説明

画像形成装置、同装置の印刷制御方法及び印刷制御プログラム

【課題】課金方式の異なる画像形成装置間で消耗品ユニットが不正に使い回される不都合を解消すると共に、同一の課金方式の画像形成装置間での消耗品ユニットの使い回しを可能とする画像形成装置等を提供する。
【解決手段】画像形成装置1に装着された消耗品ユニット8Y、8M、8C、8K、10Y、10M、10C、10Kが、初めて装着された新品であると判別された場合には、記憶手段29に記憶されている課金方式に関する情報を、消耗品ユニットのメモリ9、22に書き込む。装着されたことのある旧品であると判別された場合には、記憶手段29に記憶されている課金方式に関する情報と、消耗品ユニットのメモリ9、22に書き込まれている課金方式に関する情報を比較し、課金方式が同じであれば消耗品ユニットの使用を許可し、異なれば使用を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタあるいはこれらの機能が集約された多機能デジタル複合機であるMFP(Multi Function Peripherals)等の画像形成装置、同装置の印刷制御方法及び印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像形成装置には、トナーカートリッジやイメージングユニット等の消耗品ユニットが使用されている。これらの消耗品ユニットは、印刷動作が行われるたびに消耗されるトナーや感光体ドラム等の消耗品を有しており、消耗品が全て消費されたりあるいは寿命に達すると、新たな消耗品ユニットと交換される。
【0003】
ところで、画像形成装置の印刷に対する課金方式として、一般的には、チャージ方式とスポット方式があり、ユーザと画像形成装置の製造メーカーとの契約によっていずれかの方式が設定される。チャージ方式は、画像形成装置が印刷枚数をカウントし、カウントされた印刷枚数に応じた料金をユーザに課金する方式であり、スポット方式はユーザがトナーカートリッジ等の消耗品ユニットを自ら購入することで、ユーザに対する課金を行う方式である。どちらの方式を設定するかは、ユーザが画像形成装置の使用状況やコスト等を考慮して選択することができる場合が多いので、昨今では同一の機種であっても、チャージ方式とスポット方式が混在しているのが実情である。
【0004】
しかし、スポット方式とチャージ方式では、消耗品ユニットに対する課金の考え方が違うため、それぞれの方式で使用されている消耗品ユニットが混在すると、不都合が生じる恐れがある。
【0005】
例えばチャージ方式では、契約後、一定期間毎にプリント枚数を集計し、料金をユーザに請求する。その間、トナーカートリッジやイメージングユニットなどの消耗品ユニットは寿命になるとメーカーから交換用が提供される。つまり、1枚あたりのトナーの消費量に関わらず、課金量は一定である。それに対してスポット方式では、消耗品ユニットが寿命になるとユーザが独自に、交換する消耗品ユニットを購入することになる。つまり、印刷料金は消耗品ユニットの購入代金に比例する。
【0006】
チャージ方式とスポット方式とではこのような違いがあり、課金方式の違う同一機種の画像形成装置が同一ユーザの使用環境で混在すると、特に問題が発生し易い。例えば、チャージ方式では、トナーの使用量に関わらず1枚当たりの印刷料金は一定であるため、チャージ方式の画像形成装置で使用しているトナーカートリッジ等をスポット方式の画像形成装置に装着して印刷させることによりトナーを消費させたのち、元のチャージ方式の画像形成装置に戻すような不正が行われる可能性がある。
【0007】
そこで、初めて装着された消耗品ユニットのメモリに、画像形成装置固有のデータを書き込むことで、消耗品ユニットを最初に取り付けた装置以外の他の画像形成装置で使用できないようにした技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−222193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術では、チャージ方式の画像形成装置の消耗品ユニットをスポット方式の画像形成装置に装着したとしても、消耗品ユニットを最初に取り付けた装置以外の他の画像形成装置での使用は禁止されるため、確かに、前述した不正使用を防止することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば故障等により使用できなくなった画像形成装置の消耗品ユニットを、同じ課金方式の他の画像形成装置に装着したとしても、その使用は一律に禁止されるため、消耗品ユニットの使い回しの点で自由度に欠けるものであった。
【0010】
