画像形成装置および露光装置
【課題】露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制する。
【解決手段】進退機構17は、露光部材の一例としてのLPH(LED Print Head)を支持する昇降部材306と、回転により昇降部材306を介してLPHを退避位置と露光位置との間で移動させるフロントカム305Fおよびリアカム305Rと、フロントカム305Fおよびリアカム305Rを回転させる第2リンク部材302とを有している。昇降部材306にはフロントカム305Fのフロント軸およびリアカム305Rのリア軸が貫通するフロント長穴およびリア長穴が形成されており、これらフロント長穴およびリア長穴は、Z方向に向かってX方向に傾斜するように設けられる。
【解決手段】進退機構17は、露光部材の一例としてのLPH(LED Print Head)を支持する昇降部材306と、回転により昇降部材306を介してLPHを退避位置と露光位置との間で移動させるフロントカム305Fおよびリアカム305Rと、フロントカム305Fおよびリアカム305Rを回転させる第2リンク部材302とを有している。昇降部材306にはフロントカム305Fのフロント軸およびリアカム305Rのリア軸が貫通するフロント長穴およびリア長穴が形成されており、これらフロント長穴およびリア長穴は、Z方向に向かってX方向に傾斜するように設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたプリンタや複写機等の画像形成装置において、感光体ドラム等の像保持体上を露光する露光部材として、近年、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子をライン状に配列した発光素子アレイを用いたものが提案されている。
このような画像形成装置では、露光部材の光軸方向において、像保持体に対し露光部材を位置決めすることが要請される。
【0003】
公報記載の従来技術として、像保持体に対し露光部材をその光軸方向に進退させる進退機構を用い、像保持体に露光部材を押し付けることで、露光部材の光軸方向の位置決めを行う技術が記載されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明は、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を露光する露光部材と、前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段とを含む画像形成装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記案内手段は、前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光部材から前記像保持体に向かう方向に対し予め決められた側に傾斜した方向に前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記案内手段は、前記支持部材を直線状に案内することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記案内手段は、前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、前記角度差が線形に変化するように前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記案内手段は、前記支持部材を介して前記待避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光位置にて前記角度差が最小となるように当該支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項6記載の発明は、像保持体を露光する露光部材と、前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段とを含む露光装置である。
【0009】
請求項7記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を露光する露光部を有する露光部材と、予め決められた待避位置から前記露光部の光軸方向である第1の方向に前記露光部材を移動させて前記像保持体に対し当該露光部を予め決められた露光位置に進出させ、当該露光位置から当該第1の方向とは逆方向に当該露光部材を移動させて当該露光部を当該待避位置に待避させる進退機構とを備え、前記進退機構は、前記像保持体の軸線方向のうち当該像保持体の一端側から他端側に向かう第2の方向に沿って設けられ、前記像保持体に対する位置が固定される筐体と、前記第1の方向および前記第2の方向に交差する第3の方向に伸び且つ前記筐体に位置が固定された状態で取り付けられる軸と、当該軸を中心として回転する回転体とを備える回転部材と、前記回転部材の前記軸が貫通する長穴を備え、前記露光部材を搭載するとともに前記回転部材の前記回転体に連結され、当該回転体の回転に伴って当該露光部材を前記待避位置あるいは前記露光位置に移動させる搭載部材とを含み、前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる際に前記回転部材を介して当該搭載部材が受ける力の向きと当該搭載部材に設けられた前記長穴の向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さいことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項8記載の発明は、前記搭載部材に設けられる前記長穴は、前記第1の方向に向かい且つ前記第2の方向または当該第2の方向とは逆方向のいずれか一方に傾斜して形成されることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置である。
請求項9記載の発明は、前記搭載部材に設けられる前記長穴が直線形状を有していることを特徴とする請求項7または8記載の画像形成装置である。
請求項10記載の発明は、前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる間に、当該露光位置にて前記角度差が最小となることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、支持部材が受ける力の向きと支持部材が移動する向きとの角度差が、退避位置よりも露光位置において大きくなる場合と比較して、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、露光部材から像保持体に向かう方向に対し予め決められた側に傾斜した方向およびこれとは逆側に傾斜した方向の両方向に支持部材を案内する場合と比較して、露光部材の移動中において露光部材の位置がずれるのを抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、支持部材を非直線状に案内する場合と比較して、支持部材の案内をより容易に行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、角度差が非線形に変化するように支持部材を案内する場合と比較して、露光部材の位置決めにおける位置ずれを抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、露光位置にて角度差が最小とならないように支持部材を案内する場合と比較して、露光部材の位置決めにおける位置ずれをさらに抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、支持部材が受ける力の向きと支持部材が移動する向きとの角度差が、退避位置よりも露光位置において大きくなる場合と比較して、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、搭載部材が受ける力の向きと搭載部材に設けられた長穴の向きとの角度差が、退避位置よりも露光位置において大きくなる場合と比較して、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することができる。
請求項8記載の発明によれば、搭載部材に設けられる長穴が第1の方向に向かい且つ第2の方向および第2の方向とは逆方向の両方に傾斜して形成される場合と比較して、露光部材の移動中において露光部材の位置がずれるのを抑制することができる。
請求項9記載の発明によれば、搭載部材を非直線状に案内する場合と比較して、搭載部材の案内をより容易に行うことができる。
請求項10記載の発明によれば、露光位置にて角度差が最小とならないように搭載部材を案内する場合と比較して、露光部材の位置決めにおける位置ずれをさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図2】LPHの構成を示した断面図である。
【図3】LED回路基板の平面図である。
【図4】LEDチップ、信号生成回路およびレベルシフト回路の回路構成を示す図である。
【図5】感光体モジュールおよび露光モジュールが画像形成装置に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】図5におけるフロント側の拡大図である。
【図7】図5におけるリア側の拡大図である。
【図8】感光体モジュールの構成を示す斜視図である。
【図9】露光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図10】露光モジュールにおけるLPHの構成を示す斜視図である。
【図11】露光モジュールにおける進退機構の構成を示す斜視図である。
【図12】進退機構に設けられたフロント規制部材を説明するための図である。
【図13】進退機構に設けられた昇降部材の構成を示す斜視図である。
【図14】進退機構に設けられた昇降部材の構成を示す正面図である。
【図15】進退機構に設けられたカム(フロントカム、リアカム)の構成を示す斜視図である。
【図16】(a)は進退機構をZ方向からみた上面図、(b)は進退機構をY方向からみた側面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図17】進退機構におけるリンク機構の主要部を示す斜視図である。
【図18】進退機構における昇降部材、フロントカムおよびフロントコイルバネの位置関係を示す斜視図である。
【図19】フロント位置決め部材の構成を示す斜視図である。
【図20】リア保持部材の構成を示す斜視図である。
【図21】(a)〜(c)は露光位置、待機位置および退避位置のそれぞれにおける進退機構の状態を説明するための図である。
【図22】退避位置に設定を行った場合における進退機構のフロント側の状態を説明するための図である。
【図23】退避位置に設定を行った場合における進退機構のリア側の状態を説明するための図である。
【図24】露光位置に設定を行った場合における進退機構のフロント側の状態を説明するための図である。
【図25】露光位置に設定を行った場合における進退機構のリア側の状態を説明するための図である。
【図26】退避位置から露光位置に向けて進退機構を動作させる場合に、進退機構のフロント側において、フロントカムを介して昇降部材が受ける力の向きと受けた力によって昇降部材が移動する向きとの関係を説明するための図である。
【図27】退避位置から露光位置に向けて進退機構を動作させる場合に、進退機構のリア側において、リアカムを介して昇降部材が受ける力の向きと受けた力によって昇降部材が移動する向きとの関係を説明するための図である。
【図28】(a)はフロントカムの回転角度と、フロントカムを介して昇降部材が受ける力の向きおよび受けた力によって昇降部材が移動する向きの角度差との関係を示す図であり、(b)は角度差と、昇降部材の上昇動作に伴ってフロントカムに設けられたフロント軸および昇降部材に設けられたフロント長穴の内壁との間に働く摩擦力との関係を示す図である。
【図29】本実施の形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成の一例を示した図である。同図に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置4等といった外部装置に接続され、これらから受信された画像データに対して画像処理を施す画像処理部35、各部に電力を供給する主電源36を備えている。
【0014】
画像形成プロセス部10には、一定の間隔を置いて並列的に配置される4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11K(以下、総称して単に「画像形成ユニット11」とも称する)が備えられている。各画像形成ユニット11は、回転可能に配置され静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光部材の一例としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16を備えている。なお、本実施の形態における感光体ドラム12は、不図示の回転軸を備え、その軸方向が画像形成装置1のフロント側(図中手前側)からリア側(図中奥側)に向くように配置されている。
【0015】
さらに、各画像形成ユニット11は、LPH14を、感光体ドラム12を露光する露光位置まで進出させ、また、LPH14を、この露光位置よりも感光体ドラム12から離隔した退避位置に退避させる進退機構17を備えている。ここで、各画像形成ユニット11は、現像器15に収納されるトナーを除いて、同じ構成を有している。そして、各画像形成ユニット11は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0016】
さらに、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20、各画像形成ユニット11による各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写させる一次転写ロール21、中間転写ベルト20上に転写された重畳トナー像を記録材である用紙に一括転写させる二次転写ロール22、二次転写された画像を用紙上に定着させる定着器45を備えている。
【0017】
ここで、各画像形成ユニット11において、感光体ドラム12、帯電器13およびクリーナ16は、一体化されたモジュール(以下、感光体モジュールPMと称する:後述する図5を参照)として構成されている。そして、感光体モジュールPMは画像形成装置1に対して着脱自在に構成され、感光体ドラム12の寿命等に応じて交換される。なお、感光体モジュールPMは、帯電器13やクリーナ16を含まない感光体ドラム12のみの構成を採用してもよいし、帯電器13やクリーナ16に加えさらに現像器15を一体化した構成を採用してもよい。すなわち、寿命が他の構成要素と比較して短い感光体ドラム12を含んだものであれば、如何なる構成要素との組み合わせによっても感光体モジュールPMを構成してよいが、本実施の形態では、感光体モジュールPMとLPH14とを別体とした構成を前提としている。
また、各画像形成ユニット11において、LPH14および進退機構17も、一体化されたモジュール(以下、露光モジュールEMと称する:後述する図5を参照)として構成されている。そして、露光装置の一例としての露光モジュールEMも画像形成装置1に対して着脱自在に構成されている。なお、これら感光体モジュールPMおよび露光モジュールEMの詳細な構成については後述する。
【0018】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。すなわち、制御部30による制御の下で、PC3や画像読取装置4から入力された画像データは、画像処理部35によって画像処理が施され、不図示のインターフェースを介して各画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め決められた電位に帯電され、画像処理部35から送信された画像データに基づいて発光するLPH14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0019】
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に、一次転写ロール21により順次静電吸引されて、各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動に伴って二次転写ロール22が配置された領域(二次転写部T)に搬送される。合成トナー像が二次転写部Tに搬送されると、合成トナー像が二次転写部Tに搬送されるタイミングに合わせて用紙が用紙保持部40から二次転写部Tに供給される。そして、二次転写部Tにて二次転写ロール22により形成される転写電界により、合成トナー像は搬送されてきた用紙上に一括して静電転写される。
【0020】
その後、合成トナー像が静電転写された用紙は、中間転写ベルト20から剥離され、定着器45まで搬送される。定着器45に搬送された用紙上の合成トナー像は、定着器45によって熱および圧力による定着処理を受けて用紙上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙は、画像形成装置1の排出部に設けられた排紙積載部41に搬送される。
一方、二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(転写残トナー)は、二次転写の終了後に中間転写ベルト20表面からベルトクリーナ25によって除去され、次の画像形成サイクルに備える。このようにして、画像形成装置1での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返して実行される。
【0021】
図2は、LPH14の構成を示した断面図である。このLPH14は、図1に示す画像形成装置1において感光体ドラム12の下方に配置され、下方から感光体ドラム12を露光する。図2に示すように、LPH14は、ハウジング61、LEDアレイ63、LEDアレイ63やLEDアレイ63を駆動する信号生成回路70(後段の図3参照)等を搭載するLED回路基板62、LEDアレイ63からの光を感光体ドラム12表面に結像させるロッドレンズアレイ64、ロッドレンズアレイ64を支持するとともにLEDアレイ63を外部から遮蔽するホルダ65を備えている。なお、本実施の形態では、LEDアレイ63やロッドレンズアレイ64等によって露光部が形成されている。
【0022】
ハウジング61は、アルミニウム、SUS等の金属のブロックまたは板金で形成され、LED回路基板62を支持している。ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向に沿って配置されるとともに、感光体ドラム12の回転方向に幅を有して形成されている。また、ロッドレンズアレイ64は、正立等倍実像を形成する屈折率分布型レンズを複数並べて構成される。ホルダ65は、長尺状に形成されるとともに感光体ドラム12の軸方向に沿って配置されている。また、ホルダ65は、ハウジング61およびロッドレンズアレイ64を支持し、LEDアレイ63の発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。さらに、ホルダ65はLEDアレイ63を密閉するように構成されている。これにより、LEDアレイ63に外部からゴミが付着し難い構成を実現している。また、ホルダ65は、幅方向の両側面に、長手方向(感光体ドラム12の軸方向)に沿って配置され、後述するスライド部材67(後段の図10参照)のスライドを案内するガイド溝65aを備えている。
【0023】
LED回路基板62には、図3(LED回路基板62の平面図)に示したように、例えば58個のLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)からなるLEDアレイ63が、感光体ドラム12の軸線方向と平行になるように精度よくライン状に配置されている。この場合、各LEDチップ(CHIP1〜CHIP58)に配置された発光素子(LED)の配列の端部境界において、各LEDがLEDチップ同士の連結部で連続的に配置されるように、各LEDチップは交互に千鳥状に配置されている。
また、LED回路基板62には、各LEDチップを駆動する駆動信号を生成する信号生成回路70およびレベルシフト回路74、予め定められた電圧を出力する3端子レギュレータ71、各LEDチップを構成する各LEDの光量補正データ等を記憶するEEPROM72、制御部30および画像処理部35(図1参照)との間で信号の送受信や主電源36からの電力供給を受けるハーネス73が備えられている。なお、図3に示す信号生成回路70、3端子レギュレータ71、EEPROM72、ハーネス73およびレベルシフト回路74は、必ずしもLED回路基板62に取り付けられている必要はなく、他の基板に取り付けられていてもよい。
【0024】
ここで、図4は、LEDチップ、信号生成回路70およびレベルシフト回路74の回路構成を示す図である。このLEDチップでは、信号生成回路70およびレベルシフト回路74を介して各種駆動信号が供給される。すなわち、信号生成回路70は、LEDチップに配置された各々のLEDの並びに沿って順次点灯可能状態に設定する転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cと、画像処理部35(図1参照)からの画像データに基づき各LEDを順次点灯する点灯信号ΦIとを生成する。そして、転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cをレベルシフト回路74に出力し、点灯信号ΦIをLEDチップに出力する。
レベルシフト回路74は、抵抗R1BとコンデンサC1、および抵抗R2BとコンデンサC2とがそれぞれ並列に接続された構成を有し、それぞれの一端がLEDチップの入力端子に接続され、他端が信号生成回路70の出力端子に接続されている。そして、レベルシフト回路74は、信号生成回路70から出力される転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cに基づいて転送信号CK1および転送信号CK2を生成し、LEDチップに出力する。
【0025】
