画像形成装置および画像形成装置における原稿の画像読み取り方法
【課題】原稿を読み取って取得する画像に、振動による歪みや色ずれ等が発生することを防止しつつ、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿を画像読取部3によって画像の読み取り動作を行っているとき、給紙カセット挿抜センサ11などの出力信号が変化したことにより振動の発生を検知した場合、制御部50は、画像読取部3による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送装置2における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから画像読取位置に再び搬送させることにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を再び始めから開始させる。
【解決手段】自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿を画像読取部3によって画像の読み取り動作を行っているとき、給紙カセット挿抜センサ11などの出力信号が変化したことにより振動の発生を検知した場合、制御部50は、画像読取部3による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送装置2における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから画像読取位置に再び搬送させることにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を再び始めから開始させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の自動両面読み取りが可能な画像形成装置、および、画像形成装置における原稿の画像読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機或いは複合機等と呼ばれる画像形成装置は、主として、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像を出力用紙に記録するプリント部とを備えている。また画像読取部の上部に、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙し、画像読取部による画像読取位置に対して原稿を自動搬送する自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置も普及している。
【0003】
このような画像形成装置において、自動原稿搬送装置を使用し、複数枚の原稿を連続的に読み取って画像データを取得している処理中に、例えば画像形成部で出力中の用紙がなくなれば、給紙用カセットトレイを引き抜いて用紙を補給する作業が行われることがある。また、複数枚の原稿を連続的に読み取っている処理中に、トナーなどの消耗品を交換する必要が生じた時や、出力用紙の紙詰まりが発生した時には、装置正面や側面の開閉カバーを開放してユーザが作業を行う状況が発生することもある。このような給紙用カセットトレイの抜き差しや各開閉カバーの開閉操作を行った瞬間、装置全体に振動が発生しやすい。原稿の画像読み取り動作中にこのような振動が発生した場合、原稿を読み取って取得した画像に歪みや色ずれ等の問題が発生する可能性がある。特に、自動原稿搬送装置で連続的に原稿を読み取っている際に振動が発生した場合、ユーザはこのような問題が発生していることに気づき難く、全ての原稿を読み取った後の画像確認時に初めてこのような問題が発生していることに気づくことが多い。
【0004】
このような問題は、床面設置タイプの大型画像形成装置に比べると、例えば卓上設置タイプなどのような比較的小型の画像形成装置において顕著である。その理由としては、例えば小型の画像形成装置の場合は、装置サイズの仕様や部品コストの低廉化などにより、大型画像形成装置に比べ、装置全体に対して十分な剛性を確保するのが難しいことが挙げられる。また、卓上設置タイプの場合には、給紙用カセットトレイを引き抜いたり、開閉カバーを開放したりする操作を行うと、それに伴って設置卓そのものが振動し、画像形成装置に対して設計上予期し得ない振動が作用することもある。
【0005】
従来、このような装置の振動による異常画像取得の回避案として、例えば、給紙カセットの引き出し動作を検出した場合、コントローラが一連の画像処理動作を中断するようにした技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また従来、原稿給紙トレイから画像読み取り動作を開始した後に両面ユニットやソータなどの異常或いは通信に異常が発生した場合、読み取り途中の原稿は原稿排紙トレイに排紙せず、搬送先を反転トレイに切り替えた状態で待機し、通信などの異常が正常に回復したら、排紙経路、反転トレイ、給紙経路などを経由させることにより、原稿を元の状態に戻して、再度読み取りを行うことができるようにした装置が提案されている(例えば特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−155445号公報
【特許文献1】特開平10−123766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年の画像形成装置は、ネットワーク環境で使用されるようになってきている。それに伴い、画像形成装置は複数のジョブを同時に実行することもできるようになっている。例えば、第1のユーザが画像形成装置のスキャナ機能を利用しているとき、第2のユーザが画像形成装置のプリンタ機能を同時に利用することが可能である。この場合、第1のユーザは、例えば複数枚の原稿の自動読み取りを行ってネットワーク経由で自身のコンピュータに画像データを送信させるスキャンジョブを画像形成装置に実行させると共に、第2のユーザは、ネットワーク経由でプリントデータを画像形成装置に送信することでプリントジョブを実行させる。このような場合、プリントジョブと関係しないスキャンジョブは、プリントジョブの状況にかかわらず、効率的にジョブの実行を終了させたいという要望がある。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1又は2の従来技術の場合、プリントジョブによるトナー消耗や出力用紙の紙詰まり、或いは給紙用カセットトレイに出力用紙を補給する必要などが生じ、第2のユーザが給紙用カセットトレイを引き抜いたり、開閉カバーを開放したりする操作を行うと、それ伴って第1のユーザが行っているスキャンジョブを中断させることはできるものの、効率的にスキャンジョブを終了させることはできないという問題がある。特に、上述した特許文献2の場合には、第2のユーザによる作業が終了して画像形成装置が正常に回復するまで第1のユーザが行っているスキャンジョブは再開されないことになり、ジョブの実行効率が低下する。
【0010】
そこで本発明は、上記課題を解決することを目的としてなされたものであり、原稿を読み取って取得する画像に、振動による歪みや色ずれ等が発生することを防止しつつ、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段と、前記画像読取手段による画像読み取り動作と並行して、画像を出力用紙に記録可能な画像形成手段と、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動発生の有無を監視する振動監視手段と、前記振動監視手段により振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
かかる発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動監視手段により振動の発生が検知された場合、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてから、再度、原稿の画像読み取り動作を開始するので、振動による歪みや色ずれ等が画像に発生することを防止しつつ、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【0013】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、装置正面又は側面に設けられた装置内部を開放するための開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉状態を検知して開閉状態に応じた信号を出力する開閉検知手段とをさらに備え、前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記開閉検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴としている。
【0014】
かかる発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、装置内部を開放するための開閉カバーの開閉操作が行われた場合に、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてから、再度、原稿の画像読み取り動作を開始する。そのため、開閉カバーの開閉操作に起因する振動によって画像に歪みや色ずれ等が発生することを防止することができる。また開放された開閉カバーが閉鎖されるのを待つことなく、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【0015】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、装置正面又は側面に対して挿抜可能なカセットトレイと、前記カセットトレイの挿抜状態を検知して挿抜状態に応じた信号を出力する挿抜検知手段とをさらに備え、前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記挿抜検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴としている。
【0016】
かかる発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、カセットトレイの挿抜操作が行われた場合に、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてから、再度、原稿の画像読み取り動作を開始する。そのため、カセットトレイの挿抜操作に起因する振動によって画像に歪みや色ずれ等が発生することを防止することができる。また引き抜かれたカセットトレイが挿入装着されるのを待つことなく、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【0017】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記振動監視手段による監視期間は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の先端が前記画像読取位置に到達する所定時間前から、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作が終了するまでの期間であることを特徴としている。
【0018】
かかる発明によれば、原稿の画像読み取りを開始するタイミングの直前に振動が発生した場合、その振動の減衰が完全には収束していない状態で画像読み取りが開始されることを防止することができる。
【0019】
請求項5にかかる発明は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段とを備えた画像形成装置における原稿の画像読み取り方法であって、前記自動原稿搬送手段による原稿の搬送を開始するステップと、前記画像形成装置における振動発生の監視を開始するステップと、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿が前記画像読取位置に到達するときに、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を開始するステップと、少なくとも前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作中に、前記画像形成装置における振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始するステップとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動監視手段により振動の発生が検知された場合、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてからその二回反転させた原稿を再び画像読取位置に搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を再び始めから開始する。それ故、振動による歪みや色ずれ等が画像に発生することを防止しつつ、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明するいくつかの実施の形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本実施形態における画像形成装置1の一構成例を示す図である。画像形成装置1は、コピー、スキャナ、プリンタ、FAXなどの機能を有する複合機であり、ネットワークを介した画像データの送受信が可能である。この画像形成装置1は、例えば卓上設置タイプの比較的小型の画像形成装置として構成される。
