説明

画像形成装置、及び表示制御方法

【課題】ピンチアウトやピンチインの操作により画像を規定のサイズに容易に拡大縮小することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】ピンチアウトやピンチインの操作により指示された2つの指示点の相互間の移動速度が閾値以上であって、各指示点が相互に離反する方向に移動した場合に、プレビュー画像(原稿画像)を元のサイズよりも大きな定型サイズに拡大し、移動速度が閾値以上であって、各指示点が相互に接近する方向に移動した場合に、プレビュー画像(原稿画像)を元のサイズよりも小さな定型サイズに縮小している。従って、ピンチアウトやピンチインのときに、例えば2本の指を急速に開くか閉じて、2本の指先による各指示点の相互間の移動速度を閾値以上にするだけで、プレビュー画像(原稿画像)を定型サイズに拡大又は縮小することができ、ピンチアウトやピンチインの微妙な操作を必要としない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、及び画像形成装置に好適なタッチスクリーンの表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、画像を記録用紙に記録するに先立ち、画像を表示装置の画面にプレビュー表示して確認できるようにしたものがある。例えば、画像を表示装置の画面にプレビュー表示した上で、画像の向きを変更したり、画像を拡大縮小(変倍)し、この後に画像を記録用紙に記録する。これにより、ユーザの要求に合った画像を作成して確認し記録用紙に記録することができる。
【0003】
また、画像形成装置においては、表示装置の画面にタッチパネルを重ねてなるタッチスクリーンを採用することが多く、タッチスクリーンに対する入力指示により拡大縮小率(変倍率)等を調節設定できるようにしている。例えば、表示装置の画面に拡大キーや縮小キーを表示し、タッチパネルにより各キーに対する指示を検出し、各キーに対する指示に応じて画像の拡大縮小率を画面に表示しつつ変更し、画像の拡大縮小率を設定している。
【0004】
一方、タッチスクリーンに対して2つの指先で指示された2つの指示点の移動に応じて画像の拡大縮小処理(変倍処理)を行うという技術が提案され実施されている。このタッチスクリーンのタッチパネルとしては、複数の指先等により指示された多点を同時に検出することが可能な投影型静電容量方式(Projected Capacitive Type)等のものが適用される。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の携帯情報機器では、画像を表示装置の画面に表示し、タッチパネルにより2つの指先で指示された2つの指示点を検出し、この2つの指示点の移動方向に応じて画面上の画像の拡大縮小処理を行っている。具体的には、2つの指先で指示された2つの指示点が離反する方向に移動すると、この移動に応じて拡大率を連続的に増大させ、また2つの指示点が接近する方向に移動すると、この移動に応じて縮小率を連続的に減少させて、画面上の画像を拡大縮小している。
【0006】
尚、2つの指示点が離反するような2つの指先の操作をピンチアウトと称し、2つの指示点が接近するような2つの指先の操作をピンチインと称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−163031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、画像形成装置において、タッチパネルスクリーンに対するピンチアウトやピンチインの操作を採用し、この操作により画像の拡大縮小率を調節設定することが考えられる。
【0009】
しかしながら、画像形成装置では、画像を記録用紙の定型サイズに拡大縮小することが多く、この定型サイズへの拡大縮小率を、ピンチアウトやピンチインの操作により設定するのは困難である。例えば、画像のサイズがA5(JIS規格)であって、記録用紙の定型サイズがA3(JIS規格)であり、A5の画像をA3の記録用紙に合うように拡大する場合は、拡大率が200%となる。また、画像のサイズがA3であって、記録用紙の定型サイズがA5であり、A3の画像をA5の記録用紙に合うように縮小する場合は、縮小率が50%となる。このような拡大縮小率をピンチアウトやピンチインの操作により1%未満の誤差で正確に設定するには、指先の微妙な操作が必用となり、拡大縮小率の設定操作が困難である。また、個々のユーザの能力が異なるため、全てのユーザに対して、そのようなピンチアウトやピンチインの微妙な操作を強いるのは好ましくない。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ピンチアウトやピンチインの操作により画像を規定のサイズに容易に拡大縮小することが可能な画像形成装置及び画像形成装置に好適なタッチスクリーンの表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、画像を表示装置の画面にプレビュー表示し、前記画像を記録用紙に記録する画像形成装置であって、前記表示装置の画面に重ねて設けられ、2つの指示点を同時に検出するタッチパネルと、前記タッチパネルにより検出された各指示点の離反又は接近に応じて前記記録用紙に記録される画像の変倍率を変更しており、前記各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度を求め、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を設定する制御部とを備えている。
【0012】
このような本発明の画像形成装置においては、タッチパネルとして2つの指示点を同時に検出するものを適用しており、2本の指先で指示された2つの指示点を同時に検出することができる。このため、制御部は、タッチパネルの検出出力に基づき、2つの指示点が離反するような2つの指先の操作(ピンチアウト)と、2つの指示点が接近するような2つの指先の操作(ピンチイン)とを判定し、ピンチアウト又はピンチインの操作に応じて画像の拡大率又は縮小率(変倍率)を変更することができる。そして、制御部は、各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を設定している。従って、ピンチアウトやピンチインのときに、例えば2本の指を急速に開くか閉じて、2本の指先による各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度を閾値以上にするだけで、画像を記録用紙の定型サイズに拡大又は縮小することができ、ピンチアウトやピンチインの微妙な操作を必要としない。
【0013】
また、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であって、前記各指示点が相互に離反する方向に移動した場合に、前記画像を該画像の元のサイズよりも大きな記録用紙の定型サイズに拡大するための拡大率を設定し、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であって、前記各指示点が相互に接近する方向に移動した場合に、前記画像を該画像の元のサイズよりも小さな記録用紙の定型サイズに縮小するための縮小率を設定している。
【0014】
これにより、画像の拡大及び縮小の選択が可能になる。
【0015】
更に、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、前記タッチパネルによる各指示点の検出が中断したときに、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を出力している。
【0016】
ピンチアウトやピンチインの操作が終了したときには、2本の指先がタッチパネルから離れて、タッチパネルによる各指示点の検出が中断する。このため、各指示点の検出が中断したときの変倍率を出力している。
【0017】
また、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、前記画像の元のサイズの縦横比率と前記記録用紙の定型サイズの縦横比率とが一致しない場合に、前記元のサイズの縦幅に対する前記定型サイズの縦幅の縦比率と前記元のサイズの横幅に対する前記定型サイズの横幅の横比率とを比較し、前記縦比率及び前記横比率のうちの小さい方の比率を変倍率として設定している。
【0018】
この場合は、記録用紙に余白部分が生じるが、拡大又は縮小された画像全体が記録用紙に記録される。
【0019】
更に、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、前記画像の元のサイズの縦横比率と前記記録用紙の定型サイズの縦横比率とが一致しない場合に、前記元のサイズの縦幅に対する前記定型サイズの縦幅の縦比率と前記元のサイズの横幅に対する前記定型サイズの横幅の横比率とを比較し、前記縦比率及び前記横比率のうちの大きい方の比率を変倍率として設定している。
【0020】
この場合は、拡大又は縮小された画像の一部が記録用紙からはみ出して記録されないが、記録用紙の余白部分を小さく抑えることができる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、前記表示装置の画面に対する前記各指示点の相互間の移動方向を求め、前記移動方向が斜め方向である場合に、縦横方向の変倍率を求めて設定し、前記移動方向が縦方向又は横方向である場合に、縦方向又は横方向のみの前記画像の変倍率を求めて設定している。
【0022】
これにより、縦方向のみに変倍された画像や横方向のみに変倍小された画像を記録用紙に記録することができる。
【0023】
更に、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値未満であった場合に、前記各指示点の離間又は接近に応じて変倍率を連続的に変化させ、前記各指示点が停止したときの変倍率を設定し、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を設定している。
【0024】
これにより、任意の変倍率を設定することが可能になる。
【0025】
また、本発明の画像形成装置においては、前記制御部は、前記表示装置の画面に前記定型サイズに対応する指標を表示して、前記指標に合わせて拡大又は縮小した画像をプレビュー表示している。
【0026】
これにより、表示装置の画面上で、定型サイズへの画像の変倍を確認することができる。
【0027】
一方、本発明の表示制御方法は、表示装置と、前記表示装置の画面に重ねて設けられ、2つの指示点を同時に検出するタッチパネルとを備えるタッチスクリーンの表示制御方法であって、前記タッチパネルにより検出された各指示点の離反又は接近に応じて前記表示装置の画面に表示されている画像を変倍し、前記各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度を求め、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる規定サイズに変倍している。
【0028】
このような本発明の表示制御方法では、各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、表示装置の画面上の画像を該画像の元のサイズとは異なる規定サイズに変倍している。従って、ピンチアウトやピンチインのときに、例えば2本の指を急速に開くか閉じて、2本の指先による各指示点の相互間の移動速度もしくは移動速度もしくは移動加速度を閾値以上にするだけで、画面上の画像を規定サイズに変倍することができ、ピンチアウトやピンチインの微妙な操作を必要としない。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、2つの指示点が離間するような2本の指先の操作(ピンチアウト)と、2つの指示点が接近するような2本の指先の操作(ピンチイン)とを検出し、ピンチアウトのときに画像を拡大し、ピンチインのときに画像を縮小しており、各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を設定している。従って、ピンチアウトやピンチインのときに、例えば2本の指を急速に開くか閉じて、2本の指先による各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度を閾値以上にするだけで、画像を記録用紙の定型サイズに拡大又は縮小することができ、ピンチアウトやピンチインの微妙な操作を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】図2の操作パネル及び表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】図3のタッチスクリーンの液晶表示装置の画面の表示例を示す図である。