一方、本実施の形態のLEDチップは、例えばスイッチ素子としての128個のサイリスタS1〜S128、発光素子としての128個のLED L1〜L128、128個のダイオードD1〜D128、128個の抵抗R1〜R128、さらには信号ラインΦ1、Φ2に過剰な電流が流れるのを防止する転送電流制限抵抗R1A、R2Aを主な構成要素としている。
そして、各サイリスタS1〜S128のアノード端子A1〜A128は電源ライン55に接続され、電源ラインを介して3端子レギュレータ71(図3参照)から駆動電圧VDD(VSS=+3.3V)が供給される。一方、サイリスタS1〜S128のゲート端子G1〜G128は、各サイリスタS1〜S128に対応して設けられた抵抗R1〜R128を介して電源ライン56に各々接続され、電源ライン56を介して接地されている。
【0026】
また、奇数番目のサイリスタS1、S3、…、S127のカソード端子K1、K2、…、K127には、信号生成回路70およびレベルシフト回路74からの転送信号CK1が転送電流制限抵抗R1Aを介して送信される。偶数番目のサイリスタS2、S4、…、S128には、信号生成回路70およびレベルシフト回路74からの転送信号CK2が転送電流制限抵抗R2Aを介して送信される。さらに、LED L1〜L128のカソード端子は信号生成回路70に接続されて点灯信号ΦIが送信される。
【0027】
そして、この信号生成回路70は、転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cをそれぞれ予め決められたタイミングでハイレベル(以下、「H」と記す)からローレベル(以下、「L」と記す)、また、「L」から「H」に設定する。これにより、レベルシフト回路74から出力される転送信号CK1の電位を「H」から「L」、「L」から「H」に繰り返し設定し、且つ、それに交互して出力される転送信号CK2の電位を「H」から「L」、「L」から「H」に繰り返し設定することで、例えば各LEDチップでは、奇数番目サイリスタS1、S3、…、S127を順次オフ→オン→オフさせる転送動作を行わせる。また、偶数番目のサイリスタS2、S4、…、S128を順次オフ→オン→オフの転送動作を行わせる。それにより、サイリスタS1〜S128をS1→S2→、…、→S127→S128の順番で順次オフ→オン→オフさせる転送動作を行わせ、それに同期させて、点灯信号ΦIを出力する。これによって、LED L1〜L128は、L1→L2→、…、→L127→L128の順番で順次点灯する。
【0028】
その場合に、LPH14からの露光は、形成される画像(静電潜像)に傾きや歪み等が生じないように、感光体ドラム12の軸線に対して平行に行われることが好ましい。そのため、LPH14が画像形成装置1に設置されるに際しては、感光体ドラム12の軸線に対して高精度に位置設定されることが要求される。ここで、感光体ドラム12(像保持体)の軸線とは、本実施の形態の感光体ドラム12のように像保持体が円筒形状である場合には、感光体ドラム12の回転軸の中心線が軸線である。また、例えば像保持体がベルト形状の感光体(ベルト感光体)であって、ベルト感光体の平面部に露光が行われる場合には、ベルト感光体表面の移動方向に直交し、かつ、露光領域におけるベルト感光体表面に平行な方向に向かう線が軸線である。
【0029】
続いて、画像形成装置1におけるLPH14の位置決め機構について説明する。
図5は、感光体ドラム12を備えた感光体モジュールPMと、LPH14および進退機構17を備えた露光モジュールEMとが、画像形成装置1に取り付けられた状態を示す斜視図である。なお、図5においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側であって感光体モジュールPMが着脱操作される側であり、図面の右側が画像形成装置1のリア側であって画像形成装置1に取り付けられた駆動モータ(図示せず)からの駆動が感光体ドラム12等に伝達される側である。また、図5は、露光モジュールEMを構成するLPH14が、上述した露光位置にセットされた状態を示している。そして、図6は図5におけるフロント側の拡大図であり、図7は図5におけるリア側の拡大図である。
【0030】
また、図8は感光体モジュールPMの構成を示す斜視図である。なお、図8においては、図面の左下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0031】
さらに、図9は露光モジュールEMの構成を、図10は露光モジュールEMにおけるLPH14の構成を、図11は露光モジュールEMにおける進退機構17の構成を、それぞれ示す斜視図である。さらにまた、図12は進退機構17に設けられたフロント規制部材178F(後述)を説明するための図である。
【0032】
なお、図9においては、図面の右下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。また、図10においては、図面の右下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。さらに、図11においては、図面の右上側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左下側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。そして、図12においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0033】
また、図13は進退機構17に設けられた昇降部材306(後述)の構成を示す斜視図であり、図14は昇降部材306の正面図である。さらに、図15は進退機構17に設けられたカム305(フロントカム305F、リアカム305R:後述)の構成を示す斜視図である。
【0034】
なお、図13においては、図面の左上側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右下側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。また、図14においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。さらに、図15においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0035】
また、図16(a)は進退機構17をZ方向からみた上面図、図16(b)は進退機構17をY方向からみた側面図、図16(c)は図16(a)のA−A断面図である。さらに、図17は進退機構17におけるリンク機構173(後述)の主要部を示す斜視図である。そして、図18は、進退機構17における昇降部材306、フロントカム305Fおよびフロントコイルバネ304F(後述)の位置関係を示す斜視図である。ただし、図18は、進退機構17が露光位置に設定される場合の位置関係を示している。
【0036】
なお、図16においては、図面の右側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。また、図17においては、図面の左下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。さらに、図18においては、図面の左上側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右下側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0037】
以下の説明においては、図5等に示すLPH14におけるロッドレンズアレイ64の光軸方向をZ方向(第1の方向に対応)と呼ぶ。また、主走査方向すなわち感光体ドラム12の軸方向をX方向(第2の方向に対応)と呼ぶ。さらに、副走査方向すなわちX方向およびZ方向の双方に直交する方向をY方向(第3の方向に対応)と呼ぶ。
【0038】
最初に、図5〜図8を参照しつつ、感光体モジュールPMの構成について説明する。
像保持体モジュールの一例としての感光体モジュールPMは、上述した感光体ドラム12、帯電器13およびクリーナ16に加え、これらを保持するためのフロントハウジング81Fおよびリアハウジング81Rをさらに備えている。なお、これらフロントハウジング81Fおよびリアハウジング81Rは、X方向に沿って伸び帯電器13やクリーナ16(ともに図示せず)を覆う接続ハウジング81Mと一体化されている。
【0039】
また、感光体モジュールPMにおいて、フロントハウジング81Fのフロント側にはプレート82が取り付けられており、プレート82のフロント側には感光体モジュールPMの着脱操作に用いられるハンドルを備えたカバー83が取り付けられている。そして、プレート82のリア側の下方には、LPH14のY方向の位置決めに使用されるフロント位置決め部材84が取り付けられている。また、このプレート82には複数の穿孔が形成されている。プレート82に設けられた複数の穿孔の一部は、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入して取り付けを行った際に、画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)に取り付けられたフロントピン1Fにはめ込まれることで、画像形成装置1に対する感光体モジュールPMのフロント側の位置決めを行う。
【0040】
一方、感光体モジュールPMのリア側において、感光体ドラム12、帯電器13、クリーナ16等には画像形成装置1から駆動力を受けるための被駆動部が形成されている。この被駆動部はカップリング部材等にて構成されており、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入して取り付けを行った際に、画像形成装置1のリア側に設けられた駆動部のカップリング部材にはめ込まれる。また、感光体モジュールPMのリア側において、リアハウジング81Rのリア側にはリング状部材85が取り付けられている。このリング状部材85は、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入して取り付けを行った際に、画像形成装置1のリア側のフレーム(図示せず)にはめ込まれることで、画像形成装置1に対する感光体モジュールPMのリア側の位置決めを行う。
【0041】
また、感光体モジュールPMにおいて、感光体ドラム12のX方向両端部には円筒状のフロントフランジ121F、リアフランジ121Rがそれぞれ圧入されており、これらフロントフランジ121F、リアフランジ121Rは、それぞれ、カバー83、リング状部材85に回転可能に支持される。そして、これらフロントフランジ121F、121Rには、それぞれ、支持部材の一例としてのフロントボールベアリング(以下、フロントBBと称する)122F、リアボールベアリング(以下、リアBBと称する)122Rが外装されている。
【0042】
なお、本実施の形態において、フロントBB122Fはフロントフランジ121Fに対してわずかな隙間をもって取り付けられており、リアBB122Rはリアフランジ121Rに対してわずかな隙間をもって取り付けられている。一方、フロントBB122Fはフロントハウジング81Fに、リアBB122Rはリアハウジング81Rに、それぞれ密着して取り付けられている。したがって、フロントBB122Fはフロントハウジング81Fに、リアハウジング122Rはリアハウジング81Rに、それぞれ固定されている。
【0043】
ここで、フロントBB122Fはフロントハウジング81Fに収容されているが、現像器15(図1参照)と対向する位置およびLPH14と対向する位置には開口が形成されている。一方、リアBB122Rはリアハウジング81Rに収容されているが、フロントハウジング81Fと同様、現像器15(図1参照)と対向する位置およびLPH14と対向する位置には開口が形成されている。したがって、LPH14および現像器15と対向する位置では、フロントBB122FおよびリアBB122Rの外周面が露出している。そして、本実施の形態では、これらフロントBB122FおよびリアBB122Rが、後述するLPH14のZ方向の位置決めに用いられる。また、これらフロントBB122FおよびリアBB122Rは、現像器14(図1参照)を構成する現像ロールの位置決めにも使用される。
【0044】
次に、図5〜図7および図9〜図18を参照しつつ、露光モジュールEMの構成について説明する。
露光モジュールEMは、上述したようにLPH14および進退機構17を備えており、進退機構17のリア側が画像形成装置1のリア側のフレーム(図示せず)に取り付けられたリア保持部材1Rに保持されることで、画像形成装置1に対する進退機構17のリア側の位置決めを行う。また、進退機構17のフロント側下部には、複数の穿孔が形成された固定用プレート176が取り付けられている。この固定用プレート176に設けられた複数の穿孔の一部は、画像形成装置1のフロント側から露光モジュールEMを挿入して取り付けを行った後、画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)にネジ止めされることで、画像形成装置1に対する進退機構17のフロント側の位置決めを行う。この露光モジュールEMでは、このようにして画像形成装置1に進退機構17が固定された状態において、進退機構17により、LPH14がZ方向すなわち露光位置と退避位置との間で移動するように構成されている。そして、LPH14が退避位置から露光位置へと移動するに際して、感光体ドラム12に対するLPH14のZ方向の位置決めがなされる。
【0045】
続いて、主として図10を参照しつつ、LPH14の構成について説明を行う。
LPH14のハウジング61のフロント側には、LPH14のフロント側のZ方向の位置を定める第1フロント位置決めピン611Fと、LPH14のフロント側のX方向およびY方向の位置を定める第2フロント位置決めピン612Fとが取り付けられている。一方、LPH14のハウジング61のリア側には、LPH14のリア側のZ方向の位置を定める第1リア位置決めピン611Rと、LPH14のリア側のX方向およびY方向の位置を定める第2リア位置決めピン612Rとが取り付けられている。
【0046】
ここで、第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611R、第2フロント位置決めピン612F、第2リア位置決めピン612Rは、それぞれ、円柱状の金属棒で構成されている。これらのうち、第1フロント位置決めピン611Fおよび第1リア位置決めピン611Rは、X方向に伸びるハウジング61から感光体モジュールPMと対向する側(Z方向)およびその逆側(−Z方向)の両側に向けて突出形成されている。また、これら第1フロント位置決めピン611Fおよび第1リア位置決めピン611Rの先端部は半球状の形状を有している。一方、第2フロント位置決めピン612Fおよび第2リア位置決めピン612Rも、ハウジング61から感光体モジュールPMと対向する側(Z方向)およびその逆側(−Z方向)の両側に向けて突出形成されている。ただし、これら第2フロント位置決めピン612Fおよび第2リア位置決めピン612Rの両先端部は平面状の形状を有している。
【0047】
さらに、これら第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611R、第2フロント位置決めピン612F、第2リア位置決めピン612Rは、各々の中心軸がLEDチップ(CHIP1〜CHIP58:図3参照)の配列方向に沿って配列されたロッドレンズアレイ64の配列線の上となる部位に配置されている。そして、第1フロント位置決めピン611Fおよび第1リア位置決めピン611Rは、第2フロント位置決めピン612Fおよび第2リア位置決めピン612Rよりもロッドレンズアレイ64に近接して配置されている。
【0048】
ここで、LPH14には、ロッドレンズアレイ64の清掃に使用するスライド部材67が取り付けられている。このスライド部材67は、X方向(LPH14の長手方向)に沿って移動するように設けられた長尺な部材である。さらに、スライド部材67は、リア側に設けられスライドに伴ってロッドレンズアレイ64の光照射面に接触して光照射面の清掃を行うブレード(図示せず)を支持する支持部67aと、フロント側に設けられ清掃時の進退操作を受ける取っ手67bとをさらに備えている。ブレードは、ウレタンゴムなどの弾性を有する材料にて形成されている。また、支持部67aは、ホルダ65の一側面側から他側面側に跨って配置されている。そして、その内側には図示しないガイドが取り付けられており、ホルダ65に設けられたガイド溝65a(図2参照)にはめ込まれている。そして、LPH14のフロント側には、ハウジング61に対してスライド部材67をスライド可能に支持するスライド保持部材68が装着されている。このように、スライド部材67がX方向に沿ってスライド可能に設けられる結果、支持部67aも、X方向に沿ってスライド可能に設けられることになる。したがって、取っ手67bを用いてスライド部材67をX方向にスライドさせた場合に、ロッドレンズアレイ64の上面にブレードが接触しながら移動することにより、ロッドレンズアレイ64の上面に付着した埃等が取り除かれることになる。なお、例えば画像形成動作を行う場合などにおいて、スライド部材67は、LPH14の最もリア側に配置される。この位置において、支持部67aおよび支持部67aに取り付けられたブレードは、ロッドレンズアレイ64を覆わないようになっている。
【0049】
今度は、主として図11〜図18を参照しつつ、進退機構17の詳細な構成について説明を行う。
進退機構17は、X方向に沿って伸びY−Z平面において凹字状の断面を有する筐体171と、筐体171のフロント側に取り付けられ軸を中心にC方向およびD方向に回転するレバー172と、筐体171の内部に取り付けられ、レバー172の動作に連動して筐体171に対して保持部173aおよび支持部173bをZ方向に昇降させるリンク機構173とを備えている。ここで、保持部173aおよび支持部173bは、図13に示す昇降部材306に設けられており、リンク機構173はこの昇降部材306を昇降させるように構成されている。
【0050】
なお、本実施の形態では、リンク機構173のX方向両端側に設けられた保持部173aにLPH14のハウジング61の−Z方向側の端面をえぐって形成された被保持部(図示せず)を保持させることで、LPH14と進退機構17とを一体化した露光モジュールEMを構成している。また、リンク機構173のX方向両端側に設けられた支持部173bによって、LPH14のハウジング61に設けられた第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611R(図10参照)の下部側を支持している。そして、進退機構17では、レバー172を矢印C方向に倒した際に保持部173aおよび支持部173bがZ方向に移動し、レバー172を矢印D方向に倒した際に保持部173aおよび支持部173bが−Z方向に移動する。
【0051】
したがって、露光モジュールEMにおいて、進退機構17のレバー172を矢印C方向に倒した際には、支持部173bによって第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611RがZ方向に押し出されることによりLPH14が上がる方向(露光位置)に向けて移動し、レバー172を矢印D方向に倒した際には、保持部173aによって被保持部(図示せず)が−Z方向に引き込まれることによりLPH14が下がる方向(退避位置)に向けて移動する。
【0052】
また、進退機構17を構成する筐体171のリア側の一側面には、進退機構17にLPH14が取り付けられた際にLPH14に設けられたハーネス73(図3参照)と電気的に接続される中継基板174が取り付けられている。そして、中継基板174のリア側には、画像形成装置1に進退機構17を含む露光モジュールEMを取り付けた際に、中継基板174と画像形成装置1に設けられた給電コネクタ(図示せず)とを接続する受電コネクタ175が装着されている。さらに、進退機構17を構成する筐体171のフロント側の底面下部には、複数の穿孔が形成された固定用プレート176が取り付けられている。一方、進退機構17を構成する筐体171のリア側には、リア保持部材1R(図5参照)への取り付けに使用されるはめ込み部材177が、X方向に突出形成されている。
【0053】
また、図12に示すように、進退機構17を構成する筐体171の上部側において、フロント側にはフロント規制部材178Fが取り付けられている。なお、図11は、筐体171からフロント規制部材178Fが取り外された状態を示している。フロント規制部材178Fには、Y方向に沿って伸びるU字溝が形成されている。このU字溝のX方向の径は、LPH14に設けられた第2フロント位置決めピン612Fの直径よりもわずかに大きく設定されている。このため、進退機構17にLPH14を装着して露光モジュールEMを構成する際に、フロント規制部材178FのU字溝には第2フロント位置決めピン612Fの下部側が挿入されるようになっている。このようなフロント規制部材178Fを設けることにより、第2フロント位置決めピン612Fは、Y方向およびZ方向への移動に対する規制を受けない一方、X方向への移動に対する規制を受けることになる。
【0054】
次に、主として図13および図14を参照しつつ、進退機構17に設けられた昇降部材306の構成について説明する。
支持部材あるいは搭載部材の一例としての昇降部材306は、例えば金属板に打ち抜き加工および折り曲げ加工を施して構成されており、X方向に伸びて形成されている。また、昇降部材306のフロント側の上部には保持部173aおよび支持部173bがそれぞれ独立して設けられている。一方、昇降部材306のリア側の上部には保持部173aおよび支持部173bが一体的に設けられている。
【0055】
また、昇降部材306のフロント側の支持部173bよりもX方向側(リア側)には、Y方向に突出するフロントピン306Faが取り付けられている。さらに、昇降部材306のフロント側においてフロントピン306FaよりもX方向側(リア側)には、Z方向に向かって伸び且つX方向に傾斜するフロント長穴306Fbが形成されている。ここで、フロントピン306Faは、そのリア側に隣接するフロント長穴306Fbに対し、そのZ方向長さの略中央となる位置に取り付けられている。