【0023】
図1に示すように画像形成装置1は、最上部に設けられた原稿画像読取部20と、中央部に設けられた画像形成部5と、最下部に設けられた給紙部6とを備えている。また原稿画像読取部20と画像形成部5との間には出力トレイ8が設けられており、画像形成装置1からの出力用紙が出力トレイ8上に排出されるようになっている。
【0024】
原稿画像読取部20は、自動原稿搬送装置2と画像読取部3とを有している。自動原稿搬送装置2は、原稿トレイ2aと、搬送ユニット2bと、排紙トレイ2cとを有し、原稿トレイ2aに載置された原稿を搬送ユニット2bによって1枚ずつ搬送していき、画像読取部3によって画像読み取りが行われた原稿を排紙トレイ2cに排出するように構成されている。この自動原稿搬送装置2は、搬送ユニット2bの内部に、画像読取部3による画像読取位置を通過させた原稿を反転させて再度画像読取位置に搬送させる反転機構を備えている。
【0025】
画像読取部3は、原稿の画像を光電的に読み取って画像データを取得する。自動原稿搬送装置2を使用して原稿の画像読み取りを行う場合、画像読取装置3は自動原稿搬送装置3と同期した動作を行い、原稿が所定の画像読取位置を通過する際に画像の読み取りを行う。複数枚の原稿が原稿トレイ2aにセットされた状態でそれら複数枚の原稿の連続自動読み取りを行う場合、本実施形態では、例えば画像読取部3が1枚の原稿の画像読み取り動作を終了した後に自動原稿搬送装置2が次の原稿の搬送を開始する。
【0026】
このような原稿画像読取部20の正面側にはユーザが操作可能な操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、複数の操作キーから成る操作部4aと、各種情報を表示する表示部4bとを有している。操作部4aは、ジョブに関する各種設定やジョブの実行などに関するユーザの操作を受け付け、画像形成装置1に入力する。表示部4bは、ユーザに対して表示するためのメニューや、ジョブの実行状況、取得した画像に関する情報などを表示する。またトナー消耗や出力用紙の紙詰まり、或いは給紙用カセットトレイに出力用紙を補給する必要などが生じた場合、表示部4bにはユーザに各種作業を促すための案内情報なども表示される。
【0027】
給紙部6は、給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを備えており、それぞれの給紙用カセットトレイに対して複数枚の出力用紙を収容しておくことができるようになっている。給紙部6は、装置内部に設けられた搬送機構によって、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cに収容された出力用紙を1枚ずつ取り出して画像形成部5に供給する。
【0028】
画像形成部5は、例えば入力する画像データに基づいてトナー像を形成し、給紙部6から供給される出力用紙にそのトナー像を転写・定着させることにより画像形成を行う。この画像形成装置5も反転機構を備えており、出力用紙に対して両面印刷を行うことが可能である。そして画像形成部5において画像形成が行われた出力用紙は、装置内部の搬送機構により、上述した出力トレイ8に排出される。画像形成部5は、画像読取部3による画像読み取り動作と並行して、画像を出力用紙に記録可能であり、画像形成装置1において例えばスキャンジョブとプリントジョブとを同時に行うことができるようになっている。
【0029】
次に画像形成装置1における原稿画像読取部20の概略構成について説明する。図2は、原稿画像読取部20の内部構造の一例を示す図である。上述したように原稿画像読取部20は、自動原稿搬送装置2と画像読取部3とを備えている。この原稿画像読取部20により、原稿の画像を読み取る態様として2つの態様がある。第1の態様は、自動原稿搬送装置2の原稿トレイ2aに原稿をセットして原稿の自動搬送を行いつつ画像読み取りを行う態様であり、特に本発明に関連する態様である。第2の方法は、画像読取部3の原稿面ガラス46上に原稿を載置し、画像読取部3の内部で画像読取モジュール41を走査させることによって原稿の自動読み取りを行う態様である。画像形成装置1は、これら第1および第2の態様のいずれにおいても同じ画像読取モジュール41を用いて画像読み取りを行う。以下、そのための構成についてさらに詳しく説明する。
【0030】
画像読取部3は、原稿の画像を読み取る画像読取モジュール41と、画像読取モジュール41を移動させるためのモータ45と、モータ45の駆動力を画像読取モジュール41に伝達するために設けられたベルトやワイヤなどの駆動伝達部44とを備えている。また画像読取モジュール41は、原稿の読取対称面を照明するランプ42と、原稿の読取対称面からの反射光を受光して光電変換を行うことにより画像データを生成するイメージセンサ43とを備えている。イメージセンサ43は例えば主走査方向に配置された複数の画素を有している。
【0031】
上述した第1の態様による画像読み取りを行う場合、画像読取部3の内部で画像読取モジュール41を所定の画像読取位置P1の直下に移動させ、その位置で静止状態とする。そして自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿が画像読取位置P1を通過する際、読取ガラス49を介して原稿の読取対称面(原稿下面)をランプ42で照明しつつ、イメージセンサ43が主走査方向の1ラインごとに原稿の画像を読み取っていく。そして原稿後端が画像読取位置P1を通過すれば読み取り動作が終了し、画像データが生成される。
【0032】
また上述した第2の態様による画像読み取りを行う場合、画像読取部3の内部で画像読取モジュール41を副走査方向に走査させながら、原稿面ガラス46上に載置された原稿の読取対称面(原稿下面)をランプ42で照明しつつ、イメージセンサ43が主走査方向の1ラインごとに原稿の画像を読み取っていく。そして原稿の読取対称面全体の読み取りが完了すれば、画像データが生成される。
【0033】
画像読取部3には、基準白出力を得るためのシェーディング板47が所定位置に配置されている。原稿の読み取りに際しては、画像読取モジュール41をこのシェーディング板47の位置に移動させて読み取りを行い、イメージセンサ47の各画素のばらつきを補正する。
【0034】
また画像読取部3の所定位置にはホームポジションセンサ48が設けられており、画像読取モジュール41を移動させる際の位置決めのための基準として使用される。例えば上述した第1の態様による画像読み取りを行う場合、ホームポジションセンサ48と画像読取位置P1との距離Dは設計上既知の値であるので、例えば画像読取モジュール41を一旦ホームポジションセンサ48の位置まで移動させ、その後、画像読取モジュール41をホームポジションセンサ48から距離Dだけ移動させた位置で停止させることで、画像読取モジュール41を画像読取位置P1の直下に配置することができる。
【0035】
次に自動原稿搬送装置2について説明する。自動原稿搬送装置2は、搬送ユニット2bの内部に、原稿検出センサ21、ピックアップローラ22、原稿揃え部材23、給紙ローラ24、給紙センサ25、給紙路26、搬送ローラ27、検知センサ28、第1搬送路29、第2搬送路30、第1排出ローラ31、第2排出ローラ32、反転路33および搬送モータ34を備えている。搬送モータ34は、ピックアップローラ22、給紙ローラ24、搬送ローラ27、第1排出ローラ31および第2排出ローラ32のそれぞれを回転させるための駆動源であり、ギヤやベルトなどの図示しない駆動伝達機構を介して各ローラに駆動力が伝達される。この搬送モータ34は、正逆双方向に回転可能である。例えば、搬送モータ34を正転駆動することにより、各ローラが正転方向に回転し、原稿トレイ2aに載置された原稿を給紙し、画像読取位置P1を通過させた後、排出口2dから排出することができる。また原稿後端が所定のスイッチバック位置にあるとき、搬送モータ34を逆転駆動することにより、各モータが逆転方向に回転するので、スイッチバック位置にある原稿後端が先頭となって反転路33に導かれることになり、その結果、原稿の反転が行われる。
【0036】
自動原稿搬送装置2による通常の原稿搬送動作について説明する。原稿検出センサ21は、原稿トレイ2aにおける原稿Gの有無を検知するセンサである。ユーザによって原稿の画像読み取りが指示された場合、この原稿検出センサ21によって原稿有りが検出されていれば、自動原稿搬送装置2による原稿の搬送動作が開始される。原稿の搬送動作が開始すると、通常は原稿Gに対して非接触状態となっているピックアップローラ22が下降して最上面の原稿に接触し、また原稿抑え部材23が搬送路内から退避する。そして搬送モータ34が正転方向に駆動されることにより、ピックアップローラ22が最上面の原稿Gのみを搬送ユニット2bの内部に搬入する。この原稿Gは、給紙ローラ24によって給紙路26に供給され、搬送ローラ27へ搬送される。このとき給紙センサ25により原稿Gの給紙が正常に行われたか否かが検知される。
【0037】
原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置まで到達すると、その後は主として搬送ローラ27による搬送が行われ、原稿Gは第1搬送路29に導かれる。このとき搬送ローラ27による原稿Gの搬送速度は、画像読取モジュール41が正常に画像読み取りを行うことができるように定められた所定の読取速度に設定される。具体的には搬送モータ34の回転速度を読取速度に設定することにより制御される。その後、原稿Gは検知センサ28に到達し、検知センサ28によって原稿先端が検知される。
【0038】
第1搬送路29における検知センサ28の設置位置と画像読取位置P1との距離は設計上既知の値である。また原稿Gの搬送速度も所定の読取速度として既知の値である。そのため、検知センサ28が原稿先端を検知してからその原稿先端が画像読取位置P1に到達するまでの時間は予め算出しておくことができる。そして検知センサ28が原稿先端を検知してから所定時間経過後にイメージセンサ43での画像読み取りを開始すれば、搬送ユニット2b内を搬送されている原稿の画像をイメージセンサ43で良好に読み取ることができる。そして画像読取位置P1を通過した原稿Gは、第2搬送路30に導かれ、第1排出ローラ31および第2排出ローラ32によって排出口2dから排出される。
【0039】
また原稿の両面読み取りを行う場合は、上述したように原稿Gの後端が所定のスイッチバック位置P2に到達したタイミングで搬送モータ34の正転駆動を停止させ、その後、搬送モータ34を逆転駆動する。そして反転路33を経由させて原稿Gを搬送ローラ27に向けて搬送させる。逆転駆動によって反転路33を搬送される原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置まで到達すると、搬送モータ34の正転駆動を停止させる。そして搬送モータ34を正転駆動に戻して搬送ロータ27を回転させることにより、反転した原稿Gが第1搬送路29に導かれる。尚、このとき第2排出ローラ32が原稿Gの後端部分を挟持した状態から解除するため、搬送モータ34を正転駆動に戻すタイミングで第2排出ローラ32のローラ対が互いに離間する。その後、検知センサ28によって原稿先端が検知されると、上記と同様に、イメージセンサ43が所定のタイミングで画像読み取りを開始し、両面が読み取られた原稿Gが排出口2dから排出される。尚、一時的に離間させておいた第2排出ローラ32のローラ対は適宜のタイミングで接触状態に戻しておく。
【0040】
次に図3は、画像形成装置1の開閉部分の一例を示す図である。画像形成装置1において給紙部6に収容されている出力用紙を補給する場合、図3に示すようにユーザが各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを前後方向(X方向)に引き出すことができる。各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを引き出した状態で出力用紙を補給した後、ユーザが各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを再び画像形成装置1の内側に挿入することにより、出力用紙の補給作業が完了する。そして画像形成装置1には、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの内側に給紙カセット挿抜センサ11が設けられている。この給紙カセット挿抜センサ11は、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの挿抜状態を自動検知し、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの挿抜状態に応じた信号を出力する
【0041】
また画像形成装置1は、画像形成部5の内側に、消耗品であるトナー9を着脱可能に装備している。そして画像形成装置1の正面側には、トナー交換を行う際に開閉する正面カバー5aが設けられている。トナー9を交換する必要が生じた場合、図3に示すように左右方向に沿った水平軸周りに回動する正面カバー5aを前方側(R1方向)に開放させることで、トナー9の交換を行うことができるようになる。トナー交換後、ユーザが正面カバー5aを画像形成装置1の後方側に回動させて閉鎖することにより、トナー9の交換作業が完了する。この正面カバー5aの内側には、正面カバー開閉センサ12が設けられている。この正面カバー開閉センサ12は、正面カバー5aの開閉状態を自動検知し、正面カバー5aの開閉状態に応じた信号を出力する。
