説明

画像形成装置、シート、画像形成システム、画像読取装置及び画像読取システム

【課題】原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止できる画像形成装置、シート、画像形成システム、画像読取装置及び画像読取システムを提供する。
【解決手段】原稿画像の複製を形成する画像形成装置において、原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報をパターン検出部8により検出して、検出された情報に基づいて原稿画像の複製を許可又は禁止するように構成してある。例えば、会議開催日時を日付情報として設定することにより、会議開催日時より前に、確認用に出力した原稿が間違って最終原稿として複製されることを防止することが可能となり、使用者の利便に資する。また、会議前は複写をすることができる一方、会議開始後は最終資料として複写を禁止し、不用意な情報の拡散を防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像の複製又は読取を制限可能に構成してある画像形成装置、シート、画像形成システム、画像読取装置及び画像読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿画像を読取り、読取られた原稿画像を記録し、又は読取られた原稿画像をシートに形成して印刷するという原稿画像の処理が一般的に行われている。また、近年、読取られた原稿画像の画像データをLAN等のネットワークを介して他の装置に容易に送信することが可能となっている。
【0003】
このような技術の進展に伴い、企業の機密情報又は個人情報が不特定多数に簡単に流出する虞があった。このため、原稿画像が形成されるシートに特定のパターンを付加し、該パターンが検出されたときに、前記原稿画像の読取り、記録、印刷又は送信等の複製を禁止するように構成された装置が種々提案されている。更に、原稿画像の複製を一律に禁止するのではなく、日時情報、使用者のID情報等の情報を併せて用いて、複製の禁止動作を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示された画像形成装置は、複製の制限情報に応じて設定された原稿の種類、操作者の複製に関する権限に応じて設定された操作者コード、操作時の日時情報、バーコード等のうち少なくとも2つ以上を組合せて用いることにより、画像形成の可否を判定するように構成してある。この画像形成装置においては、例えば、検出された複製の制限情報、原稿の発行日時又は複製の禁止の解除日時に基づいて、禁止期間が終了している場合に、複製を許可するようにしてある。この結果、原稿の種類毎に設定された禁止期間と操作時の日時情報とを比較することにより複製の禁止及び許可を行うことができる。
【特許文献1】特開平7−115537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に係る画像形成装置においては、例えば、会議に使用する資料を作成し、会議前に資料の確認を行った後に必要部数の複写を行う場合に、確認作業中の資料が間違って最終資料として複写されないように、会議直前までは複写を禁止し、会議前の確認作業完了後から会議の間に複写を可能にするという対応ができないという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に係る画像形成装置においては、画像が形成されるシートの地色を複製の禁止レベルに応じて変えるように構成してあるが、白黒画像のみが読取可能な画像形成装置においては、シートの地色の違いを読取ることができないため、禁止レベルを読取ることができず、複製禁止であることを識別できずに複製が許可されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することができる画像形成装置、シート、画像形成システム、画像読取装置及び画像読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、原稿画像の複製を形成する画像形成装置において、前記原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから前記原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報を検出して、検出された第1,第2情報に基づいて前記原稿画像の複製を許可又は禁止するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報を検出し、検出された第1,第2情報に基づいて原稿画像の複製を許可又は禁止するように構成してある。例えば、第2情報として日付情報を付与し、日付情報に基づいて原稿画像の複製が許可された期間を求めるように構成することにより、許可期間に応じて原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行なって、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することが可能となる。