画像形成装置および画像形成方法
【課題】プロセスの安定性を維持しつつ、中間階調をより高い解像度で再現できる画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】本実施の形態に従う画像形成装置は、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群(典型的には、後述するドットスクリーン)と、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群(典型的には、後述するラインスクリーン)とを適宜組み合わせることでスクリーンセットを生成する。そして、画像形成装置は、この生成したスクリーンセットに基づいて、ハーフトーンを含む画像を形成する。画像形成装置は、スクリーンセットを生成後に生じる、プロセス変動に起因する階調特性のずれを補正するための機能(プロセス変動補正)を有している。
【解決手段】本実施の形態に従う画像形成装置は、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群(典型的には、後述するドットスクリーン)と、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群(典型的には、後述するラインスクリーン)とを適宜組み合わせることでスクリーンセットを生成する。そして、画像形成装置は、この生成したスクリーンセットに基づいて、ハーフトーンを含む画像を形成する。画像形成装置は、スクリーンセットを生成後に生じる、プロセス変動に起因する階調特性のずれを補正するための機能(プロセス変動補正)を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関し、特に中間階調をより安定して再現するための技術に向けられたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置においては、紙媒体へ画像を形成するプロセスとして電子写真方式が採用されている。この電子写真方式では、露光装置を用いて感光体上(典型的には、感光体ドラムや感光体ベルト)に静電潜像を形成し、続いて、この静電潜像を現像することで画像が作られる。
【0003】
近年、この電子写真方式に対する高解像度化が進んでいる。たとえば、露光装置の改良によって、静電潜像の解像度は、従来の600dpi(dot per inch)から1200dpiにまで向上しており、さらに高品位機種では、2400dpiといった高解像度を実現できる。
【0004】
一方で、このような解像度の向上とともに、プロセスの安定性の向上についても要望が高まっている。すなわち、解像度の向上とプロセスの安定性とは相反すると言われており、解像度を高めつつ、安定性を維持することが重要な技術的課題となっている。このようなプロセスの安定性は、中間階調の仕上がりに影響を与える。
【0005】
そこで、特開平5−161013号公報(特許文献1)には、環境の変動、濃度検知センサの劣化、感光体の表面劣化等に起因する画質の劣化を防ぎ、常に高画質を安定に保つことの可能なデジタル記録装置が開示されている。また、特開平5−328112号公報(特許文献2)には、濃淡画像を構成する各画素周辺の画像の濃度状態に相応したディザ処理を行なうことで、対象とする濃淡画像に濃度の偏りがあっても、階調性をもった画像を復元できるディザ処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−161013号公報
【特許文献2】特開平5−328112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置では、網点(ハーフトーン)手法を用いて、中間階調が再現される。このハーフトーン手法では、小さな点や線からなるパターンを用いて、その単位面積あたりの着色量(典型的には、トナー付着量)を制御することで、目的とする階調値を再現する。この単位面積あたりの着色量の制御では、複数の階調値にそれぞれ対応付けた複数のスクリーンを予め用意しておき、再現すべき濃度に応じてスクリーンが選択される。一般的なスクリーンは、着色すべき「付着領域」と着色すべきではない「非付着領域」とを所定周期で規則的に配置したものが用いられる。解像度が高くなるにつれて、スクリーンにおける「付着領域」と「非付着領域」との配置間隔はより短くできるが、上述したように、プロセスの安定性が低下し得るので、その配置間隔を短くすることについては制約を受ける。その結果、高解像度の静電潜像を形成できるにもかかわらず、その適用は文字領域のみに限定され、中間階調領域については、従来の低解像度の画像形成装置と同様のスクリーンが使用されるという状況であった。
【0008】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、プロセスの安定性を維持しつつ、中間階調をより高い解像度で再現できる画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に従えば、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置を提供する。複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含む。本画像形成装置は、階調値の増加に従って第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って第1領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを格納する記憶部と、入力画像の単位領域に対し、階調値がしきい値より小さい場合には第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値がしきい値より大きい場合には第2スクリーン群よりスクリーンを選択するスクリーン選択部と、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行する作像部と、しきい値に対応する階調値、または、しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、複数のスクリーンを再生成する更新部とを含む。
【0010】
好ましくは、更新部は、第1スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から第1スクリーン群についての階調特性を取得する手段と、第2スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から第2スクリーン群についての階調特性を取得する手段とを含む。
【0011】
さらに好ましくは、更新部は、第1スクリーン群についての階調特性と第2スクリーン群についての階調特性との交点に基づいて、しきい値を変更する手段をさらに含む。
【0012】
好ましくは、更新部は、第1スクリーン群についての階調特性と第2スクリーン群についての階調特性とのずれ度合いに応じて、第1スクリーン群または第2スクリーン群に含まれるスクリーンを再構成する手段をさらに含む。
【0013】
好ましくは、本画像形成装置は、作像部によって画像形成されたトナー画像の濃度を検出するための濃度センサをさらに含む。
【0014】
好ましくは、第1スクリーン群は、ドットパターンを有し、第2スクリーン群は、ラインパターンを有する。
【0015】
好ましくは、第1規則は、階調値の増加に従って、ドット径の拡大、または、ドット数の増大を含み、第2規則は、階調値の増加に従って、ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大を含む。
【0016】
この発明の別の局面に従えば、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法を提供する。複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含む。本画像形成方法は、階調値の増加に従って第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って第1領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを用意するステップと、入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より小さい場合には第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値が第1しきい値より大きい場合には第2スクリーン群よりスクリーンを選択するステップと、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップと、しきい値に対応する階調値、または、しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、複数のスクリーンを再生成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、プロセスの安定性を維持しつつ、中間階調をより高い解像度で再現できる画像形成装置および画像形成方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置の概略構成図である。
【図2】ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図3】ドットスクリーンにおける配置パターンの別の一例を示す図である。
【図4】ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図5】ラインスクリーンにおける配置パターンの別の一例を示す図である。
【図6】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【図7】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの別の一例を示す図である。
【図8】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図9】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図10】この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態に従う画像形成装置内の制御部のハードウェア構成を示す模式図である。
【図12】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の制御部における制御構造を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態1に従うスクリーンセットの生成/更新処理を説明するための図である。
【図14】スクリーン別の階調特性の一例を示す図である。
【図15】ドットスクリーンおよびラインスクリーンの一例を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置が保持するスクリーンテーブルの一例を示す図である。
【図17】ドットクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。
【図18】ラインスクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。
【図19】白抜きドットスクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。
【図20】ドットクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【図21】ラインスクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【図22】白抜きドットスクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【図23】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置における画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置におけるスクリーンセットの生成手順を示すフローチャートである。
【図25】図24に示すスクリーン生成処理により生成されたスクリーンセットの階調特性を示す図である。
【図26】本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。
【図27】本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。
【図28】本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【図29】本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。
【図30】本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。
【図31】本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【図32】図23に示すフローチャートのステップS118に示すプロセス変動補正サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0020】
<概要>
本実施の形態に従う画像形成装置は、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群(典型的には、後述するドットスクリーン)と、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群(典型的には、後述するラインスクリーン)とを適宜組み合わせることでスクリーンセットを生成する。そして、画像形成装置は、この生成したスクリーンセットに基づいて、ハーフトーンを含む画像を形成する。
【0021】
特に、本実施の形態に従う画像形成装置は、スクリーンセットを生成後に生じる、プロセス変動に起因する階調特性のずれを補正するための機能(プロセス変動補正)を有している。
【0022】
<画像形成装置の構成>
本発明は、電子写真方式の画像形成装置であればどのような装置にも適用できるものであり、具体的には、コピー機、レーザプリンタ、ファクシミリ、複合機(Multi Function Peripheral)などに適用される。以下では、本発明に係る画像形成装置の典型例として、複写機能、プリント機能、ファクシミリ機能、およびスキャナ機能といった複数の機能を搭載した複合機について説明する。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの概略構成図である。図1を参照して、画像形成装置MFPは、自動原稿搬送部2と、スキャナ3と、プリントエンジン4と、給紙部5とを含む。
【0024】
自動原稿搬送部2は、原稿の連続的なスキャンを行なうためのものであり、原稿給紙台21と、送出ローラ22と、レジストローラ23と、搬送ドラム24と、排紙台25とを含む。スキャン対象の原稿は、原稿給紙台21上に載置され、送出ローラ22の作動により一枚ずつ送り出される。そして、この送り出された原稿は、レジストローラ23により一旦停止されて先端が整えられた後に、搬送ドラム24へ搬送される。さらに、この原稿は、搬送ドラム24のドラム面と一体に回転し、その過程において後述するスキャナ3により画像面がスキャンされる。その後、原稿は、搬送ドラム24のドラム面を略半周した位置においてドラム面から分離されて排紙台25へ排出される。
【0025】
スキャナ3は、第1ミラーユニット31と、第2ミラーユニット32と、結像レンズ33と、撮像素子34と、プラテンガラス35とを含む。第1ミラーユニット31は、光源311とミラー312とを含み、搬送ドラム24の直下の位置において、通過する原稿に向けて光源311から光を照射する。この光源311から照射された光のうち、原稿によって反射した光は、第2ミラーユニット32へ入射する。第2ミラーユニット32は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー321および322を含み、第1ミラーユニット31からの反射光は、ミラー321および322で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。結像レンズ33は、この反射光をライン状の撮像素子34に結像する。
【0026】
画像形成装置MFPでは、プラテンガラス35に載置された原稿から画像情報を取得することも可能である。この場合には、可動式の光源351およびミラー352が原稿の画像面をスキャンする。このスキャンに伴って、光源351から与えられた光は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー353および354で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。
【0027】
撮像素子34は、受光した反射光を電気信号に変換して、後述する制御部10へ出力する。スキャナ3によって取得された原稿の画像情報、すなわち撮像素子34から出力される電気信号は、制御部10にて各種の画像処理が行われる。
【0028】
プリントエンジン4は、電子写真方式の画像形成プロセスの一例として、単色のプリント出力が可能である。すなわち、プリントエンジン4は、画像形成処理を実行する作像部に相当する。具体的には、プリントエンジン4は、感光体ドラム41と、帯電器42と、画像書込部43と、現像部44と、転写器45と、除電器46と、定着装置47と、クリーニング部48と、IDC(Image Density Control)センサ49とを含む。ユーザ操作などによって、画像形成処理(プリント処理)の開始が指示されると、画像書込部43は、プリント対象の画像データに基づいてポリゴンミラー(図示しない)を回転作動させることで、レーザ発光器431から照射されるレーザビームを、感光体ドラム41の軸方向に対する主走査露光として照射する。同時に、感光体ドラム41自身の回転による副走査も行なわれる。このレーザビームの照射前に、感光体ドラム41には、帯電器42によって所定電位が付与されている。感光体ドラム41は、この電位により一様に帯電されている。なお、感光体ドラム41を帯電する構成としては、図1に示すローラ帯電方式に代えてコロナ放電方式を採用してもよい。このコロナ放電方式では、所定電位を発生するチャージャーと、チャージャーと電気的に接続されたグリッドメッシュ、ブレード、ブラシなどとを用いて、感光体ドラム41を帯電する。
【0029】
感光体ドラム41の感光層には、主走査露光および副走査露光によって、原稿画像の静電潜像が形成される。なお、露光装置としては、ポリゴンミラーを用いてレーザ発光器431からのレーザ光を制御する構成に代えて、感光体ドラム41の軸方向に沿って配置した複数のLED(Light Emitting Diode)の発光量を制御する構成を採用してもよい。また、像担持体としては、図1に示すローラ状の感光体ドラム41に代えて、後述するようなベルト形状の感光体を採用してもよい。
【0030】
現像部44は、この感光体ドラム41上に形成された静電潜像を反転現像してトナー像を生成する。一例として、現像部44は、2成分現像方式に従ってトナー像を生成する。すなわち、現像部44内には、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤が蓄えられており、これらのトナーとキャリアとは、攪拌スクリューによって攪拌されることで摩擦荷電された現像剤となる。そして、この現像剤が供給スクリューによって現像ローラに供給される。さらに、現像剤は、現像ローラの回転により感光体ドラム41上の現像領域に近接した位置へと搬送されると、現像ローラの電位と感光体ドラム41上に形成されている静電潜像の有する電位との間に生じる電界を受けて、感光体ドラム41へ移動する。その結果、感光体ドラム41上の静電潜像がトナー像として現像される。なお、現像部44としては、上述の2成分現像方式に代えて、1成分現像方式もしくはハイブリッド現像方式を採用してもよい。
【0031】
上述の現像部44における動作と並行して、記録紙を収容する給紙部5の給紙カセットにそれぞれ対応する送出ローラ52,53,54および手差給紙部26のうち、画像形成に用いられるべき記録紙に対応する部位が作動して記録紙を供給する。この供給された記録紙は、搬送ローラ55および56ならびにタイミングローラ51によって搬送され、感光体ドラム41上に形成されたトナー像に同期するように、感光体ドラム41に給紙される。
【0032】
転写器45は、感光体ドラム41に反対極性の電圧を印加することで、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を記録紙に転写する。そして、除電器46は、トナー像が転写された記録紙を除電することで、記録紙を感光体ドラム41から分離させる。その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置47へ搬送される。なお、転写器45としては、図1に示すような転写ローラを用いた転写方式に代えて、転写チャージャーまたは転写ベルトを用いた転写方式を採用してもよい。あるいは、感光体ドラム41から記録紙へトナー像を直接転写する直接転写方式に代えて、感光体ドラム41と記録紙との間に、転写ローラ、転写ベルトといった中間転写体を配置して、2段階以上のプロセスによって転写を行なうようにしてもよい。
【0033】
定着装置47は、加熱ローラ471と加圧ローラ472とを含む。加熱ローラ471は、記録紙を加熱することで、その上に転写されたトナーを溶融するとともに、加熱ローラ471と加圧ローラ472との間の圧縮力により、溶融したトナーが記録紙上に定着される。そして、記録紙はトレイ57に排出される。なお、定着装置47としては、図1に示すような定着ローラを用いた定着方式に代えて、定着ベルトなど用いた定着方式、もしくは非接触の定着方式を採用してもよい。
【0034】
一方、記録紙が分離された感光体ドラム41では、その残留電位が除去された後、クリーニング部48によって残留トナーが除去および清掃される。そして、次の画像形成処理が実行される。クリーニング部48は、一例として、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ、またはこれらの組み合わせにより、残留トナーを除去および清掃する。あるいは、クリーニング部48に代えて、現像部44を用いて残留トナーを回収するクリーナーレス方式を採用してもよい。
【0035】
IDCセンサ49は、感光体ドラム41上に形成されるトナー像の濃度を検出する。このIDCセンサ49は、代表的に反射型フォトセンサからなる光強度センサであり、感光体ドラム41の表面からの反射光強度を検出する。すなわち、IDCセンサ49は、画像形成された結果を検出する。
【0036】
<中間階調の再現処理>
次に、電子写真方式の画像形成プロセスにおける中間階調の再現処理について説明する。上述したように、電子写真方式における画像形成プロセスでは、レーザビームなどを用いて、一様に帯電させた感光体の表面を再現すべき画像に応じて露光させることで、感光体上に静電潜像を形成し、さらに、この形成された静電潜像を現像部によってトナー像として現像する。すなわち、電子写真方式では、感光体の表面上でトナー像とすべき部分か否かを制御するのみであり、各部分の着色量(すなわち、トナー付着量)を連続的に制御することはできない。そこで、電子写真方式における中間階調は、網点(ハーフトーン)手法を用いて、単位面積あたりのトナーを付着すべき面積の比率(以下「面積率」とも称す。)を制御することで再現される。すなわち、小さな点や線からなる露光パターンに従って、露光装置による単位面積あたりの露光量を制御することで中間階調が再現される。一般的に、露光装置では、露光に用いられる光をオン/オフ時間を制御する、いわゆるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式が採用されているため、本実施の形態においても、このパルス幅変調方式の露光装置を用いる構成について例示する。このパルス幅変調方式では、画像の濃度が低い(低階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に短くし、画像の濃度が高い(高階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に長くする。
