説明

画像形成装置およびプロセスカートリッジ

【課題】本発明は、イオン風の流れを規制することで、画像品質を向上させることができる画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】隣り合う一対のプロセスカートリッジ50のうち一方のプロセスカートリッジ50Aが、他方のプロセスカートリッジ50Bの帯電器54の第2開口部B23および露光開口部55と対向するように、複数のプロセスカートリッジ50が並べられるとともに、一対のプロセスカートリッジ50の間において、気流を規制するための規制部材100が設けられ、規制部材100は、弾性を有し、帯電器54の第2開口部B23と露光開口部55との間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラム、帯電器および露光開口を有したプロセスカートリッジを複数備える画像形成装置と、この画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置として、帯電された感光ドラムにレーザ光を照射して、レーザ光で照射された部分の電位を下げて感光ドラム上に静電潜像を形成し、その静電潜像に現像剤を供給することで形成した現像剤像を用紙に転写することで、用紙に画像を形成するものが知られている。
【0003】
このような画像形成装置としては、従来、感光ドラムと、感光ドラムを帯電させるコロナ放電方式の帯電器と、感光ドラムおよび帯電器を支持するとともに感光ドラムを露光するための露光開口部が形成されたプロセスフレームとを有するプロセスカートリッジを複数備える装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この装置では、隣り合う一対のプロセスカートリッジのうち一方のプロセスカートリッジが、他方のプロセスカートリッジの帯電器と対向するように、各プロセスカートリッジが一方向に並べられている。また、帯電器は、感光ドラムを帯電させる帯電ワイヤと、帯電ワイヤを支持するとともに帯電ワイヤを感光ドラムおよび外部に臨ませるための開口部が形成される帯電フレームとを有している。
【0004】
【特許文献1】特開2007−72421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した技術では、帯電器の帯電ワイヤに電圧をかけると帯電ワイヤでイオンが発生し、このイオンが感光ドラムに向かって移動する。このとき、このイオンの移動によって発生するエアフロー(以下、「イオン風」ともいう。)は、帯電フレームの開口部を通ってプロセスフレーム内に流入した後、浮遊した紙粉やトナーなどを取り込みながら、プロセスフレームの露光開口部を通ってプロセスフレームの外部に排出される。しかしながら、露光開口部を通ってプロセスフレームの外部に排出されたイオン風が、隣りのプロセスカートリッジにぶつかって、再び帯電フレームの開口部からプロセスフレーム内に再流入した場合には、イオン風に含まれる紙粉やトナーなどの異物が帯電ワイヤに付着して、帯電器の帯電性能が衰え、画像品質が低下する。さらに、そのようにプロセスフレーム内に再流入したイオン風が感光ドラムに当たると、感光ドラムがイオン風に含まれるオゾンにより劣化したり、イオン風に含まれるトナーや紙粉などにより汚れて、画像品質が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、イオン風の流れを規制することで、画像品質を向上させることができる画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を帯電させる帯電ワイヤおよび当該帯電ワイヤを支持するとともに前記感光体と前記帯電ワイヤとの間に形成された第1開口部と前記帯電ワイヤを挟んで前記第1開口部とは反対側に形成された第2開口部とが形成される帯電フレームを有する帯電器と、前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体と対向する露光のための露光開口部が形成されたプロセスフレームとを有するプロセスカートリッジを複数備える画像形成装置であって、隣り合う一対のプロセスカートリッジのうち一方のプロセスカートリッジが、他方のプロセスカートリッジの帯電器の第2開口部および露光開口部と対向するように、前記複数のプロセスカートリッジが並べられるとともに、前記一対のプロセスカートリッジの間において、気流を規制するための規制部材が設けられ、前記規制部材は、弾性を有し、前記帯電器の開口部と前記露光開口との間に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を帯電させる帯電ワイヤおよび当該帯電ワイヤを支持するとともに前記感光体と前記帯電ワイヤとの間に形成された第1開口部と前記帯電ワイヤを挟んで前記第1開口部とは反対側に形成された第2開口部とが形成される帯電フレームを有する帯電器と、前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体と対向する露光のための露光開口部が形成されたプロセスフレームと、を有するプロセスカートリッジであって、前記帯電器の第2開口部と前記露光開口部との間の面に、外側へ突出する弾性変