説明

画像形成システム

【課題】記憶装置に記憶された画像データーを容易に取り扱うようにすることができる画像形成システムを提供する。
【解決手段】第1の画像形成装置20の制御部250は、取得した画像データーをHDDシステム26に記憶させる。制御部250は、所定の画像形成条件が成立したときにHDDシステム26に記憶された画像データーを読み出す。制御部250は、HDDシステム26から読み出した画像データーのうちの表面ページの画像データーに基づいてプリント部23にて用紙に画像を形成させる。第2の画像形成装置の制御部450は、第1の画像形成装置20から送信された画像データーのうちの裏面ページの画像データーに基づいてプリント部43にて用紙に画像を形成させるとともに、第1の画像形成装置20から送信された画像データーを第3のHDD46に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に画像を形成するプリンターや複写機等の画像形成装置を直列に複数台配置し、各画像形成装置にて片面ずつ用紙に画像を形成して両面印刷を実現することにより、生産性を向上させるようにした画像形成システムが知られている。
【0003】
このような画像形成システムは、例えば、図8に示すような構成とするものがある。
すなわち、従来の画像形成システム1000は、図8に示すように、第1の画像形成装置1020と第2の画像形成装置1040とを備えている。そして、第1の画像形成装置1020は、画像読取部1021によって読み取られた原稿に基づくコピージョブデーターが生成されたり、外部装置からプリントジョブデーターが受信されると、これらに含まれる画像データーについて圧縮処理を行い、圧縮された画像データーをDRAM制御IC1255により一旦画像メモリー1256に格納する(1)。
【0004】
そして、第1の画像形成装置1020は、画像メモリー1256に格納された画像データーのうち、用紙の第1の面(例えば、表面)に印刷するための画像データーを、第1のHDD(Hard Disk Drive)1026に記憶する(2)(3)。また、第1の画像形成装置1020は、用紙の第2の面(例えば、裏面)に印刷するための画像データーを、RAM1252に一旦格納した後、所定のタイミングで通信部1027を介して第2の画像形成装置1040に送信する。
【0005】
第2の画像形成装置1040は、通信部1047を介して受信した第1の画像形成装置1020からの画像データーを、一旦RAM1452に格納した後(4)、第2のHDD1046に記憶する(5)。
【0006】
このようにして、第1の画像形成装置1020及び第2の画像形成装置1040において、各画像データーがHDDにそれぞれ記憶され、印刷準備が完了すると、第1の画像形成装置1020及び第2の画像形成装置1040のそれぞれにおいて、印刷処理を開始する。第1の画像形成装置1020では、第1のHDD1026から画像データーが読み出され(6)、データーの伸長が行われた後、伸長された画像データーはDRAM制御IC1255によって一旦画像メモリー1256に格納される(7)。そして、伸長された画像データーが所定のタイミングでプリント部1023に出力されることにより(8)、用紙の第1の面に画像が形成される。
【0007】
一方、第2の画像形成装置1040では、第2のHDD1046から画像データーが読みだされ(9)、データーの伸長が行われた後、伸長された画像データーはDRAM制御IC1455によって一旦画像メモリー1456に格納される(10)。そして、伸長された画像データーが所定のタイミングでプリント部1043に出力されることにより(11)、用紙の第2の面に画像が形成される。
【0008】
このような画像形成システムでは、各画像形成装置において、HDD等の記憶装置に記憶された画像データーを保持しておくことにより、再度の印刷や、画像データーの後の検証等が可能となっている。
【0009】
そして、HDD等の記憶装置は、故障等によりデーターの破損の可能性があることから、これに備えて、他の記憶装置に対してデーターのバックアップを行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−157629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、近年では、記憶装置へのアクセス速度、通信ケーブル及びメモリーバスの高速化が進んでおり、これによって画像形成システムにおける印刷速度の向上が図られ、生産性が高まってきている。
【0012】
従来の画像形成システムでは、例えば、第1の画像形成装置から第2の画像形成装置へ画像データーを転送し、第2の画像形成装置において印刷可能となるまでの処理速度が、第2の画像形成装置における印刷処理の処理速度に追いつかない場合があるため、一旦画像データーをHDD等の記憶装置に保持した上で印刷処理を開始する必要があったが、上述のように、データー通信が高速化された場合には、第1の画像形成装置から第2の画像形成装置へ画像データーを転送し、第2の画像形成装置において印刷可能となるまでの処理速度が、第2の画像形成装置における印刷処理の処理速度に追いつくことが可能となる。その結果、例えば、出力するページ毎に、第1の画像形成装置から第2の画像形成装置に画像データーを送信して印刷を行う等、リアルタイムにデーター転送を行わせることが可能となり、生産性の向上を図ることができる。
【0013】
しかしながら、従来の画像形成システムでは、第2の画像形成装置にて印刷する画像の画像データーのみを第1の画像形成装置から第2の画像形成装置に転送していたため、画像データーをバックアップするためには、上記特許文献1のような態様で、バックアップ用の画像データーを装置毎に分けて記憶する必要があった。そのため、例えば、ジョブ単位でデーターを取り出して画像データーのバックアップの状態を検証するような場合には、各記憶装置から対応する画像データーをそれぞれ読み出した上で、これらを対応付けるなどの処理が必要であり、大変煩雑となってしまう。
【0014】
本発明の課題は、記憶装置に記憶された画像データーを容易に取り扱うようにすることができる画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数の画像形成装置を直列に配置し、画像データーを取得し、該取得した画像データーに基づいて前記複数の画像形成装置にて一の用紙に対してそれぞれ画像の形成を行う画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置は、第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを含んでデーターの送受信が可能に相互に接続され、
前記第1の画像形成装置は、第1の記憶装置と、用紙に画像を形成する第1の画像形成部と、前記取得した画像データーを前記第1の記憶装置に記憶させ、所定の画像形成条件が成立したときに前記第1の記憶装置に記憶された画像データーを読み出し、前記第1の記憶装置から読み出した画像データーを前記第2の画像形成装置に送信するとともに、前記第1の記憶装置から読み出した画像データーのうちの第1の画像データーに基づいて前記第1の画像形成部にて用紙に画像を形成させる第1の制御部と、を有し、
