説明

画像形成装置、および画像形成構造体

【課題】画像形成構造体に装置外観の一部を形成させた場合であっても、画像形成構造体の構造が補強され、画像形成構造体単体の交換や組み付け作業を円滑に行う。
【解決手段】交換可能な画像形成ユニット10と、画像形成ユニット10に向けて用紙を搬送する供給ユニット40と、画像形成ユニット10から出力される用紙を排出口55に向けて搬送する排出ユニット50と、各ユニットと電気的に接続する電源ユニット30とを備え、供給ユニット40、排出ユニット50、および電源ユニット30は、互いに隣接し合い画像形成ユニット10が組み付けられていない状態にて組み付け可能であり、画像形成ユニット10は、供給ユニット40、排出ユニット50、および電源ユニット30により少なくとも互いに隣接する3面方向にて接触し、供給ユニット40、排出ユニット50、および電源ユニット30が組み付けられている状態にて組み付け可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、および画像形成構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、従来の画像形成装置では大多数のユーザが最適な状態で使用できるように装置構成やアクセサリ構成などの商品性を想定して装置設計を行っているため、個々のユーザの希望に柔軟に対応できる装置構成になっていなかったことに着目し、サブシステムおよびプラットフォームを交換可能とする技術が示されている。
また、特許文献2では、1つの作像ユニットと1つの基体ユニットとの組合せを基本として作像ユニットを増設することにより適宜の画像記録装置を形成するために、1つの基体ユニットに同じ種類の複数の作像ユニットを重ねて組み付ける技術が示されている。
特許文献3では、作像ユニットと、記録材を供給、搬送、仕分けするユニットとを接離可能に設け、記録材処理ユニットを構成する、記録材トレイが積層配置された記録材供給部と画像転写後の記録材が排出される複数の仕分けトレイが積層配置されたソータとを記録材供給部の記録材供給側と仕分け部の記録材導入側とが同一側に位置するように積層配置し、転写前の記録材を転写部から仕分け部へと搬送する搬送部を、記録材供給側および記録材導入側と対向する位置に配置する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−102187号公報
【特許文献2】特開平4−118271号公報
【特許文献3】特開2001−125332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各々が装置外観を形成する複数の構造体を組み合わせて画像形成装置を形成し、実際に画像形成を行う構成要素である画像形成構造体にその装置外観の一部を形成させた場合であっても、この画像形成構造体の構造が補強されるとともに、その画像形成構造体単体の交換や組み付け作業を円滑に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、画像形成手段を有する交換可能な画像形成構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、前記画像形成構造体に向けて記録材を搬送する記録材搬送手段を有する記録材搬送構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、前記画像形成構造体から出力される記録材を排出口に向けて搬送する排出記録材搬送構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、各構造体と電気的に接続する接続構造体と、を備え、
前記記録材搬送構造体、前記排出記録材搬送構造体、および前記接続構造体は、互いに隣接し合い前記画像形成構造体が組み付けられていない状態にて組み付け可能であり、
前記画像形成構造体は、前記記録材搬送構造体、前記排出記録材搬送構造体、および前記接続構造体が互いに隣接する面の少なくとも3面方向にて接触し、当該記録材搬送構造体、当該排出記録材搬送構造体、および当該接続構造体が組み付けられている状態にて組み付け可能であることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記画像形成構造体は、前記接続構造体または前記記録材搬送構造体の上面部に対して当該画像形成構造体を滑り方向に移動させることで組み付け可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記画像形成構造体は、外観の上部面が、排出される画像形成後の記録材を置く排出記録材置き台となることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記画像形成構造体は、当該画像形成構造体の前記外観の上部面に、当該画像形成構造体を持ち上げるための取っ手を備え、当該取っ手は、排出される記録材の搬送を妨げない構造または位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記画像形成装置の装置外観を形成し、画像を読み取る画像読み取り構造体を更に備え、
前記画像読み取り構造体は、前記接続構造体に取り付けられる使用者操作構造体を取り外し、当該接続構造体と電気的に連結されて組み付けられることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記画像形成構造体は、像保持体、露光手段、帯電手段、現像手段、記録材へ画像を転写する転写手段、および定着手段を有することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記画像形成構造体は、前記像保持体、前記帯電手段、前記現像手段を含む画像形成部を複数、備え、搬送される記録材の画像形成のための位置合わせ機構から画像を記録材に定着させる前記定着手段までが1つの構造体として構成されることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項8に記載の発明は、画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、画像形成手段を有する交換可能な画像形成構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し前記画像形成構造体に向けて記録材を搬送する記録材搬送手段を有する記録材搬送構造体、および前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し前記画像形成構造体から出力される記録材を排出口に向けて搬送する排出記録材搬送構造体、の少なくとも何れか1つの構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、各構造体と電気的に接続する接続構造体と、を備え、
前記記録材搬送構造体および前記排出記録材搬送構造体の少なくとも何れか1つ、および前記接続構造体は、前記画像形成構造体が組み付けられていない状態にて組み付け可能であり、