【0037】
より具体的には、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、いわゆるスクリーン技術を用いて中間階調を再現する。このスクリーン技術では、複数の階調値にそれぞれ対応付けて複数のスクリーンが予め用意される。そして、この複数のスクリーンの中から、入力画像に含まれる中間階調を有する単位領域毎にスクリーンが選択され、この選択されたスクリーンに従って感光体の表面に対する露光パターンが制御される。すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する。写真などを高精度で再現するためには、多数の階調値を再現可能にする必要があるため、目的とし得る階調値に相当する数のスクリーンが予め用意される。このようなスクリーン群としては、一般的には、「ドットスクリーン」または「ラインスクリーン」が採用される。
【0038】
図2および図3は、ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図であり、図4および図5は、ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。図2〜図5に示すように、各スクリーンは、着色すべき(トナーを付着すべき)領域である「第1領域(トナー付着領域)」と、着色すべきではない(トナーを付着すべきではない)領域である「第2領域(トナー非付着領域)」とにより定義された2値化パターンを有している。なお、図2〜図5では、第1領域(トナー付着領域)を「黒」で表現し、第2領域(トナー非付着領域)を「白」で表現しており、以下の図においても同様の表現方法を採用する。
【0039】
図2〜図5に示すように、複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(または、トナー付着領域)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(または、トナー非付着領域)とが定められたパターンを含む。本明細書において、「第1領域」はトナーを付着させるための制御の対象となる画素または画素の集合体に対応し、「第2領域」はそれ以外の領域、すなわち、トナーを付着させるための制御の対象ではない画素または画素の集合体に対応する。
【0040】
なお、以下の説明では、第1領域(または、トナー付着領域)を単に「付着領域」と称し、第2領域(または、トナー非付着領域)を単に「非付着領域」と称する。
【0041】
図2および図3に示すように、「ドットスクリーン」は、典型的には、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域として配置したパターンを有する。図4および図5に示すように、一方、「ラインスクリーン」は、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンをもつ。
【0042】
このとき、プリント結果における粒状性(ざらつき)の少ない緻密な画像を再現するためには、スクリーン切替によって空間周波数を大きく変化させないことが好ましい。そのため、ドットスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図2に示すように、元のドットの周囲に他のドットを追加配置して集合させる方法、もしくは、図3に示すように、分散させてドットの配置数を増加させる方法が採用される。このように、ドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドットの集合体の拡大、または、分散したドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0043】
また、ラインスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図4に示すように、元のラインの中心位置を維持したまま、そのライン幅を広くする方法、もしくは、図5に示すように、ラインの配置数を分散させて増加させる方法が採用される。このように、ラインスクリーンでは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ライン幅の拡大、または、分散したラインの配置数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0044】
さらに、上述のドットスクリーンとラインスクリーンとを複合したスクリーン群が採用される場合もある。図6および図7は、ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【0045】
図6には、低階調側では、図2に示すドットスクリーンに類似したパターン変化を示す一方で、高階調側では、図4に示すラインスクリーンに類似したパターン変化を示すスクリーン群の例を示す。すなわち、図6に示すスクリーン群では、低階調側では、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には(すなわち、隣接するドット同士が接合した後には)、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が徐々に拡大する。
【0046】
また、図7には、図6に示すスクリーン群に比較してその高階調側の階調再現性を高めたスクリーン群が例示される。すなわち、図7に示すスクリーン群では、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が全体的に徐々に拡大する。さらに、ライン幅が所定値を超えると、ラインの一部の幅のみが徐々に拡大する。
【0047】
<電子写真方式における画像再現性>
上述したように、電子写真方式では、静電潜像をトナー像に現像するため、非常に細い線や小さな隙間を再現することは得意ではない。
【0048】
図8および図9は、電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。なお、図8および図9には、トナー像を定着させた記録紙の断面図を模式的に示すが、そのサイズについては、実際のものとは必ずしも一致していない。
【0049】
図8に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅をもつ線状のトナー像を考える。トナー像を形成するための潜像がある程度の幅を有する場合には、潜像と現像ローラとの間の電界は、エッジ効果により電気力線の回り込みが生じても一定方向の電界となるため、トナー像はある程度安定して形成される。そのため、電荷を有するトナーの現像に際して、安定した現像を実行できる。しかし、潜像の有する幅が小さい場合は、現像領域に対してエッジ効果による電気力線の回り込みが顕著になり、電界の方向が安定しない傾向がある。そのため、狭い領域にトナーを安定して付着させることが困難となる。また定着においては、トナー像がある程度広い幅を有する場合には、トナーが一体化するため、記録紙に安定的に定着し得る。これに対して、トナー像が細い場合には、トナーの拡散などによって、記録紙に安定して定着できない場合がある。この場合には、線が「切れた」状態に見えたり、線が全く再現できなくなったりする。
【0050】
また、図9に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅の隙間(トナーが存在すべきではない部分)をもつトナー像を考える。トナー像の隙間がある程度広い幅を有する場合には、隣接するトナーからの影響を受けたとしても、その隙間を維持することができる。これに対して、隙間が狭い場合には、隣接するトナーの拡散などによって、隙間が埋まってしまう場合がある。
【0051】
このように、電子写真方式では、トナーを付着させる幅が狭いパターン、および、トナーを付着させない幅が狭いパターンについては、再現性が低下し得る。したがって、上述のような中間階調の再現処理に用いるスクリーン群についても、付着領域および非付着領域のいずれもができる限り狭くならないようにすることが好ましい。
【0052】
上述の図2〜図5に示すスクリーン群は、ドットまたはラインという基本的な形状を基本にして、面積率を単調増加させて再現する階調値を変化させている。そのため、ある階調値においては、1画素分の幅しかない付着領域および/または非付着領域が存在していることがわかる。
【0053】
また、図6に示すスクリーン群は、低階調側において、ドットスクリーンに類似した形態でドット径が拡大し、高階調側において、ラインスクリーンに類似した形態でライン幅が拡大するので、上述の図2〜図5に示すスクリーンに比較して、画像再現性の劣化を抑制することができる。さらに、図7に示すスクリーンは、高階調側において、非付着領域の幅を維持したまま、その長さが短くなるので、図6に示すスクリーンに比較して、高階調側における画像再現性の劣化を抑制することができる。
【0054】
<本実施の形態に従うスクリーン>
本実施の形態に従う画像形成装置MFPが中間階調の再現処理に用いる複数のスクリーン(以下「スクリーンセット」とも称す。)は、上述の図7に示すスクリーン群に比較して、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避することで、中間階調をさらに高い安定性で再現する。
【0055】
図10は、この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。なお、本発明についての理解をより容易にするために、図10には、図2〜図7に示すスクリーンと対比可能なスクリーンを描画するが、本発明に係るスクリーンはこれに限られるものではない。
【0056】
図6および図7に示すスクリーン群では、図2〜図5に示すスクリーン群に比較して、幅の狭い付着領域および/または非付着領域を含むパターンが低減されているが、ある面積率において、間隔の狭い非付着領域が現れてしまうと、その間隔の狭い非付着領域が消滅することはあっても、非付着領域の間隔が広がることはない。
【0057】
たとえば、図7に示すスクリーン群では、ドットスクリーンに類似した形態から、ラインスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するドット同士が接合する。すなわち、各ドットでは、当該ドットのある一方に位置する隣接ドットに向かって付着領域が拡大することでラインが現れる。このラインが現れる直前には、隣接するドット間で、その幅の狭い隙間領域202が生じる。この隙間領域202は、隣接するドット同士が接合すると消滅する。なお、このとき、隙間領域202以外の非付着領域については、その幅は変化しない。
【0058】
また、図7に示すスクリーン群では、ラインスクリーンに類似した形態から、非付着領域についてのドットスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するライン同士の一部が接合する。すなわち、各ラインでは、当該ラインのある一方に位置する隣接ラインに向かって部分的にライン幅が拡大することで非付着領域についてのドットが現れる。この非付着領域についてのドットが現れる直前には、隣接するライン間で、その幅の狭い隙間領域204が生じる。この隙間領域204は、隣接するライン同士を接合する付着領域が延びることで消滅する。なお、このとき、隙間領域204以外の付着領域については、その幅は変化しない。
【0059】
これに対して、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、スクリーン全体の階調値には影響を与えることなく、上述のような隙間領域202および204の発生を防止することを可能にしている。概略すると、本実施の形態に従うスクリーンは、ある階調値において付着領域に設定される部分であっても、より高い階調値においては、非付着領域に設定され得る点において、上述の図2〜図7に示すスクリーンとは大きく相違している。すなわち、上述の図2〜図7に示すスクリーンでは、ある階調値において付着領域とされた部分については、それより高い階調値においては常に付着領域とされているが、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、このような付着領域および非付着領域についての制限を緩和して、よりフレキシブルなパターン変化を行なう。
【0060】
より具体的には、図10に示すスクリーンでは、ドットスクリーン、ラインスクリーン、および白抜きドットスクリーンという3つのスクリーンを順次切替えることで、必要な濃度変化を生じさせる。すなわち、目的とする階調値が高くなるに従って、パターン211、パターン212、パターン213、パターン214、パターン215、パターン216、パターン217、パターン218の順で変化する。このうち、パターン211および212は、「ドットパターン」であり、パターン213、214および215は、「ラインパターン」であり、パターン216および217は、「白抜きドットパターン」である。
【0061】
本明細書において、「ドットスクリーン」は、上述したように、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域としたパターンを意味する。このドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「ドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ドットパターン」とも称す。
【0062】
また、「ラインスクリーン」は、上述したように、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンを意味する。このラインスクリーンは、階調値の増加に伴って、ドットスクリーンにおける規則とは独立した別の所定の規則(ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大)に従って付着領域が拡大するパターン変化を有する。なお、「ラインスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ラインパターン」とも称す。
【0063】
さらに、「白抜きドットスクリーン」は、非付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を付着領域としたパターンを意味する。この白抜きドットスクリーンは、階調値の減少に伴って非付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「白抜きドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「白抜きドットパターン」とも称す。
【0064】
図10において、より高い階調値への変化に伴って、特定の階調値でドットパターン(パターン212)からラインパターン(パターン213)へ切替わる場合には、パターン212に示すドットを一方向にのみ拡大することでラインを生じさせるのではなく、ドットに含まれる一部分(領域205)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ドットの一部を隣接するドットの方向に拡大(領域206)させる。言い換えれば、ドットパターンを構成する領域205の付着領域を、領域206へ移動させることで、表現する階調値を増大する。なお、パターン212とパターン213との間では、面積率は一定となっているが、これは、表現される濃度がそのスクリーン種類(ドットパターンとラインパターンとの相違)に応じて異なるためである。すなわち、同じ面積率であっても、その値によっては、いずれかのスクリーン(この例では、ラインパターン)の方がより高い濃度として再現される場合があるからである。
【0065】
このようにドットパターンからラインパターンへの切替時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域202の発生を抑制できるとともに、ラインパターンへの切替後における非付着領域の線幅をより広くすることができる。
【0066】
また、さらに高い濃度への変化に伴って、ラインパターン(パターン215)から白抜きドットパターン(パターン216)へ切替わる場合には、パターン215に示すラインの一部を一方向にのみ拡大することで白抜きドットを生じさせるのではなく、ラインに含まれる一部分(領域207)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ラインの一部を隣接するラインの方向に拡大(領域208)させる。言い換えれば、ラインパターンを構成する領域207の付着領域を、領域208へ移動させることで、再現する階調値を増大する。なお、パターン215とパターン216との間では、面積率は一定となっているが、これについても、上述したように再現される階調値がそのスクリーン種類(ラインパターンと白抜きドットパターンとの相違)に応じて異なるためである。このようにラインパターンから白抜きドットパターンへの切替時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域204の発生を抑制できるとともに、白抜きドット自体も2マス×2マスの大きさを維持できる。この白抜きドットの幅は、図7に示す非付着領域の幅より広くなっている。
【0067】
すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、階調値の増加に従って第1領域(トナー付着領域)が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、階調値の増加に従って第1領域(トナー付着領域)が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連のラインスクリーン)とを保持する。そして、入力画像の単位領域に対し、再現すべき階調値が第1しきい値(図10に示すパターン212によって再現される階調値とパターン213によって再現される階調値との中間値)より小さい場合には、第1スクリーン群よりスクリーンが選択され、階調値が第1しきい値より大きい場合には第2スクリーン群よりスクリーンが選択される。
【0068】
上述したように、画像形成装置MFPは、階調値の減少に伴って第2領域(トナー非付着領域)が第1および第2規則と異なる独立した第3規則に基づき減少する第3スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)をさらに保持することが好ましい。このとき、入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より大きい第2しきい値(図10に示すパターン215によって再現される階調値とパターン216によって再現される階調値との中間値)より大きい場合には第3スクリーン群よりスクリーンが選択される。
【0069】
別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを保持する。そして、再現すべき階調値の増加に伴って第1領域を所定の方向に拡大するように当該第1スクリーン群からスクリーンが選択される(たとえば、図10に示すパターン215の状態)。さらに、再現すべき階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーン選択元が当該第1スクリーン群から当該第2スクリーン群に切替えられる。切替時のスクリーンとしては、所定の方向において、当該第1パターン内の隣接する第1領域間の距離よりも、当該第2パターン内の第2領域の幅が大きいスクリーンが選択される(たとえば、図10に示すパターン216)。
【0070】
さらに別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(トナー非付着領域)を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを保持する。そして、階調値の減少に伴って第2領域が所定の方向に拡大するように、第2スクリーン群からスクリーンが選択され(たとえば、図10に示すパターン215の状態)、その後、階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーンの選択元が第2スクリーン群から第1スクリーン群に切替えられる。切替時のスクリーンとして、所定の方向において、第2パターン内の第2領域の幅よりも、第1パターン内の隣接する第1領域間の距離が小さいスクリーンが選択される(たとえば、図10に示すパターン216の状態)。
【0071】
上述のようなスクリーン群を採用した場合には、切替前後において、第1スクリーン群から選択されるスクリーン(たとえば、図10に示すパターン212の状態)と、第2スクリーン群から選択されるスクリーン(たとえば、図10に示すパターン213の状態)とは、実質的に同じ階調値を有することが好ましい。
【0072】
また、切替前後において、同じ階調値を維持したまま、第1領域のトナー付着の制御対象の画素を第2領域におけるトナー付着の制御対象でない画素に置き換える再配置が実行されることが好ましい。たとえば、図10に示すパターン212の状態とパターン213の状態とを比較すると、第1領域(トナー付着領域)の数は維持されたまま、第2領域(トナー非付着領域)の一部が第1領域(トナー付着領域)に置き換えられていることがわかる。また、図10に示すパターン215の状態とパターン216の状態との間でも同様である。
【0073】
このように、本実施の形態においては、ある濃度において付着領域に設定される部分であっても、より高い濃度において非付着領域に設定する手法を用いてスクリーン切替を行なうことで、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避し、これによって、中間階調をより安定性を高めて再現できる。
【0074】
なお、図10においては、濃度が高くなるにつれて、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順でスクリーン切替を行なう構成について例示したが、切替ロジックをより簡素化する観点から、ドットスクリーンとラインスクリーンとの間でのみスクリーン切替を行なう構成を採用してもよい。
【0075】
<制御部の構成>
図11は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFP内の制御部10のハードウェア構成を示す模式図である。
【0076】
図11を参照して、制御部10は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)102と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)106、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)108、およびHDD(Hard Disk Drive)110と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)112および内部通信I/F114とを含む。なお、これらの部位は、内部バス116を介して互いに接続される。
【0077】
制御部10では、CPU102が、ROM106などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM104などに展開して実行することで、画像形成装置MFPが制御される。
【0078】
RAM104は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM104には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM108は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置MFPのIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD110は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信した印刷ジョブやスキャナ3によって取得した画像情報などを蓄積する。