また、1つのパターンから複数の情報を検出するように構成してあるから、パターンを検出する検出手段を節約することができる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、前記第2情報は日付情報であり、検出された日付情報を用いて前記原稿画像の複製が許可された許可期間を決定する決定手段と、カレンダー機能を有する計時手段と、該計時手段により与えられた日付情報から許可期間内であるか否かを判定する判定手段と、判定された結果に応じて前記原稿画像の複製の形成を制御する制御手段とを備え、該制御手段は、許可期間内のときは、前記原稿画像の複製を許可し、許可期間外のときは、前記原稿画像の複製を禁止するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、第2情報として日付情報を付与しており、該日付情報を用いて原稿画像の複製が許可された許可期間を決定し、計時手段により与えられた日付情報から許可期間内であるか否かを判定して、判定された結果に応じて原稿画像の複製の形成を制御するようにしてある。例えば、会議用の資料の確認を行うときに、会議開催日時を日付情報として設定することにより、会議開催日時より前に、確認用に出力した原稿が間違って最終原稿として複製されることを防止することが可能となり、使用者の利便に資する。また、会議前は必要部数の複写をすることができる一方、会議開始後は最終資料として複写を禁止し、不用意な情報の拡散を防止することが可能となる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、前記原稿画像を送信する送信手段を備え、該原稿画像の複製の禁止に応じて、前記送信手段による前記原稿画像の送信を禁止するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、原稿画像の複製の禁止に応じて、原稿画像の送信を禁止しているから、LAN等のネットワークを介して他の機器に送信されて情報が拡散することを防止することができる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、前記原稿画像を読取る読取手段を備え、該原稿画像の複製の禁止に応じて、前記読取手段による前記原稿画像の読取りを中断するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、原稿画像の複製の禁止に応じて、原稿画像の読取りを中断するようにしてあり、読取り段階において複製の禁止を行っているから、より確実に情報の拡散を防止することができる。
【0016】
本発明に係るシートは、複製の制限を示すパターンが付加された原稿画像が形成してあるシートにおいて、前記パターンには、前記原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報が付与してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報をパターンに付与してあるから、例えば、第2情報として日付情報を付与し、日付情報に基づいて原稿画像の複製が許可された期間を求めるように構成することにより、許可期間に応じて原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行なって、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することが可能となる。また、1つのパターンに複数の情報を付与しているから、シート上にパターンを形成するトナー消費量及び形成時間を節約することができる。
【0018】
本発明に係るシートは、前記パターンは複数のドットを含んでなり、前記パターンの形状により前記第1情報を表し、前記複数のドットの組合せにより前記第2情報を表してあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、パターンの形状により第1情報を表し、複数のドットの組合せにより第2情報を表しており、各ドットを適切に設定することにより、例えば、第2情報として日付情報等の比較的細かい情報を付与することができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することが可能となる。
【0020】
本発明に係るシートは、前記複数のドット夫々は色を有していることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、複数のドット夫々は色を有しており、一律に複写を禁止する従来の画像形成装置に適用した場合、カラー情報が無視されたパターンの形状、即ち第1情報のみが検出され、複製禁止として判定されるから、常に複製を禁止することができ、不用意に原稿が複写されて情報が拡散することを防止することができる。
【0022】
本発明に係る画像形成システムは、前述の発明に記載の画像形成装置と、前述の発明に記載のシートとを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、前述の発明の記載の画像形成装置と前述の発明の記載のシートとから画像形成システムを構成しているから、原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することができる。
【0024】
