説明

画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム

【課題】消費電力増加を抑制した画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】上位装置からの印刷データを受信し、印刷する画像形成装置であって、コントローラが省エネ復帰信号を省エネ制御コントローラに出力した際は復帰要因送信ビットに“1”を立て、MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
回線で接続された上位装置からの印刷データを受信し、印刷する画像形成装置が開発されている。
情報機器の開発において不要輻射への対応設計は重要な課題である。例えば外部からのMFP(multifunction printer:複合機)の省エネ状態から復帰する信号とノイズの識別対応(ノイズキャンセル)が正常に行われないと、意図していないタイミングでMFPが省エネから復帰してしまい、ユーザが気づかないうちに消費電力増大につながってしまう。
【0003】
この種の画像形成装置に対して、ノイズによる形成画像の品質の低下を防止するための種々の提案がなされている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0004】
特許文献1に記載の発明は、「画像処理装置用ノイズキャンセル回路」に関するものであり、ノイズキャンセル回路において、バッファ、ノイズフィルタ、コンデンサでノイズ成分をGNDに落とすことによりノイズ対策は実施せず、パルス幅が一定値以外の切り換え信号を無効とするようにプログラマブル可能なロジック回路素子を用いて構成されたロジック回路から成るノイズキャンセル回路である。動作モードによっては前述の“一定値”の切り替えが可能であるとしている。
【0005】
特許文献2に記載の発明は、「クロックリカバリ回路」に関するものであり、シリアル伝送されるデータにノイズが混入しても、そのノイズの影響を少なくすることができるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、以下の問題がある。
(1)動作モード毎にキャンセルするノイズのパルス幅を設定できるが、ノイズの発生具合でキャンセルするノイズのパルス幅を設定変更できない。
(2)EMI(electromagnetic interference:電磁妨害雑音)の視点でコンデンサ、フィルタがないのは好ましくない。
(3)低周波数(パルス幅の長い)ノイズをキャンセルしなければならず、入力信号を長期間監視する必要があるので、ノイズの識別に時間がかかる。
(4)フィルタ、コンデンサを使用しないので低周波(パルス幅の長い)のノイズが上記ノイズキャンセル回路に入力されることも考えられる。よって入力信号を長期間監視しないといけないため、省エネ復帰時間に影響を及ぼす。
【0007】
特許文献2に記載の発明は、動作モード毎にキャンセルするノイズのパルス幅を設定できるが、ノイズの発生具合でキャンセルするノイズのパルス幅を設定変更できないという問題がある。
【0008】
又、上記問題を解消するため、低周波数ノイズ低減用のバッファ、ノイズフィルタ、コンデンサを使用した回路と、高周波数ノイズキャンセル用のパルス幅が一定値以外の切り換え信号を無効とするようにプログラマブル可能なロジック回路素子を用いて構成されたロジック回路の併用といった手段がよく使用される。
しかし上記発明ではバッファ、ノイズフィルタの個別不良、劣化等で従来設計時に予想していなかった低周波ノイズが、後者のロジック回路に入力された場合、ノイズの発生具合でキャンセルするノイズのパルス幅を設定変更できないためノイズと判断できずにMFPを省エネ復帰させてしまう。不必要にMFPが省エネ状態から復帰してしまい、消費電力増加につながるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、消費電力増加を抑制した画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、上位装置からの印刷データを受信し、印刷する画像形成装置であって、前記上位装置とのデータ通信を行うと共に、復帰要因送信ビット用のレジスタを有するコントローラと、前記画像形成装置の制御及びデータの計算・加工を行なうMAIN CPUと、設定値よりも長い幅のパルス信号をノイズとしてキャンセルするノイズキャンセル回路を有し、省エネ移行/復帰信号を検知し、前記省エネ移行/復帰信号に伴い前記MAIN CPUの電源のON/OFF制御を行う省エネ制御コントローラと、を備え、前記コントローラが省エネ復帰信号を前記省エネ制御コントローラに出力した際は前記復帰要因送信ビットに“1”を立て、前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、前記復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、前記復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ノイズキャンセル回路の設定値を算出する際に参照する“ノイズキャンセル回路の設定値と省エネ復帰時間との相関線”を機種毎に用意しておくことで、機種に最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰後にノイズにより復帰したと判断すると同時に、省エネ状態に移行することで、ノイズにより省エネ状態から復帰したときの消費電力を抑制することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