この発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、課金方式の異なる画像形成装置間で消耗品ユニットが不正に使い回される不都合を解消すると共に、同一の課金方式の画像形成装置間での消耗品ユニットの使い回しを可能とする画像形成装置、同装置の印刷制御方法及び印刷制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)印刷対象データを用紙に印刷する印刷動作を行う作像手段と、メモリを有すると共に交換可能に装着され、前記印刷動作の繰り返しによって消耗される消耗品を有する消耗品ユニットが、自装置を含む画像形成装置に初めて装着された新品であるか装着されたことのある旧品であるかを判別する新旧判別手段と、印刷に対する課金方式に関する情報を記憶する記憶手段と、前記新旧判別手段により、装着された消耗品ユニットが新品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報を、前記消耗品ユニットのメモリに書き込む書き込み手段と、前記新旧判別手段により、装着された消耗品ユニットが旧品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報と、前記消耗品ユニットのメモリに書き込まれている課金方式に関する情報を比較し、課金方式が同じであれば前記消耗品ユニットの使用を許可し、課金方式が異なれば前記消耗品ユニットの使用を禁止する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(2)前記課金方式に関する情報は、前記記憶手段におけるデータの書き換え可能な領域に記憶され、前記消耗品ユニットのメモリへの課金方式に関する情報の書き込みは、1度だけ書き換え可能な領域に対して行われる前項1に記載の画像形成装置。
(3)印刷対象データを用紙に印刷する印刷動作を行うステップと、メモリを有すると共に交換可能に装着され、前記印刷動作の繰り返しによって消耗される消耗品を有する消耗品ユニットが、画像形成装置に初めて装着された新品であるか装着されたことのある旧品であるかを判別するステップと、装着された消耗品ユニットが新品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報を、前記消耗品ユニットのメモリに書き込むステップと、装着された消耗品ユニットが旧品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報と、前記消耗品ユニットのメモリに書き込まれている課金方式に関する情報を比較し、課金方式が同じであれば前記消耗品ユニットの使用を許可し、課金方式が異なれば前記消耗品ユニットの使用を禁止するステップと、を備えたことを特徴とする画像形成装置の印刷制御方法。
(4)印刷対象データを用紙に印刷する印刷動作を行うステップと、メモリを有すると共に交換可能に装着され、前記印刷動作の繰り返しによって消耗される消耗品を有する消耗品ユニットが、画像形成装置に初めて装着された新品であるか装着されたことのある旧品であるかを判別するステップと、装着された消耗品ユニットが新品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報を、前記消耗品ユニットのメモリに書き込むステップと、装着された消耗品ユニットが旧品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報と、前記消耗品ユニットのメモリに書き込まれている課金方式に関する情報を比較し、課金方式が同じであれば前記消耗品ユニットの使用を許可し、課金方式が異なれば前記消耗品ユニットの使用を禁止するステップと、を画像形成装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラム。
【発明の効果】
【0012】
前項(1)に記載の発明によれば、装着された消耗品ユニットが、自装置を含む画像形成装置に初めて装着された新品であると判別された場合には、自装置の記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報が、消耗品ユニットのメモリに書き込まれ、自装置を含む画像形成装置に装着されたことのある旧品であると判別された場合には、自装置の記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報と、消耗品ユニットのメモリに書き込まれている課金方式に関する情報が比較され、課金方式が同じであれば装着された消耗品ユニットの使用が許可され、課金方式が異なれば消耗品ユニットの使用が禁止される。このため、画像形成装置に、その画像形成装置の課金方式とは異なる課金方式の旧品の消耗品ユニットが装着された場合には、その消耗品ユニットの使用が禁止されるから、課金方式の異なる画像形成装置間で、消耗品ユニットが不正に使い回される不都合を解消できる。
【0013】
一方、画像形成装置の課金方式と同じ課金方式の旧品の消耗品ユニットが装着された場合には、消耗品ユニットの使用が許可されるから、同一の課金方式の画像形成装置間での消耗品ユニットの使い回しが可能となる。
