説明

画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】製造コストの削減をしつつ、プロセスカートリッジの誤装着を検出する。
【解決手段】不揮発性の記録媒体を有し、記録媒体に接続される信号線上に当該カートリッジ毎に異なる値を有する抵抗を有するカートリッジが着脱可能に装着される画像形成装置であって、画像形成装置を制御する制御手段と、カートリッジが装着可能であり、装着手段の配置毎に制御手段からの抵抗の総和が異なる値となるよう抵抗が信号線に接続される1以上の装着手段と、制御手段と記録媒体とが直列に接続された信号線における電圧波形を検出する波形検出手段321と、波形検出手段により検出された電圧波形に基づいて、カートリッジに対応する装着手段に装着されているか否かを判定する判定手段322と、判定手段によりカートリッジに対応する装着手段に装着されていると判定された場合、制御手段と記録媒体との通信を行なう通信制御手段323とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタなどの画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のプロセスカートリッジを有しており、各トナーカートリッジは本体から着脱可能な構成となっている。
【0003】
画像形成装置は、K・Y・M・Cの4色のトナー像を順次中間転写ベルトなどで重ね合わせることでカラー画像を形成する。色ずれ精度および濃度などのプロセスコントロールは、プロセスカートリッジを本体に装着した際の配列が一定であることを前提に制御使用を決定している。ここで、装置本体においてプロセスカートリッジが装着される部分をステーションと呼ぶ。
【0004】
しかし、プロセスカートリッジの交換時などに、別の色のステーションへプロセスカートリッジを装着したり、同色のプロセスカートリッジを複数本体へ装着したりする可能性がある。
【0005】
そのため、ステーションの構造を色ごとに異なる形状として、色の異なるプロセスカートリッジが装着されることを防止するなどの技術が開発されている。
【0006】
また、特開2005−250375号公報(特許文献1)には、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、他のカートリッジと識別する識別情報が記憶された識別情報タグが装着され、識別情報タグにカートリッジの装着可否を装置本体と機械的に係合して識別する識別キーが設けられているカートリッジが開示されている。これにより、識別情報タグに識別キーを設けているので、カートリッジの形状や構造を共通にすることができ、カートリッジと識別情報タグとの組み合わせ方や識別情報タグを装着する位置を替えればよいから、製造費を大幅に圧縮できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来技術では、プロセスカートリッジの形状が各色共通化可能であるため、製造コストの削減に繋がるが、プロセスカートリッジに取り付けられる識別情報タグの形状が各色非共通であるため、コスト削減の余地がある。
【0008】
一方、プロセスカートリッジには通信可能な不揮発性メモリ(IDチップ)を設けたものがある。この不揮発性メモリには、トナー残量、シリアルナンバー、製造メーカなどを記憶保持させる。本体装置側メイン制御ICとIDチップの通信にICなどの規格を用いた場合、4色のIDチップは回路的に並列となる。このとき、本体装置側の制御ICはプロセスカートリッジが装着されたステーションを識別することが出来ないという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの削減をしつつ、プロセスカートリッジの誤装着を検出することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における一観点の画像形成装置は、不揮発性の記録媒体を有し、該記録媒体に接続される信号線上に当該カートリッジ毎に異なる値を有する抵抗を有するカートリッジが着脱可能に装着される画像形成装置であって、当該画像形成装置を制御する制御手段と、前記カートリッジが装着可能であり、前記制御手段に接続される信号線上において、当該装着手段の配置毎に前記制御手段から接続される抵抗の総和が異なる値となるよう抵抗が配置される1以上の装着手段と、前記装着手段により前記カートリッジが装着されることで前記制御手段と前記記録媒体とが直列に接続された信号線における電圧波形を検出する波形検出手段と、前記波形検出手段により検出された電圧波形に基づいて、前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されていると判定された場合、前記制御手段と前記記録媒体との通信を行なう通信制御手段とを有する。
【0011】