前記第2の画像形成装置は、第2の記憶装置と、用紙に画像を形成する第2の画像形成部と、前記第1の画像形成装置から送信された画像データーのうちの前記第1の画像データーとは異なる第2の画像データーに基づいて前記第2の画像形成部にて用紙に画像を形成させるとともに、前記第1の画像形成装置から送信された画像データーを前記第2の記憶装置に記憶させる第2の制御部と、を有する
ことを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の画像形成装置にて画像データーを取得することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の記憶装置は、複数の記録媒体を含んで構成され、
前記第1の制御部は、前記取得した画像データーを、前記第1の記憶装置において構成された記録媒体の個数に対応してストライピングにより前記複数の記録媒体のそれぞれに記憶させることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の記憶装置は、アクセス速度を前記第2の記憶装置よりも大きくしたことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の記憶装置は、アクセス速度を前記第2の記憶装置の2倍以上としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、記憶装置に記憶された画像データーを容易に取り扱うようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成システムの概略構成図である。
【図2】第1の画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】第2の画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】ジョブデーター入力処理について説明するフローチャートである。
【図5】マスター側ジョブ実行処理について説明するフローチャートである。
【図6】サブ側ジョブ実行処理について説明するフローチャートである。
【図7】画像データーの転送ルートについて説明する図である。
【図8】従来の画像形成システムによる画像データーの転送ルートについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成システムについて、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
図1に、本実施の形態における画像形成システム1の概略構成図を示す。
図1に示すように、画像形成システム1は、用紙の搬送経路の上流側から、給紙装置10、第1の画像形成装置20、反転装置30、第2の画像形成装置40、後処理装置50等が直列的に連結された直列タンデム構成となっている。
【0024】
本実施の形態における画像形成システムでは、第1の画像形成装置20及び第2の画像形成装置40のそれぞれが用紙の片面に画像形成を行う。従って、用紙の両面に画像を形成する両面モードのジョブが実行される場合には、第1の画像形成装置20が稼動することによって用紙の一方の面(例えば、表面)に画像が形成され、第2の画像形成装置40が稼動することによって用紙の他方の面(例えば、裏面)に画像が形成される。なお、本実施の形態では、第1の画像形成装置20が用紙の表面に、第2の画像形成装置40が用紙の裏面にそれぞれ画像を形成するようにしたが、第1の画像形成装置20が用紙の裏面に、第2の画像形成装置40が用紙の表面にそれぞれ画像を形成するようにしてもよい。
【0025】
給紙装置10は、PFU(Paper Feeder Unit)と称されるものであり、複数の給紙トレイや、給紙ローラー、分離ローラー、給紙/分離ゴム、送り出しローラー等からなる給紙手段等を備える。各給紙トレイには、用紙の種類(紙種、坪量、用紙サイズ等)毎に予め識別された用紙が格納されており、用紙の最上部から一枚ずつ給紙手段により第1の画像形成装置20の用紙搬送部に搬送される。
【0026】
第1の画像形成装置20は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像を用紙に画像形成したり、外部装置等からPDL(Page Description Language)形式やTiff形式等のページ記述言語形式のプリントデーター及びプリント設定データーを受信し、受信したプリントデーター及びプリント設定データー等に基づいて画像を用紙上に形成したりする。第1の画像形成装置20は、画像読取部21、操作表示部22、プリント部23等を備えて構成される。
【0027】
画像読取部21は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部と読取部とを備え、操作表示部22により受け付けられた設定情報に基づいて複数の原稿の画像を読み取る。自動原稿送り部の原稿トレイに載置された原稿は、読取個所であるコンタクトガラスに搬送され、光学系により原稿の片面又は両面の画像が読み取られ、CCD(Charge Coupled Device)211により原稿の画像が読み取られる。ここで、画像とは、図形や写真等の画像データーに限らず、文字や記号等のテキストデーター等も含む意である。
【0028】
操作表示部22は、LCD(Liquid Crystal Display)221、LCD221を覆うように設けられたタッチパネル、各種スイッチやボタン、テンキー、操作キー群等から構成される。
【0029】
プリント部23は、電子写真方式の画像形成処理を行うものであり、給紙部231、用紙搬送部232、各色の画像形成部233、定着部234等のプリント出力に係る各部を備えて構成される。
なお、本実施の形態のプリント部23では、電子写真方式を適用した例を説明するが、これに限らず、インクジェット方式、熱昇華方式等、他のプリント方式を適用することとしてもよい。
【0030】
給紙部231は、複数の給紙トレイと給紙トレイ毎に設けられた給紙ローラー、分離ローラー、給紙/分離ゴム、送り出しローラー等からなる給紙手段を備える。各給紙トレイには、用紙の種類(紙種、坪量、用紙サイズ等)毎に予め識別された用紙が格納されており、用紙の最上部から一枚ずつ給紙手段により用紙搬送部に向けて搬送される。
【0031】
用紙搬送部232は、給紙装置10又は給紙部231から搬送された用紙を、複数の中間ローラー、レジストローラー等を経る画像形成部233への用紙搬送経路上に用紙を搬送し、画像形成部233の二次転写位置へと搬送する。
【0032】
また、用紙搬送部232は、反転搬送部232aを備える。反転搬送部232aは、定着部234から排出された用紙を、反転ローラー等によりスイッチバックして表裏反転させ反転装置に搬送する。
【0033】
画像形成部233は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写ローラー、クリーニング装置等を備え、印刷画像データーに基づき用紙上に画像が形成された出力物を生成する。第1の画像形成装置20がカラー画像を形成するものである場合には、画像形成部233が色毎に設けられる。