【0042】
また画像形成装置1の側面には、出力用紙が紙詰まりした場合の除去作業(ジャム処理作業)などを行う際に開閉する側面カバー5bが設けられている。出力用紙の紙詰まりが生じた場合、図3に示すように前後方向に沿った水平軸周りに回動する側面カバー5bを側方(R2方向)に開放させることで、除去作業を行うことができるようになる。紙詰まりした用紙を除去した後、ユーザが側面カバー5bを再び回動させて閉鎖することにより、紙詰まり時の作業が完了する。この側面カバー5bの内側には、図3では図示しない側面カバー開閉センサ13(図4参照)が設けられている。この側面カバー開閉センサ13は、側面カバー5bの開閉状態を自動検知し、側面カバー5bの開閉状態に応じた信号を出力する。
【0043】
上述したような各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの挿抜操作、正面カバー5aの開閉操作、又は、側面カバー5bの開閉操作がユーザによって行われると、画像形成装置1に振動が発生する可能性がある。そのため、給紙カセット挿抜センサ11、正面カバー開閉センサ12および側面カバー開閉センサ13のいずれかがその出力信号を変化させたことを検知すれば、それによって画像形成装置1に振動が発生している可能性があることを認識できる。それ故、これら給紙カセット挿抜センサ11、正面カバー開閉センサ12および側面カバー開閉センサ13のそれぞれは、振動検知センサ(振動検知手段)10として機能する。
【0044】
次に図4は画像形成装置1における制御機構を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御部50、画像メモリ53、通信制御部54およびFAX通信部55のそれぞれがバスライン59に接続された構成である。また上述した操作パネル4、原稿画像読取部20、画像形成部5、給紙部6および振動検知センサ10のそれぞれもバスライン59に接続されている。制御部50は、CPU51とRAM52とを有し、CPU51が所定のプログラムを実行することにより、バスライン59に接続されている他の各部の動作を制御することにより、画像形成装置1におけるジョブの実行を統括的に制御する。RAM52はCPU51が各種演算処理を行う際の一時的なデータなどを記憶する。画像メモリ53は、画像データを記憶する記憶手段であり、例えば原稿画像読取部20で取得された画像データを一時的に記憶したり、また画像形成部5において画像形成するための画像データを一時的に記憶したりする。通信制御部54は、ネットワークインタフェース56と接続されており、ネットワークを介してジョブや画像データの送受信を行う。また通信制御部54は、USBインタフェース57とも接続されており、画像形成装置1に対して直接接続されるコンピュータなどとジョブや画像データの送受信を行うこともできる。FAX通信部55は、電話網と接続してFAXデータの送受信を行うための通信部である。
【0045】
制御部50は、例えば操作パネル4を介してスキャンジョブの実行が指示された場合、自動原稿搬送装置2および画像読取部3のそれぞれを制御することにより、原稿画像読取部20において原稿の読み取り動作を行わせ、画像データを取得する。またネットワークを介してプリントジョブを受信した場合、画像形成部5および給紙部6のそれぞれを制御することにより、出力用紙に画像形成を行って出力する動作を行わせる。そして制御部50は、このようなスキャンジョブとプリントジョブとを並行して制御することにより、原稿画像読取部20における原稿の読み取り動作と、画像形成部5における画像形成動作とを同時に行うも可能である。
【0046】
また制御部50は、原稿画像読取部20において原稿の読み取り動作中、給紙カセット挿抜センサ11、正面カバー開閉センサ12および側面カバー開閉センサ13から成る振動検知センサ10の出力信号を監視する振動監視機能をオン状態とする。そして振動監視機能がオン状態となる監視期間中、各振動検知センサ10の出力信号が変化することを監視する。原稿の読み取り動作中に、画像形成装置1の給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの抜き差し操作、正面カバー5aの開閉操作、或いは、側面カバー5bの開閉操作が行われると、画像形成装置1に振動が発生し、現在読み取り中の画像に歪みや色ずれ等が発生することがあるので、制御部50は各振動検知センサ10の出力信号を監視することにより、正常な画像読み取りが行われているか否かを把握することができる。
【0047】
図5は、振動監視機能による監視期間の一例を示す図である。図5に示すように第1搬送路29に設けられた検知センサ28が原稿Gを検知すると、オン状態となる。つまり、時刻T1において原稿Gの先端が検知センサ28の位置に到達したことになる。そしてイメージセンサ43は、検知センサ28が原稿先端を検知してから所定時間Δt1経過後の時刻T3にオン状態となり、画像読み取りを開始する。尚、所定時間Δt1は、原稿先端が検知センサ28の位置から画像読取位置P1に到達するまでの時間である。また時刻T4には原稿Gの後端が検知センサ28を通過するので、検知センサ28の出力はオフ状態となる。そしてイメージセンサ43は、検知センサ28が原稿後端を検知してから所定時間Δt2経過後の時刻T5にオフ状態となり、画像読み取りを終了する。尚、この間、原稿Gの搬送速度は変わらないので、所定時間Δt2は、Δt1と同じになる。
【0048】
一方、制御部50が振動監視機能をオン状態とするタイミングは、イメージセンサ43がオン状態となって画像読み取りを開始するタイミング(時刻T3)と同じであっても良いが、本実施形態では、図5に示すようにイメージセンサ43が画像読み取りを開始するタイミング(時刻T3)よりも所定時間Δt3前のタイミング(時刻T2)でオン状態とする。これは、画像読み取りを開始するタイミング(時刻T3)の直前に振動が発生した場合、その振動の減衰が完全には収束していない状態で画像読み取りが開始されることを防止するためである。所定時間Δt3としてどの程度の時間が必要であるかは、装置構成や振動発生部位によって異なるが、好ましい設定値は予め実験的に求めることができる。尚、図例では、振動監視機能をオン状態とするタイミング(時刻T2)が、T1<T2<T3となっているが、これに限られるものではなく、T2<T1であっても良い。また、振動が十分に減衰するのであれば、検知センサ28が原稿Gの先端を検知したタイミング(時刻T1)で振動監視機能をオン状態としても良い。
【0049】
次に制御部50が振動監視機能をオン状態としているときに、振動検知センサ10の出力信号が変化したことを検知した場合の動作例について説明する。図6乃至図12は、自動原稿搬送装置2による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す図である。まず図6に示すように自動原稿搬送装置2によって給紙され、読取速度で搬送される原稿Gの先端が検知センサ28に到達すると、イメージセンサ43で画像読み取りを開始するまでの時間のカウント動作を開始する。そして原稿Gの先端が画像読取位置P1に到達するタイミングでイメージセンサ43による画像読み取りを開始し、図7に示すように読取速度で搬送される原稿Gが画像読取位置P1を通過する際、その1ライン分ごとの画像をイメージセンサ43で順次読み取っていく。
【0050】
図7に示すようにイメージセンサ43が原稿Gの画像を読み取っているとき、制御部50が複数の振動検知センサ10のうちのいずれかの出力信号が変化したことを検知した場合、制御部50はその時点でイメージセンサ43による原稿Gの画像読み取り動作を中止し、それまでに少なくとも1ライン分の画像を既に取得していた場合にはそれを破棄する。そして搬送モータ34の駆動速度を読取速度よりも高速に切替えて原稿Gの搬送を継続する。これにより原稿Gは画像読み取り時よりも高速で第1搬送路29および第2搬送路30を搬送される。
【0051】
そして画像読み取りを中止した原稿Gの後端が、図8に示すように、スイッチバック位置P2に到達すると、制御部50は、搬送モータ34の正転駆動を停止し、搬送モータ34を逆転駆動する。このときの搬送モータ34の駆動速度は読取速度よりも高速のまま維持される。これにより、原稿Gは反転路33に導かれ、1回目の表裏反転が行われる。
【0052】
そして図9に示すように、反転路33に導かれた原稿Gが搬送ローラ27の位置まで到達すると、制御部50は、搬送モータ34の逆転駆動を停止し、搬送モータ34を正転駆動する。このときの搬送モータ34の駆動速度もまた、読取速度よりも高速のまま維持される。これにより、原稿Gは、図10に示すように、第1搬送路29および第2搬送路30を高速で搬送される。尚、このとき、イメージセンサ43による画像読み取り動作は行われない。
【0053】
そして原稿Gの後端が、図10に示すように、再びスイッチバック位置P2に到達すると、制御部50は、搬送モータ34の正転駆動を停止し、搬送モータ34を再び逆転駆動する。このときの搬送モータ34の駆動速度もまた読取速度よりも高速のまま維持される。これにより、原稿Gは再び反転路33に導かれ、2回目の表裏反転が行われる。
【0054】
2回の表裏反転が行われた原稿Gが搬送ローラ27の位置まで到達すると、制御部50は、搬送モータ34の逆転駆動を停止し、搬送モータ34を正転駆動する。このとき、搬送モータ34の駆動速度は、それまでの高速設定から低速の読取速度に切り替えられる。したがって、2回の表示反転が行われた原稿Gを搬送ローラ27が第1搬送路29に送り出すとき、原稿Gの搬送速度は、イメージセンサ43が正常に画像読み取りを行うことが可能な読取速度となる。この原稿Gが検知センサ28に到達すると、制御部50は、イメージセンサ43で画像読み取りを開始するまでの時間のカウント動作を開始する。そして制御部50は、図11に示すように、原稿Gの先端が画像読取位置P1に到達するタイミングでイメージセンサ43による画像読み取りを開始させる。このときもまた、読取速度で搬送される原稿Gが画像読取位置P1を通過する際にその1ライン分ごとの画像をイメージセンサ43で順次読み取っていく。そして原稿Gの全体画像を読み取る間に、複数の振動検知センサ10の出力信号が変化しなかった場合、その画像読み取りは正常に行われたこととなるので、図12に示すように読み取った原稿Gを排出する。
【0055】
尚、2回の表裏反転を行った後の原稿Gの画像読み取り中に再び制御部50が複数の振動検知センサ10のうちのいずれかの出力信号が変化したことを検知した場合、制御部50は、上述した動作を繰り返し行うように制御する。
【0056】
このように本実施形態の画像形成装置1は、自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿Gの読み取り動作中は画像形成装置1における振動発生を監視するようになっており、振動監視期間中に振動の発生が検知された場合には、画像読取部3による原稿Gの画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送装置2における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿Gを二回反転させてから画像読取位置P1に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿Gの画像読み取り動作を始めからやり直すように構成されている。以下、このような動作を行うための制御部50による具体的な処理手順についてさらに詳しく説明する。
【0057】
図13乃至図15は、画像形成装置1の制御部50による処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば原稿トレイ2aに原稿がセットされた状態でユーザにより原稿の読み取り開始が指示された場合、CPU51がそれに対応する所定のプログラムを読み出して実行することにより行われる。図13に示すように、原稿の読み取り開始が指示されると、制御部50は、搬送モータ34の速度を読取速度(低速)に設定し(ステップS101)、搬送モータ34の正転駆動を開始する(ステップS102)。これにより、原稿トレイ2aから1枚の原稿Gがピックアップされて給紙が行われる。給紙された原稿Gは、搬送ユニット2bの給紙路26を経由して読取速度で搬送されていく。
【0058】
制御部50は1枚の原稿Gの給紙を開始すると、検知センサ28によってその原稿Gの先端が検知されたか否かを判断する(ステップS103)。制御部50は、検知センサ28が原稿先端を検知するまで待機し、検知センサ28が原稿Gの先端を検知すると、イメージセンサ43による画像読み取り動作を開始するまでの時間カウント動作を開始して次のステップに進む。
【0059】
次に制御部50は、時間カウント動作によるカウント値に基づき、読取速度で搬送される原稿Gが振動監視領域に到達したか否かを判断する(ステップS104)。制御部50は、時間カウント動作によるカウント値が原稿Gの振動監視領域到達を示す値になるまで待機し、カウント値がその値になれば、振動監視機能をオン状態とする。これにより、各振動検知センサ10の出力信号を監視する状態となる。例えば、振動監視機能がオン状態となった時点での、各振動検知センサ10の出力信号を初期状態としてRAM52などに記憶しておき、その後の各振動検知センサ10の出力信号をこの初期状態と比較することにより出力信号の変化を検知することができる。