【0079】
外部通信I/F112は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークNWを介してパーソナルコンピュータPCや他の画像形成装置との間でデータ通信を提供する。
【0080】
内部通信I/F114は、操作パネルなどと接続され、操作パネルに対するユーザ操作に応じた信号を受信して、CPU102へ伝送するとともに、CPU102からの命令に従って、操作パネルにメッセージなどを表示するために必要な信号を送信する。
【0081】
<制御構造>
図12は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの制御部10における制御構造を示すブロック図である。
【0082】
図12を参照して、制御部10は、プリント対象の入力画像に応じた静電潜像を感光体(感光体ドラム41)上に形成するために露光装置へ与える指令(露光指令)を出力する。より具体的には、制御部10は、その制御構造として、前処理部152と、領域分離部154と、文字処理部156と、階調値判断部158と、スクリーン選択部160と、スクリーン格納部162と、指令生成部166と、スクリーン生成・更新170とを含む。スクリーン格納部162は、RAM104、EEPROM108、HDD110(図11)に含まれる所定の領域として提供される。その他の部位は、典型的に、CPU102(図11)がプログラムをRAM104(図11)に展開し、各コマンドを実行することで提供される。
【0083】
前処理部152は、プリント対象の入力画像に対して、色補正などの前処理を行なう。この前処理部152によって処理された入力画像は、領域分離部154へ出力される。
【0084】
領域分離部154は、前処理部152から受けた入力画像を文字領域と画像領域とに分離する。基本的に、文字領域は、中間階調として再現する必要がない部分であり、画像領域は、中間階調として再現する必要がある部分である。領域分離部154によって分離された文字領域の情報は、文字処理部156へ出力され、画像領域の情報は、階調値判断部158へ出力される。
【0085】
文字処理部156は、領域分離部154から受けた文字領域の情報に対して、輪郭強調処理などの文字に適した処理を行なう。そして、文字処理部156は、処理結果を指令生成部166へ出力する。
【0086】
階調値判断部158は、領域分離部154から受けた画像領域の情報に基づいて、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断する。そして、階調値判断部158は、その判断結果をスクリーン選択部160へ出力する。
【0087】
スクリーン選択部160は、階調値判断部158から受けた判断結果に基づいて、再現すべき濃度に応じたスクリーンを順次選択し、画像領域に対して、使用すべきスクリーンの種類をマッピングする。より具体的には、スクリーン選択部160は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンセット164を参照して、再現すべき濃度に対応するスクリーンを決定する。そして、スクリーン選択部160は、マッピング結果を指令生成部166へ出力する。
【0088】
指令生成部166は、文字処理部156から受けた処理結果およびスクリーン選択部160から受けたマッピング結果を合成することで、入力画像に対応する露光指令を生成する。そして、この露光指令は、画像書込部43(図1)へ出力される。すなわち、この露光指令によって、スクリーンの選択結果に従って画像形成処理が実行される。
【0089】
スクリーン生成・更新170は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンセット164を必要に応じて生成または更新する。すなわち、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況などに応じて、画像形成プロセスが変化するので、スクリーン生成・更新170は、このようなプロセス変化に応じて、スクリーンの特性を適切に生成または更新される。典型的には、スクリーン生成・更新170は、目的の濃度階調特性に対する、トナー像またはプリント出力における実際の濃度階調特性のずれに基づいて、予め用意されているスクリーン群172を適切に組み合わせて、スクリーンセット164を決定する。このスクリーンセットの生成/更新処理については、以下に詳述する。
【0090】
<スクリーンセットの生成/更新処理>
上述の図2〜図7に示すようなスクリーンを用いる画像形成装置では、特定の面積率においてプロセスが不安定化し、目的の階調値を再現できない場合がある。すなわち、スクリーンに隙間領域202および204(図6および図7)などが生じる場合には、理想の作像処理を行なうことができない。そこで、このような画像形成装置では、IDCセンサ49(図1)などを用いて、いずれの階調においても目的の濃度を再現できるように、補正が行われる。
【0091】
本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、このIDCセンサ49などを用いて、プリントエンジン4によって実際に形成されたトナー像の濃度などを検出し、このIDCセンサ49による検出結果に基づいて、目的の階調値を再現できるスクリーンセットを生成および/または更新する。
【0092】
図13は、この発明の実施の形態に従うスクリーンセットの生成/更新処理を説明するための図である。図14は、スクリーン別の階調特性の一例を示す図である。図15は、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの一例を示す図である。
【0093】
まず、予め用意されているスクリーン群172(ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーン)の各々についての階調特性が取得される。具体的には、図13(A)に示すような複数の異なる階調値を有する基準パターンを入力画像として、スクリーン群172に含まれるスクリーンの種類だけ画像形成処理が繰返し実行される。この画像形成処理によってそれぞれ形成されたトナー像の濃度がIDCセンサ49により検出される。すなわち、図13(A)に示すような基準パターンに従って、ドットスクリーンに含まれるそれぞれのパターンを用いて形成された像の濃度をIDCセンサ49によって検出した結果からドットスクリーンについての階調特性が取得される。同様の手順で、図13(A)に示すような基準パターンに従って、ラインスクリーンおよび白抜きドットスクリーンに含まれるそれぞれのパターンを用いて形成された像の濃度をIDCセンサ49によって検出した結果からラインスクリーンおよび白抜きドットスクリーンのそれぞれについての階調特性が取得される。
【0094】
なお、図1には、IDCセンサ49が感光体ドラム41上のトナー像の濃度を検出する構成を例示するが、トナー像が転写された記録紙上の濃度を検出するようにしてもよい。さらに、中間転写体(たとえば、転写ベルト)を有する画像形成装置では、この中間転写体上のトナー像の濃度を検出するようにしてもよい。
【0095】
実際には、図13(A)に示すような基準パターンを印刷した原稿をスキャナ3(図1)でスキャンすることで入力画像を生成してもよいし、図13(A)に示す画像情報を含むデータを直接的に入力してもよい。なお、図13(A)には、濃度が連続的に変化する、いわゆるグラデーションパターンを図示するが、離散的に異なる濃度をもつ複数パターンを配置した、いわゆるパッチパターンを用いてもよい。
【0096】
このようにして取得された階調特性の一例を図14に示す。図13(A)に示す基準パターンでは、長手方向に対する濃度変化率を一定にしているため、スクリーンにおける面積率の長手方向についての変化率は一定となる。そのため、各スクリーンについて、面積率(実際に作像されたトナー像の位置に対応)と実際の濃度(現実に現れる階調値)との関係を示すと、図14に示すようになる。図14に示す階調特性において、基準パターンの階調特性(目的の階調特性)と各スクリーンの階調特性との間の偏差が補正すべき量に相当する。言い換えれば、基準パターンの階調特性に対する偏差が大きいほど、プロセスが不安定化していることを意味する。
【0097】
たとえば、ドットスクリーンの階調特性について見れば、面積率が比較的小さい範囲から目的とする階調値を再現できている。これに対して、ラインスクリーンの階調特性について見れば、面積率がある程度大きくなるまで(図14に示す面積率がA以下の範囲)は階調値を有効に再現できていない。また、面積率がA〜Bの範囲では、ドットスクリーンに比較して、ラインスクリーンの方がより基準パターンに一致した階調特性を示している。さらに、面積率がB以上の範囲では、ラインスクリーンは基準パターンから乖離する傾向が見られる。
【0098】
このような階調特性の差異は、プロセスが不安定化する面積率が異なるために生じるものである。すなわち、ドットスクリーンでは、図15(A)に示すように、面積率が相対的に低い場合であっても黒のドットが再現できる。これに対して、ラインスクリーンでは、図15(B)に示すように、面積率が相対的に低い場合には黒ラインの一部が再現されておらず、この結果、実際に現れる濃度が目的の濃度より低くなる。すなわち、ドットスクリーンは、面積率が相対的に低い場合に、ラインスクリーンに含まれる同一の面積率を有するパターンに比較して、相対的に大きな階調値を有するパターンからなる。
【0099】
また、ラインスクリーンでは、図15(B)に示すように、面積率が相対的に高い場合には隣接する黒ライン間の隙間の一部が再現されておらず、この結果、実際に現れる濃度が目的の濃度より高くなる。
【0100】
さらに、本願発明者らの実験によって、このような基準パターンの階調特性からの偏差量の大きさは、粒状性の良否との間に強い相関関係があることがわかった。より具体的には、出願人が提案する評価方法により得られる官能値(GI値)を、複数種類のスクリーン線数についてドットスクリーンとラインスクリーンとについて比較した。この結果、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、ドットスクリーンの方がより粒状性が優れており、一方、再現すべき階調値が中央値の付近では、ラインスクリーンの方がより粒状性が優れていることがわかった。
【0101】
したがって、ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーンの3種類のスクリーンを用意できる場合には、図13(B)に示すように、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順に切替えるようなスクリーンセットを用いることが好ましい。
【0102】
また、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの2種類のスクリーンだけを用意できる場合には、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、ドットパターンの順、もしくは、ドットパターン、ラインパターンの順、に切替えるようなスクリーンセットを用いることが好ましい。
【0103】
再度、図14を参照して、いずれの階調値において使用するスクリーンを切替えるかについては、基準パターンに対する偏差の大きさに基づいて判断される。たとえば、図14において、再現すべき階調値Laより低い範囲では、基準パターンに対する偏差はドットスクリーンの方が小さいが、再現すべき階調値Laより高い範囲では、基準パターンに対する偏差はラインスクリーンの方が小さくなる。同様に、濃度Lbより低い範囲では、基準パターンに対する偏差はラインスクリーンの方が小さいが、濃度Lbより高い範囲では、基準パターンに対する偏差は白抜きドットスクリーンの方が小さくなる。そのため、再現すべき階調値LaおよびLbをスクリーンの切替ポイントとして決定することができる。このように、各濃度について、基準パターンに対するそれぞれのスクリーンの階調特性における偏差を算出することで、切替ポイントが決定される。すなわち、それぞれのスクリーンの階調特性に基づいて、基準パターンに対応する階調特性に対する誤差がより小さくなるように、切替ポイントが決定される。
【0104】
なお、スクリーンセットにおいて、用いられるスクリーン種類が変更される階調値において、切替前後の階調値を等しくしておく必要がある。これは、階調差があると、グラデーションのような階調変化をもつ入力画像をプリントした際に、異なるスクリーンを用いてプリントされた領域間に擬似輪郭などが生じる場合があるからである。そのため、図14に示すように、再現すべき階調値Laにおいてドットスクリーンからラインスクリーンに切替えられる場合には、面積率A1に対応するドットスクリーンのパターンに引き続いて、面積率A2に対応するラインスクリーンのパターンが用いられる。同様に、濃度Lbにおいてラインスクリーンから白抜きドットスクリーンに切替えられる場合には、面積率B1に対応するラインスクリーンのパターンに引き続いて、面積率B2に対応する白抜きドットスクリーンのパターンが用いられる。
【0105】
なお、上述のように、IDCセンサなどを用いて実際に形成されたトナー像などの濃度に基づいてスクリーンセットを生成/更新する構成に加えて、または、これに代えて、予め標準的な階調特性を有するスクリーンセットを用意しておき、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況、プロセス設定条件などの作像条件に応じて、この予め用意されたスクリーンセットを補正するようにしてもよい。このような構成によれば、実際に形成されたトナー像の濃度を検出する必要がないので、画像形成装置MFPの生産性を向上させることができる。
【0106】
<スクリーンセットのデータ構造>
次に、上述のようなスクリーンセットの生成/更新処理を行なうためのデータ構造の一例について説明する。図16は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPが保持するスクリーンテーブルの一例を示す図である。図17〜図19は、それぞれのスクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。図20〜図22は、それぞれのスクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【0107】
図16に示すように、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、スクリーン群172(図12)の一部として、スクリーンテーブル181,182,183を保持する。スクリーンテーブル181,182,183には、それぞれ、ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーンを用いて目的の階調値を再現するための情報が記述される。これらのスクリーンテーブルに記述される情報についての説明に先立って、本実施の形態に従うスクリーンのデータ構造について説明する。
【0108】
上述したように、スクリーン技術を用いて中間階調を再現するためには、再現可能な階調に応じた複数のスクリーンを用意しておく必要がある。各階調に応じて、一連のスクリーン群を個別に用意しておいてもよいが、記憶容量の抑制およびメンテナンス性向上の観点から、スクリーンを構成する要素に番号付けをしておき、いずれの要素までを有効化するかについての番号を指定することで、スクリーン群を提供する。
【0109】
たとえば、図17〜図19には、8マス×8マスの正方形で1単位を構成するスクリーンが4つ配置されている例を示す。図17はドットスクリーンの例を示し、図18はラインスクリーンの例を示し、図19は白抜きドットスクリーンの例を示す。図17〜図19に示すスクリーンでは、いずれも角度(スクリーン角)および線数(スクリーン線数)を一致させている。本明細書において、スクリーンの角度とは、各パターンにおける付着領域(または、非付着領域)の配列方向を意味し、図17〜図19に示す例では、紙面上下方向がスクリーンの角度となる。また、本明細書において、スクリーンの線数とは、単位長あたりの単位スクリーンの数を意味し、図17〜図19に示す例では、スクリーン間隔の逆数が線数となる。一般的に、スクリーン線数は「lpi:line per inch」といった単位を用いて定義される。
【0110】
たとえば、図17(A)〜図17(F)に示すように、8マス×8マスの計64マスに対して、「0」〜「63」の番号がユニークに割当てられている。そして、スクリーンテーブル181(図16)では、目的とするそれぞれの階調値に対応付けて、いずれの番号付けされたマスまでを「黒」(付着領域)とすべきかが「有効化番号」として定義されている。たとえば、「有効化番号」に「0」がセットされていれば、図17(A)に示すようなドットスクリーンが出力される。同様に、「有効化番号」に「2」がセットされていれば、図17(B)に示すようなドットスクリーンが出力される。以下同様にして、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「ドット」が大きくなる、すなわちドット径が大きくなる。
【0111】
同様に、スクリーンテーブル182(図16)では、図18(A)〜図18(F)に示すラインスクリーンの変化が定義される。このラインスクリーンでは、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを通る「ライン」が太くなる、すなわちライン幅が大きくなる。
【0112】
同様に、スクリーンテーブル183(図16)では、図19(A)〜図19(F)に示す白抜きドットスクリーンの変化が定義される。この白抜きドットスクリーンでは、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「白抜きドット」が太くなる、すなわちドット径が大きくなる。
【0113】
さらに、図20〜図22には、紙面に対して斜め方向の角度をもつスクリーンの例を示す。図20に示すドットスクリーンでは、図17に示すドットスクリーンと同様に、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「ドット」が太くなる、すなわちドット径が大きくなる。また、図21に示すラインスクリーンでは、図18に示すラインスクリーンと同様に、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを通る「ライン」が太くなる、すなわちライン幅が大きくなる。また、図22に示す白抜きドットスクリーンでは、図19に示すドットスクリーンと同様に、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「白抜きドット」が太くなる、すなわちドット径が大きくなる。
【0114】
再度、図16を参照して、スクリーンテーブル181,182,183の各々には、再現すべき階調値(目的値)と、各階調値に対応付けて有効化番号とが定義されている。この定義された内容は、図14に示すスクリーンの階調特性の逆関数に相当するものである。すなわち、スクリーンテーブル181,182,183の各々には、実質的に、図14に示すスクリーンの階調特性において、各階調値(縦軸)に対応する面積率が定義される。そのため、スクリーンテーブル181,182,183の各々においては、連続的に変化する階調値に対して、有効化番号が離散的に変化している部分が存在する。
【0115】
そして、スクリーンテーブル184には、本実施の形態に従うスクリーンセットを定義するための情報が記述される。具体的には、上述のようなスクリーンセットの生成/更新処理によってスクリーンの切替ポイントが取得されると、スクリーンテーブル181,182,183に記述されている情報のうち、その切替ポイントに応じた部分のみが抽出され、スクリーンテーブル184として統合される。このスクリーンテーブル184には、スクリーンテーブル181,182,183と同様に、階調値および対応する有効化番号が定義されるとともに、いずれのスクリーンを用いるかについての情報である「種別」が定義される。図16に示す例では、種別「0」が「ドットパターン」を意味し、種別「1」が「ラインパターン」を意味し、種別「2」が「白抜きドットパターン」を意味する。上述したように、スクリーンセットでは、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順にスクリーンが切替えられるので、スクリーンテーブル184においても、種別が低階調側から「0」、「1」、「2」の順に変化している。
【0116】
このように、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、予め用意されたスクリーンテーブル181,182,183からスクリーンテーブル184を生成するので、プロセスの変動に応じて、スクリーンセットを動的に補正することができる。
【0117】
<処理手順>
(1.画像形成処理)
図23は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける画像形成処理の手順を示すフローチャートである。図24は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおけるスクリーンセットの生成手順を示すフローチャートである。これらのフローチャートは、代表的に、制御部10のCPU102(図11)が予め格納されたプログラムを読込んで実行することで提供される。
【0118】
図23を参照して、まず、CPU102は、画像形成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS100)。画像形成処理の開始が指示されていない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS100の処理を繰返す。
【0119】
画像形成処理の開始が指示された場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU102は、入力画像を受付ける(ステップS102)。具体的には、CPU102は、スキャナ3(図1)へ制御指令を与えて、原稿のスキャンを実行させる。あるいは、CPU102は、HDD110などから指定された画像データを読出す。
【0120】
続いて、CPU102は、受付けた入力画像に対して前処理を実行し(ステップS104)、さらに、前処理後の入力画像を文字領域と画像領域とに分離する(ステップS106)。その後、CPU102は、ステップS106において分離した文字領域について、必要な処理を行なう(ステップS108)。
【0121】
並行して、CPU102は、ステップS106において分離した画像領域について、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断し(ステップS110)、この判断結果に基づいて、各単位領域に用いるべきスクリーンを選択する(ステップS112)。
【0122】
最終的に、CPU102は、ステップS108において出力された処理結果と、ステップS112において選択されたスクリーンとに基づいて、入力画像に対応する露光指令を生成し(ステップS114)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS116)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。その後、CPU102は、プロセス変動補正サブルーチンを実行する(ステップS118)。このプロセス変動補正サブルーチンについては後述する。
そして、処理は終了する。
【0123】
(2.スクリーン生成処理)
次に、図24を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPが使用するスクリーンセットの生成処理について説明する。なお、このスクリーンの生成処理は、いわば、上述のような画像形成プロセスの不安定化を防止するという意味において、画像安定化制御とも称することができる。
【0124】
まず、CPU102は、スクリーンセットの生成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS200)。スクリーンセットの生成処理の開始が指示されていない場合(ステップS200においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS200の処理を繰返す。
