説明

画像形成装置およびプログラム

【課題】プレビュー時に、新たに生じた強調したいところや注意を喚起したいところに線図形を追記して、最終仕上がり状態を編集できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能を備えた画像形成装置において、プレビュー表示されたプレビュー画像上でのタッチ位置の軌跡を検知し、該検知した軌跡による線図形(手書き図形、または、予め設定された下線、四角形、丸のいずれか)を前記原稿画像の画像データに追記して印刷する。前記タッチ位置の軌跡は、プレビュー画像と共に表示されたスケールに基づいてプレビュー画像上の座標値を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取った原稿画像の画像データを画像形成する前にプレビューする機能を備えた画像形成装置およびその画像形成装置に搭載されたコンピュータで実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機等の画像形成装置には、画像形成する前の画像データをプレビュー表示する機能(「見てからコピー」機能ともいわれる)が備わっているものがある。例えば、スキャナによって読み取った原稿画像の画像データや、外部機器から受信した画像データを画像形成(印刷)させる際に、これらの画像データを一旦プレビュー表示させ、その表示をユーザが確認してから画像形成するようにしたものである。
【0003】
このような画像形成装置の付加機能として、プレビュー時に原稿画像の一部を領域指定し、この指定領域に対して他の領域と異なる処理を行う編集処理機能がある。
例えば、指定領域内の画像データに対して拡大、縮小、濃度や色の調整、網かけ等の画像処理や、指定領域内の画像の削除、移動、反転、回転等の領域編集等を施すことが可能である。
また、プレビュー時におけるその他の編集処理機能としては、両面・片面、集約、余白サイズ調整、ページの順序の入れ替え等のレイアウト加工機能や複数の画像データの合成機能や仕上がり状態の調整機能等がある。
【0004】
特許文献1のプレビュー表示装置および画像表示編集システムでは、プレビュー表示を行いながら編集操作を行った後に、印刷コマンドデータに編集操作に基づく修正を加えたものをプリンタ装置に再送信することで、即座に目的のドキュメントの印刷を可能とし、効率の良い印刷作業を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−75950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プレビュー時に、強調したいところや注意を促したいところを追加したい場合がある。
このような場合には、そのような強調したいところに下線や囲み等の簡単な図形を追加すれば比較的簡単に対処することができる。
しかし、特許文献1の編集機能では、プレビュー時に、画面の左右や上下の移動もしくはページ削除などを行うものであり、上記のような小規模の修正であっても、原稿の該当箇所に下線や囲み等の線図形を追記し、再度、原稿を読み取らせねばならなかった。
【0007】
本発明は、上記の実情を考慮してなされたものであって、プレビュー時に、新たに生じた強調したいところや注意を喚起したいところに線図形を追記して、最終仕上がり状態を編集できる画像形成装置およびその画像形成装置に搭載されたコンピュータで実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能を備えた画像形成装置において、プレビュー表示されたプレビュー画像上でのタッチ位置の軌跡を検知し、該検知した軌跡による線図形(手書き図形、または、予め設定された下線、四角形、丸のいずれか)を前記原稿画像の画像データに追記して印刷する。前記タッチ位置の軌跡は、プレビュー画像と共に表示されたスケールに基づいてプレビュー画像上の座標値を検知する。
【0009】
さらに、上記の画像形成装置において、前記線図形の線の種類、太さ、あるいは、色を指定可能としてもよい。
【0010】
また、上記の画像形成装置は、コンピュータによって実現されてもよく、この場合には、上記の機能をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プレビュー時に、新たに生じた強調したいところや注意を喚起したいところに線図形を追記して、最終仕上がり状態を編集できるので、原稿を汚すことなく印刷物において強調させたい部分を明確にさせることができる。
従って、編集を加えた原稿画像の再読み込みを行う必要がなく、ユーザの希望に沿った修正ができるので、ユーザの使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの構成例を示す模式図である。