【0034】
イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部233yでは、帯電装置により帯電された感光体ドラムの表面に、露光装置からイエロー(Y)の印刷画像データーに応じた光が照射され静電潜像が書き込まれる。そして、静電潜像が書き込まれた感光体ドラムの表面に、帯電したイエロー(Y)のトナーが現像装置により付着されて静電潜像が現像される。現像装置により感光体ドラム上に付着したトナーは、感光体ドラムが一定速度で回転されることにより、一次転写ローラーが配置された一次転写位置で中間転写ベルト233aに転写される。中間転写ベルト233aにトナーが転写された後、クリーニング装置により、感光体ドラムの表面の残留電荷や残留トナー等が除去され、除去されたトナー等はトナー回収箱へ回収される。
【0035】
同様に、各色の画像形成部233m,233c,233kは、感光体ドラムの周囲に配置された帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写ローラー、クリーニング装置等を備え、マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像をそれぞれ形成する。
【0036】
中間転写ベルト233aに転写された各色のトナー像は、二次転写ローラーが配置された二次転写位置で用紙に一括転写される。
【0037】
定着部234は、定着ヒーター、定着ローラー、定着外部加熱部等から構成され、用紙に転写されたトナー像を熱定着する。
【0038】
定着部234により定着処理された用紙は、排紙ローラー等により反転装置30に搬送される、又は、用紙搬送部232の反転搬送部232aに搬送される。
【0039】
反転装置30は、排紙トレイT1、反転ローラー等を有するスタッカー31等を備えており、第1の画像形成装置20と第2の画像形成装置40との間に設置されている。
反転装置30は、第1の画像形成装置20からの指示に従って、第1の画像形成装置20により片面に画像形成された用紙を、第2の画像形成装置40へと搬送、又は、排紙トレイT1に排出する。第2の画像形成装置40へ搬送する用紙が表裏を反転させる必要がある場合には、スタッカー31が有する反転ローラー等により当該用紙をスイッチバックすることにより表裏反転し、第2の画像形成装置40へと搬送する。
【0040】
第2の画像形成装置40は、プリント部43等を備えて構成され、第1の画像形成装置20からの指示に従って、画像を用紙の片面上に画像形成する。
なお、第2の画像形成装置40が備えるプリント部43は、第1の画像形成装置20が備えるプリント部23と同様の構成であるため、説明は省略する。
【0041】
後処理装置50は、反転ユニット、ソートユニット、ステイプルユニット、パンチユニット、折ユニット等の各種後処理ユニットと、複数の排紙トレイT2〜T4等を備え、第1の画像形成装置20からの指示に従って、第2の画像形成装置40から搬送された用紙に対して各種後処理を施し、後処理が施された用紙を排紙トレイT2〜T4のいずれかに排出する。
【0042】
本実施の形態における画像形成システム1では、第1の画像形成装置20において片面モードのジョブが実行された場合には、排紙トレイT1に用紙が排出され、また、第2の画像形成装置40において片面モードのジョブが実行された場合には、排紙トレイT2に用紙が排出される。更に、両面モードのジョブが実行された場合には、排紙トレイT3に用紙が排出されるものとする。
【0043】
なお、これに限らず、第1の画像形成装置20において片面モードのジョブが実行された場合には、反転装置30のスタッカー31に用紙を一時的に格納し、当該スタッカー31を排紙トレイとして用いてもよい。また、第1の画像形成装置20の搬出口から反転装置30、第2の画像形成装置40、後処理装置50を通過する用紙搬送経路を設け、当該用紙搬送経路の出口に排紙トレイT4を設け、当該排紙トレイT4を第1の画像形成装置20において片面モードのジョブが実行された場合に用紙が排出される排紙トレイとして用いてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、画像読取部21、操作表示部22、コントローラー24を備えた第1の画像形成装置20を画像形成システム1の用紙搬送経路において第2の画像形成装置40よりも上流側に設けているが、これに限らず、第1の画像形成装置20と第2の画像形成装置40とが逆の位置関係となるように設けられていてもよい。
【0045】
図2に、本実施の形態における第1の画像形成装置20の機能的構成を示す。
図2に示すように、第1の画像形成装置20は、画像読取部21、操作表示部22、プリント部23、コントローラー24、画像制御基板25、HDDシステム26、通信部27等を備えて構成されている。第1の画像形成装置20は、コントローラー24のLANIF(Local Area Network InterFace)244を介してネットワーク3上の外部装置2と相互にデーターが送受信可能に接続されている。
【0046】
画像読取部21は、上述した自動原稿送り部及び読取部と、画像読取制御部210とを備える。画像読取制御部210は、制御部250からの指示に基づいて自動原稿送り部及び読取部等を制御して、複数の原稿の画像を読み取るスキャナー機能を実現させる。画像読取部21により読み取られたアナログ画像データーは、読取処理部253に出力され、読取処理部253においてA/D変換され各種画像処理が施される。
【0047】
操作表示部22は、上述したLCD221やタッチパネル等と、操作表示制御部220とを備える。操作表示制御部220は、制御部250から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や各種処理結果等をLCDに表示させる。また、操作表示制御部220は、各種スイッチやボタン、テンキー、操作キー群又はタッチパネル等から入力される操作信号を制御部250に出力する。
【0048】
第1の画像形成部としてのプリント部23は、上述した給紙部231、用紙搬送部232、各色の画像形成部233、定着部234等のプリント出力に係る各部と、プリント制御部230とを備える。プリント制御部230は、制御部250からの指示に従って各色の画像形成部233等のプリント部23の各部の動作を制御し、書込処理部258から入力された印刷画像データーに基づいて画像形成を行わせる。
【0049】
コントローラー24は、ネットワーク3に接続される外部装置2から画像形成システム1に入力されるデーターの管理及び制御を行うものであり、外部装置2からプリント対象のデーター(プリントデーター及びプリント設定データー)を受信し、当該プリントデーターを展開して生成した画像データーとプリント設定データーとを画像制御基板25に送信する。
コントローラー24は、コントローラー制御部241、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御IC242、画像メモリー243、LANIF244等から構成される。
【0050】
