説明

画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】手差収容部からの記録媒体の供給が指示された場合に、手差収容部から画像形成部への記録媒体の搬送経路を確保すると共に、該手差収容部へ記録媒体の収容を促す情報を提示する。
【解決手段】検知手段は、第3搬送経路上の、画像形成手段より搬送方向の上流側の予め定められた第1待機位置に、第1記録媒体が位置しているか否かを検知する。搬送制御手段は、収容部指定情報が手差収容部を示し、且つ検知手段によって第1待機位置に第1記録媒体が位置していることが検知された場合に、該第1記録媒体を第1搬送経路上の予め定めた第2待機位置まで後退させるように第3搬送手段及び第1搬送手段を制御する。提示手段は、種類情報に応じた第2記録媒体を手差収容部へ収容することを示す情報を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙等の連続紙に画像を形成する画像形成装置として、自動搬送経路と、手差搬送経路と、共通搬送経路と、を備えた装置が知られている。自動搬送経路は、画像形成装置内に設けられた媒体収容部に収容されたロール紙を搬送する搬送路である。手差搬送経路は、画像形成装置の外側に設けられた手差収容部に収容されたロール紙を搬送する搬送路である。共通搬送路は、自動搬送経路及び手差搬送経路から供給されたロール紙を画像形成部へ搬送する搬送路である。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷データが入力されたときに共通搬送路で用紙を検出せず且つ手差し指示がなされた場合には、手差搬送路による用紙搬送を行うことが開示されている。また、特許文献1には、印刷データが入力されたときに共通搬送路で用紙を検出せず且つ手差し指示がなされなかった場合には、自動搬送路による用紙搬送を行うことが開示されている。
【0004】
また、このような画像形成装置において、共通搬送路上における画像形成部より搬送方向上流側の待機位置でロール紙端部を止めておくことで、印刷開始時の搬送時間短縮を図る技術が検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、共通搬送路上における画像形成部より搬送方向上流側の待機位置でロール紙端部を止めておくことで、印刷開始時の搬送時間短縮を図ることができるが、従来では、手差搬送路から搬送されてきたロール紙等の連続紙に画像を形成する場合に、手差搬送路用の搬送経路を確保しつつ、ユーザにどのような種類の連続紙をどこにセットしたらよいかを提示することは困難であった。
【0006】
本発明は、手差収容部からの記録媒体の供給が指示された場合に、手差収容部から画像形成部への記録媒体の搬送経路を確保すると共に、該手差収容部へ記録媒体の収容を促す情報を提示する画像形成装置、及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1搬送手段と、第2搬送手段と、第3搬送手段と、受付手段と、画像形成手段と、検知手段と、搬送制御手段と、提示手段と、を備える。第1搬送手段は、媒体収容部から第1記録媒体を第1搬送経路に沿って搬送する。第2搬送手段は、手差収容部から第2記録媒体を第2搬送経路に沿って搬送する。第3搬送手段は、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路より前記第1記録媒体及び前記第2記録媒体の搬送方向の下流側に設けられた第3搬送経路に沿って、前記第1記録媒体または前記第2記録媒体を搬送する。受付手段は、前記媒体収容部または前記手差収容部を示す収容部指定情報、前記手差収容部へ収容する前記第2記録媒体の種類を示す種類情報、及び印刷対象の画像データ、を含む印刷データを受け付ける。画像形成手段は、前記第3搬送経路を搬送される前記第1記録媒体または前記第2記録媒体に前記画像データの画像を形成する。検知手段は、前記第3搬送経路上の、前記画像形成手段より前記搬送方向の上流側の予め定められた第1待機位置に、前記第1記録媒体が位置しているか否かを検知する。搬送制御手段は、前記収容部指定情報が前記手差収容部を示し、且つ前記検知手段によって前記第1待機位置に前記第1記録媒体が位置していることが検知された場合に、該第1記録媒体を前記第1搬送経路上の予め定めた第2待機位置まで後退させるように前記第3搬送手段及び前記第1搬送手段を制御する。提示手段は、前記種類情報に応じた前記第2記録媒体を前記手差収容部へ収容することを示す情報を提示する。
【0008】