【図5】(a)は画面上のプレビュー領域における斜め方向のピンチアウトの操作を示す図であり、(b)は縦横方向に拡大されたプレビュー画像を示す図である。
【図6】タッチパネル上の2つの指示点の動きを例示する図である。
【図7】(a)は画面上のプレビュー領域における斜め方向のピンチインの操作を示す図であり、(b)は縦横方向に縮小されたプレビュー画像を示す図である。
【図8】(a)は左右両側にそれぞれの余白領域が生じた記録用紙を示す図であり、(b)は上下両側にそれぞれの余白領域が生じた記録用紙を示す図である。
【図9】(a)は拡大又は縮小された原稿画像が左右両側からはみ出した記録用紙を示す図であり、(b)は拡大又は縮小された原稿画像が上下両側からはみ出した記録用紙を示す図である。
【図10】(a)は画面上のプレビュー領域における縦方向のピンチアウトの操作を示す図であり、(b)は縦方向のみに拡大されたプレビュー画像を示す図である。
【図11】(a)は画面上のプレビュー領域における横方向のピンチアウトの操作を示す図であり、(b)は横方向のみに拡大されたプレビュー画像を示す図である。
【図12】図2の表示制御部による処理の概略を示すフローチャートである。
【図13A】図12のステップS106の処理を示すフローチャートである。
【図13B】図13Aに引き続く処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を概略的に示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能等を有する所謂複合機であり、画像読取り装置41により読取られた原稿の画像を外部に送信したり、この読取られた原稿の画像又は外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録用紙に記録したりする。
【0033】
また、画像形成装置1の前面には、操作パネル2が取り付けられ、この操作パネル2にタッチスクリーン3やキーボード4が設けられている。タッチスクリーン3は、例えば液晶表示装置と、液晶表示装置の画面に重ねられたタッチパネルとを備えている。液晶表示装置の画面には、画像形成装置1の操作情報もしくはボタン等が表示され、画面上のボタンが指先等で指示されると、タッチパネルにより該ボタンに対する指示が検出され、またキーボード4のボタンに対する操作も検出され、これらの指示や操作に応答して画像形成装置1が制御される。
【0034】
尚、図1上では、タッチスクリーン3やキーボード4が見えるように操作パネル2を前方向に向けているが、実際には、操作パネル2を上方向に向けて、タッチスクリーン3やキーボード4の確認や操作を容易に行えるようにしている。
【0035】
ここで、画像形成装置1は、原稿画像を記録用紙に印刷するべく、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電装置15、中間転写ベルト装置16、定着装置17、用紙搬送経路S、給紙トレイ18、及び用紙排出トレイ19等を備えている。
【0036】
画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電装置15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0037】
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、帯電装置15により感光体ドラム13を均一に帯電し、光走査装置11の光ビームにより感光体ドラム13表面を走査して、静電潜像を感光体ドラム13表面に形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像(ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエロー)を形成する。そして、各感光体ドラム13表面のトナー像を中間転写ベルト装置16の中間転写ベルト21に重ねて転写し、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成し、中間転写ベルト21と二次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域で、カラーのトナー像を中間転写ベルト21から記録用紙へと転写し、記録用紙を定着装置17の加熱ローラ31と加圧ローラ32間に挟み込んで、記録用紙上のカラーのトナー像を定着し、記録用紙を用紙排出トレイ19に排出する。
【0038】
記録用紙は、給紙トレイ18から引き出されて用紙搬送経路Sへと搬送され、用紙レジストローラ34、中間転写ベルト21と転写ローラ26a間のニップ域、定着装置17、及び排紙ローラ36等を通じて搬送され、用紙排出トレイ19へと排出される。ここでは、1つの給紙トレイ18を例示しているが、複数の給紙トレイ18を設けて、複数種の定型サイズの記録用紙を各給紙トレイ18に収容しておき、各給紙トレイ18のいずれかより必用な定型サイズの記録用紙を給紙する。
【0039】
画像読取り装置41の奥一辺には、ヒンジ(図示せず)を介して原稿カバー42の奥一辺が接続されており、原稿カバー42の手前部分を上下させることにより原稿カバー42を開閉することができる。原稿カバー42が開かれたときには、画像読取り装置41の原稿載置板44が開放され、この原稿載置板44上に原稿が載置される。
【0040】
画像読取り装置41は、原稿載置板44、第1走査ユニット45、第2走査ユニット46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48等を備えている。第1走査ユニット45は、光源51及び第1反射ミラー52を備えており、原稿サイズに応じた距離だけ副走査方向Yに一定速度Vで移動しながら、原稿載置板44上の原稿を光源51によって露光し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導き、これにより原稿画像を走査する。第2走査ユニット46は、第2及び第3反射ミラー53、54を備えており、第1走査ユニット45に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿からの反射光をCCD48に集光して、原稿画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿画像を繰返し主走査方向(副走査方向Yと直交する方向)に走査し、その度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
【0041】
CCD48により読取られた原稿画像は、CCD48からアナログ画像信号として出力され、このアナログ画像信号がデジタル画像信号(画像データ)にA/D変換される。そして、この画像データは、種々の画像処理を施されて画像形成装置1の光走査装置11へと送受され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0042】
図2は、本実施形態の画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。図2において、制御部61は、画像形成装置1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。プリンタエンジン62は、図1における光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電装置15、中間転写ベルト装置16、定着装置17、用紙搬送経路S、給紙トレイ18、及び用紙排出トレイ19等に相当し、電子写真方式により原稿画像を記録用紙に印刷する。画像処理部63は、画像データに対して各種の画像処理を施す。メモリ64は、例えばハードディスク装置(HDD)、RAM等であって、画像データを記憶したり、種々の制御データやプログラム等を記憶する。
【0043】
表示制御部65は、操作パネル2のタッチスクリーン3の液晶表示装置の表示制御を行ったり、タッチスクリーン3のタッチパネルを通じて液晶表示装置の画面のボタン等に対する指示を検出したり、キーボード4の操作キーに対する操作を検出する。
【0044】
バス66は、制御部61、プリンタエンジン62、画像処理部63、メモリ64、表示制御部65、及び画像読取り装置41の間で送受される制御データや画像データを伝送する。
【0045】
例えば、表示制御部65は、タッチスクリーン3の液晶表示装置の画面にアイコンやボタンを表示して、これらのアイコンやボタンに対する指示をタッチスクリーン3のタッチパネルを通じて判定し、またキーボード4の操作キーに対する操作を判定し、この指示されたアイコンやボタンあるいは操作された操作キーに対応する表示制御を行ったり、この指示されたアイコンやボタンあるいは操作された操作キーに対応する制御データを制御部61に出力する。具体的には、原稿画像の複写開始を示すボタンや操作キーが指示もしくは操作されると、原稿画像の複写開始を示す制御データが表示制御部65から制御部61へと送受される。制御部61は、この制御データに基づき原稿画像の複写開始を判定し、画像読取り装置41を制御して、画像読取り装置41で原稿画像を読取らせ、読取られた原稿画像を示す画像データをメモリ64に記憶させ、画像処理部63で画像データを処理させ、プリンタエンジン62でメモリ64内の画像データによって示される原稿画像を記録用紙に記録させる。
【0046】
図3は、操作パネル2及び表示制御部65の構成を示すブロック図である。操作パネル2のタッチスクリーン3は、液晶表示装置71と、液晶表示装置71の画面に重ねられたタッチパネル72とを備えており、液晶表示装置71の画面上のボタンが指先等で指示されると、タッチパネル72により該ボタンの指示点が検出される。
【0047】
タッチパネル72は、複数の指先等により指示された多点を同時に検出することが可能な投影型静電容量方式(Projected Capacitive Type)等のものであり、指示された1乃至複数の指示点を示す検出信号を出力する。このため、2つの指先により2つの指示点が指示されたときには、タッチパネル72の検出信号に基づき2つの指示点を識別することができ、2つの指示点が離間するような2つの指先の操作(ピンチアウト)や、2つの指示点が接近するような2つの指先の操作(ピンチイン)を判定することが可能である。
【0048】
キーボード4は、複数の操作キーを有しており、操作された操作キーを示す検出信号を出力する。
【0049】
表示制御部65は、タッチパネル72及びキーボード4からの検出信号を入力して、タッチパネル72及びキーボード4に対する入力内容を判定する操作判定部73と、予め設定された複数種の機能設定領域を液晶表示装置71の画面に区分け表示し、各種の機能を設定する機能設定部74と、バス66を介して、制御部61等との間で制御データ等を送受する入出力部75とを備えている。
【0050】
操作判定部73は、タッチパネル72及びキーボード4からの検出信号を入力すると、表示装置71の画面上の指先等で指示された指示点を検出して、この指示点のアイコンやボタンを識別したり、キーボード4の操作された操作キーを識別し、この識別結果を機能設定部74に出力する。機能設定部74は、各種の機能設定領域を液晶表示装置71の画面に区分け表示し、液晶表示装置71の画面上で指示されたアイコンやボタン、あるいはキーボード4の操作された操作キーに基づき、指示もしくは操作の内容を判定し、この判定結果を液晶表示装置71の画面上の各機能設定領域に反映させたり、この判定結果を示す制御データを入出力部75に出力する。入出力部75は、判定結果の制御データをバス66を介して制御部61等に出力する。制御部61は、制御データを入力して応答動作する。また、制御部61は、制御データ等をバス66を介して表示制御部65へと出力する。この制御データ等は、表示制御部65の入出力部75で取り込まれ、機能設定部74に入力される。機能設定部74は、制御データ等を入力すると、制御データ等を液晶表示装置71の画面上の各機能設定領域に反映させる。
【0051】
更に、機能設定部74は、プレビュー画像処理部76を含んでいる。プレビュー画像処理部76は、メモリ64内の原稿画像に対応するプレビュー用の画像(以下、プレビュー画像と称す)を、液晶表示装置71の画面の1つの機能設定領域にプレビュー表示する。また、プレビュー画像処理部76は、プレビュー画像に対して拡大縮小処理(変倍処理)を施す拡大縮小処理部77、プレビュー画像に対して色変換処理を施すカラー変換処理部78、及びプレビュー画像の向きを変更する回転処理部79等を備えており、プレビュー画像に対して各種の画像処理を施す。