形可能な規制部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係るプロセスカートリッジは、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を帯電させる帯電ワイヤおよび当該帯電ワイヤを支持するとともに前記感光体と前記帯電ワイヤとの間に形成された第1開口部と前記帯電ワイヤを挟んで前記第1開口部とは反対側に形成された第2開口部とが形成される帯電フレームを有する帯電器と、前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体と対向する露光のための露光開口部が形成されたプロセスフレームと、を有するプロセスカートリッジであって、画像形成装置に装着されたときに隣り合うプロセスカートリッジの前記帯電器の第2開口部と前記露光開口部との間の面に対向する面に、外側へ突出する弾性変形可能な規制部材を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジによれば、帯電ワイヤで発生したイオン風は、感光体に吹き付けられた後、露光開口部を通ってプロセスフレーム外に排出される。この際、イオン風が隣り合うプロセスカートリッジとぶつかって帯電器側に移動しようとしても、その移動が規制部材によって規制されるので、露光開口部から排出されたイオン風が再び帯電器の第2開口部に再流入することが抑制される。このように、イオン風がプロセスフレーム内に再流入することが規制されるので、イオン風に含まれる紙粉や現像剤などの異物が帯電ワイヤおよび感光体に付着したり、感光体がイオン風に含まれるオゾンにより劣化したりすることが防止できる。このため、画像品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、露光開口部から排出されたイオン風が再び帯電器の第2開口部に再流入することを規制部材によって抑制することができるので、感光体や帯電ワイヤが異物により汚れたり、感光体がオゾンにより劣化することが防止できる。このようにして、画像品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<カラープリンタの全体構成>
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図であり、図2はプロセスカートリッジの構造を示す拡大断面図である。
【0013】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0014】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10(本体フレーム)内に、用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90とを備えている。
【0015】
装置本体10の上部には開閉自在なアッパーカバー12が、後側に設けられたヒンジ(図示せず)を支点として上下に回動自在に設けられている。アッパーカバー12の上面は、装置本体10から排出された用紙Pを蓄積する排紙トレイ13となっており、下面には露光部材の一例としてのLEDユニット40を保持する複数の保持部材14が設けられている。
【0016】
給紙部20は、装置本体10内の下部に設けられ、装置本体10に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、この給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。用紙供給機構22は、給紙トレイ21の手前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24および分離パッド25を主に備えている。
【0017】
このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Pが、一枚ずつ分離されて上方へ送られ、紙粉取りローラ26とピンチローラ27の間を通過する過程で紙粉が除去された後、搬送経路28を通って後ろ向きに方向転換され、画像形成部30に供給される。
【0018】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0019】
LEDユニット40は、左右方向に一列に配列された複数のLEDを備えて構成されている。そして、LEDユニット40は、複数のLEDがそれぞれデータに応じて明滅することで、感光ドラム53を露光して所定パターンの静電潜像を形成する。
【0020】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー12と給紙部20との間で前後方向に並んで配置され、図2に示すように、ドラムユニット51と、ドラムユニット51に対して着脱自在に装着される現像カートリッジ61とを備えている。
【0021】