また、本発明の画像形成方法は、画像形成装置で実行する画像形成方法であって、前記画像形成装置は、媒体収容部から第1記録媒体を第1搬送経路に沿って搬送する第1搬送手段と、手差収容部から第2記録媒体を第2搬送経路に沿って搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路より前記第1記録媒体及び前記第2記録媒体の搬送方向の下流側に設けられた第3搬送経路に沿って、前記第1記録媒体または前記第2記録媒体を搬送する第3搬送手段と、を備える。また、該画像形成方法は、前記媒体収容部または前記手差収容部を示す収容部指定情報、前記手差収容部へ収容する前記第2記録媒体の種類を示す種類情報、及び印刷対象の画像データ、を含む印刷データを受け付けるステップと、前記第3搬送経路を搬送される前記第1記録媒体または前記第2記録媒体に前記画像データの画像を形成するステップと、前記第3搬送経路上の、前記画像形成手段より前記搬送方向の上流側の予め定められた第1待機位置に、前記第1記録媒体が位置しているか否かを検知するステップと、前記収容部指定情報が前記手差収容部を示し、且つ前記第1検知手段によって前記待機位置に前記第1記録媒体が位置していることが検知された場合に、該第1記録媒体を前記第1搬送経路上の予め定めた第2待機位置まで後退させるように前記第3搬送手段及び前記第1搬送手段を制御するステップと、前記種類情報に応じた前記第2記録媒体を前記手差収容部へ収容することを示す情報を提示するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手差収容部からの記録媒体の供給が指示された場合に、手差収容部から画像形成部への記録媒体の搬送経路を確保すると共に、該手差収容部へ記録媒体の収容を促す情報を提示することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、プリンタエンジンの構成を示す模式図である。
【図3】図3は、コントローラの機能ブロック図である。
【図4】図4は、画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置の一の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態の画像形成システムの構成を示す模式図である。
【0013】
本実施の形態の画像形成システムは、ホストPC(Personal Computer)20、及び画像形成装置10を備える。ホストPC20と画像形成装置10は、ネットワーク等の通信回線を介して接続されている。
【0014】
ホストPC20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータである。ホストPC20は、印刷データを生成し、画像形成装置10へ出力する。
【0015】
印刷データは、印刷対象の画像データ、該画像データの画像を形成する連続紙の種類を示す種類情報、及び収容部指定情報を含む。連続紙とは、搬送方向に連続する記録媒体である。連続紙としては、例えば、ロール状に丸められて収容されるロール紙や、所定間隔毎に折り曲げられた状態で収容される連帳紙等が挙げられる。なお、本実施の形態では、搬送方向に連続する記録媒体である連続紙を用いる場合を説明するが、搬送方向に非連続の記録媒体を用いてもよい。
【0016】
収容部指定情報は、連続紙を収容する収容部を示す情報である。収容部指定情報は、具体的には、後述する媒体収容部または手差収容部を示す。なお、これらの収容部については詳細を後述する。種類情報は、画像形成対象の連続紙の紙幅等のサイズ、紙種、及び紙厚等の、画像形成対象の連続紙を特定可能な情報である。
【0017】
ホストPC20は、ホストPC20に予めインストールされている公知の印刷プログラムによって、ユーザの指定に応じた印刷データを生成する。なお、ホストPC20では、収容部指定情報や、印刷対象の画像データ、及び種類情報は、例えば、ホストPC20の図示を省略する表示部に、収容部指定情報や印刷対象の画像データや種類情報を指示するための入力画面を表示する。そして、ホストPC20の図示を省略するキーボード等の操作部がユーザにより操作指示されることによって、収容部指定情報、画像データ、及び種類情報がホストPC20に入力される。ホストPC20は、入力されたこれらの情報に基づいて、公知の印刷データ生成プログラムにより印刷データを生成する。
【0018】
画像形成装置10は、外部メモリ42、操作パネル44、コントローラ30、及びプリンタエンジン40を備える。
【0019】