【0052】
例えば、記録用紙に記録される原稿画像を示す画像データがメモリ64に記憶されたときに、メモリ64内の画像データに基づきプレビュー画像が制御部61又は画像処理部63で作成され、プレビュー画像や原稿画像のサイズが制御部61又は画像処理部63から表示制御部65の入出力部75を通じてプレビュー画像処理部76へと送受され、プレビュー画像が原稿画像のサイズに対応する大きさで液晶表示装置71の画面の1つの機能設定領域に表示される。
【0053】
また、プレビュー画像処理部76による画像処理の内容は、バス66を介して画像処理部63に入力される。画像処理部63は、その画像処理の内容に従って、メモリ64内の画像データを処理する。プリンタエンジン62は、メモリ64内の画像データによって示される原稿画像を記録用紙に記録する。
【0054】
従って、画像形成装置1においては、操作パネル2の液晶表示装置71の画面にプレビュー画像を表示して、プレビュー画像を拡大縮小(変倍)したり、プレビュー画像を色変換したり、プレビュー画像の向きを変更し、プレビュー画像と同様の処理を原稿画像に施し、この後に原稿画像を記録用紙に記録することができる。これにより、ユーザの要求に合った原稿画像を作成して確認し記録用紙に記録することができる。
【0055】
図4は、タッチスクリーン3の液晶表示装置71の画面の表示例を示す図である。図4に示すように液晶表示装置71の画面71aは、5つの機能設定領域、つまりシステム領域81、機能選択領域82、プレビュー領域83、アクションパネル領域84、及びタスクトリガー領域85に区分されている。
【0056】
システム領域81には、画像形成装置1の動作モードや状態が表示される。例えば、動作モードの名称、ジョブの進行状況、メモリ64の使用状況、時刻等が表示される。動作モードの名称、ジョブの進行状況、メモリ64の使用状況等は、制御部61から入出力部75を通じて機能設定部74へと送受され、機能設定部74によりシステム領域81に表示される。
【0057】
機能選択領域82には、各機能の設定や表示の切換えのために操作されるアイコン、ボタン等が表示される。例えば、機能選択領域82における表示の切換えのためのボタンが指示されると、操作判定部73は、タッチスクリーン3のタッチパネル72からの検出信号に基づき液晶表示装置71の画面71a上で指示された機能選択領域82のボタンを識別し、この識別したボタンを機能設定部74に通知する。機能設定部74は、このボタンの指示に応答して各領域81〜85の表示内容を変更する。
【0058】
プレビュー領域83には、先に述べたようにプレビュー画像処理部76によりメモリ64内の原稿画像に対応するプレビュー画像が表示される。また、プレビュー領域83には、左回転ボタン83a、右回転ボタン83b、色変換ボタン83c、拡大ボタン83d、及び縮小ボタン83eが表示されている。例えば、左回転ボタン83a又は右回転ボタン83bが指示されると、操作判定部73は、タッチスクリーン3のタッチパネル72からの検出信号に基づき液晶表示装置71の画面71a上で指示された左回転ボタン83a又は右回転ボタン83bを識別し、この識別したボタンを機能設定部74に通知する。機能設定部74は、このボタンの指示に応答してプレビュー画像処理部76の回転処理部79を起動する。回転処理部79は、プレビュー領域83に表示されているプレビュー画像を左回転又は右回転させる。また、色変換ボタン83cが指示されると、操作判定部73により色変換ボタン83cが識別され、機能設定部74によりプレビュー画像処理部76のカラー変換処理部78が起動される。カラー変換処理部78は、プレビュー領域83のプレビュー画像の色変換処理を行う。更に、拡大ボタン83d又は縮小ボタン83eが指示されると、機能設定部74によりプレビュー画像処理部76の拡大縮小処理部77が起動される。拡大縮小処理部77は、拡大ボタン83d又は縮小ボタン83eに応答してプレビュー領域83のプレビュー画像を拡大又は縮小する。
【0059】
プレビュー領域83の画像の拡大縮小は、拡大ボタン83d及び縮小ボタン83eによる指示だけではなく、プレビュー領域83において、2つの指先で指示された2つの指示点が離反するような2つの指先の操作(ピンチアウト)や、2つの指示点が接近するような2つの指先の操作(ピンチイン)によっても指示することができる。これらのピンチアウト及びピンチインについては、後で詳しく説明する。
【0060】
このようなプレビュー画像処理部76による画像処理の内容は、バス66を介して画像処理部63に入力され、画像処理部63により、その画像処理の内容に従って、メモリ64内の画像データが処理され、メモリ64内の画像データによって示される原稿画像が記録用紙に記録される。
【0061】
アクションパネル領域84には、操作についての補助、助言、提案等の支援情報が表示される。例えば、機能選択領域82における任意の機能に対応するアイコンが選択されると、機能設定部74は、任意の機能に関連する他の機能をアクションパネル領域84に表示して、操作を補助する。
【0062】
タスクトリガー領域85には、画像形成装置1の各種動作の開始を示すそれぞれのボタン等が表示される。例えば、原稿画像の記録開始を指示するボタンが表示されており、このボタンが操作されると、機能設定部74は、原稿画像の記録開始を示す制御データを入出力部75を通じて制御部61へと出力する。これに応答して制御部61によりプリンタエンジン62が駆動制御され、原稿画像が記録用紙に記録される。タスクトリガー領域85には、その他にファクシミリ機能の開始を示すボタン等が表示される。
【0063】
ところで、プレビュー領域83においては、先に述べたようにピンチアウトやピンチインの操作によりプレビュー画像及び原稿画像の拡大縮小を指示することができるが、原稿画像を元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに拡大縮小するべく、ピンチアウトやピンチインの操作により拡大縮小率(変倍率)を1%未満の誤差で正確に設定するには、指先の微妙な操作が必用となり、拡大縮小率の設定操作が困難である。
【0064】
そこで、本実施形態では、ピンチアウトやピンチインの操作により指示された2つの指示点の相互間の移動速度が閾値以上であって、各指示点が相互に離反する方向に移動した場合に、原稿画像を元のサイズよりも大きな定型サイズに拡大するための拡大率を設定し、また移動速度が閾値以上であって、各指示点が相互に接近する方向に移動した場合に、原稿画像を元のサイズよりも小さな定型サイズに縮小するための縮小率を設定している。従って、ピンチアウトやピンチインのときに、2本の指を急速に開くか閉じて、2本の指先による各指示点の相互間の移動速度を閾値以上にするだけで、原稿画像を定型サイズに拡大又は縮小することができ、ピンチアウトやピンチインの微妙な操作を必要としない。
【0065】
また、プレビュー領域83(液晶表示装置71の画面71a)に対して2つの指示点の移動方向が斜め方向である場合は、プレビュー画像及び原稿画像を縦横方向のいずれにも拡大縮小し、また2つの指示点の移動方向が縦方向又は横方向である場合は、プレビュー画像及び原稿画像を縦方向又は横方向のみに拡大縮小している。
【0066】
次に、そのようなピンチアウトやピンチインの操作による原稿画像並びにプレビュー画像の拡大縮小処理について詳しく説明する。
【0067】
例えば、プレビュー領域83には、プレビュー画像処理部76により図5(a)に示すようなプレビュー画像91が原稿画像のサイズに対応する大きさでプレビュー表示されているものとし、この状態で、プレビュー領域83において2本の指92、93の指先により2つの指示点P1、P2が指示され、各指92、93が斜め方向に開かれつつあって、各指示点P1、P2が離反しているものとする(ピンチアウト)。このとき、プレビュー画像処理部76の拡大縮小処理部77は、タッチスクリーン3のタッチパネル72により検出されて、操作判定部73により判定された各指示点P1、P2の位置を表示制御部65に内蔵のメモリ(図示せず)に一定周期Δτで繰返し記憶し、各指示点P1、P2の位置から各指示点P1、P2の移動方向を求め、この移動方向が斜め方向であると判定する。そして、拡大縮小処理部77は、移動方向が斜め方向であると判定すると、プレビュー画像91を縦横方向に変倍(拡大又は縮小)すると決定する。
【0068】
例えば、図6に示すようにタッチパネル72において、横方向をx軸の方向とし、縦方向をy軸の方向とし、指示点P1の座標位置を(x1+Δx1,y1+Δy1)とし、指示点P2の座標位置を(x2+Δx2,y2+Δy2)とする。ただし、Δx1及びΔy1は、一定周期Δτにおける指示点P1の移動距離であり、またΔx2及びΔy2は、一定周期Δτにおける指示点P2の移動距離である。
【0069】
このとき、タッチパネル72のx軸に対する各指示点P1、P2の移動方向の角度θは、次式(1)で求められる。
【0070】
θ=arctan((Δy1+Δy2)/(Δx1+Δx2)) …(1)
ここで、20°≦θ≦70°の場合は、各指示点P1、P2の移動方向が斜め方向である。また、0°≦θ<20°の場合は、各指示点P1、P2の移動方向が横方向であり、70°<θ≦90°の場合は、各指示点P1、P2の移動方向が縦方向である。
【0071】
図5(a)のプレビュー領域83においては、上記式(1)に基づき各指示点P1、P2の移動方向が斜め方向であると判定され、プレビュー画像91の縦横方向の変倍が決定される。
【0072】
また、拡大縮小処理部77は、一定周期Δτで繰返し記憶した各指示点P1、P2の位置に基づき該各指示点P1、P2の離間距離の変化量(√((Δx1+Δx2)2+(Δy1+Δy2)2)を求め、図5(a)に示すように離間距離が伸張して行くことから各指示点P1、P2が相互に離反する方向に移動していると判定し、プレビュー画像91を縦横方向に拡大すると決定する。
【0073】
更に、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vを次式(2)に基づき求めて、この移動速度Vが閾値以上であるか否かを判定する。
【0074】
V=√ ((Δy1+Δy2)/(Δx1+Δx2))/Δτ …(2)
例えば、各指92、93が緩やかに開かれると、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満になる。この場合、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満であると判定し、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて拡大率求めて設定する。例えば、1回目(初回)に検出された各指示点P1、P2の離間距離と今回検出された各指示点P1、P2の離間距離との差分や比に応じた拡大率を求めて設定する。
【0075】
こうして拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて拡大率を設定すると、プレビュー領域83上で、その拡大率でプレビュー画像91を縦横方向に拡大して表示する。また、拡大縮小処理部77は、原稿画像(メモリ64内の原稿画像)をその拡大率で拡大したときに、この拡大された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズを求めて設定する。
【0076】
記録用紙の定型サイズとは、画像形成装置1で用いられる記録用紙の定型サイズであって、複数種の定型サイズがある。拡大された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズは、拡大された原稿画像のサイズと同一か又は該サイズよりも一回り大きな定型サイズである。
【0077】
このような拡大率の設定、及びプレビュー領域83上でのプレビュー画像91の拡大表示は、一定周期Δτで繰返される。このため、ピンチアウトの操作が継続されている間、拡大率が増大して行き、プレビュー領域83のプレビュー画像91が徐々に拡大され、拡大された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが更新されて行く。
【0078】
また、各指92、93が急速に開かれると、各指92、93の相互間の移動速度Vが閾値以上となる。この場合、拡大縮小処理部77は、図5(a)に示すようにプレビュー領域83上で、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠94を表示し、図5(b)に示すようにプレビュー画像91を指標枠94に合わせて拡大表示する。