ドラムユニット51は、プロセスフレームの一例としてのドラムフレーム52と、このドラムフレーム52に回転可能に支持される感光体の一例としての感光ドラム53と、ドラムフレーム52に支持される帯電器54とを主に備えている。ドラムフレーム52には、現像カートリッジ61が装着されることで、外部へ感光ドラム53を臨ませる露光のための露光開口部55が形成されるようになっている。具体的に、この露光開口部55は、感光ドラム53に対向する位置に形成され、LEDユニット40が遊嵌する大きさで構成されている。なお、プロセスカートリッジ50における露光開口部55や帯電器54付近の構造の詳細については、後述する。
【0022】
現像カートリッジ61は、プロセスフレームの一例としての現像フレーム62と、現像フレーム62に回転可能に支持される現像ローラ63および供給ローラ64と、現像ローラ63に摺接する層厚規制ブレード65と、トナーTを収容するトナー収容室66とを備えている。
【0023】
図1に示すように、転写ユニット70は、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト73、転写ローラ74およびクリーニング部75を主に備えている。
【0024】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光ドラム53に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光ドラム53との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光ドラム53に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0025】
クリーニング部75は、搬送ベルト73の下方に配置され、搬送ベルト73に付着したトナーTを除去し、その下方に配置されたトナー貯留部76に除去したトナーTを落下させるように構成されている。
【0026】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0027】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム53の表面が、帯電器54により一様にプラスに帯電された後、各LEDユニット40から照射される光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム53上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0028】
また、トナー収容室66内のトナーTが、供給ローラ64の回転により現像ローラ63に供給され、現像ローラ63の回転により現像ローラ63と層厚規制ブレード65との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ63上に担持される。ここで、現像ローラ63上に担持されるトナーTは、供給ローラ64と現像ローラ63との間や、現像ローラ63と層厚規制ブレード65との間で、プラスに摩擦帯電される。
【0029】
現像ローラ63上に担持されたトナーTは、感光ドラム53上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム53上でトナーTが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、反転現像によりトナー像が形成される。
【0030】
そして、搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光ドラム53と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム53上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過すると、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0031】
排紙部90は、定着ユニット80の出口から上方に向かって延び、前方に反転するように形成された排紙側搬送経路91と、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ92を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ92によって排紙側搬送経路91を搬送され、装置本体10の外部に排出されて排紙トレイ13に蓄積される。
【0032】
<プロセスカートリッジの詳細構造>
次に、プロセスカートリッジ50の露光開口部55や帯電器54付近の構造の詳細について説明する。
【0033】
図2に示すように、帯電器54は、感光ドラム53を帯電させる帯電ワイヤ54Aと、帯電ワイヤ54Aを支持する帯電フレーム54Bを備えている。帯電フレーム54Bは、帯電ワイヤ54Aとの間でコロナ放電を発生させる複数の第1開口部B11を有するグリッドB1と、帯電ワイヤ54AおよびグリッドB1を支持する支持フレームB2を備えている。ここで、支持フレームB2は、ドラムフレーム52に一体に形成される有底筒状の部位であり、その開口B21を感光ドラム53に向けた状態で配置されるとともに、その底壁部B22には、帯電ワイヤ54Aを外部に臨ませる第2開口部B23が形成されている。この第2開口部B23は、帯電フレーム54B内に外部から新鮮な空気を取り込んで、帯電ワイヤ54Aの帯電性能を維持するために形成されたものである。
【0034】