、最適なノイズキャンセル回路の設定値が、レジスタで予め用意されているビット数以上の設定値になった場合、ノイズキャンセル回路が参照しているCLK周波数を下げることで対応可能にすることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、ノイズにより省エネ復帰したことがあることを、ネットワークを通じて、ノイズフィルタ、コンデンサの個別不良、あるいはコントローラボードの寿命が近づいていることを告知することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、ノイズにより省エネ復帰した履歴をコントローラボードのFROMに随時書き込むことで、ネットワークを通じて告知する際に、ノイズにより省エネ復帰した回数を同時に告知することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、上位装置とのデータ通信を行うと共に、復帰要因送信ビット用のレジスタを有するコントローラが、省エネ移行/復帰を検知し、省エネ移行/復帰に伴い前記MAIN CPUの電源のON/OFF制御を行う省エネ復帰信号を前記省エネ制御コントローラに出力した際は前記復帰要因送信ビットに“1”を立て、前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、前記復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、前記復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更して前記上位装置からの印刷データに基づいて印刷することを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、上位装置からの印刷データを受信し、印刷する画像形成装置の制御用のプログラムであって、コンピュータに、復帰要因送信ビット用のレジスタを有するコントローラが、前記上位装置とのデータ通信を行う手順、MAIN CPUが、前記画像形成装置の制御及びデータの計算・加工を行なう手順、省エネ制御コントローラが、設定値よりも長い幅のパルス信号をノイズとしてキャンセルするノイズキャンセル回路を有し、省エネ移行/復帰信号を検知し、前記省エネ移行/復帰信号に伴い前記MAIN CPUの電源のON/OFF制御を行う手順、を実行するプログラムであって、前記コンピュータに、前記コントローラが省エネ復帰信号を前記省エネ制御コントローラに出力した際は前記復帰要因送信ビットに“1”を立てる手順、前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、前記復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、前記復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更する手順、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、“復帰要因送信ビット”を参照することでMAIN CPUが省エネから復帰後、従来設計時に予想していなかった低周波ノイズにより復帰したと判断した場合は、パルス幅の長さの値を“ノイズキャンセル回路の設定値算出回路”に転送する。省エネ制御コントローラに“どういったパルス幅”のノイズが“どれくらいの頻度”で入力されているかの情報が正確に入手可能なのでシステムとして最適なノイズキャンセルレジスタの設定値を計算し、動的に設定変更を行う。設計当初にノイズキャンセルレジスタで設定されたパルス幅以上のノイズが入力されても、省エネ状態から復帰する回数を減少させることが可能となり消費電力増加を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのディジタル複合機のブロック図の一例である。
【図2】図1に示した画像形成装置の動作を説明するための説明図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の他の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】図3に示した画像形成装置の動作を説明するための説明図である。
【図5】(a)は、MAIN CPU3の省エネ状態を復帰させるときの動作を示す図であり、(b)は、ノイズを省エネ復帰信号であると誤検知してから、ノイズキャンセル設定値の算出を行ない、算出結果値をノイズキャンセルレジスタ20aに設定するまでの動作を示す図である。
【図6】ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路内8のメモリ8b内のデータのイメージの一例を示す図である。
【図7】図4のノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8における設定値算出方法の一例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る画像形成方法の実施の形態の説明図である。
【図9】(a)は、本発明に係る画像形成装置の動作を説明するためのブロック図であり、(b)は、(a)の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図10】本発明に係る画像形成装置による省エネ移行〜復帰に伴う消費電力削減の効果を示す図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置のブロックと動作についての説明をするための説明図である。