また、本発明における他の観点の画像形成方法は、不揮発性の記録媒体を有し、該記録媒体に接続される信号線上に当該カートリッジ毎に異なる値を有する抵抗を有するカートリッジが着脱可能に装着される画像形成装置であって、当該画像形成装置を制御する制御手段と、前記カートリッジが装着可能であり、前記制御手段に接続される信号線上において、当該装着手段の配置毎に前記制御手段から接続される抵抗の総和が異なる値となるよう抵抗が配置される1以上の装着手段とを備える画像形成装置における画像形成方法であって、前記装着手段により前記カートリッジが装着されることで前記制御手段と前記記録媒体とが直列に接続された信号線における電圧波形を検出する波形検出段階と、前記波形検出段階により検出された電圧波形に基づいて、前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されているか否かを判定する判定段階と、前記判定段階により前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されていると判定された場合、前記制御手段と前記記録媒体との通信を行なう通信制御段階とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造コストの削減をしつつ、プロセスカートリッジの誤装着を検出することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】実施例1における画像形成装置本体にカートリッジが装着された構成の一例を示すブロック図。
【図3】実施例1におけるCPUの主要機能構成の一例を示す図。
【図4】トナーカートリッジが正しく装着されている場合の構成の一例を示す図。
【図5】正常装着時の各信号線における直列抵抗の総和を示す図。
【図6】トナーカートリッジが正しく装着されていない場合の構成の一例を示す図。
【図7】誤装着時の各信号線における直列抵抗の総和を示す図。
【図8】実施例1における各カートリッジへの通信判定処理の一例を示すフローチャート。
【図9】実施例2における画像形成装置本体にカートリッジが装着された構成の一例を示すブロック図。
【図10】実施例2におけるCPUの主要機能構成の一例を示す図。
【図11】実施例2における各カートリッジへの通信判定処理1の一例を示すフローチャート。
【図12】実施例2における各カートリッジへの通信判定処理2の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる画像形成装置の実施例を詳細に説明する。以下、画像形成装置は例えばMFPなどである。
【0015】
[実施例1]
<ハードウェア構成>
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図1における画像形成装置10は、制御部101、記憶部102、操作部103、画像処理部104、プロッタ部105、スキャナ部106、FAX通信部107、ネットワークI/F108を備えている。
【0016】
制御部(CPU:Central Processing Unit)101は、画像形成装置10全体の制御を行う。記憶部102は、機種情報や画像データ、印刷媒体情報に対応付けされた画像形成条件などを記憶する。操作部103は、ユーザの操作により各種情報を装置へ入力し、各種情報の表示を行う表示部を設けてもよい。画像処理部104は、スキャナから読み込まれた画像データに対して所定の画像処理を行う。
【0017】
プロッタ部105は、印刷媒体への書き込み動作を制御する。スキャナ部106は、画像データを撮像素子でデータ化する動作を制御する。FAX通信部107は、公衆網への接続を行う。ネットワークI/F108は、LAN回線などを介してインターネットなどに接続され、PCなどとの通信を行う。
【0018】
<全体構成>
図2は、実施例1における画像形成装置本体にカートリッジが装着された構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置本体30は、メイン制御基板31、中継基板33を含む。その他の画像形成装置一般的な機能については省略する。
【0019】
メイン制御基板31には、CPU32が搭載される。画像形成装置本体30から着脱可能な各トナーカートリッジ38〜41は、それぞれIDチップ42〜45を有する。各IDチップ42〜45はそれぞれEEPROM46〜49を備える。CPU32と各EEPROM46〜49は、画像形成装置本体30内の中継基板33に実行されたコネクタ34〜37(ステーション)を介して接続される。
【0020】
各IDチップ42〜45は、画像形成装置本体30から電源供給を受け、CPU32とIC通信方式を用いてデータ通信を行う。図2に示す例では、信号線としてCLKとDATAのみを記載する。IC通信方式とは、周辺デバイスとのシリアル通信の方式で、主にEEPROMメモリICなどとの高速通信を実現する方式である。
【0021】
中継基板33上では、抵抗(R1〜R4、R5〜R8)が直列に接続される。これより、CPU32から各コネクタ34〜37までの信号線(CLK及びDATA)において、各コネクタまでの直列に接続される抵抗の総和が異なる。
【0022】
例えば、CPU32からコネクタ34までのCLKの信号線において、接続される抵抗の総和はR1である。また、CPU32からコネクタ35までのCLKの信号線において、接続される抵抗の総和はR1+R2である。これより、各コネクタの配置を識別することができる。
【0023】