前記画像形成構造体は、前記記録材搬送構造体および前記排出記録材搬送構造体の少なくとも何れか1つ、および前記接続構造体により少なくとも互いに隣接する3面方向にて接触し、当該排出記録材搬送構造体、および当該接続構造体が組み付けられている状態にて組み付け可能であることを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
請求項9に記載の発明は、前記画像形成構造体は駆動源を備えておらず、前記画像形成装置に組み付けられた際に駆動源と連結することで前記画像形成構造体の駆動が可能となることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項10に記載の発明は、前記画像形成構造体は、前記画像形成手段として、像保持体、帯電手段、現像手段を各々有する複数の画像形成部と、画像を記録材に定着させる定着手段とを備え、搬送される記録材の画像形成のための位置合わせ機構から当該定着手段までが1つの構造体として構成されるとともに、
前記画像形成部の種類の異なる複数種類の前記画像形成構造体が選択的に組み込まれることを可能とする請求項8または9記載の画像形成装置である。
【0014】
請求項11に記載の発明は、組み付けられる画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成する筐体構造と、
前記筐体構造内に設けられ、当該筐体構造内に像保持体、帯電手段、現像手段を含むとともに、当該筐体構造と接触され前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し組み付けられた第1の外部の構造体と連結することで電気的に接続され、駆動される複数の画像形成部と、
前記筐体構造と接触され前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し組み付けられた第2の外部の構造体から取得した記録材を前記複数の画像形成部へ向けて位置合わせをして搬送する位置合わせ機構と、
前記複数の画像形成部にて画像形成された記録材を定着し、前記筐体構造と接触され前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し組み付けられた第3の外部の構造体に記録材を排出する定着手段とを備え、
前記第1の外部の構造体、前記第2の外部の構造体、および前記第3の外部の構造体が組み込まれた前記画像形成装置に対して滑り移動させることで当該画像形成装置への組み付けを可能とする画像形成構造体である。
【0015】
請求項12に記載の発明は、前記筐体構造は、前記複数の画像形成部を構成する個々の画像形成部について個々の取り付け・取り外しを可能とさせず、画像形成に関する装置内部の機能が使用者に対して明らかにされない構造であることを特徴とする請求項11記載の画像形成構造体である。
【0016】
請求項13に記載の発明は、前記筐体構造の外観の上部面が、排出される画像形成後の記録材を置く排出記録材置き台となることを特徴とする請求項11または12記載の画像形成構造体である。
請求項14に記載の発明は、前記筐体構造内には機械的な駆動源がなく、前記複数の画像形成部は外部の構造体から機械的な駆動力を受けて駆動されることを特徴とする請求項11乃至13何れか1項記載の画像形成構造体である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、装置外観の一部を形成させた画像形成構造体の構造がより補強され、その画像形成構造体単体の交換や組み付け作業がより円滑に行える。
請求項2の発明によれば、滑り方向に移動させることで組み付けできない場合に比較して、例えば画像形成構造体の交換作業をより容易に行うことができる。
請求項3の発明によれば、上部面が排出記録材置き台とならない場合に比較して、画像形成装置の小型化を図ることができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、例えば画像形成構造体の可搬性を向上させることができる。
請求項5の発明によれば、使用者の利用態様に適合させた画像形成装置を提供できる。
請求項6の発明によれば、電子写真方式の画像形成装置を提供できる。
請求項7の発明によれば、各画像形成部や位置合わせ機構等が1つの構造体として構成されない場合に比較して、各画像形成部間の位置精度がより良好な画像形成構造体を提供できる。
【0018】
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、装置外観の一部を形成させた画像形成構造体の構造がより補強され、その画像形成構造体単体の交換や組み付け作業がより円滑に行える。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、構成部材の数がより限定された画像形成構造体を提供できる。
請求項10の発明によれば、使用者の利用態様に適合させた画像形成装置を提供できる。
【0019】
請求項11の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、交換や組み付け作業性を向上させ、組み付け後の構造の補強が期待できる画像形成構造体を提供できる。
請求項12の発明によれば、例えば画像形成部を交換する際に使用者が手を汚すなどの不具合を排除できる。
請求項13の発明によれば、上部面が排出記録材置き台とならない場合に比較して、画像形成構造体が組み込まれる画像形成装置の小型化を図ることができる。
請求項14の発明によれば、筐体構造内に機械的な駆動源を有する場合に比較して、画像形成構造体を軽量化することができ、交換性をより高めた画像形成構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の構成の一例を示した図である。
【図2】(a)、(b)は、電源ユニットと、この電源ユニットに画像形成ユニットが組み付けられた状態を説明するための図である。
【図3】画像形成ユニットの外装天面に形成された排出トレイ構造を説明するための図である。
【図4】読み取りユニットを備えていない、例えばプリンタ仕様として用いられる画像形成装置の組み付け構造を説明するための図である。
【図5】読み取りユニットを備えた、例えば複写機やファクシミリ仕様として用いられる画像形成装置の組み付け構造を説明するための図である。
【図6】(a)、(b)は、画像形成ユニットの単体商品と、最小モジュール構成を示した図である。
【図7】(a)、(b)は、画像形成装置の第2のモジュール構成と第3のモジュール構成を示した図である。
【図8】(a)、(b)は、画像形成装置の第4のモジュール構成と第5のモジュール構成を示した図である。
【図9】(a)、(b)は、画像形成装置の第6のモジュール構成と第7のモジュール構成を示した図である。