【0125】
スクリーンセットの生成処理の開始が指示された場合(ステップS200においてYESの場合)には、CPU102は、所定の階調変化をもつ基準パターンを入力画像として受付ける(ステップS202)。続いて、CPU102は、受付けた入力画像をスクリーン群172に含まれるドットスクリーンのみを用いて再現するための露光指令を生成し(ステップS204)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS206)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、CPU102は、IDCセンサ49から、プリントエンジン4において形成されたトナー像の濃度プロファイルを取得する(ステップS208)。すなわち、CPU102は、ドットスクリーンについての階調特性を取得する。
【0126】
さらに、CPU102は、受付けた入力画像をスクリーン群172に含まれるラインスクリーンのみを用いて再現するための露光指令を生成し(ステップS210)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS212)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、CPU102は、IDCセンサ49から、プリントエンジン4において形成されたトナー像の濃度プロファイルを取得する(ステップS214)。すなわち、CPU102は、ラインスクリーンについての階調特性を取得する。
【0127】
さらに、CPU102は、受付けた入力画像をスクリーン群172に含まれる白抜きドットスクリーンのみを用いて再現するための露光指令を生成し(ステップS216)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS218)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、CPU102は、IDCセンサ49から、プリントエンジン4において形成されたトナー像の濃度プロファイルを取得する(ステップS220)。すなわち、CPU102は、白抜きドットスクリーンについての階調特性を取得する。
【0128】
その後、CPU102は、ステップS208,S214,S220においてそれぞれ取得された階調特性について、基準パターンに対する偏差プロファイルを算出し(ステップS222)、この算出した偏差プロファイルに基づいて、切替ポイントを決定する(ステップS224)。さらに、CPU102は、ステップS224において決定した切替ポイントに基づいて、スクリーンテーブル181,182,183(図16)の定義内容のうち、必要な内容を抽出して、スクリーンセットを定義するためのスクリーンテーブル184を生成する(ステップS226)。そして、処理は終了する。
【0129】
<プロセス変動補正>
次に、本実施の形態に従う画像形成装置が搭載するプロセス変動補正の機能について説明する。
【0130】
図25は、図24に示すスクリーン生成処理により生成されたスクリーンセットの階調特性を示す図である。図25に示すように、スクリーン生成処理の実行直後においては、生成されたスクリーンの階調特性は、ほぼリニアとなる。すなわち、再現すべき階調値(目標の階調値)に対して、再現される階調値である濃度が実質的に線形化されており、高い画像再現性を提供できる。
【0131】
上述したように、スクリーン生成処理により生成されるスクリーンは、複数種類のスクリーンを組み合わせたものであるが、図25に示す状態においては、これらの異なる種類のスクリーンの切替位置における濃度も連続性を維持している。
【0132】
しかしながら、図25に示す状態のスクリーンセットを用いて画像形成プロセスを実行していくと、各種の要因によってプロセス変動が発生し得る。その結果、スクリーンセットを構成する、それぞれの種類のスクリーンについての階調特性が本来の特性がずれてくる。その結果、異なる種類のスクリーンの切替位置において、濃度の連続性が保たれなくなる。すなわち、スクリーンのつなぎ目において、濃度段差が発生する。
【0133】
その結果、たとえば、再現すべき階調値が順次変化するような画像をプリントした場合には、この濃度の不連続点(濃度段差の発生点)において、急激に濃度が変化する場所が現れ、画像の再現性が低下する。
【0134】
そこで、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、以下に示すような処理によって、スクリーンセットに生じるプロセス変動に起因する濃度段差を抑制する。
【0135】
(1.検出方法)
まず、本実施の形態に従うプロセス変動補正においては、実際に画像形成した結果に基づいて、スクリーンセットを補正する。
【0136】
このような画像形成の結果を取得する方法としては、連続的に画像形成処理が実行されている場合に、各画像形成処理において生成される画像間に、異なる種類のスクリーンの切替位置に対応する濃度、および、その周辺に対応する濃度を、スクリーンの種類別に作像するとともに、IDCセンサ49(図1)などを用いて、これらの像の濃度を検出する。もちろん、IDCセンサ49に代えて、感光体ドラム41の表面に形成された像の濃度を検出するセンサを用いてもよい。さらに、カラータンデム方式などの中転ベルトを有する画像形成装置においては、この中間ベルトの表面に形成された像の濃度を検出するセンサを用いてもよい。
【0137】
本実施の形態に従うプロセス変動補正においては、階調特性のずれ方に応じて、主として、以下の2つの補正方法を選択して実行する。すなわち、スクリーンの切替位置に対応する階調値、または、スクリーンの切替位置の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、スクリーンセットを再生成する。
【0138】
(2.濃度交点が存在する場合)
図26は、本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。図27は、本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。図28は、本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【0139】
図26を参照して、プロセス変動によってスクリーンセットの階調特性が変化したとしても、スクリーン切替位置を中心とする所定範囲内において、切替えられる2つのスクリーンの交点が存在する場合を考える。
【0140】
すなわち、図26に示す例では、ドットスクリーンおよびラインスクリーンのいずれもが、スクリーン切替位置において、再現すべき階調値より相対的に高い濃度を表現するように変動している例を示す。このとき、再現すべき階調値Laにおいては、ドットスクリーンが実際に表現する濃度と、スクリーンが実際に表現する濃度との間には、所定の濃度差が生じている。
【0141】
なお、図26に示すドットスクリーンおよびラインスクリーンについての階調特性は、スクリーン切替位置、および、その周辺に対応する複数の階調値をそれぞれ有する像を形成し、これらの像についての濃度を検出することで推定される。すなわち、図26に示すすべての階調特性を検出する必要はなく、各階調特性上の複数の点について濃度を検出することで、その特性が推定される。
【0142】
すなわち、ドットスクリーンのセットに含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像からドットスクリーンのセットについての階調特性を取得し、ラインスクリーンのセットに含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像からラインスクリーンのセットについての階調特性を取得する。
【0143】
このような場合には、ドットスクリーンについての階調特性(図26中の一点鎖線)と、ラインスクリーンについての階調特性(図26中の二点鎖線)との交点を、新たなスクリーン切替位置とすることで、濃度差を低減することができる。
【0144】
図27には、スクリーン切替位置を変更された状態の階調特性の一例を示す。すなわち、図26に示すスクリーンセットでは、階調値Laにおいて、ドットスクリーンとラインスクリーンとを切替えていたが、図27に示すスクリーンセットでは、階調値#Laにおいて、ドットスクリーンとラインスクリーンとが切替えられる。
【0145】
このように、ドットスクリーンについての階調特性とラインスクリーンについての階調特性との交点に基づいて、スクリーンを切替えるためのしきい値である、スクリーン切替位置を変更する。
【0146】
このようにスクリーン切替位置を変更することで、スクリーン切替位置における濃度変化(濃度のギャップ)を低減することができる。
【0147】
以下、このスクリーン切替位置の変更処理について、図28を参照して、より詳細に説明する。
【0148】
図28(A)には、上述のスクリーン生成処理において、複数の種類のスクリーンが組み合わせられて生成されたスクリーンセットの例を示す。図28(B)には、図28(A)に示すスクリーンセットに対して、上述のスクリーン切替位置の変更処理を実行した状態を示す。すなわち、図28(B)においては、スクリーンセットを構成するスクリーンとして、より多くの階調値の範囲においてドットスクリーンが採用されている例を示す。もちろん、濃度交点の位置によっては、より多くの階調値の範囲においてラインスクリーンが採用する処理を実行してもよい。
【0149】
(3.スクリーン切替位置において濃度交点が存在しない場合)
図29は、本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。図30は、本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。図31は、本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【0150】
次に、2つのスクリーンについての階調特性の交点が存在しない場合の処理について説明する。
【0151】
図29に示す例では、ドットスクリーンについては、本来の階調特性に対して実際に現れる濃度が低くなっており、一方、ラインスクリーンについては、本来の階調特性に対して実際に現れる濃度が高くなっている例を示す。この例では、上述したような、2つのスクリーンについての階調特性の交点が存在しないので、少なくとも一方のスクリーンについての階調特性を再設定する。
【0152】
すなわち、図30に示す例では、ドットスクリーンの階調特性を再設定して、再現すべき階調値に対して、実際に再現される階調値(濃度)がより高くなるように、図16に示すようなスクリーンテーブルにおける設定を変更する。すなわち、図16に示すスクリーンテーブルにおいて、各階調値に対応する面積率がより大きくなるように、有効化番号を再割付する。
【0153】
このとき、好ましくは、スクリーン切替位置を維持することが好ましいので、図30に示す例においては、ドットスクリーンの濃度値が再現すべき階調値Laにおいて、目的の値となるように、スクリーンを再設定することになる。
【0154】
なお、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの両方について階調特性を再設定してもよいし、一方だけの階調特性を再設定してもよい。このとき、目標の階調特性からのずれ量の大きさ(絶対値)に基づいて、より大きくずれているスクリーンに対して、階調特性を再設定してもよい。
【0155】
このように、ドットスクリーンについての階調特性とラインスクリーンについての階調特性とのずれ度合いに応じて、ドットスクリーンのセットまたはラインスクリーンのセットに含まれるスクリーンを再構成する。
【0156】
さらに、2種類のスクリーンについての階調特性が大きく異なる場合には、このような階調特性の再設定に加えて、スクリーン切替位置の変更についても同時に行なってもよい。
【0157】
以下、この階調特性の再設定処理について、図31を参照して、より詳細に説明する。
図31(A)には、上述のスクリーン生成処理において、複数の種類のスクリーンが組み合わせられて生成されたスクリーンセットの例を示す。図31(B)には、図31(A)に示すスクリーンセットに対して、上述の階調特性の再設定処理を実行した状態を示す。すなわち、図31(B)においては、ドットスクリーンについての割付を変更することで、再現すべき階調値が相対的に小さい場合であっても、より大きな濃度が再現できるように、面積率の特性を変更する。
【0158】
<プロセス変動補正サブルーチン>
図32は、図23に示すフローチャートのステップS118に示すプロセス変動補正サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【0159】
図32を参照して、まず、CPU102は、プロセス変動補正の実行タイミングであるか否かを判断する(ステップS300)。すなわち、上述したようなプロセス変動補正を実行すべきいずれかの条件を満足しているか否かが判断される。もちろん、画像形成処理が実行される毎に、プロセス変動補正を行なってもよいが、プロセス変動は、画像形成処理の実行回数や時間経過に伴って生じるものであるので、たとえば、前回のプロセス変動補正の実施時からの画像形成処理の実行数や経過時間などが所定のしきい値を超えたか否かといった条件に基づいて、プロセス変動補正を実行すべきか否かを判断してもよい。
【0160】
プロセス変動補正の実行タイミングではない場合(ステップS300においてNOの場合)には、処理はメインルーチンへリターンする。
【0161】
これに対して、プロセス変動補正の実行タイミングである場合(ステップS300においてYESの場合)には、CPU102は、現在設定されているスクリーンパターンに基づいて、スクリーン切替位置およびその周囲に対応する階調値を含む、それぞれのスクリーンについてのテストパターンの像を形成する(ステップS302)。続いて、CPU102は、形成されたテストパターンの像の濃度を検出する(ステップS304)。さらに、CPU102は、テストパターンの像から検出された濃度に基づいて、それぞれのスクリーンについての階調特性を推定する(ステップS306)。
【0162】
その後、CPU102は、推定したそれぞれのスクリーンについての階調特性に基づいて、2つの階調特性の間の交点が存在するか否かを判断する(ステップS308)。
【0163】
2つの階調特性の間の交点が存在する場合(ステップS308においてYESの場合)には、CPU102は、2つの階調特性の間の交点を新たなスクリーン切替位置に設定する(ステップS310)。そして、CPU102は、ステップS310において設定された新たなスクリーン切替位置で2種類のスクリーンが切替えられるように、スクリーンセットを再生成する(ステップS312)。そして、処理は、メインルーチンにリターンする。
【0164】
これに対して、2つの階調特性の間の交点が存在しない場合(ステップS308においてNOの場合)には、CPU102は、2つの階調特性について、目標の階調特性からのずれ量の大きさ(絶対値)を算出する(ステップS320)。典型的には、階調特性を複数の区間に分割し、各区間における偏差(絶対値)の総和をずれ量として評価してもよい。そして、CPU102は、目標の階調特性からのずれ量がより大きなスクリーンについての階調特性を再設定する(ステップS322)。さらに、CPU102は、当初のスクリーン切替位置で2種類のスクリーンが切替えられるように、階調特性を再設定したスクリーンと階調特性を変更していないスクリーンとからスクリーンセットを再生成する(ステップS324)。そして、処理は、メインルーチンにリターンする。
【0165】
<作用効果>
この発明の実施の形態によれば、トナーを付着させる幅が狭いパターン、および、トナーを付着させない幅が狭いパターンといった電子写真方式において再現性が低下するようなパターンを避けたスクリーンセットを用いて中間階調が再現される。そのため、中間階調を安定して再現することができる。同時に、再現すべき階調値に応じて、複数種類のスクリーンからプロセスがより安定化するスクリーンが選択的に組み合わされてスクリーンセットが構成される。そのため、プリント結果における粒状性を向上させることができる。
【0166】
また、この発明の実施の形態によれば、実際に形成されるトナー像の濃度検出結果、および/または、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況、プロセス設定条件などの作像条件、に応じて、スクリーンセットが動的に生成および/または更新されるので、様々な要因によるプロセスの変動が生じた場合であっても、安定した中間階調の再現処理を実現できる。
【0167】
また、この発明の実施の形態によれば、プロセス変動によって、複数種類のスクリーンを組み合わせて生成したスクリーンセットの階調特性が変動した場合であっても、その変動を補正することで、より再現性の高い画像形成機能を維持することができる。
【0168】
[その他の実施の形態]
上述のこの発明の実施の形態の各々においては、3つのスクリーン(ドットスクリーン、ラインスクリーン、および白抜きドットスクリーン)を順次切替えることで、必要な濃度変化を生じさせる構成について例示した。しかしながら、2つのスクリーンを順次切替えることで、必要な濃度変化を生じさせてもよい。典型的には、再現すべき濃度が低い(低階調値の)部分および再現すべき濃度が高い(高階調値の)部分についてはドットスクリーンを用い、その他の中間濃度(中間階調)の部分についてはラインスクリーンを用いてもよい。
【0169】
上述の図14に示すように、面積率が相対的に低い領域および高い領域においては、ラインスクリーンの階調特性に比べて、ドットスクリーンの階調特性の方が基準パターンに対する偏差がより小さい。一方、中間の面積率の領域においては、ドットスクリーンの階調特性に比べて、ラインスクリーンの階調特性の方が基準パターンに対する偏差がより小さい。そのため、図25に示すように、再現すべき濃度が低い値から高い値へ変化することに伴って、ドットスクリーン→ラインスクリーン→ドットスクリーンの順で使用するスクリーンを切替えることが好ましい。
【0170】
あるいは、ラインスクリーンと白抜きドットスクリーンとを用いて、スクリーンセットを生成してもよい。もしくは、ドットスクリーンと白抜きドットスクリーンとを用いて、スクリーンセットを生成してもよい。
【0171】
上述の実施の形態に係るプログラムによって実現される機能の一部または全部を専用のハードウェアによって構成してもよい。
【0172】
また、上述の実施の形態に従うCPUで実行されるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。したがって、このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明に係るプログラムに含まれ得る。
【0173】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0174】
2 自動原稿搬送部、3 スキャナ、4 プリントエンジン、5 給紙部、10 制御部、21 原稿給紙台、22 送出ローラ、23 レジストローラ、24 搬送ドラム、25 排紙台、26 手差給紙部、27 転写ベルト、31,32 ミラーユニット、33 結像レンズ、34 撮像素子、35 プラテンガラス、41 感光体ドラム、42 帯電器、43 画像書込部、44 現像部、45 転写器、46 除電器、47 定着装置、48 クリーニング部、49 IDCセンサ、51 タイミングローラ、52,53,54 送出ローラ、55 搬送ローラ、57 トレイ、102 CPU、104 RAM、106 ROM、108 EEPROM、110 HDD、112 外部通信I/F、114 内部通信I/F、116 内部バス、152 前処理部、154 領域分離部、156 文字処理部、158 階調値判断部、160 スクリーン選択部、162 スクリーン格納部、164 スクリーンセット、166 指令生成部、170 スクリーン生成・更新、172 スクリーン群、176 色分離部、181,182,183,184 スクリーンテーブル、311,351 光源、312,321,352,353 ミラー、431 レーザ発光器、471 加熱ローラ、472 加圧ローラ、MFP 画像形成装置。
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関し、特に中間階調をより安定して再現するための技術に向けられたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置においては、紙媒体へ画像を形成するプロセスとして電子写真方式が採用されている。この電子写真方式では、露光装置を用いて感光体上(典型的には、感光体ドラムや感光体ベルト)に静電潜像を形成し、続いて、この静電潜像を現像することで画像が作られる。
【0003】
近年、この電子写真方式に対する高解像度化が進んでいる。たとえば、露光装置の改良によって、静電潜像の解像度は、従来の600dpi(dot per inch)から1200dpiにまで向上しており、さらに高品位機種では、2400dpiといった高解像度を実現できる。
【0004】
一方で、このような解像度の向上とともに、プロセスの安定性の向上についても要望が高まっている。すなわち、解像度の向上とプロセスの安定性とは相反すると言われており、解像度を高めつつ、安定性を維持することが重要な技術的課題となっている。このようなプロセスの安定性は、中間階調の仕上がりに影響を与える。
【0005】
そこで、特開平5−161013号公報(特許文献1)には、環境の変動、濃度検知センサの劣化、感光体の表面劣化等に起因する画質の劣化を防ぎ、常に高画質を安定に保つことの可能なデジタル記録装置が開示されている。また、特開平5−328112号公報(特許文献2)には、濃淡画像を構成する各画素周辺の画像の濃度状態に相応したディザ処理を行なうことで、対象とする濃淡画像に濃度の偏りがあっても、階調性をもった画像を復元できるディザ処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−161013号公報
【特許文献2】特開平5−328112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置では、網点(ハーフトーン)手法を用いて、中間階調が再現される。このハーフトーン手法では、小さな点や線からなるパターンを用いて、その単位面積あたりの着色量(典型的には、トナー付着量)を制御することで、目的とする階調値を再現する。この単位面積あたりの着色量の制御では、複数の階調値にそれぞれ対応付けた複数のスクリーンを予め用意しておき、再現すべき濃度に応じてスクリーンが選択される。一般的なスクリーンは、着色すべき「付着領域」と着色すべきではない「非付着領域」とを所定周期で規則的に配置したものが用いられる。解像度が高くなるにつれて、スクリーンにおける「付着領域」と「非付着領域」との配置間隔はより短くできるが、上述したように、プロセスの安定性が低下し得るので、その配置間隔を短くすることについては制約を受ける。その結果、高解像度の静電潜像を形成できるにもかかわらず、その適用は文字領域のみに限定され、中間階調領域については、従来の低解像度の画像形成装置と同様のスクリーンが使用されるという状況であった。
【0008】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、プロセスの安定性を維持しつつ、中間階調をより高い解像度で再現できる画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に従えば、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置を提供する。複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含む。本画像形成装置は、階調値の増加に従って第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って第1領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを格納する記憶部と、入力画像の単位領域に対し、階調値がしきい値より小さい場合には第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値がしきい値より大きい場合には第2スクリーン群よりスクリーンを選択するスクリーン選択部と、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行する作像部と、しきい値に対応する階調値、または、しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、複数のスクリーンを再生成する更新部とを含む。
