説明

画像形成装置、及び、情報処理方法

【課題】画像形成装置において使用可能なフォントであっても、ユーザに使用されたくないフォントの不正利用を防止することができる画像形成装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】記憶手段に記憶されるフォントデータ、又は当該画像形成装置に装着可能な記憶媒体に記憶されるフォントデータに対応するフォントを使用する画像形成装置であって、所定のフォントデータのヘッダ情報が記述されたリストに基づいて、記憶手段303又は記憶媒体301に記憶されるフォントデータのヘッダ情報とリストに記述されたヘッダ情報との照合を行なう照合手段304と、照合手段による照合の結果、リストに記述されたヘッダ情報と一致したヘッダ情報に対応するフォントを表示せず、リストに記述されたヘッダ情報と一致しないヘッダ情報に対応するフォントを表示する表示手段306とを備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なフォントを使用して、印刷を実行することができる画像形成装置において、ユーザに対して、画像形成装置内に記憶するフォントを表示部に表示してユーザ所望のフォントを選択させたり、画像形成装置内に記憶するフォントの一覧を印刷したりする画像形成装置が存在する。
【0003】
例えば、特開2003−11445号公報(特許文献1)には、使用可能なフォントの一覧が列挙されるフォントリスト情報を印刷部から印刷させる技術が開示されている。
【0004】
一方、使用されるフォントの中には、特開平10−151832号公報(特許文献2)に開示されるように、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)フォントと呼ばれるフォントがある。このMICRフォントは小切手や手形だけの印刷に使用されるフォントであり、印刷には特殊なインクなどが用いられる。
【特許文献1】特開2003−11445号公報
【特許文献2】特開平10−151832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、画像形成装置内の記憶装置に記憶される使用可能なフォントの一覧を印刷する技術であり、上記特許文献1に、上記特許文献2に記載のMICRフォントを使用可能として適用した場合には、このMICRフォントも使用可能なフォントの一覧に含まれて印刷されてしまう。
【0006】
かかる場合、使用可能なフォント一覧にMICRフォントが表示、印刷された場合には、このMICRフォントが使用可能であることをユーザに知らせることになり、MICRフォントが不正利用されてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置において使用可能なフォントであっても、所定のフォントについては視覚的に出力させないことにより、ユーザに使用されたくないフォントの不正利用を防止することができる画像形成装置、及び、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における一局面の画像形成装置は、記憶手段に記憶される1つ又は複数のフォントデータ、又は当該画像形成装置に装着可能な記憶媒体に記憶される1つ又は複数のフォントデータに対応するフォントを使用することができる画像形成装置であって、所定のフォントデータのヘッダ情報が記述されたリストに基づいて、前記記憶手段又は前記記憶媒体に記憶されるフォントデータのヘッダ情報と前記リストに記述されたヘッダ情報との照合を行なう照合手段と、前記照合手段による照合の結果、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致したヘッダ情報に対応するフォントを表示せず、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致しないヘッダ情報に対応するフォントを表示する表示手段とを備える。
【0009】
また、本発明における他の局面の情報処理方法は、記憶手段に記憶される1つ又は複数のフォントデータ、又は当該画像形成装置に装着可能な記憶媒体に記憶される1つ又は複数のフォントデータに対応するフォントを使用することができる画像形成装置における情報処理方法であって、前記記憶手段又は前記記憶媒体に記憶されるフォントデータの特徴を示すヘッダ情報と所定のフォントデータのヘッダ情報が記述されたリストとに基づいて、前記ヘッダ情報と前記リストに記述されたヘッダ情報との照合を行なう照合ステップと、前記照合ステップによる照合の結果、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致したヘッダ情報に対応するフォントを表示せず、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致しないヘッダ情報に対応するフォントを表示する表示ステップとを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置において使用可能なフォントであっても、所定のフォントについては視覚的に出力させないことにより、ユーザに使用されたくないフォントの不正利用を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