外部メモリ42は、各種データを記憶する装置である。外部メモリ42としては、例えば、SD(Secure Digital)メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、及びHDD(Hard disk drive)等が挙げられる。
【0020】
操作パネル44は、手差収容部へ第2連続紙の収容を促す情報(詳細後述)等の各種情報を表示すると共に、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。操作パネル44としては、各種情報を表示する表示部と操作部等を備えた構成や、表示及び操作入力の受け付けを行うタッチパネル等が挙げられる。表示部としては、LCD(Liquid Crystal Display)等の公知の表示装置が挙げられる。操作部としては、例えば、マイクによる音声認識、ボタン、及びキーボード等が挙げられる。
【0021】
コントローラ30は、画像形成装置10本体各部の制御を行う。コントローラ30は、ホストPC20から受け付けた印刷データに含まれる画像データを解析し、プリンタエンジン40側で処理可能な形式に変換し、プリンタエンジン40へ出力する。また、コントローラ30は、画像形成対象の連続紙の搬送制御を行う(詳細後述)。
【0022】
コントローラ30は、ネットワークI/F31、ROM(Read Only Memory)33、外部装置I/F35、パネルI/F37、CPU(Central Processing Unit)32、RAM(Random Access Memory)34、NV(Non Volatile)−RAM36、及びエンジンI/F38を備える。なお、コントローラ30を構成するこれらの各モジュールは、バスを介して接続されている。
【0023】
ネットワークI/F31は、ホストPC20とコントローラ30の間で各種信号や各種データを送受信するためのインターフェイスである。具体的には、ネットワークI/F31は、ホストPC20から印刷データを受け付ける。外部装置I/F35は、外部メモリ42とコントローラ30との間でデータや信号をやりとりするためのインターフェイスである。パネルI/F37は、操作パネル44とコントローラ30との間でデータや信号をやり取りするためのインターフェイスである。
【0024】
CPU32は、コントローラ30の各モジュールを制御する。ROM33は、後述する画像形成処理を実行するための印刷プログラムや、各種プログラム、及び各種データを記憶する。RAM34は、各種データを一時的に記憶する。NV−RAM36は、電源を切っても保持したいデータを格納しておくための不揮発性RAMである。エンジンI/F38は、CPU32の制御に基づいて、プリンタエンジン40を制御する。
【0025】
図2は、プリンタエンジン40の構成の一例を示す模式図である。
【0026】
プリンタエンジン40は、コントローラ30から受け付けた画像データに基づいて、連続紙に画像を形成する。
【0027】
プリンタエンジン40は、媒体収容部60及び手差収容部58を備える。媒体収容部60は、プリンタエンジン40内において固定した状態で連続紙を収容する。手差収容部58は、プリンタエンジン40の外部から供給する連続紙を収容する収容部である。
【0028】
なお、媒体収容部60に収容される連続紙を、以下では、第1連続紙64と称して説明する。また、手差収容部58に収容される連続紙を、以下では、第2連続紙62と称して説明する。なお、これらの第1連続紙64及び第2連続紙62は、ロール状に巻かれた状態、または所定間隔毎に折り曲げられた状態で媒体収容部60及び手差収容部58の各々に収容される。本実施の形態では、第1連続紙64及び第2連続紙62はロール状に収容され、媒体収容部60及び手差収容部58は、これらの連続紙の回転中心の中心軸として機能する円柱状の支持部材として構成されている場合を図2に示した。しかし、これらの媒体収容部60及び手差収容部58は、各々、第1連続紙64及び第2連続紙62を収容して後述する各搬送経路に連続紙を供給可能な構成であればよく、円柱状の構成に限られない。例えば、媒体収容部60及び手差収容部58としては、第1連続紙64及び第2連続紙62を内部に保持する筐体や、第1連続紙64及び第2連続紙62を本体上に載置する板状部材であってもよい。
【0029】
なお、プリンタエンジン40は、媒体収容部60を複数備えた構成であってもよい。具体的には、図2に示すように、媒体収容部60A及び媒体収容部60Bを備えた構成であってもよい。なお、本明細書において、媒体収容部60A及び媒体収容部60Bを総称して説明する場合には、媒体収容部60と称して説明する。
【0030】