また、各IDチップ42〜45上では、トナーカートリッジ毎に異なる抵抗が直列に接続される。これより、各コネクタ34〜37から各EEPROM46〜49までの各信号線(CLKおよびDATA)において、それぞれ抵抗値が異なる。ここで、R9、R11、R13、R15の抵抗の値はそれぞれ異なるとする。また、R10、R12、R14、R16の抵抗の値はそれぞれ異なるとする。これより、各IDチップ42〜45を識別することができる。
【0024】
例えば、EEPROM46からコネクタ34までのCLKの信号線において、接続される抵抗の値はR9である。またEEPROM47からコネクタ35までの信号線において、接続される抵抗の値はR11である(R9≠R11)。
【0025】
以上のような構成で、CPU32は、各カートリッジの信号線毎に電圧波形を検出し、基準の電圧波形に比べて異常な電圧波形をどちらか一方で検出した場合に、そのトナーカートリッジは正しく装着されていないと判定する。
【0026】
次に、CPU32の本発明に係る機能について説明する。図3は、実施例1におけるCPU32の主要機能構成の一例を示す図である。図3に示すように、CPU32は、波形検出手段321、判定手段322、通信制御手段323、印刷制御手段324を含む。
【0027】
波形検出手段321は、DATA信号線、CLK信号線のそれぞれにおいて、電圧波形を検出する。各トナーカートリッジが各トナーカートリッジに対応するステーションに装着(正しく装着)されている場合、正しい電圧波形が検出できる。一方、トナーカートリッジが各トナーカートリッジに対応するステーションに接続されていない場合(誤装着)、CLK信号線、又はDATA信号線のいずれかで電圧波形が正しく検出できない。よって、トナーカートリッジが誤装着されている場合、例えば、「CLK波形がなまることによる通信エラー」、「IDチップが出力するデータのLレベルが浮くことによる通信エラー」が発生する。
【0028】
判定手段322は、波形検出手段321により検出された電圧波形に基づいて、トナーカートリッジが、このトナーカートリッジに対応するステーションに装着されているか否かを判定する。判定手段322は、CLK信号線、又はDATA信号線のいずれかで前述した通信エラーとなった場合は、そのカートリッジは正しいステーションに装着されていないと判定する。また、判定手段322は、カートリッジ毎に前述した判定を行う。
【0029】
通信制御手段323は、判定手段322により、全てのトナーカートリッジが正しく装着されていると判定された場合、CPU32と各EEPROM46〜49とのデータ通信を可能とする。基本的には、少なくとも1つのトナーカートリッジが正しく装着されていないと判定された場合、CPU32と各EEPROM46〜49とのデータ通信を行なわない。
【0030】
印刷制御手段324は、判定手段322により黒(K)のトナーカートリッジが正しく装着されていると判定された場合、他のトナーカートリッジが正しく装着されていない場合でも、モノクロ印刷を許可する。このとき、印刷制御手段324は、通信制御手段323によりCPU32とEEPROM46との通信を可能とするよう制御する。なお、黒(K)以外のトナーカートリッジはデータ通信を許可されないままである。
【0031】
(具体例)
図4は、トナーカートリッジが正しく装着されている場合の構成の一例を示す図である。図4に示すように、各信号線(CLK及びDATA)におけるCPU32から各EEPROM46〜49までの直列抵抗の総和は4Rである。このとき、各信号線における電圧波形は正しく検出でき、正常にデータ通信が行なわれるとする。また、各信号線のうち、いずれかの信号線における直列抵抗の総和が閾値5R以上になると、抵抗分圧にかかるLレベルの電圧が変わるので、電圧波形が変形し、通信エラーが発生する。なお、閾値は、装置構成によって異なる。
【0032】
図5は、正常装着時の各信号線における直列抵抗の総和を示す図である。図5に示すように、各信号線におけるCPU32から各コネクタ34〜37までの直列抵抗の総和が異なる。例えばCLK信号線について、CPU32から(K)のコネクタ34までの直列抵抗の総和はRであり、CPU32から(Y)のコネクタ35までの直列抵抗の総和は2Rである。同様に、(M)、(C)についても直列抵抗の総和は異なる。
【0033】
また、DATA信号線について、CPU32から(K)のコネクタ34までの直列抵抗の総和は4Rであり、CPU32から(Y)のコネクタ35までの直列抵抗の総和は3Rである。同様に、(M)、(C)についても直列抵抗の総和は異なる。
【0034】
また、図5に示すように、各信号線における各コネクタ34〜37から各EEPROM46〜49までの直列抵抗の値が異なる。例えば、CLK信号線について、(K)のコネクタ34から(K)のEEPROM46までの直列抵抗の値は3Rであり、(Y)のコネクタ35から(Y)のEEPROM47までの直列抵抗の値は2Rである。同様に、(M)、(C)についても直列抵抗の値は異なる。なお、図5に示すK、Y、M、Cは、各コネクタに対して正常装着される場合のトナーカートリッジの色を示す。
【0035】
また、DATA信号線について、(K)のコネクタ34から(K)のEEPROM46までの直列抵抗の値は0であり、(Y)のコネクタ35から(Y)のEEPROM47までの直列抵抗の値はRである。同様に、(M)、(C)についても直列抵抗の値は異なる。