【図10】画像形成ユニットの組み付け、取り外しを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の全体説明>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、実際に画像形成を行う機能要素を有する画像形成構造体の一例としての画像形成ユニット10と、各構造体に電力を供給し、および/または各構造体の制御機能を有する接続構造体の一例としての電源ユニット30を備えている。また、記録材である用紙を画像形成ユニット10に向けて搬送する記録材搬送構造体の一例としての供給ユニット40と、画像形成後の用紙を搬送して排出する排出記録材搬送構造体の一例としての排出ユニット50を備えている。更に、原稿を読み取る画像読み取り構造体の一例としての読み取りユニット60を備えている。また、いわゆるコントロールパネルを有し使用者の操作を受け付ける使用者操作構造体の一例としての操作ユニット70を有している。また更に、供給ユニット40に増設可能に設けられ用紙を供給して搬送する増設供給構造体の一例としての増設供給ユニット80を備えている。これらの構造体である画像形成ユニット10、電源ユニット30、供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設供給ユニット80は、各々、画像形成装置1の装置外観の少なくとも一部を形成している。図1に示す画像形成装置1では、後述する図2に示すように、電源ユニット30は画像形成ユニット10の底面と、図1の背面との2面で接触している。
【0022】
これらの各ユニット(構造体)によって形成される画像形成装置1は、例えば電子写真方式を用いたいわゆるタンデム型のデジタルカラープリンタ、デジタルカラー複写機、ファクシミリ等として機能している。画像形成ユニット10は、その画像形成を実際に行う構造体として、像保持体、露光手段、帯電手段、現像手段、用紙へ画像を転写する転写手段、転写した画像を用紙へ定着させる定着手段を有している。
尚、画像形成装置1として、本実施の形態では電子写真方式をもとに説明しているが、いわゆる電子写真方式の他、インクジェットなどの他の印刷方式の装置を採用することもできる。この場合には、画像形成構造体の一例としての画像形成ユニット10は、インクジェット等に必要な他の構成要素を備えている。
【0023】
<画像形成ユニット10の説明>
画像形成ユニット10は、画像形成装置1に組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。単体として独立取引の対象となり、独立取引の対象となっている外観が、組み込まれた画像形成装置1の外観の一部をそのまま構成する。
この画像形成ユニット10は、各色毎に設けられ画像形成を行う複数の画像形成部20、例えば、電源ユニット30から受信した画像データに画像処理を施す画像処理部11、画像形成ユニット10の動作を制御する制御部12を備えている。また、複数の画像形成部20に対して各色毎の画像データに基づく露光作業を行う露光手段としてのレーザ露光器13を有している。各々の画像形成部20には、像保持体としての感光体ドラム21、帯電手段としての帯電ロール22、現像手段としての現像器23、ドラムクリーナ24を備えている。この帯電ロール22は、感光体ドラム21の表面を所定電位で一様に帯電する。現像器23は、画像形成部20のそれぞれにおいて、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を保持して、感光体ドラム21上に形成された静電潜像を各色トナーで現像する。ドラムクリーナ24は、例えば板状部材を感光体ドラム21表面に接触させて、感光体ドラム21上に付着したトナーや紙粉等を除去する。
【0024】
また、画像形成ユニット10には、各画像形成部20それぞれに配設された感光体ドラム21を露光する走査光学装置の一例としてのレーザ露光器13が設けられている。レーザ露光器13は、各色毎の画像データを画像処理部11から取得し、取得した画像データに基づいて点灯制御されたレーザ光により、各画像形成部20の感光体ドラム21をそれぞれ走査露光する。さらに、各画像形成部20の感光体ドラム21と接触しながら移動するように、用紙を搬送する用紙搬送ベルト14が配置されている。用紙搬送ベルト14は、用紙を静電吸着するフィルム状の無端ベルトで形成されている。そして、用紙搬送ベルト14の内側であって各感光体ドラム21と対向する位置には、それぞれ転写ロール15が配置されている。転写ロール15は、感光体ドラム21との間に転写電界を形成し、用紙上に、各画像形成部20で形成された各色トナー像を順次転写する。さらに、用紙搬送ベルト14の用紙搬送方向の上流側には、画像形成部20に向けてタイミングを合わせて用紙を繰り出す位置合わせロール49が設けられている。また、用紙搬送ベルト14の用紙搬送方向の下流側には、用紙上の未定着トナー像に対して熱および圧力による定着処理を施す定着器16が設けられている。
【0025】
即ち、画像形成ユニット10には、画像形成部20の各構成要素である像保持体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段と、使用前トナー、使用後トナー、用紙搬送手段等の、画像形成を行うために不可欠となる、画像形成のための主たる画像形成要素が含まれている。
これらの要素を有する画像形成ユニット10は、画像形成ユニット10単体として交換可能に構成される。即ち、画像形成部20単独での取り外し・取り付けは行われない。何れかの一部の画像形成部20にて、例えば現像器23に供給されるトナーが消費されて画像が形成できなくなった場合等には、画像形成ユニット10を引き抜いて取り外し、例えば新品の画像形成ユニット10がこの画像形成ユニット10のまま組み付けられることで、画像形成ユニット10が交換される。
【0026】
そして、図1に示す例では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部20を備えていたが、更にいわゆるコーポレートカラーなどの特色を印刷するための画像形成部20を加えて5つの画像形成部20を設ける形態もある。また、黒(K)についての機能を強化するために、黒(K)のエンジンを2つ備え、全体で5つの画像形成部20を構成する形態もある。更に、多色ではなく、単色に対応したエンジンとすることもできる。かかる場合には、画像形成部20の数が単体となる場合もある。そして、これらを構成する画像形成ユニット10を交換ユニットとして準備する形態もある。更には、画像形成ユニット10として、画像処理部11および制御部12を有さない、または画像処理部11および制御部12の何れか一方だけを有している形態を採用することもできる。
【0027】
このように、本実施の形態が適用される画像形成ユニット10は、まず、画像形成のための用紙位置合わせ機構および用紙の受け入れ機構である位置合わせロール49から定着器16までが1つの構造体としてモジュール化されている。また、従来、トナーや感光体ドラム、現像装置などがカートリッジ化されて画像形成装置1に取り付けられていたのに対し、本実施の形態が適用される画像形成ユニット10では、これらのカートリッジ方式を採用していない。更に、画像形成ユニット10を構成する各構成部位に対し、例えば、高精度治具組立の採用と、内部構造をユーザ(使用者)に明らかにしない、いわゆるブラックボックス化を採用している。また、画像形成部20は、4連のタンデム方式の他、5連のタンデム方式を採用できる。この5連のタンデム方式としては、K色について5つのエンジン(画像形成部20)を設ける態様、Y,M,C,Kに更にKを加える態様、Y,M,C,Kに特色を加える態様などを選択できる。また、これらの、エンジンの異なる画像形成ユニット10を、任意に組み込ませてもよい。このような画像形成ユニット10は、ユーザ(使用者)の操作対象として、機械内部の開閉動作が限定され、例えば、用紙搬送の入力と出力、機械的な位置決め、電気的結合に限定される。
