説明

画像形成装置、画像形成方法、およびプログラム

【課題】読み取った原稿画像データを順次DMA転送する際に、1枚ずつの原稿処理完了時間を短縮化し、データ転送が正常終了か異常終了かを判別できるようにする。
【解決手段】スキャナユニット14で読み取った画像データをDMA転送するためのDMAC18a〜18cを有するスキャナ画像処理部15と、スキャナ画像処理部15から画像データを受けて、メモリアドレスを発生しメモリ33に書き込むDMAC29を有するコントローラ処理部22と、スキャナ画像処理部15とコントローラ処理部22とを結び、アドレス情報とデータ情報とを用いてやりとりする汎用バスとを備え、スキャナ画像処理部15は、画像データを汎用バス経由でコントローラ処理部22に転送し、画像データの転送完了時にデータ転送終了を示す転送終了信号をコントローラ処理部22に送り、DMAC29は、転送終了信号を受けるとメモリ33への書き込みを終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像をスキャナで読み取る画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の原稿移動式により原稿読み取りを行う画像形成装置において、不定形サイズの原稿を読み取る場合は、不要な画像の読み取りを防止するため、予め原稿サイズを確定しておくことが必要になる。原稿サイズの確定方法としては、原稿の長さをDF(ドキュメント・フィーダ)の原稿搬送部の原稿サイズ検知センサによって検知する方法が一般的に知られている。つまり、原稿の搬送方向の長さ(副走査ライン数)は、原稿搬送部の原稿サイズ検知センサで検知する構造であったため、不定形サイズの原稿をスキャンする場合、スキャン実行中、あるいはスキャン完了後でないと原稿の搬送方向の長さが確定しなかった。
【0003】
そして、上記した不定形サイズの原稿を読み取る場合は、スキャナで読み取った原稿データを、スキャナ画像処理部からコントローラ部へデータ転送する際に、スキャナ画像処理部からのデータを汎用バス経由で受け取るコントローラ部は、スキャン実行前には受け取るデータ量が分からなかった。
【0004】
そこで、特許文献1においては、DMA(Direct Memory Access)転送するデータサイズの設定が予め必要なコントローラ部のDMAC(DMAコントローラ)の場合、最大サイズの転送データサイズを設定しておき、一定の時間が経過してもスキャナ画像処理部からのデータ転送がないと処理を終了するタイムアウト処理を行い、コントローラ部がデータ転送を完了させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、タイムアウト処理によってデータ転送を完了させると、1枚の原稿処理を完了させるのに必ずタイムアウト時間を経過させる必要があるため、次の原稿処理の起動が速やかに行えず、複合機などの画像形成装置における高速処理化の妨げとなっていた。
【0006】
また、上記特許文献1におけるタイムアウト処理では、転送の正常終了と、ジャム(Jam)等による異常終了とを判別することができないため、コントローラ部は原稿サイズに満たないデータや異常画像などをメモリへ送信する可能性があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、読み取った原稿画像データを順次DMA転送する際に、1枚ずつの原稿処理完了時間を短縮化すると共に、データ転送が正常終了したか異常終了したかを判別することができる、高速処理と高信頼性とを実現することが可能な画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、エンジン部とコントローラ部とが汎用バスを介して接続された画像形成装置であって、前記エンジン部は、原稿画像を読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段で読み取った画像データを前記汎用バス経由で前記コントローラ部に転送すると共に、前記画像データの転送が完了した際にデータ転送の終了を示す転送終了信号を前記コントローラ部に送るスキャナ画像処理手段と、を備え、前記コントローラ部は、前記画像データを格納するメモリと、前記スキャナ画像処理手段から所定サイズの画像データを受けてメモリアドレスを発生させ、前記メモリに書き込むコントローラ処理手段と、を備え、前記コントローラ処理手段は、前記スキャナ画像処理手段から転送された前記画像データの前記メモリへの書き込みを行い、前記転送終了信号を受けると前記画像データの前記メモリへの書き込みを終了することを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、エンジン部とコントローラ部とが汎用バスを介して接続された画像形成装置で実行される画像形成方法であって、前記画像形成装置は、画像読取手段と、スキャナ画像処理手段と、メモリと、コントローラ処理手段とを備え、