すなわち、帯電フレーム54Bには、感光ドラム53と帯電ワイヤ54Aとの間に形成された第1開口部B11と、帯電ワイヤ54Aを挟んで第1開口部B11とは反対側に形成された第2開口部B23とが形成されている。第1開口部B11および第2開口部B23は、ともに、左右方向(感光ドラム53の軸方向)に伸びる、細長い溝状に形成された開口である。
【0035】
また、複数のプロセスカートリッジ50は、隣り合う一対のプロセスカートリッジ50のうち一方のプロセスカートリッジ50(例えば50A)が、他方のプロセスカートリッジ50(例えば50B)の帯電器54の第2開口部B23および露光開口部55と対向するように、並べられている。そして、隣り合う一対のプロセスカートリッジ50(例えば50A,50B)の間には、気流を規制するための規制部材100が設けられている。
【0036】
ここで、図3は、規制部材100、露光開口部55、および第2開口部B23の左右方向(感光ドラム53の軸方向)の長さを比較する説明図である。
図3に示すように、規制部材100は、左右方向に渡って一様に細長く伸びる棒形状に形成されている。そして、第2開口部B23は、左右方向の幅2Xが規制部材100の幅KXよりも狭くなるように形成されるとともに、規制部材100の幅内に収まるように配置されている。さらに、露光開口部55は、左右方向の幅RXが規制部材100の幅KXよりも狭くなるように形成されるとともに、規制部材100の幅内に収まるように配置されている。
【0037】
規制部材100は、例えばゴムなどの弾性を有する部材であり、帯電器54の第2開口部B23と露光開口部55との間に配置されている。すなわち、規制部材100は、露光開口部55から第2開口部B23に向かう空気の流れを規制する位置に配置されており、本実施形態においては、プロセスカートリッジ50の裏面510に配設されている。ここで、裏面510とは、隣り合うプロセスカートリッジ50(例えば50B)の帯電器54と対向する面をいい、この裏面510における帯電器54の第2開口部B23と露光開口部55との間に規制部材100が設けられている。
【0038】
ここで、感光ドラム53は、帯電器54で帯電された後、露光開口部55に遊嵌するLEDユニット40で露光され、その後現像ローラ63からトナーTが供給されるため、帯電器54、露光開口部55、現像ローラ63の順に通過するように図の反時計回りに回転する。そのため、規制部材100の配置を別の言い方で表現すると、規制部材100は、隣接する一対のプロセスカートリッジ50(例えば50A,50B)の間に配置されるとともに、隣接する一対のプロセスカートリッジ50のうち前方のプロセスカートリッジ50(例えば50B)の感光ドラム53の回転方向において、前方のプロセスカートリッジ50(例えば50B)の帯電器54の第2開口部B23よりも下流側で、且つ、前方のプロセスカートリッジ50(例えば50B)の露光開口部55よりも上流側に配置されている。
【0039】
このようにしてプロセスカートリッジ50(例えば50A)の裏面510に設けられる規制部材100は、裏面510から突出して、一対のプロセスカートリッジ50間に形成される通路200を僅かな隙間を残して塞ぐようになっている。すなわち、隣り合う一対のプロセスカートリッジ50A,50Bのうち後方のプロセスカートリッジ50Aに設けられる規制部材100と、前方のプロセスカートリッジ50Bの表面520との間には、僅かな隙間が形成されるようになっている。言い換えると、後方のプロセスカートリッジ50Aに設けられる規制部材100は、前方のプロセスカートリッジ50Bの着脱経路210と重ならないように構成されている。ここで、着脱経路210とは、装置本体10にガイドされながら着脱されるプロセスカートリッジ50の外面で描かれる軌跡をいう。
【0040】
また、プロセスカートリッジ50の裏面510には、規制部材100が取り付けられる取付面511よりも外側に突出する変形規制部512が形成されている。そのため、プロセスカートリッジ50を、装置本体10から外し、図示せぬ台に裏面510を下にして載置した場合には、プロセスカートリッジ50の裏面510のうち規制部材100を挟んで変形規制部512とは反対側に位置する部位513と、変形規制部512とが台に当接することで、規制部材100がプロセスカートリッジ50の重みで潰れる(変形する)ことが規制される。
【0041】
また、図1に示すように、装置本体10には、外部の空気を装置本体10内に吸引する吸気口301が設けられるとともに、装置本体10内の空気を外部に排出する排気口302および排気ファン303が設けられている。吸気口301は、複数のプロセスカートリッジ50の下方に形成されており、排気口302は、複数のプロセスカートリッジ50の後方に形成されている。このように吸気口301および排気口302が配置されることで、吸気口301から装置本体10内に吸引された空気が、各プロセスカートリッジ50の帯電器54の第2開口部B23からプロセスカートリッジ50内に入って、プロセスカートリッジ50内から露光開口部55を通って通路200の上方から抜けて排気口302に向かうようになっている。また、排気口302には、図示しないフィルターがもうけられており、排気口302を通過する空気に含まれるトナー、紙粉、オゾンなどの異物は、このフィルターに確実に補足される。