【0028】
<電源ユニット30の説明>
電源ユニット30は、その主たる機能として、各構成ユニット(画像形成ユニット10、供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設供給ユニット80)に対して電力を供給する。電源ユニット30の外観構成については、後述する図2(a)に詳細に示している。電源ユニット30では、商用電源から所望の電源電圧を生成し、各構成ユニットの駆動系へ電力を供給している。そのために、例えば感光体ドラム21等の回転駆動のための低電圧電源(約24V)を生成する低電圧電源供給部や、高電圧電源(数KV)を生成する高電圧電源供給部を有している。各構成ユニットに対しては、配線手段であるコネクタ(図示せず)を介して電力を供給する。配線手段は、例えば、各構成ユニットを組み込むことで、その電気的接続が可能となるように構成することもできる。
【0029】
また、電源ユニット30は、例えば図示しないパーソナルコンピュータ(PC)や読み取りユニット60から取得した画像データの編集や蓄積、画像形成ユニット10へ受け渡す画像データの画像処理を行う電気回路を備えている。尚、上述したように、画像形成ユニット10にて画像処理部11や制御部12を設けない場合には、電源ユニット30に、画像形成ユニット10にて制限(排除)したこれらの機能が備えられる。
【0030】
そして、電源ユニット30は、画像形成ユニット10の各構成部材を駆動する駆動モータなどの駆動源を備えている。その場合には、画像形成ユニット10に各種駆動源は備えられていない。そして、電源ユニット30に画像形成ユニット10が取り付けられることで、電源ユニット30の駆動源と画像形成ユニット10の各構成部材とが連結される。この連結によって、電源ユニット30による駆動が可能となる。例えば、各感光体ドラム21や各感光体ドラム周りの機構部材に合わせ、ボールジョイントなどの機構を用いた継手であるカップリングを用いて電源ユニット30の駆動源と連結する。また用紙搬送ベルト14、用紙搬送のための各種搬送ロールなどの駆動位置に合わせ、個々に、または幾つかの機構を集約させてカップリングを用いて電源ユニット30の駆動源と連結する。このようにして、画像形成ユニット10に機械的な駆動源が備えられないことから、交換可能な画像形成ユニット10に対する構成部材の数が限定される。
【0031】
更に、本実施の形態において、電源ユニット30は、画像形成装置1の装置外観の一部を形成している。また、電源ユニット30は、供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60を組み付ける際の基準となる。また、画像形成ユニット10を組み付ける際の基準とすることができる。後述するように、図1に示す操作ユニット70は読み取りユニット60に取り付けられているが、例えば読み取りユニット60を備えない場合には、電源ユニット30に操作ユニット70が取り付けられる(図4参照)。尚、電源ユニット30の更なる構成例については、後述する図2の説明の中で詳述する。
【0032】
<供給ユニット40の説明>
供給ユニット40は、画像形成ユニット10に向けて用紙を搬送する。図1に示す例では、電源ユニット30の外側底面に接触し、画像形成ユニット10の一側から画像形成ユニット10に向けて用紙を搬送する。この給紙と捌きと搬送のための各種ロール類等を備えている。供給ユニット40は、画像形成装置1として組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成するとともに、図1に示すように、画像形成ユニット10の少なくとも一方の側面に接触し、画像形成ユニット10の、この一方の側面を覆っている。但し、必要な機構部分だけを構成するのであれば、この一方の側面の全面を覆わず、例えば略中央部程度までの高さ等、一部だけに接触させることもできる。供給ユニット40は、記録材である用紙を収容する用紙収容部41と、この用紙収容部41から繰り出された用紙を画像形成ユニット10に向けて搬送するための搬送路42とが設けられている。画像形成ユニット10が画像形成装置1に組み込まれた際、搬送路42から連続する供給ユニット40の用紙排出口は、画像形成ユニット10の用紙受入口と位置合わせがなされ、搬送のための経路が連結される。
【0033】
<排出ユニット50の説明>
排出ユニット50は、画像形成ユニット10にて画像が形成された用紙を受け入れ、排出口55に向けて用紙を搬送する。排出ユニット50は、画像形成装置1として組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成するとともに、図1に示すように、画像形成ユニット10の他方(供給ユニット40側を一方とした場合)の側面に接触し、画像形成ユニット10の、この他方の側面を覆っている。即ち、画像形成ユニット10の他方の側面にて下方から上方に延びる筐体構造を有している。この排出ユニット50は、画像形成ユニット10にて画像が形成された用紙を搬送する搬送路51と、この搬送路51に設けられて用紙を搬送する複数組の搬送ロール52が設けられている。また、画像形成ユニット10にて画像が印刷された用紙を排出する排出口55と、この排出口55から用紙を排出するための排出ロール53とが設けられている。本実施の形態では、画像形成ユニット10の筐体構造の上方(天面)が、排出された用紙を積載する排出トレイとなっている。
【0034】
<読み取りユニット60の説明>
読み取りユニット60は、例えばシート材などの原稿に存在する画像を読み取る画像読み取り装置として機能する。読み取りユニット60は、画像形成装置1に組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。この読み取りユニット60が増設されるシステム構成では、読み取りユニット60の一部に操作ユニット70が取り付けられる。読み取りユニット60として、シート状の原稿を搬送する原稿搬送装置を備える構成を備えることができる。また、本などの厚みのある原稿を平面上のガラス(プラテンガラス)に置き、読み取り部やランプ、ミラーなどを走査させるスキャン構造を採用したり、このスキャン構造を備えず、シート原稿移動型だけの読み取り装置とした構成を採用することもできる。読み取りユニット60は、例えば、支持部61を介して電源ユニット30に支持されて固定され、また、排出ユニット50にも支持される。そして、画像形成ユニット10の天面に設けられた排出トレイ部の空間を保ち、ユーザ(使用者)の手が入るなど、その操作性を阻害しない位置に配置される。また、画像形成ユニット10の交換作業などを行う際にも、ユーザ(使用者)が画像形成ユニット10の天面を持って作業することができる位置に配置されている。
【0035】
<操作ユニット70の説明>
操作ユニット70は、画像形成装置1に組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。読み取りユニット60が画像形成装置1に組み込まれる装置構成の場合には、読み取りユニット60に取り付けられ、または埋め込まれる。読み取りユニット60が組み込まれない装置構成の場合には、例えば、電源ユニット30に組み込まれる。