【0079】
そして、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズを原稿画像のサイズで割って、その商を原稿画像の拡大率として求める。例えば、原稿画像のサイズがA5(JIS規格)であり、記録用紙の定型サイズがA3(JIS規格)であり、A5の原稿画像をA3の記録用紙に合うように拡大する場合は、拡大率として200%が求められる。
【0080】
このように各指92、93による各指示点P1、P2が離反する方向に緩やかに移動して、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満となった場合は、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて拡大率が設定されて、拡大された原稿画像のサイズと同一か又は一回り大きな記録用紙の定型サイズが設定され、また各指92、93が急速に開かれて、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上となった場合は、原稿画像のサイズと一回り大きな記録用紙の定型サイズとに応じて拡大率が設定されて、この一回り大きな記録用紙の定型サイズが設定される。そして、タッチパネル72による各指示点P1、P2の検出が停止したときの拡大率及び記録用紙の定型サイズが決定される。
【0081】
この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、これに応答してプレビュー画像処理部76は、拡大縮小処理部77で最終的に設定された拡大率と記録用紙の定型サイズ、及びカラー変換処理部78や回転処理部79で設定された他の画像処理の内容を入出力部75を通じて画像処理部63等に出力する。画像処理部63は、メモリ64内の画像データに対して、拡大縮小処理部77で設定された拡大率の拡大処理を施し、カラー変換処理部78及び回転処理部79で設定された他の画像処理の内容を実施し、これにより得られた画像データをプリンタエンジン62に出力する。プリンタエンジン62は、画像データによって示される原稿画像、つまり拡大されたり、色変換されたり、回転された原稿画像を定型サイズの記録用紙に記録する。
【0082】
次に、図7(a)に示すようにプレビュー領域83において、2本の指92、93の指先により2つの指示点P1、P2が指示され、各指92、93が斜め方向に閉じられつつあって、各指示点P1、P2が接近しているものとする(ピンチイン)。このときにも、プレビュー画像処理部76の拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の位置を表示制御部65に内蔵のメモリ(図示せず)に一定周期Δτで繰返し記憶し、上記式(1)に基づきプレビュー領域83に対する各指示点P1、P2の移動方向の角度θを求めて、この移動方向が斜め方向であると判定し、この判定をなすと、プレビュー画像91を縦横方向に変倍すると決定する。そして、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の離間距離の変化を求め、この離間距離が短縮して行くことから各指示点P1、P2が相互に接近する方向に移動していると判定し、プレビュー画像91を縦横方向に縮小すると決定する。
【0083】
ここで、各指92、93が緩やかに閉じられると、各指92、93の相互間の移動速度Vが閾値未満になる。この場合、拡大縮小処理部77は、上記式(2)に基づき各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vを求め、この移動速度Vが閾値未満であると判定し、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて拡大率又は縮小率を求めて設定する。例えば、1回目(初回)に検出された各指示点P1、P2の離間距離と今回検出された各指示点P1、P2の離間距離との差分や比に応じた縮小率を求めて設定する。
【0084】
こうして拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて縮小率を設定すると、プレビュー領域83上で、その縮小率でプレビュー画像91を縮小して表示する。また、拡大縮小処理部77は、原稿画像(メモリ64内の原稿画像)をその縮小率で縮小したときに、この縮小された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズを求めて設定する。この好適な記録用紙の定型サイズは、縮小された原稿画像のサイズと同一か一回り大きな定型サイズである。
【0085】
このような縮小率の設定、及びプレビュー領域83上でのプレビュー画像91の縮小表示は、一定周期Δτで繰返される。このため、ピンチインの操作が継続されている間、縮小率が減少して行き、プレビュー領域83のプレビュー画像91が徐々に縮小され、縮小された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが更新されて行く。
【0086】
また、各指92、93が急速に閉じられると、各指92、93の相互間の移動速度Vが閾値以上になる。この場合、拡大縮小処理部77は、図7(a)に示すようにプレビュー領域83上で、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠94を表示し、図7(b)に示すようにプレビュー画像91を指標枠94に合わせて縮小表示する。
【0087】
そして、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズを原稿画像のサイズで割って、その商を原稿画像の縮小率として求める。例えば、原稿画像のサイズがA3であって、記録用紙の定型サイズがA5であり、A3の原稿画像をA5の記録用紙に合うように縮小する場合は、縮小率として50%を求める。
【0088】
このように各指92、93による各指示点P1、P2が接近する方向に緩やかに移動して、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満となった場合は、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて縮小率が設定されて、縮小された原稿画像のサイズと同一か一回り大きな記録用紙の定型サイズが設定され、また2本の指92、93が急速に閉じられて、各指92、93による各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上となった場合は、原稿画像のサイズと一回り小さな記録用紙の定型サイズとに応じて縮小率が設定され、この一回り小さな記録用紙の定型サイズが設定される。そして、タッチパネル72による各指示点P1、P2の検出が停止したときの縮小率及び記録用紙の定型サイズが決定される。
【0089】
この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、これに応答してプレビュー画像処理部76は、拡大縮小処理部77で最終的に設定された縮小率と記録用紙の定型サイズ、及びカラー変換処理部78や回転処理部79で設定された他の画像処理の内容を入出力部75を通じて画像処理部63等に出力する。画像処理部63は、メモリ64内の画像データに対して、拡大縮小処理部77で設定された縮小率の縮小処理を施し、カラー変換処理部78及び回転処理部79で設定された他の画像処理の内容を実施し、これにより得られた画像データをプリンタエンジン62に出力する。プリンタエンジン62は、画像データによって示される原稿画像を定型サイズの記録用紙に記録する。
【0090】
尚、ピンチアウトもしくはピンチインの緩やかな操作を選択的に繰返すことにより、プレビュー画像91並びに原稿画像をより拡大縮小したり、あるいは拡大及び縮小を選択的に繰返すことも可能である。この場合は、前回のピンチアウト又はピンチインの操作が終了したときの原稿画像の拡大縮小率を、今回の操作により継続して増減して行く。
【0091】
また、ピンチアウトもしくはピンチインの急速な操作を繰返すことにより、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに対応させて、プレビュー画像91並びに原稿画像を一回りずつ段階的に拡大縮小したり、あるいはそのような拡大及び縮小を選択的に繰返すことも可能である。この場合も、前回のピンチアウト又はピンチインの操作が終了したときの原稿画像の拡大縮小率を、今回の操作により継続して増減して行く。また、前回の急速な操作が終了したときに設定された記録用紙の定型サイズを原稿画像のサイズとみなした上で、今回の急速な操作に応じて、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに合わせて、原稿画像の拡大縮小率を段階的に増減して設定する。
【0092】
次に、ピンチアウトやピンチインの操作により原稿画像を定型サイズに拡大又は縮小するに際し、原稿画像のサイズの縦横比率と、拡大又は縮小された原稿画像が記録される記録用紙の定型サイズの縦横比率が一致しないときの拡大率又は縮小率の設定方法を説明する。
【0093】
例えば、原稿画像のサイズがA3であって、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズがA5であったり、あるいは原稿画像のサイズがA5であって、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズがA3であったりする場合は、原稿画像のサイズの縦横比率と記録用紙の定型サイズの縦横比率が同一であり、原稿画像を縦横方向に同一の拡大縮小率で拡大又は縮小すれば、拡大又は縮小された原稿画像が縦横方向のいずれについても記録用紙に調度収まる。
【0094】
ところが、原稿画像のサイズがA4であって、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズがB5であったり、あるいは原稿画像のサイズがB5であって、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズがA4であったりする場合は、原稿画像のサイズの縦横比率と記録用紙の定型サイズの縦横比率とが異なり、原稿画像を縦横方向共に同一の拡大縮小率で拡大又は縮小しても、拡大又は縮小された原稿画像が記録用紙に調度収まることはない。
【0095】
そこで、例えば原稿画像のサイズの縦幅に対する記録用紙の定型サイズの縦幅の縦比率と、原稿画像のサイズの横幅に対する記録用紙の定型サイズの横幅の横比率とを比較し、小さい方の比率を拡大率又は縮小率として設定し、原稿画像の拡大処理又は縮小処理を行う。
【0096】
この場合、図8(a)に示すように原稿画像95が拡大又は縮小されて一回り大きな又は小さなサイズの記録用紙96に記録されると、記録用紙96の左右両側にそれぞれの余白領域96aが生じたり、あるいは図8(b)に示すように記録用紙96の上下両側にそれぞれの余白領域96bが生じたりするが、拡大又は縮小された原稿画像95が記録用紙96からはみ出ることはない。
【0097】
具体的には、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2が斜め方向に移動していると判定し、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上であると判定すると、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを求める。そして、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズの縦幅に対する記録用紙の定型サイズの縦幅の縦比率と、原稿画像のサイズの横幅に対する記録用紙の定型サイズの横幅の横比率とを比較し、縦比率と横比率とが一致しなければ、小さい方の比率を拡大率又は縮小率として設定する。
【0098】
また、拡大縮小処理部77は、プレビュー領域83上で、先に求めた原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠を表示し、プレビュー画像を指標枠に合わせて拡大又は縮小表示する。このとき、指標枠の左右両側又は上下両側にそれぞれの余白領域を表示して、各余白領域が生じる旨をユーザに知らせる。
【0099】
あるいは、原稿画像のサイズの縦幅に対する記録用紙の定型サイズの縦幅の縦比率と、原稿画像のサイズの横幅に対する記録用紙の定型サイズの横幅の横比率とを比較し、大きい方の比率を拡大率又は縮小率として設定し、原稿画像の拡大処理又は縮小処理を行ってもよい。