コントローラー制御部241は、コントローラー24各部の動作を統括的に制御し、LANIF244を介して外部装置2から入力されるプリントデーターを展開してビットマップ形式の画像データーの生成を行う。
【0051】
DRAM制御IC242は、LANIF244により受信されたプリントデーターのコントローラー制御部241への転送や、画像メモリー243に対する画像データー及びプリント設定データーの書き込み/読み出しを制御する。また、DRAM制御IC242は、画像制御基板25のDRAM制御IC255とPCI(Peripheral Components Interconnect)バスで接続されており、コントローラー制御部241からの指示に従って、プリント対象の画像データー及びプリント設定データーを画像メモリー243から読み出してDRAM制御IC255に出力する。
【0052】
画像メモリー243は、DRAM等の揮発性メモリーから構成され、画像データー及びプリント設定データーを一時的に記憶する。
【0053】
LANIF244は、NIC(Network Interface Card)やモデム等のLAN等のネットワーク3に接続するための通信インターフェイスであり、外部装置2からプリントデーターやプリント設定データーを受信する。受信されたプリントデーターやプリント設定データーは、DRAM制御IC242に出力される。
【0054】
画像制御基板25は、制御部250、不揮発メモリー251、RAM(Random Access Memory)252、読取処理部253、圧縮IC254、DRAM制御IC255、画像メモリー256、伸長IC257、書込処理部258等を備える。
【0055】
第1の制御部としての制御部250は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、不揮発メモリー251に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAM252に展開し、RAM252に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、第1の画像形成装置20の各部を集中制御し、また、画像形成システム全体を統括的に管理する。
【0056】
また、制御部250は、外部装置2からコントローラー24を介して入力された画像データー及びプリント設定データー、又は、画像読取部21から入力された画像データー及び操作表示部22により設定された設定情報、に基づいてジョブデーター及び圧縮画像データーを生成する。そして、制御部250は、生成したジョブデーター及び圧縮画像データーに基づいて、第2の画像形成装置40と協働してジョブを実行する。
【0057】
ジョブとは、画像形成に関する一連の動作であり、例えば、所定ページの原稿からなる複写物を作成する場合には、所定ページの原稿の画像形成に関する一連の動作が1ジョブである。このジョブの動作を実行するためのデーターがジョブデーターである。
【0058】
また、制御部250は、不揮発メモリー251からジョブ受付プログラムやマスター側ジョブ実行プログラムを読み出し、当該プログラム及び各種データーとの協働により、ジョブ受付処理やマスター側ジョブ実行処理を実行する。
【0059】
ジョブ受付処理では、ジョブデーター及び圧縮画像データーを生成してジョブの実行予約を受け付ける。
マスター側ジョブ実行処理では、ジョブ受付処理において受け付けられたジョブの実行が可能となると、当該ジョブを実行する。なお、受け付けられたジョブが実行可能か否かについては、第1,2画像形成装置それぞれの状態(アイドル状態か否か)と、受け付けたジョブに設定されている出力モード情報及び後処理有無情報に基づいて決定される当該ジョブの実行が可能な画像形成装置とを検出することにより判別される。ここで、出力モード情報とは、用紙の片面に画像を形成する片面モードか両面モードか等を示すものである。また、後処理有無情報とは、画像形成済みの用紙に対する後処理の設定があるか否かを示すものである。
ジョブ受付処理及びマスター側ジョブ実行処理の内容については後述する。
【0060】
不揮発メモリー251は、上述したシステムプログラムや各種アプリケーションプログラム及び各種データー等を記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部250は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。不揮発メモリー251には、例えば、上述したジョブ受付プログラムやマスター側ジョブ実行プログラム等が記憶されている。
【0061】
RAM252は、例えば、「DDR3 SDRAM(Double-Data-Rate3 Synchronous Dynamic Random Access Memory)」規格の半導体メモリーであり、高速のデーター転送が可能に構成されている。なお、RAM252に適用されるメモリーの規格は上述したものに限定されず、適切なデーター転送レートを有するものを適宜選択することができる。
RAM252は、制御部250により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係る各種データー等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
また、RAM252には、コントローラー24から入力された画像データー及びプリント設定データー、又は、画像読取部21から入力された画像データー及び当該画像データーが取得される際に操作表示部22により設定された設定情報、に基づいて制御部250により生成されたジョブデーターを一時的に保存する。また、RAM252は、HDDシステム26に記憶するデーターを一時的に保存する。また、RAM252は、通信部27を介して送受信されるデーターを一時的に保存する。
【0062】
読取処理部253は、画像読取部21から入力されるアナログ画像データーに、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング処理等の各種処理を施した後、デジタル画像データーを生成する。生成された画像データーは、圧縮IC254に出力される。
【0063】
圧縮IC254は、入力されたデジタル画像データーに圧縮処理を施してDRAM制御IC255に出力する。
【0064】
DRAM制御IC255は、制御部250からの指示に従って、圧縮IC254による画像データーの圧縮処理及び伸長IC257による圧縮画像データーの伸長処理を制御するとともに、画像メモリー256への画像データーの入出力制御を行う。
【0065】
例えば、DRAM制御IC255は、画像読取部21により読み取られた画像データーの保存指示が制御部250から入力されると、読取処理部253に入力された画像データーの圧縮処理を圧縮IC254により実行させて、圧縮画像データーを画像メモリー256の圧縮メモリー256aに記憶させる。また、DRAM制御IC255は、コントローラー24のDRAM制御IC242から画像データーが入力されると、当該画像データーの圧縮処理を圧縮IC254により実行させ、圧縮画像データーを画像メモリー256の圧縮メモリー256aに記憶させる。