【図12】(a)〜(c)は、CLK周波数の定倍率を下げたときの設定例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<実施形態1>
[構 成]
図1は、本発明に係る画像形成装置としてのディジタル複合機のブロック図の一例である。
同図において、1は、回線で接続された上位装置(いずれも図示せず)とのデータ通信を行うコントローラ(図ではFaxコントローラと表記)であり、2は、省エネ制御LSI(large-scale integration:大規模集積回路)である。3は、MAIN CPU(central processing) unit:中央演算処理装置)であり、4は、省エネ制御LSI2内の省エネ制御コントローラである。5は、省エネ制御コントローラ4内のノイズキャンセル回路(図ではノイズキャンセルと表記)であり、6は、省エネ制御LSIの外付けのノイズ低減化回路であり、抵抗器からなるノイズフィルタと、コンデンサとで構成されている。7は、コントローラ1に内蔵されたレジスタ(ノイズキャンセルレジスタともいう)である。
20は、省エネ制御コントローラ4に内蔵されたレジスタ制御部であり、20aは、レジスタ制御部20に内蔵されたレジスタである。21は、復帰要因検出回路(図では復帰要因検出と表記)であり、22は、CPU復帰信号生成回路(図ではCPU復帰信号生成と表記)であり、23は復帰信号切り替え回路(図では復帰信号切り替えと表記)である。
【0021】
[動 作]
ディジタル複合機が省エネ状態において、Faxコントローラ1がMAIN CPU3の処理が必要なデータを受信した際に、MAIN CPU3の省エネ状態を復帰させるときの動作を、図2を参照して説明する。
図2は、図1に示した画像形成装置の動作を説明するための説明図である。
(T1)MAIN CPU3の処理が必要なデータを受信する。
(T2)Faxコントローラ1が省エネ制御LSI2に省エネ復帰信号を出力する。
(T3)ノイズキャンセル回路5で入力された信号がノイズか否かを判定する。信号が一定のパルス幅以下であればノイズであると判定する。ノイズであると判定すれば後段の回路には信号を出力しない。ノイズではないと判断した場合、後段に信号を出力し、MAIN CPU3に省エネ復帰信号を出力する流れとなる。(S3)で一定値以上のパルス幅が入力されない想定で設計しているため、入力信号を長期間監視しない。よってノイズか否かの判断に時間がかからないが、設計想定外のパルス幅のノイズが入力された場合は復帰信号として判断してしまう。
【0022】
<実施形態2>
[構 成]
図3は、本発明に係る画像形成装置の他の実施の形態を示すブロック図である。
以下、図1に示した要素と同様の要素には共通の符号を用いる。
FAXコントローラ1内のレジスタ7に追加された復帰要因送信ビット7a、省エネ制御コントローラ4内に追加された、ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8と、パルス幅保持回路9が図2に示した画像形成装置に対しての追加機能にあたる。
【0023】
[動 作]
省エネ制御コントローラ4がノイズを省エネ復帰信号であると誤検知してしまい、MAIN CPU3を省エネ復帰させた後にMAIN CPU3がノイズによる復帰であると認識し、ノイズキャンセル設定値の算出を行ない、その算出結果値をレジスタ(以下、ノイズキャンセルレジスタと表記)20aに設定するまでの動作を説明する。
図4は、図3に示した画像形成装置の動作を説明するための説明図である。
(T10)省エネ復帰信号がフィルタ6で濾過されてノイズキャンセル回路5に入力する。
(T11)ノイズキャンセル5からの省エネ復帰信号が復帰要因検出21、CPU復帰信号生成回路22、及び復帰信号切替回路23を経てMAIN CPU3に省エネ移行/復帰信号として入力される。
(T12)ノイズキャンセル回路5からパルス幅保持回路9に信号が送られる。
(T13)MAIN CPU3からFaxコントローラ1に信号が送られる。
(T14)MAIN CPU3からレジスタ制御部20、パルス幅保持回路9を経て、ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8のメモリ8bに信号が送られる。
(T15)メモリ8bから設定値算出部8aに信号が送られる。
(T16)設定値算出部8aから算出された値の信号がレジスタ制御部20のレジスタ20aに送られる。
【0024】
又、Faxコントローラ1は、MAIN CPU3の処理が必要なデータを受信した際に、MAIN CPU3の省エネ状態を復帰させるときの動作を図5(a)に示し、ノイズを省エネ復帰信号であると誤検知してしまい、MAIN CPU3を省エネ復帰させた後にMAIN CPU3がノイズによる復帰であると認識し、ノイズキャンセル設定値の算出を行ない、算出結果値をノイズキャンセルレジスタ20aに設定するまでの動作を図5(b)にそれぞれ示す。
【0025】
すなわち、図5(a)において、Faxコントローラ1はMAIN CPU3の処理が必要なデータを受信する(ステップS1)。
“復帰要因送信ビット”に“1”を立てる(ステップS2)。
省エネ制御LSI(図では省エネI/OLSIと表記)に省エネ復帰信号を出力する(ステップS3)。
省エネI/OLSIは復帰信号を検知し、MAIN CPU3に省エネ復帰信号を出力する(ステップS4)。
パルス保持回路9(フローチャートでは9.の回路と表記)はパルス幅の長さ(参照clk数)を保持しておく(ステップS5)。
MAIN CPU3は、省エネから復帰した後、復帰要因送信ビット7a(フローチャートでは7.のビットと表記)に“1”が立っていることを確認し、正常な復帰要因により省エネ復帰したと認識する(ステップS6)。