前記エンジン部の前記画像読取手段が、原稿画像を読み取る工程と、前記エンジン部のスキャナ画像処理手段が、読み取った画像データを前記汎用バスを経由して前記コントローラ部に転送すると共に、前記画像データの転送が完了した際にデータ転送の終了を示す転送終了信号を前記コントローラ部に送る工程と、前記コントローラ部の前記メモリが、前記画像データを格納する工程と、前記コントローラ部の前記コントローラ処理手段が、スキャナ画像処理手段から所定サイズの画像データを受けてメモリアドレスを発生させ、前記メモリに書き込む工程と、を含み、前記コントローラ処理部が前記スキャナ画像処理手段から転送された前記画像データの前記メモリへの書き込みを行い、前記転送終了信号を受けると前記画像データの前記メモリへの書き込みを終了することを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、エンジン部とコントローラ部とが汎用バスを介して接続された画像形成装置に搭載されるプログラムであって、コンピュータを、前記エンジン部は、原稿画像を読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段で読み取った画像データを前記汎用バス経由で前記コントローラ部に転送すると共に、前記画像データの転送が完了した際にデータ転送の終了を示す転送終了信号を前記コントローラ部に送るスキャナ画像処理手段と、して機能させ、前記コントローラ部は、前記画像データを格納するメモリと、前記スキャナ画像処理手段から所定サイズの画像データを受けてメモリアドレスを発生させ、前記メモリに書き込むコントローラ処理手段と、して機能させ、前記コントローラ処理手段は、前記スキャナ画像処理手段から転送された前記画像データの前記メモリへの書き込みを行い、前記転送終了信号を受けると前記画像データの前記メモリへの書き込みを終了するように機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、読み取った原稿画像データを順次DMA転送する際に、1枚ずつの原稿処理完了時間を短縮化すると共に、データ転送が正常終了したか異常終了したかを判別することができ、画像の高速処理と高信頼性とが実現可能な画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1の画像読取部の概略構成を示す断面図である。
【図3】図3は、図1のエンジン部における動作を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、図1のコントローラ部における動作を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、図1のスキャナ画像処理部におけるデータ転送に関する信号を示す図である。
【図6】図6は、図1の出力制御部と3つのDMAC間のデータ転送を示すタイムチャートである。
【図7】図7は、図1のDMAC(Ch0)の入出力データ転送を示すタイムチャートである。
【図8】図8は、図1のDMAC(Ch0)の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、図1の調停部の入出力データ転送を示すタイムチャートである。
【図10】図10は、図1のPCIeルートコンプレックスコントローラのベースアドレスからのオフセット値を示す図である。
【図11−1】図11−1は、図1のスキャナ画像処理部とコントローラ処理部との間のデータ転送を示すタイムチャートである。
【図11−2】図11−2は、図11−1のPCIeパケットに含まれるアドレスとライトデータとを示す図である。
【図12】図12は、図1の終了判定部の周辺構成部との関係を示すブロック図である。
【図13】図13は、図12の終了判定部における入出力信号を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更実施の形態が可能である。
【0014】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。図1に示す画像形成装置10は、エンジン部11とコントローラ部21とが汎用バスとしてのPCI Expressを介して接続されている。この汎用バスには、PCIバスなども用いることができる。
【0015】
エンジン部11は、画像読取手段としての画像読取部12と画像処理手段としてのスキャナ画像処理部15とで構成されている。画像読取部12は、原稿の画像を読み取る画像入力処理を行うもので、原稿搬送ユニット13とスキャナユニット14とを備えている。
【0016】
スキャナ画像処理部15は、スキャナ特性補正部16と、出力制御部17と、DMAコントローラとしてのDMAC(Ch0)18a,DMAC(Ch1)18b,DMAC(Ch2)18cと、調停部19と、PCIeエンドポイントコントローラ20とを備えている。
【0017】