【0010】
好ましくは、更新部は、第1スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から第1スクリーン群についての階調特性を取得する手段と、第2スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から第2スクリーン群についての階調特性を取得する手段とを含む。
【0011】
さらに好ましくは、更新部は、第1スクリーン群についての階調特性と第2スクリーン群についての階調特性との交点に基づいて、しきい値を変更する手段をさらに含む。
【0012】
好ましくは、更新部は、第1スクリーン群についての階調特性と第2スクリーン群についての階調特性とのずれ度合いに応じて、第1スクリーン群または第2スクリーン群に含まれるスクリーンを再構成する手段をさらに含む。
【0013】
好ましくは、本画像形成装置は、作像部によって画像形成されたトナー画像の濃度を検出するための濃度センサをさらに含む。
【0014】
好ましくは、第1スクリーン群は、ドットパターンを有し、第2スクリーン群は、ラインパターンを有する。
【0015】
好ましくは、第1規則は、階調値の増加に従って、ドット径の拡大、または、ドット数の増大を含み、第2規則は、階調値の増加に従って、ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大を含む。
【0016】
この発明の別の局面に従えば、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法を提供する。複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含む。本画像形成方法は、階調値の増加に従って第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って第1領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを用意するステップと、入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より小さい場合には第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値が第1しきい値より大きい場合には第2スクリーン群よりスクリーンを選択するステップと、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップと、しきい値に対応する階調値、または、しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、複数のスクリーンを再生成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、プロセスの安定性を維持しつつ、中間階調をより高い解像度で再現できる画像形成装置および画像形成方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置の概略構成図である。
【図2】ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図3】ドットスクリーンにおける配置パターンの別の一例を示す図である。
【図4】ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図5】ラインスクリーンにおける配置パターンの別の一例を示す図である。
【図6】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【図7】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの別の一例を示す図である。
【図8】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図9】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図10】この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態に従う画像形成装置内の制御部のハードウェア構成を示す模式図である。
【図12】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の制御部における制御構造を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態1に従うスクリーンセットの生成/更新処理を説明するための図である。
【図14】スクリーン別の階調特性の一例を示す図である。
【図15】ドットスクリーンおよびラインスクリーンの一例を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置が保持するスクリーンテーブルの一例を示す図である。
【図17】ドットクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。
【図18】ラインスクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。
【図19】白抜きドットスクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。
【図20】ドットクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【図21】ラインスクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【図22】白抜きドットスクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【図23】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置における画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】この発明の実施の形態1に従う画像形成装置におけるスクリーンセットの生成手順を示すフローチャートである。
【図25】図24に示すスクリーン生成処理により生成されたスクリーンセットの階調特性を示す図である。
【図26】本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。
【図27】本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。
【図28】本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【図29】本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。
【図30】本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。
【図31】本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【図32】図23に示すフローチャートのステップS118に示すプロセス変動補正サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0020】
<概要>
本実施の形態に従う画像形成装置は、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群(典型的には、後述するドットスクリーン)と、階調値の増加に従ってトナーを付着すべき領域が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群(典型的には、後述するラインスクリーン)とを適宜組み合わせることでスクリーンセットを生成する。そして、画像形成装置は、この生成したスクリーンセットに基づいて、ハーフトーンを含む画像を形成する。
【0021】
特に、本実施の形態に従う画像形成装置は、スクリーンセットを生成後に生じる、プロセス変動に起因する階調特性のずれを補正するための機能(プロセス変動補正)を有している。
【0022】
<画像形成装置の構成>
本発明は、電子写真方式の画像形成装置であればどのような装置にも適用できるものであり、具体的には、コピー機、レーザプリンタ、ファクシミリ、複合機(Multi Function Peripheral)などに適用される。以下では、本発明に係る画像形成装置の典型例として、複写機能、プリント機能、ファクシミリ機能、およびスキャナ機能といった複数の機能を搭載した複合機について説明する。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの概略構成図である。図1を参照して、画像形成装置MFPは、自動原稿搬送部2と、スキャナ3と、プリントエンジン4と、給紙部5とを含む。
【0024】
自動原稿搬送部2は、原稿の連続的なスキャンを行なうためのものであり、原稿給紙台21と、送出ローラ22と、レジストローラ23と、搬送ドラム24と、排紙台25とを含む。スキャン対象の原稿は、原稿給紙台21上に載置され、送出ローラ22の作動により一枚ずつ送り出される。そして、この送り出された原稿は、レジストローラ23により一旦停止されて先端が整えられた後に、搬送ドラム24へ搬送される。さらに、この原稿は、搬送ドラム24のドラム面と一体に回転し、その過程において後述するスキャナ3により画像面がスキャンされる。その後、原稿は、搬送ドラム24のドラム面を略半周した位置においてドラム面から分離されて排紙台25へ排出される。
【0025】
スキャナ3は、第1ミラーユニット31と、第2ミラーユニット32と、結像レンズ33と、撮像素子34と、プラテンガラス35とを含む。第1ミラーユニット31は、光源311とミラー312とを含み、搬送ドラム24の直下の位置において、通過する原稿に向けて光源311から光を照射する。この光源311から照射された光のうち、原稿によって反射した光は、第2ミラーユニット32へ入射する。第2ミラーユニット32は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー321および322を含み、第1ミラーユニット31からの反射光は、ミラー321および322で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。結像レンズ33は、この反射光をライン状の撮像素子34に結像する。
【0026】
画像形成装置MFPでは、プラテンガラス35に載置された原稿から画像情報を取得することも可能である。この場合には、可動式の光源351およびミラー352が原稿の画像面をスキャンする。このスキャンに伴って、光源351から与えられた光は、原稿の移動方向に直交する向きに沿って配置されたミラー353および354で順次反射されて結像レンズ33へ導かれる。
【0027】
撮像素子34は、受光した反射光を電気信号に変換して、後述する制御部10へ出力する。スキャナ3によって取得された原稿の画像情報、すなわち撮像素子34から出力される電気信号は、制御部10にて各種の画像処理が行われる。
【0028】
プリントエンジン4は、電子写真方式の画像形成プロセスの一例として、単色のプリント出力が可能である。すなわち、プリントエンジン4は、画像形成処理を実行する作像部に相当する。具体的には、プリントエンジン4は、感光体ドラム41と、帯電器42と、画像書込部43と、現像部44と、転写器45と、除電器46と、定着装置47と、クリーニング部48と、IDC(Image Density Control)センサ49とを含む。ユーザ操作などによって、画像形成処理(プリント処理)の開始が指示されると、画像書込部43は、プリント対象の画像データに基づいてポリゴンミラー(図示しない)を回転作動させることで、レーザ発光器431から照射されるレーザビームを、感光体ドラム41の軸方向に対する主走査露光として照射する。同時に、感光体ドラム41自身の回転による副走査も行なわれる。このレーザビームの照射前に、感光体ドラム41には、帯電器42によって所定電位が付与されている。感光体ドラム41は、この電位により一様に帯電されている。なお、感光体ドラム41を帯電する構成としては、図1に示すローラ帯電方式に代えてコロナ放電方式を採用してもよい。このコロナ放電方式では、所定電位を発生するチャージャーと、チャージャーと電気的に接続されたグリッドメッシュ、ブレード、ブラシなどとを用いて、感光体ドラム41を帯電する。
【0029】
感光体ドラム41の感光層には、主走査露光および副走査露光によって、原稿画像の静電潜像が形成される。なお、露光装置としては、ポリゴンミラーを用いてレーザ発光器431からのレーザ光を制御する構成に代えて、感光体ドラム41の軸方向に沿って配置した複数のLED(Light Emitting Diode)の発光量を制御する構成を採用してもよい。また、像担持体としては、図1に示すローラ状の感光体ドラム41に代えて、後述するようなベルト形状の感光体を採用してもよい。
【0030】
現像部44は、この感光体ドラム41上に形成された静電潜像を反転現像してトナー像を生成する。一例として、現像部44は、2成分現像方式に従ってトナー像を生成する。すなわち、現像部44内には、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤が蓄えられており、これらのトナーとキャリアとは、攪拌スクリューによって攪拌されることで摩擦荷電された現像剤となる。そして、この現像剤が供給スクリューによって現像ローラに供給される。さらに、現像剤は、現像ローラの回転により感光体ドラム41上の現像領域に近接した位置へと搬送されると、現像ローラの電位と感光体ドラム41上に形成されている静電潜像の有する電位との間に生じる電界を受けて、感光体ドラム41へ移動する。その結果、感光体ドラム41上の静電潜像がトナー像として現像される。なお、現像部44としては、上述の2成分現像方式に代えて、1成分現像方式もしくはハイブリッド現像方式を採用してもよい。
【0031】
上述の現像部44における動作と並行して、記録紙を収容する給紙部5の給紙カセットにそれぞれ対応する送出ローラ52,53,54および手差給紙部26のうち、画像形成に用いられるべき記録紙に対応する部位が作動して記録紙を供給する。この供給された記録紙は、搬送ローラ55および56ならびにタイミングローラ51によって搬送され、感光体ドラム41上に形成されたトナー像に同期するように、感光体ドラム41に給紙される。
【0032】
転写器45は、感光体ドラム41に反対極性の電圧を印加することで、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を記録紙に転写する。そして、除電器46は、トナー像が転写された記録紙を除電することで、記録紙を感光体ドラム41から分離させる。その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置47へ搬送される。なお、転写器45としては、図1に示すような転写ローラを用いた転写方式に代えて、転写チャージャーまたは転写ベルトを用いた転写方式を採用してもよい。あるいは、感光体ドラム41から記録紙へトナー像を直接転写する直接転写方式に代えて、感光体ドラム41と記録紙との間に、転写ローラ、転写ベルトといった中間転写体を配置して、2段階以上のプロセスによって転写を行なうようにしてもよい。
【0033】
定着装置47は、加熱ローラ471と加圧ローラ472とを含む。加熱ローラ471は、記録紙を加熱することで、その上に転写されたトナーを溶融するとともに、加熱ローラ471と加圧ローラ472との間の圧縮力により、溶融したトナーが記録紙上に定着される。そして、記録紙はトレイ57に排出される。なお、定着装置47としては、図1に示すような定着ローラを用いた定着方式に代えて、定着ベルトなど用いた定着方式、もしくは非接触の定着方式を採用してもよい。
【0034】
一方、記録紙が分離された感光体ドラム41では、その残留電位が除去された後、クリーニング部48によって残留トナーが除去および清掃される。そして、次の画像形成処理が実行される。クリーニング部48は、一例として、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ、またはこれらの組み合わせにより、残留トナーを除去および清掃する。あるいは、クリーニング部48に代えて、現像部44を用いて残留トナーを回収するクリーナーレス方式を採用してもよい。
【0035】
IDCセンサ49は、感光体ドラム41上に形成されるトナー像の濃度を検出する。このIDCセンサ49は、代表的に反射型フォトセンサからなる光強度センサであり、感光体ドラム41の表面からの反射光強度を検出する。すなわち、IDCセンサ49は、画像形成された結果を検出する。
【0036】
<中間階調の再現処理>
次に、電子写真方式の画像形成プロセスにおける中間階調の再現処理について説明する。上述したように、電子写真方式における画像形成プロセスでは、レーザビームなどを用いて、一様に帯電させた感光体の表面を再現すべき画像に応じて露光させることで、感光体上に静電潜像を形成し、さらに、この形成された静電潜像を現像部によってトナー像として現像する。すなわち、電子写真方式では、感光体の表面上でトナー像とすべき部分か否かを制御するのみであり、各部分の着色量(すなわち、トナー付着量)を連続的に制御することはできない。そこで、電子写真方式における中間階調は、網点(ハーフトーン)手法を用いて、単位面積あたりのトナーを付着すべき面積の比率(以下「面積率」とも称す。)を制御することで再現される。すなわち、小さな点や線からなる露光パターンに従って、露光装置による単位面積あたりの露光量を制御することで中間階調が再現される。一般的に、露光装置では、露光に用いられる光をオン/オフ時間を制御する、いわゆるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式が採用されているため、本実施の形態においても、このパルス幅変調方式の露光装置を用いる構成について例示する。このパルス幅変調方式では、画像の濃度が低い(低階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に短くし、画像の濃度が高い(高階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に長くする。
【0037】
より具体的には、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、いわゆるスクリーン技術を用いて中間階調を再現する。このスクリーン技術では、複数の階調値にそれぞれ対応付けて複数のスクリーンが予め用意される。そして、この複数のスクリーンの中から、入力画像に含まれる中間階調を有する単位領域毎にスクリーンが選択され、この選択されたスクリーンに従って感光体の表面に対する露光パターンが制御される。すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する。写真などを高精度で再現するためには、多数の階調値を再現可能にする必要があるため、目的とし得る階調値に相当する数のスクリーンが予め用意される。このようなスクリーン群としては、一般的には、「ドットスクリーン」または「ラインスクリーン」が採用される。
【0038】
図2および図3は、ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図であり、図4および図5は、ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。図2〜図5に示すように、各スクリーンは、着色すべき(トナーを付着すべき)領域である「第1領域(トナー付着領域)」と、着色すべきではない(トナーを付着すべきではない)領域である「第2領域(トナー非付着領域)」とにより定義された2値化パターンを有している。なお、図2〜図5では、第1領域(トナー付着領域)を「黒」で表現し、第2領域(トナー非付着領域)を「白」で表現しており、以下の図においても同様の表現方法を採用する。
【0039】
図2〜図5に示すように、複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(または、トナー付着領域)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(または、トナー非付着領域)とが定められたパターンを含む。本明細書において、「第1領域」はトナーを付着させるための制御の対象となる画素または画素の集合体に対応し、「第2領域」はそれ以外の領域、すなわち、トナーを付着させるための制御の対象ではない画素または画素の集合体に対応する。
【0040】
なお、以下の説明では、第1領域(または、トナー付着領域)を単に「付着領域」と称し、第2領域(または、トナー非付着領域)を単に「非付着領域」と称する。
【0041】
図2および図3に示すように、「ドットスクリーン」は、典型的には、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域として配置したパターンを有する。図4および図5に示すように、一方、「ラインスクリーン」は、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンをもつ。
【0042】
このとき、プリント結果における粒状性(ざらつき)の少ない緻密な画像を再現するためには、スクリーン切替によって空間周波数を大きく変化させないことが好ましい。そのため、ドットスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図2に示すように、元のドットの周囲に他のドットを追加配置して集合させる方法、もしくは、図3に示すように、分散させてドットの配置数を増加させる方法が採用される。このように、ドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドットの集合体の拡大、または、分散したドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0043】
また、ラインスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図4に示すように、元のラインの中心位置を維持したまま、そのライン幅を広くする方法、もしくは、図5に示すように、ラインの配置数を分散させて増加させる方法が採用される。このように、ラインスクリーンでは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ライン幅の拡大、または、分散したラインの配置数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0044】
さらに、上述のドットスクリーンとラインスクリーンとを複合したスクリーン群が採用される場合もある。図6および図7は、ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【0045】
図6には、低階調側では、図2に示すドットスクリーンに類似したパターン変化を示す一方で、高階調側では、図4に示すラインスクリーンに類似したパターン変化を示すスクリーン群の例を示す。すなわち、図6に示すスクリーン群では、低階調側では、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には(すなわち、隣接するドット同士が接合した後には)、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が徐々に拡大する。
【0046】
