説明

画像形成ユニットおよびそれを備えた画像形成装置

【課題】画像形成ユニットから保護シートを抜取る際の摩擦帯電等を抑制して初期動作時の画像不良を軽減する手段を提供する。
【解決手段】像担持体と、像担持体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体とを備えた画像形成ユニットにおいて、保管時に像担持体と現像剤担持体との間に挿入する保護シートを設け、その保護シートは、10V以上、250V以下の電圧の印加時に、表面抵抗値が1×10Ω/□以上、8×1012Ω/□以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタや複写機等に現像剤を供給する画像形成ユニットおよびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成ユニットにおいては、輸送時に、感光体ドラムと現像ローラとの間で摺擦が生じ、着荷後の初期動作における画像の形成時に帯電不良による濃度ムラが生じる場合がある。
このため、従来の画像形成ユニットにおいては、表面に静電画像が形成される感光体ドラムの周囲に、感光体ドラムの表面を一様に帯電する帯電ローラと、静電画像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像ローラと、感光体ドラムの表面に残留したトナーを除去するクリーニングローラとを接触させて配置し、画像形成ユニットの保管時に、感光体ドラムと現像ローラとの間に、ウレタン等のシート状の弾性部材の表裏面にPET等の樹脂フィルムを固着させた3層構造の保護シートを挿入して挟持させ、感光体ドラムの表面の汚れによる帯電不良を防止して、現像後に生ずる横帯等の濃度ムラを防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−156986号公報(段落0005、0009−0015、第1図、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、両面に絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂フィルムを固着させた保護シートを感光体ドラムと現像ローラとの間に挟持させているため、挟持されている保護シートを抜取る際に、感光体ドラムと現像ローラとの間で摩擦帯電または剥離帯電が生じ、着荷後の初期動作における画像形成時に横帯等の画像不良が発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、画像形成ユニットから保護シートを抜取る際の摩擦帯電等を抑制して初期動作時の画像不良を軽減する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体とを備えた画像形成ユニットにおいて、保管時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に挿入する保護シートを設け、前記保護シートは、10V以上、250V以下の電圧の印加時に、表面抵抗値が、1×10Ω/□以上、8×1012Ω/□以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、着荷後の保護シートの抜取りの際に起きる摩擦帯電による帯電現象を抑制して、着荷後の初期動作時の画像形成における横帯等の画像不良を軽減することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例のプリンタの概略構成の側面を示す説明図
【図2】実施例の画像形成ユニットの側面を示す説明図
【図3】実施例のプリンタの他の形態を示す説明図
【図4】実施例の表面抵抗値の異なる保護シートの着荷後の抜取り時における初期動作試験結果を示す表
【図5】実施例の表面抵抗値の異なる保護シートの着荷後の抜取り時における初期動作試験結果を示すグラフ
【図6】実施例の表面粗さの異なる保護シートの着荷後の抜取り時における初期動作試験結果を示す表
【図7】実施例の表面粗さの異なる保護シートの着荷後の抜取り時における初期動作試験結果を示すグラフ
【図8】実施例の引張弾性係数の異なる保護シートの応力−歪曲線を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による画像形成ユニットおよび画像形成装置の実施例について説明する。
【実施例】
【0010】
図1において、1は画像形成装置としての電子写真方式のプリンタである。
プリンタ1には、搬送ローラ2等を有する概ねS字状の用紙搬送路3が設けられており、用紙搬送路3の一端には印刷用の媒体としての用紙Pを収納する用紙カセット4が、他端には画像形成を終えた用紙Pを集積する排紙ステージ5が設けられている。