さらに、昇降部材306のフロント側においてフロント長穴306Fbよりもリア側には、−Y方向に向かって突出するフロント突き出し部306Fcが折り曲げ形成されている。
【0056】
一方、昇降部材306のリア側の支持部173bよりも−X方向側(フロント側)には、上記フロントピン306Faと同じくY方向に突出するリアピン306Raが取り付けられている。また、昇降部材306のリア側においてリアピン306RaよりもX方向側(リア側)には、Z方向に向かって伸び且つX方向に傾斜するリア長穴306Rbが形成されている。ここで、リアピン306Raは、そのリア側に隣接するリア長穴306Rbに対し、そのZ方向高さの略中央となる位置に取り付けられている。
さらに、昇降部材306のリア側においてリア長穴306Rbよりもリア側には、―Y方向に向かって突出するリア突き出し部306Rcが折り曲げ形成されている。
なお、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbが、それぞれ直線状に伸びた形状を有している。ここで、直線状とは、昇降部材306に設けられた穴の長手方向が、一方向(この例ではZ方向に向かってX方向に傾斜する方向)に伸びていることをいう。
【0057】
続いて、主として図15〜図18を参照しつつ、進退機構17に設けられたリンク機構173の構成について説明する。
【0058】
リンク機構173は、第1リンク部材301、第2リンク部材302、センターコイルバネ303、フロントコイルバネ304F、リアコイルバネ304R、フロントカム305F、リアカム305Rおよび昇降部材306を備えている。なお、図16ではフロント規制部材172Fの記載を省略しており、図17では昇降部材306の記載を省略している。
【0059】
ここで、回転体の一例としてのフロントカム305Fおよびリアカム305Rに用いられるカム305は、本体に対しY方向に貫通して形成される軸用開口3051と、軸用開口3051よりも−X方向側(フロント側)において、本体に対しY方向に貫通して形成されるピン用開口3052と、軸用開口3051よりも−Z方向側(下部側)において、本体に対しY方向に貫通して形成される突起用開口3053と、軸用開口3051よりも−X方向側(フロント側)且つ−Z方向側(下部側)において、本体に対しY方向に貫通して形成されるバネ用開口3054とを備えている。
【0060】
また、レバー172にはY方向および−Y方向に伸びる軸172aが回転可能に挿入されており、このレバー172は軸172aを介して筐体171のフロント側に取り付けられている。また、レバー172にはY方向に伸びる軸172bが回転可能に挿入されており、この軸172bが、X方向に伸びる第1リンク部材301のフロント側の端部に取り付けられている。さらに、第1リンク部材301のリア側の端部にはY方向に伸びる軸301aが形成されており、この軸301aが、X方向に伸びる第2リンク部材302のフロント側の端部に回転可能に取り付けられる。なお、第2リンク部材302のY−Z面における断面はL字状となっている。
【0061】
そして、第2リンク部材302のフロント側の側面には、X方向に長い第1フロント長穴302Faおよび第2フロント長穴302Fbが形成されている。ここで、第1フロント長穴302Faは、第2フロント長穴302FbよりもZ方向側(上部側)に形成される。また、第2リンク部材302のリア側の側面にも、X方向に長い第1リア長穴302Raおよび第2リア長穴302Rbが形成されている。ここで、第2リア長穴302Raは、第2リア長穴302RbよりもZ方向側(上部側)に形成される。
【0062】
また、センターコイルバネ303は、筐体171のX方向中央部にX方向に沿って設けられており、そのフロント側のフックが第2リンク部材302に、また、リア側のフックが筐体171に、それぞれ取り付けられている。
【0063】
さらに、フロントコイルバネ304Fおよびフロントカム305Fは第2リンク部材302のフロント側に、また、リアコイルバネ304Rおよびリアカム305Rは第2リンク部材302のリア側に、それぞれ取り付けられている。
【0064】
これらのうち、フロントコイルバネ304Fは、筐体171のフロント側にX方向に沿って設けられており、そのフロント側のフックが筐体171に、また、リア側のフックがフロントカム305Fのバネ用開口3054に、それぞれ取り付けられている。
一方、リアコイルバネ304Rは、筐体171のフロント側にX方向に沿って設けられており、そのフロント側のフックが筐体171に、また、リア側のフックがリアカム305Rのバネ用開口3054に、それぞれ取り付けられている。
【0065】
また、フロントカム305Fは、Y方向に伸びフロントカム305Fの軸用開口3051に取り付けられたフロント軸305Faを備えている。このフロント軸305Faは、フロントカム305FのY方向側および−Y方向側の両方に突出して形成されている。そして、フロント軸305FaのY方向側は、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Faを介して筐体171のY方向端部側の壁面に取り付けられている。一方、フロント軸305Faの−Y方向側は、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbを介して筐体171の−Y方向端部側の壁面に取り付けられている。ここで、フロント軸305Faは、フロントカム305Fの軸用開口3051および筐体171の各壁面に設けられた軸用開口(図示せず)に挿入されている。また、フロント軸305Faの両端は、筐体171の各壁面に対し、回転が許容されるように取り付けられている。これにより、フロントカム305Fは、筐体171に対しフロント軸305Faを中心に回転可能となっている。なお、本実施の形態では、フロントカム305Fとフロント軸305Faとによって回転部材あるいは移動部材が構成されている。また、本実施の形態では、フロントカム305Fに取り付けられたフロント軸305Faと昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbとによって案内手段が構成されている。
【0066】
また、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052には、昇降部材306に設けられたフロントピン306Faが挿入されている。ここで、ピン用開口3052は、フロントピン306Faよりもわずかに大きい内径を有しており、フロントピン306Faは、フロントカム305のピン用開口3052に対し隙間を有した状態で取り付けられている。
【0067】
さらに、フロントカム305Fに設けられた突起用開口3053には、フロントカム305FからY方向側に突出するフロント突起部305Fbが取り付けられている。そして、このフロント突起部305Fbは、第2リンク部材302に設けられた第2フロント長穴302Fbおよび筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴(図示せず)を介して、筐体171のY方向外側まで突出している。ここで、筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴は、筐体171におけるフロント軸305Faの取付位置を中心とした円弧状の形状を有している。
そして、フロントカム305Fに設けられたバネ用開口3054には、上述したようにフロントコイルバネ304Fのリア側のフックが取り付けられている。
【0068】
次に、リアカム305Rは、Y方向に伸びリアカム305Rの軸用開口3051に取り付けられたリア軸305Raを備えている。このリア軸305Raは、リアカム305RのY方向側および−Y方向側の両方に突出して形成されている。そして、リア軸305RaのY方向側は、第2リンク部材302に設けられた第1リア長穴302Raを介して筐体171のY方向端部側の側面に取り付けられている。一方、リア軸305Raの−Y方向側は、昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbを介して筐体171の−Y方向端部側の壁面に取り付けられている。ここで、リア軸305Rは、リアカム305Rの軸用開口3051および筐体171の各壁面に設けられた軸用開口(図示せず)に挿入されている。また、リア軸305Raの両端は、筐体171の各壁面に対し、回転が許容されるように取り付けられる。これにより、リアカム305Rは、筐体171に対しリア軸305Raを中心に回転可能となっている。なお、本実施の形態では、リアカム305Rとリア軸305Raとによって回転部材あるいは移動部材が構成されている。また、本実施の形態では、リアカム305Rに取り付けられたリア軸305Raと昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbとによって案内手段が構成されている。
【0069】
また、リアカム305Rに設けられたピン用開口3052には、昇降部材306に設けられたリアピン306Fが挿入されている。ここで、ピン用開口3052は、リアピン306Raよりもわずかに大きい内径を有しており、リアピン306Raは、リアカム305Rのピン用開口3052に対し隙間を有した状態で取り付けられている。
【0070】
さらに、リアカム305Rに設けられた突起用開口3053には、リアカム305RからY方向側に突出するリア突起部305Rbが取り付けられている。そして、このリア突起部305Rbは、第2リンク部材302に設けられた第2リア長穴302Rbおよび筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴(図示せず)を介して、筐体171のY方向外側まで突出している。ここで、筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴は、筐体171におけるリア軸205Raの取付位置を中心とした円弧状の形状を有している。
そして、リアカム305Rに設けられたバネ用開口3052には、上述したようにリアコイルバネ304Rのリア側のフックが取り付けられている。
【0071】
なお、昇降部材306のフロント側およびリア側には、−Y方向側に折り曲げ部が形成されたフロント板バネおよびリア板バネ(ともに図示せず)が取り付けられている。これらフロント板バネおよびリア板バネは、昇降部材306に形成されたフロント突き出し部306Fcおよびリア突き出し部306Rcとともに、筐体171に対する昇降部材306のY方向位置を規制するのに用いられている。
【0072】
図19は、感光体モジュールPMのプレート82(図6参照)に取り付けられるフロント位置決め部材84の構成を示す斜視図である。このフロント位置決め部材84は、下部側にX方向に向かって開口するU字状の受け溝841aが形成されたブラケット841と、ブラケット841にネジ止めされた板バネ842とを備えている。なお、ネジは、フロント位置決め部材84をプレート82に取り付けるのにも使用される。ここで、ブラケット841の受け溝841aには、画像形成装置1に対して感光体モジュールPMを取り付けた際にLPH14に設けられた第2フロント位置決めピン612Fの上部側が挿入されるようになっている(図6参照)。また、板バネ842は、ブラケット841の受け溝841aに第2フロント位置決めピン612Fが挿入された際に、この第2フロント位置決めピン612FをY方向に押し付けるようになっている。
【0073】
一方、図20は、画像形成装置1のリア側のフレームに取り付けられるリア保持部材1Rの構成を示す斜視図である。このリア保持部材1Rは、ブラケット91と、ブラケット91のフロント下側に取り付けられた金属製の第1の板バネ92と、ブラケット91の上側にY方向に首振り自在に取り付けられた鉤状のアーム93と、ブラケット91に取り付けられアーム93に接触配置される金属製の第2の板バネ94と、ブラケット91に対して第1の板バネ92、アーム93および第2の板バネ94を固定するネジ95とを備えている。なお、第2の板バネ94の自由端側には、樹脂等からなる摺動部材94aが取り付けられている。ここで、ブラケット91と第1の板バネ92との間には、露光モジュールEMが画像形成装置1に取り付けられた際に、進退機構17の筐体171のリア側に設けられたはめ込み部材177(図11参照)が挿入されるようになっている。また、ブラケット91とアーム93との間には、露光モジュールEMが画像形成装置1に取り付けられた際にLPH14の第2リア位置決めピン612R(図10参照)の上部側がはまりこむようになっている。そして、第2の板バネ94は、ブラケット91とアーム93との間に第2リア位置決めピン612Rがはまりこんだ際に、この第2リア位置決めピン612RをY方向に押し付けるようになっている。そして、第2の板バネ94に設けられた摺動部材94aは、第2リア位置決めピン612Rが挿入された状態において、LPH14が退避位置と露光位置との間を移動する際の第2リア位置決めピン612Rとアーム93との間に発生する摩擦力を軽減する。
【0074】
また、ブラケット91の下方には、Y方向およびZ方向に傾斜して形成され、露光モジュールPMの挿入時にはめ込み部材177を案内する筐体案内部91aが形成されている。さらに、ブラケット91の下方には、露光モジュールPMが挿入された際に進退機構17に取り付けられた中継基板174(図9参照)を保持する基板保持部91bが形成されている。なお、基板保持部91bのフロント側にもZ方向への傾斜面が形成されており、挿入されてくる中継基板174を案内するようになっている。
【0075】
では、図5〜図20を参照しながら、画像形成装置1に対する露光モジュールEMの装着手順、および、露光モジュールEMが取り付けられた画像形成装置1に対する感光体モジュールPMの装着手順について説明する。
【0076】
まず、露光モジュールEMおよび感光体モジュールPMが取り付けられていない画像形成装置1に対し、画像形成装置1のフロント側から露光モジュールEMを挿入していく。このとき、露光モジュールEMを構成する進退機構17のレバー172は、図9においてD方向に倒されることにより筐体171とほぼ水平な状態となっており、LPH14は進退機構17側に引き込まれている。そして、挿入された露光モジュールEMは、画像形成装置1内に設けられたガイド(図示せず)に沿ってフロント側(一端側)からリア側(他端側)に向けて進んでいく。
【0077】
その後、挿入に伴って露光モジュールEMのリア側が画像形成装置1のリア側のフレームに設けられたリア保持部材1Rにはめ込まれる。具体的に説明すると、進退機構17のリア側に設けられたはめ込み部材177が、リア保持部材1Rのブラケット91と第1の板バネ92との間に挟み込まれ、画像形成装置1に対して進退機構17のリア側が固定される。また、LPH14のリア側に設けられた第2リア位置決めピン612Rが、リア保持部材1Rのブラケット91とアーム93との間に挟み込まれ、第2の板バネ94によりアーム93がY方向に押されることにより、LPH14のリア側のY方向位置が決められる。さらに、進退機構17のリア側に設けられた受電コネクタ175が、画像形成装置1のリア側に設けられた給電コネクタ(図示せず)にはめ込まれ、両者が電気的に接続される。一方、進退機構17のフロント側に設けられた固定用プレート176と画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)とが対向した状態となり、フロント側のフレームに固定用プレート176がネジ止めされる。このように、進退機構17のリア側が画像形成装置1のリア側のフレームに設けられたリア保持部材1Rに、フロント側が画像形成装置1のフロント側のフレームにそれぞれ固定されることにより、画像形成装置1に対する進退機構17の位置決めがなされる。また、画像形成装置1に固定された進退機構17に設けられたフロント規制部材178Fが、第2フロント位置決めピン612Fを介してLPH14のX方向への移動を規制していることから、LPH14のX方向の位置決めがなされる。
【0078】
次に、このようにして露光モジュールEMが取り付けられた画像形成装置1に対し、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入していく。このとき、露光モジュールEMを構成する進退機構17のレバー172はD方向に倒されたままとなっており、LPH14は進退機構17側に引き込まれた状態を維持している。このとき、レバー172がD方向に倒されているので、レバー172が感光体モジュールPMの挿入を邪魔しないようにもなっている。そして、挿入された感光体モジュールPMは、画像形成装置1内に設けられたガイド(図示せず)に沿ってフロント側からリア側に向けて進んでいく。
【0079】
その後、挿入に伴って感光体モジュールPMのリア側に設けられたリング状部材85が画像形成装置1のリア側のフレーム(図示せず)にはめ込まれ、また、感光体モジュールPMのフロント側に設けられたプレート82の穴に画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)に設けられたフロントピン1Fがはめ込まれる。さらに、感光体モジュールPMのリア側に設けられた被駆動部(カップリング部材)が、画像形成装置1のリア側に設けられた駆動部(カップリング部材)にはめ込まれる。このように、感光体モジュールPMのリア側が画像形成装置1のリア側のフレームに、フロント側が画像形成装置1のフロント側のフレームに設けられたフロントピン1Fにそれぞれ固定されることにより、画像形成装置1に対する感光体モジュールPMの位置決めがなされる。
【0080】
また、感光体モジュールPMの挿入に伴い、感光体モジュールPMのフロント側に設けられたフロント位置決め部材84の受け溝841aに、LPH14のフロント側に設けられた第2フロント位置決めピン612Fが挟み込まれ、板バネ842により第2フロント位置決めピン612FがY方向に押されることにより、LPH14のフロント側のY方向位置が決められる。そして、画像形成装置1のリア側では、既にリア保持部材1Rが、第2リア位置決めピン612Rを介してLPH14のリア側のY方向位置を決めている。このように、画像形成装置1のリア側のフレームに設けられたリア保持部材1RがLPH14の第2リア位置決めピン612RのY方向への移動を規制し、且つ、感光体モジュールPMのプレート82に取り付けられたフロント位置決め部材84がLPH14の第2フロント位置決めピン612FのY方向への移動を規制していることから、LPH14のY方向の位置決めがなされる。
【0081】
そして、画像形成装置1に感光体モジュールPMがセットされた後、露光モジュールEMの進退機構17のレバー172がC方向に引き上げられ、レバー172が筐体171に対してほぼ垂直となった状態で、画像形成装置1に設けられた固定部材(図示せず)により固定される。すると、レバー172の引き上げに連動してリンク機構173が動作し、保持部173aおよび支持部173bがZ方向に立ち上がる。また、保持部173aおよび支持部173bがZ方向に立ち上がることにより、支持部173bに支持されたLPH14がZ方向に持ち上がる。このとき、LPH14のフロント側に設けられた第2フロント位置決めピン612Fの下部側は進退機構17の筐体171に取り付けられたフロント規制部材178Fによって、X方向への移動が規制されている。また、第2フロント位置決めピン612Fの上部側は感光体モジュールPMに取り付けられたフロント位置決め部材84によって、第2リア位置決めピン612Rの上部側および下部側は画像形成装置1のリア側のフレームに取り付けられたリア保持部材1Rによって、それぞれY方向への移動が規制されている。このため、LPH14は、X方向およびY方向への移動を規制された状態、換言すれば、X方向およびY方向の位置決めがなされた状態で、Z方向に移動する。このとき、LPH14は、Y方向にはバネ力による押しつけを受けているが、X方向にはバネ力による押しつけを受けていない。このため、LPH14は、X方向、Y方向の両方向にバネ力による押しつけを受けている場合と比較して、少ない力でZ方向に持ち上がることになる。
【0082】
そして、LPH14がZ方向に持ち上がると、LPH14のフロント側に設けられた第1フロント位置決めピン611Fが感光体モジュールPMのフロント側に設けられたフロントBB122Fに突き当たり、また、LPH14のリア側に設けられた第1リア位置決めピン611Rが感光体モジュールPMのリア側に設けられたリアBB122Rに突き当たる。このように、感光体モジュールPMの感光体ドラム12のX方向両端に設けられたフロントBB122F、リアBB122Rが、第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611Rを介してLPH14のZ方向への移動を規制することから、LPH14のZ方向の位置決めがなされる。
【0083】
したがって、露光位置にセットされたLPH14は、感光体ドラム12に対し次のように位置決めされることになる。
まず、X方向については、第2フロント位置決めピン612Fの下部側が画像形成装置1に固定された進退機構17のフロント規制部材178Fに保持されることにより位置決めされる。
また、Y方向については、第2フロント位置決めピン612Fの上部側が画像形成装置1に固定された感光体モジュールPMに設けられたフロント位置決め部材84に、第2リア位置決めピン612Rの上部側および下部側が画像形成装置1のリア側のフレームに固定されたリア保持部材1Rに、それぞれ保持されることにより位置決めされる。
さらに、Z方向については、第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611Rが画像形成装置1に固定された感光体モジュールPMに設けられたフロントBB122F、リアBB122Rにそれぞれ押し付けられることにより位置決めされる。
【0084】
つまり、感光体ドラム12に対するLPH14のX方向の位置決めはフロント側、リア側ともに進退機構17を基準としてなされ、また、感光体ドラム12に対するLPH14のZ方向の位置決めはフロント側、リア側ともに感光体モジュールPMを基準としてなされる。これに対し、感光体ドラム12に対するLPH14のY方向の位置決めは、フロント側が感光体モジュールPMを基準として、リア側が画像形成装置1を基準として、それぞれなされる。
【0085】