【0060】
制御部50は、振動検知センサ10の出力信号に変化があったか否かを判断し(ステップS106)、変化がなければ、読取速度で搬送される原稿Gが画像読取位置P1に到達したか否かを判断する(ステップS107)。ステップS107での判断は、時間カウント動作に基づくカウント値が所定時間Δt1(図5参照)になったか否かを判断することにより行われる。そして未だ原稿Gが画像読取位置P1に到達していない場合、ステップS106に戻り、振動検知センサ10の出力信号変化の有無の判断と、画像読取位置P1に到達したか否かの判断とを繰り返す。
【0061】
振動検知センサ10の出力信号に変化がない状態で、原稿Gの先端が画像読取位置P1に到達した場合(ステップS107でYES)、制御部50は画像読取部3による画像読取処理を開始する(ステップS108)。つまり、イメージセンサ43を制御することにより、読取速度で画像読取位置P1を通過する原稿Gの画像を1ライン分ずつ順次に読み取っていく画像読み取り動作を開始する。
【0062】
そして制御部50は、原稿Gの画像読み取り動作が終了したか否かを判断する(ステップS109)。ここでの判断は、例えば、読取速度で搬送される原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過すればYESとなり、未だ原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過していなければNOとなる。そして原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過していれば画像読み取り動作を終了して、全ての処理を終了する。一方、未だ、原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過してなく、原稿Gの画像読み取り動作を継続させることが必要な場合は、ステップS106に戻って振動検知センサ10の出力信号変化の有無の判断を行う。尚、イメージセンサ43による原稿Gの画像読み取り動作を開始した後のステップS107の判断では、常にYESと判断される。そして原稿Gの画像の読み取り動作が終了するまでの間、ステップS106における振動検知センサ10の出力信号変化の有無の判断が繰り返し行われる。
【0063】
原稿Gの画像の読み取り動作が終了するまでの間に繰り返し行われるステップS106において、毎回、振動検知センサ10の出力信号変化なしと判断された場合、その画像読み取り動作はステップS109において正常に終了する。これに対し、ステップS106において振動検知センサ10の出力信号に変化がありと判断された場合、制御部50による処理はステップS110に進む。
【0064】
振動検知センサ10の出力信号が変化した場合、制御部50は、イメージセンサ43による画像読み取り動作を開始していれば、その動作を中止する(ステップS110)。このとき、既に読み取った少なくとも1ライン分の画像があれば、それを破棄する。そして制御部50は原稿再読取処理を実行する(ステップS111)。
【0065】
図14及び図15は、この原稿再読取処理(ステップS111)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部50は、この原稿再読取処理を開始すると、搬送モータ34の速度を高速に切り替える(ステップS201)。これにより、搬送ユニット2b内を搬送されている原稿Gの搬送速度が読取速度よりも高速になる。制御部50は、原稿Gの高速搬送を行いつつ、原稿Gの後端が所定のスイッチバック位置P2に到達したか否かを監視し(ステップS202)、スイッチバック位置P2に到達すれば(ステップS202でYES)、搬送モータ34を停止させる(ステップS203)。そして直ちに搬送モータ34の逆転駆動を高速設定のままで開始する(ステップS204)。これにより、原稿Gは読取速度よりも高速で反転路33を搬送され、1回目の表裏反転が行われる。
【0066】
制御部50は、反転路33を高速搬送中の原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置に到達したか否かを判断し(ステップS205)、到達すれば搬送モータ34の逆転駆動を停止する(ステップS206)。その後、制御部50は、直ちに搬送モータ34の正転駆動を高速設定のままで開始する(ステップS207)。これにより、原稿Gは読取速度よりも高速で第1搬送路29及び第2搬送路30を搬送される。
【0067】
そして制御部50は、原稿Gの高速搬送を行いつつ、原稿Gの後端が再びスイッチバック位置P2に到達したか否かを監視し(ステップS208)、スイッチバック位置P2に到達すれば(ステップS208でYES)、搬送モータ34の正転駆動を停止させる(ステップS209)。そして直ちに搬送モータ34の逆転駆動を高速設定のままで再び開始する(ステップS210)。これにより、原稿Gは再び読取速度よりも高速で反転路33を搬送され、2回目の表裏反転が行われる。そして図15のフローチャートに進む。
【0068】
制御部50は、2回目の反転路33を高速搬送中である原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置に到達したか否かを判断し(ステップS211)、到達すれば搬送モータ34の逆転駆動を停止する(ステップS206)。そして制御部50は、搬送モータ34の速度を読取速度(低速)に切り替える(ステップS213)。これにより、搬送ユニット2b内を搬送される原稿Gの搬送速度が低速の読取速度となる。そして制御部50は、直ちに搬送モータ34の正転駆動を開始する(ステップS214)。これにより、原稿Gは読取速度で第1搬送路29及び第2搬送路30を搬送されていく。以上で、原稿再読取処理(ステップS111)が終了し、その後は図13のステップS103に戻ってそれ以降の処理が行われる。したがって、その後、振動検知センサ10の出力信号に変化がなければ、原稿Gが画像読取位置P1を通過するときにイメージセンサ43による画像読み取りが行われ、正常な画像データが取得される。
【0069】
以上のような処理手順により、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿Gの読み取り動作中に振動の発生が検知された場合、画像読取部3による原稿Gの画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送装置2における一連の連続した動作で画像読み取りを中止した原稿Gを2回反転させてから画像読取位置P1に再び搬送し、画像読み取り動作を中止した原稿Gの画像読み取り動作を始めから行うことができる。そのため、原稿Gの読み取り途中で、ユーザが給紙用カセットトレイ6a,6b,6cに対する出力用紙の補給作業やトナー交換作業、或いは紙詰まりの除去作業などを開始した場合でも、画像形成装置1は、それらの作業が終了まで待つことなく、原稿Gを2回反転させてから原稿Gの画像読み取り動作を行うので、原稿Gの読み取りを効率的に終了させることができる。また原稿Gを2回反転させる際の自動原稿搬送装置2における搬送速度は読取速度よりも高速に設定されるので、原稿Gの2回反転動作を効率的に行うことも可能である。
【0070】
またユーザが上記のような作業を行う際の給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの引き抜き操作などに伴い、画像形成装置1には振動が発生するが、その後に行う原稿Gの2回反転動作の間に、画像形成装置1に発生した振動は十分に減衰していると考えられるので、原稿Gを2回反転させた後に速やかに原稿Gの画像読み取り動作を行っても振動による影響は生じない。それ故、本実施形態の画像形成装置1は、原稿Gを読み取って取得する画像に対して振動による歪みや色ずれ等が発生することを良好に防止し、しかも効率的に原稿Gの画像読み取り動作を完了させることができるように構成されている。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。すなわち、本発明には種々の変形例が適用可能である。
【0072】
例えば上述の実施形態では、画像形成装置1が卓上設置タイプの比較的小型の画像形成装置として構成される場合を例示したが、本発明は必ずしも卓上設置タイプのような小型の画像形成装置に限定されない。また、上述の実施形態では、振動検知センサ10の一例として、給紙カセット挿抜センサ11と、正面カバー開閉センサ12と、側面カバー開閉センサ13とを例示したが、これら以外のセンサを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】画像形成装置の一構成例を示す図である。
【図2】原稿画像読取部の内部構造の一例を示す図である。
【図3】画像形成装置の開閉部分の一例を示す図である。
【図4】画像形成装置における制御機構を示すブロック図である。
【図5】振動監視機能による監視期間の一例を示す図である。
【図6】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第1の図である。
【図7】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第2の図である。
【図8】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第3の図である。
【図9】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第4の図である。
【図10】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第5の図である。
【図11】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第6の図である。
【図12】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第7の図である。
【図13】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
2 自動原稿搬送装置(自動原稿搬送手段)
2a 原稿トレイ
3 画像読取部(画像読取手段)
5 画像形成部(画像形成手段)
5a 正面カバー(開閉カバー)
5b 側面カバー(開閉カバー)
6 給紙部
6a,6b,6c 給紙用カセットトレイ(カセットトレイ)
10 振動検知センサ(振動検知手段)
11 給紙カセット挿抜センサ(挿抜検知手段)
12 正面カバー開閉センサ(開閉検知手段)
13 側面カバー開閉センサ(開閉検知手段)
50 制御部(振動監視手段、制御手段)
P1 画像読取位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の自動両面読み取りが可能な画像形成装置、および、画像形成装置における原稿の画像読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機或いは複合機等と呼ばれる画像形成装置は、主として、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像を出力用紙に記録するプリント部とを備えている。また画像読取部の上部に、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙し、画像読取部による画像読取位置に対して原稿を自動搬送する自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置も普及している。
【0003】
このような画像形成装置において、自動原稿搬送装置を使用し、複数枚の原稿を連続的に読み取って画像データを取得している処理中に、例えば画像形成部で出力中の用紙がなくなれば、給紙用カセットトレイを引き抜いて用紙を補給する作業が行われることがある。また、複数枚の原稿を連続的に読み取っている処理中に、トナーなどの消耗品を交換する必要が生じた時や、出力用紙の紙詰まりが発生した時には、装置正面や側面の開閉カバーを開放してユーザが作業を行う状況が発生することもある。このような給紙用カセットトレイの抜き差しや各開閉カバーの開閉操作を行った瞬間、装置全体に振動が発生しやすい。原稿の画像読み取り動作中にこのような振動が発生した場合、原稿を読み取って取得した画像に歪みや色ずれ等の問題が発生する可能性がある。特に、自動原稿搬送装置で連続的に原稿を読み取っている際に振動が発生した場合、ユーザはこのような問題が発生していることに気づき難く、全ての原稿を読み取った後の画像確認時に初めてこのような問題が発生していることに気づくことが多い。
【0004】
このような問題は、床面設置タイプの大型画像形成装置に比べると、例えば卓上設置タイプなどのような比較的小型の画像形成装置において顕著である。その理由としては、例えば小型の画像形成装置の場合は、装置サイズの仕様や部品コストの低廉化などにより、大型画像形成装置に比べ、装置全体に対して十分な剛性を確保するのが難しいことが挙げられる。また、卓上設置タイプの場合には、給紙用カセットトレイを引き抜いたり、開閉カバーを開放したりする操作を行うと、それに伴って設置卓そのものが振動し、画像形成装置に対して設計上予期し得ない振動が作用することもある。