【0036】
図6は、トナーカートリッジが正しく装着されていない場合の構成の一例を示す図である。図6に示すように、(K)のコネクタ34に(Y)のトナーカートリッジ39が装着され、(Y)のコネクタ35に(M)のトナーカートリッジ40が装着され、(M)のコネクタ36に(C)のトナーカートリッジ41が装着され、(C)のコネクタに(K)のトナーカートリッジ38が装着されている。図6に示す例では、各信号線(CLK及びDATA)におけるCPU32から各EEPROM46〜49までの直列抵抗の総和が、いずれか一方の信号線で5R以上になっている。このとき、5R以上の信号線における電圧波形は正しく検出できず、通信エラーが発生する。
【0037】
図7は、誤装着時の各信号線における直列抵抗の総和を示す図である。図7に示すように、各信号線におけるCPU32から各コネクタ34〜37までの直列抵抗の総和は図5と同様である。
【0038】
一方、図7に示すように、各信号線における各コネクタ34〜37から各EEPROM46〜49までの直列抵抗の値が図5と異なる。例えば、DATA信号線について、(K)のCPU32から(K)のコネクタ34に接続された(Y)のEEPROM47までの直列抵抗の値は5Rであり、CPU32から(Y)のコネクタ35に接続された(M)のEEPROM48までの直列抵抗の値は5Rである。よって、IDチップ(Y)47、IDチップ(M)48のDATA信号線において、正常時とは異なる抵抗値となるので、波形検出手段321は正しく電圧波形を検出できず、通信エラーが発生する。
【0039】
また、CLK信号線について、CPU32から(C)のコネクタ37に接続された(K)のEEPROM46までの直列抵抗の値は7Rである。よって、IDチップ(K)42のCLK信号線において、波形検出手段321は正しく電圧波形を検出できず、通信エラーが発生する。なお、図7に示すK、Y、M、Cは、図5と同様に各コネクタに対して正常装着される場合のトナーカートリッジの色を示す。
【0040】
<動作>
次に、実施例1に係る画像形成装置の動作について説明する。図8は、実施例1における各カートリッジへの通信判定処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11において、CPU32は、まず、(K)のIDチップ42へアクセスする。
【0041】
ステップS12において、判定手段322は、波形検出手段321により、各信号線において正しく電圧波形が検出できたか否かを判定する。ステップS12における判定結果がYES(正しい波形と判定)であればステップS14に進み、判定結果がNO(変形した波形と判定)であればステップS13に進む。
【0042】
ステップS13において、通信制御手段323は、トナーカートリッジが誤装着されているということで、トナーカートリッジ内のIDチップへの通信を行なわず、通信エラーと判断して処理を終了する。
【0043】
ステップS14において、CPU32は、CMYの各色のIDチップ47〜49へアクセスする。ステップS15において、判定手段322は、波形検出手段321により、各IDチップ47〜49の各信号線において正しく電圧波形が検出できたか否かを判定する。ステップS15における判定結果がYES(全部正常波形と判定)であればステップS17に進み、判定結果がNO(いずれかの信号線で変形した波形と判定)であればステップS16に進む。
【0044】
ステップS16において、印刷制御手段324は、モノクロ印刷を許可する。また、印刷制御手段324は、通信制御手段323に対し、(K)色のIDチップ42へのみデータ通信を行なわせるよう制御する。
【0045】
ステップS17において、CPU32は、全てのトナーカートリッジが正しく装着されたと判断して、通常動作を実行する。
【0046】
以上、実施例1によれば、製造コストの削減をしつつ、プロセスカートリッジの誤装着を検出することができる。また、(K)色のトナーカートリッジが少なくとも正常に装着されていることを検出した場合は、CPUは、モノクロ印刷を許可することができる。
【0047】
[実施例2]
次に、実施例2に係る画像形成装置について説明する。実施例2では、判定手段322によりトナーカートリッジの誤装着を判定した場合は、操作パネル51にトナーカートリッジが誤装着されていることを表示する。
【0048】
<全体構成>
図9は、実施例2における画像形成装置本体にカートリッジが装着された構成の一例を示すブロック図である。図9に示す抵抗の値は、図4に示す正常時の値を例にしている。図9に示す例では、図2に示す構成と同様であるが、異常時の内容を表示するために操作パネル51を図2に示す構成に追加している。
【0049】
図10は、実施例2におけるCPU50の主要機能構成を示す図である。図10に示すように、実施例2におけるCPU50は、波形検出手段321、判定手段322、通信制御手段323、印刷制御手段324、報知手段501を含む。図10に示す機能において、図3に示す機能と同様の機能のものは同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