【0036】
<増設供給ユニット80の説明>
増設供給ユニット80は、画像形成装置1に組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。図1に示す例では、供給ユニット40の底面に接触し、画像形成装置1の底面と、その底面に続く画像形成装置1の側面の装置外観を形成している。この増設供給ユニット80は、記録材である用紙を収容する用紙収容部81と、この用紙収容部81から繰り出された用紙を供給ユニット40に向けて搬送するための搬送路82とが設けられている。また、この給紙とさばきと搬送のための各種ロール類等を備えている。供給ユニット40には、増設供給ユニット80から供給される用紙を受け入れる用紙受入口と、この用紙を搬送するためのスリット状の搬送経路が設けられている。用紙収容部81から繰り出された用紙は、搬送路82と、供給ユニット40のスリット状の搬送経路、搬送路42を経由し、画像形成ユニット10に向けて供給される。
【0037】
<各構成ユニットの外観構成と組み立て例の説明>
次に、各構成ユニットの組み立て構成について説明する。
図2(a)、(b)は、電源ユニット30と、この電源ユニット30に画像形成ユニット10が組み付けられた状態を説明するための図である。図2(a)は電源ユニット30の外観を示し、図2(b)は電源ユニット30に画像形成ユニット10が組み付けられた状態を示している。
【0038】
図2(a)に示すように、電源ユニット30は、内側縦面30a、上面部である内側底面30b、天面30c、一方側面(右側面)30d、他方側面(左側面)30e、外側底面30f、一方面(前面)30g、他方面(後面)30hを有し、その筐体構造に、連結される各構成ユニットとの連結機構を備えている。より詳しくは、電源ユニット30の内側縦面30aに、画像形成ユニット10に向けて駆動力を伝達する駆動伝達機構31と、画像形成ユニット10との信号経路を形成するコネクタ32とを備えている。また、内側底面30bに、装着される画像形成ユニット10の機械的締結を行うラッチ構造33を有し、一方面(前面)30gに、ラッチ構造33の解除を行うラッチ解除機構としてのラッチボタン34を有している。また、内側底面30bには、画像形成ユニット10を滑り移動(スライド)させながら画像形成装置1に組み込むためのレール機構などの滑り移動構造機構38が設けられている。
【0039】
電源ユニット30の天面30cには、読み取りユニット60または操作ユニット70との電力、電気信号の伝達を行う接続部35を有している。図2(a)では、この接続部35に、操作ユニット70が組み込まれている。更に、電源ユニット30の一方側面(右側面)30dには供給ユニット40との電力、電気信号の伝達を行うコネクタ36が設けられ、他方側面(左側面)30eには排出ユニット50との電力、電気信号の伝達を行うコネクタ37が設けられている。
【0040】
図2(b)に示すように、画像形成ユニット10は電源ユニット30と結合し、画像形成装置1に装着される。画像形成ユニット10は、底面に、電源ユニット30の滑り移動構造機構38に対応して設けられ画像形成ユニット10の滑り方向への移動(スライド)を可能とするレール機構である移動機構19が設けられている。また、画像形成ユニット10の底面に、電源ユニット30のラッチ構造33に対応して設けられ、滑り移動(スライド)するラッチ凹部25を有している。このラッチ凹部25は、画像形成ユニット10のラッチ構造33を用いた位置決め固定を行う。
【0041】
また、画像形成ユニット10は、その筐体の一側面(一側面)に、供給ユニット40の用紙排出口に対峙し用紙排出口の位置に対応して設けられ供給ユニット40からの用紙を受け入れる用紙受入口17を有している。また、画像形成ユニット10は、その筐体の他方の側面(他側面)に、排出ユニット50の用紙受入口に対峙し用紙受入口の位置に対応して設けられ排出ユニット50に向けて用紙を排出する用紙排出口18を有している。更に、画像形成ユニット10は、組み付け方向(矢印S方向)に滑り移動(スライド)し電源ユニット30に組み付けられた際、電源ユニット30の内側縦面30aに対峙する側(裏面側)に、電源ユニット30の駆動伝達機構31と連結する伝達機構26と、電源ユニット30のコネクタ32と連結するコネクタ27とを有している。
【0042】
図3は、画像形成ユニット10の、外観の上部面である外装天面に形成された、排出記録材置き台の一例としての排出トレイ構造を説明するための図である。画像形成ユニット10の外装天面には、図1にて説明した排出ユニット50の排出口55から排出される用紙の排出方向と同方向に、リブ28が設けられている。また、外装天面の中央部、または、画像形成ユニット10を持ち上げたときに画像形成ユニット10の傾きが組み付け作業に支障とならない位置(例えば重心箇所)に、持ち上げ部の一例としての取っ手29が形成されている。この取っ手29は、排出される用紙の搬送に支障とならないように、例えば外装天面の凹部として形成される。この取っ手29は、外装天面の曲面形状を利用し、使用者(ユーザ)の指を引っかけるための引っ掛け部29aが形成されている。尚、取っ手29の構成としては、収納可能な飛び出し形状とし、画像形成ユニット10の挿入・取り出し作業時には筐体から突出させ、用紙排出時には突出した部位を収納するような構造とすることもできる。
【0043】
<プリンタ仕様の組み付け構造>
図4は、読み取りユニット60を備えていない、例えばプリンタ仕様として用いられる画像形成装置1の組み付け構造を説明するための図である。図4に示すように、電源ユニット30、供給ユニット40、および排出ユニット50が互いに隣接し合って組み付けられており、この状態では画像形成ユニット10は組み付けられていない。そして、電源ユニット30、供給ユニット40、および排出ユニット50が互いに隣接し合って組み付けられている状態で、画像形成ユニット10を図の組み付け方向(矢印S方向)に滑り移動(スライド)させることで、画像形成ユニット10を画像形成装置1に組み付けることが可能である。
尚、図4に示す例では、電源ユニット30は、弱い構造体の強化のために、L字型ベース構造が採用されている。
【0044】
供給ユニット40の組み付けについて説明する。
図2(a)に示した電源ユニット30の一方側面(右側面)30dに供給ユニット40の内側縦面40a(図4参照)が接触し、また、電源ユニット30の外側底面30f(図2(a)参照)に供給ユニット40の内側底面(図示せず)が接触する状態で、供給ユニット40を電源ユニット30に組み付ける。固定には、例えばネジやラッチ機構(図示せず)を用いることができる。また、供給ユニット40の組み付けに際し、電源ユニット30のコネクタ36(図2(a)参照)に供給ユニット40のコネクタ45(図4参照)が連結し、電源ユニット30から供給ユニット40に対して、電力の供給と、これらの間の電気信号の伝達が可能となる。尚、供給ユニット40は、図4に示す画像形成装置1の例では、画像形成装置1の一方側面、前面(画像形成ユニット10の組み込み方向)の一部、この前面とは反対面となる背面の一部、上面の一部、および底面の装置外観を形成している。