用紙搬送路3には、用紙カセット4から用紙搬送路3へ1枚毎に繰出された用紙Pを、静電効果により付着させて搬送する搬送ベルト7と、用紙P上のトナー像を熱および圧力により定着させる定着装置8と、定着を終えた用紙Pを排紙ステージ5上に排出する排出ローラ9等が設けられている。
【0011】
また、搬送ベルト7と用紙搬送路3を挟んで対向する位置には、用紙Pの搬送方向の上流側から、K色(ブラック)、Y色(イエロー)、M色(マゼンダ)、C色(シアン)を呈する現像剤としてのトナーをそれぞれ収容した現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ10(図2参照)を有する4つの画像形成ユニット11が搬送方向に沿ってトナー像を現像する順に配置されている。
【0012】
12はクリーニングブレードであり、搬送ベルト7上に残留するトナーを除去する機能を有している。
図2において、13は像担持体しての感光体ドラムであり、例えばビスフェノール等の耐摩耗性の高い単量体を主体とするポリカーボネートで構成された円筒状部材であって、図示しない駆動モータにより回転駆動される。
【0013】
14は露光手段としての露光ヘッドであり、LED(Light Emitting Diode)等の光を発する発光体を、主走査方向に複数並べて構成され、感光体ドラム13上を発光体からの光により露光して感光体ドラム13上に静電潜像を形成する機能を有している。
15は帯電部材としての帯電ローラであり、例えば金属製のシャフトに半導電性ゴム層を被覆して形成され、感光体ドラム13の回転に伴って従動回転し、感光体ドラム13の表面を均一に帯電させる機能を有している。
【0014】
16は現像剤担持体としての現像ローラであり、例えばポリウレタンを基材とし、表面に例えばカーボンブラックや極性基で修飾されたアミノシラン等の帯電制御材料を配合することで帯電性を付与したポリウレタンで構成され、感光体ドラム13と接触しながら逆方向に回転し、感光体ドラム13上に露光ヘッド14により形成された静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像しトナー像を形成する機能を有している。
【0015】
17は現像剤供給部材としての供給ローラであり、例えば金属製のシャフトに発泡ウレタンゴム等の発泡ゴム材料を被覆して形成され、現像ローラ16と接触しながら同方向に回転し、現像ローラ16にトナーを供給する機能を有している。
18は現像剤規制部材としての現像ブレードであり、長手方向の長さが、現像ローラ16を構成するポリウレタンの幅とほぼ一致するように形成された弾性を有する薄板であって、長手方向に沿った一端は、後述する画像形成ユニット11のフレーム22に固定され、他端は先端からわずかに内側の面が現像ローラ16に摺接して、その押圧力によりトナー厚を所定の厚さに薄層化すると共にトナーを摩擦帯電させる機能を有している。
【0016】
19は転写部材としての転写ローラであり、用紙搬送路3を搬送される用紙Pを挟んで感光体ドラム13に対向配置され、図示しない駆動源により感光体ドラム13とは独立に回転駆動されており、印加された電圧による電界により感光体ドラム13の表面に形成されたトナー像を用紙Pに転写する機能を有している。
20はクリーニング装置であり、トナー像の転写後に感光体ドラム13の表面に残留したトナーを掻き取って除去するポリウレタンゴム等からなるクリーニングブレードを有している。
【0017】
上記の感光体ドラム13、帯電ローラ15、現像ローラ16、供給ローラ17等により、本実施例の各画像形成ユニット11が構成される。
24は保護シートであり、例えばポリオレフィンを主原料とし、帯電防止剤として第四級アンモニウム塩であるラウリルトリメチルアンモニウムクロライドを例えば0.5重量部以上、1重量部以下配合することで導電性を付与し、またはシート表面をコロナ放電等で親水化して、表面抵抗値を低下させたシート状部材であって、製造時や出荷時、輸送時および長期保存時等の保管時に、感光体ドラム13と現像ローラ16との間に挿入されて感光体ドラム13と現像ローラ16の弾性により挟持され、保管時における感光体ドラム13の表面を保護する機能を有している。
【0018】
なお、保護シート24は、例えばポリエステルやポリスチレンを主原料としてもよく、帯電防止剤としてイミダゾリン型両性界面活性剤カルシウム塩やアラニン型、ジアミン型の両性界面活性剤等を加えて、またはシート表面の表面処理として酸処理や火炎処理を行って表面抵抗値を低下させてもよい。
また、本実施例においては、上記図1、図2に示したプリンタ1および画像形成ユニット11を用いて説明するが、この方式に限ることはなく、図3に示すように、現像により可視化されたトナー像を直接担持する中間転写ベルト30を有するプリンタ1においても同様であり、転写ベルトを使用しない単色のプリンタ1や5色以上のトナーを用いるプリンタ1についても同様である。