本発明に係る画像読取装置は、原稿画像を読取る画像読取装置において、シートに形成された原稿画像を読取る読取手段を備え、該読取手段により読取られた原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから前記原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報を検出して、検出された第1,第2情報に基づいて前記原稿画像の読取りを継続又は中断するように構成してあることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、シートに形成された原稿画像を読取り、読取られた原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報を検出し、検出された第1,第2情報に基づいて原稿画像の読取りを継続又は中断するように構成してある。例えば、第2情報として日付情報を付与し、日付情報に基づいて原稿画像の複製が許可された期間を求めるように構成することにより、原稿画像の複製の許可又は禁止を許可期間に応じてより確実に行なって、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することが可能となる。また、1つのパターンから複数の情報を検出するように構成してあるから、パターンを検出する検出手段を節約することができる。
【0026】
本発明に係る画像読取システムは、前述の発明に記載の画像読取装置と、前述の発明に記載のシートとを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、前述の発明の記載の画像読取装置と前述の発明の記載のシートとから画像読取システムを構成しているから、原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて、デジタルカラー複合機を例に詳述する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
【0030】
図中1は、読取対象の原稿画像が形成されたシートが載置される原稿載置台である。原稿載置台1の近傍に設けられた操作パネル(図示せず)により入力された複写開始の指示に応じて、光源2からの光が原稿載置台1に照射され、照射された光は、原稿載置台1に載置されたシートにより反射される。
【0031】
シートにより反射された光は、ミラー、光学レンズ等を有する光学ユニット3に入射する。光学ユニット3は、入射した反射光像を縮小し、縮小された反射光像を光電変換素子であるCCDセンサ4上の所定位置に結像させる。CCDセンサ4は、CCD制御部5による制御信号により駆動され、結像された光像を順次光電変換して電気信号としてスキャナ画像処理部6に出力する。なお、CCDセンサ4は、白黒画像又はカラー画像を読取り、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分に色分解したラインデータを出力することができるカラーCCDである。
【0032】
スキャナ画像処理部6は、CCDセンサ4により与えられた電気信号に対して、原稿画像読取時の光源の配光特性、CCDセンサ4の感度ムラ等に対するシェーディング補正等の補正を行い、RGB形式の画像データを画像処理部7及びパターン検出部8夫々に出力する。
【0033】
画像処理部7は、与えられたRGB形式の画像データに対して、YMCK形式又は白黒形式の画像データへの変換、画像のマスキング、色補正等の処理を行うように構成してある。
【0034】
パターン検出部8は、与えられた画像データの中から原稿画像に付加されたパターンを検出するように構成してある。パターン検出部8には、制御部9が接続してあり、パターン検出部8は、検出されたパターンの情報を制御部9に与える。
【0035】
制御部9は、各種の演算処理を実行するCPU、制御プログラムを格納しているROM、CPUの演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を備えてなる。制御部9は、ROMに記憶された制御プログラムに従うCPUの動作により、画像処理部7、パターン検出部8等の各ブロックが協調して動作するように画像形成装置100全体を制御するように構成してある。
【0036】
また、制御部9には、画像形成装置100の適宜部位に設けられたカレンダー機能を有する計時部10から日付情報が与えられる。なお、計時部10は、画像形成装置100への電源が遮断された場合にも、日付及び時刻情報を保持することができるように構成してある。
【0037】
一方、画像処理部7には、外部のパーソナルコンピュータ300が接続してあり、画像処理部7は、パーソナルコンピュータ300との間にて画像データを相互に授受可能なように構成してある。画像処理部7は、制御部9による制御指令に応じて、インターフェース13を介して処理が施された画像データをパーソナルコンピュータ300に送信する。
【0038】
また、画像処理部7には、印刷部11及びFAX送受信部12が接続してある。画像処理部7は、制御部9による制御指令に応じて、処理が施された画像データを印刷部11に与える。印刷部11は、感光体ドラム、該感光体ドラムに静電潜像を形成するレーザスキャナユニット、静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像器、感光体ドラムに形成されたトナー画像をシートに転写する転写器等を備えており、画像処理部7により与えられた画像データに基づいて、シート上に原稿画像の複製を形成(印刷)する。
【0039】