【0100】
この場合、図9(a)に示すように原稿画像95が拡大又は縮小されて一回り大きな又は小さなサイズの記録用紙96に記録されると、拡大又は縮小された原稿画像95が記録用紙96の左右両側からはみ出したり、図9(b)に示すように拡大又は縮小された原稿画像95が記録用紙96の上下両側からはみ出したりするが、記録用紙96の余白領域を抑えることができる。
【0101】
具体的には、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2が斜め方向に移動していると判定し、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上であると判定すると、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを求める。そして、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズの縦幅に対する記録用紙の定型サイズの縦幅の縦比率と、原稿画像のサイズの横幅に対する記録用紙の定型サイズの横幅の横比率とを比較し、縦比率と横比率とが一致しなければ、大きい方の比率を拡大率又は縮小率として設定する。
【0102】
また、拡大縮小処理部77は、プレビュー領域83上で、先に求めた原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠を表示し、プレビュー画像を指標枠に合わせて拡大又は縮小表示する。このとき、原稿画像の左右両側又は上下両側を指標枠からはみ出させて、原稿画像の左右両側又は上下両側が記録されない旨をユーザに知らせる。
【0103】
このように原稿画像のサイズの縦横比率と記録用紙の定型サイズの縦横比率とが異なっていても、原稿画像を一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズに拡大又は縮小するための拡大率又は縮小率を求めて設定し、拡大又は縮小された原稿画像が記録される記録用紙の定型サイズを設定することができる。
【0104】
尚、ユーザの操作により図8(a)、(b)に示すような拡大縮小率と図9(a)、(b)に示すような拡大縮小率のいずれかを選択できるのが望ましい。
【0105】
次に、ピンチアウト及びピンチインの操作により縦方向又は横方向のみの拡大縮小が指示されたときの拡大縮小手順を説明する。
【0106】
先に述べたように拡大縮小処理部77は、上記式(1)に基づきプレビュー領域83に対する各指示点P1、P2の移動方向を求め、この移動方向が斜め方向であると判定したならば、原稿画像を縦横方向に拡大又は縮小している。
【0107】
また、図10(a)に示すようにプレビュー領域83における各指示点P1、P2の移動方向が縦方向であるとすると、拡大縮小処理部77は、上記式(1)に基づき各指示点P1、P2の移動方向の角度θを求めて、各指示点P1、P2の移動方向が縦方向であると判定し(70°<θ≦90°)、原稿画像の拡大又は縮小を縦方向に行うことを決定する。そして、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の離間距離の変化を求め、各指示点P1、P2が相互に離反しているか接近しているかを判定し、この判定結果に応じて拡大又は縮小のいずれを行うかを決定する。
【0108】
また、拡大縮小処理部77は、上記式(2)に基づき各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vを求め、この移動速度Vが閾値以上であるか否かを判定する。例えば、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満であると判定すると(各指92、93が緩やかに開閉されると)、各指示点P1、P2の縦方向の離間距離の変化に応じて縦方向の拡大率又は縮小率を求めて設定する。より具体的には、1回目に検出された各指示点P1、P2の離間距離と今回検出された各指示点P1、P2の離間距離との差分や比に応じた縦方向の縮小率を求めて設定する。
【0109】
そして、拡大縮小処理部77は、プレビュー領域83上で、その求めた拡大率又は縮小率でプレビュー画像91を縦方向のみに拡大又は縮小して表示する。また、拡大縮小処理部77は、その求めた拡大率又は縮小率で原稿画像を縦方向で拡大又は縮小したときに、この縦方向で拡大又は縮小された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズを設定する。この記録用紙の定型サイズは、縦方向のみに拡大又は縮小された原稿画像を記録し得る最小の定型サイズである。
【0110】
このような縦方向の拡大率又は縮小率の設定、及びプレビュー領域83上でのプレビュー画像91の縦方向の拡大表示又は縮小表示は、一定周期Δτで繰返される。このため、ピンチアウトの操作が継続されている間、拡大率又は縮小率が変化し、プレビュー領域83のプレビュー画像91が徐々に縦方向に拡大又は縮小され、拡大又は縮小された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが更新されて行く。
【0111】
また、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2が相互に離反していて、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上であると判定すると(各指92、93が急速に開かれると)、図10(a)、(b)に示すようにプレビュー領域83上で、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠94を表示し、プレビュー画像91を指標枠94に合わせて縦方向のみに拡大表示する。
【0112】
このとき、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズを求め、この記録用紙の定型サイズの縦幅を原稿画像のサイズの縦幅で割って、その商を原稿画像の縦方向の拡大率として求める。
【0113】
また、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2が相互に接近していて、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上であると判定すると(各指92、93が急速に閉じられると)、原稿画像のサイズの横幅が該原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まるか否かを判定し、原稿画像のサイズの横幅が一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まるならば、プレビュー領域83上で、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠94を表示し、プレビュー画像91を指標枠94に合わせて縦方向のみに縮小表示する。
【0114】
そして、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズの縦幅を原稿画像のサイズの縦幅で割って、その商を原稿画像の縦方向の縮小率として求める。
【0115】
また、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズの横幅が該原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まらなければ、プレビュー画像91及び原稿画像の縦方向の縮小処理を行わない。これは、縦方向のみに縮小された原稿画像のサイズの横幅が一回り小さな記録用紙の定型サイズからはみ出すためである。この場合は、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満となるように各指92、93を緩やかに閉じて、縦方向のみの縮小率を設定することになる。
【0116】
このように各指92、93が縦方向に緩やかに開閉されて、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満となった場合は、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて縦方向のみの拡大率又は縮小率が設定されて、縦方向のみに拡大又は縮小された原稿画像を記録し得る記録用紙の最小の定型サイズが設定される。また、各指92、93が縦方向に急速に開かれて、各指92、93による各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上となった場合は、原稿画像のサイズの縦幅と一回り大きな記録用紙の定型サイズの縦幅とに応じて縦方向のみの拡大率が設定され、この一回り大きな記録用紙の定型サイズが設定される。更に、各指92、93が縦方向に急速に閉じられて、各指92、93による各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上となった場合は、原稿画像のサイズの横幅が一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まることを条件に、原稿画像のサイズの縦幅と一回り小さな記録用紙の定型サイズの縦幅とに応じて縦方向のみの縮小率が設定され、この一回り小さな記録用紙の定型サイズが設定される。そして、タッチパネル72による各指示点P1、P2の検出が停止したときの拡大率又は縮小率及び記録用紙の定型サイズが決定される。
【0117】
この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、これに応答してプレビュー画像処理部76は、拡大縮小処理部77で最終的に設定された縦方向の拡大率又は縮小率と記録用紙の定型サイズ、及びカラー変換処理部78や回転処理部79で設定された他の画像処理の内容を入出力部75を通じて画像処理部63等へと出力する。画像処理部63は、メモリ64内の画像データに対して、縦方向の拡大率又は縮小率で縦方向のみの拡大処理又は縮小処理を施し、他の画像処理の内容を実施し、これにより得られた画像データをプリンタエンジン62に出力する。プリンタエンジン62は、画像データによって示される原稿画像、つまり縦方向のみに拡大又は縮小されたり、色変換されたり、回転された原稿画像を定型サイズの記録用紙に記録する。
【0118】
また、図11(a)に示すようにプレビュー領域83に対する各指示点P1、P2の移動方向が横方向である場合、拡大縮小処理部77は、上記式(1)に基づきプレビュー領域83に対する各指示点P1、P2の移動方向の角度θを求めて、各指示点P1、P2の移動方向が横方向であると判定し(20°≦θ≦70°)、原稿画像の拡大又は縮小を横方向に行うことを決定する。そして、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の離間距離の変化を求め、各指示点P1、P2が相互に離反しているか接近しているかを判定し、この判定結果に応じて拡大又は縮小のいずれを行うかを決定する。
【0119】
また、拡大縮小処理部77は、上記式(2)に基づき各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vを求め、この移動速度Vが閾値以上であるか否かを判定する。例えば、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満であると判定すると(各指92、93が緩やかに開閉されると)、各指示点P1、P2の横方向の離間距離の変化に応じて拡大率又は縮小率を求めて設定する。
【0120】
そして、拡大縮小処理部77は、プレビュー領域83上で、その求めた拡大率又は縮小率でプレビュー画像91を横方向のみに拡大又は縮小して表示する。また、拡大縮小処理部77は、その求めた拡大率又は縮小率で原稿画像を横方向で拡大又は縮小したときに、この横方向で拡大又は縮小された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズを設定する。この記録用紙の定型サイズは、横方向のみに拡大又は縮小された原稿画像を記録し得る最小の定型サイズである。
【0121】
このような横方向の拡大率又は縮小率の設定、及びプレビュー領域83上でのプレビュー画像91の横方向の拡大表示又は縮小表示は、一定周期Δτで繰返され、ピンチアウトの操作が継続されている間、プレビュー領域83のプレビュー画像91が徐々に横方向に拡大又は縮小され、横方向に拡大又は縮小された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが更新されて行く。