【図2】図1のデジタル複合機の構成例を示す概略ブロック図である。
【図3】デジタル複合機におけるタッチパネルおよびキー操作部の一例を示す外観図である。
【図4】デジタル複合機の標準画面の例を示す図である。
【図5】プレビュー確認キーを操作したときのプレビュー画面の例を示す図である。
【図6】図5のプレビュー画面に線図形(丸印)を追記した例を示す図である。
【図7】プレビュー時における線図形の追記処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置およびプログラムに係る好適な一実施形態について説明する。以下、本発明の画像形成装置をプリント機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能、ファイリング機能等を有するデジタル複合機に適用して説明する。
【0014】
<画像処理システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの構成例を示す模式図である。図1において、画像処理システムは、デジタル複合機1、外部コンピュータ2,3、インターネットファクシミリ装置(インターネットFAX装置)4、ファクシミリ装置5から構成されている。これらの外部コンピュータ2,3、インターネットFAX装置4、ファクシミリ装置5は、必要に応じた台数の装置が接続される。
【0015】
デジタル複合機1は、本発明の画像形成装置に係る実施形態の1つであり、プリント機能、コピー機能の他に、画像データをファックスで送受信する機能(ファクシミリ機能)および/または画像データをインターネットFAXで送受信する機能(インターネットFAX機能)および/または画像データのファイリング機能を有する。このデジタル複合機1には、通信網を介して各種の外部機器が接続される。
【0016】
例えば、ローカルな通信網として敷設されている通信ネットワークLNには、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部コンピュータ2が接続されおり、図に示していないゲートウェイ等を介して接続されているインターネット網INには外部コンピュータ3およびインターネットFAX装置4が接続される。また、デジタル複合機1には、公衆電話回線網PNを介して外部のファクシミリ装置5が接続される。
【0017】
<画像形成装置の構成>
次に、デジタル複合機1の機能とその構成および動作について説明する。図2は、図1のデジタル複合機1の構成例を示す概略ブロック図である。
【0018】
図2において、デジタル複合機1は、タッチパネル10、パネル制御部11、記録部12、読取部13、フォーマット変換部14、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、メイン制御部18、制御用メモリ19、キー操作部20、LAN(Local Area Network)制御部21、制御用バッファ22、網制御部(NCU:Network Control Unit)23、モデム24およびUSB(Universal Serial Bus)インターフェース(I/F)25を備えている。
【0019】
メイン制御部18は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)などで構成される。
制御用メモリ19は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性メモリなどで構成される。制御用メモリ19内には、メイン制御部18から読み出し可能なように、制御プログラム(ファームウェア)と各種設定データとが格納されている。このうち少なくとも各種設定データは書き換え可能なメモリに格納されている。また、これらの制御プログラムや各種設定データは、画像記憶部15に記憶してもよい。また、制御用バッファ22は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。
【0020】
上述の制御プログラムは、本発明に係る後述のプレビュー画像の生成や表示に係る命令をはじめ、ファクシミリ画像や電子メール等の生成・送信・受信等に係る命令、原稿画像の読み取りに係る命令、印刷に係る命令、原稿画像の読み取りおよび印刷(つまりコピー)に係る命令などを、メイン制御部18が他の部位に対して行うためのものである。この制御プログラムは、メイン制御部18により、制御用バッファ22上に展開され、制御用バッファ22を一時保存(作業)用のデータ領域として、各種設定データを適宜参照しながら実行される。