【0045】
排出ユニット50の組み付けについて説明する。
図2(a)に示した電源ユニット30の他方側面(左側面)30eおよび天面30cの一部に排出ユニット50の内側縦面50a(図4参照)が接触する状態で、排出ユニット50が電源ユニット30に組み付けられる。固定には、例えばネジやラッチ機構(図示せず)を用いることができる。また、排出ユニット50の組み付けに際し、電源ユニット30のコネクタ37(図2(a)参照)に排出ユニット50のコネクタ56(図4参照)が連結し、電源ユニット30から排出ユニット50に対して、電力の供給と、これらの間の電気信号の伝達が可能となる。尚、排出ユニット50は、図4に示す画像形成装置1の例では、画像形成装置1の他方側面、前面(画像形成ユニット10の組み込み方向)の一部、この前面とは反対面となる背面の一部、および上面の一部の装置外観を形成している。
【0046】
図4に示すように読み取りユニット60が組み付けられない態様では、操作ユニット70は、電源ユニット30の接続部35に挿入されて用いられる。図5にて説明する読み取りユニット60が組み付けられる態様では、操作ユニット70が電源ユニット30から取り外され、接続部35に読み取りユニット60の一部である支持部61が挿入されて、電源ユニット30と読み取りユニット60との電力、電気信号の伝達が行われる。
【0047】
以上のようにして電源ユニット30、供給ユニット40、および排出ユニット50が組み付けられた状態にて、それらの構造体によって形成される空間に(図4参照)、画像形成ユニット10が組み付けられる。画像形成ユニット10は、取っ手29(図3参照)によって持ち上げられ、電源ユニット30の滑り移動構造機構38(図2参照)に案内されて、使用者(ユーザ)が画像形成ユニット10の前面10aを押すことで、この空間に挿入される。挿入により組み付け位置まで到達すると、図2に示すように、電源ユニット30のラッチ構造33が画像形成ユニット10のラッチ凹部25に嵌めこまれ、ラッチ動作によって画像形成ユニット10が固定される。
【0048】
この画像形成ユニット10の組み付けによって、図4に示す画像形成ユニット10の裏面10bが電源ユニット30の内側縦面30aに接触し、一方側面10cが供給ユニット40の内側縦面40aに接触して固定される。また、画像形成ユニット10の他方側面10dと天面10eの一部とが排出ユニット50の内側縦面50aと内側天面50bに接触し、底面10fが電源ユニット30の内側底面30bに接触して固定される。このように、画像形成ユニット10は、組み付けられた際、図4の例では5面方向、即ち、少なくとも互いに隣接する3面方向にて接触していることとなる。図2(b)に示すように2面方向では固定状態が安定的ではないのに対し、図4の形態では、少なくとも3面方向の安定的な固定状態を維持している。互いに隣接する3面方向にて接触して固定することで、たとえば対向する両側面2面と下面の3面のみを支持するような場合に比べ、前後左右方向に安定的な固定状態が維持される。
【0049】
また、画像形成ユニット10が組み付けられた際、画像形成ユニット10の用紙受入口17は供給ユニット40の用紙排出口44と対峙する。また、画像形成ユニット10の用紙排出口18は排出ユニット50の用紙受入口54に対峙する。このようにして、供給ユニット40から画像形成ユニット10、および画像形成ユニット10から排出ユニット50への用紙搬送路が形成される。用紙受入口17および用紙排出口18にはシャッター構造が採用されており、画像形成ユニット10が組み付けられた際に開き、画像形成ユニット10が画像形成装置1から取り外された際に閉まる。取り外された際に閉まることで、画像形成ユニット10のブラックボックス化を高める。
尚、画像形成ユニット10の前面10aは、画像形成装置1の装置外観の一部である前面部分を形成する。
【0050】
尚、画像形成装置1に組み込まれた画像形成ユニット10を取り出す際には、ラッチボタン34を押し、画像形成ユニット10のラッチ凹部25からラッチ構造33を解除する。このラッチ構造33を解除した状態で画像形成ユニット10を矢印S方向とは反対方向に引き抜くことで、画像形成ユニット10を取り出すことが可能となる。
【0051】
<スキャナ付き仕様の組み付け構造>
図5は、読み取りユニット60を備えた、例えば複写機やファクシミリ仕様として用いられる画像形成装置1の組み付け構造を説明するための図である。図5に示す画像形成装置1では、図4にて示した画像形成装置1と同様に、電源ユニット30に、供給ユニット40、排出ユニット50が組み付けられ、この電源ユニット30と排出ユニット50の上部に読み取りユニット60が組み付けられている。このとき、図4に示した電源ユニット30の接続部35から操作ユニット70が取り外され、この接続部35に支持部61の一部が取り付けられる。この支持部61は読み取りユニット60を支える構造物としての機能に加え、電源ユニット30からの電力供給と、電源ユニット30との電気信号の伝達を可能としている。操作ユニット70は、読み取りユニット60の一部に設けられる。
【0052】
画像形成ユニット10の組み付けについては、図4にて説明したものと同様であるが、図4のプリンタ仕様に対して更に読み取りユニット60が組み付けられた状態にて画像形成ユニット10の組み付けが可能である。即ち、電源ユニット30、供給ユニット40、排出ユニット50、および読み取りユニット60が組み付けられた状態にて、画像形成ユニット10を画像形成装置1に組み付けることが可能である。そして、この態様においても、組み付けられた画像形成ユニット10は、構造体である電源ユニット30、供給ユニット40、および排出ユニット50により、少なくとも3面方向にて接触し、安定状態が保たれた組み付けが実現されている。
【0053】
<商品群構成例>
図6〜図10は、画像形成装置1の商品群構成の一例を示した図である。本実施の形態が適用される画像形成装置1は、各々が画像形成装置1の装置外観を形成する各構造体を合体させ、合体させる構造体の選択の仕方、構造体の合体のさせ方により、ユニークな商品群を形成する。
【0054】
図6(a)、(b)は、画像形成ユニット10の単体商品と、最小モジュール構成を示した図である。図6(a)は、単体交換商品である画像形成ユニット10を示している。図6(a)に示す画像形成ユニット10は、後述する商品群構成の画像形成装置1に対し、交換可能な商品である。従来であれば、例えば、各色毎の画像形成部20(図1参照)を単位として、いわゆるカセット単位で交換品としていたが、本実施の形態では、例えばこの複数の画像形成部20を一体とし、画像形成装置1の外観の一部を構成する画像形成ユニット10の全体を交換単位としている。
【0055】
図6(b)は、最小のモジュール構成商品である手差し印刷装置を示している。電源ユニット30に画像形成ユニット10が組み付けられた簡易な組み付け構成である。画像形成ユニット10の用紙受入口17(図2(b)参照)に対応して手差しトレイ91が取り付けられ、この手差しトレイ91に用紙を組み付ければ、簡易なプリンタ装置として使用できる。図の矢印は用紙の搬送方向である。但し、この図6(b)の構成は、画像形成構造体である画像形成ユニット10が、他の構造体により少なくとも3面方向にて接触しておらず、機械的構造としての保護に欠けることから、本実施の形態の中では従来技術と同様の比較例としてのモジュール構成となる。尚、図6〜図10に示す電源ユニット30は、図2(a)に示す電源ユニット30の筐体構造とは異なり、L字状に曲がった外形形状ではなくほぼ直方体の外形形状である。