スキャナ特性補正部16は、画像読取部12で使用しているCCDの特性を補正する処理を行うものである。
【0018】
出力制御部17は、スキャナの特性に対応して補正処理を行ったRGBデータをR版、G版、B版に振り分けて、次段の3つのDMACに振り分けて出力する。
【0019】
DMAC(Ch0〜Ch2)18a〜18cは、PCIeエンドポイントコントローラ20を経由してコントローラ部21へ画像データを転送すると共に、画像データの転送が完了するとデータ転送が終了したことを示す転送終了信号を転送する。
【0020】
調停部19は、DMACの(Ch0)、(Ch1)、(Ch2)の順で各DMAC18a〜18cからの画像入力を受け付けて、それぞれのデータをPCIeエンドポイントコントローラ20に受け渡す。
【0021】
PCIeエンドポイントコントローラ20は、PCI Expressを介して接続されるコントローラ部21との間で画像データの授受を行うものである。
【0022】
一方、コントローラ部21は、コントローラ処理手段としてのコントローラ処理部22とチップセット31とCPU32とメモリ33とを備えている。
【0023】
コントローラ処理部22は、PCIeルートコンプレックスコントローラ23と、入力制御部24と、画像入力バッファ27と、圧縮処理部28と、DMAC29と、PCIeエンドポイントコントローラ30とを備えている。
【0024】
PCIeルートコンプレックスコントローラ23は、PCI Expressを介して接続されるエンジン部11との間で画像データの授受を行う。
【0025】
入力制御部24は、PCIeルートコンプレックスコントローラ23から受け取った画像データをR版、G版、B版の各画像バッファに振り分けるPCIe I/F25と、受け取った転送終了信号を画像入力バッファ27に送る終了判定部26とを備えている。
【0026】
画像入力バッファ27は、R版、G版、B版の各画像データを一時的に蓄える、R版画像バッファ27a、G版画像バッファ27b、およびB版画像バッファ27cを備えている。
【0027】
圧縮処理部28は、画像入力バッファ27のR版画像バッファ27a、G版画像バッファ27b、B版画像バッファ27cからの画像データをそれぞれ圧縮処理するものである。
【0028】
DMAC29は、PCIeエンドポイントコントローラ30を経由してチップセット31側のメモリ33へ画像データをライトする。
【0029】
PCIeエンドポイントコントローラ30は、PCI Expressを介して接続されるチップセット31との間で画像データの授受を行う。
【0030】
図2は、図1の画像読取部の概略構成を示す断面図である。画像読取部12は、図2に示すように、原稿台40の原稿積載部に積載された原稿42を原稿読取位置48に給送する原稿搬送ユニット13と、給送された原稿42が原稿読取位置48を通過する画像を光学的に読み取って、電気信号の画像データに変換するスキャナユニット14とで構成されている。
【0031】
原稿給送ユニット13は、原稿サイズ検知センサ44を具備しており、原稿44の搬送方向の長さ(原稿の長さ)を原稿42の後端を検知するまでにかかった時間を検知することで、通常の原稿サイズを特定することができる。しかし、不定形サイズの原稿は、図2の原稿待機位置aまで引き込んだ段階で原稿の後端が原稿検知センサ10aを通過しないため、原稿の引き込み段階では原稿サイズを特定することができない。
【0032】
原稿待機位置aに引き込まれた原稿42は、搬送ドラム46で搬送経路bを通って原稿読取位置48を通過し、搬送経路cから搬送経路dを経て、排紙トレイ50上に排出される。
【0033】
スキャナユニット14は、原稿読取位置48を通過する原稿42の画像をキセノンランプ52で照明し、その反射画像をミラー54等で反射させ、図示省略のレンズを介してCCD(Charge Coupled Device)で読み取ることにより、電気信号の画像データに変換するものである。
【0034】
なお、本実施の形態の画像形成装置10で実行されるプログラムは、図示省略したROM等に予め組み込まれて提供される。また、本実施の形態の画像形成装置10で実行されるプログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0035】
また、本実施の形態の画像形成装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の画像形成装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0036】
また、本実施の形態の画像形成装置10で実行されるプログラムは、上述した各部(画像読取部、スキャナ画像処理部、メモリ、コントローラ処理部等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)32が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像読取部、スキャナ画像処理部、メモリ、コントローラ処理部等が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0037】