ノイズキャンセル回路5に保持しておいたパルス幅の値をノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8(フローチャートでは8.の回路と表記)内のメモリに転送しない(ステップS7)。
【0026】
また、図5(b)において、ノイズキャンセルレジスタ20aの設定値以上のパルス幅のノイズが省エネ制御LSI2に入力される(ステップS10)。
ノイズキャンセル回路5は、省エネ復帰信号とご認識し、MAIN CPU3に省エネ復帰信号を出力する(ステップS11)。
パルス幅保持回路9(フローチャートでは9.の回路と表記)はパルス幅の長さ(参照clk数)を保持しておく(ステップS12)。
MAIN CPU3は省エネから復帰後、復帰要因送信ビット7a(フローチャートでは7.のビットと表記)に“1”が立っていないことを確認し、ノイズにより省エネ復帰したと確認する(ステップS13)。
ノイズキャンセル回路5に保持しておいたパルス幅の値をノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8(フローチャートでは8.の回路と表記)内のメモリ8bに転送する(ステップS14)。
ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8が、メモリ8b内の数値からシステムとして最適なノイズキャンセルレジスタ20aの設定値を計算する(ステップS15)。
ステップS15で計算した値を、ノイズキャンセルレジスタ20aに設定する(ステップS16)。
【0027】
図6は、ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路内8のメモリ8b内のデータのイメージの一例を示す図である。
図6において、ノイズキャンセルレジスタ20aで設定されたパルス幅以下のノイズ、及びノイズキャンセルレジスタ20aで設定されたパルス幅以上のノイズ、つまり全てのノイズにおけるパルス幅が**clkのノイズが**回発生しているかを度数分布表の形式で記録されている。
【0028】
図7は、図4のノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8における設定値算出方法の一例を示す説明図である。
ノイズキャンセルレジスタ20aの設定値−省エネ復帰時間の相関線と図5で求めた曲線とが交差する箇所の設定値を最適な設定値とするものである。
この方法により、「省エネ復帰時間」と「ノイズと判断可能なパルス幅」とのそれぞれに適したノイズキャンセルレジスタ設定値を算出することができる。
【0029】
<実施形態3>
本発明に係る画像形成方法の実施の形態の説明図を図8に示す。
ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路8でノイズキャンレジスタ設定値を算出する際に参照している“ノイズキャンセルレジスタ設定値と省エネ復帰時間との相関線"のデータを機種毎に用意しておく。図8で示す3本の相関線のデータに該当する。これにより機種毎に「省エネ復帰時間」と「ノイズと判断可能なパルス幅」とのそれぞれに適したノイズキャンセルレジスタ設定値を算出できる。
【0030】
本実施形態についての動作を説明するためのブロック図を図9(a)に示し、フローチャートの一例を図9(b)にそれぞれ示す。
すなわち、ノイズキャンセルレジスタ20aの設定値以上のパルス幅のノイズが省エネ制御LSI2に入力される(ステップS20)。
ノイズキャンセル回路5は、省エネ復帰信号であるとご認識し、MAIN CPU3に省エネ復帰信号を出力する(ステップS21)。
パルス保持回路9はパルス幅の長さ(参照clk数)を保持しておく(ステップS22)。
MAIN CPU3は省エネから復帰後、復帰要因送信ビット7aのビットに“1”が立っていないことを確認し、ノイズにより省エネ復帰したと認識する(ステップS23)。
【0031】
MAIN CPU3は、レジスタ制御部20の“省エネ移行信号出力BIT”をONにする(ステップS24)。
省エネI/OLSIはMAIN CPU3に省エネ移行信号を出力する(ステップS24)。
図5(b)の“ノイズにより省エネ復帰した後の処理フロー”のステップS14移行のステップを実施する(ステップS26)。
【0032】
レジスタの値であればノイズの影響も受けず、1BITあれば良いので空きレジスタを使えば特にレジスタ数を増やす必要もない。
又MAIN CPU3がFaxコントローラ1にアクセスするパスが従来から存在していない場合は、シリアルI/F等を別途追加するといった方法も考えられる。
【0033】
本発明に係る画像形成装置による省エネ移行〜復帰に伴う消費電力削減の効果を図10に示す。
図10に示してある通り定着の電力、メカの電力、及びタイマー等で設定された時間後に自動で省エネに移行するまでのマシンの待機電力分の消費電力削減に繋がる。
【0034】
<実施形態4>
本発明に係る画像形成装置の他の実施の形態について述べる。
図11は、本発明に係る画像形成装置のブロックと動作についての説明をするための説明図である。
同図において、SSCG10a、PLL(phase locked loop)10b、PLL制御部11の3ブロックが関連してくる。前述の3ブロックは実施形態3で新規追加したわけではない。実施形態1〜2での説明では必要なかったので記載していなかっただけである。
図5(b)の“ノイズにより省エネ復帰した後の処理フロー"のステップS16で、レジスタで予め用意されているビット数以上の設定値になった場合に、ノイズキャンセル回路5がパルス幅の長さの目安にしているCLK周波数の定倍率を下げる。設定例を図12(a)〜(c)に示す。レジスタのビット数を増やすことなく算出した値の設定変更が可能になる。