【0014】
また、装着された消耗品ユニットが新品であると判別された場合には、装着された画像形成装置の課金方式に関する情報が消耗品ユニットのメモリに書き込まれ、その時点で消耗品ユニットに対して適用される課金方式が決定されるから、消耗品ユニットの生産段階で消耗品ユニットに対する課金方式を決定する場合に較べて、消耗品ユニットの生産、販売、在庫管理等にかかるコストを削減することができる。
【0015】
前項(2)に記載の発明によれば、課金方式に関する情報は、記憶手段におけるデータの書き換え可能な領域に記憶されているから、画像形成装置の使用開始後に課金方式の変更等がなされても、記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報を書き換えることで迅速に対応することができる。一方、消耗品ユニットのメモリへの課金方式に関する情報の書き込みは、1度だけ書き換え可能な領域に対して行われるから、課金方式に関する情報の改竄を防止することができる。
【0016】
前項(3)に記載の発明によれば、画像形成装置に、その画像形成装置の課金方式とは異なる課金方式の旧品の消耗品ユニットが装着された場合には、その消耗品ユニットの使用が禁止されるから、課金方式の異なる画像形成装置間で、消耗品ユニットが不正に使い回される不都合を解消できる。一方、画像形成装置の課金方式と同じ課金方式の旧品の消耗品ユニットが装着された場合には、消耗品ユニットの使用が許可されるから、同一の課金方式の画像形成装置間での消耗品ユニットの使い回しが可能となる。
【0017】
前項(4)に記載の発明によれば、消耗品ユニットが新品か旧品かの判別、消耗品ユニットが新品であると判別された場合の消耗品ユニットのメモリへの課金方法に関する情報の書き込み、消耗品ユニットが新品でないと判別された場合の課金方法の比較、比較結果に基づく使用許可または禁止を、画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示した図である。この実施形態では画像形成装置として多機能デジタル複合機であるMFP(Multi Function Peripherals)が使用されている。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置1は、スキャナ部2と、作像部3と、給紙部4と、排紙トレイ5等を備えている。
【0021】
スキャナ部2は、CCDセンサ6を備え、自動原稿送り装置やプラテンガラス上(共に、図示せず)にセットされた原稿を読み取るものである。
【0022】
作像部3は、スキャナ部2で読み取られた原稿の画像データや、外部から送信されてきたプリントデータ等を用紙に印字するという印字動作を行うものであり、この実施形態では、イメージングユニット10Y、10M、10C及び10K、トナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8K、中間転写ベルト7、露光部14、ポリゴンミラー15、搬送ローラ18、二次転写ローラ19及び定着器20等から構成されている。
【0023】
イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kは、静電潜像をトナーにより顕在化してトナー像を形成するためのものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応してそれぞれ設けられている。各イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kは、それぞれ、回転可能な感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電させる帯電器13と、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像器12等を備えており、これらの部品が1つのユニットとして構成されている。
【0024】
前記イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kに含まれる感光体ドラム11等は、印刷動作が繰り返されることにより性能が徐々に劣化しやがては寿命に達する消耗品である。このため各イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kは、前記消耗品が寿命に達すると新品のイメージングユニットと交換される消耗品ユニットであり、画像形成装置1に交換可能に装着されている。なお、交換は画像形成装置1の前扉21を開くことにより行われる。また、各イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kには、それぞれメモリチップ22が備えられており、このメモリチップ22には当該イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kについての情報がそれぞれ登録されている。