また、画像処理部7は、FAX送受信部12との間にて画像データを相互に授受可能なように構成してある。画像処理部7は、制御部9による制御指令に応じて、処理が施された画像データをFAX送受信部12に与える。FAX送受信部12は、画像処理部7により与えられた画像データを外部の機器に送信する。
【0040】
以上のように構成された本発明に係る画像形成装置100は、原稿載置台1に載置されたシート上に形成された原稿画像をCCDセンサ4により読取り、読取られた原稿画像に付加されたパターンを、以下に詳述するように、パターン検出部8により検出して、検出されたパターンに基づいて、制御部9により画像処理部7の動作を制御して、原稿画像の複製の形成を制限するように構成してある。
【0041】
図2は、本発明に係る画像形成装置100により読取られるシート200の一例を示す図である。図2に示すように、原稿画像が形成されたシート200には、複数(図において、7つ)のドットを含んでなるパターン20が適長離隔して複数形成してある。このパターン20を構成する複数のドット夫々は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、緑(G)、赤(R)、青(B)、黒(K)の7色のうち何れか1つの色を有している。これらの色は、数字を表しており、イエロー(Y)は0を、シアン(C)は1を、マゼンタ(M)は2を、緑(G)は3を、赤(R)は4を、青(B)は5を、黒(K)は6を夫々表している。
【0042】
このような特徴を各付与された複数のドットを含んでなるパターン20は、原稿画像の複製禁止の情報(第1情報)と複製禁止の解除に関連する日付情報(第2情報)とを表すように構成してある。
【0043】
原稿画像の複製禁止の情報は、複数のドットからなるパターン20(図2中に示すように7つのドットが配列されてなるパターン)の形状により表される。画像形成装置100は、このパターン20が検出されたとき、原稿画像の複製が原則禁止されるようにしてある。
【0044】
日付情報は、複数のドット夫々に付与された色の組合せにより表される。パターン20の最初の2つのドット21a,21bが年を示す部分21に、次の2つのドット22a,22bが月を示す部分22に、次の1つのドットが日の十の桁を示す部分23に、残りの2つのドット24a,24bが日の一の桁を示す部分24に夫々割当ててある。パターン20の複数のドット夫々は、前述したように、0〜6の数字に各対応した7色のうち何れか1つの色を有している。なお、図2において、原稿画像であるABCDEFGの文字夫々は任意の色を有する色文字である。
【0045】
図3は、パターン20が表す日付情報の説明図である。図3に示すように、年を示す部分21の2つのドット21a,21bは、6を表す黒及び2を表すマゼンタであり、これらの加算結果である8が西暦の下一桁となる。月を示す部分22の2つのドット22a,22bは、共に6を表す黒であり、これらの加算結果である12が月となる。日の十の桁を示す部分23は、2を表すマゼンタであり、2が日の十の桁となる。日の一の桁を示す部分24の2つのドット24a,24bは、6を表す黒及び3を表す緑であり、これらの加算結果である9が日の一の桁となる。従って、図2及び3に示す日付情報は、2008年12月29日を表している。
【0046】
なお、このようなパターン20は、元となる原稿画像を印刷、又は複写するときに、画像処理部7により原稿画像に付加されて、印刷部11によりシートに印刷、又は外部の機器に送信される。パターン20の各ドットは、原稿画像の邪魔にならないように十分小さくしてある。
【0047】
このようなパターンを検出するパターン検出部8の概略構成を示すブロック図を、図4に示す。パターン検出部8には、前述したように、スキャナ画像処理部6により画像データが与えられる。パターン検出部8は、図4に示すように、Y検出部80a、C検出部80b、M検出部80c、G検出部80d、R検出部80e、B検出部80f及びK検出部80gと、検出部80a〜80gによる検出結果を合成するOR回路81と、OR回路81による結果に基づいてパターンを判定するパターン判定部82と、検出部80a〜80g及びパターン判定部82による結果に基づいて日付情報を検出する日付検出部83とを備えている。
【0048】
Y検出部80a、C検出部80b、M検出部80c、G検出部80d、R検出部80e、B検出部80f及びK検出部80g夫々は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、緑(G)、赤(R)、青(B)及び黒(K)の各色を検出する検出部である。検出部80a〜80gは、検出した結果をOR回路81及び日付検出部83夫々に与える。
【0049】
OR回路81は、検出部80a〜80gにより与えられた検出結果を合成して、合成された結果をパターン判定部82に与える。即ち、7色のうち何れか1つの色が検出されたとき、OR回路81は値を出力する。
【0050】
パターン判定部82は、OR回路81により与えられた出力値に基づいて得られる複数のドットからなるパターンの形状が、複製禁止の情報を示すパターン、図2中に示すように7つのドットが配列されてなるパターン20の形状と一致するか否かを判定する。パターン判定部82は、日付検出部83及び制御部9夫々に判定結果を与える。
【0051】