【0066】
また、DRAM制御IC255は、制御部250によるHDDへの転送指示を入力すると、圧縮メモリー256aに記憶された圧縮画像データーを読み出し、RAM252に出力する。RAM252に保存された圧縮画像データーは、制御部250の指示により、HDDシステム26に転送される。
更に、DRAM制御IC255は、圧縮画像データーのプリント出力指示が制御部250から入力されると、RAM252から転送された圧縮画像データーを一旦圧縮メモリー256aに転送する。その後、DRAM制御IC255は、圧縮メモリー256aに記憶された圧縮画像データーを読み出し、伸長IC257により伸長処理を施してページメモリー256bに記憶させる。さらに、ページメモリー256bに記憶された画像データーのプリント出力指示が入力されると、ページメモリー256bから画像データーを読み出して書込処理部258に出力する。
【0067】
画像メモリー256は、DRAM(Dynamic RAM)から構成される圧縮メモリー256aとページメモリー256bとを備える。圧縮メモリー256aは、圧縮画像データーを記憶するためのメモリーであり、ページメモリー256bは、プリント出力用の画像データーを一時的に記憶するためのメモリーである。
【0068】
伸長IC257は、圧縮画像データーに伸長処理を施す。
【0069】
書込処理部258は、DRAM制御IC255から入力された画像データーに基づいて、画像形成のための印刷画像データーを生成し、プリント部23に出力する。
【0070】
第1の記憶装置としてのHDDシステム26は、第1のHDD26a及び第2のHDD26bを備え、それぞれ圧縮画像データーを記憶する。ここで、RAM252に保存されているジョブデーターをHDDシステム26に記憶させてもよい。HDDシステム26は、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)レベルがRAID0であって、ストライピングによるデーターの書き込み及び読み出しが可能に構成されている。ここで、ストライピングとは、記憶するデーターを複数に分散し、分散されたデーターを複数の記録媒体に対して同時に書き込み、及び、各記録媒体に書き込まれた分散データーを同時に読み出す技術であり、データーの書き込み及び読み出し速度の高速化が図れるものである。本実施の形態では、HDDシステム26をRAID0によって構成して、後述する第2の画像形成装置40の第3のHDD46よりもアクセス速度が2倍以上となるようにしている。なお、HDDシステム26を構成するHDDの個数は2個に限定されず3個以上であってもよい。また、複数のHDDによって構成せず、1台のHDDによってデーターの書き込み及び読み出しを行うように構成してもよい。また、HDDシステム26に対するアクセス速度は任意に設定することができるが、第3のHDD46よりも高速であることが好ましく、より好ましくは2倍以上である。また、HDDシステム26に適用される記録媒体は、HDDに限定されず、例えば、SSD(Solid State Drive)やその他の記録媒体を適用してもよい。また、CD−R(Compact Disk-Recordable)ドライブやDVD−R(Digital Versatile Disk-Recordable)ドライブ等の各種メディアに記録する記憶装置を適用してもよい。
【0071】
通信部27は、画像形成システム1を構成する各装置が接続されたネットワークに接続するための通信インターフェイスであり、各装置と各種データー送受信する。通信部27は、例えば、10Gbpsの伝送レートを有する「10G Ethernet(登録商標)」の通信規格を用いており、各装置との通信の高速化が図られている。なお、通信部27に適用される通信規格は上述したものに限定されず、適切なデーター転送レートを有するものを適宜選択することができる。
【0072】
本実施の形態では、上述のようにして、HDDシステム26、RAM252及び通信部27のデーター転送能力を高速化することにより、ジョブの実行に先だって、第2の画像形成装置40によって画像形成させる全てのページの画像データーを、予め第2の画像形成装置40に対して転送させることなく、後述するようにして、用紙への画像の形成を実施する毎に画像データーの第1の画像形成装置20から第2の画像形成装置40への転送を実現している。すなわち、画像形成システム1は、第1の画像形成装置20から第2の画像形成装置40へのリアルタイムによる画像データーの転送を可能に構成している。これにより、ジョブの実行時間の短縮化が図れ、生産性が向上するようになる。
【0073】
図3に、本実施の形態における第2の画像形成装置40の概略構成図を示す。
図3に示すように、第2の画像形成装置40は、プリント部43、画像制御基板45、第3のHDD46、通信部47等を備えて構成されている。
【0074】
第2の画像形成部としてのプリント部43は、第1の画像形成装置20のプリント部23と同様であるため、同一の部分は同一の符号を付し、説明は省略する。
【0075】
画像制御基板45は、制御部450、不揮発メモリー451、RAM452、DRAM制御IC455、画像メモリー456、伸長IC457、書込処理部458等を備える。
【0076】
第2の制御部としての制御部450は、CPU等から構成され、不揮発メモリー451に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAM452に展開し、RAM452に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、第2の画像形成装置40の各部を集中制御する。
また、制御部450は、第1の画像形成装置20から受信したジョブのジョブデーターと圧縮画像データーに基づいて、ジョブを実行する。
【0077】
また、制御部450は、不揮発メモリー451からサブ側ジョブ実行プログラムを読み出し、当該プログラム及び各種データーとの協働により、サブ側ジョブ実行処理を実行する。
【0078】
サブ側ジョブ実行処理では、第1の画像形成装置20からのジョブの実行指示に応じてジョブを実行する。サブ側ジョブ実行処理の内容については後述する。
【0079】
不揮発メモリー451は、上述したシステムプログラムや各種アプリケーションプログラム及び各種データー等を記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部450は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。不揮発メモリー451には、例えば、サブ側ジョブ実行プログラム等が記憶されている。
【0080】
RAM452は、例えば、「DDR3 SDRAM」規格の半導体メモリーであり、高速のデーター転送が可能に構成されている。なお、RAM452に適用されるメモリーの規格は上述したものに限定されず、適切なデーター転送レートを有するものを適宜選択することができる。
また、RAM452は、制御部450により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係る各種データー等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