また、プリンタエンジン40は、複数の搬送経路を備える。詳細には、プリンタエンジン40は、第1搬送経路52、第2搬送経路50、及び第3搬送経路54を備える。第1搬送経路52は、媒体収容部60に収容された第1連続紙64を搬送する搬送経路である。第2搬送経路50は、手差収容部58に収容された第2連続紙62を搬送する搬送経路である。
【0031】
第3搬送経路54は、第1連続紙64及び第2連続紙62の双方を搬送可能な搬送経路である。第3搬送経路54は、第2搬送経路50及び第1搬送経路52より、連続紙(第1連続紙64及び第2連続紙62)の搬送方向(図2中、矢印A方向及び矢印B方向参照)下流側に設けられている。すなわち、第3搬送経路54には、媒体収容部60から第1搬送経路52を介して搬送されてきた第1連続紙64、及び手差収容部58から第2搬送経路50を介して搬送されてきた第2連続紙62の双方が供給される。
【0032】
第1搬送経路52には、媒体収容部60から供給された第1連続紙64を該第1搬送経路52に沿って搬送する第1搬送部68E〜68Lが設けられている。第1搬送部68E〜68Lは、第1搬送経路52に沿って設けられており、コントローラ30の制御によって第1連続紙64を第1搬送経路52に沿って搬送する。
【0033】
また、第1搬送経路52には、第1搬送経路52を複数の領域に分割した領域毎に、第1連続紙64を検出するためのセンサ70F〜70Lが設けられている。本実施の形態では、センサ70Lは、第1搬送経路52上の、最も第3搬送経路54側の領域に第1連続紙64が存在するか否かを検出する。センサ70J及びセンサ70Kは、該領域より第1連続紙64の搬送方向上流側に設けられ、給紙待機位置Eに第1連続紙64が位置しているか否かを検出する。センサ70F〜センサ70Iは、給紙待機位置Eより搬送方向上流側に設けられ、第1連続紙64が給紙開始位置Dに位置するか否かを検出する。
【0034】
第2搬送経路50には、手差収容部58から供給された第2連続紙62を該第2搬送経路50に沿って搬送する第2搬送部68Aが設けられている。第2搬送部68Aは、第2搬送経路50に沿って設けられており、コントローラ30の制御によって第2連続紙62を第2搬送経路50に沿って搬送する。
【0035】
また、手差収容部58には、第2連続紙62が手差収容部58に収容されているか否かを検出するためのセンサ70Aが設けられている。
【0036】
第3搬送経路54には、第2連続紙62または第1連続紙64を、該第3搬送経路54に沿って搬送する第3搬送部68B〜68Dが設けられている。第3搬送部68B〜68Dは、第3搬送経路54に沿って設けられており、コントローラ30の制御によって、第1連続紙64または第2連続紙62を第3搬送経路54に沿って搬送する。
【0037】
また、第3搬送経路54には、第1連続紙64または第2連続紙62に画像を形成する画像形成部66が設けられている。画像形成部66は、第1連続紙64または第2連続紙62に画像を形成する公知の構成であればよい。画像形成部66には、例えば、インクジェット方式の記録装置や、電子写真方式の記録装置等が挙げられる。画像形成部66は、コントローラ30から画像データを受け付け、受け付けた画像データの画像を第2連続紙62または第1連続紙64へ形成する。
【0038】
第3搬送経路54における、画像形成部66より、第2連続紙62及び第1連続紙64の搬送方向(図2中、矢印C方向参照)の上流側には、センサ70C及びセンサ70Bが設けられている。センサ70C及びセンサ70Bは、第3搬送経路54における画像形成部66より搬送方向(矢印C方向)上流側の待機位置Fに、第2連続紙62または第1連続紙64が位置しているか否かを検出する。また、第3搬送経路54における、画像形成部66の設けられている位置には、センサ70Dが設けられている。センサ70Dは、画像形成部66によって画像の形成される位置に、第1連続紙64または第2連続紙62が位置しているか否かを検出する。
【0039】
第3搬送経路54における、画像形成部66より搬送方向(矢印C方向)の下流側には、第1連続紙64または第2連続紙62を裁断するための切断部76が設けられている。切断部76には、カッター等が挙げられる。
【0040】
また、第3搬送経路54における、切断部76より搬送方向(矢印C方向)の下流側には、センサ70Eが設けられている。センサ70Eは、該下流側に第1連続紙64または第2連続紙62が位置しているか否かを検出する。
【0041】
第3搬送経路54より搬送方向(矢印C方向)の下流側には、支持部74によって支持されたカバー72が設けられている。
【0042】