【0025】
トナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応したトナーを収容するものであり、各トナーを、対応するイメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kに供給する。
【0026】
トナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8Kに収容された各色のトナーは、印刷動作が繰り返されることにより消費される消耗品である。このため前記の各トナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8Kは、前記トナーがなくなると新たなトナーカートリッジと交換される消耗品ユニットであり、画像形成装置1の前扉21を開くことにより、交換可能に装着されている。また、各トナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8Kには、当該トナーカートリッジについての情報が登録されているメモリチップ9がそれぞれに備えられているが、詳しくは後述する。
【0027】
中間転写ベルト7は、前記4個のイメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kの各感光体ドラム11に形成された各色のトナー像を、重ね合わせ状態に一次転写されるものであり、駆動ローラ16と従動ローラ17とに掛け渡され、駆動ローラ16の回転によって、一定方向に周回駆動される。
【0028】
露光部14は、各イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kの帯電した感光体ドラム11にレーザ光を照射することにより、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
【0029】
ポリゴンミラー15は、露光部14から出射されたレーザ光を偏向して、感光体ドラム11の表面を走査させる。
【0030】
搬送ローラ18は、給紙部4から供給された用紙を二次転写位置へと搬送するものである。また、二次転写ローラ19は、前記搬送ローラ18により搬送されてきた用紙に、前記中間転写ベルト7に一次転写されたトナー像を転写させるものであり、定着器20は、用紙に転写されたトナー像を定着させるものである。
【0031】
給紙部4は、用紙を種類毎に収納するものであり、印刷指示がなされると用紙が給紙部4から1枚ずつ取り出され、搬送ローラ18によって二次転写位置へと搬送される。
【0032】
排紙トレイ5には、定着器20によりトナー像が定着された記録用紙が排出される。
【0033】
図2は、画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、画像形成装置1は、前述したスキャナ部2、作像部3の他、MFPコントローラ部26、エンジン制御部27、記憶部28、バックアップメモリ29、操作パネル部30及び消耗品ユニット検知センサ31を備えている。
【0035】
前記スキャナ部2,作像部3については、既に説明したので、再度の説明は省略する。
【0036】
MFPコントローラ部26は、画像形成装置1の全体を統括的に制御するものであり、CPU261及びROM262等を備えている。
【0037】
CPU261は、ROM262に格納されているプログラムを実行することにより、MFPコントローラ部26が行う制御を実現する。具体的には、スキャナ部2、エンジン制御部27、記憶部28、操作パネル部29等を制御するほか、この実施形態では次のような制御を行う。即ち、CPU261は、エンジン制御部27からの情報に基づいて、装着されているトナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8Kやイメージングユニット10Y、10M、10C、10K等の消耗品ユニットが、自装置1を含む画像形成装置に初めて装着された新品であるか、装着されたことのある、つまり既に使用が開始されている旧品であるかの判別を行う。
【0038】
また、CPU261は新品の消耗品ユニットが装着されていることを判別すると、バックアップメモリ29に記憶されている課金方式に関する情報を読み出したのち、この課金方式に関する情報を、消耗品ユニットのメモリ9、22に書き込む。一方、旧品の消耗品ユニットが装着されていることを判別すると、その消耗品ユニットのメモリ9、22から課金方式に関する情報を読み出して、バックアップメモリ29に記憶されている課金方式に関する情報と比較し、その結果に基づいて、旧品の消耗品ユニットの使用可否を決定し、エンジン制御部27を介して作像部3に対する印刷動作を制御する。
【0039】
この実施形態では、課金方式が、印刷枚数に応じて課金を行うチャージ方式とユーザが消耗品ユニットを購入して印刷を行うスポット方式である場合を説明する。