なお、画像形成装置1からの感光体モジュールPMおよび露光モジュールEMの取り外しは、上述した手順とは逆に行われる。すなわち、画像形成装置1に設けられた固定部材(図示せず)によるロックを外すことにより、まず、進退機構17に設けられたレバー172を図9においてD方向に回転させる。次いで、画像形成装置1のリア側からフロント側に向けて感光体モジュールPMを引き抜く。その後、ネジ等を取り外した後、画像形成装置1のリア側からフロント側に向けて露光モジュールEMを引き抜く。
【0086】
ところで、本実施の形態では、露光モジュールEMの進退機構17に設けられたレバー172を手動で操作することにより、LPH14を退避位置あるいは露光位置へと移動させている。ただし、本実施の形態の進退機構17は、通常は、LPH14が退避位置と露光位置の間に存在する待機位置におかれるようになっている。なお、待機位置では、図8や図9等に示したように、レバー172が斜めになる。これは、例えば露光位置にセットされたLPH14を退避位置へと退避させる際、レバー172を回転させるのに強い力が必要となるのを回避するためである。また、露光位置にセットされたLPH14に対するZ方向への押しつけを解除する際の衝撃が大きくなるのを回避するためでもある。
【0087】
図21は、露光位置、待機位置および退避位置における進退機構17の状態を示す図である。ここで、図21(a)は露光位置での状態を、図21(b)は待機位置での状態を、図21(c)は退避位置での状態を、それぞれ示している。ただし、図21においては、進退機構17に設けられる昇降部材306の記載を省略している。
また、図22は退避位置に設定を行った場合における進退機構17のフロント側の状態を説明するための図であり、図23は退避位置に設定を行った場合における進退機構17のリア側の状態を説明するための図である。さらに、図24は露光位置に設定を行った場合における進退機構17のフロント側の状態を説明するための図であり、図25は露光位置に設定を行った場合における進退機構17のリア側の状態を説明するための図である。ただし、図22〜図25においては、第1リンク部材301や第2リンク部材302の記載を省略している。
【0088】
では最初に、図21(b)を参照しながら、待機位置に設定を行った場合における進退機構17の状態について説明する。
【0089】
進退機構17において、第2リンク部材302は、センターコイルバネ303により、筐体171に対しX方向(リア側)に引っ張られている。すると、第2リンク部材302の第2フロント長穴302Fbのフロント側端部にフロント突起部305Fbが突き当たることにより、フロントカム305Fには、フロント軸305Faを中心に図中反時計方向に回転しようとする力が付与される。また、第2リンク部材302の第2リア長穴302Rbのフロント側端部にリア突起部305Rbが突き当たることにより、リアカム305Rにも、リア軸305Raを中心に図中反時計方向に回転しようとする力が付与される。
【0090】
一方、フロントカム305Fは、フロントコイルバネ304Fにより、筐体171に対し−X方向(フロント側)に引っ張られている。これにより、フロントカム305Fには、フロント軸305Faを中心に図中時計方向に回転しようとする力が付与される。また、リアカム305Rも、リアコイルバネ304Rにより、筐体171に対し−X方向(フロント側)に引っ張られている。これにより、リアカム305Rにも、リア軸305Raを中心に図中時計方向に回転しようとする力が付与される。
【0091】
その結果、センターコイルバネ303の力とフロントコイルバネ304Fおよびリアコイルバネ304Rの力とが釣り合う位置で、フロントカム305Fおよびリアカム305Rが静止することになる。このとき、昇降部材306(図示せず)は、フロントピン306Faがフロントカム305Fに設けられたピン用開口3052の−Z方向側の内壁面によって押され、且つ、リアピン306Raがリアカム305Rに設けられたピン用開口3052の内壁面によって押される。すると、昇降部材306のフロント側、リア側にそれぞれ設けられた保持部173aおよび支持部173bは、筐体171に対し第1の高さに設定された状態で停止する。なお、このとき、フロント側の保持部173aおよびリア側の保持部173aのZ方向の高さは同じとなっており、また、フロント側の支持部173bおよびリア側の支持部173bのZ方向の高さも同じとなっている。
【0092】
また、このとき、フロントカム305Fのフロント軸305Faは、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの略中央に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Faの略中央に位置する。一方、リアカム305Rのリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの略中央に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1リア長穴302Rbの略中央に位置する。
【0093】
その結果、待機位置では、フロントカム305Fのフロント軸305Faと昇降部材306のフロントピン306Faとが、X方向に沿って並んだ状態で静止することになる。また、待機位置では、リアカム305Rのリア軸305Raと昇降部材306のリアピン306Raとが、X方向に沿って並んだ状態で静止することになる。
そして、この状態では、第1リンク部材301を介して第2リンク部材302と連結されるレバー172が、軸172aを中心としてX方向およびZ方向に対し、それぞれ傾斜(約45°)した状態で静止することになる。
【0094】
次に、図21(a)、(b)、図24および図25を参照しながら、待機位置から露光位置に設定を変更した場合における進退機構17の動作および露光位置に設定を行った場合における進退機構17の状態について説明する。
【0095】
待機位置から露光位置へとLPH14(図示せず)を移動させる際、レバー172はC方向に操作される。すると、レバー172は、軸172aを中心に回転し、この回転に伴ってレバー172に設けられた軸172bもC方向に回転する。これに伴い、軸172bに取り付けられた第1リンク部材301が−X方向(フロント側)に引っ張られる。第1リンク部材301がフロント側に引っ張られると、軸301aを介して第1リンク部材302と連結される第2リンク部材302は、センターコイルバネ303の圧縮力に抗して−X方向に移動する。さらに、第2リンク部材302が−X方向(フロント側)に移動するのに伴い、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Fa、第2フロント長穴302Fb、第1リア長穴302Raおよび第2リア長穴302Rbも−X方向(フロント側)に移動する。
【0096】
このとき、フロントカム305Fは、フロントコイルバネ304Fによって−X方向(フロント側)に引っ張られており、また、フロントカム305Fに取り付けられたフロント突起部305Fbが突き当たっていた第2リンク部材302の第2フロント長穴302Fbが−X方向(フロント側)に移動している。このため、フロントカム305Fは、フロント突起部305Fbが第2フロント長穴302Fbのフロント側端部に突き当たった状態を維持しつつ、フロント軸305Faを中心に図中時計方向に回転する。
【0097】
一方、リアカム305Rも、リアコイルバネ304Rによって−X方向(フロント側)に引っ張られており、また、リアカム305Rに取り付けられたリア突起部305Rbが突き当たっていた第2リンク部材302の第2リア長穴302Rbが−X方向(フロント側)に移動している。このため、リアカム305Rは、リア突起部305Rbが第2リア長穴302Rbのフロント側端部に突き当たった状態を維持しつつ、リア軸305Raを中心に図中時計方向に回転する。
【0098】
なお、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは、第2リンク部材302の−X方向(フロント側)への移動に伴い、同じ角度ずつ時計方向に回転していく。
【0099】
このようなフロントカム305Fおよびリアカム305Rの回転動作に伴い、昇降部材306では、フロントピン306Faがフロントカム305Fに設けられたピン用開口3052の−Z方向側の内壁面によって押され、且つ、リアピン306Raがリアカム305Rに設けられたピン用開口3052の−Z方向側の内壁面によって押される。
このようにしてフロントピン306Faおよびリアピン306RaがZ方向に押されることから、これらフロントピン306Faおよびリアピン306Raが取り付けられた昇降部材306は、Z方向に押し上げられる。
【0100】
ただし、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは待機位置での状態から図中時計方向に回転することになるために、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052およびリアカム305Rに設けられたピン用開口3052は、Z方向に移動する際にわずかにX方向(リア側)にも移動することになる。
このため、待機位置から露光位置への移動において、昇降部材306には、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介してZ方向に向かう力とともにX方向(リア側)に向かう力も加えられることになる。したがって、待機位置から露光位置への移動において、昇降部材306は、Z方向への移動に伴ってわずかにX方向(リア側)にも移動しようとする。
【0101】
ここで、本実施の形態では、昇降部材306に設けられ、フロントカム305Fのフロント軸305Faを貫通させるためのフロント長穴306Fbが、Z方向に向かいX方向に傾斜する形状を有している。そして、フロント軸305Faは、筐体171に対する取り付け位置が固定されている。
また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられ、リアカム305Rのリア軸305Raを貫通させるためのリア長穴306Rbが、Z方向に向かいX方向に傾斜する形状を有している。そして、リア軸305Raは、筐体171に対する取り付け位置が固定されている。
【0102】
このため、進退機構17において、待機位置から露光位置へと設定を変更するために筐体171から昇降部材306を持ち上げるに際して、待機位置から露光位置へと近づいていくほど、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたフロント長穴306Fbの向きとのなす角度が小さくなっていく。また、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたリア長穴306Rbの向きとのなす角度が小さくなっていく。
【0103】
その結果、待機位置から露光位置へと向かわせるように進退機構17を動作させた際に、特に露光位置側において昇降部材306のフロント長穴306Fbにフロントカム305Fのフロント軸305Faが引っかかりにくくなる。また、待機位置から露光位置に向かわせるように進退機構17を動作させた際に、特に露光位置側において昇降部材306のリア長穴306Rbにリアカム305Rのリア軸305Raが引っかかりにくくなる。
【0104】
これにより、昇降部材306は、待機位置から、フロント側、リア側にそれぞれ設けられた保持部173aおよび支持部173bがそれぞれ水平に保たれた状態を維持しつつ、Z方向側に上昇し、上述した第1の位置よりも筐体171から離れた第2の位置まで移動して停止する。なお、このとき、フロント側の保持部173aおよびリア側の保持部173aのZ方向の高さは同じとなっており、また、フロント側の支持部173bおよびリア側の支持部173のZ方向の高さも同じとなっている。
【0105】
それゆえ、この進退機構17を有する露光モジュールEMを用いて感光体モジュールPMに対するZ方向の位置決め(LPH14の露光位置への位置決め)を行う際に、LPH14のフロント側あるいはリア側が引っかかって焦点ずれやX方向での濃度むらを招くといった事態が抑制されることになる。
【0106】
また、このとき、フロントカム305Fのフロント軸305Faは、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Faの中央よりも−Z方向側(下側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302FaのX方向側(リア側)に位置する。一方、リアカム305Rのリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたリア長穴306Raの中央よりも−Z方向側(下側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第2リア長穴302RaのX方向側(リア側)に位置する。
【0107】
その結果、露光位置では、フロントカム305Fのフロント軸305Faに対し、昇降部材306のフロントピン306Faが、待機位置のときよりもZ方向に移動した状態で静止することになる。また、露光位置では、リアカム305Rのリア軸305Raに対し、昇降部材306のリアピン306Raが、待機位置のときよりもZ方向に移動した状態で静止することになる。
そして、この状態では、第1リンク部材301を介して第2リンク部材302と連結されるレバー172が、Z方向に直立した状態で静止することになる。
【0108】
今度は、図21(b)、(c)、図22および図23を参照しながら、待機位置から退避位置に設定を変更した場合における進退機構17の動作および退避位置に設定を行った場合における進退機構17の状態について説明する。
【0109】
待機位置から退避位置へとLPH14を移動させる際、レバー172はD方向に操作される。すると、レバー172は、軸172aを中心に回転し、この回転に伴ってレバー172に設けられた軸172bもD方向に回転する。これに伴い、軸172bに取り付けられた第1リンク部材301がX方向(リア側)に押し込まれる。第1リンク部材301がリア側に押し込まれると、軸301aを介して第1リンク部材302と連結される第2リンク部材302は、第2フロント長穴302Fbのフロント側端部に接触するフロント突起部305Fbおよびフロントカム305Fを介してフロントコイルバネ304Fから受ける圧縮力、および、第2リア長穴302Fbのフロント側端部に接触するリア突起部205Rbおよびリアカム305Rを介してリアコイルバネ304Rから受ける圧縮力に抗してX方向に移動する。
【0110】
このとき、フロントカム305Fは、フロント突起部305Fbが第2リンク部材302の第2フロント長穴302Fbに突き当たった状態を維持しつつ、フロント軸305Faを中心に図中反時計方向に回転する。
一方、リアカム305Rも、リア突起部305Rbが第2リンク部材302の第2リア長穴302Rbに突き当たった状態を維持しつつ、リア軸305Raを中心に図中反時計方向に回転する。
なお、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは、第2リンク部材302のX方向(リア側)への移動に伴い、同じ角度ずつ反時計方向に回転していく。
【0111】
このようなフロントカム305Fおよびリアカム305Rの回転動作に伴い、昇降部材306では、フロントピン306Faがフロントカム305Fに設けられたピン用開口3052のZ方向側の内壁面によって押され、且つ、リアピン306Raがリアカム305Rに設けられたピン用開口3052のZ方向側の内壁面によって押される。
このようにしてフロントピン306Faおよびリアピン306Raが−Z方向に押されることから、これらフロントピン306Faおよびリアピン306Raが取り付けられた昇降部材306は、−Z方向に押し下げられる。
【0112】
ただし、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは待機位置での状態から図中反時計方向に回転することとなるために、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052およびリアカム305Rに設けられたピン用開口3052は、−Z方向に移動する際にわずかにX方向(リア側)にも移動することになる。
このため、待機位置から退避位置への移動において、昇降部材306には、フロントピン306Faおよびリアピン306Fbを介して−Z方向に向かう力とともにX方向(リア側)に向かう力も加えられることになる。したがって、待機位置から退避位置への移動において、昇降部材306は、Z方向への移動に伴ってわずかにX方向(リア側)にも移動しようとする。
【0113】
このため、進退機構17において、待機位置から退避位置へと設定を変更するために、筐体171に昇降部材306を引き込むに際して、待機位置から退避位置へと近づいていくほど、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたフロント長穴306Fbの向きとのなす角度が大きくなっていく。また、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたリア長穴306Rbの向きとのなす角度が大きくなっていく。
【0114】
その結果、待機位置から退避位置へと向かわせるように進退機構17を動作させた際に、退避位置側において昇降部材306のフロント長穴306Fbにフロントカム305Fのフロント軸305Faが擦られやすくなる。また、待機位置から退避位置に向かわせるように進退機構17を動作させた際に、特に退避位置側において昇降部材306のリア長穴306Rbにリアカム305Rのリア軸305Raが擦られやすくなる。
【0115】
これにより、昇降部材306は、待機位置から、フロント側、リア側にそれぞれ設けられた保持部173aおよび支持部173bがそれぞれ水平に保たれた状態を維持しつつ、−Z方向に下降し、上述した第1の位置よりも筐体171に近づいた第3の位置まで移動して停止する。このとき、上述した擦れにより、フロント側の保持部173aおよびリア側の保持部173aのZ方向の高さが異なっていたり、あるいは、フロント側の支持部173bおよびリア側の支持部173のZ方向の高さが異なっていたりすることがあるが、退避位置では露光動作を行う必要がないので、この点は特に問題とはならない。
【0116】
また、このとき、フロントカム305Fのフロント軸305Faは、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Faの中央部よりもZ方向側(上側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Faの−X方向側(フロント側)に位置する。一方、リアカム305Rのリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたリア長穴306Raの中央よりもZ方向側(上側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1リア長穴302Raの−X方向側(フロント側)に位置する。
【0117】
その結果、退避位置では、フロントカム305Fのフロント軸305Faに対し、昇降部材306のフロントピン306Faが、待機位置のときよりも−Z方向に移動した状態で静止することになる。また、退避位置では、リアカム305Rのリア軸305Raに対し、昇降部材306のリアピン306Raが、待機位置のときよりも−Z方向に移動した状態で静止することになる。
そして、この状態では、第1リンク部材301を介して第2リンク部材302と連結されるレバー172が、−X方向に寝た状態で静止することになる。
【0118】
ここで、図26は、上述した退避位置から露光位置に向けて進退機構17を動作させる場合に、進退機構17のフロント側において、フロントカム305Fを介して昇降部材306が受ける力の向きと、受けた力によって昇降部材306が移動する向きとの関係を説明するための図である。より具体的に説明すると、図26は、フロントカム305Fのピン用開口3052を介して昇降部材306のフロントピン306Faにかかる力の向きFと、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbにフロントカム305Fのフロント軸305Faが挿入されていることによって動きが規制された昇降部材306が移動する向きDとの関係を示している。なお、図26(a)は退避位置での状態を、図26(b)は露光位置での状態を、それぞれ示している。
【0119】
また、図27は、上述した退避位置から露光位置に向けて進退機構17を動作させる場合に、進退機構17のリア側において、リアカム305Rを介して昇降部材306が受ける力の向きと、受けた力によって昇降部材306が移動する向きとの関係を説明するための図である。より具体的に説明すると、図27は、リアカム305Rのピン用開口3052を介して昇降部材306のリアピン306Raにかかる力の向きFと、昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbにリアカム306Rのリア軸305Raが挿入されていることによって動きが規制された昇降部材306の移動する向きDとの関係を示している。
【0120】
では、図26(a)および図27(a)に示す状態(退避位置)から、昇降部材306を持ち上げようとした場合を考える。
【0121】
まず、図26(a)に示すように、進退機構17のフロント側において、フロントカム305Fは図中時計方向に回転する。このとき、フロントカム305Fのピン用開口3052に挿入されたフロントピン306Faには、図中破線矢印で示す向きFに力がかかる。これに対し、このフロントピン306Faが取り付けられた昇降部材306のフロント長穴306Fbには、フロントカム305Fのフロント軸305Faが貫通しており、しかも、このフロント軸305Faは筐体171に位置が固定された状態で取り付けられていることから、昇降部材306は、図中破線矢印で示す向きDに移動しようとする。
【0122】