【0021】
読取部13は、CCD(Charge Coupled Device)を利用したスキャナで、原稿画像を所定の解像度のRGB(R:赤、G:緑、B:青)のビットマップ画像として読み取り、読み取ったRGBの画像データ(ドットイメージデータ)を画像処理部16に出力する。
【0022】
画像処理部16は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成され、対象となる画像データに対して様々な画像処理を施す。上述のASICには符号化/復号部17等の他の部位を組み込んでも構わない。この画像処理部16では、後述するプレビュー表示や線図形の追記処理も行われる。
【0023】
画像記憶部15は、ハードディスク等で構成され、読取部13で読み取った画像データや、その後の画像処理部16での処理結果の画像データや、LAN制御部21やNCU23等を介して外部から受信した画像データなどを記憶する。画像記憶部15に画像データを記憶する際には、符号化/復号部17で符号化したデータを記憶することもできる。また、画像記憶部15は、画像処理部16での画像処理中に発生する中間データの一時的な保存も行ってよい。
【0024】
符号化/復号部17は、画像データを符号化により圧縮したり、符号化画像データを元の画像データに復号(伸張)する。例えば、符号化/復号部17は原稿を読み取った画像データの符号化、その符号化データの復号、外部から受信した符号化画像データの復号などを行う。
【0025】
符号化/復号部17では、ファイリングで一般的に使用されているJPEG(Joint Photographic Experts Group)や、ファクシミリ通信で一般に使用されているMH(Modified Huffman)、MR(Modified READ)、およびMMR(Modified Modified READ)など、用途に応じた符号化方式を用いることができる。また、符号化方式として、IPファクシミリ通信ではMHを採用することができ、インターネットファクシミリ通信ではMH、MR、MMRの他にJPEGやJBIG(Joint Bi-level Image Experts Group)を採用することができる。
【0026】
フォーマット変換部14は、読み取られた画像データや外部から受信した画像データを、PDF(Portable Document Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、TIFF(Tag Image File Format)等のファイルフォーマットに変換する。
【0027】
記録部12は、電子写真方式やインクジェット方式などの印刷方式を採用したプリンタ装置を備え、画像記憶部15に記憶された画像データなどを、記録用紙に出力(つまり印刷)する画像形成手段として機能する。
【0028】
また、USB I/F25は、USBメモリ等のUSB機器に接続するためのインターフェースであり、画像記憶部15に記憶された原稿読み取り後の画像データ等をUSB機器に出力したり、USB機器から画像データを読み込んだりする。
【0029】
モデム24は、ファクシミリ通信が可能なファクシミリモデムから構成されており、公衆電話回線網PNと接続され、またNCU23と直接的に接続されている。
NCU23は、アナログの公衆電話回線網(PSTN)との回線の閉結および開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム24を公衆電話回線網PNと接続する。
このような構成により、画像記憶部15に記憶された画像データを外部へファクシミリ送信することや、公衆電話回線からファクシミリ画像データを受信して、画像記憶部15に記憶したり記録部12で直接印刷したりすることが可能となる。
【0030】
LAN制御部21は、通信ネットワークLNと接続され、インターネット経由による電子メールデータの通信およびインターネットFAXの通信を行う。インターネットFAXは、LAN制御部21を介してコンピュータネットワークに接続し、電子メールを送受信するものである。
【0031】
タッチパネル10は、表示部とタッチセンサ等の操作受付部とを有し、パネル制御部11は、タッチパネル10の表示部の表示制御や操作受付部の操作受付制御を行う。
キー操作部20は、操作するために必要なキー群を備えている。
【0032】
タッチパネル10の操作受付部またはキー操作部20は、原稿の読み取り処理、画像データ送信、印刷、ファイリング等の処理の中から所望の処理を選択するための操作、その処理を開始するための操作、各処理を実行する際に必要となる設定を行うための操作(選択操作または入力操作)などを受け付ける操作入力部である。