【0035】
すなわち、例を挙げると、ノイズのパルス幅が13(1'b1101)パルス以下はノイズと見なす設定を行う。1パルスの幅は、参照clkの1周期に相当する。仮にここでは50MHzのCLKを参照しているとすると、20ns×13=260ns以下のパルスはノイズとみなす(図12(a))。
【0036】
ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路で400ns以下をノイズと見なす結果が算出された場合、1clk=20nsなので400/20=20clkの周期に相当するため、ノイズキャンセルレジスタ20aには20(1'b10100)を設定したいが、ノイズキャンセルレジスタ20aは4ビットしかないので設定できない(図12(b))。
【0037】
上記の場合、PLLの定倍率を2倍にすると参照clkの1周期が25MHz(40ns)となる。よって400ns/40ns=10clkの周期に相当するため、ノイズキャンセルレジスタ20aには10(1'b1010)となり4ビットに入るため設定可能となる(図12(c))。
【0038】
<実施形態5>
ノイズにより省エネ復帰したことがあることをサービスマンに通知する手段は、ネットワークを通して通知する手段であってもよく、操作部上に通知する手段であってもよい。通知さえできれば手段は問わないこととする。
【0039】
<作用効果>
本実施形態によれば、ノイズで復帰した際のノイズのパルス幅から、システムとして最適なノイズキャンセルレジスタの設定値を計算し、動的に設定変更可能なので、設計当初にノイズキャンセルレジスタで設定されたパルス幅以上のノイズが入力されても、省エネ状態から復帰する回数が減少させることが可能となり消費電力増加を抑制することができる。
【0040】
本実施形態によれば、ノイズキャンレジスタ設定値を算出する際に参照している“ノイズキャンセルレジスタ設定値と省エネ復帰時間との相関線”を機種毎に用意しておくことで、機種に最適なノイズキャンセルレジスタの設定値を算出することができる。
【0041】
本実施形態によれば、MAIN CPUが省エネ状態から復帰後にノイズにより復帰したと判断した際に、直ちに省エネ状態に移行することで、ノイズにより省エネ状態から復帰したときの消費電力を抑制することができる。
【0042】
本実施形態によれば、最適なノイズキャンセルレジスタの設定値がレジスタで予め用意されているビット数以上の設定値になった場合、ノイズキャンセル回路が参照しているCLK周波数の定倍率を上げることで、レジスタのビット数を増やすことなく算出した値の設定変更ができる。
【0043】
本実施形態によれば、ノイズにより省エネ復帰したことがあることを、ネットワークを通じてサービスマンに知らせることで、ノイズフィルタ、コンデンサの個別不良、あるいはコントローラボードの寿命が近づいていることをサービスマンが認識することができる。
【0044】
本実施形態によれば、ノイズにより省エネ復帰した履歴をコントローラボードのFROMに随時書き込むことで、ネットワークを通じてサービスマンに知らせる際に、ノイズにより省エネ復帰した回数も同時に知らせることができる。
【0045】
<プログラム>
以上で説明した本発明にかかる画像形成装置は、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばマイクロプロセッサなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0046】
例えば、上位装置からの印刷データを受信し、印刷する画像形成装置の制御用のプログラムであって、
コンピュータに、
復帰要因送信ビット用のレジスタを有するコントローラが、上位装置とのデータ通信を行う手順、
MAIN CPUが、画像形成装置の制御及びデータの計算・加工を行なう手順、
省エネ制御コントローラが、設定値よりも長い幅のパルス信号をノイズとしてキャンセルするノイズキャンセル回路を有し、省エネ移行/復帰信号を検知し、省エネ移行/復帰信号に伴い前記MAIN CPUの電源のON/OFF制御を行う手順、
を実行するプログラムであって、
コンピュータに、
コントローラが省エネ復帰信号を省エネ制御コントローラに出力した際は復帰要因送信ビットに“1”を立てる手順、
MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更する手順、を実行させるプログラムが挙げられる。
【0047】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる画像形成装置を実現することができる。
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0048】
<記憶媒体>
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0049】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、ネットワーク通信機能、ファクシミリ通信機能、複写機能など、複数の機能を備えるファクシミリ複合機等の多機能端末装置において、省エネ復帰信号におけるノイズキャンセル装置を含むシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 コントローラ(Faxコントローラ)
2 省エネ制御LSI
3 MAIN CPU
4 省エネ制御コントローラ
5 ノイズキャンセル回路