また、プリンタエンジン40には、画像読取部56が設けられている。画像読取部56は、公知のスキャナ機能であり、図示を省略する載置台に載置された記録媒体上に形成されている画像を読取り、読みとった画像の画像データをコントローラ30へ出力する。
【0043】
このように構成されたプリンタエンジン40では、媒体収容部60に収容された第1連続紙64は、第1搬送部68E〜68Lによって第1搬送経路52に沿って搬送される。そして、第1連続紙64は、第3搬送部68B〜68Dによって第3搬送経路54に沿って搬送され、画像形成部66によって画像形成された後に切断部76によって切断され、プリンタエンジン40の外部へと排出される。
【0044】
また、プリンタエンジン40では、手差収容部58に収容された第2連続紙62は、第2搬送部68Aによって第2搬送経路50に沿って搬送される。そして、第2連続紙62は、第3搬送部68B〜68Dによって第3搬送経路54に沿って搬送され、画像形成部66によって画像形成された後に切断部76によって切断され、プリンタエンジン40の外部へと排出される。
【0045】
なお、プリンタエンジン40では、画像形成部66による画像データの画像形成処理後に、第1連続紙64の搬送方向先端部が待機位置Fに位置するように、第1連続紙64を待機させる。このため、画像形成装置10では、画像形成時間の短縮を図ることができる。
【0046】
ここで、第1連続紙64を待機位置Fに待機させることによって、画像形成時間の短縮を図ることができるが、手差収容部58の第2連続紙62に画像を形成する場合には、画像形成対象の連続紙が異なるため、第2連続紙62用の搬送経路が確保されず、また、エラーメッセージが操作パネル44に表示される場合がある。
【0047】
そこで、本実施の形態の画像形成装置10では、コントローラ30が、後述する特有の画像形成処理を実行する。
【0048】
図3は、画像形成装置10におけるコントローラ30の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、コントローラ30は、解析部80、判別部82、検知部84、搬送制御部86、表示制御部88、及び印刷制御部89を備える。
【0049】
解析部80は、ホストPC20から受け付けた印刷データを解析する。判別部82は、印刷データに含まれる収容部指定情報を読取り、収容部指定情報が、手差収容部を示す情報であるか、媒体収容部を示す情報であるかを判別する。検知部84は、プリンタエンジン40に設けられた各センサ70A〜70Lからの検出信号と、各センサ70A〜70Lの識別信号を受け付ける。検知部84では、各センサ70A〜70Lからの識別信号と検出信号とを受け付けることによって、第2連続紙62及び第1連続紙64の各々の位置を検知する。なお、各センサ70A〜70Lを総称する場合には、センサ70と称して説明する。
【0050】
搬送制御部86は、プリンタエンジン40に設けられた第2搬送部68A、第3搬送部68B〜68D、及び第1搬送部68E〜68Lの各々を制御する。これによって、搬送制御部86は、第2連続紙62及び第1連続紙64の搬送を制御する。表示制御部88は、操作パネル44に各種情報を表示する。印刷制御部89は、画像形成部66を制御し、画像データに応じた画像を形成する。
【0051】
次に、コントローラ30で実行する画像形成処理を説明する。
【0052】
図4は、コントローラ30で実行する画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【0053】
まず、解析部80が、ホストPC20から印刷データを受信したか否かを判断する(ステップS100)。ステップS100で肯定判断すると(ステップS100:Yes)、解析部80は、受け付けた印刷データを解析する(ステップS102)。
【0054】
次に、判別部82が、解析部80で解析された印刷データに含まれる収容部指定情報を読取り(ステップS104)、収容部指定情報が手差収容部を示す情報であるか否かを判断する(ステップS106)。
【0055】
ステップS106で肯定判断すると(ステップS106:Yes)、検知部84が、第1連続紙64の搬送方向先端位置が待機位置Fに位置しているか否かを判断する(ステップS108)。検知部84は、検出信号及び各センサ70の識別情報を各センサ70から受け付け、第1搬送経路52に設けられたセンサ70の何れかから第1連続紙64の検出を示す検出信号を受け付けると共に第3搬送経路54に設けられたセンサ70B及びセンサ70Cから検出を示す検出信号を受け付けたときに、ステップS108において肯定判断すればよい。
【0056】