【0122】
また、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2が相互に離反していて、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上であると判定すると(各指92、93が急速に開かれると)、図11(a)、(b)に示すようにプレビュー領域83上で、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠94を表示し、プレビュー画像91を指標枠94に合わせて横方向のみに拡大表示する。
【0123】
このとき、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズよりも一回り大きな記録用紙の定型サイズの横幅を原稿画像のサイズの横幅で割って、その商を原稿画像の横方向の拡大率として求める。
【0124】
また、拡大縮小処理部77は、各指示点P1、P2が相互に接近していて、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上であると判定すると(各指92、93が急速に閉じられると)、原稿画像のサイズの縦幅が該原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まるか否かを判定し、原稿画像のサイズの縦幅が一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まるならば、プレビュー領域83上で、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠94を表示し、プレビュー画像91を指標枠94に合わせて横方向のみに縮小表示する。
【0125】
そして、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズの横幅を原稿画像のサイズの横幅で割って、その商を原稿画像の縦方向の縮小率として求める。
【0126】
また、拡大縮小処理部77は、原稿画像のサイズの縦幅が該原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まらなければ、プレビュー画像91及び原稿画像の縮小処理を行わない。これは、横方向のみに縮小された原稿画像のサイズの縦幅が一回り小さな記録用紙の定型サイズからはみ出すためである。この場合は、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満となるように各指92、93を緩やかに閉じて、横方向のみの縮小率を設定することになる。
【0127】
このように各指92、93が横方向に緩やかに開閉されて、各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値未満となった場合は、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて横方向のみの拡大率又は縮小率が設定されて、横方向のみに拡大又は縮小された原稿画像を記録し得る記録用紙の最小の定型サイズが設定される。また、各指92、93が横方向に急速に開かれて、各指92、93による各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上となった場合は、原稿画像のサイズの横幅と一回り大きな記録用紙の定型サイズの横幅とに応じて横方向のみの拡大率が設定され、この一回り大きな記録用紙の定型サイズが設定される。更に、各指92、93が横方向に急速に閉じられて、各指92、93による各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vが閾値以上となった場合は、原稿画像のサイズの縦幅が一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まることを条件に、原稿画像のサイズの横幅と一回り小さな記録用紙の定型サイズの横幅とに応じて横方向のみの縮小率が設定され、この一回り小さな記録用紙の定型サイズが設定される。そして、タッチパネル72による各指示点P1、P2の検出が停止したときの拡大率又は縮小率及び記録用紙の定型サイズが決定される。
【0128】
この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、これに応答してプレビュー画像処理部76は、拡大縮小処理部77で最終的に設定された横方向の拡大率又は縮小率と記録用紙の定型サイズ、及び他の画像処理の内容を入出力部75を通じて画像処理部63等へと出力する。画像処理部63は、メモリ64内の画像データに対して、横方向の拡大率又は縮小率で横方向のみの拡大処理又は縮小処理を施し、他の画像処理の内容を実施し、これにより得られた画像データをプリンタエンジン62に出力する。プリンタエンジン62は、画像データによって示される原稿画像、つまり横方向のみに拡大又は縮小されたり、他の画像処理を施された原稿画像を定型サイズの記録用紙に記録する。
【0129】
尚、縦方向及び横方向のピンチアウトもしくはピンチインの緩やかな操作を選択的に繰返すことにより、縦方向及び横方向別に、プレビュー画像91並びに原稿画像をより拡大縮小したり、あるいは拡大及び縮小を選択的に繰返すことも可能である。この場合は、前回のピンチアウト又はピンチインの操作が終了したときの原稿画像の拡大縮小率を、今回の操作により継続して増減して行く。
【0130】
また、ピンチアウトもしくはピンチインの急速な操作を繰返すことにより、縦方向及び横方向別に、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに対応させて、プレビュー画像91及び原稿画像を一回りずつ段階的に拡大縮小したり、あるいはそのような拡大及び縮小を選択的に繰返すことも可能である。この場合も、前回のピンチアウト又はピンチインの操作が終了したときの原稿画像の拡大縮小率を、今回の操作により継続して増減して行く。また、前回の急速な操作が終了したときに設定された記録用紙の定型サイズを原稿画像のサイズとみなした上で、今回の急速な操作に応じて、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに合わせて、原稿画像の拡大縮小率を段階的に増減して設定する。
【0131】
次に、表示制御部65による処理の概略を、図12のフローチャートを参照しつつ整理して説明する。
【0132】
まず、表示制御部65の操作判定部73は、タッチパネル72の検出信号を監視しており(ステップS101)、タッチパネル72の検出信号に基づき液晶表示装置71の画面71aのプレビュー領域83で指先等による指示点が検出されたか否かを判定し(ステップS102)、プレビュー領域83で指示点が検出されなかったと判定すると(ステップS102で「No」)、ステップS101、S102を繰返す。
【0133】
また、操作判定部73は、プレビュー領域83で指示点が検出されたと判定すると(ステップS102で「Yes」)、タッチパネル72の検出信号に基づき指示点を取得し(ステップS103)、指示点の数を判定する(ステップS104)。
【0134】
例えば、操作判定部73は、指示点の数が「0」であると判定すると(ステップS104で「0」)、ステップS101に戻る。また、操作判定部73は、指示点の数が「1」であると判定すると(ステップS104で「1」)、プレビュー領域83でその指示点の位置に表示されているアイコンやボタンを識別し、このアイコンやボタンを機能設定部74に通知する(ステップS105)。機能設定部74のプレビュー画像処理部76は、通知されたアイコンやボタンに基づき指示もしくは操作の内容を判定し、この判定結果を液晶表示装置71の画面上の各機能設定領域に反映させたり、この判定結果の制御データを入出力部75を通じて制御部61等に出力する。
【0135】
また、操作判定部73は、指示点の数が「2」であると判定すると(ステップS104で「2」)、この2つの指示点を機能設定部74に通知する(ステップS106)。プレビュー画像処理部76の拡大縮小処理部77は、通知された2つの指示点に基づき、ピンチアウトやピンチインの操作により画像の変倍が指示されるものとみなして、ピンチアウトやピンチインの操作に応じた画像の変倍処理を開始する。
【0136】
尚、他のシステム領域81、機能選択領域82、アクションパネル領域84、及びタスクトリガー領域85については、ステップS104、S106が省略され、機能設定部74によりステップS101、S102、S103、S105の処理だけが行われる。
【0137】
次に、図12のステップS106の処理、つまりピンチアウトやピンチインの操作に応じた画像の変倍処理を、図13A、図13Bのフローチャートを参照しつつ説明する。
【0138】
まず、拡大縮小処理部77は、タッチスクリーン3のタッチパネル72により検出されて、操作判定部73により判定された各指示点の数が「2」であることを確認すると(ステップS201で「Yes」)、表示制御部65に内蔵のタイマ(図示せず)を起動して、タイマによる一定周期Δτの計時を開始する(ステップS202)。この一定周期Δτは、各指示点の位置をサンプリングして表示制御部65に内蔵のメモリ(図示せず)に記憶する周期である。そして、拡大縮小処理部77は、nを1に初期設定して、1回目(n回目)に検出された2つの指示点の位置をサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS203)。
【0139】
引き続いて、拡大縮小処理部77は、一定周期Δτ後に、nを歩進し(n←n+1)、2回目(n回目)に検出された2つの指示点の位置を再びサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS204)。更に、拡大縮小処理部77は、1回目に検出されて記憶された2つの指示点の位置及び2回目に検出されて記憶された2つの指示点の位置から上記式(1)におけるΔx1、Δx2、Δy1、Δy2を求めて、上記式(1)に基づきプレビュー領域83に対する各指示点P1、P2の移動方向の角度θを求め(ステップS205)、この移動方向が斜め方向、縦方向、及び横方向のいずれであるかを判定する(ステップS206)。
【0140】
例えば、拡大縮小処理部77は、2つの指示点が斜め方向に移動したと判定すると(ステップS206で「20°≦θ≦70°」)、プレビュー画像及び原稿画像の変倍方向を示す変倍方向フラッグを縦横方向に対応する「1,1」に設定する(ステップS207)。
【0141】
この後、拡大縮小処理部77は、上記式(2)に基づき各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vを求めて(ステップS208)、この移動速度Vが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS209)。例えば、各指92、93が緩やかに開閉されている場合、拡大縮小処理部77は、移動速度Vが閾値未満であると判定し(ステップS209で「No」)、定型サイズ変倍フラッグを「0」に設定する(ステップS210)。そして、拡大縮小処理部77は、変倍方向フラッグが縦横方向に対応する「1,1」に設定され、かつ定型サイズ変倍フラッグが「0」に設定されていることから、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて縦横方向の拡大率又は縮小率(変倍率)を求め、プレビュー領域83のプレビュー画像91をその変倍率で縦横方向に変倍表示する(ステップS211)。また、拡大縮小処理部77は、原稿画像(メモリ64内の原稿画像)をその変倍率で縦横方向に変倍したときに、この変倍された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズを求めて設定する。
【0142】
更に、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72により2つの指示点の検出が継続されていると、ピンチアウト又はピンチインの操作が継続されているとみなして(ステップS212で「No」)、メモリに記憶されているn回目に検出された2つの指示点の位置を前回サンプリングされたものとして更新し(ステップS213)、この後にステップS204に戻って、nを歩進し(n←n+1)、n回目の2つの指示点の位置をサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS204)。
【0143】