【0040】
エンジン制御部27は、MFPコントローラ部26との間で通信を行い、MFPコントローラ部26からのコマンドに従って作像部3による印刷動作を制御する。また、この実施形態では、エンジン制御部27は、前記消耗品ユニット検知センサ31から、消耗品ユニットが新たに装着された旨の信号が送信されると、その消耗品ユニットのメモリチップ9、22と通信を行うことで後述する新品情報を読み出し、読み出した新品情報をCPU261に送出するものとなされている。
【0041】
記憶部28は、ハードディスクや不揮発性のメモリ等の記録媒体からなり、スキャナ部2によって読み取られた原稿の画像データやその他のデータ、各種プログラムなどを保存する。
【0042】
バックアップメモリ29は、前述したように、この画像形成装置1のユーザと製造メーカーとの間の契約に基づく課金方式が、チャージ方式かスポット方式かを示す情報を記憶するものであり、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリ素子が用いられている。
【0043】
操作パネル部30は、ユーザが入力操作を行うとともに、各種の画面やメッセージなどをユーザに提供するためのものであり、テンキーやスタートキー等の複数のキーからなるキー入力部と、モード設定画面やメッセージ等を表示するタッチパネル式の表示部(いずれも図示せず)とを備えている。
【0044】
消耗品ユニット検知センサ31は、各消耗品ユニットであるトナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8K、イメージングユニット10Y、10M、10C、10K毎に設けられ、各消耗品ユニットが装着されると、これを検知して装着検知信号をエンジン制御部27に出力する。
【0045】
次に、上述したトナーカートリッ8Y、8M、8C及び8Kに備えられているメモリチップ9のアドレスマッピングについて、図3を参照して説明する。
【0046】
メモリチップ9には、図3に示すように、アドレス00H〜1FHとアドレス20H〜2FHとアドレス30H〜7FHの異なる3種類の記憶領域から構成され、各アドレスにはそれぞれ8ビットまでの情報の記憶が可能である。
【0047】
アドレス00H〜1FHの記憶領域は、製造時にデータが書き込まれるとそれ以降の書込みが禁止され、読み出しのみ可能な領域(ROM領域)である。
【0048】
この記憶領域には、当該トナーカートリッジの形式を示す機種識別コード、充填されているトナー色を示す色識別コード、トナーカートリッジが出荷される国や地域を示す仕向コードが、それぞれ登録されている。
【0049】
アドレス20H〜2FHの記憶領域は、画像形成装置1がデータを一度だけ書き換え可能な領域(OTP領域)であり、新品情報が書き込まれている。新品情報とは、トナーカートリッジ8Y、8M、8C又は8Kが一度も画像形成装置に装着されていない新品であるか、一度でも装着されたことのある旧品であるかを示す情報である。即ち、トナーカートリッジが新品の状態で出荷される時には「FFh」が書き込まれており、いずれかの画像形成装置に装着されると「FCh」に書き換えられて「旧品」となる。この実施形態では、画像形成装置1はこの新品情報を読み取り、「FFh」であった場合は「新品」であり、「FCh」であった場合は「旧品」である判定する。
【0050】
さらに、前記アドレス20H〜2FHの記憶領域には、課金方式に関する情報も書き込まれるようになっている。この情報は、トナーカートリッジが新品であると判別されたときに、画像形成装置1によって書き込まれるものであり、出荷時は「FFh」が書き込まれており、画像形成装置1に装着されると、画像形成装置1のバックアップメモリ29に記憶されている課金方式に関する情報と同じ情報が書き込まれる。具体的には、課金方式がチャージ方式であることを示す「AAh」またはスポット方式であることを示す「55h」が書き込まれる。
【0051】
このように、トナーカートリッジの前記新品情報や課金方式に関する情報はOTP領域に格納されており、この記憶領域は各ビットを“1”から“0”に変化させることしかできないため、新品であることを示す情報に後で戻したり、課金方式を変更する等の操作は不可能であり、従ってこれら情報の改竄を防ぐことができる。
【0052】
アドレス30H〜7FHの記憶領域は、書き換え可能な領域(R/W領域)であり、トナー残量等の画像形成装置1の制御に関する情報が保存される。
【0053】
なお、イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kに備えられているメモリチップ22のメモリマッピングについても、トナーカートリッジのメモリチップ9の場合と同じなので、ここでは説明を省略する。
【0054】
図4は、画像形成装置1のバックアップメモリ29のアドレスマッピングを示す図である。