検知部84がステップS108で否定判断すると(ステップS108:No)、後述するステップS114へ進む。一方、検知部84が、ステップS108で肯定判断すると(ステップS108:Yes)、ステップS110へ進む。
【0057】
次に、搬送制御部86が、給紙待機位置Eまでの後退搬送指示信号を、第3搬送部68B及び第1搬送部68E〜68Lへ出力する(ステップS110)。
【0058】
給紙待機位置Eまでの後退搬送指示信号を受け付けた第3搬送部68B及び第1搬送部68E〜68Lは、連続紙の搬送方向(図2中、矢印C方向及び矢印A方向)に第1連続紙64を搬送するときの搬送方向とは逆方向に、第1連続紙64を搬送する。このため、待機位置Fに位置していた第1連続紙64が、第3搬送経路54より搬送方向上流側の第1搬送経路52内に位置するように、第1連続紙64が後退搬送される。
【0059】
そして、検知部84は、第1連続紙64の後退搬送が完了したと判断するまで否定判断を繰り返し(ステップS112:No)、後退搬送が完了したと判断すると(ステップS112:Yes)、搬送制御部86は搬送停止信号を第3搬送部68B及び第1搬送部68E〜68Lへ出力する。
【0060】
なお、検知部84は、センサ70C、センサ70B、及びセンサ70Lから受け付ける検出信号が、連続紙(第1連続紙64)の非検出を示す信号であり、且つセンサ70Jまたはセンサ70Kから受け付ける検出信号が、連続紙(第1連続紙64)の検出を示す信号であるときに、ステップS112で肯定判断すればよい。
【0061】
次に、表示制御部88が、第2連続紙62の種類情報を入力するための入力画面、及び第2連続紙62の手差収容部58への収容を促す収容指示画像を操作パネル44に表示する(ステップS114)。第2連続紙62の種類情報を入力するための入力画面は、第2連続紙62の種類情報の入力欄の設けられた入力画面であって、ユーザの操作パネル44による操作指示によって該入力欄への種類情報の入力可能な画面である。また、この入力画面の入力画面情報は、例えば、コントローラ30のNV−RAM36等に予め記憶しておけばよい。また、第2連続紙62の手差収容部58への収容を促す収容指示画像のデータについても、例えば、コントローラ30のNV−RAM36等に予め記憶しておけばよい。
【0062】
なお、第2連続紙62の手差収容部58への収容指示を示す収容指示画像は、第2連続紙62の手差収容部58への収容指示を促すメッセージを含む画像であればよい。
【0063】
次に、表示制御部88は、ユーザによる操作パネル44の操作指示によって種類情報の入力がなされるまで(入力完了するまで)否定判断を繰り返す(ステップS116:No)。そして、ステップS116で肯定判断すると(ステップS116:Yes)、ステップS118へ進む。
【0064】
次に、検知部84が、手差収容部58に第2連続紙62が収容済であると判断するまで否定判断を繰り返す(ステップS118:No)。そして、手差収容部58に第2連続紙62が収容済であると判断すると(ステップS118:Yes)、ステップS120へ進む。なお、検知部84は、センサ70Aから第2連続紙62の検出を示す検出信号を受け付けたか否かを判断することによって、ステップS118の判断を行えばよい。
【0065】
次に、搬送制御部86が、手差収容部58から待機位置Fへの第2連続紙62の搬送指示を示す搬送指示信号を第2搬送部68A及び第3搬送部68Bへ出力する(ステップS120)。該搬送指示を受け付けると、第2搬送部68Aは、手差収容部58に収容されている第2連続紙62を第2搬送経路50に沿って搬送する。第3搬送部68Bは、第2搬送経路50を搬送されてきて第3搬送経路54に到った第2連続紙62を、第3搬送経路54に沿って搬送する。
【0066】
次に、印刷制御部89が、プリンタエンジン40へ印刷指示を出力することによって画像形成処理を実行する(ステップS122)。詳細には、印刷制御部89は、ステップS100で受け付けた印刷データに含まれる画像データの画像形成指示を画像形成部66へ出力すると共に、第3搬送部68B〜68Dへ搬送指示信号を出力する。これによって、画像形成部66が、第3搬送経路54に沿って搬送される第2連続紙62または第1連続紙64に画像を形成する。
【0067】
なお、ステップS122の処理は、ステップS100で受け付けた画像データの画像形成が終了するまで連続して行う。
【0068】
ステップS122の画像形成処理が終了すると、搬送制御部86は、媒体収容部60Aまたは媒体収容部60Bから待機位置Fへの第1連続紙64の搬送指示を示す搬送指示信号を出力し(ステップS124)、本ルーチンを終了する。詳細には、搬送制御部86は、該搬送指示信号を、第3搬送部68B、第1搬送部68E、68F、68G、及び68H、または、第3搬送部68B、第1搬送部68E、68L、68K、68J、及び68Iに出力する。