検出されたパターンが複製禁止の情報を示すパターン20であると判定されたとき、日付検出部83は、検出部80a〜80gにより与えられた検出結果を用いて前述したように日付情報を検出して、検出結果を制御部9に与える。制御部9は、パターン判定部82及び日付検出部83により与えられた結果、並びに計時部10により与えられた操作時の日付情報に基づいて、原稿画像の複製の形成を許可又は禁止するように構成してある。なお、本実施の形態においては、2008年12月29日までは原稿画像の複製の形成が禁止されるように構成してある。
【0052】
図5は、本発明に係る画像形成装置100の原稿画像の複製形成の処理手順を示すフローチャートであり、シートに形成された原稿画像を複写する場合を例に示している。制御部9は、操作パネルにより入力された複写開始の指示を取込む(ステップS1)。次に、取込まれた複写開始指示に応じて、原稿載置台1に載置されたシート上に形成された原稿画像のCCDセンサ4による読取りを開始するとともに(ステップS2)、パターン検出部8によるパターン20の検出を開始する(ステップS3)。
【0053】
次に、パターン検出部8によりパターン20が検出されたか否かを判定する(ステップS4)。このパターン20の検出の有無の判定は、前述した如く、OR回路81において合成されて得られた複数のドットにより構成されたパターンの形状が、原稿画像の複製禁止の情報を表すパターン20(図2中に示すように7つのドットが配列されてなるパターン)の形状に一致するか否かによりなされる。
【0054】
ステップS4において、パターン20が検出された場合(ステップS4:YES)、パターン20を構成する複数のドットの色の組合せから日付情報を検出する(ステップS5)。この日付情報の検出は、前述した如く、日付検出部83において検出部80a〜80g夫々から与えられた検出結果を用いて求めることによりなされる。一方、パターン20が検出されない場合(ステップS4:NO)、複写を実行して(ステップS9)、画像形成装置100の原稿画像の複製形成の処理を終了する。
【0055】
次に、ステップS5において検出された日付情報を用いて、現在が複写許可期間内か否かを判定する(ステップS6)。この複写許可期間内か否かの判定は、ステップS5において検出された日付情報と、計時部10により与えられた日付情報とを比較し、検出された日付情報に応じて決定される複写許可期間内に現時点の日付が入っているか否かによりなされる。なお、検出された日付情報を用いた複写許可期間の決定方法は予め設定してある。本実施の形態においては、付与する日付情報を2008年12月29日として、12月29日までは原稿画像の複製の形成が禁止されるように構成してある。
【0056】
ステップS6において、複写許可期間内であると判定された場合(ステップS6:YES)、複写を実行して(ステップS9)、画像形成装置100の原稿画像の複製形成の処理を終了する。一方ステップS6において、複写許可期間外であると判定された場合(ステップS6:NO)、複写禁止のメッセージを表示し(ステップS7)、複写の処理を停止して(ステップS8)、画像形成装置100の複製形成の処理を終了する。
【0057】
以上のように構成された本発明に係る画像形成装置100においては、原稿画像に付加されたパターンに基づいて、複数のドットからなるパターンの形状が示す第1情報から原稿画像の複製が禁止されているかどうかを判定し、複製が原則禁止されている場合に、複数のドットの色の組合せから第2情報である日付情報を検出して、該日付情報に基づいて複製が許可された許可期間を決定し、得られた許可期間に応じて原稿画像の複製を許可又は禁止するようにしてある。本実施の形態においては、付与する日付情報を2008年12月29日として、12月29日までは原稿画像の複製の形成が禁止されるように構成してあるから、12月29日に開催される会議用の資料にこのパターン20を付加して印刷した場合、会議前の資料の確認又は修正段階で印刷した暫定資料が不用意に複写されることを防止することができ、使用者の利便に資する。また、会議が12月29日に開催されるとき、その前日に複写禁止を解除するように設定しておけば、会議2日前までは暫定資料の不用意な複写を防止し、会議前日に最終資料を複写することも可能となる。また、1つのパターン20から複数の情報を検出するように構成してあるから、パターン20を検出する検出手段を節約することができる。
【0058】
なお、日付情報に基づいて、複製の形成が許可された許可期間を求めるときに、日付情報として付与された日付以降を許可期間とするように構成してもよいし、日付情報として付与された日付のみを許可期間とするように構成してもよいし、日付情報として付与された日付までを許可期間とするように構成してもよい。後者2つの場合、会議開催日時を日付情報として設定したときに、会議前は必要部数の複写をすることができる一方、会議開始後は最終資料として複写を禁止し、不用意な情報の拡散を防止することが可能となる。また、本実施の形態においては、日付情報として、1つの日付を設定しているが、2つの日付を設定して、2つの日付に挟まれる期間を複製許可期間とするように構成することも可能である。また、本実施の形態においては、日付情報として日付のみを設定しているが、日付に加えて時間まで設定するように構成することも可能である。
【0059】
また、複数の制限を示すパターン20が付加された原稿画像が形成してあるシート200において、原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報をパターン20に付与してあるから、パターンを形成するトナー消費量及び形成時間を節約することができる。