【0042】
なお、空気の流れが前述した流れになるような吸気口301および排気口302の位置は、予め実験やシミュレーション等を行うことで任意に決定することができる。
【0043】
次に、帯電器54による感光ドラム53の帯電時におけるイオン風の流れについて説明する。参照する図面において、図4は、イオン風の流れを示す拡大断面図である。
【0044】
図4に示すように、感光ドラム53を帯電器54により帯電させると、帯電ワイヤ54Aにより発生したイオン風は、感光ドラム53に吹き付けられた後、感光ドラム53の回転によって前方に送られ、その後露光開口部55を通ってプロセスカートリッジ50B外に排出される。この際、イオン風が隣り合うプロセスカートリッジ50Aとぶつかって帯電器54側に移動しようとしても、その移動が規制部材100によって規制されるので、露光開口部55から排出されたイオン風が再び帯電器54の第2開口部B23に流入することが抑制される。また、イオン風は、露光開口部55からプロセスカートリッジ50B外に排出された後は、排気ファン303の吸引力によって上方(排気ファン303の稼動によって生じる気流の方向)に吸い上げられるので、露光開口部55から第2開口部B23へ向かうような流れが生じ難くなっている。
【0045】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
露光開口部55から排出されたイオン風が再び帯電器54の第2開口部B23に再流入することを規制部材100によって抑制することができるので、イオン風がプロセスカートリッジ50B内に再流入することが規制され、第2開口部B23から異物やオゾンをあまり含まない新鮮な空気が取り込まれる。このようにして、イオン風に含まれる紙粉や現像剤などの異物が帯電ワイヤ54Aおよび感光ドラム53に付着したり、感光ドラム53がイオン風に含まれるオゾンにより劣化することが防止できる。このため、画像品質を向上させることができる。
【0046】
また、規制部材100が弾性変形可能であるため、製造誤差により隣り合うプロセスカートリッジ50と干渉する高さに形成された場合であっても規制部材100およびプロセスカートリッジ50の損傷を防ぐことができる。さらには、プロセスカートリッジ50の装着時において規制部材100とプロセスカートリッジ50とが干渉しても、規制部材100が変形することによって、プロセスカートリッジ50が装置本体10に対してずれるのを抑制することができる。
【0047】
また、第2開口部B23は、左右方向の幅2Xが規制部材100の幅KXよりも狭くなるように形成されるとともに、規制部材100の幅内に収まるように配置されている。このため、露光開口部55からプロセスカートリッジ50の外部へ流出したイオン風が第2開口部B23へ向かうことを、規制部材100により確実に防止できる。
【0048】
さらに、露光開口部55は、左右方向の幅RXが規制部材100の幅KYよりも狭くなるように形成されるとともに、規制部材100の幅内に収まるように配置されている。このため、露光開口部55からプロセスカートリッジ50の外部へ流出したイオン風が第2開口部B23へ向かうことを、規制部材100により確実に防止できる。
【0049】
規制部材100が、隣り合うプロセスカートリッジ50の着脱経路と重ならないように構成されているので、プロセスカートリッジ50の着脱時に、プロセスカートリッジ50と規制部材100とが干渉して規制部材100が損傷することを防止できる。
【0050】
裏面510を下にしてプロセスカートリッジ50を載置する場合に規制部材100が潰れるのを変形規制部512によって規制できるので、プロセスカートリッジ50の保管時における規制部材100の永久変形によって規制部材100とプロセスカートリッジ50の表面520との間に形成される隙間が広がるのを抑えることができる。
【0051】
吸気口301、第2開口部B23、露光開口部55および排気口302の順で流れる空気の流れによって、露光開口部55からプロセスカートリッジ50外に排出されたイオン風が、上方に吸い上げられることで、露光開口部55から第2開口部B23へ向かい難くなるので、イオン風が露光開口部55から第2開口部B23に流入することをより抑制することができる。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、規制部材100をプロセスカートリッジ50の裏面510に設けたが、本発明はこれに限定されず、帯電器54の第2開口部B23と露光開口部55との間であれば、図5に示すように、プロセスカートリッジ50の表面520に規制部材100を設けてもよい。
【0053】
前記実施形態では、露光開口部55の内周面とLEDユニット40の外周面との間の隙間を比較的大きく形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、露光開口部55とLEDユニット40との隙間のうち帯電器54とは反対側の隙間55Aを、僅かな隙間を残して塞ぐ遮蔽壁62Aをプロセスカートリッジ50の現像フレーム62に形成してもよい。これによれば、遮蔽壁62Aで隙間55Aが塞がれることで、帯電器54で発生したイオン風が、LEDユニット40のレンズ面40Aの下方を通らずに、そのまま上方に流れていくので、レンズ面40Aに汚れが付着するのを抑えることができる。