報知手段501は、判定手段322によりトナーカートリッジが誤装着されていると判定された場合、トナーカートリッジを所定の正しい位置へ装着する旨の情報を操作パネル51に表示させる。これにより、ユーザは、トナーカートリッジが誤装着されていることを認識することができる。
【0051】
また、報知手段501は、通信エラーが発生しているIDチップの数によって、操作パネル51に表示させる内容を変更してもよい。通信エラーが発生しているIDチップの数が偶数であれば、トナーカートリッジを入れ間違えて装着している可能性が高いので、報知手段501は、トナーカートリッジを所定の正しい位置へ装着する旨の情報を操作パネル51に表示させる。なお、1組を入れ間違えた場合通信エラーのIDチップ数は2であり、2組を入れ間違えた場合通信エラーのIDチップは4である(図6に示す例では通信エラーは4)。
【0052】
一方、通信エラーが発生しているIDチップの数が奇数であれば、同色のトナーカートリッジが2つ、4つ、又は2組装着されている可能性が高いので、報知手段501は、同色のトナーカートリッジが複数本体に装着されている旨の情報を操作パネル51に表示させる。
【0053】
なお、同色のトナーカートリッジを全部(4つ)装着すること(通信エラーのIDチップは3つ)は考えにくいので、奇数を「1」に固定してもよい。
【0054】
また、判定手段322により通信不可能なIDチップが偶数か奇数かを判定し、偶数を示す情報、又は奇数を示す情報を報知手段501が判定手段322から取得することで、操作パネル51に表示する内容を変えてもよい。
【0055】
<動作>
次に、実施例2に係る画像形成装置の動作について説明する。図11は、実施例2における各カートリッジへの通信判定処理1の一例を示すフローチャートである。図11に示す処理において、図8に示す処理と同様の処理を行うものは同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、通信判定処理1では、全IDチップへの通信が可能である場合にのみ各IDチップへの通信が行われる。
【0056】
ステップS21において、判定手段322は、波形検出手段321により全色のIDチップ42〜45の各信号線において、正しく電圧波形が検出できたか否かを判定する。ステップS21の判定結果がYES(全部正常)であればステップS17に進み、判定結果がNO(少なくとも1つの信号線は通信エラー)であればステップS22に進む。
【0057】
ステップS22において、報知手段501は、判定手段322によりトナーカートリッジが誤装着されていると判定された場合、トナーカートリッジを所定の正しい位置へ装着する旨の情報を操作パネル51に表示させる。これにより、ユーザは、トナーカートリッジが誤装着されていることを認識することができる。
【0058】
次に、実施例2に係る画像形成装置の別の動作について説明する。図12は、実施例2における各カートリッジへの通信判定処理2の一例を示すフローチャートである。図12に示す処理において、図8に示す処理、又は図11に示す処理と同様の処理を行うものは同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、通信判定処理2では、通信不可能なIDチップの数が偶数か奇数かで操作パネル51に表示する内容を変える。
【0059】
ステップS21において、判定手段322は、IDチップにおいて少なくとも1つの信号線が通信可能ではないと判定すると、ステップS31に進む。ステップS31において、判定手段322は、通信不可能なIDチップの数が奇数であるか否かを判定する。ステップS31の判定結果がYES(奇数)であればステップS33に進み、判定結果がNO(偶数)であればステップS32に進む。
【0060】
ステップS32において、報知手段501は、判定手段322から通信不可能なIDチップの数が偶数であると通知された場合、トナーカートリッジを所定の正しい位置へ装着する旨の情報を操作パネル51に表示させる。
【0061】
ステップS33において、報知手段501は、判定手段322から通信不可能なIDチップの数が奇数であると通知された場合、同色のトナーカートリッジが複数本体に装着されている旨の情報を操作パネル51に表示させる。
【0062】
これにより、通信不可能なIDチップの数が偶数か奇数かで、操作パネル51に表示する表示内容を変えることにより、ユーザに適切な対処法を促すことができる。
【0063】
以上、実施例2によれば、判定手段322によりトナーカートリッジの誤装着を判定した場合は、操作パネル51にトナーカートリッジが誤装着されていることを表示することができる。また、実施例2によれば、通信不可能なIDチップの数が偶数か奇数かで、操作パネル51に表示する表示内容を切り替えることができる。
【0064】
なお、本発明は、上記各実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施例1や実施例2に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施例1や実施例2に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 画像処理装置