【0060】
以上のような画像形成装置100とシート200とを備えて画像形成システムを構成することにより、原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することができる。
【0061】
図6は、図2に示したカラー原稿画像が形成されたシート200を白黒スキャナにより読取った画像である。白黒のスキャナを搭載した画像形成装置により原稿画像を読取った場合、図6に示すように、原稿画像に付加されたパターン20は、全て黒色のドットである場合と同じように読取られることになり、複数のドットの色の組み合わせにより表される日付情報を検出できないことになる。
【0062】
図7は、白黒スキャナを搭載した画像形成装置における原稿画像の複製形成の処理手順を示すフローチャートである。なお、該画像形成装置は、パターン20の検出に応じて原稿画像の複製を禁止するように構成してある。
【0063】
白黒スキャナを搭載した画像形成装置の制御部は、操作パネルにより入力された複写開始の指示を取込む(ステップS11)。次に、取込まれた複写開始指示に応じて、原稿載置台に載置されたシート上に形成された原稿画像のCCDセンサによる読取りを開始するとともに(ステップS12)、パターン検出部によるパターンの検出を開始する(ステップS13)。
【0064】
次に、パターン検出部によりパターン20が検出されたか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14において、パターン20が検出された場合(ステップS14:YES)、複写禁止のメッセージを表示し(ステップS15)、複写の処理を停止して(ステップS16)、画像形成装置の複製形成の処理を終了する。一方、パターン20が検出されない場合(ステップS14:NO)、複写を実行して(ステップS17)、画像形成装置の原稿画像の複製形成の処理を終了する。
【0065】
白黒スキャナを搭載した画像形成装置においては、日付情報を読取ることができないから、図7に示すように、図5のステップS5及びステップS6の処理がなくなり、白黒スキャナを搭載した画像形成装置により図2に示した原稿画像を複写するときは、パターン20は常に複写禁止パターンとして検知されることになる。この結果、白黒スキャナを搭載した画像形成装置による複写を禁止することができるから、日付情報が検出できない場合でも、不用意に原稿が複写されて情報が拡散することを防止することができる。また、カラー複写に限定したい場合にも不用意に原稿の複写がなされることを防止することができる。なお、カラースキャナを搭載した画像形成装置において、図2に示すパターン20の複数のドットが全て黒色を有している場合には、常に複写禁止の原稿であると判定されるように構成することにより、カラーと白黒のいずれのスキャナを搭載した画像形成装置において、常時複写禁止のパターンとして同じパターンを共通して用いることが可能となる。
【0066】
なお、以上の実施の形態においては、複製の禁止を示すパターンとして、7色のうち何れか1つの色を有する7つのドットを備えてなる図2に示すパターン20を例に説明したが、マークの形状、ドットの数及びドットに使用される色の数は、これに限定されない。また、マークを複数のドットにより構成しなくてもよい。第2情報として日付情報を原稿画像に付加しているが、第2情報は、日付情報に限定されず、複製の禁止に関連する情報であればよい。そして、第2情報の内容に応じて、マーク及び該マークに用いられる色の数は適切に設定される。
【0067】
また、以上の実施の形態においては、複製の禁止を示すパターンの検出に応じて、原稿画像の複写処理を停止するように構成しているが、原稿画像の読取処理を中断するように構成してもよい。この場合、読取段階において複製の禁止を行っているから、より確実に情報の拡散を防止することができる。
【0068】
また、以上の実施の形態においては、原稿画像の複製として複写を例に説明したが、これに限定されず、原稿画像の複製として原稿画像の送信処理、記録処理及び読取処理等の画像データの複製も含まれる。この場合も同様に、原稿画像の複製が許可された期間に応じて、より確実に原稿画像の複製の許可又は禁止を行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することができる。
【0069】
また、以上の実施の形態においては、原稿画像をシートから読取る場合を例に説明したが、これに限定されず、他の機器から画像データとして与えられる場合にも適用可能である。
【0070】
また、以上の実施の形態においては、デジタルカラー複合機を例に説明したが、これに限定されず、FAX、スキャナ、プリンタ等の機器にも適用可能である。
【0071】