また、図27(a)に示すように、進退機構17のリア側において、リアカム305Rは図中時計方向に回転する。このとき、リアカム305Rのピン用開口3052に挿入されたリアピン306Raには、図中破線で示す向きFに力がかかる。これに対し、このリアピン306Raが取り付けられた昇降部材306のリア長穴306Rbには、リアカム305Rのリア軸305Raが貫通しており、しかも、このリア軸305Raは筐体171に位置が固定された状態で取り付けられていることから、昇降部材306は、図中破線矢印で示す向きDに移動しようとする。
【0123】
このように、図26(a)および図27(a)に示す状態では、フロントカム305Fおよびリアカム305Rによって、昇降部材306に対し、Z方向成分および−X方向成分を含む向きFに力がかかることになる。これに対し、昇降部材306は、フロントカム305Fのフロント軸305Faが挿入されるフロント長穴305Fbおよびリアカム305Rのリア軸305Rbが挿入されるリア長穴305Rbにより、Z方向成分およびX方向成分を含む向きDに移動しようとする。
なお、以下の説明においては、向きFを力の向きと呼び、向きDを移動する向きと呼ぶ。また、力の向きFと移動する向きDとの角度の差を角度差αと呼ぶ。
【0124】
次に、図26(a)および図27(a)に示す状態(退避位置)から昇降部材306が持ち上がり、図26(b)および図27(b)に示す状態(露光位置)に到達した場合を考える。
【0125】
まず、図26(b)に示すように、進退機構17のフロント側では、フロントカム305Fの時計方向への回転に伴い、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052が、フロント軸305Faよりも−Z方向側の位置からフロント軸305FaよりもZ方向側の位置へと移動する。これに伴い、フロントカム305Fのピン用開口3052に挿入されたフロントピン306Faにかかる力の向きFは、Z方向成分および−X方向成分を含む状態(図26(a)に示す状態)から、徐々に−X方向成分が減少することによってZ方向成分の割合が多くなっていき、待機位置においてフロント軸305Faとフロントピン306FaとがX方向に並ぶことで−X方向成分がなくなってZ方向成分のみとなった後、今度はZ方向成分およびX方向成分を含むようになるとともに回転に伴ってX方向成分が増加していく。
【0126】
また、図27(b)に示すように、進退機構17のリア側では、リアカム305Rの時計方向への回転に伴い、リアカム305Rに設けられたピン用開口3052が、リア軸305Raよりも−Z方向側の位置からリア軸305RaよりもZ方向側の位置へと移動する。これに伴い、リアカム305Rのピン用開口3052に挿入されたリアピン305Raにかかる力の向きFは、Z方向成分および−X方向成分を含む状態(図27(a)に示す状態)から、徐々に−X方向成分が減少することによってZ方向成分の割合が多くなっていき、待機位置においてリア軸305Raとリアピン306RaとがX方向に並ぶことで−X方向成分がなくなってZ方向成分のみとなった後、今度はZ方向成分およびX方向成分を含むようになるとともに回転に伴ってX方向成分が増加していく。
【0127】
そして、このような過程を経ることで、本実施の形態では、例えば図26(b)に示すように進退機構17のフロント側では、昇降部材306を上昇させきった状態で、力の向きFと移動する向きDとが共に、Z方向成分とX方向成分とを含むようになる。また、例えば図27(b)に示すように進退機構17のリア側でも、昇降部材306を上昇させきった状態で、力の向きFと移動する向きDとが共に、Z方向成分とX方向成分とを含むようになる。特に、この例では、進退機構17のフロント側およびリア側の両者において、それぞれ、力の向きFと移動する向きDとが揃うようになる。
【0128】
また、このような過程を経ることで、本実施の形態では、昇降部材306がZ方向に向かい且つX方向にわずかに傾斜しながら上昇していくことになる。ここで、露光モジュールEMにおいては、進退機構17の昇降部材306によってLPH14が持ち上げられる間、進退機構17に設けられたフロント規制部材178F(図12参照)に挿入されたフロント位置決めピン612Fを介して、フロント位置決めピン612Fが取り付けられたLPH14のX方向および−X方向への移動が規制されている。このため、昇降部材306がZ方向に向かいわずかにX方向に傾斜した状態で持ち上がる間、LPH14に設けられたフロント位置決めピン612Fは、進退機構17に設けられたフロント規制部材178Fのリア側の壁面に押し付けられた状態を維持することになる。
【0129】
ここで、図28(a)は、フロントカム305Fの回転角度θ(°)と、力の向きFおよび移動する向きDの角度差αとの関係を示している。ここで、回転角度θは、退避位置にあるときを基準(0°)とし、時計方向への回転に伴って回転角度θが増加するものとしている。なお、ここではフロントカム305F側を例に説明を行うが、リアカム305R側についても同じである。
【0130】
本実施の形態では、上述した構成を備えることにより、退避位置での角度差αよりも露光位置での角度差αを小さくしている。特に、本実施の形態では、露光位置での角度差αがほぼ0°となるよう、すなわち、露光位置において力の向きFと移動する向きDとが揃うようになっている。また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbが一方向に沿って伸びる直線状の形状を有していることから、回転角度θと角度差αとが線形の関係を示すようになっている。
【0131】
また、図28(b)は、力の向きFおよび移動する向きDの角度差αと、昇降部材306の上昇動作に伴ってフロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faおよび昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの内壁の間に働く摩擦力μFとの関係を示す図である。なお、ここではフロントカム305F側を例に説明を行うが、リアカム305R側についても同じである。
【0132】
この例において、角度差αの絶対値が大きくなるということは、フロントカム305Fからフロントピン306Faを介して昇降部材306に加えられる力において、Z方向成分に比べて−X方向成分(あるいはX方向成分)の割合が増加していることを意味する。このように昇降部材306に対し−X方向(あるいはX方向)に加えられる力が増加すると、昇降部材306が上昇しようとする際に、フロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faが、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの内壁に突き当てられやすくなる。すると、この突き当たりが強くなるにつれ、フロント軸305Faとフロント長穴306Fbの内壁との間に働く摩擦力μFが増大し、昇降部材306の上昇動作を阻害するおそれがある。そして、昇降部材306の上昇動作が阻害されることによって昇降部材306のフロント側が図24に示す状態よりも下位で停止してしまった場合には、感光体ドラム12に対する、進退機構17によるLPH14のフロント側のZ方向位置決めが不十分なものとなってしまう。なお、リアカム305R側で同様の事態が生じた場合には、結果として、感光体ドラム12に対する、進退機構17によるLPH14のリア側のZ方向位置決めが不十分なものとなってしまう。
【0133】
これに対し、本実施の形態では、上述した構成を備えることにより、露光位置に近づくにつれて角度差αが小さくなることから、昇降部材306が上昇しようとする際に、例えばフロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faが、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの内壁に突き当てられにくくなる。また、フロント軸305Faがフロント長穴306Fbの内壁に接触するような場合であっても、両者間に働く摩擦力μFは小さくなる。一方、例えばリアカム305Rに設けられたリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbの内壁に突き当てられにくくなる。また、リア軸305Raがリア長穴306Rbの内壁に接触するような場合であっても、両者間に働く摩擦力μFは小さくなる。
このため、露光位置側において昇降部材306の上昇動作が阻害されにくくなり、進退機構17の昇降部材306によって持ち上げられたLPH14は、目的とする位置まで移動して停止する。したがって、目的とする露光位置において、LPH14のフロント側およびリア側のZ方向位置決めがなされることになる。
【0134】
なお、本実施の形態では、進退機構17の昇降部材306がZ方向に上がりきった状態で、力の向きFと移動の向きDとを揃えるようにしていたが、これに限られるものではなく、少なくとも力の向きFと移動の向きDとが同じ側を向いていればよい。
【0135】
また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbの形状を直線状としていたが、これに限られるものではない。
図29(a)は昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbの他の構成例を示している。図29(a)に示す例において、フロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbは、−Z方向側においてZ方向に伸び且つX方向に傾斜する第1の領域と、第1の領域のZ方向側においてZ方向に伸び且つ第1の領域よりもZ方向側に傾いた角度でX方向に傾斜する第2の領域とを一体化して構成されている。
【0136】
図29(b)は、図26に示す構成を有する昇降部材306を上述した進退機構17に組み込んだ場合における、フロントカム305Fの回転角度θ(°)と、力の向きFおよび移動する向きDの角度差αとの関係を示している。ただし、図29(b)には、この構成を採用した場合を太線の二点鎖線で、実施の形態1で説明した構成を採用した場合を細線の一点鎖線で、それぞれ示している。なお、ここではフロントカム305F側を例に説明を行うが、リアカム305R側についても同じである。
【0137】
この構成を採用した場合、実施の形態1で説明した構成を採用した場合と比較して、退避位置から昇降部材306の持ち上げを開始する際の角度差αが小さくなっていることがわかる。そして、角度差αが小さいということは、図28(b)を用いて説明したように、昇降部材306の持ち上げに際して発生する摩擦力μFが小さくなることを意味する。したがって、この構成を採用した場合には、退避位置から待機位置および露光位置側に向けて昇降部材306の上昇動作を行わせる際に、持ち上げに必要な力が少なくて済む、ということになる。
【0138】
なお、本実施の形態では、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbに、フロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faとリアカム305Rに設けられたリア軸305Raとをそれぞれ挿通させることにより、昇降部材306の上昇動作に伴う昇降部材306の移動方向の規制を行っていたが、これに限られるものではない。例えば、フロント軸305Faやリア軸305Ra以外の軸部材を、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbに挿通させるようにしてもよい。また、これらフロントカム305F、リアカム305Rおよび昇降部材306とは別に、昇降部材306の移動方向を規制する機構を設けてもよい。
また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbを一方向に沿って伸びる直線状の形状とすることで、回転角度θと角度差αとが線形の関係を示すようにしているが、これに限られず、例えば回転角度θと角度差αとが線形の関係を示すように、長穴の形状を曲線形状としたりあるいは一部を屈曲させた形状としたりしても構わない。
【符号の説明】
【0139】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、12…感光体ドラム、14…LEDプリントヘッド(LPH)、17…進退機構、171…筐体、172…レバー、173…リンク機構、173a…保持部、173b…支持部、178F…フロント規制部材、301…第1リンク部材、302…第2リンク部材、303…センターコイルバネ、304F…フロントコイルバネ、304R…リアコイルバネ、305F…フロントカム、305R…リアカム、306…昇降部材、PM…感光体モジュール、EM…露光モジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたプリンタや複写機等の画像形成装置において、感光体ドラム等の像保持体上を露光する露光部材として、近年、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子をライン状に配列した発光素子アレイを用いたものが提案されている。
このような画像形成装置では、露光部材の光軸方向において、像保持体に対し露光部材を位置決めすることが要請される。
【0003】
公報記載の従来技術として、像保持体に対し露光部材をその光軸方向に進退させる進退機構を用い、像保持体に露光部材を押し付けることで、露光部材の光軸方向の位置決めを行う技術が記載されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明は、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を露光する露光部材と、前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段とを含む画像形成装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記案内手段は、前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光部材から前記像保持体に向かう方向に対し予め決められた側に傾斜した方向に前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記案内手段は、前記支持部材を直線状に案内することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記案内手段は、前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、前記角度差が線形に変化するように前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記案内手段は、前記支持部材を介して前記待避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光位置にて前記角度差が最小となるように当該支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項6記載の発明は、像保持体を露光する露光部材と、前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段とを含む露光装置である。
【0009】
請求項7記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を露光する露光部を有する露光部材と、予め決められた待避位置から前記露光部の光軸方向である第1の方向に前記露光部材を移動させて前記像保持体に対し当該露光部を予め決められた露光位置に進出させ、当該露光位置から当該第1の方向とは逆方向に当該露光部材を移動させて当該露光部を当該待避位置に待避させる進退機構とを備え、前記進退機構は、前記像保持体の軸線方向のうち当該像保持体の一端側から他端側に向かう第2の方向に沿って設けられ、前記像保持体に対する位置が固定される筐体と、前記第1の方向および前記第2の方向に交差する第3の方向に伸び且つ前記筐体に位置が固定された状態で取り付けられる軸と、当該軸を中心として回転する回転体とを備える回転部材と、前記回転部材の前記軸が貫通する長穴を備え、前記露光部材を搭載するとともに前記回転部材の前記回転体に連結され、当該回転体の回転に伴って当該露光部材を前記待避位置あるいは前記露光位置に移動させる搭載部材とを含み、前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる際に前記回転部材を介して当該搭載部材が受ける力の向きと当該搭載部材に設けられた前記長穴の向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さいことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項8記載の発明は、前記搭載部材に設けられる前記長穴は、前記第1の方向に向かい且つ前記第2の方向または当該第2の方向とは逆方向のいずれか一方に傾斜して形成されることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置である。
請求項9記載の発明は、前記搭載部材に設けられる前記長穴が直線形状を有していることを特徴とする請求項7または8記載の画像形成装置である。
請求項10記載の発明は、前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる間に、当該露光位置にて前記角度差が最小となることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、支持部材が受ける力の向きと支持部材が移動する向きとの角度差が、退避位置よりも露光位置において大きくなる場合と比較して、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、露光部材から像保持体に向かう方向に対し予め決められた側に傾斜した方向およびこれとは逆側に傾斜した方向の両方向に支持部材を案内する場合と比較して、露光部材の移動中において露光部材の位置がずれるのを抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、支持部材を非直線状に案内する場合と比較して、支持部材の案内をより容易に行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、角度差が非線形に変化するように支持部材を案内する場合と比較して、露光部材の位置決めにおける位置ずれを抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、露光位置にて角度差が最小とならないように支持部材を案内する場合と比較して、露光部材の位置決めにおける位置ずれをさらに抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、支持部材が受ける力の向きと支持部材が移動する向きとの角度差が、退避位置よりも露光位置において大きくなる場合と比較して、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、搭載部材が受ける力の向きと搭載部材に設けられた長穴の向きとの角度差が、退避位置よりも露光位置において大きくなる場合と比較して、露光部材が本来設定されるべき光軸方向の位置からずれた状態で位置決めされるのを抑制することができる。
請求項8記載の発明によれば、搭載部材に設けられる長穴が第1の方向に向かい且つ第2の方向および第2の方向とは逆方向の両方に傾斜して形成される場合と比較して、露光部材の移動中において露光部材の位置がずれるのを抑制することができる。
請求項9記載の発明によれば、搭載部材を非直線状に案内する場合と比較して、搭載部材の案内をより容易に行うことができる。
請求項10記載の発明によれば、露光位置にて角度差が最小とならないように搭載部材を案内する場合と比較して、露光部材の位置決めにおける位置ずれをさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図2】LPHの構成を示した断面図である。
【図3】LED回路基板の平面図である。
【図4】LEDチップ、信号生成回路およびレベルシフト回路の回路構成を示す図である。
【図5】感光体モジュールおよび露光モジュールが画像形成装置に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】図5におけるフロント側の拡大図である。
【図7】図5におけるリア側の拡大図である。
【図8】感光体モジュールの構成を示す斜視図である。
【図9】露光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図10】露光モジュールにおけるLPHの構成を示す斜視図である。
【図11】露光モジュールにおける進退機構の構成を示す斜視図である。
【図12】進退機構に設けられたフロント規制部材を説明するための図である。
【図13】進退機構に設けられた昇降部材の構成を示す斜視図である。
【図14】進退機構に設けられた昇降部材の構成を示す正面図である。
【図15】進退機構に設けられたカム(フロントカム、リアカム)の構成を示す斜視図である。
【図16】(a)は進退機構をZ方向からみた上面図、(b)は進退機構をY方向からみた側面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図17】進退機構におけるリンク機構の主要部を示す斜視図である。
【図18】進退機構における昇降部材、フロントカムおよびフロントコイルバネの位置関係を示す斜視図である。
【図19】フロント位置決め部材の構成を示す斜視図である。
【図20】リア保持部材の構成を示す斜視図である。
【図21】(a)〜(c)は露光位置、待機位置および退避位置のそれぞれにおける進退機構の状態を説明するための図である。
【図22】退避位置に設定を行った場合における進退機構のフロント側の状態を説明するための図である。
【図23】退避位置に設定を行った場合における進退機構のリア側の状態を説明するための図である。
【図24】露光位置に設定を行った場合における進退機構のフロント側の状態を説明するための図である。
【図25】露光位置に設定を行った場合における進退機構のリア側の状態を説明するための図である。