ここで、プログラムとしては、コピー動作プロセスのプログラム(コピーアプリ)やスキャナ配信プロセスのプログラム(スキャナ配信アプリ)、ファックス送信プロセスのプログラム(ファックスアプリ)などがある。
【0038】
本実施の形態にかかる画像形成装置は、以上のように構成されている。以下、図3および図4のフローチャートを用いて、動作を説明する。
【0039】
図3は、図1のエンジン部における動作を説明するフローチャートであり、図4は、図1のコントローラ部における動作を説明するフローチャートである。まず、図1のコントローラ部21から原稿の画像読み取り開始要求があると(図4のステップS200)、エンジン部11の画像読取部12の原稿搬送ユニット13が図2の原稿台40に積載された原稿42を原稿待機位置aまで引き込む(図3のステップS100)。画像読取装置12は、原稿42を原稿待機位置aまで引き込むと、通常原稿サイズであれば原稿サイズ検知センサ44により原稿サイズを特定することができるが、不定形サイズの原稿であれば原稿サイズを特定することができない。
【0040】
原稿の引き込みが完了するとスキャン開始指示を待つ(図3のステップS102)。通常は、コントローラ部21から原稿の画像読み取り開始要求があれば(図4のステップS200)、スキャン開始指示ありと判断される(図3のステップS102でYes)。原稿搬送ユニット13は、原稿待機位置aに引き込まれた原稿42を搬送ドラム46で搬送経路bから原稿読取位置48を通り、搬送経路cから搬送経路dへと搬送する。スキャナユニット14は、原稿読取位置48を通過する際に、原稿画像のスキャンを開始する(図3のステップS104)。
【0041】
また、上記ステップS100において、原稿42が既に原稿待機位置aに引き込まれている場合は、スキャン開始指示があるまで待機し(図3のステップS102でNo)、コントローラ部21からの画像読取開始要求があると(ステップS図4のステップS200)、スキャン開始指示ありとなって(図3のステップS102でYes)、スキャナユニット14によりスキャンが開始される(図3のステップS104)。
【0042】
原稿サイズ検知センサ44は、原稿42の読み取り終了後に原稿42の後端が原稿給送ユニット13の原稿サイズ検知センサ44を通過すると、原稿42の後端を検知して、不定形サイズの原稿であっても原稿42の搬送方向の長さを確定することができる。
【0043】
画像読取部12のスキャナユニット14で読み取られた画像データは、図1に示すスキャナ画像処理部15に送られる。スキャナ画像処理部15に入力されるデータの特性は、スキャナユニット14で使用するCCDの特性に対応して異なる。スキャナ画像処理部15のスキャナ特性補正部16は、このデータの特性に対応した補正処理を行う(図3のステップS106)。
【0044】
スキャナ特性補正部16で補正された画像データは、出力制御部17においてRGBデータをR版、G版、B版に振り分けられ(図3のステップS108)、各版ごとに3つのチャネル(Ch0〜Ch2)のDMAC18a〜18cに転送される。3つのDMAC18a〜18cは、後段の調停部17に対して各版の画像データを出力する。調停部17は、DMACの(Ch0)、(Ch1)、(Ch2)の順で各DMAC18a〜18cからの画像入力を受け付ける。初めに、DMAC(Ch0)18aのR版データの転送要求を受け付けると、PCIeエンドポイントコントローラ20経由でコントローラ部21へDMA転送される(図3のステップS110)。次に、DMAC(Ch1)18bのG版データの転送要求を受け付けると、PCIeエンドポイントコントローラ20経由でコントローラ部21へDMA転送される(図3のステップS112)。次に、DMAC(Ch2)18cのB版データの転送要求を受け付けると、PCIeエンドポイントコントローラ20経由でコントローラ部21へDMA転送される(図3のステップS11)。1ページ分のスキャンが終了し、画像データの転送が終了するまでは、図3のステップS110〜S114が繰り返される(ステップS116でNo)。
【0045】
図5は、図1のスキャナ画像処理部におけるデータ転送に関する信号を示す図であり、図6は、図1の出力制御部と3つのDMAC間のデータ転送を示すタイムチャートである。図5に示すように、スキャナ画像処理部15は、送信側のWrite commandと受信側のcommamd accept信号によるハンドシェイク方式で画像データ転送を行っている。具体的には、図6に示すように、出力制御部17がRGB画像データと同時にWrite commandを発行し、DMAC18a〜18cがコマンドを受け取れる状態であればcommand accept信号を「1」にする。出力制御部17は、ページの最終RGB画像データに限って、Write commandと最終RGB画像データと同時にend of page信号を「1」にする。そして、本実施の形態では、DMAC(Ch0)18aに限り、出力制御部17から受信したend of page信号をトリガとして、転送終了アドレス(30h)をWrite commandとともに調停部19に出力する。