【0054】
ところで、このように隙間55Aが遮蔽壁62Aで塞がれる構成であると、帯電器54で発生したイオン風は、露光開口部55とLEDユニット40Aとの隙間のうち、帯電器54の側の隙間55Bを集中的に通過するようになる。このように、帯電器54で発生したイオン風が帯電器54側の隙間55Bを集中的に通過するようになると、従来構成であればそのイオン風が帯電器54の第2開口部B23に再流入しやすくなるが、本実施形態では、規制部材100が設けられているので、そのようにイオン風が帯電器54の第2開口部B23に再流入することが防止される。なお、遮蔽壁62Aは、隙間55Aを塞ぐように配置されればよいので、LEDユニット40に設けてもよい。
【0055】
また、前述した遮蔽壁62Aの代わりに、図7に示すように、LEDユニット40の帯電器54に対向する面40Bに、レンズ面40Aよりも感光ドラム53へ向けて突出することで、レンズ面40Aと感光ドラム53との隙間を僅かな隙間を残して塞ぐ閉塞壁401を設けてもよい。これによれば、レンズ面40Aと感光ドラム53との隙間が閉塞壁401で塞がれるので、帯電器54で発生したイオン風が、LEDユニット40のレンズ面40Aの下方を通らずに、そのまま上方に流れていき、レンズ面40Aに汚れが付着するのを抑えることができる。
【0056】
ところで、このように閉塞壁40が設けられた構成であると、帯電器54で発生したイオン風は、露光開口部55とLEDユニット40との隙間のうち、帯電器54の側の隙間55Bを集中的に通過するようになる。このように、帯電器54で発生したイオン風が帯電器54側の隙間55Bを集中的に通過するようになると、従来構成であればそのイオン風が帯電器54の第2開口部B23に再流入しやすくなるが、本実施形態では、規制部材100が設けられているので、そのようにイオン風が帯電器54の第2開口部B23に再流入することが防止される。
【0057】
なお、この閉塞壁401と前述した遮蔽壁62A(図6参照)とを、両方とも設けてもよい。この場合には、閉塞壁401と遮蔽壁62Aとの相乗効果によって、帯電器54で発生したイオン風が、LEDユニット40のレンズ面40Aの下方をより通り難くなるので、レンズ面40Aに汚れが付着するのをより確実に抑えることができる。
【0058】
前記実施形態では、規制部材100は、略直方体形状に形成されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、規制部材は、ドラムフレームおよび現像フレームよりも変形しやすいように構成されていればよい。すなわち、ドラムフレームおよび現像フレームよりも弾性率の小さい材料で構成されていればよい。例えば、規制部材は、フィルムなどの薄板形状に形成されていてもよい。
【0059】
前記実施形態では、露光部材として左右方向に一列に配列された複数のLEDを備えるLEDユニット40を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、左右方向に並ぶ複数のLEDを前後に複数列有するLEDユニットを露光部材として採用してもよい。また、LEDや蛍光灯などの1つの発光素子と、発光素子の外側に、左右方向に並んだ複数の液晶またはPLZT素子の光学シャッタとで、露光部材を構成してもよい。また、露光部材の光源としては、LEDに限らず、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子や蛍光体などであってもよい。
【0060】
前記実施形態では、露光開口部55にLEDユニット40を通したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、LEDユニット40の代わりにレーザ光を感光ドラムに照射するスキャナユニットを設け、このスキャナユニットから照射されるレーザ光を露光開口部に通してもよい。
【0061】
前記実施形態では、排気口302に排気ファン303を設けることで装置本体10の換気を行う構造としたが、本発明はこれに限定されず、吸気口に吸気ファンを設けることで換気を行うようにしてもよい。
【0062】
前記実施形態では、プロセスカートリッジとしてトナーを収容するトナー収容室66を一体に有したカートリッジを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トナー収容室を有するトナーカートリッジとは別部品として構成される現像カートリッジをプロセスカートリッジとしてもよい。
【0063】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの構造を示す拡大断面図である。
【図3】規制部材、露光開口部および第2開口部の左右方向の長さを比較する説明図である。
【図4】イオン風の流れを示す拡大断面図である。
【図5】プロセスカートリッジの表面に規制部材を設けた形態を示す断面図である。
【図6】現像フレームに遮蔽壁を設けた形態を示す断面図である。
【図7】LEDユニットの帯電器に対向する面に閉塞壁を設けた形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 カラープリンタ
40 LEDユニット
50 プロセスカートリッジ