【0005】
従来、このような装置の振動による異常画像取得の回避案として、例えば、給紙カセットの引き出し動作を検出した場合、コントローラが一連の画像処理動作を中断するようにした技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また従来、原稿給紙トレイから画像読み取り動作を開始した後に両面ユニットやソータなどの異常或いは通信に異常が発生した場合、読み取り途中の原稿は原稿排紙トレイに排紙せず、搬送先を反転トレイに切り替えた状態で待機し、通信などの異常が正常に回復したら、排紙経路、反転トレイ、給紙経路などを経由させることにより、原稿を元の状態に戻して、再度読み取りを行うことができるようにした装置が提案されている(例えば特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−155445号公報
【特許文献1】特開平10−123766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年の画像形成装置は、ネットワーク環境で使用されるようになってきている。それに伴い、画像形成装置は複数のジョブを同時に実行することもできるようになっている。例えば、第1のユーザが画像形成装置のスキャナ機能を利用しているとき、第2のユーザが画像形成装置のプリンタ機能を同時に利用することが可能である。この場合、第1のユーザは、例えば複数枚の原稿の自動読み取りを行ってネットワーク経由で自身のコンピュータに画像データを送信させるスキャンジョブを画像形成装置に実行させると共に、第2のユーザは、ネットワーク経由でプリントデータを画像形成装置に送信することでプリントジョブを実行させる。このような場合、プリントジョブと関係しないスキャンジョブは、プリントジョブの状況にかかわらず、効率的にジョブの実行を終了させたいという要望がある。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1又は2の従来技術の場合、プリントジョブによるトナー消耗や出力用紙の紙詰まり、或いは給紙用カセットトレイに出力用紙を補給する必要などが生じ、第2のユーザが給紙用カセットトレイを引き抜いたり、開閉カバーを開放したりする操作を行うと、それ伴って第1のユーザが行っているスキャンジョブを中断させることはできるものの、効率的にスキャンジョブを終了させることはできないという問題がある。特に、上述した特許文献2の場合には、第2のユーザによる作業が終了して画像形成装置が正常に回復するまで第1のユーザが行っているスキャンジョブは再開されないことになり、ジョブの実行効率が低下する。
【0010】
そこで本発明は、上記課題を解決することを目的としてなされたものであり、原稿を読み取って取得する画像に、振動による歪みや色ずれ等が発生することを防止しつつ、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段と、前記画像読取手段による画像読み取り動作と並行して、画像を出力用紙に記録可能な画像形成手段と、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動発生の有無を監視する振動監視手段と、前記振動監視手段により振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
かかる発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動監視手段により振動の発生が検知された場合、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてから、再度、原稿の画像読み取り動作を開始するので、振動による歪みや色ずれ等が画像に発生することを防止しつつ、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【0013】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、装置正面又は側面に設けられた装置内部を開放するための開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉状態を検知して開閉状態に応じた信号を出力する開閉検知手段とをさらに備え、前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記開閉検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴としている。
【0014】
かかる発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、装置内部を開放するための開閉カバーの開閉操作が行われた場合に、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてから、再度、原稿の画像読み取り動作を開始する。そのため、開閉カバーの開閉操作に起因する振動によって画像に歪みや色ずれ等が発生することを防止することができる。また開放された開閉カバーが閉鎖されるのを待つことなく、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【0015】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、装置正面又は側面に対して挿抜可能なカセットトレイと、前記カセットトレイの挿抜状態を検知して挿抜状態に応じた信号を出力する挿抜検知手段とをさらに備え、前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記挿抜検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴としている。
【0016】
かかる発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、カセットトレイの挿抜操作が行われた場合に、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてから、再度、原稿の画像読み取り動作を開始する。そのため、カセットトレイの挿抜操作に起因する振動によって画像に歪みや色ずれ等が発生することを防止することができる。また引き抜かれたカセットトレイが挿入装着されるのを待つことなく、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【0017】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記振動監視手段による監視期間は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の先端が前記画像読取位置に到達する所定時間前から、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作が終了するまでの期間であることを特徴としている。
【0018】
かかる発明によれば、原稿の画像読み取りを開始するタイミングの直前に振動が発生した場合、その振動の減衰が完全には収束していない状態で画像読み取りが開始されることを防止することができる。
【0019】
請求項5にかかる発明は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段とを備えた画像形成装置における原稿の画像読み取り方法であって、前記自動原稿搬送手段による原稿の搬送を開始するステップと、前記画像形成装置における振動発生の監視を開始するステップと、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿が前記画像読取位置に到達するときに、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を開始するステップと、少なくとも前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作中に、前記画像形成装置における振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始するステップとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動監視手段により振動の発生が検知された場合、画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送手段における連続した動作で原稿を二回反転させてからその二回反転させた原稿を再び画像読取位置に搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を再び始めから開始する。それ故、振動による歪みや色ずれ等が画像に発生することを防止しつつ、効率的に原稿の画像読み取り動作を完了させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明するいくつかの実施の形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本実施形態における画像形成装置1の一構成例を示す図である。画像形成装置1は、コピー、スキャナ、プリンタ、FAXなどの機能を有する複合機であり、ネットワークを介した画像データの送受信が可能である。この画像形成装置1は、例えば卓上設置タイプの比較的小型の画像形成装置として構成される。
【0023】
図1に示すように画像形成装置1は、最上部に設けられた原稿画像読取部20と、中央部に設けられた画像形成部5と、最下部に設けられた給紙部6とを備えている。また原稿画像読取部20と画像形成部5との間には出力トレイ8が設けられており、画像形成装置1からの出力用紙が出力トレイ8上に排出されるようになっている。
【0024】
原稿画像読取部20は、自動原稿搬送装置2と画像読取部3とを有している。自動原稿搬送装置2は、原稿トレイ2aと、搬送ユニット2bと、排紙トレイ2cとを有し、原稿トレイ2aに載置された原稿を搬送ユニット2bによって1枚ずつ搬送していき、画像読取部3によって画像読み取りが行われた原稿を排紙トレイ2cに排出するように構成されている。この自動原稿搬送装置2は、搬送ユニット2bの内部に、画像読取部3による画像読取位置を通過させた原稿を反転させて再度画像読取位置に搬送させる反転機構を備えている。
【0025】
画像読取部3は、原稿の画像を光電的に読み取って画像データを取得する。自動原稿搬送装置2を使用して原稿の画像読み取りを行う場合、画像読取装置3は自動原稿搬送装置3と同期した動作を行い、原稿が所定の画像読取位置を通過する際に画像の読み取りを行う。複数枚の原稿が原稿トレイ2aにセットされた状態でそれら複数枚の原稿の連続自動読み取りを行う場合、本実施形態では、例えば画像読取部3が1枚の原稿の画像読み取り動作を終了した後に自動原稿搬送装置2が次の原稿の搬送を開始する。
【0026】
このような原稿画像読取部20の正面側にはユーザが操作可能な操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、複数の操作キーから成る操作部4aと、各種情報を表示する表示部4bとを有している。操作部4aは、ジョブに関する各種設定やジョブの実行などに関するユーザの操作を受け付け、画像形成装置1に入力する。表示部4bは、ユーザに対して表示するためのメニューや、ジョブの実行状況、取得した画像に関する情報などを表示する。またトナー消耗や出力用紙の紙詰まり、或いは給紙用カセットトレイに出力用紙を補給する必要などが生じた場合、表示部4bにはユーザに各種作業を促すための案内情報なども表示される。
【0027】
給紙部6は、給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを備えており、それぞれの給紙用カセットトレイに対して複数枚の出力用紙を収容しておくことができるようになっている。給紙部6は、装置内部に設けられた搬送機構によって、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cに収容された出力用紙を1枚ずつ取り出して画像形成部5に供給する。
【0028】
画像形成部5は、例えば入力する画像データに基づいてトナー像を形成し、給紙部6から供給される出力用紙にそのトナー像を転写・定着させることにより画像形成を行う。この画像形成装置5も反転機構を備えており、出力用紙に対して両面印刷を行うことが可能である。そして画像形成部5において画像形成が行われた出力用紙は、装置内部の搬送機構により、上述した出力トレイ8に排出される。画像形成部5は、画像読取部3による画像読み取り動作と並行して、画像を出力用紙に記録可能であり、画像形成装置1において例えばスキャンジョブとプリントジョブとを同時に行うことができるようになっている。
【0029】