【0033】
タッチパネル10の表示部には、現在の動作状態や設定情報などが表示される。この表示は、GUI(Graphical User Interface)画像を表示させるように、パネル制御部11が制御することで実現される。GUIにより、ユーザ操作に応じてその表示および操作受付位置を変更することができる。各GUIおよびその画像は、パネル制御部11の内部メモリまたは制御用メモリ19に、読み出し可能に格納しておけばよい。また、表示部としては、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを用いた様々な表示装置を採用することができる。
【0034】
タッチパネル10の操作受付部で受けたユーザ操作は、パネル制御部11で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。
また、キー操作部20で受けたユーザ操作は、キー操作部20自身で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。
【0035】
メイン制御部18は、このようにして得た操作信号に応じた命令を他の部位に発することで、ユーザ操作に応じた処理を他の部位に実行させる。
【0036】
タッチパネル10およびキー操作部20は、図3で例示するような操作パネル30として構成される。図3の例では、操作パネル30は、各種ハードウェアキーを備えるキー操作部31(上述のキー操作部20に相当する)と、液晶ディスプレイおよびタッチセンサにより構成されるタッチパネル32(上述のタッチパネル10に相当)とにより構成される。以下、図2の構成において、タッチパネル10およびキー操作部20の代わりにタッチパネル32およびキー操作部31を用いて説明する。
【0037】
キー操作部31は、ハードウェアキーとして、数値入力のためのテンキー31a、入力した設定値をクリアするためのクリアキー31b、入力した各種設定を全解除するための全解除キー31c、コピー開始、送信開始等の指示を受付けるスタートキー31dの他、プリント機能、送信機能およびコピー機能を切替える機能切替キー31e,31f,31g、並びに、ユーザによるシステム設定を受付けるユーザ設定キー31hを備えている。
【0038】
<プレビュー時の線図形の追記処理>
コピー機能を例にして、本実施形態におけるプレビュー時の線図形の追記処理の概要について説明する。
ユーザは、スタートキー31dを押して、原稿画像の読み取りを開始させる。
画像形成装置では、読み取った各ページの画像データを画像記憶部15に記憶すると共に、ページ毎に画像処理したプレビュー画像を画像記憶部15に記憶する。全ての原稿を読み終わると、画像記憶部15に記憶されたプレビュー画像をタッチパネル32に送り、タッチパネル32の表示部にプレビュー画面を表示する。
【0039】
ユーザは、プレビュー表示されている画像を見て、強調したいところがあった場合、指やペンを使ってタッチパネルを押圧することによって、この強調したいところを矩形や丸等で囲む。プレビュー画像が小さくてよく見えないときには、変倍機能によりプレビュー画像を拡大して操作する。
この操作を行うと、プレビュー画像の強調したいところに矩形や丸が追記されて表示されるとともに、指やペンによる押圧点の軌跡が操作中のページと対応付けて画像記憶部15に格納される。
【0040】
ユーザは、上記の操作をすべての強調したい部分について行った後、コピー開始キー77を押す。
画像形成装置では、コピー開始キー77が押されたことを検知すると、画像記憶部15を参照して、プレビュー画像の強調したい部分について行った操作を原稿画像の画像データに対しても適用し、指やペンによる押圧点の軌跡からなる線図形が追記された画像データを画像処理して印刷する。
【0041】
次に、本実施形態におけるプレビュー時の線図形の追記処理の詳細について説明する。
図4は、デジタル複合機1の標準画面の例を示す図である。標準画面40は、デジタル複合機1の電源がONになったときやデジタル複合機1がリセットされたときに、デジタル複合機1のタッチパネル32に表示されるものである。図4の標準画面40は、上部のコピーキー41が操作され、コピーを行うための各種の条件設定が可能となっている。
【0042】
また、標準画面40では、コピーキー41以外に、イメージ送信キー42あるいはドキュメントファイリングキー43を選択することにより、ファクシミリ通信などのイメージ送信を行うためのイメージ送信モード、あるいはデータの保存や確認を行うためのドキュメントファイリングモードに移行することができる。