【0069】
該搬送指示信号を受け付けた第3搬送部68B、第1搬送部68E、68F、68G、及び68H、または、第3搬送部68B、第1搬送部68E、68L、68K、68J、及び68Iは、媒体収容部60Aまたは媒体収容部60Bに収容されている第1連続紙64を、待機位置Fの位置まで搬送する。
【0070】
一方、上記ステップS100で否定判断(ステップS100:No)した場合には、ステップS126へ進み、操作パネル44から手差収容部を示す収容部指定情報を受け付けたか否かを判断する(ステップS126)。ステップS126で肯定判断すると、上記ステップS108へ進む。なお、ステップS126で肯定判断した後に上記ステップS122で行う画像形成処理に用いる画像データは、画像読取部56で読み取った画像データであってもよいし、前回受け付けた印刷データに含まれる画像データであってもよい。
【0071】
上記ステップS126で否定判断(ステップS126:No)した場合、及び上記ステップS106で否定判断(ステップS106:No)した場合には、ステップS128へ進む。ステップS128では、上記ステップS124と同様に、搬送制御部86が、媒体収容部60Aまたは媒体収容部60Bから待機位置Fへの第1連続紙64の搬送指示を示す搬送指示信号を出力する(ステップS128)。そして、上記ステップS122へ進む。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10では、印刷データに含まれる収容部指定情報が手差収容部を示す場合、または手差収容部を示す収容部指定情報を受け付けた場合には、待機位置Fに位置している第1連続紙64を第3搬送経路54より搬送方向上流側の第1搬送経路52に後退搬送させる。また、この場合、画像形成装置10では、手差収容部58への第2連続紙62の収容を促す画像を操作パネル44に表示する。
【0073】
このため、本実施の形態の画像形成装置10では、手差収容部58が指示された場合に、画像形成部66への第2連続紙62の搬送経路を確保すると共に、該手差収容部58へ第2連続紙62の収容を促す情報を提示することができる。
【0074】
なお、本実施の形態の画像形成装置10は、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0075】
本実施形態の画像形成装置10で実行される画像形成処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0076】
また、本実施形態の画像形成装置10で実行される画像形成処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の画像形成装置10で実行される画像形成処理の各々を実行するためのプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0077】
また、本実施形態の画像形成装置10で実行される画像形成処理の各々を実行するためのプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0078】
なお、本実施形態の画像形成装置10のコントローラ30は、上述した画像形成処理を実行するための機能部(解析部80、判別部82、検知部84、搬送制御部86、表示制御部88、及び印刷制御部89)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から、画像形成処理を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより上記各機能部が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0079】
なお、上記には、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0080】
なお、本実施の形態では、操作パネル44に、第2連続紙62の手差収容部58への収容を促す情報を表示する場合を説明するが、画像形成装置10にスピーカ等の出力装置を備えた構成とし、該情報を音声により出力してもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 画像形成装置
44 操作パネル
50 第2搬送経路
52 第1搬送経路
54 第3搬送経路
58 手差収容部
60 媒体収容部
62 第2連続紙