また、RAM452は、通信部47を介して第1の画像形成装置20から入力されたジョブデーター及び圧縮画像データーを一時的に記憶する。
【0081】
DRAM制御IC455は、制御部450からの指示に従って、伸長IC457による圧縮画像データーの伸長処理を制御するとともに、画像メモリー456への画像データーの入出力制御を行う。
【0082】
例えば、DRAM制御IC455は、RAM452から圧縮画像データーが転送されると、当該圧縮画像データーを一旦画像メモリー456の圧縮メモリー456aに転送する。その後、DRAM制御IC455は、圧縮メモリー456aに記憶された圧縮画像データーを読み出し、伸長IC457により伸長処理を施してページメモリー456bに記憶させる。さらに、ページメモリー456bに記憶された画像データーのプリント出力指示が入力されると、ページメモリー456bから画像データーを読み出して書込処理部458に出力する。
【0083】
画像メモリー456は、DRAMから構成される圧縮メモリー456aとページメモリー456bとを備える。圧縮メモリー456aは、圧縮画像データーを記憶するためのメモリーであり、ページメモリー456bは、プリント出力用の画像データーを一時的に記憶するためのメモリーである。
【0084】
伸長IC457は、圧縮画像データーに伸長処理を施す。
【0085】
書込処理部458は、DRAM制御IC455から入力された画像データーに基づいて、画像形成のための印刷画像データーを生成し、プリント部43に出力する。
【0086】
第2の記憶装置としての第3のHDD46は、ジョブデーター及び圧縮画像データーを記憶する。このジョブデーター及び圧縮画像データーは、バックアップデーターとして第3のHDD46に記憶され、通常の動作において、第3のHDD46に対する書込みのみ行われ、読み出しは行われない。なお、第3のHDD46に代えて、例えば、SSDやその他の記録媒体を適用してもよい。また、CD−RドライブやDVD−Rドライブ等の各種メディアに記録する記憶装置を適用してもよい。また、複数の記録媒体によって記憶システムを構成し、ストライピングの方式により記憶を行うようにしてもよい。これによれば、バックアップを行うための記憶装置の故障リスクは高まるが、バックアップ速度を高速化することができる。一方で、記録媒体が少ないほど、コストの削減を図ることができる。
【0087】
通信部47は、画像形成システム1を構成する各装置が接続されたネットワークに接続するための通信インターフェイスであり、各装置と各種データー送受信する。
【0088】
次に、以上のように構成された第1の画像形成装置20において実行されるジョブ受付処理について、図4を参照しながら説明する。このジョブ受付処理は、制御部250によって、外部装置2からの画像データー及びプリント設定データー(プリントジョブデーター)の入力や、画像読取部21からの画像データー及び操作表示部22により設定された設定情報(コピージョブデーター)の入力があったときに実行される処理である。
【0089】
先ず、制御部250は、入力したプリントジョブデーター及びコピージョブデーターに基づいて上述したようにしてジョブデーターを生成し、生成したジョブデーターをRAM252に保存する(ステップS101)。
【0090】
制御部250は、プリントジョブデーター及びコピージョブデーターに含まれる画像データーを上述したようにして圧縮し(ステップS102)、圧縮した画像データーを画像メモリー256の圧縮メモリー256aに保存する(ステップS103)。
【0091】
制御部250は、圧縮した画像データーを圧縮メモリー256aから読み出してRAM252に転送する(ステップS104)。
【0092】
制御部250は、RAM252に転送された圧縮画像データーを、所定のタイミングでHDDシステム26に転送する(ステップS105)。HDD26への圧縮画像データーの書き込みは、上述したストライピングにより実施される。
【0093】
制御部250は、今回受け付けたジョブの全てのページについての画像データーについての圧縮及びHDDシステム26への転送が行われたか否かを判定する(ステップS106)。
【0094】
制御部250は、今回受け付けたジョブの全てのページについての画像データーについての圧縮及びHDDシステム26への転送が行われたと判定しないときは(ステップS106:N)、ステップS102の処理を実行して、次のページの画像データーについての圧縮及びHDDシステム26への転送を行う。一方、制御部250は、今回受け付けたジョブの全てのページについての画像データーについての圧縮及びHDDシステム26への転送が行われたと判定したときは(ステップS106:Y)、この処理を終了する。
【0095】
次に、第1の画像形成装置20において実行されるマスター側ジョブ実行処理について、図5を参照しながら説明する。このマスター側ジョブ実行処理は、上述したように、ジョブ受付処理において受け付けられたジョブの実行が可能となると実行される処理である。
【0096】
先ず、制御部250は、RAM252から実行するジョブのジョブデーターを読み出し(ステップS201)、通信部27を介して第2の画像形成装置40(サブ機)に読み出したジョブデーターを転送する(ステップS202)。
【0097】
その後、制御部250は、画像形成するページの圧縮画像データーを順次読み出してRAM252に転送する(ステップS203)。
【0098】
制御部250は、RAM252に転送された圧縮画像データーを、所定のタイミングで第2の画像形成装置40に転送する(ステップS204)。ここで、第2の画像形成装置40に転送される圧縮画像データーは、第2の画像形成装置40にて画像形成されるページのデーターはもちろん、第1の画像形成装置20にて画像形成されるページのデーターも含まれる。
【0099】
制御部250は、RAM252に転送された圧縮画像データーのうち、第1の画像形成装置20にて画像形成される表面ページの画像データーを画像メモリー256の圧縮メモリー256aに転送する(ステップS205)。制御部250は、DRAM制御IC255を制御し、上述したようにして、表面ページの圧縮画像データーを伸長し、ページメモリー256bに記憶する(ステップS206)。制御部250は、表面ページの画像形成のタイミングで、ページメモリー256bに記憶された伸長後の画像データーをプリント部23に出力する(ステップS207)。
【0100】
制御部250は、当該実行するジョブにおける全ページについての画像形成が完了したか否かを判定する(ステップS208)。制御部250は、全ページについての画像形成が完了したと判定したときは(ステップS208:Y)、この処理を終了する。一方、制御部250は、全ページについての画像形成が完了したと判定しないときは(ステップS208:N)、ステップS203の処理を実行し、次に画像形成するページのRAM252への転送を行う。
【0101】
本実施の形態では、以上のようにして構成されているので、用紙への画像の形成を実施する毎に画像データーを読み出して、第2の画像形成装置40に画像データーの転送を行うので、リアルタイムによる画像データーの転送が可能となっている。