また、図7には、図6に示すスクリーン群に比較してその高階調側の階調再現性を高めたスクリーン群が例示される。すなわち、図7に示すスクリーン群では、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が全体的に徐々に拡大する。さらに、ライン幅が所定値を超えると、ラインの一部の幅のみが徐々に拡大する。
【0047】
<電子写真方式における画像再現性>
上述したように、電子写真方式では、静電潜像をトナー像に現像するため、非常に細い線や小さな隙間を再現することは得意ではない。
【0048】
図8および図9は、電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。なお、図8および図9には、トナー像を定着させた記録紙の断面図を模式的に示すが、そのサイズについては、実際のものとは必ずしも一致していない。
【0049】
図8に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅をもつ線状のトナー像を考える。トナー像を形成するための潜像がある程度の幅を有する場合には、潜像と現像ローラとの間の電界は、エッジ効果により電気力線の回り込みが生じても一定方向の電界となるため、トナー像はある程度安定して形成される。そのため、電荷を有するトナーの現像に際して、安定した現像を実行できる。しかし、潜像の有する幅が小さい場合は、現像領域に対してエッジ効果による電気力線の回り込みが顕著になり、電界の方向が安定しない傾向がある。そのため、狭い領域にトナーを安定して付着させることが困難となる。また定着においては、トナー像がある程度広い幅を有する場合には、トナーが一体化するため、記録紙に安定的に定着し得る。これに対して、トナー像が細い場合には、トナーの拡散などによって、記録紙に安定して定着できない場合がある。この場合には、線が「切れた」状態に見えたり、線が全く再現できなくなったりする。
【0050】
また、図9に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅の隙間(トナーが存在すべきではない部分)をもつトナー像を考える。トナー像の隙間がある程度広い幅を有する場合には、隣接するトナーからの影響を受けたとしても、その隙間を維持することができる。これに対して、隙間が狭い場合には、隣接するトナーの拡散などによって、隙間が埋まってしまう場合がある。
【0051】
このように、電子写真方式では、トナーを付着させる幅が狭いパターン、および、トナーを付着させない幅が狭いパターンについては、再現性が低下し得る。したがって、上述のような中間階調の再現処理に用いるスクリーン群についても、付着領域および非付着領域のいずれもができる限り狭くならないようにすることが好ましい。
【0052】
上述の図2〜図5に示すスクリーン群は、ドットまたはラインという基本的な形状を基本にして、面積率を単調増加させて再現する階調値を変化させている。そのため、ある階調値においては、1画素分の幅しかない付着領域および/または非付着領域が存在していることがわかる。
【0053】
また、図6に示すスクリーン群は、低階調側において、ドットスクリーンに類似した形態でドット径が拡大し、高階調側において、ラインスクリーンに類似した形態でライン幅が拡大するので、上述の図2〜図5に示すスクリーンに比較して、画像再現性の劣化を抑制することができる。さらに、図7に示すスクリーンは、高階調側において、非付着領域の幅を維持したまま、その長さが短くなるので、図6に示すスクリーンに比較して、高階調側における画像再現性の劣化を抑制することができる。
【0054】
<本実施の形態に従うスクリーン>
本実施の形態に従う画像形成装置MFPが中間階調の再現処理に用いる複数のスクリーン(以下「スクリーンセット」とも称す。)は、上述の図7に示すスクリーン群に比較して、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避することで、中間階調をさらに高い安定性で再現する。
【0055】
図10は、この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。なお、本発明についての理解をより容易にするために、図10には、図2〜図7に示すスクリーンと対比可能なスクリーンを描画するが、本発明に係るスクリーンはこれに限られるものではない。
【0056】
図6および図7に示すスクリーン群では、図2〜図5に示すスクリーン群に比較して、幅の狭い付着領域および/または非付着領域を含むパターンが低減されているが、ある面積率において、間隔の狭い非付着領域が現れてしまうと、その間隔の狭い非付着領域が消滅することはあっても、非付着領域の間隔が広がることはない。
【0057】
たとえば、図7に示すスクリーン群では、ドットスクリーンに類似した形態から、ラインスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するドット同士が接合する。すなわち、各ドットでは、当該ドットのある一方に位置する隣接ドットに向かって付着領域が拡大することでラインが現れる。このラインが現れる直前には、隣接するドット間で、その幅の狭い隙間領域202が生じる。この隙間領域202は、隣接するドット同士が接合すると消滅する。なお、このとき、隙間領域202以外の非付着領域については、その幅は変化しない。
【0058】
また、図7に示すスクリーン群では、ラインスクリーンに類似した形態から、非付着領域についてのドットスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するライン同士の一部が接合する。すなわち、各ラインでは、当該ラインのある一方に位置する隣接ラインに向かって部分的にライン幅が拡大することで非付着領域についてのドットが現れる。この非付着領域についてのドットが現れる直前には、隣接するライン間で、その幅の狭い隙間領域204が生じる。この隙間領域204は、隣接するライン同士を接合する付着領域が延びることで消滅する。なお、このとき、隙間領域204以外の付着領域については、その幅は変化しない。
【0059】
これに対して、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、スクリーン全体の階調値には影響を与えることなく、上述のような隙間領域202および204の発生を防止することを可能にしている。概略すると、本実施の形態に従うスクリーンは、ある階調値において付着領域に設定される部分であっても、より高い階調値においては、非付着領域に設定され得る点において、上述の図2〜図7に示すスクリーンとは大きく相違している。すなわち、上述の図2〜図7に示すスクリーンでは、ある階調値において付着領域とされた部分については、それより高い階調値においては常に付着領域とされているが、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、このような付着領域および非付着領域についての制限を緩和して、よりフレキシブルなパターン変化を行なう。
【0060】
より具体的には、図10に示すスクリーンでは、ドットスクリーン、ラインスクリーン、および白抜きドットスクリーンという3つのスクリーンを順次切替えることで、必要な濃度変化を生じさせる。すなわち、目的とする階調値が高くなるに従って、パターン211、パターン212、パターン213、パターン214、パターン215、パターン216、パターン217、パターン218の順で変化する。このうち、パターン211および212は、「ドットパターン」であり、パターン213、214および215は、「ラインパターン」であり、パターン216および217は、「白抜きドットパターン」である。
【0061】
本明細書において、「ドットスクリーン」は、上述したように、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域としたパターンを意味する。このドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「ドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ドットパターン」とも称す。
【0062】
また、「ラインスクリーン」は、上述したように、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンを意味する。このラインスクリーンは、階調値の増加に伴って、ドットスクリーンにおける規則とは独立した別の所定の規則(ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大)に従って付着領域が拡大するパターン変化を有する。なお、「ラインスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ラインパターン」とも称す。
【0063】
さらに、「白抜きドットスクリーン」は、非付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を付着領域としたパターンを意味する。この白抜きドットスクリーンは、階調値の減少に伴って非付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「白抜きドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「白抜きドットパターン」とも称す。
【0064】
図10において、より高い階調値への変化に伴って、特定の階調値でドットパターン(パターン212)からラインパターン(パターン213)へ切替わる場合には、パターン212に示すドットを一方向にのみ拡大することでラインを生じさせるのではなく、ドットに含まれる一部分(領域205)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ドットの一部を隣接するドットの方向に拡大(領域206)させる。言い換えれば、ドットパターンを構成する領域205の付着領域を、領域206へ移動させることで、表現する階調値を増大する。なお、パターン212とパターン213との間では、面積率は一定となっているが、これは、表現される濃度がそのスクリーン種類(ドットパターンとラインパターンとの相違)に応じて異なるためである。すなわち、同じ面積率であっても、その値によっては、いずれかのスクリーン(この例では、ラインパターン)の方がより高い濃度として再現される場合があるからである。
【0065】
このようにドットパターンからラインパターンへの切替時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域202の発生を抑制できるとともに、ラインパターンへの切替後における非付着領域の線幅をより広くすることができる。
【0066】
また、さらに高い濃度への変化に伴って、ラインパターン(パターン215)から白抜きドットパターン(パターン216)へ切替わる場合には、パターン215に示すラインの一部を一方向にのみ拡大することで白抜きドットを生じさせるのではなく、ラインに含まれる一部分(領域207)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ラインの一部を隣接するラインの方向に拡大(領域208)させる。言い換えれば、ラインパターンを構成する領域207の付着領域を、領域208へ移動させることで、再現する階調値を増大する。なお、パターン215とパターン216との間では、面積率は一定となっているが、これについても、上述したように再現される階調値がそのスクリーン種類(ラインパターンと白抜きドットパターンとの相違)に応じて異なるためである。このようにラインパターンから白抜きドットパターンへの切替時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域204の発生を抑制できるとともに、白抜きドット自体も2マス×2マスの大きさを維持できる。この白抜きドットの幅は、図7に示す非付着領域の幅より広くなっている。
【0067】
すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、階調値の増加に従って第1領域(トナー付着領域)が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、階調値の増加に従って第1領域(トナー付着領域)が第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連のラインスクリーン)とを保持する。そして、入力画像の単位領域に対し、再現すべき階調値が第1しきい値(図10に示すパターン212によって再現される階調値とパターン213によって再現される階調値との中間値)より小さい場合には、第1スクリーン群よりスクリーンが選択され、階調値が第1しきい値より大きい場合には第2スクリーン群よりスクリーンが選択される。
【0068】
上述したように、画像形成装置MFPは、階調値の減少に伴って第2領域(トナー非付着領域)が第1および第2規則と異なる独立した第3規則に基づき減少する第3スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)をさらに保持することが好ましい。このとき、入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より大きい第2しきい値(図10に示すパターン215によって再現される階調値とパターン216によって再現される階調値との中間値)より大きい場合には第3スクリーン群よりスクリーンが選択される。
【0069】
別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを保持する。そして、再現すべき階調値の増加に伴って第1領域を所定の方向に拡大するように当該第1スクリーン群からスクリーンが選択される(たとえば、図10に示すパターン215の状態)。さらに、再現すべき階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーン選択元が当該第1スクリーン群から当該第2スクリーン群に切替えられる。切替時のスクリーンとしては、所定の方向において、当該第1パターン内の隣接する第1領域間の距離よりも、当該第2パターン内の第2領域の幅が大きいスクリーンが選択される(たとえば、図10に示すパターン216)。
【0070】
さらに別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(トナー非付着領域)を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを保持する。そして、階調値の減少に伴って第2領域が所定の方向に拡大するように、第2スクリーン群からスクリーンが選択され(たとえば、図10に示すパターン215の状態)、その後、階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーンの選択元が第2スクリーン群から第1スクリーン群に切替えられる。切替時のスクリーンとして、所定の方向において、第2パターン内の第2領域の幅よりも、第1パターン内の隣接する第1領域間の距離が小さいスクリーンが選択される(たとえば、図10に示すパターン216の状態)。
【0071】
上述のようなスクリーン群を採用した場合には、切替前後において、第1スクリーン群から選択されるスクリーン(たとえば、図10に示すパターン212の状態)と、第2スクリーン群から選択されるスクリーン(たとえば、図10に示すパターン213の状態)とは、実質的に同じ階調値を有することが好ましい。
【0072】
また、切替前後において、同じ階調値を維持したまま、第1領域のトナー付着の制御対象の画素を第2領域におけるトナー付着の制御対象でない画素に置き換える再配置が実行されることが好ましい。たとえば、図10に示すパターン212の状態とパターン213の状態とを比較すると、第1領域(トナー付着領域)の数は維持されたまま、第2領域(トナー非付着領域)の一部が第1領域(トナー付着領域)に置き換えられていることがわかる。また、図10に示すパターン215の状態とパターン216の状態との間でも同様である。
【0073】
このように、本実施の形態においては、ある濃度において付着領域に設定される部分であっても、より高い濃度において非付着領域に設定する手法を用いてスクリーン切替を行なうことで、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避し、これによって、中間階調をより安定性を高めて再現できる。
【0074】
なお、図10においては、濃度が高くなるにつれて、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順でスクリーン切替を行なう構成について例示したが、切替ロジックをより簡素化する観点から、ドットスクリーンとラインスクリーンとの間でのみスクリーン切替を行なう構成を採用してもよい。
【0075】
<制御部の構成>
図11は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFP内の制御部10のハードウェア構成を示す模式図である。
【0076】
図11を参照して、制御部10は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)102と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)106、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)108、およびHDD(Hard Disk Drive)110と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)112および内部通信I/F114とを含む。なお、これらの部位は、内部バス116を介して互いに接続される。
【0077】
制御部10では、CPU102が、ROM106などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM104などに展開して実行することで、画像形成装置MFPが制御される。
【0078】
RAM104は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM104には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM108は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置MFPのIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD110は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信した印刷ジョブやスキャナ3によって取得した画像情報などを蓄積する。
【0079】
外部通信I/F112は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークNWを介してパーソナルコンピュータPCや他の画像形成装置との間でデータ通信を提供する。
【0080】
内部通信I/F114は、操作パネルなどと接続され、操作パネルに対するユーザ操作に応じた信号を受信して、CPU102へ伝送するとともに、CPU102からの命令に従って、操作パネルにメッセージなどを表示するために必要な信号を送信する。
【0081】
<制御構造>
図12は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの制御部10における制御構造を示すブロック図である。
【0082】
図12を参照して、制御部10は、プリント対象の入力画像に応じた静電潜像を感光体(感光体ドラム41)上に形成するために露光装置へ与える指令(露光指令)を出力する。より具体的には、制御部10は、その制御構造として、前処理部152と、領域分離部154と、文字処理部156と、階調値判断部158と、スクリーン選択部160と、スクリーン格納部162と、指令生成部166と、スクリーン生成・更新170とを含む。スクリーン格納部162は、RAM104、EEPROM108、HDD110(図11)に含まれる所定の領域として提供される。その他の部位は、典型的に、CPU102(図11)がプログラムをRAM104(図11)に展開し、各コマンドを実行することで提供される。
【0083】
前処理部152は、プリント対象の入力画像に対して、色補正などの前処理を行なう。この前処理部152によって処理された入力画像は、領域分離部154へ出力される。
【0084】
領域分離部154は、前処理部152から受けた入力画像を文字領域と画像領域とに分離する。基本的に、文字領域は、中間階調として再現する必要がない部分であり、画像領域は、中間階調として再現する必要がある部分である。領域分離部154によって分離された文字領域の情報は、文字処理部156へ出力され、画像領域の情報は、階調値判断部158へ出力される。
【0085】
文字処理部156は、領域分離部154から受けた文字領域の情報に対して、輪郭強調処理などの文字に適した処理を行なう。そして、文字処理部156は、処理結果を指令生成部166へ出力する。
【0086】
階調値判断部158は、領域分離部154から受けた画像領域の情報に基づいて、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断する。そして、階調値判断部158は、その判断結果をスクリーン選択部160へ出力する。
【0087】
スクリーン選択部160は、階調値判断部158から受けた判断結果に基づいて、再現すべき濃度に応じたスクリーンを順次選択し、画像領域に対して、使用すべきスクリーンの種類をマッピングする。より具体的には、スクリーン選択部160は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンセット164を参照して、再現すべき濃度に対応するスクリーンを決定する。そして、スクリーン選択部160は、マッピング結果を指令生成部166へ出力する。
【0088】
指令生成部166は、文字処理部156から受けた処理結果およびスクリーン選択部160から受けたマッピング結果を合成することで、入力画像に対応する露光指令を生成する。そして、この露光指令は、画像書込部43(図1)へ出力される。すなわち、この露光指令によって、スクリーンの選択結果に従って画像形成処理が実行される。
【0089】
スクリーン生成・更新170は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンセット164を必要に応じて生成または更新する。すなわち、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況などに応じて、画像形成プロセスが変化するので、スクリーン生成・更新170は、このようなプロセス変化に応じて、スクリーンの特性を適切に生成または更新される。典型的には、スクリーン生成・更新170は、目的の濃度階調特性に対する、トナー像またはプリント出力における実際の濃度階調特性のずれに基づいて、予め用意されているスクリーン群172を適切に組み合わせて、スクリーンセット164を決定する。このスクリーンセットの生成/更新処理については、以下に詳述する。
【0090】
<スクリーンセットの生成/更新処理>
上述の図2〜図7に示すようなスクリーンを用いる画像形成装置では、特定の面積率においてプロセスが不安定化し、目的の階調値を再現できない場合がある。すなわち、スクリーンに隙間領域202および204(図6および図7)などが生じる場合には、理想の作像処理を行なうことができない。そこで、このような画像形成装置では、IDCセンサ49(図1)などを用いて、いずれの階調においても目的の濃度を再現できるように、補正が行われる。
【0091】
本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、このIDCセンサ49などを用いて、プリントエンジン4によって実際に形成されたトナー像の濃度などを検出し、このIDCセンサ49による検出結果に基づいて、目的の階調値を再現できるスクリーンセットを生成および/または更新する。
【0092】
図13は、この発明の実施の形態に従うスクリーンセットの生成/更新処理を説明するための図である。図14は、スクリーン別の階調特性の一例を示す図である。図15は、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの一例を示す図である。