以降、同様のピンチアウト又はピンチインの操作が継続されている限り、ステップS204〜S213が繰返されて、プレビュー画像91が徐々に縦横方向に変倍されて、原稿画像の変倍率が更新され、縦横方向に変倍された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが更新されて行く。
【0144】
そして、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が中断すると、ピンチアウト又はピンチインの操作が終了したとみなして(ステップS212で「Yes」)、このときの縦横方向の変倍率と記録用紙の定型サイズを最終的に設定する。この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、最終的に設定された縦横方向の変倍率と記録用紙の定型サイズ、及び他の画像処理の内容が入出力部75を通じて画像処理部63等に出力される。
【0145】
尚、ピンチアウトもしくはピンチインの緩やかな操作が繰返されると、ステップS201〜S213が繰返され、その度に、プレビュー画像91がより変倍されたり、あるいは拡大及び縮小が選択的に繰返され、かつ原稿画像の変倍率が更新される。この場合は、前回のピンチアウト又はピンチインの操作が終了したときの原稿画像の変倍率を、今回の操作により継続して増減して行く。
【0146】
また、各指92、93が急速に開閉されている場合、拡大縮小処理部77は、移動速度Vが閾値以上であると判定し(ステップS209で「Yes」)、定型サイズ変倍フラッグを「1」に設定する(ステップS214)。そして、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が継続されていると、ピンチアウト又はピンチインの操作が継続されているとみなして(ステップS215で「No」)、メモリに記憶されているn回目に検出された2つの指示点の位置を前回サンプリングされたものとして更新し(ステップS216)、この後にステップS204に戻って、nを歩進し(n←n+1)、n回目の2つの指示点の位置をサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS204)。
【0147】
以降、同様のピンチアウト又はピンチインの操作が継続されている限り、ステップS204〜S209、S214〜S216が繰返される。
【0148】
ここで、2本の指が急速に開閉されると、2つの指先による各指示点の相互間の移動速度Vが閾値以上になるが、このようなピンチアウトやピンチインの操作の後には、2つの指先がタッチパネル72から離れる。
【0149】
このため、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が中断したときに(ステップS215で「Yes」)、原稿画像のサイズと一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズとに応じて縦横方向の変倍率を設定し、この一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを設定する(ステップS217)。詳しくは、変倍方向フラッグが縦横方向に対応する「1,1」に設定され、かつ定型サイズ変倍フラッグが「1」に設定されていることから、プレビュー領域83のプレビュー画像91を、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠に合わせて縦横方向に変倍表示し、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを原稿画像のサイズで割って、その商を原稿画像の縦横方向の変倍率として求め、一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを設定する(ステップS217)。この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、縦横方向の変倍率と記録用紙の定型サイズ、及び他の画像処理の内容が入出力部75を通じて画像処理部63等に出力される。
【0150】
尚、ステップS217において、原稿画像のサイズの縦横比率と記録用紙の定型サイズの縦横比率とが異なる場合は、原稿画像のサイズの縦幅に対する記録用紙の定型サイズの縦幅の縦比率と、原稿画像のサイズの横幅に対する記録用紙の定型サイズの横幅の横比率とが比較され、小さい方又は大きい方の比率が変倍率として設定されて、図8(a)、(b)又は図9(a)、(b)に示すようなプレビュー画像及び原稿画像の変倍処理が行われる。この場合、ユーザの操作により図8(a)、(b)に示すような変倍率と図9(a)、(b)に示すような変倍率のいずれかを選択できるのが望ましい。
【0151】
また、ピンチアウトもしくはピンチインの急速な操作が繰返されると、ステップS201〜S209、S214〜S217が繰返され、その度に、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに応じて、プレビュー画像91が一回りずつ段階的に変倍されたり、あるいはそのような拡大及び縮小が選択的に繰返され、かつ原稿画像の変倍率が更新される。この場合も、前回のピンチアウト又はピンチインの操作が終了したときの原稿画像の変倍率を、今回の操作により継続して増減して行く。また、前回の急速な操作が終了したときに設定された記録用紙の定型サイズを原稿画像のサイズとみなした上で、今回の急速な操作に応じて、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに合わせて、原稿画像の変倍率を段階的に増減して設定する。
【0152】
次に、拡大縮小処理部77は、2つの指示点が縦方向に移動したと判定すると(ステップS206で「70°<θ≦90°」)、プレビュー画像及び原稿画像の変倍方向を示す変倍方向フラッグを縦方向に対応する「0,1」に設定する(ステップS218)。
【0153】
そして、拡大縮小処理部77は、上記式(2)に基づき各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vを求めて(ステップS208)、この移動速度Vが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS209)。例えば、拡大縮小処理部77は、移動速度Vが閾値未満であると判定すると(ステップS209で「No」)、定型サイズ変倍フラッグを「0」に設定する(ステップS210)。そして、拡大縮小処理部77は、変倍方向フラッグが縦方向に対応する「0,1」に設定され、かつ定型サイズ変倍フラッグが「0」に設定されていることから、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて縦方向の変倍率を求め、プレビュー領域83のプレビュー画像91をその変倍率で縦方向に変倍表示する(ステップS211)。また、拡大縮小処理部77は、原稿画像(メモリ64内の原稿画像)をその変倍率で縦方向に変倍したときに、この変倍された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズを求めて設定する。
【0154】
更に、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が継続されていると、ピンチアウト又はピンチインの操作が継続されているとみなして(ステップS212で「No」)、メモリに記憶されているn回目に検出された2つの指示点の位置を前回サンプリングされたものとして更新し(ステップS213)、この後にステップS204に戻って、nを歩進し(n←n+1)、n回目の2つの指示点の位置をサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS204)。
【0155】
以降、同様のピンチアウト又はピンチインの操作が継続されている限り、ステップS204〜S206、S218、S208〜S213が繰返されて、プレビュー画像91が徐々に縦方向に変倍されて、縦方向の変倍率が更新され、縦方向に変倍された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが更新されて行く。
【0156】
そして、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が中断すると、ピンチアウト又はピンチインの操作が終了したとみなして(ステップS212で「Yes」)、このときの縦方向の変倍率と記録用紙の定型サイズを最終的に設定する。この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、最終的に設定された縦方向の変倍率と記録用紙の定型サイズ、及び他の画像処理の内容が入出力部75を通じて画像処理部63等に出力される。
【0157】
尚、ステップS201〜S206、S218、S208〜S213が繰返されると、その度に、プレビュー画像91がより縦方向に変倍されたり、あるいは縦方向の拡大及び縮小が選択的に繰返され、かつ原稿画像の縦方向の変倍率が更新される。
【0158】
また、各指92、93が急速に開閉されている場合、拡大縮小処理部77は、移動速度Vが閾値以上であると判定し(ステップS209で「Yes」)、定型サイズ変倍フラッグを「1」に設定する(ステップS214)。そして、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が継続されていると、ピンチアウト又はピンチインの操作が継続されているとみなして(ステップS215で「No」)、メモリに記憶されているn回目に検出された2つの指示点の位置を前回サンプリングされたものとして更新し(ステップS216)、この後にステップS204に戻って、nを歩進し(n←n+1)、n回目の2つの指示点の位置をサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS204)。
【0159】
以降、同様のピンチアウト又はピンチインの操作が継続されている限り、ステップS204〜S206、S218、S208、S209、S214〜S216が繰返される。
【0160】
ここで、2本の指を急速に開閉させるようなピンチアウトやピンチインの操作の直後は、2つの指先がタッチパネル72から離れる。
【0161】
このため、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が中断したときに(ステップS215で「Yes」)、原稿画像のサイズと一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズとに応じて縦方向の変倍率を設定し、この一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを設定する(ステップS217)。詳しくは、変倍方向フラッグが縦横方向に対応する「0,1」に設定され、かつ定型サイズ変倍フラッグが「1」に設定されていることから、プレビュー領域83のプレビュー画像91を、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠に合わせて縦方向に変倍表示し、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズの縦幅を原稿画像のサイズの縦幅で割って、その商を原稿画像の縦方向の変倍率として求め、一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを設定する(ステップS217)。この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、縦方向の変倍率と記録用紙の定型サイズ、及び他の画像処理の内容が入出力部75を通じて画像処理部63等に出力される。
【0162】
ただし、ステップS217においては、原稿画像のサイズの横幅が該原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まらなければ、プレビュー画像91及び原稿画像の縦方向の縮小処理を行わない。
【0163】
尚、ステップS201〜S206、S218、S208、S209、S214〜S217が繰返されると、その度に、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに応じて、プレビュー画像91が一回りずつ段階的に縦方向に変倍されたり、あるいはそのような縦方向の拡大及び縮小が選択的に繰返される。また、その度に、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに合わせて、原稿画像の縦方向の変倍率が段階的に増減されて設定される。