【0102】
次に、第2の画像形成装置40において実行されるサブ側ジョブ実行処理について、図6を参照しながら説明する。このサブ側ジョブ実行処理は、上述したように、第1の画像形成装置20からのジョブの実行指示に応じて実行される処理である。すなわち、サブ側ジョブ実行処理は、第1の画像形成装置20からジョブデーターが転送されることにより実行される。
【0103】
先ず、制御部450は、通信部47を介して、第1の画像形成装置20よりジョブデーターを受信すると、上述したようにして、当該受信したジョブデーターをRAM452に保存する(ステップS301)。制御部450は、RAM452に保存されたジョブデーターをバックアップするために、第3のHDD46に転送する(ステップS302)。第3のHDD46は、転送されたジョブデーターをバックアップ保存する。
【0104】
制御部450は、第3のHDD46へのジョブデーターの転送と並行して、以下の処理を続けて実行する。
【0105】
制御部450は、第1の画像形成装置20から転送された圧縮画像データーをRAM452に保存する(ステップS303)。制御部450は、RAM452に保存された圧縮画像データーをバックアップするために、第3のHDD46に転送する(ステップS304)。第3のHDD46は、転送された第1の画像形成装置20からの圧縮画像データーをバックアップ保存する。
【0106】
制御部450は、上述した圧縮画像データーのバックアップ処理に並行して、RAM452に保存された第1の画像形成装置20からの圧縮画像データーのうち、第2の画像形成装置40にて画像形成される裏面ページの画像データーを画像メモリー456の圧縮メモリー456aに転送する(ステップS305)。制御部450は、DRAM制御IC455を制御し、上述したようにして、裏面ページの圧縮画像データーを伸長し、ページメモリー456bに記憶する(ステップS306)。制御部450は、裏面ページの画像形成のタイミングで、ページメモリー456bに記憶された伸長後の画像データーをプリント部43に出力する(ステップS307)。
【0107】
制御部450は、当該実行するジョブにおける全ページについての画像形成が完了したか否かを判定する(ステップS308)。制御部450は、全ページについての画像形成が完了したと判定したときは(ステップS308:Y)、この処理を終了する。一方、制御部450は、全ページについての画像形成が完了したと判定しないときは(ステップS308:N)、第1の画像形成装置20からの圧縮画像データーの転送を待機した後(ステップS309)、ステップS303の処理を実行し、次に第1の画像形成装置20から転送される圧縮画像データーのRAM452への保存する画像形成するページのRAM252への転送を行う。
【0108】
以上のように構成された画像形成システム1によれば、入力されたプリントジョブデーターやコピージョブデーターに含まれる画像データーは以下のようにして処理されて、これに基づいて用紙に画像が形成される。
すなわち、図7に示すように、例えば、(1)画像読取部21によって生成された画像データーは、DRAM制御IC255に入力されて圧縮処理がなされ、画像メモリー256に保存される。(2)画像メモリー256に保存された圧縮画像データーは、所定のタイミングでDRAM制御IC255により読みだされて制御部250に入力され、RAM252に一時保存される。(3)RAM252に保存された圧縮画像データーは、制御部250により読みだされ、ストライピングによりHDDシステム26に記憶される。
【0109】
(4)HDDシステム26に記憶された画像データーは、画像形成の実行に応じて制御部250により順次読みだされ、RAM252に一時保存される。(5)RAM252に保存された画像データーのうちの、用紙の表面に形成する画像の画像データーは、制御部250により読みだされ、DRAM制御IC255により伸長処理がなされ、画像メモリー256に保存される。(6)画像メモリー256に記憶された画像データーは、画像形成を行うタイミングでDRAM制御IC255により読みだされ、プリント部23に送信され、プリント部23により画像データーに基づく画像が用紙に形成される。
【0110】
一方、(7)RAM252に記憶された圧縮画像データーは、制御部250により読みだされ、通信部27を介して第2の画像形成装置40に送信される。そして、この画像データーが、通信部47を介して第2の画像形成装置40に入力されると、RAM452に一時保存される。(8)RAM452に保存された画像データーのうちの、用紙の裏面に形成する画像の画像データーは、制御部450により読みだされ、DRAM制御IC455により伸長処理がなされ、画像メモリー456に保存される。(9)画像メモリー456に記憶された画像データーは、画像形成を行うタイミングでDRAM制御IC455により読みだされ、プリント部43に送信され、プリント部43により画像データーに基づく画像が用紙に形成される。また、(10)RAM452に保存された画像データーは、制御部450により読み出され、バックアップのために、第3のHDD46に記憶される。
【0111】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1の画像形成装置20及び第2の画像形成装置40は、データーの送受信が可能に相互に接続されている。第1の画像形成装置20は、HDDシステム26と、用紙に画像を形成するプリント部23と、制御部250とを備える。制御部250は、取得した画像データーをHDDシステム26に記憶させる。制御部250は、所定の画像形成条件が成立したときにHDDシステム26に記憶された画像データーを読み出す。制御部250は、HDDシステム26から読み出した画像データーのうちの表面ページの画像データーに基づいてプリント部23にて用紙に画像を形成させる。第2の画像形成装置40は、第3のHDD46と、用紙に画像を形成するプリント部43と、制御部450とを備える。制御部450は、第1の画像形成装置20から送信された画像データーのうちの裏面ページの画像データーに基づいてプリント部43にて用紙に画像を形成させるとともに、第1の画像形成装置20から送信された画像データーを第3のHDD46に記憶させる。その結果、複数の画像形成装置が直列に配置された直列タンデムの画像形成システムにおいて、データー通信や記憶装置に対するデーターの読み出し/書き込み等のデーター転送レートの高速化が図られた場合に、画像を形成する毎に、リアルタイムで画像形成装置間の画像データーの転送を行うことができるようになり、ジョブを実施するに先立って予め画像データーの第1の画像形成装置から第2の画像形成装置への転送を行わなくて済むため、印刷速度が向上し、生産性が高まる。また、ジョブを実行するために画像データーを保存するための記憶装置とは別途の記憶装置にバックアップするので、例えば、電気的な原因の他、機械的な原因により故障するリスクのあるHDD等の記憶装置において、記憶する画像データーの信頼性を高めることができるようになる。また、バックアップを行うための記憶装置については、画像データーの書き込みのみ行われるため、アクセス速度の低い、いわゆる廉価版を用いることが可能となるので、製品コストの低下を図ることができるようになる。また、第2の画像形成装置の記憶装置に画像データーのバックアップを行うので、画像形成にかかる制御負担を分散させることができ、高性能なプロセッサーや複雑にシステム化された記憶装置等を必要とせず、簡素な構成により、生産性の低下を抑制してリアルタイムにバックアップを行うことができる。また、画像データーを1つの記憶装置に集約してバックアップすることができるので、例えば、画像データーをジョブ単位で取り出すことができる等、直列タンデムの画像形成システムにおいて、バックアップされた画像データーの取り扱いが容易となる。