【0056】
図7(a)、(b)は、画像形成装置1の第2のモジュール構成と第3のモジュール構成を示した図である。
図7(a)は、画像形成装置1の第2のモジュール構成を示している。この例は、画像形成構造体の一例である画像形成ユニット10と、接続構造体の一例である電源ユニット30と、排出記録材搬送構造体の一例である排出ユニット50とで構成される組み付け商品構成である。画像形成ユニット10の用紙受入口17から用紙が挿入され、排出ユニット50の排出口55から、画像形成後の用紙が排出される。
尚、図7(a)に示す組み付け構成例では、画像形成ユニット10は、その1面が電源ユニット30に接触し、その2面(側面と天面の一部)が排出ユニット50に接触している。即ち、画像形成ユニット10の少なくとも3面方向にて、画像形成ユニット10が他の構造体と接触している。
【0057】
図7(b)は、画像形成装置1の第3のモジュール構成を示している。この例は、画像形成構造体の一例である画像形成ユニット10と、接続構造体の一例である電源ユニット30と、記録材搬送構造体の一例である供給ユニット40とで構成される組み付け商品構成である。用紙は、供給ユニット40の用紙収容部41(図1参照)から画像形成ユニット10に供給され、画像形成後の用紙は、画像形成ユニット10の用紙排出口18から排出される。用紙排出口18に排出トレイ92を組み付ければ、排紙の取り扱いが容易である。
尚、図7(b)に示す組み付け構成例では、画像形成ユニット10は、その1面が電源ユニット30に接触し、2面(側面と底面)が供給ユニット40に接触することで、画像形成ユニット10の少なくとも3面方向にて、画像形成ユニット10が他の構造体と接触している。
【0058】
図8(a)、(b)は、画像形成装置1の第4のモジュール構成と第5のモジュール構成を示した図である。
図8(a)は、画像形成装置1の第4のモジュール構成を示している。この例は、画像形成構造体の一例である画像形成ユニット10と、接続構造体の一例である電源ユニット30と、記録材搬送構造体の一例である供給ユニット40と、排出記録材搬送構造体の一例である排出ユニット50とで構成される組み付け商品構成である。図8(a)に示す例では、画像形成ユニット10は、その1面が電源ユニット30に接触し、2面(側面と底面)が供給ユニット40に接触し、2面(側面と天面の一部)が排出ユニット50に接触している。即ち、画像形成ユニット10の3面方向以上の面(この例では5面)にて、画像形成ユニット10が他の構造体と接触している。
【0059】
図8(b)は、画像形成装置1の第5のモジュール構成を示している。この例は、図8(a)に示す組み付け構造に増設供給ユニット80を加えたものである。画像形成ユニット10に対する電源ユニット30、供給ユニット40および排出ユニット50の関係は、図8(a)と同様である。
【0060】
図9(a)、(b)は、画像形成装置1の第6のモジュール構成と第7のモジュール構成を示した図である。
図9(a)は、画像形成装置1の第6のモジュール構成を示している。この例は、図8(a)に示す組み付け構造に、画像読み取り構造体である読み取りユニット60を加えたものである。また、図9(a)では、読み取りユニット60の外付け構造として操作ユニット70が組み付けられている。画像形成ユニット10に対する電源ユニット30、供給ユニット40および排出ユニット50の関係は、図8(a)と同様である。
【0061】
図9(b)は、画像形成装置1の第7のモジュール構成を示している。この例は、図9(a)に示す組み付け構造に、増設供給ユニット80を加えたものである。また、図9(a)とは異なる方向に操作ユニット70が組み付けられている。画像形成装置1を利用する使用者(ユーザ)の装置に対するアクセスの方向を考慮し、その行動が容易となる位置を選定して操作ユニット70が組み付けられる。尚、画像形成ユニット10に対する電源ユニット30、供給ユニット40および排出ユニット50の関係は、図8(a)と同様である。
【0062】
図10は、図8(b)に示す構造にて、画像形成ユニット10の組み付け、取り外しを説明するための図である。図8〜図10に示す例では、図2(a)にて説明した電源ユニット30の滑り移動構造機構38やラッチ構造33と同様な機構を、供給ユニット40の面40bに設けている。即ち、面40bには、レール機構など滑り移動構造機構93が設けられ、組み付けられた画像形成ユニット10を固定するためのラッチ構造94が設けられている。この供給ユニット40の面40bに設けられた滑り移動構造機構93に、図2(b)に示した移動機構19を合わせ、画像形成ユニット10を図の組み付け方向(矢印S方向)に押し込むことで、画像形成ユニット10の組み付けができる。即ち、電源ユニット30、供給ユニット40、および排出ユニット50が組み付けられている状態であっても画像形成ユニット10の組み付けが可能となる。図7(b)に示す供給ユニット40にも同様な移動構造機構を設けることが可能である。
【0063】
また、図10に示すように、画像形成ユニット10には、画像形成ユニット10の蓋体10gを開けると、その内部に内部取っ手95が設けられている。ユーザ(使用者)は、図3に示した取っ手29と、この内部取っ手95とを持って供給ユニット40の面40bに画像形成ユニット10を取り付ける。そして、内部取っ手95を持って組み付け方向(矢印S方向)に押し込み、画像形成ユニット10を滑り移動(スライド)させることで、画像形成ユニット10を画像形成装置1に組み付けることが可能である。また、画像形成ユニット10を取り外す際には、画像形成ユニット10の蓋体10gを開け、例えば図4に示したラッチボタン34と同様なラッチ解除機構(図示せず)を押しながら内部取っ手95を引き抜く。この動作によって、画像形成ユニット10を画像形成装置1から取り除く。
【0064】
尚、内部取っ手95にインターロック機能を備え、例えば、画像形成ユニット10を画像形成装置1に取り付けた際、内部取っ手95を一方向に回転させ、ロックを行うようにすることもできる。このロックを行わないと、画像形成ユニット10に対する通電を行わないように構成することができる。その一方で、画像形成ユニット10を画像形成装置1からとり外す際には、内部取っ手95を反対方向である他方向に回転させ、ロックを解除してから取り外す。この内部取っ手95を回転させることで、機械的なロックを行うことも可能である。かかる内部取っ手95によるロックを採用した場合には、ラッチ構造33およびラッチボタン34(図2参照)の構造を省略する態様もある。
【符号の説明】
【0065】