【0046】
図7は、図1のDMAC(Ch0)の入出力データ転送を示すタイムチャートである。DMAC(Ch0)18aは、R版画像データと転送アドレスと同時にWrite commandを発行し、調停部19はコマンドを受け取れる状態であればcommand accept信号を「1」にする。DMAC(Ch0)18aが送信する転送アドレスは、「00h」固定である。
【0047】
しかし、出力制御部17から受信したend of page信号が「1」となり、ページの最終Rデータを送信した後に限って、転送終了アドレスとなる「30h」をWrite commandとともに送信する。なお、このときのデータ出力の値は、Don‘t Careとなる。
【0048】
図8は、図1のDMAC(Ch0)の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、DMAC(Ch0)18aは、出力制御部17との間で転送ハンドシェイクを行う画像データの受信側である入力部34と、調停部19との間で転送ハンドシェイクを行う画像データの送信側である出力部36と、転送終了アドレス生成部35とを備えている。転送終了アドレス生成部35は、ページの最終データを送信した後に、end commandとend addressを出力部36へ送信する。これを、図7のタイムチャートで見ると、end of pageのアサートと、command acceptのアサートとを条件として、end commandとend addressとが生成される。
【0049】
図9は、図1の調停部の入出力データ転送を示すタイムチャートである。図9には、3つのDMAC(Ch0)18a〜(Ch2)18cと調停部19との間のデータ転送タイミングと、調停部19とPCIeエンドポイントコントローラ20との間のデータ転送タイムチャートとが示されている。この図9を用いて、送信側のWrite command信号と、受信側のcommamd accept信号とによりハンドシェイク方式でデータ転送を行う動作を説明する。
【0050】
まず、DMAC(Ch0)18aと調停部19との間について説明する。DMAC(Ch0)18aは、R版画像データと転送アドレスと同時に、Write commandを発行し、調停部19はコマンドを受け取れる状態であればcommand accept信号を「1」にする。DMAC(Ch0)18aは、図7と同様に、ページの最終Rデータを送信した後に限って、転送終了アドレスとなる30hをWrite commandとともに送信する。
【0051】
次に、DMAC(Ch1)18bと調停部19との間について説明する。DMAC(Ch1)18bは、G版画像データと転送アドレスと同時にWrite commandを発行し、調停部19はコマンドを受け取れる状態であればcommand accept信号を「1」にする。DMAC(Ch1)18bが送信する転送アドレスは、10h固定である。
【0052】
次に、DMAC(Ch2)18cと調停部19との間について説明する。DMAC(Ch2)18cは、B版画像データと転送アドレスと同時にWrite commandを発行し、調停部19はコマンドを受け取れる状態であればcommand accept信号を「1」にする。DMAC(Ch2)18cが送信する転送アドレスは、20h固定である。
【0053】
このように、3つのDMAC(Ch0)18a〜(Ch2)18cのうち、転送終了アドレスを生成する仕組みをもつDMACは、Ch0のみである。これは、スキャナ画像処理部15が扱う画像フォーマットが、如何なる場合でもDMAC(Ch0)18aを必ず使用するからである。また、本実施の形態では、3つのDMACを使用しているが、これは、スキャナ画像処理部15で扱う画像データが、RGBフォーマットの3つの版からなるからである。これ以外の例としては、グレースケール(以下、Gsという)の1版のみのフォーマットの場合もあり、その場合はDMACを1つだけ使用することとなり、DMAC(Ch0)を使用する。
【0054】
また、後述するように、RGBフォーマットの場合は、ページ最終画像データが3つのDMACのうちDMAC(Ch2)18cから出力され、転送終了アドレス送信のための調停部19のリクエスト受付順番がDMAC(Ch0)18aとなる。また、Gsフォーマットの場合は、DMAC(Ch1)18bから出力され、転送終了アドレス送信のための調停部19のリクエスト受付順番がDMAC(Ch0)18aとなる。以上のことから、転送終了アドレスを生成する仕組みを持つDMACは、Ch0のみとする。
【0055】