【0019】
上記の構成の作用について説明する。
まず、本実施例のプリンタ1の画像形成処理について説明する。
本実施例の画像形成ユニット11は、感光体ドラム13と現像ローラ16との間に保護シート24を挿入してこれらの間で挟持させた状態で保管されており、この画像形成ユニット11をプリンタ1へ内装する際には、保護シート24を感光体ドラム13と現像ローラ16との間から抜取って、感光体ドラム13と現像ローラ16とを接触させ、現像プロセスを行うことを可能にする。
【0020】
そして、操作者が、印刷物の情報をプリンタ1へ入力すると、この情報が図示しない制御部へ送信され、これを受信した制御部は、用紙カセット4内の用紙Pの用紙搬送路3への繰出を開始する。
用紙Pを用紙搬送路3へ繰出した制御部は、用紙搬送路3により用紙Pを各画像形成ユニット11の方向に搬送する。
【0021】
また、用紙Pの搬送を開始した制御部は、図示しない駆動モータを制御して各画像形成ユニット11の感光体ドラム13、帯電ローラ15を回転させ、所定の電荷を帯びた帯電ローラ15によって感光体ドラム13を均一に帯電させながら、受信した情報を基に各色に応じて生成した印刷データを各露光ヘッド14に送り、露光ヘッド14から光を感光体ドラム13の表面に照射して、各感光体ドラム13の表面上に各色の静電潜像を形成し、各感光体ドラム13に接触しながら回転している現像ローラ16からトナーを感光体ドラム13上の静電潜像に付着させて現像し、それらのトナー像を転写ローラ19による電界により用紙P上に順次に転写して用紙P上に画像を形成し、用紙に転写された画像を定着装置8によって定着し、画像が形成された用紙Pを排出ローラ9によりプリンタ1の排紙ステージ5上に排出する。
【0022】
上記した保護シート24は、保管時に、感光体ドラム13と現像ローラ16との間に挟持させた保護シートを抜取る際の摩擦帯電等を抑制するために設けたものであるので、そのシート物性が、感光体ドラム13の帯電現象に影響を与える。
この感光体ドラム13の帯電現象に影響を与えるシート物性として、保護シート24の表面抵抗値、表面粗さ、引張弾性係数が、特に重要である。
【0023】
このような保護シート24のシート物性の最適化を図るために、以下に示す各試験を実施した。
以下に、異なる表面抵抗値を有する保護シート24を用いた場合の着荷後の初期動作試験について説明する。
図4、図5は、感光体ドラム13と現像ローラ16との間に保護シート24を挟持させた状態で、7日間室内(室温25℃、湿度55%)に放置した後に、保護シート24を抜取った画像形成ユニット11をプリンタ1へ内装し、その後の初期動作において10枚の用紙Pに画像形成を行ったときの横帯が発生した用紙Pの枚数と表面抵抗値との関係を示したものである。
【0024】
なお、画像不良の評価は、10枚の用紙Pの内、横帯が発生しなかった場合は「○」、1枚以上、5枚未満の場合は「△」、5枚以上発生した場合は「×」として示した。
また、表面抵抗値の測定は、三菱化学製ハイレスターUPに、UR−100プローブ(リング電極:外径53.2mm、内径50mm)を装着し、ポリテトラフルオロエチレンステージ上で行い、測定環境は気温25℃、湿度55%、測定条件は印加電圧10V、100V、250V、測定時間10秒である。
【0025】
試験に用いたシートA〜Gは、次のような処理を行ったものであり、シートAは帯電防止剤A少、シートBは帯電防止剤A多、シートCは帯電防止剤B少、シートDは帯電防止剤B多、シートEは帯電防止剤B少+コロナ処理小、シートFはコロナ処理大、シートGはコロナ処理小である。
表面抵抗値が1×1013Ω/□であるシートGの場合は、感光体ドラム13と保護シート24との間で抜取り時に摩擦帯電により生じた静電気が拡散しない結果、感光体ドラム13上に帯電履歴が残り5枚以上の画像に横帯が観察されため「×」とした。
【0026】
また、表面抵抗値が8×1012Ω/□以下であるシートA〜Fの場合は、感光体ドラム13と保護シート24との間で抜取り時に摩擦帯電により生じた静電気が拡散したために、感光体ドラム13上の帯電履歴が小さく10枚の全ての画像に横帯が観察されなかったため「○」とした。
このように、感光体ドラム13の帯電抑制のためには、表面抵抗値が1×1013Ω/□であるシートGより導電性が高いことによって良好な結果を得ることができるが、帯電防止剤の添加や表面処理は、帯電防止剤や処理部分が空気中の水分と接触することで導電性を発現させているため、半導体(1×10−1〜1×10Ω/□)程まで表面抵抗値を下げた場合は保護シート24との摩擦力が増大して摩擦帯電が起こり、カーボンブラック等の導電性フィラーを用いた場合は保護シート24の表面の剛性が高くなるため、感光体ドラム13に裂傷を形成し易くなる。