6 ノイズ低減化回路
7 レジスタ
7a 復帰要因送信ビット
8 ノイズキャンセルレジスタ設定値算出回路
8a 設定値算出部
8b メモリ
10a SSCG
10b PLL
11 PLL制御部
20 レジスタ制御部
20a レジスタ(ノイズキャンセルレジスタ)
21 復帰要因検出回路
22 CPU復帰信号生成回路
23 復帰信号切替回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開平11−187312号公報
【特許文献2】特開2008−236179号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置からの印刷データを受信し、印刷する画像形成装置であって、
前記上位装置とのデータ通信を行うと共に、復帰要因送信ビット用のレジスタを有するコントローラと、
前記画像形成装置の制御及びデータの計算・加工を行なうMAIN CPUと、
設定値よりも長い幅のパルス信号をノイズとしてキャンセルするノイズキャンセル回路を有し、省エネ移行/復帰信号を検知し、前記省エネ移行/復帰信号に伴い前記MAIN CPUの電源のON/OFF制御を行う省エネ制御コントローラと、
を備え、
前記コントローラが省エネ復帰信号を前記省エネ制御コントローラに出力した際は前記復帰要因送信ビットに“1”を立て、前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、前記復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、前記復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、ノイズキャンセル回路の設定値を算出する際に参照する“ノイズキャンセル回路の設定値と省エネ復帰時間との相関線”を機種毎に用意しておくことで、機種に最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰後にノイズにより復帰したと判断すると同時に、省エネ状態に移行することで、ノイズにより省エネ状態から復帰したときの消費電力を抑制することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、最適なノイズキャンセル回路の設定値が、レジスタで予め用意されているビット数以上の設定値になった場合、ノイズキャンセル回路が参照しているCLK周波数を下げることで対応可能にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、ノイズにより省エネ復帰したことがあることを、ネットワークを通じて、ノイズフィルタ、コンデンサの個別不良、あるいはコントローラボードの寿命が近づいていることを告知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像形成装置において、ノイズにより省エネ復帰した履歴をコントローラボードのFROMに随時書き込むことで、ネットワークを通じて告知する際に、ノイズにより省エネ復帰した回数を同時に告知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
上位装置とのデータ通信を行うと共に、復帰要因送信ビット用のレジスタを有するコントローラが、省エネ移行/復帰を検知し、省エネ移行/復帰に伴い前記MAIN CPUの電源のON/OFF制御を行う省エネ復帰信号を前記省エネ制御コントローラに出力した際は前記復帰要因送信ビットに“1”を立て、前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、前記復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、前記復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更して前記上位装置からの印刷データに基づいて印刷することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
上位装置からの印刷データを受信し、印刷する画像形成装置の制御用のプログラムであって、
コンピュータに、
復帰要因送信ビット用のレジスタを有するコントローラが、前記上位装置とのデータ通信を行う手順、
MAIN CPUが、前記画像形成装置の制御及びデータの計算・加工を行なう手順、
省エネ制御コントローラが、設定値よりも長い幅のパルス信号をノイズとしてキャンセルするノイズキャンセル回路を有し、省エネ移行/復帰信号を検知し、前記省エネ移行/復帰信号に伴い前記MAIN CPUの電源のON/OFF制御を行う手順、
を実行するプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記コントローラが省エネ復帰信号を前記省エネ制御コントローラに出力した際は前記復帰要因送信ビットに“1”を立てる手順、
前記MAIN CPUが省エネ状態から復帰した後、前記復帰要因送信ビットが“1”ならば処理は行わず、前記復帰要因送信ビットが“0”ならば入力された全てのノイズの特性から最適なノイズキャンセル回路の設定値を計算し、設定変更する手順、を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−61740(P2011−61740A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212433(P2009−212433)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】