次に画像形成装置1における原稿画像読取部20の概略構成について説明する。図2は、原稿画像読取部20の内部構造の一例を示す図である。上述したように原稿画像読取部20は、自動原稿搬送装置2と画像読取部3とを備えている。この原稿画像読取部20により、原稿の画像を読み取る態様として2つの態様がある。第1の態様は、自動原稿搬送装置2の原稿トレイ2aに原稿をセットして原稿の自動搬送を行いつつ画像読み取りを行う態様であり、特に本発明に関連する態様である。第2の方法は、画像読取部3の原稿面ガラス46上に原稿を載置し、画像読取部3の内部で画像読取モジュール41を走査させることによって原稿の自動読み取りを行う態様である。画像形成装置1は、これら第1および第2の態様のいずれにおいても同じ画像読取モジュール41を用いて画像読み取りを行う。以下、そのための構成についてさらに詳しく説明する。
【0030】
画像読取部3は、原稿の画像を読み取る画像読取モジュール41と、画像読取モジュール41を移動させるためのモータ45と、モータ45の駆動力を画像読取モジュール41に伝達するために設けられたベルトやワイヤなどの駆動伝達部44とを備えている。また画像読取モジュール41は、原稿の読取対称面を照明するランプ42と、原稿の読取対称面からの反射光を受光して光電変換を行うことにより画像データを生成するイメージセンサ43とを備えている。イメージセンサ43は例えば主走査方向に配置された複数の画素を有している。
【0031】
上述した第1の態様による画像読み取りを行う場合、画像読取部3の内部で画像読取モジュール41を所定の画像読取位置P1の直下に移動させ、その位置で静止状態とする。そして自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿が画像読取位置P1を通過する際、読取ガラス49を介して原稿の読取対称面(原稿下面)をランプ42で照明しつつ、イメージセンサ43が主走査方向の1ラインごとに原稿の画像を読み取っていく。そして原稿後端が画像読取位置P1を通過すれば読み取り動作が終了し、画像データが生成される。
【0032】
また上述した第2の態様による画像読み取りを行う場合、画像読取部3の内部で画像読取モジュール41を副走査方向に走査させながら、原稿面ガラス46上に載置された原稿の読取対称面(原稿下面)をランプ42で照明しつつ、イメージセンサ43が主走査方向の1ラインごとに原稿の画像を読み取っていく。そして原稿の読取対称面全体の読み取りが完了すれば、画像データが生成される。
【0033】
画像読取部3には、基準白出力を得るためのシェーディング板47が所定位置に配置されている。原稿の読み取りに際しては、画像読取モジュール41をこのシェーディング板47の位置に移動させて読み取りを行い、イメージセンサ47の各画素のばらつきを補正する。
【0034】
また画像読取部3の所定位置にはホームポジションセンサ48が設けられており、画像読取モジュール41を移動させる際の位置決めのための基準として使用される。例えば上述した第1の態様による画像読み取りを行う場合、ホームポジションセンサ48と画像読取位置P1との距離Dは設計上既知の値であるので、例えば画像読取モジュール41を一旦ホームポジションセンサ48の位置まで移動させ、その後、画像読取モジュール41をホームポジションセンサ48から距離Dだけ移動させた位置で停止させることで、画像読取モジュール41を画像読取位置P1の直下に配置することができる。
【0035】
次に自動原稿搬送装置2について説明する。自動原稿搬送装置2は、搬送ユニット2bの内部に、原稿検出センサ21、ピックアップローラ22、原稿揃え部材23、給紙ローラ24、給紙センサ25、給紙路26、搬送ローラ27、検知センサ28、第1搬送路29、第2搬送路30、第1排出ローラ31、第2排出ローラ32、反転路33および搬送モータ34を備えている。搬送モータ34は、ピックアップローラ22、給紙ローラ24、搬送ローラ27、第1排出ローラ31および第2排出ローラ32のそれぞれを回転させるための駆動源であり、ギヤやベルトなどの図示しない駆動伝達機構を介して各ローラに駆動力が伝達される。この搬送モータ34は、正逆双方向に回転可能である。例えば、搬送モータ34を正転駆動することにより、各ローラが正転方向に回転し、原稿トレイ2aに載置された原稿を給紙し、画像読取位置P1を通過させた後、排出口2dから排出することができる。また原稿後端が所定のスイッチバック位置にあるとき、搬送モータ34を逆転駆動することにより、各モータが逆転方向に回転するので、スイッチバック位置にある原稿後端が先頭となって反転路33に導かれることになり、その結果、原稿の反転が行われる。
【0036】
自動原稿搬送装置2による通常の原稿搬送動作について説明する。原稿検出センサ21は、原稿トレイ2aにおける原稿Gの有無を検知するセンサである。ユーザによって原稿の画像読み取りが指示された場合、この原稿検出センサ21によって原稿有りが検出されていれば、自動原稿搬送装置2による原稿の搬送動作が開始される。原稿の搬送動作が開始すると、通常は原稿Gに対して非接触状態となっているピックアップローラ22が下降して最上面の原稿に接触し、また原稿抑え部材23が搬送路内から退避する。そして搬送モータ34が正転方向に駆動されることにより、ピックアップローラ22が最上面の原稿Gのみを搬送ユニット2bの内部に搬入する。この原稿Gは、給紙ローラ24によって給紙路26に供給され、搬送ローラ27へ搬送される。このとき給紙センサ25により原稿Gの給紙が正常に行われたか否かが検知される。
【0037】
原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置まで到達すると、その後は主として搬送ローラ27による搬送が行われ、原稿Gは第1搬送路29に導かれる。このとき搬送ローラ27による原稿Gの搬送速度は、画像読取モジュール41が正常に画像読み取りを行うことができるように定められた所定の読取速度に設定される。具体的には搬送モータ34の回転速度を読取速度に設定することにより制御される。その後、原稿Gは検知センサ28に到達し、検知センサ28によって原稿先端が検知される。
【0038】
第1搬送路29における検知センサ28の設置位置と画像読取位置P1との距離は設計上既知の値である。また原稿Gの搬送速度も所定の読取速度として既知の値である。そのため、検知センサ28が原稿先端を検知してからその原稿先端が画像読取位置P1に到達するまでの時間は予め算出しておくことができる。そして検知センサ28が原稿先端を検知してから所定時間経過後にイメージセンサ43での画像読み取りを開始すれば、搬送ユニット2b内を搬送されている原稿の画像をイメージセンサ43で良好に読み取ることができる。そして画像読取位置P1を通過した原稿Gは、第2搬送路30に導かれ、第1排出ローラ31および第2排出ローラ32によって排出口2dから排出される。
【0039】
また原稿の両面読み取りを行う場合は、上述したように原稿Gの後端が所定のスイッチバック位置P2に到達したタイミングで搬送モータ34の正転駆動を停止させ、その後、搬送モータ34を逆転駆動する。そして反転路33を経由させて原稿Gを搬送ローラ27に向けて搬送させる。逆転駆動によって反転路33を搬送される原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置まで到達すると、搬送モータ34の正転駆動を停止させる。そして搬送モータ34を正転駆動に戻して搬送ロータ27を回転させることにより、反転した原稿Gが第1搬送路29に導かれる。尚、このとき第2排出ローラ32が原稿Gの後端部分を挟持した状態から解除するため、搬送モータ34を正転駆動に戻すタイミングで第2排出ローラ32のローラ対が互いに離間する。その後、検知センサ28によって原稿先端が検知されると、上記と同様に、イメージセンサ43が所定のタイミングで画像読み取りを開始し、両面が読み取られた原稿Gが排出口2dから排出される。尚、一時的に離間させておいた第2排出ローラ32のローラ対は適宜のタイミングで接触状態に戻しておく。
【0040】
次に図3は、画像形成装置1の開閉部分の一例を示す図である。画像形成装置1において給紙部6に収容されている出力用紙を補給する場合、図3に示すようにユーザが各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを前後方向(X方向)に引き出すことができる。各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを引き出した状態で出力用紙を補給した後、ユーザが各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cを再び画像形成装置1の内側に挿入することにより、出力用紙の補給作業が完了する。そして画像形成装置1には、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの内側に給紙カセット挿抜センサ11が設けられている。この給紙カセット挿抜センサ11は、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの挿抜状態を自動検知し、各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの挿抜状態に応じた信号を出力する
【0041】
また画像形成装置1は、画像形成部5の内側に、消耗品であるトナー9を着脱可能に装備している。そして画像形成装置1の正面側には、トナー交換を行う際に開閉する正面カバー5aが設けられている。トナー9を交換する必要が生じた場合、図3に示すように左右方向に沿った水平軸周りに回動する正面カバー5aを前方側(R1方向)に開放させることで、トナー9の交換を行うことができるようになる。トナー交換後、ユーザが正面カバー5aを画像形成装置1の後方側に回動させて閉鎖することにより、トナー9の交換作業が完了する。この正面カバー5aの内側には、正面カバー開閉センサ12が設けられている。この正面カバー開閉センサ12は、正面カバー5aの開閉状態を自動検知し、正面カバー5aの開閉状態に応じた信号を出力する。
【0042】
また画像形成装置1の側面には、出力用紙が紙詰まりした場合の除去作業(ジャム処理作業)などを行う際に開閉する側面カバー5bが設けられている。出力用紙の紙詰まりが生じた場合、図3に示すように前後方向に沿った水平軸周りに回動する側面カバー5bを側方(R2方向)に開放させることで、除去作業を行うことができるようになる。紙詰まりした用紙を除去した後、ユーザが側面カバー5bを再び回動させて閉鎖することにより、紙詰まり時の作業が完了する。この側面カバー5bの内側には、図3では図示しない側面カバー開閉センサ13(図4参照)が設けられている。この側面カバー開閉センサ13は、側面カバー5bの開閉状態を自動検知し、側面カバー5bの開閉状態に応じた信号を出力する。
【0043】
上述したような各給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの挿抜操作、正面カバー5aの開閉操作、又は、側面カバー5bの開閉操作がユーザによって行われると、画像形成装置1に振動が発生する可能性がある。そのため、給紙カセット挿抜センサ11、正面カバー開閉センサ12および側面カバー開閉センサ13のいずれかがその出力信号を変化させたことを検知すれば、それによって画像形成装置1に振動が発生している可能性があることを認識できる。それ故、これら給紙カセット挿抜センサ11、正面カバー開閉センサ12および側面カバー開閉センサ13のそれぞれは、振動検知センサ(振動検知手段)10として機能する。
【0044】
次に図4は画像形成装置1における制御機構を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御部50、画像メモリ53、通信制御部54およびFAX通信部55のそれぞれがバスライン59に接続された構成である。また上述した操作パネル4、原稿画像読取部20、画像形成部5、給紙部6および振動検知センサ10のそれぞれもバスライン59に接続されている。制御部50は、CPU51とRAM52とを有し、CPU51が所定のプログラムを実行することにより、バスライン59に接続されている他の各部の動作を制御することにより、画像形成装置1におけるジョブの実行を統括的に制御する。RAM52はCPU51が各種演算処理を行う際の一時的なデータなどを記憶する。画像メモリ53は、画像データを記憶する記憶手段であり、例えば原稿画像読取部20で取得された画像データを一時的に記憶したり、また画像形成部5において画像形成するための画像データを一時的に記憶したりする。通信制御部54は、ネットワークインタフェース56と接続されており、ネットワークを介してジョブや画像データの送受信を行う。また通信制御部54は、USBインタフェース57とも接続されており、画像形成装置1に対して直接接続されるコンピュータなどとジョブや画像データの送受信を行うこともできる。FAX通信部55は、電話網と接続してFAXデータの送受信を行うための通信部である。
【0045】
制御部50は、例えば操作パネル4を介してスキャンジョブの実行が指示された場合、自動原稿搬送装置2および画像読取部3のそれぞれを制御することにより、原稿画像読取部20において原稿の読み取り動作を行わせ、画像データを取得する。またネットワークを介してプリントジョブを受信した場合、画像形成部5および給紙部6のそれぞれを制御することにより、出力用紙に画像形成を行って出力する動作を行わせる。そして制御部50は、このようなスキャンジョブとプリントジョブとを並行して制御することにより、原稿画像読取部20における原稿の読み取り動作と、画像形成部5における画像形成動作とを同時に行うも可能である。
【0046】