【図26】退避位置から露光位置に向けて進退機構を動作させる場合に、進退機構のフロント側において、フロントカムを介して昇降部材が受ける力の向きと受けた力によって昇降部材が移動する向きとの関係を説明するための図である。
【図27】退避位置から露光位置に向けて進退機構を動作させる場合に、進退機構のリア側において、リアカムを介して昇降部材が受ける力の向きと受けた力によって昇降部材が移動する向きとの関係を説明するための図である。
【図28】(a)はフロントカムの回転角度と、フロントカムを介して昇降部材が受ける力の向きおよび受けた力によって昇降部材が移動する向きの角度差との関係を示す図であり、(b)は角度差と、昇降部材の上昇動作に伴ってフロントカムに設けられたフロント軸および昇降部材に設けられたフロント長穴の内壁との間に働く摩擦力との関係を示す図である。
【図29】本実施の形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成の一例を示した図である。同図に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置4等といった外部装置に接続され、これらから受信された画像データに対して画像処理を施す画像処理部35、各部に電力を供給する主電源36を備えている。
【0014】
画像形成プロセス部10には、一定の間隔を置いて並列的に配置される4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11K(以下、総称して単に「画像形成ユニット11」とも称する)が備えられている。各画像形成ユニット11は、回転可能に配置され静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光部材の一例としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16を備えている。なお、本実施の形態における感光体ドラム12は、不図示の回転軸を備え、その軸方向が画像形成装置1のフロント側(図中手前側)からリア側(図中奥側)に向くように配置されている。
【0015】
さらに、各画像形成ユニット11は、LPH14を、感光体ドラム12を露光する露光位置まで進出させ、また、LPH14を、この露光位置よりも感光体ドラム12から離隔した退避位置に退避させる進退機構17を備えている。ここで、各画像形成ユニット11は、現像器15に収納されるトナーを除いて、同じ構成を有している。そして、各画像形成ユニット11は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0016】
さらに、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20、各画像形成ユニット11による各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写させる一次転写ロール21、中間転写ベルト20上に転写された重畳トナー像を記録材である用紙に一括転写させる二次転写ロール22、二次転写された画像を用紙上に定着させる定着器45を備えている。
【0017】
ここで、各画像形成ユニット11において、感光体ドラム12、帯電器13およびクリーナ16は、一体化されたモジュール(以下、感光体モジュールPMと称する:後述する図5を参照)として構成されている。そして、感光体モジュールPMは画像形成装置1に対して着脱自在に構成され、感光体ドラム12の寿命等に応じて交換される。なお、感光体モジュールPMは、帯電器13やクリーナ16を含まない感光体ドラム12のみの構成を採用してもよいし、帯電器13やクリーナ16に加えさらに現像器15を一体化した構成を採用してもよい。すなわち、寿命が他の構成要素と比較して短い感光体ドラム12を含んだものであれば、如何なる構成要素との組み合わせによっても感光体モジュールPMを構成してよいが、本実施の形態では、感光体モジュールPMとLPH14とを別体とした構成を前提としている。
また、各画像形成ユニット11において、LPH14および進退機構17も、一体化されたモジュール(以下、露光モジュールEMと称する:後述する図5を参照)として構成されている。そして、露光装置の一例としての露光モジュールEMも画像形成装置1に対して着脱自在に構成されている。なお、これら感光体モジュールPMおよび露光モジュールEMの詳細な構成については後述する。
【0018】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。すなわち、制御部30による制御の下で、PC3や画像読取装置4から入力された画像データは、画像処理部35によって画像処理が施され、不図示のインターフェースを介して各画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め決められた電位に帯電され、画像処理部35から送信された画像データに基づいて発光するLPH14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0019】
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に、一次転写ロール21により順次静電吸引されて、各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動に伴って二次転写ロール22が配置された領域(二次転写部T)に搬送される。合成トナー像が二次転写部Tに搬送されると、合成トナー像が二次転写部Tに搬送されるタイミングに合わせて用紙が用紙保持部40から二次転写部Tに供給される。そして、二次転写部Tにて二次転写ロール22により形成される転写電界により、合成トナー像は搬送されてきた用紙上に一括して静電転写される。
【0020】
その後、合成トナー像が静電転写された用紙は、中間転写ベルト20から剥離され、定着器45まで搬送される。定着器45に搬送された用紙上の合成トナー像は、定着器45によって熱および圧力による定着処理を受けて用紙上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙は、画像形成装置1の排出部に設けられた排紙積載部41に搬送される。
一方、二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(転写残トナー)は、二次転写の終了後に中間転写ベルト20表面からベルトクリーナ25によって除去され、次の画像形成サイクルに備える。このようにして、画像形成装置1での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返して実行される。
【0021】
図2は、LPH14の構成を示した断面図である。このLPH14は、図1に示す画像形成装置1において感光体ドラム12の下方に配置され、下方から感光体ドラム12を露光する。図2に示すように、LPH14は、ハウジング61、LEDアレイ63、LEDアレイ63やLEDアレイ63を駆動する信号生成回路70(後段の図3参照)等を搭載するLED回路基板62、LEDアレイ63からの光を感光体ドラム12表面に結像させるロッドレンズアレイ64、ロッドレンズアレイ64を支持するとともにLEDアレイ63を外部から遮蔽するホルダ65を備えている。なお、本実施の形態では、LEDアレイ63やロッドレンズアレイ64等によって露光部が形成されている。
【0022】
ハウジング61は、アルミニウム、SUS等の金属のブロックまたは板金で形成され、LED回路基板62を支持している。ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向に沿って配置されるとともに、感光体ドラム12の回転方向に幅を有して形成されている。また、ロッドレンズアレイ64は、正立等倍実像を形成する屈折率分布型レンズを複数並べて構成される。ホルダ65は、長尺状に形成されるとともに感光体ドラム12の軸方向に沿って配置されている。また、ホルダ65は、ハウジング61およびロッドレンズアレイ64を支持し、LEDアレイ63の発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。さらに、ホルダ65はLEDアレイ63を密閉するように構成されている。これにより、LEDアレイ63に外部からゴミが付着し難い構成を実現している。また、ホルダ65は、幅方向の両側面に、長手方向(感光体ドラム12の軸方向)に沿って配置され、後述するスライド部材67(後段の図10参照)のスライドを案内するガイド溝65aを備えている。
【0023】
LED回路基板62には、図3(LED回路基板62の平面図)に示したように、例えば58個のLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)からなるLEDアレイ63が、感光体ドラム12の軸線方向と平行になるように精度よくライン状に配置されている。この場合、各LEDチップ(CHIP1〜CHIP58)に配置された発光素子(LED)の配列の端部境界において、各LEDがLEDチップ同士の連結部で連続的に配置されるように、各LEDチップは交互に千鳥状に配置されている。
また、LED回路基板62には、各LEDチップを駆動する駆動信号を生成する信号生成回路70およびレベルシフト回路74、予め定められた電圧を出力する3端子レギュレータ71、各LEDチップを構成する各LEDの光量補正データ等を記憶するEEPROM72、制御部30および画像処理部35(図1参照)との間で信号の送受信や主電源36からの電力供給を受けるハーネス73が備えられている。なお、図3に示す信号生成回路70、3端子レギュレータ71、EEPROM72、ハーネス73およびレベルシフト回路74は、必ずしもLED回路基板62に取り付けられている必要はなく、他の基板に取り付けられていてもよい。
【0024】
ここで、図4は、LEDチップ、信号生成回路70およびレベルシフト回路74の回路構成を示す図である。このLEDチップでは、信号生成回路70およびレベルシフト回路74を介して各種駆動信号が供給される。すなわち、信号生成回路70は、LEDチップに配置された各々のLEDの並びに沿って順次点灯可能状態に設定する転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cと、画像処理部35(図1参照)からの画像データに基づき各LEDを順次点灯する点灯信号ΦIとを生成する。そして、転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cをレベルシフト回路74に出力し、点灯信号ΦIをLEDチップに出力する。
レベルシフト回路74は、抵抗R1BとコンデンサC1、および抵抗R2BとコンデンサC2とがそれぞれ並列に接続された構成を有し、それぞれの一端がLEDチップの入力端子に接続され、他端が信号生成回路70の出力端子に接続されている。そして、レベルシフト回路74は、信号生成回路70から出力される転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cに基づいて転送信号CK1および転送信号CK2を生成し、LEDチップに出力する。
【0025】
一方、本実施の形態のLEDチップは、例えばスイッチ素子としての128個のサイリスタS1〜S128、発光素子としての128個のLED L1〜L128、128個のダイオードD1〜D128、128個の抵抗R1〜R128、さらには信号ラインΦ1、Φ2に過剰な電流が流れるのを防止する転送電流制限抵抗R1A、R2Aを主な構成要素としている。
そして、各サイリスタS1〜S128のアノード端子A1〜A128は電源ライン55に接続され、電源ラインを介して3端子レギュレータ71(図3参照)から駆動電圧VDD(VSS=+3.3V)が供給される。一方、サイリスタS1〜S128のゲート端子G1〜G128は、各サイリスタS1〜S128に対応して設けられた抵抗R1〜R128を介して電源ライン56に各々接続され、電源ライン56を介して接地されている。
【0026】
また、奇数番目のサイリスタS1、S3、…、S127のカソード端子K1、K2、…、K127には、信号生成回路70およびレベルシフト回路74からの転送信号CK1が転送電流制限抵抗R1Aを介して送信される。偶数番目のサイリスタS2、S4、…、S128には、信号生成回路70およびレベルシフト回路74からの転送信号CK2が転送電流制限抵抗R2Aを介して送信される。さらに、LED L1〜L128のカソード端子は信号生成回路70に接続されて点灯信号ΦIが送信される。
【0027】
そして、この信号生成回路70は、転送信号CK1R、CK1Cおよび転送信号CK2R、CK2Cをそれぞれ予め決められたタイミングでハイレベル(以下、「H」と記す)からローレベル(以下、「L」と記す)、また、「L」から「H」に設定する。これにより、レベルシフト回路74から出力される転送信号CK1の電位を「H」から「L」、「L」から「H」に繰り返し設定し、且つ、それに交互して出力される転送信号CK2の電位を「H」から「L」、「L」から「H」に繰り返し設定することで、例えば各LEDチップでは、奇数番目サイリスタS1、S3、…、S127を順次オフ→オン→オフさせる転送動作を行わせる。また、偶数番目のサイリスタS2、S4、…、S128を順次オフ→オン→オフの転送動作を行わせる。それにより、サイリスタS1〜S128をS1→S2→、…、→S127→S128の順番で順次オフ→オン→オフさせる転送動作を行わせ、それに同期させて、点灯信号ΦIを出力する。これによって、LED L1〜L128は、L1→L2→、…、→L127→L128の順番で順次点灯する。
【0028】
その場合に、LPH14からの露光は、形成される画像(静電潜像)に傾きや歪み等が生じないように、感光体ドラム12の軸線に対して平行に行われることが好ましい。そのため、LPH14が画像形成装置1に設置されるに際しては、感光体ドラム12の軸線に対して高精度に位置設定されることが要求される。ここで、感光体ドラム12(像保持体)の軸線とは、本実施の形態の感光体ドラム12のように像保持体が円筒形状である場合には、感光体ドラム12の回転軸の中心線が軸線である。また、例えば像保持体がベルト形状の感光体(ベルト感光体)であって、ベルト感光体の平面部に露光が行われる場合には、ベルト感光体表面の移動方向に直交し、かつ、露光領域におけるベルト感光体表面に平行な方向に向かう線が軸線である。
【0029】
続いて、画像形成装置1におけるLPH14の位置決め機構について説明する。
図5は、感光体ドラム12を備えた感光体モジュールPMと、LPH14および進退機構17を備えた露光モジュールEMとが、画像形成装置1に取り付けられた状態を示す斜視図である。なお、図5においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側であって感光体モジュールPMが着脱操作される側であり、図面の右側が画像形成装置1のリア側であって画像形成装置1に取り付けられた駆動モータ(図示せず)からの駆動が感光体ドラム12等に伝達される側である。また、図5は、露光モジュールEMを構成するLPH14が、上述した露光位置にセットされた状態を示している。そして、図6は図5におけるフロント側の拡大図であり、図7は図5におけるリア側の拡大図である。
【0030】
また、図8は感光体モジュールPMの構成を示す斜視図である。なお、図8においては、図面の左下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0031】
さらに、図9は露光モジュールEMの構成を、図10は露光モジュールEMにおけるLPH14の構成を、図11は露光モジュールEMにおける進退機構17の構成を、それぞれ示す斜視図である。さらにまた、図12は進退機構17に設けられたフロント規制部材178F(後述)を説明するための図である。
【0032】
なお、図9においては、図面の右下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。また、図10においては、図面の右下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。さらに、図11においては、図面の右上側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左下側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。そして、図12においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0033】
また、図13は進退機構17に設けられた昇降部材306(後述)の構成を示す斜視図であり、図14は昇降部材306の正面図である。さらに、図15は進退機構17に設けられたカム305(フロントカム305F、リアカム305R:後述)の構成を示す斜視図である。
【0034】
なお、図13においては、図面の左上側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右下側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。また、図14においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。さらに、図15においては、図面の左側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0035】
また、図16(a)は進退機構17をZ方向からみた上面図、図16(b)は進退機構17をY方向からみた側面図、図16(c)は図16(a)のA−A断面図である。さらに、図17は進退機構17におけるリンク機構173(後述)の主要部を示す斜視図である。そして、図18は、進退機構17における昇降部材306、フロントカム305Fおよびフロントコイルバネ304F(後述)の位置関係を示す斜視図である。ただし、図18は、進退機構17が露光位置に設定される場合の位置関係を示している。
【0036】
なお、図16においては、図面の右側が画像形成装置1のフロント側に、図面の左側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。また、図17においては、図面の左下側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右上側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。さらに、図18においては、図面の左上側が画像形成装置1のフロント側に、図面の右下側が画像形成装置1のリア側に、それぞれ対応している。
【0037】
以下の説明においては、図5等に示すLPH14におけるロッドレンズアレイ64の光軸方向をZ方向(第1の方向に対応)と呼ぶ。また、主走査方向すなわち感光体ドラム12の軸方向をX方向(第2の方向に対応)と呼ぶ。さらに、副走査方向すなわちX方向およびZ方向の双方に直交する方向をY方向(第3の方向に対応)と呼ぶ。
【0038】
最初に、図5〜図8を参照しつつ、感光体モジュールPMの構成について説明する。
像保持体モジュールの一例としての感光体モジュールPMは、上述した感光体ドラム12、帯電器13およびクリーナ16に加え、これらを保持するためのフロントハウジング81Fおよびリアハウジング81Rをさらに備えている。なお、これらフロントハウジング81Fおよびリアハウジング81Rは、X方向に沿って伸び帯電器13やクリーナ16(ともに図示せず)を覆う接続ハウジング81Mと一体化されている。
【0039】
また、感光体モジュールPMにおいて、フロントハウジング81Fのフロント側にはプレート82が取り付けられており、プレート82のフロント側には感光体モジュールPMの着脱操作に用いられるハンドルを備えたカバー83が取り付けられている。そして、プレート82のリア側の下方には、LPH14のY方向の位置決めに使用されるフロント位置決め部材84が取り付けられている。また、このプレート82には複数の穿孔が形成されている。プレート82に設けられた複数の穿孔の一部は、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入して取り付けを行った際に、画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)に取り付けられたフロントピン1Fにはめ込まれることで、画像形成装置1に対する感光体モジュールPMのフロント側の位置決めを行う。
【0040】
一方、感光体モジュールPMのリア側において、感光体ドラム12、帯電器13、クリーナ16等には画像形成装置1から駆動力を受けるための被駆動部が形成されている。この被駆動部はカップリング部材等にて構成されており、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入して取り付けを行った際に、画像形成装置1のリア側に設けられた駆動部のカップリング部材にはめ込まれる。また、感光体モジュールPMのリア側において、リアハウジング81Rのリア側にはリング状部材85が取り付けられている。このリング状部材85は、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入して取り付けを行った際に、画像形成装置1のリア側のフレーム(図示せず)にはめ込まれることで、画像形成装置1に対する感光体モジュールPMのリア側の位置決めを行う。
【0041】
また、感光体モジュールPMにおいて、感光体ドラム12のX方向両端部には円筒状のフロントフランジ121F、リアフランジ121Rがそれぞれ圧入されており、これらフロントフランジ121F、リアフランジ121Rは、それぞれ、カバー83、リング状部材85に回転可能に支持される。そして、これらフロントフランジ121F、121Rには、それぞれ、支持部材の一例としてのフロントボールベアリング(以下、フロントBBと称する)122F、リアボールベアリング(以下、リアBBと称する)122Rが外装されている。
【0042】
なお、本実施の形態において、フロントBB122Fはフロントフランジ121Fに対してわずかな隙間をもって取り付けられており、リアBB122Rはリアフランジ121Rに対してわずかな隙間をもって取り付けられている。一方、フロントBB122Fはフロントハウジング81Fに、リアBB122Rはリアハウジング81Rに、それぞれ密着して取り付けられている。したがって、フロントBB122Fはフロントハウジング81Fに、リアハウジング122Rはリアハウジング81Rに、それぞれ固定されている。