次に、調停部19とPCIeエンドポイントコントローラ20との間について説明する。調停部19は、3つの各DMACから受信したWrite command要求を、DMACのCh0、Ch1、Ch2の順にラウンドロビン方式で受け付ける。PCIeエンドポイントコントローラ20へのデータ転送は、送信側のWrite commandと受信側のcommamd accept信号によるハンドシェイク方式で行われる。調停部19は、3つの各DMACから受信した転送アドレスと画像データをWrite comammdと同時に発行し、PCIeエンドポイントコントローラ20がコマンドを受け取れる状態であればcommand accept信号を「1」にする。
【0056】
DMACから調停部19へ転送される画像データ量は、R、G、Bの各版ともすべて同じであるので、DMACのCh0、Ch1、Ch2の順にラウンドロビン方式で要求を受け付けていって、調停部19がページの最終画像データをDMAC(Ch2)18cから受け取ることになる。調停部19は、DMAC(Ch2)18cからページの最終画像データを受信した後、DMAC(Ch0)18aのデータ転送終了を示す30hの転送アドレスを受信して、PCIeエンドポイントコントローラ20へ30hの転送アドレスをWrite commandとともに送信する。なお、30hの転送アドレス出力時のデータ出力の値は、Don‘t Careとなる。
【0057】
調停部19が出力する画像データは、PCIeエンドポイントコントローラ20を経由してコントローラ処理部22へ出力される。スキャナ画像処理部15からコントローラ処理部22へのデータ転送は、PCI Express上にある一定のアドレスを出力することで転送を行う固定アドレス転送方式である。
【0058】
図10は、図1のPCIeルートコンプレックスコントローラのベースアドレスからのオフセット値を示す図である。図1に示すコントローラ処理部22のPCIeルートコンプレックスコントローラ23は、1つのベースアドレスリソースを持っており、オフセット値によって固定アドレスのリソースが配分される。すなわち、図10に示すようなベースアドレスからのオフセット値である+00h、+10h、+20h、+30hの位置に、画像入力チャネル1、画像入力チャネル2、画像入力チャネル3、転送終了チャネルが配置される。
【0059】
スキャナ画像処理部15のDMACは、PCIeエンドポイントコントローラ20を経由して、コントローラ処理部22のPCIeルートコンプレックスコントローラ23の画像入力リソースへのライトアクセスを行うことにより、画像データ転送を行う。画像データフォーマットがカラーRGBの場合の画像入力リソースの割り当ては、Rデータは+00h番地の画像入力チャネル1、Gデータは+10h番地の画像入力チャネル2、Bデータは+20h番地の画像入力チャネル3となる。
【0060】
スキャナ画像処理部15からコントローラ処理部22へのカラーRGBデータ転送中は、スキャナ画像処理部15が送信するアドレスは+00h番地、+10h番地、+20h番地のいずれかとなる。しかし、スキャナ画像処理部15は、図3のステップS116において、原稿読み取りの終了(スキャン終了)を待って、原稿の読み取りが終了すると(図3のステップS116でYes)、コントローラ処理部22に対して、+30h番地のアドレスを送信する(図3のステップS118)。
【0061】
図11−1は、図1のスキャナ画像処理部とコントローラ処理部との間のデータ転送を示すタイムチャートであり、図11−2は、図11−1のPCIeパケットに含まれるアドレスとライトデータとを示す図である。図11−1に示すように、アドレス情報が+00h番地にはRデータ、アドレス情報が+10h番地にはGデータ、アドレス情報が+20h番地にはBデータ、アドレス情報が+30h番地には任意のデータがライトデータとして転送される。
【0062】
スキャナ画像処理部15が出力する画像データは、コントローラ処理部22のPCIeルートコンプレックスコントローラ23を経由して、入力制御部24へ転送される(図4のステップS202でYes)。入力制御部24内のPCIe I/F25は、PCIeルートコンプレックスコントローラ23からパケット単位で送られてくるR、G、Bの各画像データをアドレス情報に応じて、各版ごとの画像入力バッファ27へ分配され、順次格納される(図4のステップS204でYes)。画像入力バッファ27に8ライン分の画像データが格納されると、8×8ブロック単位でR版、G版、B版の各画像バッファ27a〜27cから並列で読み出され、圧縮処理部28に転送して圧縮処理される(図4のステップS206)。コントローラ処理部22のDMAC29は、圧縮処理後のデータを読み出して、チップセット31側のメモリ33上へライトする(図4のステップS208)。
【0063】