また制御部50は、原稿画像読取部20において原稿の読み取り動作中、給紙カセット挿抜センサ11、正面カバー開閉センサ12および側面カバー開閉センサ13から成る振動検知センサ10の出力信号を監視する振動監視機能をオン状態とする。そして振動監視機能がオン状態となる監視期間中、各振動検知センサ10の出力信号が変化することを監視する。原稿の読み取り動作中に、画像形成装置1の給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの抜き差し操作、正面カバー5aの開閉操作、或いは、側面カバー5bの開閉操作が行われると、画像形成装置1に振動が発生し、現在読み取り中の画像に歪みや色ずれ等が発生することがあるので、制御部50は各振動検知センサ10の出力信号を監視することにより、正常な画像読み取りが行われているか否かを把握することができる。
【0047】
図5は、振動監視機能による監視期間の一例を示す図である。図5に示すように第1搬送路29に設けられた検知センサ28が原稿Gを検知すると、オン状態となる。つまり、時刻T1において原稿Gの先端が検知センサ28の位置に到達したことになる。そしてイメージセンサ43は、検知センサ28が原稿先端を検知してから所定時間Δt1経過後の時刻T3にオン状態となり、画像読み取りを開始する。尚、所定時間Δt1は、原稿先端が検知センサ28の位置から画像読取位置P1に到達するまでの時間である。また時刻T4には原稿Gの後端が検知センサ28を通過するので、検知センサ28の出力はオフ状態となる。そしてイメージセンサ43は、検知センサ28が原稿後端を検知してから所定時間Δt2経過後の時刻T5にオフ状態となり、画像読み取りを終了する。尚、この間、原稿Gの搬送速度は変わらないので、所定時間Δt2は、Δt1と同じになる。
【0048】
一方、制御部50が振動監視機能をオン状態とするタイミングは、イメージセンサ43がオン状態となって画像読み取りを開始するタイミング(時刻T3)と同じであっても良いが、本実施形態では、図5に示すようにイメージセンサ43が画像読み取りを開始するタイミング(時刻T3)よりも所定時間Δt3前のタイミング(時刻T2)でオン状態とする。これは、画像読み取りを開始するタイミング(時刻T3)の直前に振動が発生した場合、その振動の減衰が完全には収束していない状態で画像読み取りが開始されることを防止するためである。所定時間Δt3としてどの程度の時間が必要であるかは、装置構成や振動発生部位によって異なるが、好ましい設定値は予め実験的に求めることができる。尚、図例では、振動監視機能をオン状態とするタイミング(時刻T2)が、T1<T2<T3となっているが、これに限られるものではなく、T2<T1であっても良い。また、振動が十分に減衰するのであれば、検知センサ28が原稿Gの先端を検知したタイミング(時刻T1)で振動監視機能をオン状態としても良い。
【0049】
次に制御部50が振動監視機能をオン状態としているときに、振動検知センサ10の出力信号が変化したことを検知した場合の動作例について説明する。図6乃至図12は、自動原稿搬送装置2による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す図である。まず図6に示すように自動原稿搬送装置2によって給紙され、読取速度で搬送される原稿Gの先端が検知センサ28に到達すると、イメージセンサ43で画像読み取りを開始するまでの時間のカウント動作を開始する。そして原稿Gの先端が画像読取位置P1に到達するタイミングでイメージセンサ43による画像読み取りを開始し、図7に示すように読取速度で搬送される原稿Gが画像読取位置P1を通過する際、その1ライン分ごとの画像をイメージセンサ43で順次読み取っていく。
【0050】
図7に示すようにイメージセンサ43が原稿Gの画像を読み取っているとき、制御部50が複数の振動検知センサ10のうちのいずれかの出力信号が変化したことを検知した場合、制御部50はその時点でイメージセンサ43による原稿Gの画像読み取り動作を中止し、それまでに少なくとも1ライン分の画像を既に取得していた場合にはそれを破棄する。そして搬送モータ34の駆動速度を読取速度よりも高速に切替えて原稿Gの搬送を継続する。これにより原稿Gは画像読み取り時よりも高速で第1搬送路29および第2搬送路30を搬送される。
【0051】
そして画像読み取りを中止した原稿Gの後端が、図8に示すように、スイッチバック位置P2に到達すると、制御部50は、搬送モータ34の正転駆動を停止し、搬送モータ34を逆転駆動する。このときの搬送モータ34の駆動速度は読取速度よりも高速のまま維持される。これにより、原稿Gは反転路33に導かれ、1回目の表裏反転が行われる。
【0052】
そして図9に示すように、反転路33に導かれた原稿Gが搬送ローラ27の位置まで到達すると、制御部50は、搬送モータ34の逆転駆動を停止し、搬送モータ34を正転駆動する。このときの搬送モータ34の駆動速度もまた、読取速度よりも高速のまま維持される。これにより、原稿Gは、図10に示すように、第1搬送路29および第2搬送路30を高速で搬送される。尚、このとき、イメージセンサ43による画像読み取り動作は行われない。
【0053】
そして原稿Gの後端が、図10に示すように、再びスイッチバック位置P2に到達すると、制御部50は、搬送モータ34の正転駆動を停止し、搬送モータ34を再び逆転駆動する。このときの搬送モータ34の駆動速度もまた読取速度よりも高速のまま維持される。これにより、原稿Gは再び反転路33に導かれ、2回目の表裏反転が行われる。
【0054】
2回の表裏反転が行われた原稿Gが搬送ローラ27の位置まで到達すると、制御部50は、搬送モータ34の逆転駆動を停止し、搬送モータ34を正転駆動する。このとき、搬送モータ34の駆動速度は、それまでの高速設定から低速の読取速度に切り替えられる。したがって、2回の表示反転が行われた原稿Gを搬送ローラ27が第1搬送路29に送り出すとき、原稿Gの搬送速度は、イメージセンサ43が正常に画像読み取りを行うことが可能な読取速度となる。この原稿Gが検知センサ28に到達すると、制御部50は、イメージセンサ43で画像読み取りを開始するまでの時間のカウント動作を開始する。そして制御部50は、図11に示すように、原稿Gの先端が画像読取位置P1に到達するタイミングでイメージセンサ43による画像読み取りを開始させる。このときもまた、読取速度で搬送される原稿Gが画像読取位置P1を通過する際にその1ライン分ごとの画像をイメージセンサ43で順次読み取っていく。そして原稿Gの全体画像を読み取る間に、複数の振動検知センサ10の出力信号が変化しなかった場合、その画像読み取りは正常に行われたこととなるので、図12に示すように読み取った原稿Gを排出する。
【0055】
尚、2回の表裏反転を行った後の原稿Gの画像読み取り中に再び制御部50が複数の振動検知センサ10のうちのいずれかの出力信号が変化したことを検知した場合、制御部50は、上述した動作を繰り返し行うように制御する。
【0056】
このように本実施形態の画像形成装置1は、自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿Gの読み取り動作中は画像形成装置1における振動発生を監視するようになっており、振動監視期間中に振動の発生が検知された場合には、画像読取部3による原稿Gの画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送装置2における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿Gを二回反転させてから画像読取位置P1に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿Gの画像読み取り動作を始めからやり直すように構成されている。以下、このような動作を行うための制御部50による具体的な処理手順についてさらに詳しく説明する。
【0057】
図13乃至図15は、画像形成装置1の制御部50による処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば原稿トレイ2aに原稿がセットされた状態でユーザにより原稿の読み取り開始が指示された場合、CPU51がそれに対応する所定のプログラムを読み出して実行することにより行われる。図13に示すように、原稿の読み取り開始が指示されると、制御部50は、搬送モータ34の速度を読取速度(低速)に設定し(ステップS101)、搬送モータ34の正転駆動を開始する(ステップS102)。これにより、原稿トレイ2aから1枚の原稿Gがピックアップされて給紙が行われる。給紙された原稿Gは、搬送ユニット2bの給紙路26を経由して読取速度で搬送されていく。
【0058】
制御部50は1枚の原稿Gの給紙を開始すると、検知センサ28によってその原稿Gの先端が検知されたか否かを判断する(ステップS103)。制御部50は、検知センサ28が原稿先端を検知するまで待機し、検知センサ28が原稿Gの先端を検知すると、イメージセンサ43による画像読み取り動作を開始するまでの時間カウント動作を開始して次のステップに進む。
【0059】
次に制御部50は、時間カウント動作によるカウント値に基づき、読取速度で搬送される原稿Gが振動監視領域に到達したか否かを判断する(ステップS104)。制御部50は、時間カウント動作によるカウント値が原稿Gの振動監視領域到達を示す値になるまで待機し、カウント値がその値になれば、振動監視機能をオン状態とする。これにより、各振動検知センサ10の出力信号を監視する状態となる。例えば、振動監視機能がオン状態となった時点での、各振動検知センサ10の出力信号を初期状態としてRAM52などに記憶しておき、その後の各振動検知センサ10の出力信号をこの初期状態と比較することにより出力信号の変化を検知することができる。
【0060】
制御部50は、振動検知センサ10の出力信号に変化があったか否かを判断し(ステップS106)、変化がなければ、読取速度で搬送される原稿Gが画像読取位置P1に到達したか否かを判断する(ステップS107)。ステップS107での判断は、時間カウント動作に基づくカウント値が所定時間Δt1(図5参照)になったか否かを判断することにより行われる。そして未だ原稿Gが画像読取位置P1に到達していない場合、ステップS106に戻り、振動検知センサ10の出力信号変化の有無の判断と、画像読取位置P1に到達したか否かの判断とを繰り返す。
【0061】
振動検知センサ10の出力信号に変化がない状態で、原稿Gの先端が画像読取位置P1に到達した場合(ステップS107でYES)、制御部50は画像読取部3による画像読取処理を開始する(ステップS108)。つまり、イメージセンサ43を制御することにより、読取速度で画像読取位置P1を通過する原稿Gの画像を1ライン分ずつ順次に読み取っていく画像読み取り動作を開始する。
【0062】
そして制御部50は、原稿Gの画像読み取り動作が終了したか否かを判断する(ステップS109)。ここでの判断は、例えば、読取速度で搬送される原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過すればYESとなり、未だ原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過していなければNOとなる。そして原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過していれば画像読み取り動作を終了して、全ての処理を終了する。一方、未だ、原稿Gの後端が画像読取位置P1を通過してなく、原稿Gの画像読み取り動作を継続させることが必要な場合は、ステップS106に戻って振動検知センサ10の出力信号変化の有無の判断を行う。尚、イメージセンサ43による原稿Gの画像読み取り動作を開始した後のステップS107の判断では、常にYESと判断される。そして原稿Gの画像の読み取り動作が終了するまでの間、ステップS106における振動検知センサ10の出力信号変化の有無の判断が繰り返し行われる。
【0063】
原稿Gの画像の読み取り動作が終了するまでの間に繰り返し行われるステップS106において、毎回、振動検知センサ10の出力信号変化なしと判断された場合、その画像読み取り動作はステップS109において正常に終了する。これに対し、ステップS106において振動検知センサ10の出力信号に変化がありと判断された場合、制御部50による処理はステップS110に進む。
【0064】
振動検知センサ10の出力信号が変化した場合、制御部50は、イメージセンサ43による画像読み取り動作を開始していれば、その動作を中止する(ステップS110)。このとき、既に読み取った少なくとも1ライン分の画像があれば、それを破棄する。そして制御部50は原稿再読取処理を実行する(ステップS111)。
【0065】
図14及び図15は、この原稿再読取処理(ステップS111)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部50は、この原稿再読取処理を開始すると、搬送モータ34の速度を高速に切り替える(ステップS201)。これにより、搬送ユニット2b内を搬送されている原稿Gの搬送速度が読取速度よりも高速になる。制御部50は、原稿Gの高速搬送を行いつつ、原稿Gの後端が所定のスイッチバック位置P2に到達したか否かを監視し(ステップS202)、スイッチバック位置P2に到達すれば(ステップS202でYES)、搬送モータ34を停止させる(ステップS203)。そして直ちに搬送モータ34の逆転駆動を高速設定のままで開始する(ステップS204)。これにより、原稿Gは読取速度よりも高速で反転路33を搬送され、1回目の表裏反転が行われる。