【0055】
バックアップメモリ29は、全ての記憶領域が書き換え可能な領域(R/W領域)となっており、アドレス120Hに、契約に基づく課金方式がチャージ方式かスポット方式かを示す情報が記憶されており、チャージ方式の場合は「AAh」が、スポット方式の場合は「55h」がそれぞれ書き込まれている。
【0056】
このように、課金方式に関する情報は、バックアップメモリ29の書き換え可能な領域に記憶されているので、画像形成装置1の使用開始後に、契約形態が変更されることにより課金方式が変更された場合には、新たな方式についての情報に書き換えることができる。書き換えは、一般ユーザが実施できないサービスモード等の特殊モードで行われるものとなされている。
[制御の概要]
次に、図5及び図6を参照して、この実施形態における制御の概要を説明する。この例では、消耗品ユニットがトナーカートリッジ(図5及び図6ではトナーカートリッジを「TC」と記している)である場合について説明するが、イメージングユニット等の他の消耗品ユニットであっても良い。
【0057】
図5(a)に示すように、課金方式がチャージ方式である画像形成装置1に、画像形成装置の製造メーカーにより新品のトナーカートリッジが提供されたものとする(図5(a)の(1))。なお、画像形成装置1のバックアップメモリ29には、課金方式がチャージ方式であることを示す情報が書き込まれている。新品のトナーカートリッジが装着されると、画像形成装置1は、トナーカートリッジのメモリチップ9の新品情報を「旧品」に書き換えるとともに(図5(a)の(2))、バックアップメモリ29に書き込まれている課金方式がチャージ方式である旨の情報を、トナーカートリッジのメモリチップ9に書き込む(図5(a)の(3))。なお、トナーカートリッジが新品であるときは、無条件にその使用が許可され印刷が許可される(図5(a)の(4))。
【0058】
次に、画像形成装置1から前記トナーカートリッジを取り外して、図5(b)に示すように、同じくチャージ方式の他の画像形成装置に装着したものとする。この画像形成装置は、装着されたトナーカートリッジが新品でないと判別し、バックアップメモリ29に書き込まれている課金方式とトナーカートリッジのメモリチップ9に書き込まれている課金方式を比較する(図5(b)の(7))。この場合には両者の課金方式はチャージ方式で一致するから、そのトナーカートリッジの使用が許可される(図5(b)の(8))。つまり、印刷が許可される。
【0059】
一方、図5(a)の画像形成装置1から前記トナーカートリッジを取り外して、図5(c)に示すように、スポット方式の他の画像形成装置に装着したものとする。この画像形成装置は、装着されたトナーカートリッジが新品でないと判別し、バックアップメモリ29に書き込まれている課金方式とトナーカートリッジのメモリチップ9に書き込まれている課金方式を比較する(図5(c)の(5))。この場合は課金方式が異なるから、そのトナーカートリッジの使用が禁止される(図5(c)の(6))。つまり、印刷が禁止される。
【0060】
また、図6(a)に示すように、課金方式がスポット方式である画像形成装置1に、ユーザが購入した新品のトナーカートリッジが装着されたものとする(図6(a)の(1))。なお、画像形成装置1のバックアップメモリ29には、課金方式がスポット方式であることを示す情報が書き込まれている。新品のトナーカートリッジが装着されると、画像形成装置1は、トナーカートリッジのメモリチップ9の新品情報を「旧品」に書き換えるとともに(図6(a)の(2))、バックアップメモリ29に書き込まれている課金方式がスポット方式である旨の情報を、トナーカートリッジのメモリチップ9に書き込む(図6(a)の(3))。なお、トナーカートリッジが新品であるときは、無条件に印刷が許可される(図6(a)の(4))。
【0061】
次に、画像形成装置1から前記トナーカートリッジを取り外して、図6(b)に示すように、チャージ方式の他の画像形成装置に装着したものとする。この画像形成装置は、装着されたトナーカートリッジが新品でないと判別し、バックアップメモリ29に書き込まれている課金方式とトナーカートリッジのメモリチップ9に書き込まれている課金方式を比較する(図6(b)の(5))。この場合、課金方式が異なるから、そのトナーカートリッジを用いての印刷は禁止される(図6(b)の(6))。
【0062】
一方、図6(a)の画像形成装置1から前記トナーカートリッジを取り外して、図6(c)に示すように、スポット方式の他の画像形成装置に装着したものとする。この画像形成装置は、装着されたトナーカートリッジが新品でないと判別し、バックアップメモリ29に書き込まれている課金方式とトナーカートリッジのメモリチップ9に書き込まれている課金方式を比較する(図6(c)の(7))。この場合、両方の課金方式が一致するから、そのトナーカートリッジを用いての印刷が許可される(図6(c)の(8))。
[画像形成装置1の動作]