30 本体
31 基板
32、50 CPU
33 中継基板
34、35、36、37 コネクタ
38、39、40、41 トナーカートリッジ
42、43、44、45 IDチップ
46、47、48、49 EEPROM
51 操作パネル
321 波形検出手段
322 判定手段
323 通信制御手段
324 印刷制御手段
501 報知手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開2005−250375号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性の記録媒体を有し、該記録媒体に接続される信号線上に当該カートリッジ毎に異なる値を有する抵抗を有するカートリッジが着脱可能に装着される画像形成装置であって、
当該画像形成装置を制御する制御手段と、
前記カートリッジが装着可能であり、前記制御手段に接続される信号線上において、当該装着手段の配置毎に前記制御手段から接続される抵抗の総和が異なる値となるよう抵抗が配置される1以上の装着手段と、
前記装着手段により前記カートリッジが装着されることで前記制御手段と前記記録媒体とが直列に接続された信号線における電圧波形を検出する波形検出手段と、
前記波形検出手段により検出された電圧波形に基づいて、前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されていると判定された場合、前記制御手段と前記記録媒体との通信を行なう通信制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段により、ブラック色のカートリッジが該カートリッジに対応する前記装着手段に装着されたと判定されたとき、モノクロ印刷の実行を許可する印刷制御手段を有する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、
前記ブラック色のカートリッジ以外のカートリッジのうち、少なくとも1つのカートリッジが該カートリッジに対応する前記装着手段に装着されていないと前記判定手段に判定されたとき、前記ブラック色以外のカートリッジの前記記録媒体への通信を行なわない請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段により、前記カートリッジが該カートリッジに対応する前記装着手段に装着されていないと判定されたとき、該カートリッジが誤装着されていることを表示画面に表示させる報知手段を有する請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
不揮発性の記録媒体を有し、該記録媒体に接続される信号線上に当該カートリッジ毎に異なる値を有する抵抗を有するカートリッジが着脱可能に装着される画像形成装置であって、当該画像形成装置を制御する制御手段と、前記カートリッジが装着可能であり、前記制御手段に接続される信号線上において、当該装着手段の配置毎に前記制御手段から接続される抵抗の総和が異なる値となるよう抵抗が配置される1以上の装着手段とを備える画像形成装置における画像形成方法であって、
前記装着手段により前記カートリッジが装着されることで前記制御手段と前記記録媒体とが直列に接続された信号線における電圧波形を検出する波形検出段階と、
前記波形検出段階により検出された電圧波形に基づいて、前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されているか否かを判定する判定段階と、
前記判定段階により前記カートリッジが該カートリッジに対応する装着手段に装着されていると判定された場合、前記制御手段と前記記録媒体との通信を行なう通信制御段階と
を有する画像形成方法。
【請求項6】
前記判定段階において、ブラック色のカートリッジが該カートリッジに対応する前記装着手段に装着されたと判定されたとき、モノクロ印刷の実行を許可する印刷制御段階を有する請求項5記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記通信制御段階は、
前記ブラック色のカートリッジ以外のカートリッジのうち、少なくとも1つのカートリッジが該カートリッジに対応する前記装着手段に装着されていないと前記判定段階で判定されたとき、前記ブラック色以外のカートリッジの前記記録媒体への通信を行なわない請求項6記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記判定段階において、前記カートリッジが該カートリッジに対応する前記装着手段に装着されていないと判定されたとき、前記カートリッジが誤装着されていることを表示画面に表示させる報知段階を有する請求項5乃至7いずれか一項に記載の画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−217729(P2010−217729A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66453(P2009−66453)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】