<本発明における全体構成について>
本発明における全体構成について説明する。図1は、本発明における全体構成を示す図である。本発明では、各ホストコンピュータ101〜103と、各画像形成装置104〜106とがネットワークを介して接続されている。各ホストコンピュータ101〜103にて作成された印刷データが、いずれかの画像形成装置104〜106に送信され、印刷データを受信した画像形成装置が印刷処理を実行する。
【0013】
このとき、各画像形成装置104〜106は、使用可能なフォントを表示可能とし、また、フォント一覧を印刷可能とする。なお、各画像形成装置104〜106は、描画を行なう際に使用するフォントの形を示すフォントデータとフォントデータの特徴を示すヘッダ情報とを記憶した記憶媒体(例えば、SDカード)が装着され、装着された記憶媒体に記憶されるフォントデータを使用することが可能となる。
【0014】
ここで、記憶媒体に記憶されるフォントデータ等について説明する。PC(Personal Computer)等で作成された特定のフォントデータと、フォントデータのヘッダ情報とは特定の圧縮形式で圧縮され、さらに、画像形成装置の起動時に内部メモリに展開できる形式に変換されて、記憶媒体に記憶される。
【0015】
また、記憶媒体には、ユーザに直接使用して欲しくないフォントデータのヘッダ情報がリスト化されて記憶されている。なお、フォントデータ、フォントデータのヘッダ情報、リストは記憶媒体に記憶されるとしたが、画像形成装置内のハードディスクに記憶されてもよい。
【0016】
また、前述した記憶媒体を各画像形成装置104〜106に装着し、各画像形成装置104〜106を起動することで、記憶媒体に記憶されるデータが解凍されて、各画像形成装置104〜106の内部メモリに記憶される。フォントデータ等が内部メモリに記憶されると、画像形成装置内部のプログラムを用いてフォントデータとフォントデータのヘッダ情報とが処理できるようになる。
【0017】
内部メモリに記憶されたフォントデータとヘッダ情報とが画像形成装置において処理可能になった後、各画像形成装置104〜106で使用可能なフォントを表示部に表示したり、使用可能なフォントの一覧を印刷したりすることができる。
【0018】
このとき、ユーザに直接使用されたくない所定のフォントデータに対しては、表示不可としたり、印刷不可としたりする。ユーザに直接使用されたくない所定のフォントデータについては、特定のホストコンピュータからしか指定できないようにする。ここで、ユーザに直接使用されたくないフォントとは、例えばMICRフォントが挙げられる。MICRフォントは小切手や手形で用いられるフォントであるため、一般ユーザには使用されないようにするのが適切である。他にも、フォント提供者や管理者などの権限者から、ユーザに直接使用されたくないフォントを設定できるようにする。
【0019】
また、各画像形成装置104〜106は記憶媒体だけではなく、ハードディスク(ここでは、記憶手段ともいう)についても装着可能とする。ハードディスクには特定のコマンドを用いて、フォントデータとフォントデータのヘッダ情報をホストコンピュータからダウンロードできるようにする。ハードディスクについても記憶媒体同様、記憶されている所定のフォントデータに対して、表示不可としたり印刷不可としたりする。
【0020】
<画像形成装置のハードウェア構成について>
本実施例に係る画像形成装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施例1に係る画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【0021】
図2に示すように、画像形成装置は、制御部201、主記憶部202、補助記憶部203、ネットワークI/F204、外部記憶装置I/F205、入力部206、表示部207、印刷部208、スキャナ部209、外部装置I/F210などにより構成されている。
【0022】
制御部201は、コンピュータの中で、各装置の制御やデータの演算、加工を行うCPUである。制御部201は、主記憶部202に記憶されたプログラムを実行する演算装置で、入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、出力装置や記憶装置に出力する。
【0023】
主記憶部202は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、制御部201が実行する基本ソフトウェアであるOSやアプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0024】
補助記憶部203は、HD(ハードディスク)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。また、補助記憶部203には、画像形成装置が管理する各種情報(例えば、ユーザ情報など)が格納され、データベース(DB:DataBase)、ファイルシステム(FS:File System)などの機能により管理される。また、補助記憶部203は、使用されるフォントのフォントデータと、フォントデータの特徴を示すヘッダ情報と、ユーザに使用されたくないフォントのリストとを記憶してもよい。