さらに、この標準画面40では、本実施形態で使うプレビュー確認キー46の他に、両面コピーを設定するための両面コピーキー44、パンチやステープルの後処理の設定を行うための仕上げキー45などを備えている。
ユーザは、通常の場合は、標準画面40において、スタートキー31dを押してコピーを開始する。
【0043】
メイン制御部18は、スタートキー31dが押されたことを検知すると、読取部13により読み取った原稿画像の各ページの画像データを画像記憶部15に記憶すると共に、画像処理部16によりページ毎に画像処理したプレビュー画像を画像記憶部15に記憶する。
この時点では、ページ番号に対応して、ページ番号に対応する原稿画像の画像データとプレビュー画像とが画像記憶部15に記憶されている。
【0044】
メイン制御部18は、全ての原稿画像を読み終わると、画像記憶部15に記憶されているプレビュー画像をタッチパネル32に送り、タッチパネル32の表示部にプレビュー画面(図5)を表示する。
ユーザは、強調したい部分があるときには、強調したい部分を囲む線図形を追記する作業(後述)を行った後に、コピー開始キー77を押す。
メイン制御部18は、コピー開始キー77が押されたことを検知すると、プレビュー画像に行った線図形の追記を原稿画像の画像データに適用し、生成された画像データに画像処理を行って印刷する。
【0045】
次に、プレビュー画面について説明する。
プレビュー表示が開始されると、図5に示すようなプレビュー画面70がタッチパネル32の表示部に表示される。
図5において、プレビュー画面70の左部分には、読み込んだ原稿の画像データに画像処理を施したプレビュー画像71が表示される。このプレビュー画像71の左側と下部には、ページ左下隅を原点として水平方向のスケール80Xと垂直方向のスケール80Yとが表示され、プレビュー画像上の位置が原稿画像上のどの位置かを示すものである。
プレビュー画像上のタッチした位置は、このスケールによって変換されて原稿画像上の座標位置として読み取られる。
【0046】
また、プレビュー画面70の右部分には、プレビュー画像71の強調したい領域部分に線図形を追記するための2種類の編集ボタン81(自動ボタン81a、手動ボタン81b)が表示されている。
自動ボタン81aをタッチした場合、例えば、3つの線図形81c(下線、丸印、四角印)の中から選択された線図形を指定された領域部分に簡易的に追記する方法である。ユーザが指定した領域部分は、線図形の左上隅と右下隅の座標値が水平方向スケール80Xと垂直方向スケール80Yで読み取られて、プレビュー画面70の右下の表81dに表示される。
手動ボタン81bをタッチした場合、ユーザが手書きで描いた指やペンによる押圧点の軌跡からなる線図形を追記する方法である。
さらに、上述の線図形の外形を表わす線の種類(実線、点線、一点鎖線等)、太さや色を指定することもできる。
【0047】
また、このプレビュー画像71は、ページ毎に表示され、ユーザは、ページ切換キー72を適宜操作することによって、任意のページのプレビュー画像を表示させることができる。また、現在表示されている画像データのページ番号は、ページ表示79によっても確認することができる。
【0048】
また、図5に示すプレビュー画面70には、設定確認キー73、拡大/縮小キー74、表示の回転キー75などが表示されていて、ユーザはこれらを適宜操作することによって、プレビュー画像71の印刷条件の設定を確認したり、プレビュー画像71を拡大もしくは縮小、あるいは回転させて確認することができる。
また、ユーザが拡大/縮小キー74を利用したときには、プレビュー画像の変倍率と同じ変倍率でこのスケールの表示も変化し、さらに、プレビュー画像のスクロールや回転キー75に応じてスケールの表示も変化するので、プレビュー画面に表示された画像が原稿画像のいずれの部分に当たるのかが分かるようになっている。
【0049】
また、プレビュー画像71を確認することで印刷条件を再設定する必要が生じた場合など、ユーザは再設定キー76を操作することにより、印刷条件を再設定するための画面を開くことができる。そして再設定画面を使用して印刷条件を再設定し、再設定した印刷条件に基づくプレビュー画像71を表示させることができる。
【0050】
次に、上記のプレビュー画面70を用いて、強調したい領域部分を指定する作業について説明する。
ユーザは、各ページのプレビュー画像を確認して、原稿画像のなかのどの部分を強調したいかを判断する。強調したい領域部分がある場合には、自動ボタン81aまたは手動ボタン81bのいずれかをタッチする。
【0051】