例えば、画像読取装置の一つであるスキャナは、図1に示す画像形成装置100のうち印刷部11及びFAX送受信部12以外の構成要素を備えてなる。画像読取装置においても、前述した画像形成装置と同様に、シートに形成された原稿画像を読取り、読取られた原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報を検出し、検出された第1,第2情報に基づいて原稿画像の読取りを継続又は中断するように構成してある。この構成より、原稿画像の複製の許可又は禁止を許可期間に応じてより確実に行なって、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することが可能となる。また、1つのパターンから複数の情報を検出するように構成してあるから、パターンを検出する検出手段を節約することができる。同様に、該画像読取装置とシート200とを備えて画像読取システムを構成することにより、原稿画像の複製の許可又は禁止をより確実に行うことができ、使用者の利便に資すると共に情報の拡散を防止することができる。
【0072】
さらに、本発明は、その他、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置により読取られるシートの一例を示す図である。
【図3】パターンが表す日付情報の説明図である。
【図4】パターン検出部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の原稿画像の複製形成の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図2に示したカラー原稿画像が形成されたシートを白黒スキャナにより読取った画像である。
【図7】白黒スキャナを搭載した画像形成装置における原稿画像の複製形成の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
4 CCDセンサ(読取手段)
7 画像処理部
8 パターン検出部
9 制御部(決定手段、判定手段、制御手段)
10 計時部(計時手段)
11 印刷部
12 FAX送受信部
100 画像形成装置
200 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像の複製を形成する画像形成装置において、前記原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから前記原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報を検出して、検出された第1,第2情報に基づいて前記原稿画像の複製を許可又は禁止するように構成してあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2情報は日付情報であり、検出された日付情報を用いて前記原稿画像の複製が許可された許可期間を決定する決定手段と、カレンダー機能を有する計時手段と、該計時手段により与えられた日付情報から許可期間内であるか否かを判定する判定手段と、判定された結果に応じて前記原稿画像の複製の形成を制御する制御手段とを備え、該制御手段は、許可期間内のときは、前記原稿画像の複製を許可し、許可期間外のときは、前記原稿画像の複製を禁止するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記原稿画像を送信する送信手段を備え、該原稿画像の複製の禁止に応じて、前記送信手段による前記原稿画像の送信を禁止するように構成してあることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記原稿画像を読取る読取手段を備え、該原稿画像の複製の禁止に応じて、前記読取手段による前記原稿画像の読取りを中断するように構成してあることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
複製の制限を示すパターンが付加された原稿画像が形成してあるシートにおいて、前記パターンには、前記原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報が付与してあることを特徴とするシート。
【請求項6】
前記パターンは複数のドットを含んでなり、前記パターンの形状により前記第1情報を表し、前記複数のドットの組合せにより前記第2情報を表してあることを特徴とする請求項5に記載のシート。
【請求項7】
前記複数のドット夫々は色を有していることを特徴とする請求項6に記載のシート。
【請求項8】
請求項1から4の何れか一つに記載の画像形成装置と、請求項5から7の何れか一つに記載のシートとを備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
原稿画像を読取る画像読取装置において、シートに形成された原稿画像を読取る読取手段を備え、該読取手段により読取られた原稿画像からパターンを検出し、検出されたパターンから前記原稿画像の複製禁止を示す第1情報及び複製禁止の解除に関連する第2情報を検出して、検出された第1,第2情報に基づいて前記原稿画像の読取りを継続又は中断するように構成してあることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像読取装置と、請求項5から7の何れか一つに記載のシートとを備えることを特徴とする画像読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−118866(P2010−118866A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290300(P2008−290300)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】