【0025】
ネットワークI/F204は、有線及び/又は無線回線などのデータ伝送路により構築されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して接続された通信機能を有する周辺機器と当該画像形成装置などのインタフェースである。
【0026】
外部記憶装置I/F205は、USB(Universal Serial Bus)などのデータ伝送路を介して接続された外部記憶装置211(例えば、フラッシュメモリなど)と当該画像形成装置とのインタフェースである。また、外部記憶装置211としてSD(Secure Digital)カードを使用する場合は、外部記憶装置I/F205は、SDカードスロットとなり、このSDカードスロットにSDカードを装着することで、SDカード内のデータの読み書きが可能となる。
【0027】
入力部206や表示部207は、キースイッチ(ハードキー)とタッチパネル機能(GUIのソフトウェアキーを含む:Graphical User Interface)を備えたLCD(Liquid Crystal Display)とから構成され、画像形成装置が有する機能を利用する際のUI(User Interface)として機能する表示及び/又は入力装置である。
【0028】
印刷部208は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)からなる画像データを受け取ると、レーザービームを用いた電子写真プロセス(露光、潜像、現像及び転写のプロセス)を用いて、受け取った画像データを転写紙(印刷用紙)に出力(印刷)するプロッタ装置である。
【0029】
スキャナ部209は、CCD(Charge Coupled Devices)光電変換素子からなるラインセンサとA/Dコンバータとこれらを駆動する駆動回路を備え、原稿読み取り面(コンタクトガラス上)にセットされた原稿をスキャンすることでRGB各8ビットのデジタル画像データを生成(原稿から情報を読み取り電子化)する読取装置である。
【0030】
外部装置I/F210は、USBなどのデータ伝送路を介して接続されたデジタルカメラなどとのやり取り(送受信や読み込み/書込み)を行う。
【0031】
このように、画像形成装置は、主記憶部202や補助記憶部203などの記憶装置に格納されたプログラムを制御部201で実行し、制御信号(制御命令)を各装置へ送出すること(各装置を制御すること)で、画像形成装置が有するコピー、ファックス、スキャナ、プリンタなどのアプリケーションを実現し、画像形成装置で管理する情報、又は画像形成装置が接続されたシステム内で管理する情報を処理することができる。なお、本発明の画像形成装置では、前述したコピー、ファックスなどの全ての機能を有する必要はなく、少なくともプリンタ機能を有していればよい。
【0032】
<実施例1に係る画像形成装置の主要機能構成について>
次に、実施例1に係る画像形成装置の主要機能構成について説明する。図3は、実施例1に係る画像形成装置の主要機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置300は、内部メモリ302、記憶手段303、照合手段304、表示データ生成手段305、表示手段306を含んで構成される。
【0033】
記憶媒体301は、1又は複数のフォントデータと、フォントデータのヘッダ情報と、ユーザに使用されたくないフォントのヘッダ情報を記述したリスト(以下、単にリストともいう)とを記憶する。記憶媒体301は、例えば、SDカードなどである。また、フォントデータ等のデータは、圧縮され、画像形成装置の電源ON時に内部メモリ302に展開できる形式に変換されて記憶されている。これより、ユーザはいかなるフォントが記憶媒体301に記憶されているかをすぐに確認することは困難である。
【0034】
内部メモリ302は、主記憶部202に対応し、記憶媒体301が画像形成装置300に装着された後に、記憶媒体301に記憶されているデータの一時保存を行なう。このとき、記憶媒体301に記憶されていたデータは、制御部201により、画像形成装置で処理可能なように変換されて内部メモリ302に記憶される。
【0035】
記憶手段303は、1又は複数のフォントデータと、フォントデータのヘッダ情報と、ユーザに使用されたくないフォントのヘッダ情報が記述されたリストとを記憶してもよい。記憶手段303は、例えば、ハードディスクなどである。なお、記憶手段303は、画像形成装置に対して着脱可能であってもよい。
【0036】
照合手段304は、内部メモリ302及び/又は記憶手段303に記憶されているリストと、内部メモリ302及び/又は記憶手段303に記憶されているヘッダ情報とを取得する。次に、照合手段304は、取得したヘッダ情報がリストに記述されているかの照合を行ない、照合結果を表示データ生成手段305に出力する。
【0037】