自動ボタン81aをタッチした場合、例えば、簡易的な線図形81c(下線、丸印、四角印)のいずれかをタッチする。次いで、強調したい領域部分の左上隅にタッチしながら右下隅方向にずらすと、プレビュー画面70には引き延ばされた線図形が描かれるので、強調したい領域部分が囲まれたときにタッチをやめる。これにより、線図形が丸印の場合、図6に示すように、プレビュー画像71に丸印82が追記されるとともに、領域部分の座標値(領域部分の左上隅と右下隅の座標値)がスケールによって読み取られて表81dに表示される。
【0052】
また、手動ボタン81bをタッチした場合、強調したい領域部分を囲むように指やペンでタッチして手書きの線図形を描く。これにより、タッチした軌跡による線図形がプレビュー画像71に追記される。この軌跡のサンプリングした座標値がスケールによって読み取られて、画面上に表示されてもよい。
【0053】
次に、図7のフローチャートを用いて、プレビュー時における線図形の追記処理について説明する。
プレビュー表示が開始されると、先頭ページのプレビュー画像を画像記憶部15から読み込んでプレビュー画面70に表示する(ステップS1)。
タッチパネル10の操作部からの入力を読み込んで(ステップS2)、自動ボタン81aがタッチされたと判定したときには(ステップS3でYES)、ステップS4に進む。
また、手動ボタン81bがタッチされたと判定したときには(ステップS8でYES)、ステップS9に進む。
また、コピー開始キー77がタッチされたと判定したときには(ステップS12でYES)、ステップS13に進む。
また、ページ切り換えキー72がタッチされたと判定したときには(ステップS12でNO)、ステップS14に進む。
【0054】
自動ボタン81aがタッチされたときには(ステップS3でYES)、ユーザから3種類の簡易的な線図形のいずれかがタッチされて選択されるのを待つ(ステップS4)。
(このステップS2,S3,S4,S8で図形種類入力部を構成する。)
【0055】
ユーザが強調したい領域部分の左上隅にタッチしながら右下隅方向にずらすと、プレビュー画面70に引き延ばした線図形を描き、強調したい領域部分が囲まれたときにタッチをやめると、タッチを開始したときの座標値(左隅座標値)とタッチを終了したときの座標値(右隅座標値)とを取得する(ステップS5)。この左隅座標値と右隅座標値は、スケール80Xと80Yで変換された原稿画像上の座標値である。
【0056】
上記の左隅座標値と右隅座標値で表わされる矩形(四角形)に内接するような選択線図形をプレビュー画像に合成して表示すると共に、これらの座標値を表81dに書き込んでプレビュー画面70の表示を更新する(ステップS6)。
次に、「自動」の区別、選択線図形の種類(下線、四角形、丸印のいずれかの区別)、上記の左隅座標値と右隅座標値とを、ページ番号に対応して画像記憶部15に記憶して(ステップS7)、ステップS2に戻る。
(上記のステップS5、S6,S7と後述のステップS9,S10,S11で領域取得部を構成する。)
【0057】
また、手動ボタン81bがタッチされたときには(ステップS8でYES)、ユーザが強調したい領域部分を囲むようにタッチした軌跡の座標値を、タッチ開始位置からタッチ終了時の位置までの座標値を取得する(ステップS9)。この軌跡の座標値は、スケール80Xと80Yで変換された原稿画像上の座標値である。
【0058】
上記の軌跡をプレビュー画像に合成してプレビュー画面70の表示を更新する(ステップS10)。
次に、「手動」の区別、上記のタッチ開始位置からタッチ終了時の位置までの座標値とを、ページ番号に対応して画像記憶部15に記憶して(ステップS11)、ステップS2に戻る。
【0059】
また、コピー開始キー77がタッチされたときには(ステップS12でYES)、画像記憶部15からページ番号順に読取部13で読み取った原稿画像の画像データを取り出して、画像処理部16によって画像処理を行って記録部12により印刷用紙に出力して(ステップS13)、プレビュー表示を終了する。
ここで、ページ内に強調したい領域部分の指定が画像記憶部15に記録されていた場合、該当ページの画像データに対して、画像記憶部15を参照して、プレビュー画像で行ったものと同じ線図形の追記処理を適用し、線図形の追記された画像データを生成する。印刷実行は、この生成された画像データに対して行われる。(ステップS13で出力部を構成する。)
【0060】
また、ページ切り換えキー72がタッチされたときには(ステップS12でNO)、指定されたページのプレビュー画像を画像記憶部15から取得して(ステップS14)、ステップS1に戻ってこのプレビュー画像をプレビュー画面70に表示させる。
【0061】
尚、原稿画像の画像データは、読取部13で読み取られた画像データに限ったものではなく、例えば、外部記録媒体に記憶された画像データやネットワーク接続されたPCなどから事前に転送され画像記憶部15に記憶された画像データ(画像ファイル)であってもよく、同様に適用することができる。