【0027】
このため、表面抵抗値の下限値は、1×10Ω/□とすることが望ましい。
以下に、異なる表面粗さを有する保護シート24を用いた場合の着荷後の初期動作試験について説明する。
図6は、感光体ドラム13と現像ローラ16との間に、表面粗さの異なる所定の表面抵抗値を持った保護シート24を挟持させた状態で、7日間室内(室温25℃、湿度55%)に放置した後に、保護シート24を抜取った画像形成ユニット11をプリンタ1へ内装し、その後の初期動作において10枚の用紙Pに画像形成を行ったときの横帯が発生した用紙Pの枚数と表面抵抗値との関係を示したものである。
【0028】
なお、画像不良の評価は、10枚の用紙Pの内、横帯が発生しなかった場合は「○」、1枚以上、5枚未満の場合は「△」、5枚以上発生した場合は「×」として示した。
また、表面粗さの測定は、キーエンス製レーザ顕微鏡VK−9700を用い、計測面積を0.373mmとし、表面粗さは、JIS1994に準拠した計算により十点平均粗さRz(JIS1994)で求めた。
【0029】
試験に用いた保護シート24は、印加電圧10Vにおける表面抵抗値が8.0×1012Ω/□、1.0×1011Ω/□、2.0×1010Ω/□の3種であり、それぞれの保護シート24の表面粗さRzは、Rz=8μm、10μm、15μm、20μm、35μm、40μmの6種類である。
図6に示すように、表面抵抗値が8.0×1012Ω/□、1.0×1011Ω/□の保護シート24の場合は、表面粗さ10μm以下で横帯が観察され、表面抵抗値が2.0×1010Ω/□の保護シート24の場合は、表面粗さ8μm以下で横帯が観察された。
【0030】
これは、保護シート24の表面の平滑性が高くなることで感光体ドラム13との接触面積が増大するために、帯電機構は摩擦帯電より帯電列に起因する接触帯電が支配的となり、感光体ドラム13を構成するポリカーボネートと保護シート24を構成するポリオレフィンまたはポリエステルとが接触した場合に、ポリカーボネートが正帯電し、ポリオレフィンまたはポリエステルが負帯電した結果、画像に横帯が発生したためである。
【0031】
なお、表面粗さが40μmでは、感光体ドラム13の表面に、保護シート24との摺擦によって一部裂傷が観察されたため「△」とした。
これらの結果をまとめると、保護シート24のシート物性は、図7に太い破線で囲った領域、つまり表面抵抗値が1.0×10Ω/□以上、8.0×1012Ω/□以下であり、表面粗さRzが15μm以上、35μm以下であることが望ましい。
【0032】
このようなシート物性の保護シート24を用いた場合においても、高分子フィルムからなる保護シート24に帯電防止剤や無機フィラー等を添加した場合は、引張弾性係数が低下するために、感光体ドラム13と現像ローラ16との間に挟持されている保護シート24を抜取る際に保護シート24が伸張することで、接触帯電や感光体ドラム13の破損が生じ、画像形成時に横帯等の画像不良が発生する場合がある。
【0033】
このため、感光体ドラム13と現像ローラ16との間に、引張弾性係数の異なる保護シート24を挟持させた状態で、7日間室内(室温25℃、湿度55%)に放置した後に、画像形成ユニット11から抜取った保護シート24を試験体として用い、着荷後の保護シート24の評価試験を実施した。
図8は7日間室内に放置した後の引張弾性係数の異なる保護シートの応力−歪曲線を示したグラフである。
【0034】
応力−歪曲線の測定は、今田製作所製のSV−201N型引張試験機を用い、測定条件は室温25℃、湿度55%、測定速度10mm/分、試験片サイズをJIS K 7127の試験片タイプ2(全長150mm、幅25mm、厚さ45μm)で行った。
試験結果の評価は、帯電防止剤の添加量を0%、2%、8%、10%、15%とした5種類の保護シート24で引張試験を行い、得られた応力−歪曲線の応力30Nにおける歪率で検討した。
【0035】
図8に示すように、添加量が0%、2%の保護シート24の応力30Nにおける歪率は3.0%、3.6%でほぼ伸張していないが、添加量が8%、10%、15%の保護シート24の歪率は4.8%、6.6%、12%と伸張量が徐々に大きくなり、初期勾配により求めた各保護シート24の引張弾性係数は、0%から順に、9.5MPa、8.2MPa、7.2MPa、6.1MPa、4.4MPaであった。
【0036】
以上の結果により、帯電防止処理を行った保護シート24の伸張率を考慮した引張弾性係数は7.2MPa以上とすることが望ましく、その上限値は、引張弾性係数の高いポリスチレンの一般値である12MPa以下とすることが望ましい。