【0066】
制御部50は、反転路33を高速搬送中の原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置に到達したか否かを判断し(ステップS205)、到達すれば搬送モータ34の逆転駆動を停止する(ステップS206)。その後、制御部50は、直ちに搬送モータ34の正転駆動を高速設定のままで開始する(ステップS207)。これにより、原稿Gは読取速度よりも高速で第1搬送路29及び第2搬送路30を搬送される。
【0067】
そして制御部50は、原稿Gの高速搬送を行いつつ、原稿Gの後端が再びスイッチバック位置P2に到達したか否かを監視し(ステップS208)、スイッチバック位置P2に到達すれば(ステップS208でYES)、搬送モータ34の正転駆動を停止させる(ステップS209)。そして直ちに搬送モータ34の逆転駆動を高速設定のままで再び開始する(ステップS210)。これにより、原稿Gは再び読取速度よりも高速で反転路33を搬送され、2回目の表裏反転が行われる。そして図15のフローチャートに進む。
【0068】
制御部50は、2回目の反転路33を高速搬送中である原稿Gの先端が搬送ローラ27の位置に到達したか否かを判断し(ステップS211)、到達すれば搬送モータ34の逆転駆動を停止する(ステップS206)。そして制御部50は、搬送モータ34の速度を読取速度(低速)に切り替える(ステップS213)。これにより、搬送ユニット2b内を搬送される原稿Gの搬送速度が低速の読取速度となる。そして制御部50は、直ちに搬送モータ34の正転駆動を開始する(ステップS214)。これにより、原稿Gは読取速度で第1搬送路29及び第2搬送路30を搬送されていく。以上で、原稿再読取処理(ステップS111)が終了し、その後は図13のステップS103に戻ってそれ以降の処理が行われる。したがって、その後、振動検知センサ10の出力信号に変化がなければ、原稿Gが画像読取位置P1を通過するときにイメージセンサ43による画像読み取りが行われ、正常な画像データが取得される。
【0069】
以上のような処理手順により、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿Gの読み取り動作中に振動の発生が検知された場合、画像読取部3による原稿Gの画像読み取り動作を中止し、自動原稿搬送装置2における一連の連続した動作で画像読み取りを中止した原稿Gを2回反転させてから画像読取位置P1に再び搬送し、画像読み取り動作を中止した原稿Gの画像読み取り動作を始めから行うことができる。そのため、原稿Gの読み取り途中で、ユーザが給紙用カセットトレイ6a,6b,6cに対する出力用紙の補給作業やトナー交換作業、或いは紙詰まりの除去作業などを開始した場合でも、画像形成装置1は、それらの作業が終了まで待つことなく、原稿Gを2回反転させてから原稿Gの画像読み取り動作を行うので、原稿Gの読み取りを効率的に終了させることができる。また原稿Gを2回反転させる際の自動原稿搬送装置2における搬送速度は読取速度よりも高速に設定されるので、原稿Gの2回反転動作を効率的に行うことも可能である。
【0070】
またユーザが上記のような作業を行う際の給紙用カセットトレイ6a,6b,6cの引き抜き操作などに伴い、画像形成装置1には振動が発生するが、その後に行う原稿Gの2回反転動作の間に、画像形成装置1に発生した振動は十分に減衰していると考えられるので、原稿Gを2回反転させた後に速やかに原稿Gの画像読み取り動作を行っても振動による影響は生じない。それ故、本実施形態の画像形成装置1は、原稿Gを読み取って取得する画像に対して振動による歪みや色ずれ等が発生することを良好に防止し、しかも効率的に原稿Gの画像読み取り動作を完了させることができるように構成されている。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。すなわち、本発明には種々の変形例が適用可能である。
【0072】
例えば上述の実施形態では、画像形成装置1が卓上設置タイプの比較的小型の画像形成装置として構成される場合を例示したが、本発明は必ずしも卓上設置タイプのような小型の画像形成装置に限定されない。また、上述の実施形態では、振動検知センサ10の一例として、給紙カセット挿抜センサ11と、正面カバー開閉センサ12と、側面カバー開閉センサ13とを例示したが、これら以外のセンサを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】画像形成装置の一構成例を示す図である。
【図2】原稿画像読取部の内部構造の一例を示す図である。
【図3】画像形成装置の開閉部分の一例を示す図である。
【図4】画像形成装置における制御機構を示すブロック図である。
【図5】振動監視機能による監視期間の一例を示す図である。
【図6】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第1の図である。
【図7】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第2の図である。
【図8】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第3の図である。
【図9】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第4の図である。
【図10】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第5の図である。
【図11】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第6の図である。
【図12】自動原稿搬送装置による原稿搬送を開始してからの一連動作を示す第7の図である。
【図13】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
2 自動原稿搬送装置(自動原稿搬送手段)
2a 原稿トレイ
3 画像読取部(画像読取手段)
5 画像形成部(画像形成手段)
5a 正面カバー(開閉カバー)
5b 側面カバー(開閉カバー)
6 給紙部
6a,6b,6c 給紙用カセットトレイ(カセットトレイ)
10 振動検知センサ(振動検知手段)
11 給紙カセット挿抜センサ(挿抜検知手段)
12 正面カバー開閉センサ(開閉検知手段)
13 側面カバー開閉センサ(開閉検知手段)
50 制御部(振動監視手段、制御手段)
P1 画像読取位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、
原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段と、
前記画像読取手段による画像読み取り動作と並行して、画像を出力用紙に記録可能な画像形成手段と、
前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動発生の有無を監視する振動監視手段と、
前記振動監視手段により振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
装置正面又は側面に設けられた装置内部を開放するための開閉カバーと、
前記開閉カバーの開閉状態を検知して開閉状態に応じた信号を出力する開閉検知手段と、
をさらに備え、
前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記開閉検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置正面又は側面に対して挿抜可能なカセットトレイと、
前記カセットトレイの挿抜状態を検知して挿抜状態に応じた信号を出力する挿抜検知手段と、
をさらに備え、
前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記挿抜検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記振動監視手段による監視期間は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の先端が前記画像読取位置に到達する所定時間前から、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作が終了するまでの期間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段とを備えた画像形成装置における原稿の画像読み取り方法であって、
前記自動原稿搬送手段による原稿の搬送を開始するステップと、
前記画像形成装置における振動発生の監視を開始するステップと、
前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿が前記画像読取位置に到達するときに、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を開始するステップと、
少なくとも前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作中に、前記画像形成装置における振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始するステップと、
を有することを特徴とする、画像形成装置における原稿の画像読み取り方法。
【請求項1】
原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、
原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段と、
前記画像読取手段による画像読み取り動作と並行して、画像を出力用紙に記録可能な画像形成手段と、
前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、振動発生の有無を監視する振動監視手段と、
前記振動監視手段により振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
装置正面又は側面に設けられた装置内部を開放するための開閉カバーと、
前記開閉カバーの開閉状態を検知して開閉状態に応じた信号を出力する開閉検知手段と、
をさらに備え、
前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記開閉検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置正面又は側面に対して挿抜可能なカセットトレイと、
前記カセットトレイの挿抜状態を検知して挿抜状態に応じた信号を出力する挿抜検知手段と、
をさらに備え、
前記振動監視手段は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の読み取り動作中、前記挿抜検知手段からの出力信号が変化した場合に振動の発生を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記振動監視手段による監視期間は、前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿の先端が前記画像読取位置に到達する所定時間前から、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作が終了するまでの期間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段と、原稿トレイに載置された原稿を自動給紙して前記画像読取手段による画像読取位置に搬送すると共に、前記画像読取位置を通過した原稿を反転させて再度前記画像読取位置に搬送可能な自動原稿搬送手段とを備えた画像形成装置における原稿の画像読み取り方法であって、
前記自動原稿搬送手段による原稿の搬送を開始するステップと、
前記画像形成装置における振動発生の監視を開始するステップと、
前記自動原稿搬送手段によって搬送される原稿が前記画像読取位置に到達するときに、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を開始するステップと、
少なくとも前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作中に、前記画像形成装置における振動の発生が検知された場合、前記画像読取手段による原稿の画像読み取り動作を中止し、前記自動原稿搬送手段における連続した動作で画像読み取りを中止した原稿を二回反転させてから前記画像読取位置に再び搬送することにより、画像読み取り動作を中止した原稿の画像読み取り動作を始めから開始するステップと、
を有することを特徴とする、画像形成装置における原稿の画像読み取り方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−141637(P2010−141637A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316440(P2008−316440)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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