図12は、図1の終了判定部の周辺構成部との関係を示すブロック図であり、図13は、図12の終了判定部における入出力信号を示すタイムチャートである。図1に示すコントローラ処理部22の入力制御部24の中には、受信した転送アドレスを監視して、end of page信号を生成する終了判定部26が用意されている。この終了判定部26は、図12および図13に示すように、PCIeルートコンプレックスコントローラ23からのaddressとcommand、およびPCIe I/F25からのcommand acceptを受信し、Write comamndとcommand accept=1による転送成立タイミングでaddressをラッチする。ラッチしたアドレスと転送終了アドレス(本実施の形態では、30h)とを比較し、比較結果が“等しい”場合は転送終了と判断し(図4のステップS210)、転送終了を示すend of page信号を生成する。
【0064】
終了判定部26にて転送終了が判断されると、転送の終了を示すend of page信号を画像入力バッファ27へ送信する。画像入力バッファ27は、格納された画像データが8ラインに満たない場合は、ゼロデータを埋める処理(端部処理)を実施する(図4のステップS212)。端部処理されたデータは、圧縮処理され(図4のステップS214)、DMAC29によりチップセット31側のメモリ33上へライトされて(図4のステップS216)、CPU32への転送完了割り込みが発行される(図4のステップS218)。この転送終了信号は、MSI(Message Signaled Interrupt)と呼ばれる割り込みパケットを伝送する。これにより、コントローラ部21のCPU32は、データ転送の終了を検知することができる。CPU32は、割り込みを検知した後、次ページの処理の準備(パラメータ設定等)を開始する(図4のステップS220)。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、1枚の原稿処理が完了した後に次の原稿処理の起動を速やかに行うことが可能になると共に、転送の正常終了とジャム等による異常終了との切り分けを行うことが可能なため、複合機などにおける画像の高速処理と高信頼性とを実現することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、チップ間の転送完了通知を、転送完了用の専用信号線を追加することなく実施することが可能なため、PCI Expressといった汎用インタフェースを使用することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、スキャナ画像処理部とコントローラ部との間のインタフェースとして、PCIバスやPCI Expressを用いる構成において、1枚の原稿処理が完了した後に次の原稿処理の起動を速やかに行うことが可能になると共に、転送の正常終了とジャム等による異常終了との切り分けを行うことが可能なため、複合機などにおける画像の高速処理と高信頼性とを実現することができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、スキャナ画像処理部で扱う画像フォーマットがカラーRGB、モノクロGsの如何なる場合であっても、1枚の原稿処理を完了した後に次の原稿処理の起動を速やかに行うことが可能なため、複合機などにおける画像の高速処理と高信頼性とを実現することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 画像形成装置
11 エンジン部
12 画像読取部
13 原稿搬送ユニット
14 スキャナユニット
15 スキャナ画像処理部
16 スキャナ特性補正部
17 出力制御部
18a DMAC(Ch0)
18b DMAC(Ch1)
18c DMAC(Ch2)
19 調停部
20 PCIeエンドポイントコントローラ
21 コントローラ部
22 コントローラ処理部
23 PCIeルートコンプレックスコントローラ
24 入力制御部
25 PCIe I/F
26 終了判定部
26a アドレスラッチ
26b 比較器
27 画像入力バッファ
27a R版画像バッファ
27b G版画像バッファ
27c B版画像バッファ
28 圧縮処理部
29 DMAC
30 PCIeエンドポイントコントローラ
31 チップセット
32 CPU
33 メモリ
34 入力部
35 転送終了アドレス
36 出力部
44 原稿サイズ検知センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特許第3730586号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン部とコントローラ部とが汎用バスを介して接続された画像形成装置であって、
前記エンジン部は、
原稿画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段で読み取った画像データを前記汎用バス経由で前記コントローラ部に転送すると共に、前記画像データの転送が完了した際にデータ転送の終了を示す転送終了信号を前記コントローラ部に送るスキャナ画像処理手段と、
を備え、
前記コントローラ部は、
前記画像データを格納するメモリと、