表示データ生成手段305は、照合手段305より照合結果を取得し、取得した照合結果に基づいて、リストに記述されていないヘッダ情報に対応するフォントについて、表示画面に表示されるよう表示データを生成する。また、表示データ生成手段305は、リストに記述されているヘッダ情報に対応するフォントについては、表示画面に表示されないよう表示データには加えない。生成された表示データは、表示手段306に出力される。
【0038】
表示手段306は、表示データ生成手段305よりフォントの表示データを取得し、取得した表示データを表示する。これより、リストに記述されているヘッダ情報に対応する所定のフォントに対しては、表示画面に表示されないようにすることができる。
【0039】
ここで、フォントデータと、フォントデータのヘッダ情報と、ユーザに使用されたくないフォントのヘッダ情報を記述したリストについて説明する。図4は、フォントのデータ構造の例を示す図である。画像形成装置で使用されるフォントに関するデータは、フォントデータとヘッダ情報とに分かれている。フォントデータは、描画を行なう際に使用するフォントの形を示すデータであり、ヘッダ情報は、フォントデータの特徴を抽出したデータである。
【0040】
図5は、ユーザに使用されたくないフォントのリストの一例を示す図である。図5に示すように、リストには、ユーザに使用されたくないフォントのヘッダ情報が記述されている。なお、リストには、必ずしもヘッダ情報を記述しなければならないということはなく、フォントを識別できるものであればなんでもよい。このリストは、フォント提供者や画像形成装置の管理者などの権限者のみが作成でき、また、追加削除できるようにする。
【0041】
図6は、実施例1における表示画面の一例を示す図である。図6に示すような表示画面から、ユーザはデフォルトのフォントを指定することができる。
【0042】
図6(a)は、表示画面においてフォント記憶先を選択するときの表示画面の一例を示している。ここで、フォント記憶先とは、フォントデータがどこに記憶されているかを示しており、例えば、HDやSD(SDカード)などが表示される。ここでは、内部メモリ302に一時記憶されたフォントデータの記憶先は全てSDと表示することにする。
【0043】
また、表示画面にフォント記憶先を表示する理由としては、記憶媒体には特殊なフォントデータを記憶するケースが多いため、特殊なフォントとそれ以外のフォントとを区別できるようにフォント記憶先を表示するようにする。
【0044】
表示データ生成手段305は、フォント記憶先を表示するために、フォント記憶先の情報を取得する必要がある。ヘッダ情報にフォント記憶先の情報が格納されている場合は、ヘッダ情報から取得し、ヘッダ情報にフォント記憶先の情報が格納されていない場合は、フォントデータを取得する際に、フォント記憶先の情報を付加して取得するようにすればよい。
【0045】
図6(b)は、図6(a)においてSDを選択した場合に、次にフォント番号を選択するときの表示画面の一例を示す図である。ここで、フォント番号とは、フォントを識別するための番号であり、一つずつフォントに番号が割り当てられる。例えば、明朝体はフォント番号10、ゴシック体はフォント番号20などと割り当てられる。図6(b)に示すように、ここでは、フォント番号10が、ユーザにより選択されている場合を示す。
【0046】
これより、ユーザは画像形成装置のデフォルトのフォントを選択することが可能となる。しかし、本発明では、このデフォルトのフォントを選択する場合に、前述したようにフォントの表示を制限する。照合手段304による照合の結果、図5に示すリストにヘッダ情報が記述されているフォントのフォント番号は、図6(b)に表示されることはない。
【0047】
よって、図5に示すようなリストに記述されたヘッダ情報に対応するフォントについて、ユーザはデフォルトのフォントに設定することはできない。これより、ユーザに使用されたくないフォントの不正利用を防止することができる。
【0048】
また、図6では、デフォルトのフォントを選択する場合の表示画面の例について説明したが、デフォルトのフォントを選択する場合だけでなく、例外的なフォントの選択、例えば、一回だけ所定のフォントを使用するために選択する場合についても同様に適用可能である。なお、一回だけのフォントの使用を選択する場合やデフォルトのフォントを選択する場合に、表示可能なフォントを全て表示画面に表示するようにすれば、フォント記憶先の表示は必ずしも必要とはしない。
【0049】
また、照合手段304により、内部メモリ302に展開された全てのフォントデータのヘッダ情報がリストに記述されていると判断された場合には、フォント記憶先にはSDは表示されないようにする。
【0050】
これより、ユーザに使用されたくないフォントのみのフォントデータ等を記憶した記憶媒体301があるとき、この記憶媒体301にフォントデータ等が記憶されていること自体をユーザに知らせないようにすることができる。
【0051】
また、照合手段304により、内部メモリ302に展開された全てのフォントデータのヘッダ情報のうち、リストに記述されないヘッダ情報がある場合に、フォント記憶先にSDを表示するようにする。
【0052】
これより、ユーザに使用されたくないフォントのフォントデータ以外のフォントデータが記憶媒体301に記憶されているとき、フォント記憶先にSDが表示されるので、SDカードに記憶されているフォントデータのうち、ユーザに使用されたくないフォント以外のフォントを使用することが可能になる。