上述した各試験結果から、本実施例の保護シート24のシート物性は、表面抵抗値が、印加電圧10V以上、250V以下の範囲で1.0×10Ω/□以上、8.0×1012Ω/□以下になるように、表面粗さRzが15μm以上、35μm以下になるように、引張弾性係数が7.2MPa以上、12MPa以下になるように形成される。
【0037】
上記のように、本実施例では、表面抵抗値を、印加電圧10V以上、250V以下の範囲で1.0×10Ω/□以上、8.0×1012Ω/□以下とし、表面粗さRzを15μm以上、35μm以下とした保護シート24を、出荷時に感光体ドラム13と現像ローラ16との間に挟持させて出荷するので、輸送時における感光体ドラム13と現像ローラ16との摺擦による感光体ドラム13の表面の破損を防止することができると共に摺擦の際に起きる摩擦帯電を防止することができる。
【0038】
また、着荷後に感光体ドラム13と現像ローラ16とを接触させるための保護シート24の抜取りの際に起きる摩擦帯電による帯電現象を抑制した結果、初期動作時の画像形成時における横帯等の画像不良を軽減することができる。
更に、本実施例の保護シート24は、7.2MPa以上、12MPa以下の引張弾性係数を有しているので、感光体ドラム13と現像ローラ16との間から保護シート24を抜取る際に起きる摩擦帯電による帯電現象や保護シート24の伸張による接触帯電を抑制して、初期動作時の画像形成をより良好な状態で得ることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施例では、保管時に、感光体ドラムと現像ローラとの間に挿入する保護シートの表面抵抗値を10V以上、250V以下の電圧の印加時に、1×10Ω/□以上、8×1012Ω/□以下となるようにしたことによって、着荷後の保護シートの抜取りの際に起きる摩擦帯電による帯電現象を抑制して、初期動作の画像形成における横帯等の画像不良を軽減することができる。
【0040】
また、保護シートの表面粗さRzを15μm以上、35μm以下としたことによって、保護シートの表面の平滑性が高くなることに伴う帯電列による接触帯電を抑制することができると共に、保護シートとの摺擦による感光体ドラムの損傷を防止することができ、着荷後の初期動作時の画像形成における横帯等の画像不良をより軽減することができる。
更に、保護シートの引張弾性係数を7.2MPa以上、12MPa以下としたことによって、感光体ドラムと現像ローラとの間から保護シートを抜取る際の摩擦帯電による帯電現象や保護シートの伸張よる接触帯電を抑制して、着荷後の初期動作時の画像形成における横帯等の画像不良を更に軽減することができる。
【0041】
なお、上記実施例においては、画像形成装置は、電子写真方式のプリンタであるとして説明したが、電子写真方式のプリンタ用の現像剤を適用した画像形成装置、例えば複写機等であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 プリンタ
2 搬送ローラ
3 用紙搬送路
4 用紙カセット
5 排紙ステージ
7 搬送ベルト
8 定着装置
9 排出ローラ
10 トナーカートリッジ
11 画像形成ユニット
12 クリーニングブレード
13 感光体ドラム
14 露光ヘッド
15 帯電ローラ
16 現像ローラ
17 供給ローラ
18 現像ブレード
19 転写ローラ
20 クリーニング装置
22 フレーム
24 保護シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体とを備えた画像形成ユニットにおいて、
保管時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に挿入する保護シートを設け、
前記保護シートは、10V以上、250V以下の電圧の印加時に、表面抵抗値が、1×10Ω/□以上、8×1012Ω/□以下であることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記保護シートは、表面粗さRz(JIS1994)が、15μm以上、35μm以下であることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記保護シートは、引張弾性係数が、7.2MPa以上、12MPa以下であることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の画像形成ユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−175925(P2010−175925A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19562(P2009−19562)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】