1…画像形成装置、10…画像形成ユニット、30…電源ユニット、40…供給ユニット、50…排出ユニット、60…読み取りユニット、70…操作ユニット、80…増設供給ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、画像形成手段を有する交換可能な画像形成構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、前記画像形成構造体に向けて記録材を搬送する記録材搬送手段を有する記録材搬送構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、前記画像形成構造体から出力される記録材を排出口に向けて搬送する排出記録材搬送構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、各構造体と電気的に接続する接続構造体と、を備え、
前記記録材搬送構造体、前記排出記録材搬送構造体、および前記接続構造体は、互いに隣接し合い前記画像形成構造体が組み付けられていない状態にて組み付け可能であり、
前記画像形成構造体は、前記記録材搬送構造体、前記排出記録材搬送構造体、および前記接続構造体が互いに隣接する面の少なくとも3面方向にて接触し、当該記録材搬送構造体、当該排出記録材搬送構造体、および当該接続構造体が組み付けられている状態にて組み付け可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成構造体は、前記接続構造体または前記記録材搬送構造体の上面部に対して当該画像形成構造体を滑り方向に移動させることで組み付け可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成構造体は、外観の上部面が、排出される画像形成後の記録材を置く排出記録材置き台となることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成構造体は、当該画像形成構造体の前記外観の上部面に、当該画像形成構造体を持ち上げるための取っ手を備え、当該取っ手は、排出される記録材の搬送を妨げない構造または位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置の装置外観を形成し、画像を読み取る画像読み取り構造体を更に備え、
前記画像読み取り構造体は、前記接続構造体に取り付けられる使用者操作構造体を取り外し、当該接続構造体と電気的に連結されて組み付けられることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成構造体は、像保持体、露光手段、帯電手段、現像手段、記録材へ画像を転写する転写手段、および定着手段を有することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成構造体は、前記像保持体、前記帯電手段、前記現像手段を含む画像形成部を複数、備え、搬送される記録材の画像形成のための位置合わせ機構から画像を記録材に定着させる前記定着手段までが1つの構造体として構成されることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、画像形成手段を有する交換可能な画像形成構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し前記画像形成構造体に向けて記録材を搬送する記録材搬送手段を有する記録材搬送構造体、および前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し前記画像形成構造体から出力される記録材を排出口に向けて搬送する排出記録材搬送構造体、の少なくとも何れか1つの構造体と、
前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し、各構造体と電気的に接続する接続構造体と、を備え、
前記記録材搬送構造体および前記排出記録材搬送構造体の少なくとも何れか1つ、および前記接続構造体は、前記画像形成構造体が組み付けられていない状態にて組み付け可能であり、
前記画像形成構造体は、前記記録材搬送構造体および前記排出記録材搬送構造体の少なくとも何れか1つ、および前記接続構造体により少なくとも互いに隣接する3面方向にて接触し、当該排出記録材搬送構造体、および当該接続構造体が組み付けられている状態にて組み付け可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成構造体は駆動源を備えておらず、前記画像形成装置に組み付けられた際に駆動源と連結することで前記画像形成構造体の駆動が可能となることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成構造体は、前記画像形成手段として、像保持体、帯電手段、現像手段を各々有する複数の画像形成部と、画像を記録材に定着させる定着手段とを備え、搬送される記録材の画像形成のための位置合わせ機構から当該定着手段までが1つの構造体として構成されるとともに、
前記画像形成部の種類の異なる複数種類の前記画像形成構造体が選択的に組み込まれることを可能とする請求項8または9記載の画像形成装置。
【請求項11】
組み付けられる画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成する筐体構造と、
前記筐体構造内に設けられ、当該筐体構造内に像保持体、帯電手段、現像手段を含むとともに、当該筐体構造と接触され前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し組み付けられた第1の外部の構造体と連結することで電気的に接続され、駆動される複数の画像形成部と、
前記筐体構造と接触され前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し組み付けられた第2の外部の構造体から取得した記録材を前記複数の画像形成部へ向けて位置合わせをして搬送する位置合わせ機構と、
前記複数の画像形成部にて画像形成された記録材を定着し、前記筐体構造と接触され前記画像形成装置の装置外観の少なくとも一部を形成し組み付けられた第3の外部の構造体に記録材を排出する定着手段とを備え、
前記第1の外部の構造体、前記第2の外部の構造体、および前記第3の外部の構造体が組み込まれた前記画像形成装置に対して滑り移動させることで当該画像形成装置への組み付けを可能とする画像形成構造体。
【請求項12】
前記筐体構造は、前記複数の画像形成部を構成する個々の画像形成部について個々の取り付け・取り外しを可能とさせず、画像形成に関する装置内部の機能が使用者に対して明らかにされない構造であることを特徴とする請求項11記載の画像形成構造体。
【請求項13】
前記筐体構造の外観の上部面が、排出される画像形成後の記録材を置く排出記録材置き台となることを特徴とする請求項11または12記載の画像形成構造体。
【請求項14】
前記筐体構造内には機械的な駆動源がなく、前記複数の画像形成部は外部の構造体から機械的な駆動力を受けて駆動されることを特徴とする請求項11乃至13何れか1項記載の画像形成構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−231108(P2010−231108A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80649(P2009−80649)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】