【0053】
<フォントデータの内部メモリへの展開について>
次に、フォントデータ等が記憶されたSDカードが画像形成装置に装着され、SDカードに記憶されたフォントデータ等が画像形成装置の内部メモリに展開される例について説明する。図7は、SDカードを装着した画像形成装置の初期動作を説明するためのフローチャートである。
【0054】
ステップ701では、ユーザにより、SDカードスロットにSDカードが装着される。なお、SDカードには、1又は複数のフォントデータ、フォントデータのヘッダ情報、ユーザに使用されたくなくフォントのリストが前述した形式で変換されて記憶されているとする。
【0055】
ステップ701に続いてステップ702に進み、ユーザにより、SDカードが装着されている画像形成装置の電源が入れられる。ステップ702に続いてステップ703に進み、画像形成装置内の制御部201が、SDカードに記憶されているデータを読み出し、読み出したデータを内部メモリ302に展開する。このとき、画像形成装置内部のプログラムにおいて処理可能なように、フォントデータ等が、制御部201により変換、解凍されて内部メモリに展開される。
【0056】
これより、SDカードに記憶されていたフォントデータ等が、画像形成装置で使用可能となる。なお、図7に示す例では、ステップ702の処理後にステップ703の処理を行うようにしたが、電源がONの状態で、SDカードスロットにSDカードが装着された場合には、SDカードが装着されたことを検出したときに、ステップ703の処理を行なうようにすればよい。
【0057】
<実施例1におけるフォント表示処理について>
実施例1におけるフォントを表示画面に表示する処理について説明する。図8は、実施例1におけるフォント表示処理を説明するためのフローチャートである。ステップ801では、画像形成装置内のイベント検出部が、タッチパネルやキーボタン、ホストコンピュータのキーボードなどを介して、ユーザによりフォントを表示するためのボタンが押下されたことを検出し、照合手段304にその旨通知する。
【0058】
ステップ801に続いてステップ802に進み、照合手段304が、記憶手段303及び/又は内部メモリ302に記憶されているリストとフォントデータのヘッダ情報とを取得する。
【0059】
ステップ802に続いてステップ803に進み、照合手段304が、取得したヘッダ情報について一つずつ、リストに記述されているか照合を行なう。ステップ803の照合の結果、リストに記述されていないヘッダ情報であると判断された場合は、ステップ804
に進み、表示データ生成手段305が、リストに記述されていないヘッダ情報に対応するフォントを表示対象フォントとして、表示データを生成する。また、すでに表示データが生成されている場合は、このフォントは表示データの表示対象フォントに追加される。
【0060】
ステップ803の照合の結果、リストに記述されているヘッダ情報であると判定された場合、又は、ステップ804の処理が終了した場合、ステップ805に進み、照合手段304は、全てのヘッダ情報に対して、リストに記述されたヘッダ情報への照合が終了したか否かを判定する。
【0061】
ステップ805の判定結果がNOである場合はステップ803に戻り、ステップ805の判定結果がYESである場合はステップ806に進み、表示手段306が、表示データ生成手段305により生成された表示データを表示画面に表示する。例えば図6に示すような画面が表示される。
【0062】
以上、実施例1に係る画像処理装置によれば、画像形成装置において使用可能なフォントであっても、所定のフォントについては視覚的に出力させないことにより、ユーザに使用されたくないフォントの不正利用を防止することができる。
【0063】
また、ユーザにより、表示画面に表示されたフォントしか選択できないようにすることで、フォント提供者又は画像形成装置の管理者などの権限者の意図に沿ったフォントの使用を可能にすることができる。つまり、所定のフォントに対しては、画像形成装置で使用可能ではあるが、一般ユーザはこの所定のフォントを選択して使用することができないため、所定のフォントに対する使用を制限することができる。
【0064】
[変形例1]
変形例1に係る画像形成装置について説明する。変形例1では、使用可能なフォント一覧を印刷する際に、所定のフォントの印刷を不可にする。
【0065】
<変形例1に係る画像形成装置の主要機能構成について>
図9は、変形例1に係る画像処理装置の主要機能構成を示すブロック図である。変形例1に係る画像形成装置900は、内部メモリ302、記憶手段303、照合手段304、印刷データ生成手段901、印刷手段902を含んで構成される。なお、図9に示す構成要素において、図3に示す構成要素と同様の機能のものは、図3と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
印刷データ生成手段901は、照合手段304より照合結果を取得すると、リストに記述されていないヘッダ情報に対応するフォントの一覧を印刷データとして生成する。また、印刷データ生成手段901は、生成した印刷データを印刷手段902に出力する。
【0067】