64 第1連続紙
66 画像形成部
68A 第2搬送部
68B、68C、68D 第3搬送部
68E、68F、68G、68H、68I、68J、68K、68L 第1搬送部
70 センサ
80 解析部
82 判別部
84 検知部
86 搬送制御部
88 表示制御部
89 印刷制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2007−185800号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体収容部から第1記録媒体を第1搬送経路に沿って搬送する第1搬送手段と、
手差収容部から第2記録媒体を第2搬送経路に沿って搬送する第2搬送手段と、
前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路より前記第1記録媒体及び前記第2記録媒体の搬送方向の下流側に設けられた第3搬送経路に沿って、前記第1記録媒体または前記第2記録媒体を搬送する第3搬送手段と、
前記媒体収容部または前記手差収容部を示す収容部指定情報、前記手差収容部へ収容する前記第2記録媒体の種類を示す種類情報、及び印刷対象の画像データ、を含む印刷データを受け付ける受付手段と、
前記第3搬送経路を搬送される前記第1記録媒体または前記第2記録媒体に前記画像データの画像を形成する画像形成手段と、
前記第3搬送経路上の、前記画像形成手段より前記搬送方向の上流側の予め定められた第1待機位置に、前記第1記録媒体が位置しているか否かを検知する検知手段と、
前記収容部指定情報が前記手差収容部を示し、且つ前記検知手段によって前記第1待機位置に前記第1記録媒体が位置していることが検知された場合に、該第1記録媒体を前記第1搬送経路上の予め定めた第2待機位置まで後退させるように前記第3搬送手段及び前記第1搬送手段を制御する搬送制御手段と、
前記種類情報に応じた前記第2記録媒体を前記手差収容部へ収容することを示す情報を提示する提示手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送制御手段は、当該画像形成装置本体に電力が供給されたときに、前記第1記録媒体を前記第1待機位置に位置させるように、前記第1搬送手段及び前記第3搬送手段を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1記録媒体及び前記第2記録媒体の少なくとも一方は、連続紙である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置で実行する画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、
媒体収容部から第1記録媒体を第1搬送経路に沿って搬送する第1搬送手段と、
手差収容部から第2記録媒体を第2搬送経路に沿って搬送する第2搬送手段と、
前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路より前記第1記録媒体及び前記第2記録媒体の搬送方向の下流側に設けられた第3搬送経路に沿って、前記第1記録媒体または前記第2記録媒体を搬送する第3搬送手段と、
を備え、
前記媒体収容部または前記手差収容部を示す収容部指定情報、前記手差収容部へ収容する前記第2記録媒体の種類を示す種類情報、及び印刷対象の画像データ、を含む印刷データを受け付けるステップと、
前記第3搬送経路を搬送される前記第1記録媒体または前記第2記録媒体に前記画像データの画像を形成するステップと、
前記第3搬送経路上の、前記画像形成手段より前記搬送方向の上流側の予め定められた第1待機位置に、前記第1記録媒体が位置しているか否かを検知するステップと、
前記収容部指定情報が前記手差収容部を示し、且つ前記検知手段によって前記第1待機位置に前記第1記録媒体が位置していることが検知された場合に、該第1記録媒体を前記第1搬送経路上の予め定めた第2待機位置まで後退させるように前記第3搬送手段及び前記第1搬送手段を制御するステップと、
前記種類情報に応じた前記第2記録媒体を前記手差収容部へ収容することを示す情報を提示するステップと、
を含む画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103413(P2013−103413A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249063(P2011−249063)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】