【0062】
この場合には、コピー、イメージ送信やドキュメントファイリングの対象となる画像データを外部記録媒体や画像記憶部15の中から指定し、スタートキーを操作して、コピー、イメージ送信やドキュメントファイリングの開始を指示する。以降の処理は、上述したコピーの場合と同様である。
【0063】
本実施形態によれば、プレビュー時に、新たに生じた強調したいところや注意を喚起したいところに線図形を追記して、最終仕上がり状態を編集できるので、原稿を汚すことなく印刷物において強調させたい部分を明確にさせることができる。
従って、編集を加えた原稿画像の再読み込みを行う必要がなく、ユーザの希望に沿った修正ができるので、ユーザの使い勝手が向上する。
【0064】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
例えば、上述した画像形成装置のメイン制御部や画像処理部の機能をハードウェア的に実現することは勿論として、上述したメイン制御部や画像処理部の機能を備えるコンピュータプログラムを画像形成装置に備えられた磁気ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納しておき、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って画像形成装置に登載されたコンピュータで実行することにより、上述した各機能が実現できる。
【符号の説明】
【0065】
LN…通信ネットワーク、PN…公衆電話回線網、1…デジタル複合機、2,3…外部コンピュータ(PC)、4…インターネットFAX装置、5…ファクシミリ装置、10,32…タッチパネル、11…パネル制御部、12…記録部、13…読取部、14…フォーマット変換部、15…画像記憶部、16…画像処理部、17…符号化/復号部、18…メイン制御部、19…制御用メモリ、20,31…キー操作部、30…操作パネル、31a…テンキー、31b…クリアキー、31c…全解除キー、31d…スタートキー、31e,31f,31g…機能切替キー、31h…ユーザ設定キー、21…LAN制御部、22…制御用バッファ、23…NCU、24…モデム、25…USB I/F、40…標準画面、41…コピーキー、42…イメージ送信キー、43…ドキュメントファイリングキー、44…両面コピーキー、45…仕上げキー、46…プレビュー確認キー、70…プレビュー画面、71…プレビュー画像、72…ページ切換キー、73…設定確認キー、74…拡大・縮小キー、75…回転キー、76…再設定キー、77…コピー開始キー、79…ページ表示、80X…水平方向スケール、80Y…垂直方向スケール、81a…自動ボタン、81b…手動ボタン、81c…3種類の簡易的な線図形、81d…強調したい部分を囲む領域の座標値を示す表、82…追記された線図形。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能を備えた画像形成装置において、プレビュー表示されたプレビュー画像上でのタッチ位置の軌跡を検知し、該検知した軌跡による線図形を前記原稿画像の画像データに追記して印刷することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記タッチ位置の軌跡は、プレビュー画像と共に表示されたスケールに基づいてプレビュー画像上の座標値を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記線図形は、手書き図形、または、予め設定された下線、四角形、丸のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記線図形の線の種類、太さ、あるいは、色を指定可能としたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能を備えた画像形成装置に搭載されたコンピュータで動作するプログラムであって、前記コンピュータに、プレビュー表示されたプレビュー画像上でのタッチ位置の軌跡を検知し、該検知した軌跡による線図形を前記原稿画像の画像データに追記する機能を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−200225(P2010−200225A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45444(P2009−45444)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】