前記スキャナ画像処理手段から所定サイズの画像データを受けてメモリアドレスを発生させ、前記メモリに書き込むコントローラ処理手段と、
を備え、
前記コントローラ処理手段は、前記スキャナ画像処理手段から転送された前記画像データの前記メモリへの書き込みを行い、前記転送終了信号を受けると前記画像データの前記メモリへの書き込みを終了することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記スキャナ画像処理手段から前記コントローラ処理手段へのデータ転送は、前記汎用バス上にある画像データ転送用のアドレス情報を出力して転送を行う固定アドレス転送方式であり、
前記画像データ転送用のアドレス情報と前記転送終了信号用のアドレス情報とを個別に持ち、前記アドレス情報によって前記コントローラ処理手段がデータの種類を判別することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記汎用バスは、PCIバス、またはPCI Expressであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記スキャナ画像処理手段は、前記画像データを転送するDMAコントローラを1個または複数個備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コントローラ処理手段は、前記転送終了信号を受けると、転送完了割り込みを発行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像データは、データ圧縮した状態で転送されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記汎用バスは、PCI Expressであり、
前記スキャナ画像処理手段から前記コントローラ処理手段へのデータ転送は、前記PCI Express上にある一定のアドレス情報を出力して転送を行う固定アドレス転送方式であって、
画像データ転送用のアドレス情報により前記コントローラ処理手段がデータの種類を判別し、前記転送終了信号は割り込みパケットを伝送することで、前記コントローラ処理手段がデータ転送の終了を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
エンジン部とコントローラ部とが汎用バスを介して接続された画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、画像読取手段と、スキャナ画像処理手段と、メモリと、コントローラ処理手段とを備え、
前記エンジン部の前記画像読取手段が、原稿画像を読み取る工程と、
前記エンジン部のスキャナ画像処理手段が、読み取った画像データを前記汎用バスを経由して前記コントローラ部に転送すると共に、前記画像データの転送が完了した際にデータ転送の終了を示す転送終了信号を前記コントローラ部に送る工程と、
前記コントローラ部の前記メモリが、前記画像データを格納する工程と、
前記コントローラ部の前記コントローラ処理手段が、スキャナ画像処理手段から所定サイズの画像データを受けてメモリアドレスを発生させ、前記メモリに書き込む工程と、
を含み、前記コントローラ処理部が前記スキャナ画像処理手段から転送された前記画像データの前記メモリへの書き込みを行い、前記転送終了信号を受けると前記画像データの前記メモリへの書き込みを終了することを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
エンジン部とコントローラ部とが汎用バスを介して接続された画像形成装置に搭載されるプログラムであって、
コンピュータを、
前記エンジン部は、
原稿画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段で読み取った画像データを前記汎用バス経由で前記コントローラ部に転送すると共に、前記画像データの転送が完了した際にデータ転送の終了を示す転送終了信号を前記コントローラ部に送るスキャナ画像処理手段と、
して機能させ、
前記コントローラ部は、
前記画像データを格納するメモリと、
前記スキャナ画像処理手段から所定サイズの画像データを受けてメモリアドレスを発生させ、前記メモリに書き込むコントローラ処理手段と、
して機能させ、
前記コントローラ処理手段は、前記スキャナ画像処理手段から転送された前記画像データの前記メモリへの書き込みを行い、前記転送終了信号を受けると前記画像データの前記メモリへの書き込みを終了するように機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−199419(P2011−199419A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61550(P2010−61550)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】