【0043】
ここで、フロントBB122Fはフロントハウジング81Fに収容されているが、現像器15(図1参照)と対向する位置およびLPH14と対向する位置には開口が形成されている。一方、リアBB122Rはリアハウジング81Rに収容されているが、フロントハウジング81Fと同様、現像器15(図1参照)と対向する位置およびLPH14と対向する位置には開口が形成されている。したがって、LPH14および現像器15と対向する位置では、フロントBB122FおよびリアBB122Rの外周面が露出している。そして、本実施の形態では、これらフロントBB122FおよびリアBB122Rが、後述するLPH14のZ方向の位置決めに用いられる。また、これらフロントBB122FおよびリアBB122Rは、現像器14(図1参照)を構成する現像ロールの位置決めにも使用される。
【0044】
次に、図5〜図7および図9〜図18を参照しつつ、露光モジュールEMの構成について説明する。
露光モジュールEMは、上述したようにLPH14および進退機構17を備えており、進退機構17のリア側が画像形成装置1のリア側のフレーム(図示せず)に取り付けられたリア保持部材1Rに保持されることで、画像形成装置1に対する進退機構17のリア側の位置決めを行う。また、進退機構17のフロント側下部には、複数の穿孔が形成された固定用プレート176が取り付けられている。この固定用プレート176に設けられた複数の穿孔の一部は、画像形成装置1のフロント側から露光モジュールEMを挿入して取り付けを行った後、画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)にネジ止めされることで、画像形成装置1に対する進退機構17のフロント側の位置決めを行う。この露光モジュールEMでは、このようにして画像形成装置1に進退機構17が固定された状態において、進退機構17により、LPH14がZ方向すなわち露光位置と退避位置との間で移動するように構成されている。そして、LPH14が退避位置から露光位置へと移動するに際して、感光体ドラム12に対するLPH14のZ方向の位置決めがなされる。
【0045】
続いて、主として図10を参照しつつ、LPH14の構成について説明を行う。
LPH14のハウジング61のフロント側には、LPH14のフロント側のZ方向の位置を定める第1フロント位置決めピン611Fと、LPH14のフロント側のX方向およびY方向の位置を定める第2フロント位置決めピン612Fとが取り付けられている。一方、LPH14のハウジング61のリア側には、LPH14のリア側のZ方向の位置を定める第1リア位置決めピン611Rと、LPH14のリア側のX方向およびY方向の位置を定める第2リア位置決めピン612Rとが取り付けられている。
【0046】
ここで、第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611R、第2フロント位置決めピン612F、第2リア位置決めピン612Rは、それぞれ、円柱状の金属棒で構成されている。これらのうち、第1フロント位置決めピン611Fおよび第1リア位置決めピン611Rは、X方向に伸びるハウジング61から感光体モジュールPMと対向する側(Z方向)およびその逆側(−Z方向)の両側に向けて突出形成されている。また、これら第1フロント位置決めピン611Fおよび第1リア位置決めピン611Rの先端部は半球状の形状を有している。一方、第2フロント位置決めピン612Fおよび第2リア位置決めピン612Rも、ハウジング61から感光体モジュールPMと対向する側(Z方向)およびその逆側(−Z方向)の両側に向けて突出形成されている。ただし、これら第2フロント位置決めピン612Fおよび第2リア位置決めピン612Rの両先端部は平面状の形状を有している。
【0047】
さらに、これら第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611R、第2フロント位置決めピン612F、第2リア位置決めピン612Rは、各々の中心軸がLEDチップ(CHIP1〜CHIP58:図3参照)の配列方向に沿って配列されたロッドレンズアレイ64の配列線の上となる部位に配置されている。そして、第1フロント位置決めピン611Fおよび第1リア位置決めピン611Rは、第2フロント位置決めピン612Fおよび第2リア位置決めピン612Rよりもロッドレンズアレイ64に近接して配置されている。
【0048】
ここで、LPH14には、ロッドレンズアレイ64の清掃に使用するスライド部材67が取り付けられている。このスライド部材67は、X方向(LPH14の長手方向)に沿って移動するように設けられた長尺な部材である。さらに、スライド部材67は、リア側に設けられスライドに伴ってロッドレンズアレイ64の光照射面に接触して光照射面の清掃を行うブレード(図示せず)を支持する支持部67aと、フロント側に設けられ清掃時の進退操作を受ける取っ手67bとをさらに備えている。ブレードは、ウレタンゴムなどの弾性を有する材料にて形成されている。また、支持部67aは、ホルダ65の一側面側から他側面側に跨って配置されている。そして、その内側には図示しないガイドが取り付けられており、ホルダ65に設けられたガイド溝65a(図2参照)にはめ込まれている。そして、LPH14のフロント側には、ハウジング61に対してスライド部材67をスライド可能に支持するスライド保持部材68が装着されている。このように、スライド部材67がX方向に沿ってスライド可能に設けられる結果、支持部67aも、X方向に沿ってスライド可能に設けられることになる。したがって、取っ手67bを用いてスライド部材67をX方向にスライドさせた場合に、ロッドレンズアレイ64の上面にブレードが接触しながら移動することにより、ロッドレンズアレイ64の上面に付着した埃等が取り除かれることになる。なお、例えば画像形成動作を行う場合などにおいて、スライド部材67は、LPH14の最もリア側に配置される。この位置において、支持部67aおよび支持部67aに取り付けられたブレードは、ロッドレンズアレイ64を覆わないようになっている。
【0049】
今度は、主として図11〜図18を参照しつつ、進退機構17の詳細な構成について説明を行う。
進退機構17は、X方向に沿って伸びY−Z平面において凹字状の断面を有する筐体171と、筐体171のフロント側に取り付けられ軸を中心にC方向およびD方向に回転するレバー172と、筐体171の内部に取り付けられ、レバー172の動作に連動して筐体171に対して保持部173aおよび支持部173bをZ方向に昇降させるリンク機構173とを備えている。ここで、保持部173aおよび支持部173bは、図13に示す昇降部材306に設けられており、リンク機構173はこの昇降部材306を昇降させるように構成されている。
【0050】
なお、本実施の形態では、リンク機構173のX方向両端側に設けられた保持部173aにLPH14のハウジング61の−Z方向側の端面をえぐって形成された被保持部(図示せず)を保持させることで、LPH14と進退機構17とを一体化した露光モジュールEMを構成している。また、リンク機構173のX方向両端側に設けられた支持部173bによって、LPH14のハウジング61に設けられた第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611R(図10参照)の下部側を支持している。そして、進退機構17では、レバー172を矢印C方向に倒した際に保持部173aおよび支持部173bがZ方向に移動し、レバー172を矢印D方向に倒した際に保持部173aおよび支持部173bが−Z方向に移動する。
【0051】
したがって、露光モジュールEMにおいて、進退機構17のレバー172を矢印C方向に倒した際には、支持部173bによって第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611RがZ方向に押し出されることによりLPH14が上がる方向(露光位置)に向けて移動し、レバー172を矢印D方向に倒した際には、保持部173aによって被保持部(図示せず)が−Z方向に引き込まれることによりLPH14が下がる方向(退避位置)に向けて移動する。
【0052】
また、進退機構17を構成する筐体171のリア側の一側面には、進退機構17にLPH14が取り付けられた際にLPH14に設けられたハーネス73(図3参照)と電気的に接続される中継基板174が取り付けられている。そして、中継基板174のリア側には、画像形成装置1に進退機構17を含む露光モジュールEMを取り付けた際に、中継基板174と画像形成装置1に設けられた給電コネクタ(図示せず)とを接続する受電コネクタ175が装着されている。さらに、進退機構17を構成する筐体171のフロント側の底面下部には、複数の穿孔が形成された固定用プレート176が取り付けられている。一方、進退機構17を構成する筐体171のリア側には、リア保持部材1R(図5参照)への取り付けに使用されるはめ込み部材177が、X方向に突出形成されている。
【0053】
また、図12に示すように、進退機構17を構成する筐体171の上部側において、フロント側にはフロント規制部材178Fが取り付けられている。なお、図11は、筐体171からフロント規制部材178Fが取り外された状態を示している。フロント規制部材178Fには、Y方向に沿って伸びるU字溝が形成されている。このU字溝のX方向の径は、LPH14に設けられた第2フロント位置決めピン612Fの直径よりもわずかに大きく設定されている。このため、進退機構17にLPH14を装着して露光モジュールEMを構成する際に、フロント規制部材178FのU字溝には第2フロント位置決めピン612Fの下部側が挿入されるようになっている。このようなフロント規制部材178Fを設けることにより、第2フロント位置決めピン612Fは、Y方向およびZ方向への移動に対する規制を受けない一方、X方向への移動に対する規制を受けることになる。
【0054】
次に、主として図13および図14を参照しつつ、進退機構17に設けられた昇降部材306の構成について説明する。
支持部材あるいは搭載部材の一例としての昇降部材306は、例えば金属板に打ち抜き加工および折り曲げ加工を施して構成されており、X方向に伸びて形成されている。また、昇降部材306のフロント側の上部には保持部173aおよび支持部173bがそれぞれ独立して設けられている。一方、昇降部材306のリア側の上部には保持部173aおよび支持部173bが一体的に設けられている。
【0055】
また、昇降部材306のフロント側の支持部173bよりもX方向側(リア側)には、Y方向に突出するフロントピン306Faが取り付けられている。さらに、昇降部材306のフロント側においてフロントピン306FaよりもX方向側(リア側)には、Z方向に向かって伸び且つX方向に傾斜するフロント長穴306Fbが形成されている。ここで、フロントピン306Faは、そのリア側に隣接するフロント長穴306Fbに対し、そのZ方向長さの略中央となる位置に取り付けられている。
さらに、昇降部材306のフロント側においてフロント長穴306Fbよりもリア側には、−Y方向に向かって突出するフロント突き出し部306Fcが折り曲げ形成されている。
【0056】
一方、昇降部材306のリア側の支持部173bよりも−X方向側(フロント側)には、上記フロントピン306Faと同じくY方向に突出するリアピン306Raが取り付けられている。また、昇降部材306のリア側においてリアピン306RaよりもX方向側(リア側)には、Z方向に向かって伸び且つX方向に傾斜するリア長穴306Rbが形成されている。ここで、リアピン306Raは、そのリア側に隣接するリア長穴306Rbに対し、そのZ方向高さの略中央となる位置に取り付けられている。
さらに、昇降部材306のリア側においてリア長穴306Rbよりもリア側には、―Y方向に向かって突出するリア突き出し部306Rcが折り曲げ形成されている。
なお、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbが、それぞれ直線状に伸びた形状を有している。ここで、直線状とは、昇降部材306に設けられた穴の長手方向が、一方向(この例ではZ方向に向かってX方向に傾斜する方向)に伸びていることをいう。
【0057】
続いて、主として図15〜図18を参照しつつ、進退機構17に設けられたリンク機構173の構成について説明する。
【0058】
リンク機構173は、第1リンク部材301、第2リンク部材302、センターコイルバネ303、フロントコイルバネ304F、リアコイルバネ304R、フロントカム305F、リアカム305Rおよび昇降部材306を備えている。なお、図16ではフロント規制部材172Fの記載を省略しており、図17では昇降部材306の記載を省略している。
【0059】
ここで、回転体の一例としてのフロントカム305Fおよびリアカム305Rに用いられるカム305は、本体に対しY方向に貫通して形成される軸用開口3051と、軸用開口3051よりも−X方向側(フロント側)において、本体に対しY方向に貫通して形成されるピン用開口3052と、軸用開口3051よりも−Z方向側(下部側)において、本体に対しY方向に貫通して形成される突起用開口3053と、軸用開口3051よりも−X方向側(フロント側)且つ−Z方向側(下部側)において、本体に対しY方向に貫通して形成されるバネ用開口3054とを備えている。
【0060】
また、レバー172にはY方向および−Y方向に伸びる軸172aが回転可能に挿入されており、このレバー172は軸172aを介して筐体171のフロント側に取り付けられている。また、レバー172にはY方向に伸びる軸172bが回転可能に挿入されており、この軸172bが、X方向に伸びる第1リンク部材301のフロント側の端部に取り付けられている。さらに、第1リンク部材301のリア側の端部にはY方向に伸びる軸301aが形成されており、この軸301aが、X方向に伸びる第2リンク部材302のフロント側の端部に回転可能に取り付けられる。なお、第2リンク部材302のY−Z面における断面はL字状となっている。
【0061】
そして、第2リンク部材302のフロント側の側面には、X方向に長い第1フロント長穴302Faおよび第2フロント長穴302Fbが形成されている。ここで、第1フロント長穴302Faは、第2フロント長穴302FbよりもZ方向側(上部側)に形成される。また、第2リンク部材302のリア側の側面にも、X方向に長い第1リア長穴302Raおよび第2リア長穴302Rbが形成されている。ここで、第2リア長穴302Raは、第2リア長穴302RbよりもZ方向側(上部側)に形成される。
【0062】
また、センターコイルバネ303は、筐体171のX方向中央部にX方向に沿って設けられており、そのフロント側のフックが第2リンク部材302に、また、リア側のフックが筐体171に、それぞれ取り付けられている。
【0063】
さらに、フロントコイルバネ304Fおよびフロントカム305Fは第2リンク部材302のフロント側に、また、リアコイルバネ304Rおよびリアカム305Rは第2リンク部材302のリア側に、それぞれ取り付けられている。
【0064】
これらのうち、フロントコイルバネ304Fは、筐体171のフロント側にX方向に沿って設けられており、そのフロント側のフックが筐体171に、また、リア側のフックがフロントカム305Fのバネ用開口3054に、それぞれ取り付けられている。
一方、リアコイルバネ304Rは、筐体171のフロント側にX方向に沿って設けられており、そのフロント側のフックが筐体171に、また、リア側のフックがリアカム305Rのバネ用開口3054に、それぞれ取り付けられている。
【0065】
また、フロントカム305Fは、Y方向に伸びフロントカム305Fの軸用開口3051に取り付けられたフロント軸305Faを備えている。このフロント軸305Faは、フロントカム305FのY方向側および−Y方向側の両方に突出して形成されている。そして、フロント軸305FaのY方向側は、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Faを介して筐体171のY方向端部側の壁面に取り付けられている。一方、フロント軸305Faの−Y方向側は、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbを介して筐体171の−Y方向端部側の壁面に取り付けられている。ここで、フロント軸305Faは、フロントカム305Fの軸用開口3051および筐体171の各壁面に設けられた軸用開口(図示せず)に挿入されている。また、フロント軸305Faの両端は、筐体171の各壁面に対し、回転が許容されるように取り付けられている。これにより、フロントカム305Fは、筐体171に対しフロント軸305Faを中心に回転可能となっている。なお、本実施の形態では、フロントカム305Fとフロント軸305Faとによって回転部材あるいは移動部材が構成されている。また、本実施の形態では、フロントカム305Fに取り付けられたフロント軸305Faと昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbとによって案内手段が構成されている。
【0066】
また、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052には、昇降部材306に設けられたフロントピン306Faが挿入されている。ここで、ピン用開口3052は、フロントピン306Faよりもわずかに大きい内径を有しており、フロントピン306Faは、フロントカム305のピン用開口3052に対し隙間を有した状態で取り付けられている。
【0067】
さらに、フロントカム305Fに設けられた突起用開口3053には、フロントカム305FからY方向側に突出するフロント突起部305Fbが取り付けられている。そして、このフロント突起部305Fbは、第2リンク部材302に設けられた第2フロント長穴302Fbおよび筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴(図示せず)を介して、筐体171のY方向外側まで突出している。ここで、筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴は、筐体171におけるフロント軸305Faの取付位置を中心とした円弧状の形状を有している。
そして、フロントカム305Fに設けられたバネ用開口3054には、上述したようにフロントコイルバネ304Fのリア側のフックが取り付けられている。
【0068】
次に、リアカム305Rは、Y方向に伸びリアカム305Rの軸用開口3051に取り付けられたリア軸305Raを備えている。このリア軸305Raは、リアカム305RのY方向側および−Y方向側の両方に突出して形成されている。そして、リア軸305RaのY方向側は、第2リンク部材302に設けられた第1リア長穴302Raを介して筐体171のY方向端部側の側面に取り付けられている。一方、リア軸305Raの−Y方向側は、昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbを介して筐体171の−Y方向端部側の壁面に取り付けられている。ここで、リア軸305Rは、リアカム305Rの軸用開口3051および筐体171の各壁面に設けられた軸用開口(図示せず)に挿入されている。また、リア軸305Raの両端は、筐体171の各壁面に対し、回転が許容されるように取り付けられる。これにより、リアカム305Rは、筐体171に対しリア軸305Raを中心に回転可能となっている。なお、本実施の形態では、リアカム305Rとリア軸305Raとによって回転部材あるいは移動部材が構成されている。また、本実施の形態では、リアカム305Rに取り付けられたリア軸305Raと昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbとによって案内手段が構成されている。
【0069】
また、リアカム305Rに設けられたピン用開口3052には、昇降部材306に設けられたリアピン306Fが挿入されている。ここで、ピン用開口3052は、リアピン306Raよりもわずかに大きい内径を有しており、リアピン306Raは、リアカム305Rのピン用開口3052に対し隙間を有した状態で取り付けられている。
【0070】
さらに、リアカム305Rに設けられた突起用開口3053には、リアカム305RからY方向側に突出するリア突起部305Rbが取り付けられている。そして、このリア突起部305Rbは、第2リンク部材302に設けられた第2リア長穴302Rbおよび筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴(図示せず)を介して、筐体171のY方向外側まで突出している。ここで、筐体171のY方向端部側の壁面に形成された長穴は、筐体171におけるリア軸205Raの取付位置を中心とした円弧状の形状を有している。
そして、リアカム305Rに設けられたバネ用開口3052には、上述したようにリアコイルバネ304Rのリア側のフックが取り付けられている。
【0071】
なお、昇降部材306のフロント側およびリア側には、−Y方向側に折り曲げ部が形成されたフロント板バネおよびリア板バネ(ともに図示せず)が取り付けられている。これらフロント板バネおよびリア板バネは、昇降部材306に形成されたフロント突き出し部306Fcおよびリア突き出し部306Rcとともに、筐体171に対する昇降部材306のY方向位置を規制するのに用いられている。
【0072】
図19は、感光体モジュールPMのプレート82(図6参照)に取り付けられるフロント位置決め部材84の構成を示す斜視図である。このフロント位置決め部材84は、下部側にX方向に向かって開口するU字状の受け溝841aが形成されたブラケット841と、ブラケット841にネジ止めされた板バネ842とを備えている。なお、ネジは、フロント位置決め部材84をプレート82に取り付けるのにも使用される。ここで、ブラケット841の受け溝841aには、画像形成装置1に対して感光体モジュールPMを取り付けた際にLPH14に設けられた第2フロント位置決めピン612Fの上部側が挿入されるようになっている(図6参照)。また、板バネ842は、ブラケット841の受け溝841aに第2フロント位置決めピン612Fが挿入された際に、この第2フロント位置決めピン612FをY方向に押し付けるようになっている。