52 ドラムフレーム
53 感光ドラム
54 帯電器
54A 帯電ワイヤ
54B 帯電フレーム
55 露光開口部
62 現像フレーム
100 規制部材
510 裏面
511 取付面
520 表面
B1 グリッド
B2 支持フレーム
B11 第1開口部
B23 第2開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を帯電させる帯電ワイヤおよび当該帯電ワイヤを支持するとともに前記感光体と前記帯電ワイヤとの間に形成された第1開口部と前記帯電ワイヤを挟んで前記第1開口部とは反対側に形成された第2開口部とが形成される帯電フレームを有する帯電器と、前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体と対向する露光のための露光開口部が形成されたプロセスフレームとを有するプロセスカートリッジを複数備える画像形成装置であって、
隣り合う一対のプロセスカートリッジのうち一方のプロセスカートリッジが、他方のプロセスカートリッジの帯電器の第2開口部および露光開口部と対向するように、前記複数のプロセスカートリッジが並べられるとともに、
前記一対のプロセスカートリッジの間において、気流を規制するための規制部材が設けられ、
前記規制部材は、弾性を有し、前記帯電器の第2開口部と前記露光開口部との間に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記他方のプロセスカートリッジにおいて前記一方のプロセスカートリッジに対向する面に取り付けられ、前記一方のプロセスカートリッジの着脱経路と重ならないように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記一方のプロセスカートリッジにおいて前記他方のプロセスカートリッジに対向する面に取り付けられ、前記他方のプロセスカートリッジの着脱経路に重ならないように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光開口部に遊嵌されて前記感光体を露光する露光部材をさらに備え、
前記露光部材の前記帯電器側の面には、感光体へ向けて突出する閉塞壁が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記露光開口部に遊嵌されて前記感光体を露光する露光部材をさらに備え、
前記露光部材または前記プロセスフレームには、前記露光開口部と前記露光部材との隙間のうち前記帯電器とは反対側の隙間を塞ぐ遮蔽壁が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一方のプロセスカートリッジのプロセスフレームには、前記規制部材を取り付ける面よりも外側に突出して前記規制部材の変形を規制する変形規制部がさらに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
外部の空気を装置本体内に吸引する吸気口と、装置本体内の空気を外部に排出する排気口とをさらに備え、
前記吸気口から装置本体内に吸引した空気が、前記各プロセスカートリッジの前記帯電器の第2開口部からプロセスカートリッジ内に入って、プロセスカートリッジ内から前記露光開口部を通って前記排気口に向かうように、前記吸気口および前記排気口が配設されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電ワイヤおよび当該帯電ワイヤを支持するとともに前記感光体と前記帯電ワイヤとの間に形成された第1開口部と前記帯電ワイヤを挟んで前記第1開口部とは反対側に形成された第2開口部とが形成される帯電フレームを有する帯電器と、
前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体と対向する露光のための露光開口部が形成されたプロセスフレームと、を有するプロセスカートリッジであって、
前記帯電器の第2開口部と前記露光開口部との間の面に、外側へ突出する弾性変形可能な規制部材を設けたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電ワイヤおよび当該帯電ワイヤを支持するとともに前記感光体と前記帯電ワイヤとの間に形成された第1開口部と前記帯電ワイヤを挟んで前記第1開口部とは反対側に形成された第2開口部とが形成される帯電フレームを有する帯電器と、
前記感光体および前記帯電器を支持し、前記感光体と対向する露光のための露光開口部が形成されたプロセスフレームと、を有するプロセスカートリッジであって、
画像形成装置に装着されたときに隣り合うプロセスカートリッジの前記帯電器の第2開口部と前記露光開口部との間の面に対向する面に、外側へ突出する弾性変形可能な規制部材を設けたことを特徴とするプロセスカートリッジ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−288597(P2009−288597A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142104(P2008−142104)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】