【0164】
次に、拡大縮小処理部77は、2つの指示点が横方向に移動したと判定すると(ステップS206で「0°≦θ<20°」)、プレビュー画像及び原稿画像の変倍方向を示す変倍方向フラッグを横方向に対応する「1,0」に設定する(ステップS219)。
【0165】
そして、拡大縮小処理部77は、上記式(2)に基づき各指示点P1、P2の相互間の移動速度Vを求めて(ステップS208)、この移動速度Vが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS209)。例えば、拡大縮小処理部77は、移動速度Vが閾値未満であると判定すると(ステップS209で「No」)、定型サイズ変倍フラッグを「0」に設定する(ステップS210)。この場合、変倍方向フラッグが横方向に対応する「1,0」に設定され、かつ定型サイズ変倍フラッグが「0」に設定されていることから、各指示点P1、P2の離間距離の変化に応じて横方向の変倍率が求められ、プレビュー領域83のプレビュー画像91がその変倍率で横方向に変倍表示される(ステップS211)。また、原稿画像(メモリ64内の原稿画像)をその変倍率で横方向に変倍したときに、この変倍された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが求められて設定される。
【0166】
更に、拡大縮小処理部77は、ピンチアウト又はピンチインの操作が継続されているとみなすと(ステップS212で「No」)、メモリに記憶されているn回目に検出された2つの指示点の位置を前回サンプリングされたものとして更新し(ステップS213)、この後にステップS204に戻って、nを歩進し(n←n+1)、n回目の2つの指示点の位置をサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS204)。
【0167】
以降、同様のピンチアウト又はピンチインの操作が継続されている限り、ステップS204〜S206、S219、S208〜S213が繰返されて、横方向の変倍率が更新され、プレビュー領域83のプレビュー画像91が徐々に横方向に変倍され、横方向に変倍された原稿画像を記録するのに好適な記録用紙の定型サイズが更新されて行く。
【0168】
そして、拡大縮小処理部77は、ピンチアウト又はピンチインの操作が終了したとみなすと(ステップS212で「Yes」)、このときの横方向の変倍率と記録用紙の定型サイズを最終的に設定する。この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、最終的に設定された横方向の変倍率と記録用紙の定型サイズ、及び他の画像処理の内容が入出力部75を通じて画像処理部63等に出力される。
【0169】
尚、ステップS201〜S206、S219、S208〜S213が繰返されると、その度に、プレビュー画像91がより横方向に変倍されたり、あるいは横方向の拡大及び縮小が選択的に繰返され、かつ原稿画像の横方向の変倍率が更新される。
【0170】
また、各指92、93が急速に開閉されている場合、拡大縮小処理部77は、移動速度Vが閾値以上であると判定し(ステップS209で「Yes」)、定型サイズ変倍フラッグを「1」に設定する(ステップS214)。そして、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が継続していると(ステップS215で「No」)、メモリに記憶されているn回目に検出された2つの指示点の位置を前回サンプリングされたものとして更新し(ステップS216)、この後にステップS204に戻って、nを歩進し(n←n+1)、n回目の2つの指示点の位置をサンプリングしてメモリに記憶する(ステップS204)。
【0171】
以降、同様のピンチアウト又はピンチインの操作が継続されている限り、ステップS204〜S206、S219、S208、S209、S214〜S216が繰返される。
【0172】
そして、拡大縮小処理部77は、タッチパネル72による2つの指示点の検出が中断すると(ステップS215で「Yes」)、原稿画像のサイズの横幅と一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズの横幅とに応じて横方向の変倍率を設定し、この一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを設定する(ステップS217)。詳しくは、変倍方向フラッグが横方向に対応する「1,0」に設定され、かつ定型サイズ変倍フラッグが「1」に設定されていることから、プレビュー領域83のプレビュー画像91を、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズに対応する指標枠に合わせて横方向に変倍表示し、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズの横幅を原稿画像のサイズの横幅で割って、その商を原稿画像の横方向の変倍率として求め、一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを設定する(ステップS217)。この後、タスクトリガー領域85の記録開始を指示するボタンが操作されると、横方向の変倍率と記録用紙の定型サイズ、及び他の画像処理の内容が入出力部75を通じて画像処理部63等に出力される。
【0173】
ただし、ステップS217においては、原稿画像のサイズの縦幅が該原稿画像のサイズよりも一回り小さな記録用紙の定型サイズに収まらなければ、プレビュー画像91及び原稿画像の横方向の縮小処理を行わない。
【0174】
尚、ステップS201〜S206、S219、S208、S209、S214〜S217が繰返されると、その度に、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに応じて、プレビュー画像91が一回りずつ段階的に横方向に変倍されたり、あるいはそのような横方向の拡大及び縮小が選択的に繰返される。また、その度に、段階的に設定された記録用紙の各定型サイズに合わせて、原稿画像の横方向の変倍率が段階的に増減されて設定される。
【0175】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0176】
例えば、移動速度の代わりに、移動速度の微分値である移動加速度を求め、この移動加速度が閾値以上であったときに、原稿画像のサイズよりも一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを原稿画像のサイズで割って、その商を原稿画像の変倍率として求め、一回り大きな又は小さな記録用紙の定型サイズを設定してもよい。
【0177】
また、液晶表示装置の画面上で、プレビュー画像を記録用紙の定型サイズに対応する指標枠に合わせて変倍するだけではなく、プレビュー画像を予め設定された規定サイズに変倍しても構わない。例えば、ピンチアウトやピンチインの操作に際し、各指示点の移動速度もしくは移動加速度が閾値以上になると、プレビュー画像を2倍、3倍、……、m倍に拡大したり、プレビュー画像を1/2倍、1/3倍、……、1/m倍に縮小する(mは整数である)。
【符号の説明】
【0178】
1 画像形成装置
2 操作パネル
3 タッチスクリーン
4 キーボード
11 光走査装置
12 現像装置
13 感光体ドラム
14 ドラムクリーニング装置
15 帯電装置
16 中間転写ベルト装置
17 定着装置
18 給紙トレイ
19 用紙排出トレイ
41 画像読取り装置
42 原稿カバー
44 原稿載置板
45 第1走査ユニット
46 第2走査ユニット
48 CCD
61 制御部
62 プリンタエンジン
63 画像処理部
64 メモリ
65 表示制御部
66 バス
71 液晶表示装置
72 タッチパネル
73 操作判定部
74 機能設定部
75 入出力部
76 プレビュー画像処理部
77 拡大縮小処理部
78 カラー変換処理部
79 回転処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示装置の画面にプレビュー表示し、前記画像を記録用紙に記録する画像形成装置であって、
前記表示装置の画面に重ねて設けられ、2つの指示点を同時に検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルにより検出された各指示点の離反又は接近に応じて前記記録用紙に記録される画像の変倍率を変更しており、前記各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度を求め、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を設定する制御部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であって、前記各指示点が相互に離反する方向に移動した場合に、前記画像を該画像の元のサイズよりも大きな記録用紙の定型サイズに拡大するための拡大率を設定し、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であって、前記各指示点が相互に接近する方向に移動した場合に、前記画像を該画像の元のサイズよりも小さな記録用紙の定型サイズに縮小するための縮小率を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記タッチパネルによる各指示点の検出が中断したときに、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記画像の元のサイズの縦横比率と前記記録用紙の定型サイズの縦横比率とが一致しない場合に、前記元のサイズの縦幅に対する前記定型サイズの縦幅の縦比率と前記元のサイズの横幅に対する前記定型サイズの横幅の横比率とを比較し、前記縦比率及び前記横比率のうちの小さい方の比率を変倍率として設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記画像の元のサイズの縦横比率と前記記録用紙の定型サイズの縦横比率とが一致しない場合に、前記元のサイズの縦幅に対する前記定型サイズの縦幅の縦比率と前記元のサイズの横幅に対する前記定型サイズの横幅の横比率とを比較し、前記縦比率及び前記横比率のうちの大きい方の比率を変倍率として設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記表示装置の画面に対する前記各指示点の相互間の移動方向を求め、前記移動方向が斜め方向である場合に、縦横方向の変倍率を求めて設定し、前記移動方向が縦方向又は横方向である場合に、縦方向又は横方向のみの前記画像の変倍率を求めて設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値未満であった場合に、前記各指示点の離間又は接近に応じて変倍率を連続的に変化させ、前記各指示点が停止したときの変倍率を設定し、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる記録用紙の定型サイズに変倍するための変倍率を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記表示装置の画面に前記定型サイズに対応する指標を表示して、前記指標に合わせて拡大又は縮小した画像をプレビュー表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
表示装置と、前記表示装置の画面に重ねて設けられ、2つの指示点を同時に検出するタッチパネルとを備えるタッチスクリーンの表示制御方法であって、
前記タッチパネルにより検出された各指示点の離反又は接近に応じて前記表示装置の画面に表示されている画像を変倍し、
前記各指示点の相互間の移動速度もしくは移動加速度を求め、前記移動速度もしくは移動加速度が閾値以上であった場合に、前記画像を該画像の元のサイズとは異なる規定サイズに変倍することを特徴とするタッチスクリーンの表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2012−121179(P2012−121179A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271960(P2010−271960)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】