印刷手段902は、印刷データ生成手段901より印刷データを取得すると、取得した印刷データによりフォント一覧を印刷する。図10は、フォント一覧の例を示す図である。図10に示すように、表示領域1001には、フォントの記憶先が表示される。表示領域1002には、フォントを識別するためのフォント番号が表示される。表示領域1003には、フォントのサンプルが表示される。表示領域1004は、フォント指定コマンドが表示される。
【0068】
なお、表示領域1001〜1004は、図10に示すようなレイアウトに限定されないことは言うまでもない。また、図10には、SDカード内のフォントしか印刷されていないが、HD内のフォントについても、リストに記述されていないヘッダ情報に対応するフォントは、SDカードとは区別する形で印刷されるようにしてもよい。
【0069】
<変形例1におけるフォント一覧の印刷処理について>
図11は、変形例1におけるフォント一覧の印刷処理を説明するためのフローチャートである。なお、図11に示す処理において、図8に示す処理と同様のものは、図8と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
ステップ1101では、画像形成装置内のイベント検出部が、タッチパネルやキーボタン、ホストコンピュータのキーボードなどを介して、ユーザによりフォント一覧を印刷するためのボタンが押下されたことを検出し、照合手段304にその旨通知する。
【0071】
ステップ803の照合の結果、リストに記述されていないヘッダ情報であると判定された場合は、ステップ1102に進み、印刷データ生成手段901が、リストに記述されていないヘッダ情報に対応するフォントを印刷対象フォントとして、印刷データを生成する。また、すでに印刷データがある場合は、このフォントは印刷データの印刷対象フォントに追加される。
【0072】
ステップ805の判定結果がYESである場合はステップ1103に進み、印刷手段902が、印刷データ生成手段901により生成された印刷データを印刷する。例えば図10に示すような印刷結果が出力される。
【0073】
以上、変形例1に係る画像処理装置によれば、画像形成装置において使用可能なフォントであっても、所定のフォントについては視覚的に出力させないことにより、ユーザに使用されたくないフォントの不正利用を防止することができる。
【0074】
また、印刷されたフォント一覧には、リストに記述されているヘッダ情報に対応する所定のフォントとフォントを指定するコマンドとは記載されないので、これらのフォントについてはコマンドで指定することはできない。よって、フォント提供者又は画像形成装置の管理者などの権限者の意図に沿ったフォントの使用を可能にすることができる。つまり、所定のフォントに対しては、画像形成装置で使用可能ではあるが、一般ユーザはこの所定のフォントを使用することができないため、所定のフォントに対する使用を制限することができる。
【0075】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、上記変形例以外にも種々の変形・変更が可能である。また、実施例と変形例とを組み合わせて実施することも可能である。なお、実施例1又は変形例1において説明した処理内容をプログラムとして記録媒体に記録し、このプログラムが記録された記録媒体をコンピュータに読み取らせて、前述した処理を画像形成装置に実行させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る全体構成を示す図。
【図2】実施例1に係る画像形成装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】実施例1に係る画像形成装置の主要機能構成を示すブロック図。
【図4】フォントのデータ構造の例を示す図。
【図5】ユーザに使用されたくないフォントのリストの一例を示す図。
【図6】実施例1における表示画面の一例を示す図。
【図7】SDカードを装着した画像形成装置の初期動作のフローチャート。
【図8】実施例1におけるフォント表示処理のフローチャート。
【図9】変形例1に係る画像形成装置の主張機能構成を示すブロック図。
【図10】フォント一覧の例を示す図。
【図11】変形例1におけるフォント一覧の印刷処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
101、102、103 ホストコンピュータ
104、105、106、200、300、900 画像形成装置
201 制御部
202 主記憶部
203 補助記憶部
204 ネットワークI/F
205 外部記憶装置I/F
206 入力部
207 表示部
208 印刷部
209 スキャナ部
210 外部装置I/F
211 SDカード
301 記憶媒体
302 内部メモリ
303 記憶手段
304 照合手段
305 表示データ生成手段
306 表示手段
901印刷データ生成手段
902 印刷手段
1001、1002、1003、1004 表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段に記憶される1つ又は複数のフォントデータ、又は当該画像形成装置に装着可能な記憶媒体に記憶される1つ又は複数のフォントデータに対応するフォントを使用することができる画像形成装置であって、
