形成装置での非正常事態も併せて解決させておいてその発生を未然に防止でき、より効率的かつ適切に非正常事態を解決することができる。
【0070】
上述のように説明してきた各処理は、画像形成装置10、20、30・・・の記憶装置17に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0071】
これまで本発明を図1〜図10に示した本実施の形態をもって説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施の形態、追加、変更、削除など、本発明の要旨を変更しない範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0072】
上述の実施形態では、検知された1つの非正常事態と、予測された非正常事態の名称および内容と、解決方法とを画面表示部123に表示させていたが、これに限られない。この画面表示部123に表示させた情報をネットワーク15を介して外部に接続された端末などの装置に送信しても良い。例えば、情報処理装置16を始めとする印刷を実行するための印刷データを送信してきた外部の情報処理装置に送信し、ディスプレイに表示させても良い。
【0073】
また、上述の実施形態では、この画面表示部123に表示させた情報を印刷するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施の形態における画像形成システムが備えている画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における画像形成装置の非正常事態処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態における画像形成装置の画面表示部の様子を示す説明図である。
【図4】本実施の形態における画像形成装置の非正常事態の予測に用いるテーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図5】本実施の形態における画像形成装置の他の画像形成装置での非正常事態の予測に用いるテーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図6】本実施の形態における画像形成装置の非正常事態を予測する動作を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態における画像形成装置の用紙切れに関連した非正常事態を予測する動作を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態における画像形成装置の印刷量が多くなった場合の非正常事態を予測する動作を示すフローチャートである。
【図9】本実施の形態における画像形成装置の他の画像形成装置での非正常事態を予測する動作を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態における画像形成装置の他の画像形成装置での非正常事態を予測する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1…画像形成システム、10…画像形成装置、11…スキャナ装置、14…プリンタ、15…ネットワーク、17…記憶装置、107…非正常事態処理部、120…ネットワーク接続部、121…非正常事態予測部、122…画面表示制御部、123…画面表示部、124a、124b、124c…非正常事態検知部、400、500…テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の印刷を行う画像形成システムであって、前記画像形成システムは、
非正常事態の発生を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された非正常事態と関連して発生する非正常事態の発生を予測する第1の予測手段と、
前記第1の予測手段により予測された非正常事態を表示する第1の表示手段と
を備える、画像形成システム。
【請求項2】
前記第1の表示手段は、前記第1の予測手段により予測された非正常事態を、前記検知手段により検知された非正常事態と同時に表示する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
ネットワーク上に接続された他の画像形成装置に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報から、前記他の画像形成装置で発生する非正常事態の発生を予測する第2の予測手段と、
前記第2の予測手段により予測された非正常事態を表示する第2の表示手段と
を備える、請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1および第2の予測手段は、前記検知手段により検知された非正常事態と、他の画像形成装置に関する情報とに含まれる使用状況を用いて、発生以前に非正常事態の発生を予測する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
非正常事態の解決方法に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された、前記第1および第2の予測手段により予測された非正常事態の解決方法に関する情報を読み出す読出手段とを備え、
前記第1および第2の表示手段は、前記読出手段により読み出された解決方法に関する情報を非正常事態と共に表示する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
画像の印刷を行う画像形成装置であって、前記画像形成装置は、
非正常事態の発生を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された非正常事態と関連して発生する非正常事態の発生を予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された非正常事態を表示する表示手段と
を備える、画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置が実行する非正常事態通知方法であって、前記非正常事態通知方法は、前記画像形成装置が、
非正常事態の発生を検知するステップと、
前記検知された非正常事態と関連して発生する非正常事態の発生を、予測するため、非正常事態の名称、内容と、これらの非正常事態と関連して副次的に、または並列的に発生し得る非正常事態の名称、内容とを関連付けて記憶したテーブルをルックアップするステップと、
前記予測された非正常事態を画面表示するための処理を行うステップと
を備える、非正常事態通知方法。
【請求項8】
画像形成装置が画像の印刷を行うための装置実行可能なプログラムであって、前記プログラムは、画像形成装置を、
非正常事態の発生を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された非正常事態と関連して発生する非正常事態の発生を非正常事態の名称、内容と、これらの非正常事態と関連して副次的に、または並列的に発生し得る非正常事態の名称、内容とを関連付けて記憶したテーブルをルックアップして予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された非正常事態を表示する表示手段と
して機能させる、装置実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−28258(P2010−28258A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184488(P2008−184488)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】