【0112】
また、本実施の形態によれば、第1の画像形成装置20にて画像データーを取得するので、画像データーの転送経路を簡略化することができ、制御負担を軽減させることができる。
【0113】
また、本実施の形態によれば、第1の画像形成装置20の制御部250は、取得した画像データーを、HDDシステム26において構成された記録媒体の個数に対応してストライピングにより第1のHDD26a及び第2のHDD26bのそれぞれに記憶させる。その結果、アクセス速度のそれほど高くない、いわゆる廉価版の記録媒体を用いてアクセス速度の高速化を実現することができるので、コストの上昇を抑えて生産性を向上させることができるようになる。また、記録媒体が複数となることによる記憶装置の故障のリスクの上昇は、バックアップを行うための記憶装置により担保することができるので、データーの信頼性についても維持することができる。
【0114】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成システムの一例であり、これに限定されるものではない。画像形成システムを構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0115】
また、本発明の実施の形態では、電子写真方式、インクジェット方式等、様々な画像形成装置を適用することができる。
【0116】
また、本実施の形態における画像形成システムは、2台の画像形成装置を構成したものであるが、3台以上によって構成されたものであってもよい。このとき、画像データーのバックアップは、一の画像形成装置にて行われるものとする。
【0117】
また、本実施の形態では、複数台の画像形成装置にて用紙の表裏に対してそれぞれ片面印刷を行うことにより直列タンデムによる両面印刷を実現するようにしたが、複数台の画像形成装置によって用紙の片面に対して複数回の印刷を行うようにしてもよい。
【0118】
また、本実施の形態では、第1の画像形成装置にて画像データーの取得を行うように構成されているが、第2の画像形成装置によって取得されるように構成してもよい。このとき、第2の画像形成装置にて取得したプリントジョブデーターやコピージョブデーターを第1の画像形成装置に転送することで、上述したようにして画像形成処理を行うことができる。
【0119】
また、本実施の形態では、第1の画像形成装置の制御部の制御により、取得した画像データーを画像メモリーからRAMに一旦転送した後、記憶装置に転送するように構成したが、例えば、DMA(Direct Memory Access)制御により、画像データーを画像メモリーから記憶装置に直接転送可能な構成としてもよい。また、記憶装置から画像メモリーにDMA制御による転送が可能に構成してもよい。
【0120】
また、本実施の形態において、バックアップされたデーターによるデーターの復帰を行う場合には、第1の画像形成装置と第2の画像形成装置との通信により実現する形態や、バックアップされたデーターをメディア等に複製し、当該メディアを介してオフラインにより実現する形態の何れであってもよい。
【0121】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデーターを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0122】
1 画像形成システム
20 第1の画像形成装置
23 プリント部
250 制御部
26 HDDシステム
26a 第1のHDD
26b 第2のHDD
40 第2の画像形成装置
43 プリント部
46 第3のHDD
450 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置を直列に配置し、画像データーを取得し、該取得した画像データーに基づいて前記複数の画像形成装置にて一の用紙に対してそれぞれ画像の形成を行う画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置は、第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを含んでデーターの送受信が可能に相互に接続され、
前記第1の画像形成装置は、第1の記憶装置と、用紙に画像を形成する第1の画像形成部と、前記取得した画像データーを前記第1の記憶装置に記憶させ、所定の画像形成条件が成立したときに前記第1の記憶装置に記憶された画像データーを読み出し、前記第1の記憶装置から読み出した画像データーを前記第2の画像形成装置に送信するとともに、前記第1の記憶装置から読み出した画像データーのうちの第1の画像データーに基づいて前記第1の画像形成部にて用紙に画像を形成させる第1の制御部と、を有し、
前記第2の画像形成装置は、第2の記憶装置と、用紙に画像を形成する第2の画像形成部と、前記第1の画像形成装置から送信された画像データーのうちの前記第1の画像データーとは異なる第2の画像データーに基づいて前記第2の画像形成部にて用紙に画像を形成させるとともに、前記第1の画像形成装置から送信された画像データーを前記第2の記憶装置に記憶させる第2の制御部と、を有する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第1の画像形成装置にて画像データーを取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1の記憶装置は、複数の記録媒体を含んで構成され、
前記第1の制御部は、前記取得した画像データーを、前記第1の記憶装置において構成された記録媒体の個数に対応してストライピングにより前記複数の記録媒体のそれぞれに記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1の記憶装置は、アクセス速度を前記第2の記憶装置よりも大きくしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1の記憶装置は、アクセス速度を前記第2の記憶装置の2倍以上としたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−905(P2013−905A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130843(P2011−130843)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】