所定のフォントデータのヘッダ情報が記述されたリストに基づいて、前記記憶手段又は前記記憶媒体に記憶されるフォントデータのヘッダ情報と前記リストに記述されたヘッダ情報との照合を行なう照合手段と、
前記照合手段による照合の結果、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致したヘッダ情報に対応するフォントを表示せず、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致しないヘッダ情報に対応するフォントを表示する表示手段と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
前記フォントに加えて前記フォントデータの記憶先を表示し、前記照合手段による照合の結果、前記記憶媒体に記憶される全てのフォントデータのヘッダ情報が、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致した場合、前記記憶媒体を示す情報を前記記憶先として表示しない請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表示手段は、
前記フォントに加えて前記フォントデータの記憶先を表示し、前記照合手段による照合の結果、前記記憶媒体に記憶されるフォントデータのヘッダ情報のうち、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致しないヘッダ情報がある場合、前記記憶媒体を示す情報を前記記憶先として表示する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶手段又は前記記憶媒体に記憶されるフォントデータに対応するフォントの一覧を印刷する印刷手段を備え、
前記印刷手段は、
前記照合手段による照合の結果、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致したヘッダ情報に対応するフォントを印刷しない請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定のフォントデータと該フォントデータのヘッダ情報とは、前記画像形成装置に装着可能な記憶媒体に記憶される請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
記憶手段に記憶される1つ又は複数のフォントデータ、又は当該画像形成装置に装着可能な記憶媒体に記憶される1つ又は複数のフォントデータに対応するフォントを使用することができる画像形成装置における情報処理方法であって、
前記記憶手段又は前記記憶媒体に記憶されるフォントデータの特徴を示すヘッダ情報と所定のフォントデータのヘッダ情報が記述されたリストとに基づいて、前記ヘッダ情報と前記リストに記述されたヘッダ情報との照合を行なう照合ステップと、
前記照合ステップによる照合の結果、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致したヘッダ情報に対応するフォントを表示せず、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致しないヘッダ情報に対応するフォントを表示する表示ステップと
を有する情報処理方法。
【請求項7】
前記表示ステップは、
前記フォントに加えて前記フォントデータの記憶先を表示し、前記照合ステップによる照合の結果、前記記憶媒体に記憶される全てのフォントデータのヘッダ情報が、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致した場合、前記記憶媒体を示す情報を前記記憶先として表示しない請求項6記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記表示ステップは、
前記フォントに加えて前記フォントデータの記憶先を表示し、前記照合ステップによる照合の結果、前記記憶媒体に記憶されるフォントデータのヘッダ情報のうち、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致しないヘッダ情報がある場合、前記記憶媒体を示す情報を前記記憶先として表示する請求項6記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記記憶手段又は前記記憶媒体に記憶されるフォントデータに対応するフォントの一覧を印刷する印刷ステップを備え、
前記印刷ステップは、
前記照合ステップによる照合の結果、前記リストに記述されたヘッダ情報と一致したヘッダ情報に対応するフォントを印刷しない請求項6乃至8いずれか一項に記載の情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−274367(P2009−274367A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128849(P2008−128849)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】