【0093】
まず、予め用意されているスクリーン群172(ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーン)の各々についての階調特性が取得される。具体的には、図13(A)に示すような複数の異なる階調値を有する基準パターンを入力画像として、スクリーン群172に含まれるスクリーンの種類だけ画像形成処理が繰返し実行される。この画像形成処理によってそれぞれ形成されたトナー像の濃度がIDCセンサ49により検出される。すなわち、図13(A)に示すような基準パターンに従って、ドットスクリーンに含まれるそれぞれのパターンを用いて形成された像の濃度をIDCセンサ49によって検出した結果からドットスクリーンについての階調特性が取得される。同様の手順で、図13(A)に示すような基準パターンに従って、ラインスクリーンおよび白抜きドットスクリーンに含まれるそれぞれのパターンを用いて形成された像の濃度をIDCセンサ49によって検出した結果からラインスクリーンおよび白抜きドットスクリーンのそれぞれについての階調特性が取得される。
【0094】
なお、図1には、IDCセンサ49が感光体ドラム41上のトナー像の濃度を検出する構成を例示するが、トナー像が転写された記録紙上の濃度を検出するようにしてもよい。さらに、中間転写体(たとえば、転写ベルト)を有する画像形成装置では、この中間転写体上のトナー像の濃度を検出するようにしてもよい。
【0095】
実際には、図13(A)に示すような基準パターンを印刷した原稿をスキャナ3(図1)でスキャンすることで入力画像を生成してもよいし、図13(A)に示す画像情報を含むデータを直接的に入力してもよい。なお、図13(A)には、濃度が連続的に変化する、いわゆるグラデーションパターンを図示するが、離散的に異なる濃度をもつ複数パターンを配置した、いわゆるパッチパターンを用いてもよい。
【0096】
このようにして取得された階調特性の一例を図14に示す。図13(A)に示す基準パターンでは、長手方向に対する濃度変化率を一定にしているため、スクリーンにおける面積率の長手方向についての変化率は一定となる。そのため、各スクリーンについて、面積率(実際に作像されたトナー像の位置に対応)と実際の濃度(現実に現れる階調値)との関係を示すと、図14に示すようになる。図14に示す階調特性において、基準パターンの階調特性(目的の階調特性)と各スクリーンの階調特性との間の偏差が補正すべき量に相当する。言い換えれば、基準パターンの階調特性に対する偏差が大きいほど、プロセスが不安定化していることを意味する。
【0097】
たとえば、ドットスクリーンの階調特性について見れば、面積率が比較的小さい範囲から目的とする階調値を再現できている。これに対して、ラインスクリーンの階調特性について見れば、面積率がある程度大きくなるまで(図14に示す面積率がA以下の範囲)は階調値を有効に再現できていない。また、面積率がA〜Bの範囲では、ドットスクリーンに比較して、ラインスクリーンの方がより基準パターンに一致した階調特性を示している。さらに、面積率がB以上の範囲では、ラインスクリーンは基準パターンから乖離する傾向が見られる。
【0098】
このような階調特性の差異は、プロセスが不安定化する面積率が異なるために生じるものである。すなわち、ドットスクリーンでは、図15(A)に示すように、面積率が相対的に低い場合であっても黒のドットが再現できる。これに対して、ラインスクリーンでは、図15(B)に示すように、面積率が相対的に低い場合には黒ラインの一部が再現されておらず、この結果、実際に現れる濃度が目的の濃度より低くなる。すなわち、ドットスクリーンは、面積率が相対的に低い場合に、ラインスクリーンに含まれる同一の面積率を有するパターンに比較して、相対的に大きな階調値を有するパターンからなる。
【0099】
また、ラインスクリーンでは、図15(B)に示すように、面積率が相対的に高い場合には隣接する黒ライン間の隙間の一部が再現されておらず、この結果、実際に現れる濃度が目的の濃度より高くなる。
【0100】
さらに、本願発明者らの実験によって、このような基準パターンの階調特性からの偏差量の大きさは、粒状性の良否との間に強い相関関係があることがわかった。より具体的には、出願人が提案する評価方法により得られる官能値(GI値)を、複数種類のスクリーン線数についてドットスクリーンとラインスクリーンとについて比較した。この結果、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、ドットスクリーンの方がより粒状性が優れており、一方、再現すべき階調値が中央値の付近では、ラインスクリーンの方がより粒状性が優れていることがわかった。
【0101】
したがって、ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーンの3種類のスクリーンを用意できる場合には、図13(B)に示すように、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順に切替えるようなスクリーンセットを用いることが好ましい。
【0102】
また、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの2種類のスクリーンだけを用意できる場合には、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、ドットパターンの順、もしくは、ドットパターン、ラインパターンの順、に切替えるようなスクリーンセットを用いることが好ましい。
【0103】
再度、図14を参照して、いずれの階調値において使用するスクリーンを切替えるかについては、基準パターンに対する偏差の大きさに基づいて判断される。たとえば、図14において、再現すべき階調値Laより低い範囲では、基準パターンに対する偏差はドットスクリーンの方が小さいが、再現すべき階調値Laより高い範囲では、基準パターンに対する偏差はラインスクリーンの方が小さくなる。同様に、濃度Lbより低い範囲では、基準パターンに対する偏差はラインスクリーンの方が小さいが、濃度Lbより高い範囲では、基準パターンに対する偏差は白抜きドットスクリーンの方が小さくなる。そのため、再現すべき階調値LaおよびLbをスクリーンの切替ポイントとして決定することができる。このように、各濃度について、基準パターンに対するそれぞれのスクリーンの階調特性における偏差を算出することで、切替ポイントが決定される。すなわち、それぞれのスクリーンの階調特性に基づいて、基準パターンに対応する階調特性に対する誤差がより小さくなるように、切替ポイントが決定される。
【0104】
なお、スクリーンセットにおいて、用いられるスクリーン種類が変更される階調値において、切替前後の階調値を等しくしておく必要がある。これは、階調差があると、グラデーションのような階調変化をもつ入力画像をプリントした際に、異なるスクリーンを用いてプリントされた領域間に擬似輪郭などが生じる場合があるからである。そのため、図14に示すように、再現すべき階調値Laにおいてドットスクリーンからラインスクリーンに切替えられる場合には、面積率A1に対応するドットスクリーンのパターンに引き続いて、面積率A2に対応するラインスクリーンのパターンが用いられる。同様に、濃度Lbにおいてラインスクリーンから白抜きドットスクリーンに切替えられる場合には、面積率B1に対応するラインスクリーンのパターンに引き続いて、面積率B2に対応する白抜きドットスクリーンのパターンが用いられる。
【0105】
なお、上述のように、IDCセンサなどを用いて実際に形成されたトナー像などの濃度に基づいてスクリーンセットを生成/更新する構成に加えて、または、これに代えて、予め標準的な階調特性を有するスクリーンセットを用意しておき、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況、プロセス設定条件などの作像条件に応じて、この予め用意されたスクリーンセットを補正するようにしてもよい。このような構成によれば、実際に形成されたトナー像の濃度を検出する必要がないので、画像形成装置MFPの生産性を向上させることができる。
【0106】
<スクリーンセットのデータ構造>
次に、上述のようなスクリーンセットの生成/更新処理を行なうためのデータ構造の一例について説明する。図16は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPが保持するスクリーンテーブルの一例を示す図である。図17〜図19は、それぞれのスクリーンに現れるパターン変化の一例を示す図である。図20〜図22は、それぞれのスクリーンに現れるパターン変化の別の一例を示す図である。
【0107】
図16に示すように、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、スクリーン群172(図12)の一部として、スクリーンテーブル181,182,183を保持する。スクリーンテーブル181,182,183には、それぞれ、ドットスクリーン、ラインスクリーン、白抜きドットスクリーンを用いて目的の階調値を再現するための情報が記述される。これらのスクリーンテーブルに記述される情報についての説明に先立って、本実施の形態に従うスクリーンのデータ構造について説明する。
【0108】
上述したように、スクリーン技術を用いて中間階調を再現するためには、再現可能な階調に応じた複数のスクリーンを用意しておく必要がある。各階調に応じて、一連のスクリーン群を個別に用意しておいてもよいが、記憶容量の抑制およびメンテナンス性向上の観点から、スクリーンを構成する要素に番号付けをしておき、いずれの要素までを有効化するかについての番号を指定することで、スクリーン群を提供する。
【0109】
たとえば、図17〜図19には、8マス×8マスの正方形で1単位を構成するスクリーンが4つ配置されている例を示す。図17はドットスクリーンの例を示し、図18はラインスクリーンの例を示し、図19は白抜きドットスクリーンの例を示す。図17〜図19に示すスクリーンでは、いずれも角度(スクリーン角)および線数(スクリーン線数)を一致させている。本明細書において、スクリーンの角度とは、各パターンにおける付着領域(または、非付着領域)の配列方向を意味し、図17〜図19に示す例では、紙面上下方向がスクリーンの角度となる。また、本明細書において、スクリーンの線数とは、単位長あたりの単位スクリーンの数を意味し、図17〜図19に示す例では、スクリーン間隔の逆数が線数となる。一般的に、スクリーン線数は「lpi:line per inch」といった単位を用いて定義される。
【0110】
たとえば、図17(A)〜図17(F)に示すように、8マス×8マスの計64マスに対して、「0」〜「63」の番号がユニークに割当てられている。そして、スクリーンテーブル181(図16)では、目的とするそれぞれの階調値に対応付けて、いずれの番号付けされたマスまでを「黒」(付着領域)とすべきかが「有効化番号」として定義されている。たとえば、「有効化番号」に「0」がセットされていれば、図17(A)に示すようなドットスクリーンが出力される。同様に、「有効化番号」に「2」がセットされていれば、図17(B)に示すようなドットスクリーンが出力される。以下同様にして、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「ドット」が大きくなる、すなわちドット径が大きくなる。
【0111】
同様に、スクリーンテーブル182(図16)では、図18(A)〜図18(F)に示すラインスクリーンの変化が定義される。このラインスクリーンでは、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを通る「ライン」が太くなる、すなわちライン幅が大きくなる。
【0112】
同様に、スクリーンテーブル183(図16)では、図19(A)〜図19(F)に示す白抜きドットスクリーンの変化が定義される。この白抜きドットスクリーンでは、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「白抜きドット」が太くなる、すなわちドット径が大きくなる。
【0113】
さらに、図20〜図22には、紙面に対して斜め方向の角度をもつスクリーンの例を示す。図20に示すドットスクリーンでは、図17に示すドットスクリーンと同様に、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「ドット」が太くなる、すなわちドット径が大きくなる。また、図21に示すラインスクリーンでは、図18に示すラインスクリーンと同様に、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを通る「ライン」が太くなる、すなわちライン幅が大きくなる。また、図22に示す白抜きドットスクリーンでは、図19に示すドットスクリーンと同様に、有効化番号が大きくなるほど、「0」が割当てられているマスを中心とした「白抜きドット」が太くなる、すなわちドット径が大きくなる。
【0114】
再度、図16を参照して、スクリーンテーブル181,182,183の各々には、再現すべき階調値(目的値)と、各階調値に対応付けて有効化番号とが定義されている。この定義された内容は、図14に示すスクリーンの階調特性の逆関数に相当するものである。すなわち、スクリーンテーブル181,182,183の各々には、実質的に、図14に示すスクリーンの階調特性において、各階調値(縦軸)に対応する面積率が定義される。そのため、スクリーンテーブル181,182,183の各々においては、連続的に変化する階調値に対して、有効化番号が離散的に変化している部分が存在する。
【0115】
そして、スクリーンテーブル184には、本実施の形態に従うスクリーンセットを定義するための情報が記述される。具体的には、上述のようなスクリーンセットの生成/更新処理によってスクリーンの切替ポイントが取得されると、スクリーンテーブル181,182,183に記述されている情報のうち、その切替ポイントに応じた部分のみが抽出され、スクリーンテーブル184として統合される。このスクリーンテーブル184には、スクリーンテーブル181,182,183と同様に、階調値および対応する有効化番号が定義されるとともに、いずれのスクリーンを用いるかについての情報である「種別」が定義される。図16に示す例では、種別「0」が「ドットパターン」を意味し、種別「1」が「ラインパターン」を意味し、種別「2」が「白抜きドットパターン」を意味する。上述したように、スクリーンセットでは、低階調側から、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順にスクリーンが切替えられるので、スクリーンテーブル184においても、種別が低階調側から「0」、「1」、「2」の順に変化している。
【0116】
このように、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、予め用意されたスクリーンテーブル181,182,183からスクリーンテーブル184を生成するので、プロセスの変動に応じて、スクリーンセットを動的に補正することができる。
【0117】
<処理手順>
(1.画像形成処理)
図23は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける画像形成処理の手順を示すフローチャートである。図24は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおけるスクリーンセットの生成手順を示すフローチャートである。これらのフローチャートは、代表的に、制御部10のCPU102(図11)が予め格納されたプログラムを読込んで実行することで提供される。
【0118】
図23を参照して、まず、CPU102は、画像形成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS100)。画像形成処理の開始が指示されていない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS100の処理を繰返す。
【0119】
画像形成処理の開始が指示された場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU102は、入力画像を受付ける(ステップS102)。具体的には、CPU102は、スキャナ3(図1)へ制御指令を与えて、原稿のスキャンを実行させる。あるいは、CPU102は、HDD110などから指定された画像データを読出す。
【0120】
続いて、CPU102は、受付けた入力画像に対して前処理を実行し(ステップS104)、さらに、前処理後の入力画像を文字領域と画像領域とに分離する(ステップS106)。その後、CPU102は、ステップS106において分離した文字領域について、必要な処理を行なう(ステップS108)。
【0121】
並行して、CPU102は、ステップS106において分離した画像領域について、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断し(ステップS110)、この判断結果に基づいて、各単位領域に用いるべきスクリーンを選択する(ステップS112)。
【0122】
最終的に、CPU102は、ステップS108において出力された処理結果と、ステップS112において選択されたスクリーンとに基づいて、入力画像に対応する露光指令を生成し(ステップS114)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS116)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。その後、CPU102は、プロセス変動補正サブルーチンを実行する(ステップS118)。このプロセス変動補正サブルーチンについては後述する。
そして、処理は終了する。
【0123】
(2.スクリーン生成処理)
次に、図24を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPが使用するスクリーンセットの生成処理について説明する。なお、このスクリーンの生成処理は、いわば、上述のような画像形成プロセスの不安定化を防止するという意味において、画像安定化制御とも称することができる。
【0124】
まず、CPU102は、スクリーンセットの生成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS200)。スクリーンセットの生成処理の開始が指示されていない場合(ステップS200においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS200の処理を繰返す。
【0125】
スクリーンセットの生成処理の開始が指示された場合(ステップS200においてYESの場合)には、CPU102は、所定の階調変化をもつ基準パターンを入力画像として受付ける(ステップS202)。続いて、CPU102は、受付けた入力画像をスクリーン群172に含まれるドットスクリーンのみを用いて再現するための露光指令を生成し(ステップS204)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS206)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、CPU102は、IDCセンサ49から、プリントエンジン4において形成されたトナー像の濃度プロファイルを取得する(ステップS208)。すなわち、CPU102は、ドットスクリーンについての階調特性を取得する。
【0126】
さらに、CPU102は、受付けた入力画像をスクリーン群172に含まれるラインスクリーンのみを用いて再現するための露光指令を生成し(ステップS210)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS212)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、CPU102は、IDCセンサ49から、プリントエンジン4において形成されたトナー像の濃度プロファイルを取得する(ステップS214)。すなわち、CPU102は、ラインスクリーンについての階調特性を取得する。
【0127】
さらに、CPU102は、受付けた入力画像をスクリーン群172に含まれる白抜きドットスクリーンのみを用いて再現するための露光指令を生成し(ステップS216)、その生成した露光指令を画像書込部43へ出力する(ステップS218)。すると、プリントエンジン4が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、CPU102は、IDCセンサ49から、プリントエンジン4において形成されたトナー像の濃度プロファイルを取得する(ステップS220)。すなわち、CPU102は、白抜きドットスクリーンについての階調特性を取得する。
【0128】
その後、CPU102は、ステップS208,S214,S220においてそれぞれ取得された階調特性について、基準パターンに対する偏差プロファイルを算出し(ステップS222)、この算出した偏差プロファイルに基づいて、切替ポイントを決定する(ステップS224)。さらに、CPU102は、ステップS224において決定した切替ポイントに基づいて、スクリーンテーブル181,182,183(図16)の定義内容のうち、必要な内容を抽出して、スクリーンセットを定義するためのスクリーンテーブル184を生成する(ステップS226)。そして、処理は終了する。
【0129】
<プロセス変動補正>
次に、本実施の形態に従う画像形成装置が搭載するプロセス変動補正の機能について説明する。
【0130】
図25は、図24に示すスクリーン生成処理により生成されたスクリーンセットの階調特性を示す図である。図25に示すように、スクリーン生成処理の実行直後においては、生成されたスクリーンの階調特性は、ほぼリニアとなる。すなわち、再現すべき階調値(目標の階調値)に対して、再現される階調値である濃度が実質的に線形化されており、高い画像再現性を提供できる。
【0131】
上述したように、スクリーン生成処理により生成されるスクリーンは、複数種類のスクリーンを組み合わせたものであるが、図25に示す状態においては、これらの異なる種類のスクリーンの切替位置における濃度も連続性を維持している。
【0132】
しかしながら、図25に示す状態のスクリーンセットを用いて画像形成プロセスを実行していくと、各種の要因によってプロセス変動が発生し得る。その結果、スクリーンセットを構成する、それぞれの種類のスクリーンについての階調特性が本来の特性がずれてくる。その結果、異なる種類のスクリーンの切替位置において、濃度の連続性が保たれなくなる。すなわち、スクリーンのつなぎ目において、濃度段差が発生する。
【0133】
その結果、たとえば、再現すべき階調値が順次変化するような画像をプリントした場合には、この濃度の不連続点(濃度段差の発生点)において、急激に濃度が変化する場所が現れ、画像の再現性が低下する。
【0134】
そこで、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、以下に示すような処理によって、スクリーンセットに生じるプロセス変動に起因する濃度段差を抑制する。
【0135】
(1.検出方法)
まず、本実施の形態に従うプロセス変動補正においては、実際に画像形成した結果に基づいて、スクリーンセットを補正する。
【0136】
このような画像形成の結果を取得する方法としては、連続的に画像形成処理が実行されている場合に、各画像形成処理において生成される画像間に、異なる種類のスクリーンの切替位置に対応する濃度、および、その周辺に対応する濃度を、スクリーンの種類別に作像するとともに、IDCセンサ49(図1)などを用いて、これらの像の濃度を検出する。もちろん、IDCセンサ49に代えて、感光体ドラム41の表面に形成された像の濃度を検出するセンサを用いてもよい。さらに、カラータンデム方式などの中転ベルトを有する画像形成装置においては、この中間ベルトの表面に形成された像の濃度を検出するセンサを用いてもよい。
【0137】
本実施の形態に従うプロセス変動補正においては、階調特性のずれ方に応じて、主として、以下の2つの補正方法を選択して実行する。すなわち、スクリーンの切替位置に対応する階調値、または、スクリーンの切替位置の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、スクリーンセットを再生成する。