次に、図1に示した画像形成装置1の動作を説明する。この実施形態では、トナーカートリッジ8Y、8M、8C及び8Kが交換され、新品か旧品かの判別を行うものとして説明するが、イメージングユニット10Y、10M、10C及び10Kが交換されたときに判別を行っても良いし、トナーカートリッジとイメージングユニットの両方について判別を行うものとしても良い。
【0063】
図7は、トナーカートリッジが装着されてから、トナーカットリッジの使用許可/禁止が決定されるまでの動作を示すフローチャートである。
【0064】
ユーザがいずれかのトナーカートリッジを取り外して、別のトナーカートリッジを装着すると、これが消耗品ユニット検知センサ31により検知され(ステップS11)、装着検知信号がエンジン制御部27に送信される。装着検知信号を受信したエンジン制御部27は、装着されたトナーカートリッジのメモリチップ9に格納されている新品情報を読み出し(ステップS12)、CPU261に新品情報を送出する(ステップS13)。
【0065】
新品情報を受信したCPU261は、ROM262等の記録媒体に格納されている制御プログラムに従って次のような動作を行う。即ち、まず、そのトナーカートリッジが新品か否かの判別を新品情報に基づいて行う(ステップS14)。
【0066】
新品であると判定された場合(ステップS14でYES)、トナーカートリッジのメモリチップ9の新品情報を「旧品」に書き換えたのち(ステップS15)、画像形成装置1のバックアップメモリ29に記憶されている課金方式に関する情報を読み出し(ステップS16)、次いでこの読み出した課金方式に関する情報を、前記トナーカートリッジのメモリチップ9に書き込む(ステップS17)。そして、ステップS21に進み、そのトナーカートリッジの使用許可を決定する。
【0067】
一方、装着されたトナーカートリッジが旧品である場合(ステップS14でNO)、そのトナーカートリッジのメモリチップ9には課金方式に関する情報が既に書き込まれているから、CPU261はその課金方式に関する情報を読み出すと共に、画像形成装置1のバックアップメモリ29からも課金方式に関する情報を読み出し(ステップS18)、両方の課金方式を比較する(ステップS19)。
【0068】
次いで、比較の結果、両方の課金方式が一致しているかどうかを判定し(ステップS20)、一致していれば(ステップS20でYES)、トナーカートリッジを使い回しても問題ないから、ステップS21に進み、そのトナーカートリッジの使用許可を決定する。
【0069】
ステップS20で、両方の課金方式が一致しなければ(ステップS20でNO)、トナーカートリッジの使い回しを禁止するため、そのトナーカートリッジの使用禁止を決定する(ステップS22)。
【0070】
トナーカートリッジの使用許可または禁止の決定がなされると、エンジン制御部27はその決定に従って、作像部3を制御し、印刷動作が実行されあるいは禁止される。
【0071】
このように、この実施形態では、装着された消耗品ユニットが旧品であると判別された場合には、画像形成装置1のバックアップメモリ29に記憶されている課金方式に関する情報と、トナーカートリッジのメモリチップ9に書き込まれている課金方式に関する情報が比較され、課金方式が同じであれば、そのトナーカートリッジの使用が許可され、課金方式が異なれば使用が禁止される。このため、画像形成装置1に、その画像形成装置の課金方式とは異なる課金方式の旧品のトナーカートリッジが装着された場合には、そのトナーカートリッジの使用が禁止されるから、課金方式の異なる画像形成装置間で、トナーカートリッジが不正に使い回される不都合を解消できる。
【0072】
一方、画像形成装置1の課金方式と同じ課金方式の旧品のトナーカートリッジが装着された場合には、トナーカートリッジの使用が許可されるから、同一の課金方式の画像形成装置間での消耗品ユニットの使い回しが可能となる。
【0073】
また、装着されたトナーカートリッジが新品であると判別された場合には、装着された画像形成装置の課金方式に関する情報がトナーカートリッジのメモリチップ9に書き込まれ、その時点でトナーカートリッジに対して適用される課金方式が決定されるから、トナーカートリッジの生産段階でトナーカートリッジに対する課金方式を決定する場合に較べて、トナーカートリッジの生産、販売、在庫管理等にかかるコストを削減することができる。
【0074】
なお、前記実施形態では、画像形成装置としてMFPを例示したが、本発明は、消耗品ユニットを使用する画像形成装置であれば、複写機やプリンタなどの他の画像形成装置にも適用可能なことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態で使用されるトナーカートリッジに備えられているメモリチップのアドレスマッピングを示す図である。
【図4】バックアップメモリのアドレスマッピングを示す図である。