【0138】
(2.濃度交点が存在する場合)
図26は、本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。図27は、本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。図28は、本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【0139】
図26を参照して、プロセス変動によってスクリーンセットの階調特性が変化したとしても、スクリーン切替位置を中心とする所定範囲内において、切替えられる2つのスクリーンの交点が存在する場合を考える。
【0140】
すなわち、図26に示す例では、ドットスクリーンおよびラインスクリーンのいずれもが、スクリーン切替位置において、再現すべき階調値より相対的に高い濃度を表現するように変動している例を示す。このとき、再現すべき階調値Laにおいては、ドットスクリーンが実際に表現する濃度と、スクリーンが実際に表現する濃度との間には、所定の濃度差が生じている。
【0141】
なお、図26に示すドットスクリーンおよびラインスクリーンについての階調特性は、スクリーン切替位置、および、その周辺に対応する複数の階調値をそれぞれ有する像を形成し、これらの像についての濃度を検出することで推定される。すなわち、図26に示すすべての階調特性を検出する必要はなく、各階調特性上の複数の点について濃度を検出することで、その特性が推定される。
【0142】
すなわち、ドットスクリーンのセットに含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像からドットスクリーンのセットについての階調特性を取得し、ラインスクリーンのセットに含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像からラインスクリーンのセットについての階調特性を取得する。
【0143】
このような場合には、ドットスクリーンについての階調特性(図26中の一点鎖線)と、ラインスクリーンについての階調特性(図26中の二点鎖線)との交点を、新たなスクリーン切替位置とすることで、濃度差を低減することができる。
【0144】
図27には、スクリーン切替位置を変更された状態の階調特性の一例を示す。すなわち、図26に示すスクリーンセットでは、階調値Laにおいて、ドットスクリーンとラインスクリーンとを切替えていたが、図27に示すスクリーンセットでは、階調値#Laにおいて、ドットスクリーンとラインスクリーンとが切替えられる。
【0145】
このように、ドットスクリーンについての階調特性とラインスクリーンについての階調特性との交点に基づいて、スクリーンを切替えるためのしきい値である、スクリーン切替位置を変更する。
【0146】
このようにスクリーン切替位置を変更することで、スクリーン切替位置における濃度変化(濃度のギャップ)を低減することができる。
【0147】
以下、このスクリーン切替位置の変更処理について、図28を参照して、より詳細に説明する。
【0148】
図28(A)には、上述のスクリーン生成処理において、複数の種類のスクリーンが組み合わせられて生成されたスクリーンセットの例を示す。図28(B)には、図28(A)に示すスクリーンセットに対して、上述のスクリーン切替位置の変更処理を実行した状態を示す。すなわち、図28(B)においては、スクリーンセットを構成するスクリーンとして、より多くの階調値の範囲においてドットスクリーンが採用されている例を示す。もちろん、濃度交点の位置によっては、より多くの階調値の範囲においてラインスクリーンが採用する処理を実行してもよい。
【0149】
(3.スクリーン切替位置において濃度交点が存在しない場合)
図29は、本実施の形態に従うプロセス変動補正前の状態を示す階調特性の一例である。図30は、本実施の形態に従うプロセス変動補正後の状態を示す階調特性の一例である。図31は、本実施の形態に従うプロセス変動補正の処理内容を示す模式図である。
【0150】
次に、2つのスクリーンについての階調特性の交点が存在しない場合の処理について説明する。
【0151】
図29に示す例では、ドットスクリーンについては、本来の階調特性に対して実際に現れる濃度が低くなっており、一方、ラインスクリーンについては、本来の階調特性に対して実際に現れる濃度が高くなっている例を示す。この例では、上述したような、2つのスクリーンについての階調特性の交点が存在しないので、少なくとも一方のスクリーンについての階調特性を再設定する。
【0152】
すなわち、図30に示す例では、ドットスクリーンの階調特性を再設定して、再現すべき階調値に対して、実際に再現される階調値(濃度)がより高くなるように、図16に示すようなスクリーンテーブルにおける設定を変更する。すなわち、図16に示すスクリーンテーブルにおいて、各階調値に対応する面積率がより大きくなるように、有効化番号を再割付する。
【0153】
このとき、好ましくは、スクリーン切替位置を維持することが好ましいので、図30に示す例においては、ドットスクリーンの濃度値が再現すべき階調値Laにおいて、目的の値となるように、スクリーンを再設定することになる。
【0154】
なお、ドットスクリーンおよびラインスクリーンの両方について階調特性を再設定してもよいし、一方だけの階調特性を再設定してもよい。このとき、目標の階調特性からのずれ量の大きさ(絶対値)に基づいて、より大きくずれているスクリーンに対して、階調特性を再設定してもよい。
【0155】
このように、ドットスクリーンについての階調特性とラインスクリーンについての階調特性とのずれ度合いに応じて、ドットスクリーンのセットまたはラインスクリーンのセットに含まれるスクリーンを再構成する。
【0156】
さらに、2種類のスクリーンについての階調特性が大きく異なる場合には、このような階調特性の再設定に加えて、スクリーン切替位置の変更についても同時に行なってもよい。
【0157】
以下、この階調特性の再設定処理について、図31を参照して、より詳細に説明する。
図31(A)には、上述のスクリーン生成処理において、複数の種類のスクリーンが組み合わせられて生成されたスクリーンセットの例を示す。図31(B)には、図31(A)に示すスクリーンセットに対して、上述の階調特性の再設定処理を実行した状態を示す。すなわち、図31(B)においては、ドットスクリーンについての割付を変更することで、再現すべき階調値が相対的に小さい場合であっても、より大きな濃度が再現できるように、面積率の特性を変更する。
【0158】
<プロセス変動補正サブルーチン>
図32は、図23に示すフローチャートのステップS118に示すプロセス変動補正サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【0159】
図32を参照して、まず、CPU102は、プロセス変動補正の実行タイミングであるか否かを判断する(ステップS300)。すなわち、上述したようなプロセス変動補正を実行すべきいずれかの条件を満足しているか否かが判断される。もちろん、画像形成処理が実行される毎に、プロセス変動補正を行なってもよいが、プロセス変動は、画像形成処理の実行回数や時間経過に伴って生じるものであるので、たとえば、前回のプロセス変動補正の実施時からの画像形成処理の実行数や経過時間などが所定のしきい値を超えたか否かといった条件に基づいて、プロセス変動補正を実行すべきか否かを判断してもよい。
【0160】
プロセス変動補正の実行タイミングではない場合(ステップS300においてNOの場合)には、処理はメインルーチンへリターンする。
【0161】
これに対して、プロセス変動補正の実行タイミングである場合(ステップS300においてYESの場合)には、CPU102は、現在設定されているスクリーンパターンに基づいて、スクリーン切替位置およびその周囲に対応する階調値を含む、それぞれのスクリーンについてのテストパターンの像を形成する(ステップS302)。続いて、CPU102は、形成されたテストパターンの像の濃度を検出する(ステップS304)。さらに、CPU102は、テストパターンの像から検出された濃度に基づいて、それぞれのスクリーンについての階調特性を推定する(ステップS306)。
【0162】
その後、CPU102は、推定したそれぞれのスクリーンについての階調特性に基づいて、2つの階調特性の間の交点が存在するか否かを判断する(ステップS308)。
【0163】
2つの階調特性の間の交点が存在する場合(ステップS308においてYESの場合)には、CPU102は、2つの階調特性の間の交点を新たなスクリーン切替位置に設定する(ステップS310)。そして、CPU102は、ステップS310において設定された新たなスクリーン切替位置で2種類のスクリーンが切替えられるように、スクリーンセットを再生成する(ステップS312)。そして、処理は、メインルーチンにリターンする。
【0164】
これに対して、2つの階調特性の間の交点が存在しない場合(ステップS308においてNOの場合)には、CPU102は、2つの階調特性について、目標の階調特性からのずれ量の大きさ(絶対値)を算出する(ステップS320)。典型的には、階調特性を複数の区間に分割し、各区間における偏差(絶対値)の総和をずれ量として評価してもよい。そして、CPU102は、目標の階調特性からのずれ量がより大きなスクリーンについての階調特性を再設定する(ステップS322)。さらに、CPU102は、当初のスクリーン切替位置で2種類のスクリーンが切替えられるように、階調特性を再設定したスクリーンと階調特性を変更していないスクリーンとからスクリーンセットを再生成する(ステップS324)。そして、処理は、メインルーチンにリターンする。
【0165】
<作用効果>
この発明の実施の形態によれば、トナーを付着させる幅が狭いパターン、および、トナーを付着させない幅が狭いパターンといった電子写真方式において再現性が低下するようなパターンを避けたスクリーンセットを用いて中間階調が再現される。そのため、中間階調を安定して再現することができる。同時に、再現すべき階調値に応じて、複数種類のスクリーンからプロセスがより安定化するスクリーンが選択的に組み合わされてスクリーンセットが構成される。そのため、プリント結果における粒状性を向上させることができる。
【0166】
また、この発明の実施の形態によれば、実際に形成されるトナー像の濃度検出結果、および/または、画像形成装置MFPの使用環境、使用頻度、劣化状況、プロセス設定条件などの作像条件、に応じて、スクリーンセットが動的に生成および/または更新されるので、様々な要因によるプロセスの変動が生じた場合であっても、安定した中間階調の再現処理を実現できる。
【0167】
また、この発明の実施の形態によれば、プロセス変動によって、複数種類のスクリーンを組み合わせて生成したスクリーンセットの階調特性が変動した場合であっても、その変動を補正することで、より再現性の高い画像形成機能を維持することができる。
【0168】
[その他の実施の形態]
上述のこの発明の実施の形態の各々においては、3つのスクリーン(ドットスクリーン、ラインスクリーン、および白抜きドットスクリーン)を順次切替えることで、必要な濃度変化を生じさせる構成について例示した。しかしながら、2つのスクリーンを順次切替えることで、必要な濃度変化を生じさせてもよい。典型的には、再現すべき濃度が低い(低階調値の)部分および再現すべき濃度が高い(高階調値の)部分についてはドットスクリーンを用い、その他の中間濃度(中間階調)の部分についてはラインスクリーンを用いてもよい。
【0169】
上述の図14に示すように、面積率が相対的に低い領域および高い領域においては、ラインスクリーンの階調特性に比べて、ドットスクリーンの階調特性の方が基準パターンに対する偏差がより小さい。一方、中間の面積率の領域においては、ドットスクリーンの階調特性に比べて、ラインスクリーンの階調特性の方が基準パターンに対する偏差がより小さい。そのため、図25に示すように、再現すべき濃度が低い値から高い値へ変化することに伴って、ドットスクリーン→ラインスクリーン→ドットスクリーンの順で使用するスクリーンを切替えることが好ましい。
【0170】
あるいは、ラインスクリーンと白抜きドットスクリーンとを用いて、スクリーンセットを生成してもよい。もしくは、ドットスクリーンと白抜きドットスクリーンとを用いて、スクリーンセットを生成してもよい。
【0171】
上述の実施の形態に係るプログラムによって実現される機能の一部または全部を専用のハードウェアによって構成してもよい。
【0172】
また、上述の実施の形態に従うCPUで実行されるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。したがって、このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明に係るプログラムに含まれ得る。
【0173】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0174】
2 自動原稿搬送部、3 スキャナ、4 プリントエンジン、5 給紙部、10 制御部、21 原稿給紙台、22 送出ローラ、23 レジストローラ、24 搬送ドラム、25 排紙台、26 手差給紙部、27 転写ベルト、31,32 ミラーユニット、33 結像レンズ、34 撮像素子、35 プラテンガラス、41 感光体ドラム、42 帯電器、43 画像書込部、44 現像部、45 転写器、46 除電器、47 定着装置、48 クリーニング部、49 IDCセンサ、51 タイミングローラ、52,53,54 送出ローラ、55 搬送ローラ、57 トレイ、102 CPU、104 RAM、106 ROM、108 EEPROM、110 HDD、112 外部通信I/F、114 内部通信I/F、116 内部バス、152 前処理部、154 領域分離部、156 文字処理部、158 階調値判断部、160 スクリーン選択部、162 スクリーン格納部、164 スクリーンセット、166 指令生成部、170 スクリーン生成・更新、172 スクリーン群、176 色分離部、181,182,183,184 スクリーンテーブル、311,351 光源、312,321,352,353 ミラー、431 レーザ発光器、471 加熱ローラ、472 加圧ローラ、MFP 画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、前記複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含み、
階調値の増加に従って前記第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って前記第1領域が前記第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを格納する記憶部と、
入力画像の単位領域に対し、階調値がしきい値より小さい場合には前記第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値が前記しきい値より大きい場合には前記第2スクリーン群よりスクリーンを選択するスクリーン選択部と、
選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行する作像部と、
前記しきい値に対応する階調値、または、前記しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、前記複数のスクリーンを再生成する更新部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記更新部は、
前記第1スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から前記第1スクリーン群についての階調特性を取得する手段と、
前記第2スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から前記第2スクリーン群についての階調特性を取得する手段とを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記更新部は、前記第1スクリーン群についての階調特性と前記第2スクリーン群についての階調特性との交点に基づいて、前記しきい値を変更する手段をさらに含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記更新部は、前記第1スクリーン群についての階調特性と前記第2スクリーン群についての階調特性とのずれ度合いに応じて、前記第1スクリーン群または前記第2スクリーン群に含まれるスクリーンを再構成する手段をさらに含む、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作像部によって画像形成されたトナー画像の濃度を検出するための濃度センサをさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1スクリーン群は、ドットパターンを有し、
前記第2スクリーン群は、ラインパターンを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1規則は、階調値の増加に従って、ドット径の拡大、または、ドット数の増大を含み、
前記第2規則は、階調値の増加に従って、ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大を含む、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法であって、前記複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含み、
階調値の増加に従って前記第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って前記第1領域が前記第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを用意するステップと、
入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より小さい場合には前記第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値が前記第1しきい値より大きい場合には前記第2スクリーン群よりスクリーンを選択するステップと、
選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップと、
前記しきい値に対応する階調値、または、前記しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、前記複数のスクリーンを再生成するステップとを備える、画像形成方法。
【請求項1】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、前記複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含み、
階調値の増加に従って前記第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って前記第1領域が前記第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを格納する記憶部と、
入力画像の単位領域に対し、階調値がしきい値より小さい場合には前記第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値が前記しきい値より大きい場合には前記第2スクリーン群よりスクリーンを選択するスクリーン選択部と、
選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行する作像部と、
前記しきい値に対応する階調値、または、前記しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、前記複数のスクリーンを再生成する更新部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記更新部は、
前記第1スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から前記第1スクリーン群についての階調特性を取得する手段と、
前記第2スクリーン群に含まれるスクリーンを用いて形成されたトナー画像から前記第2スクリーン群についての階調特性を取得する手段とを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記更新部は、前記第1スクリーン群についての階調特性と前記第2スクリーン群についての階調特性との交点に基づいて、前記しきい値を変更する手段をさらに含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記更新部は、前記第1スクリーン群についての階調特性と前記第2スクリーン群についての階調特性とのずれ度合いに応じて、前記第1スクリーン群または前記第2スクリーン群に含まれるスクリーンを再構成する手段をさらに含む、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作像部によって画像形成されたトナー画像の濃度を検出するための濃度センサをさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1スクリーン群は、ドットパターンを有し、
前記第2スクリーン群は、ラインパターンを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1規則は、階調値の増加に従って、ドット径の拡大、または、ドット数の増大を含み、
前記第2規則は、階調値の増加に従って、ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大を含む、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法であって、前記複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域とが定められたパターンを含み、
階調値の増加に従って前記第1領域が第1規則に基づき拡大する第1スクリーン群と、階調値の増加に従って前記第1領域が前記第1規則と異なる独立した第2規則に基づき拡大する第2スクリーン群とを用意するステップと、
入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より小さい場合には前記第1スクリーン群よりスクリーンを選択し、階調値が前記第1しきい値より大きい場合には前記第2スクリーン群よりスクリーンを選択するステップと、
選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップと、
前記しきい値に対応する階調値、または、前記しきい値の周辺の値に対応する階調値を目的値として形成されたトナー画像に現れる濃度に基づいて、前記複数のスクリーンを再生成するステップとを備える、画像形成方法。
【図1】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図16】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図14】
【図16】
【図23】
【図24】
【図25】
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【図27】
【図28】
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【図30】
【図31】
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【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−4878(P2012−4878A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138283(P2010−138283)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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