【図5】課金方式がチャージ方式である画像形成装置にトナーカートリッジが装着された場合の制御の概要を説明するための図である。
【図6】課金方式がスポット方式である画像形成装置にトナーカートリッジが装着された場合の制御の概要を説明するための図である。
【図7】画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1・・・画像形成装置
2・・・スキャナ部
3・・・作像部
4・・・給紙部
8Y、8M、8C、8K・・・トナーカートリッジ
9・・・メモリチップ
10Y、10M、10C、10K・・・イメージングカートリッジ
21・・・前扉
22・・・メモリチップ
26・・・MFPコントローラ部
27・・・エンジン制御部
28・・・記憶部
29・・・バックアップメモリ
30・・・操作パネル部
31・・・消耗品ユニット装着検知センサ
261・・・CPU
262・・・ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象データを用紙に印刷する印刷動作を行う作像手段と、
メモリを有すると共に交換可能に装着され、前記印刷動作の繰り返しによって消耗される消耗品を有する消耗品ユニットが、自装置を含む画像形成装置に初めて装着された新品であるか装着されたことのある旧品であるかを判別する新旧判別手段と、
印刷に対する課金方式に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記新旧判別手段により、装着された消耗品ユニットが新品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報を、前記消耗品ユニットのメモリに書き込む書き込み手段と、
前記新旧判別手段により、装着された消耗品ユニットが旧品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報と、前記消耗品ユニットのメモリに書き込まれている課金方式に関する情報を比較し、課金方式が同じであれば前記消耗品ユニットの使用を許可し、課金方式が異なれば前記消耗品ユニットの使用を禁止する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記課金方式に関する情報は、前記記憶手段におけるデータの書き換え可能な領域に記憶され、前記消耗品ユニットのメモリへの課金方式に関する情報の書き込みは、1度だけ書き換え可能な領域に対して行われる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷対象データを用紙に印刷する印刷動作を行うステップと、
メモリを有すると共に交換可能に装着され、前記印刷動作の繰り返しによって消耗される消耗品を有する消耗品ユニットが、画像形成装置に初めて装着された新品であるか装着されたことのある旧品であるかを判別するステップと、
装着された消耗品ユニットが新品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報を、前記消耗品ユニットのメモリに書き込むステップと、
装着された消耗品ユニットが旧品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報と、前記消耗品ユニットのメモリに書き込まれている課金方式に関する情報を比較し、課金方式が同じであれば前記消耗品ユニットの使用を許可し、課金方式が異なれば前記消耗品ユニットの使用を禁止するステップと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置の印刷制御方法。
【請求項4】
印刷対象データを用紙に印刷する印刷動作を行うステップと、
メモリを有すると共に交換可能に装着され、前記印刷動作の繰り返しによって消耗される消耗品を有する消耗品ユニットが、画像形成装置に初めて装着された新品であるか装着されたことのある旧品であるかを判別するステップと、
装着された消耗品ユニットが新品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報を、前記消耗品ユニットのメモリに書き込むステップと、
装着された消耗品ユニットが旧品であると判別された場合には、前記記憶手段に記憶されている課金方式に関する情報と、前記消耗品ユニットのメモリに書き込まれている課金方式に関する情報を比較し、課金方式が同じであれば前記消耗品ユニットの使用を許可し、課金方式が異なれば前記消耗品ユニットの使用を禁止するステップと、
を画像形成装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−8756(P2009−8756A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167957(P2007−167957)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】