【0073】
一方、図20は、画像形成装置1のリア側のフレームに取り付けられるリア保持部材1Rの構成を示す斜視図である。このリア保持部材1Rは、ブラケット91と、ブラケット91のフロント下側に取り付けられた金属製の第1の板バネ92と、ブラケット91の上側にY方向に首振り自在に取り付けられた鉤状のアーム93と、ブラケット91に取り付けられアーム93に接触配置される金属製の第2の板バネ94と、ブラケット91に対して第1の板バネ92、アーム93および第2の板バネ94を固定するネジ95とを備えている。なお、第2の板バネ94の自由端側には、樹脂等からなる摺動部材94aが取り付けられている。ここで、ブラケット91と第1の板バネ92との間には、露光モジュールEMが画像形成装置1に取り付けられた際に、進退機構17の筐体171のリア側に設けられたはめ込み部材177(図11参照)が挿入されるようになっている。また、ブラケット91とアーム93との間には、露光モジュールEMが画像形成装置1に取り付けられた際にLPH14の第2リア位置決めピン612R(図10参照)の上部側がはまりこむようになっている。そして、第2の板バネ94は、ブラケット91とアーム93との間に第2リア位置決めピン612Rがはまりこんだ際に、この第2リア位置決めピン612RをY方向に押し付けるようになっている。そして、第2の板バネ94に設けられた摺動部材94aは、第2リア位置決めピン612Rが挿入された状態において、LPH14が退避位置と露光位置との間を移動する際の第2リア位置決めピン612Rとアーム93との間に発生する摩擦力を軽減する。
【0074】
また、ブラケット91の下方には、Y方向およびZ方向に傾斜して形成され、露光モジュールPMの挿入時にはめ込み部材177を案内する筐体案内部91aが形成されている。さらに、ブラケット91の下方には、露光モジュールPMが挿入された際に進退機構17に取り付けられた中継基板174(図9参照)を保持する基板保持部91bが形成されている。なお、基板保持部91bのフロント側にもZ方向への傾斜面が形成されており、挿入されてくる中継基板174を案内するようになっている。
【0075】
では、図5〜図20を参照しながら、画像形成装置1に対する露光モジュールEMの装着手順、および、露光モジュールEMが取り付けられた画像形成装置1に対する感光体モジュールPMの装着手順について説明する。
【0076】
まず、露光モジュールEMおよび感光体モジュールPMが取り付けられていない画像形成装置1に対し、画像形成装置1のフロント側から露光モジュールEMを挿入していく。このとき、露光モジュールEMを構成する進退機構17のレバー172は、図9においてD方向に倒されることにより筐体171とほぼ水平な状態となっており、LPH14は進退機構17側に引き込まれている。そして、挿入された露光モジュールEMは、画像形成装置1内に設けられたガイド(図示せず)に沿ってフロント側(一端側)からリア側(他端側)に向けて進んでいく。
【0077】
その後、挿入に伴って露光モジュールEMのリア側が画像形成装置1のリア側のフレームに設けられたリア保持部材1Rにはめ込まれる。具体的に説明すると、進退機構17のリア側に設けられたはめ込み部材177が、リア保持部材1Rのブラケット91と第1の板バネ92との間に挟み込まれ、画像形成装置1に対して進退機構17のリア側が固定される。また、LPH14のリア側に設けられた第2リア位置決めピン612Rが、リア保持部材1Rのブラケット91とアーム93との間に挟み込まれ、第2の板バネ94によりアーム93がY方向に押されることにより、LPH14のリア側のY方向位置が決められる。さらに、進退機構17のリア側に設けられた受電コネクタ175が、画像形成装置1のリア側に設けられた給電コネクタ(図示せず)にはめ込まれ、両者が電気的に接続される。一方、進退機構17のフロント側に設けられた固定用プレート176と画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)とが対向した状態となり、フロント側のフレームに固定用プレート176がネジ止めされる。このように、進退機構17のリア側が画像形成装置1のリア側のフレームに設けられたリア保持部材1Rに、フロント側が画像形成装置1のフロント側のフレームにそれぞれ固定されることにより、画像形成装置1に対する進退機構17の位置決めがなされる。また、画像形成装置1に固定された進退機構17に設けられたフロント規制部材178Fが、第2フロント位置決めピン612Fを介してLPH14のX方向への移動を規制していることから、LPH14のX方向の位置決めがなされる。
【0078】
次に、このようにして露光モジュールEMが取り付けられた画像形成装置1に対し、画像形成装置1のフロント側から感光体モジュールPMを挿入していく。このとき、露光モジュールEMを構成する進退機構17のレバー172はD方向に倒されたままとなっており、LPH14は進退機構17側に引き込まれた状態を維持している。このとき、レバー172がD方向に倒されているので、レバー172が感光体モジュールPMの挿入を邪魔しないようにもなっている。そして、挿入された感光体モジュールPMは、画像形成装置1内に設けられたガイド(図示せず)に沿ってフロント側からリア側に向けて進んでいく。
【0079】
その後、挿入に伴って感光体モジュールPMのリア側に設けられたリング状部材85が画像形成装置1のリア側のフレーム(図示せず)にはめ込まれ、また、感光体モジュールPMのフロント側に設けられたプレート82の穴に画像形成装置1のフロント側のフレーム(図示せず)に設けられたフロントピン1Fがはめ込まれる。さらに、感光体モジュールPMのリア側に設けられた被駆動部(カップリング部材)が、画像形成装置1のリア側に設けられた駆動部(カップリング部材)にはめ込まれる。このように、感光体モジュールPMのリア側が画像形成装置1のリア側のフレームに、フロント側が画像形成装置1のフロント側のフレームに設けられたフロントピン1Fにそれぞれ固定されることにより、画像形成装置1に対する感光体モジュールPMの位置決めがなされる。
【0080】
また、感光体モジュールPMの挿入に伴い、感光体モジュールPMのフロント側に設けられたフロント位置決め部材84の受け溝841aに、LPH14のフロント側に設けられた第2フロント位置決めピン612Fが挟み込まれ、板バネ842により第2フロント位置決めピン612FがY方向に押されることにより、LPH14のフロント側のY方向位置が決められる。そして、画像形成装置1のリア側では、既にリア保持部材1Rが、第2リア位置決めピン612Rを介してLPH14のリア側のY方向位置を決めている。このように、画像形成装置1のリア側のフレームに設けられたリア保持部材1RがLPH14の第2リア位置決めピン612RのY方向への移動を規制し、且つ、感光体モジュールPMのプレート82に取り付けられたフロント位置決め部材84がLPH14の第2フロント位置決めピン612FのY方向への移動を規制していることから、LPH14のY方向の位置決めがなされる。
【0081】
そして、画像形成装置1に感光体モジュールPMがセットされた後、露光モジュールEMの進退機構17のレバー172がC方向に引き上げられ、レバー172が筐体171に対してほぼ垂直となった状態で、画像形成装置1に設けられた固定部材(図示せず)により固定される。すると、レバー172の引き上げに連動してリンク機構173が動作し、保持部173aおよび支持部173bがZ方向に立ち上がる。また、保持部173aおよび支持部173bがZ方向に立ち上がることにより、支持部173bに支持されたLPH14がZ方向に持ち上がる。このとき、LPH14のフロント側に設けられた第2フロント位置決めピン612Fの下部側は進退機構17の筐体171に取り付けられたフロント規制部材178Fによって、X方向への移動が規制されている。また、第2フロント位置決めピン612Fの上部側は感光体モジュールPMに取り付けられたフロント位置決め部材84によって、第2リア位置決めピン612Rの上部側および下部側は画像形成装置1のリア側のフレームに取り付けられたリア保持部材1Rによって、それぞれY方向への移動が規制されている。このため、LPH14は、X方向およびY方向への移動を規制された状態、換言すれば、X方向およびY方向の位置決めがなされた状態で、Z方向に移動する。このとき、LPH14は、Y方向にはバネ力による押しつけを受けているが、X方向にはバネ力による押しつけを受けていない。このため、LPH14は、X方向、Y方向の両方向にバネ力による押しつけを受けている場合と比較して、少ない力でZ方向に持ち上がることになる。
【0082】
そして、LPH14がZ方向に持ち上がると、LPH14のフロント側に設けられた第1フロント位置決めピン611Fが感光体モジュールPMのフロント側に設けられたフロントBB122Fに突き当たり、また、LPH14のリア側に設けられた第1リア位置決めピン611Rが感光体モジュールPMのリア側に設けられたリアBB122Rに突き当たる。このように、感光体モジュールPMの感光体ドラム12のX方向両端に設けられたフロントBB122F、リアBB122Rが、第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611Rを介してLPH14のZ方向への移動を規制することから、LPH14のZ方向の位置決めがなされる。
【0083】
したがって、露光位置にセットされたLPH14は、感光体ドラム12に対し次のように位置決めされることになる。
まず、X方向については、第2フロント位置決めピン612Fの下部側が画像形成装置1に固定された進退機構17のフロント規制部材178Fに保持されることにより位置決めされる。
また、Y方向については、第2フロント位置決めピン612Fの上部側が画像形成装置1に固定された感光体モジュールPMに設けられたフロント位置決め部材84に、第2リア位置決めピン612Rの上部側および下部側が画像形成装置1のリア側のフレームに固定されたリア保持部材1Rに、それぞれ保持されることにより位置決めされる。
さらに、Z方向については、第1フロント位置決めピン611F、第1リア位置決めピン611Rが画像形成装置1に固定された感光体モジュールPMに設けられたフロントBB122F、リアBB122Rにそれぞれ押し付けられることにより位置決めされる。
【0084】
つまり、感光体ドラム12に対するLPH14のX方向の位置決めはフロント側、リア側ともに進退機構17を基準としてなされ、また、感光体ドラム12に対するLPH14のZ方向の位置決めはフロント側、リア側ともに感光体モジュールPMを基準としてなされる。これに対し、感光体ドラム12に対するLPH14のY方向の位置決めは、フロント側が感光体モジュールPMを基準として、リア側が画像形成装置1を基準として、それぞれなされる。
【0085】
なお、画像形成装置1からの感光体モジュールPMおよび露光モジュールEMの取り外しは、上述した手順とは逆に行われる。すなわち、画像形成装置1に設けられた固定部材(図示せず)によるロックを外すことにより、まず、進退機構17に設けられたレバー172を図9においてD方向に回転させる。次いで、画像形成装置1のリア側からフロント側に向けて感光体モジュールPMを引き抜く。その後、ネジ等を取り外した後、画像形成装置1のリア側からフロント側に向けて露光モジュールEMを引き抜く。
【0086】
ところで、本実施の形態では、露光モジュールEMの進退機構17に設けられたレバー172を手動で操作することにより、LPH14を退避位置あるいは露光位置へと移動させている。ただし、本実施の形態の進退機構17は、通常は、LPH14が退避位置と露光位置の間に存在する待機位置におかれるようになっている。なお、待機位置では、図8や図9等に示したように、レバー172が斜めになる。これは、例えば露光位置にセットされたLPH14を退避位置へと退避させる際、レバー172を回転させるのに強い力が必要となるのを回避するためである。また、露光位置にセットされたLPH14に対するZ方向への押しつけを解除する際の衝撃が大きくなるのを回避するためでもある。
【0087】
図21は、露光位置、待機位置および退避位置における進退機構17の状態を示す図である。ここで、図21(a)は露光位置での状態を、図21(b)は待機位置での状態を、図21(c)は退避位置での状態を、それぞれ示している。ただし、図21においては、進退機構17に設けられる昇降部材306の記載を省略している。
また、図22は退避位置に設定を行った場合における進退機構17のフロント側の状態を説明するための図であり、図23は退避位置に設定を行った場合における進退機構17のリア側の状態を説明するための図である。さらに、図24は露光位置に設定を行った場合における進退機構17のフロント側の状態を説明するための図であり、図25は露光位置に設定を行った場合における進退機構17のリア側の状態を説明するための図である。ただし、図22〜図25においては、第1リンク部材301や第2リンク部材302の記載を省略している。
【0088】
では最初に、図21(b)を参照しながら、待機位置に設定を行った場合における進退機構17の状態について説明する。
【0089】
進退機構17において、第2リンク部材302は、センターコイルバネ303により、筐体171に対しX方向(リア側)に引っ張られている。すると、第2リンク部材302の第2フロント長穴302Fbのフロント側端部にフロント突起部305Fbが突き当たることにより、フロントカム305Fには、フロント軸305Faを中心に図中反時計方向に回転しようとする力が付与される。また、第2リンク部材302の第2リア長穴302Rbのフロント側端部にリア突起部305Rbが突き当たることにより、リアカム305Rにも、リア軸305Raを中心に図中反時計方向に回転しようとする力が付与される。
【0090】
一方、フロントカム305Fは、フロントコイルバネ304Fにより、筐体171に対し−X方向(フロント側)に引っ張られている。これにより、フロントカム305Fには、フロント軸305Faを中心に図中時計方向に回転しようとする力が付与される。また、リアカム305Rも、リアコイルバネ304Rにより、筐体171に対し−X方向(フロント側)に引っ張られている。これにより、リアカム305Rにも、リア軸305Raを中心に図中時計方向に回転しようとする力が付与される。
【0091】
その結果、センターコイルバネ303の力とフロントコイルバネ304Fおよびリアコイルバネ304Rの力とが釣り合う位置で、フロントカム305Fおよびリアカム305Rが静止することになる。このとき、昇降部材306(図示せず)は、フロントピン306Faがフロントカム305Fに設けられたピン用開口3052の−Z方向側の内壁面によって押され、且つ、リアピン306Raがリアカム305Rに設けられたピン用開口3052の内壁面によって押される。すると、昇降部材306のフロント側、リア側にそれぞれ設けられた保持部173aおよび支持部173bは、筐体171に対し第1の高さに設定された状態で停止する。なお、このとき、フロント側の保持部173aおよびリア側の保持部173aのZ方向の高さは同じとなっており、また、フロント側の支持部173bおよびリア側の支持部173bのZ方向の高さも同じとなっている。
【0092】
また、このとき、フロントカム305Fのフロント軸305Faは、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの略中央に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Faの略中央に位置する。一方、リアカム305Rのリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの略中央に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1リア長穴302Rbの略中央に位置する。
【0093】
その結果、待機位置では、フロントカム305Fのフロント軸305Faと昇降部材306のフロントピン306Faとが、X方向に沿って並んだ状態で静止することになる。また、待機位置では、リアカム305Rのリア軸305Raと昇降部材306のリアピン306Raとが、X方向に沿って並んだ状態で静止することになる。
そして、この状態では、第1リンク部材301を介して第2リンク部材302と連結されるレバー172が、軸172aを中心としてX方向およびZ方向に対し、それぞれ傾斜(約45°)した状態で静止することになる。
【0094】
次に、図21(a)、(b)、図24および図25を参照しながら、待機位置から露光位置に設定を変更した場合における進退機構17の動作および露光位置に設定を行った場合における進退機構17の状態について説明する。
【0095】
待機位置から露光位置へとLPH14(図示せず)を移動させる際、レバー172はC方向に操作される。すると、レバー172は、軸172aを中心に回転し、この回転に伴ってレバー172に設けられた軸172bもC方向に回転する。これに伴い、軸172bに取り付けられた第1リンク部材301が−X方向(フロント側)に引っ張られる。第1リンク部材301がフロント側に引っ張られると、軸301aを介して第1リンク部材302と連結される第2リンク部材302は、センターコイルバネ303の圧縮力に抗して−X方向に移動する。さらに、第2リンク部材302が−X方向(フロント側)に移動するのに伴い、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Fa、第2フロント長穴302Fb、第1リア長穴302Raおよび第2リア長穴302Rbも−X方向(フロント側)に移動する。
【0096】
このとき、フロントカム305Fは、フロントコイルバネ304Fによって−X方向(フロント側)に引っ張られており、また、フロントカム305Fに取り付けられたフロント突起部305Fbが突き当たっていた第2リンク部材302の第2フロント長穴302Fbが−X方向(フロント側)に移動している。このため、フロントカム305Fは、フロント突起部305Fbが第2フロント長穴302Fbのフロント側端部に突き当たった状態を維持しつつ、フロント軸305Faを中心に図中時計方向に回転する。
【0097】
一方、リアカム305Rも、リアコイルバネ304Rによって−X方向(フロント側)に引っ張られており、また、リアカム305Rに取り付けられたリア突起部305Rbが突き当たっていた第2リンク部材302の第2リア長穴302Rbが−X方向(フロント側)に移動している。このため、リアカム305Rは、リア突起部305Rbが第2リア長穴302Rbのフロント側端部に突き当たった状態を維持しつつ、リア軸305Raを中心に図中時計方向に回転する。
【0098】
なお、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは、第2リンク部材302の−X方向(フロント側)への移動に伴い、同じ角度ずつ時計方向に回転していく。
【0099】
このようなフロントカム305Fおよびリアカム305Rの回転動作に伴い、昇降部材306では、フロントピン306Faがフロントカム305Fに設けられたピン用開口3052の−Z方向側の内壁面によって押され、且つ、リアピン306Raがリアカム305Rに設けられたピン用開口3052の−Z方向側の内壁面によって押される。
このようにしてフロントピン306Faおよびリアピン306RaがZ方向に押されることから、これらフロントピン306Faおよびリアピン306Raが取り付けられた昇降部材306は、Z方向に押し上げられる。
【0100】
ただし、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは待機位置での状態から図中時計方向に回転することになるために、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052およびリアカム305Rに設けられたピン用開口3052は、Z方向に移動する際にわずかにX方向(リア側)にも移動することになる。
このため、待機位置から露光位置への移動において、昇降部材306には、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介してZ方向に向かう力とともにX方向(リア側)に向かう力も加えられることになる。したがって、待機位置から露光位置への移動において、昇降部材306は、Z方向への移動に伴ってわずかにX方向(リア側)にも移動しようとする。
【0101】
ここで、本実施の形態では、昇降部材306に設けられ、フロントカム305Fのフロント軸305Faを貫通させるためのフロント長穴306Fbが、Z方向に向かいX方向に傾斜する形状を有している。そして、フロント軸305Faは、筐体171に対する取り付け位置が固定されている。
また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられ、リアカム305Rのリア軸305Raを貫通させるためのリア長穴306Rbが、Z方向に向かいX方向に傾斜する形状を有している。そして、リア軸305Raは、筐体171に対する取り付け位置が固定されている。
【0102】
このため、進退機構17において、待機位置から露光位置へと設定を変更するために筐体171から昇降部材306を持ち上げるに際して、待機位置から露光位置へと近づいていくほど、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたフロント長穴306Fbの向きとのなす角度が小さくなっていく。また、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたリア長穴306Rbの向きとのなす角度が小さくなっていく。
【0103】
その結果、待機位置から露光位置へと向かわせるように進退機構17を動作させた際に、特に露光位置側において昇降部材306のフロント長穴306Fbにフロントカム305Fのフロント軸305Faが引っかかりにくくなる。また、待機位置から露光位置に向かわせるように進退機構17を動作させた際に、特に露光位置側において昇降部材306のリア長穴306Rbにリアカム305Rのリア軸305Raが引っかかりにくくなる。
【0104】
これにより、昇降部材306は、待機位置から、フロント側、リア側にそれぞれ設けられた保持部173aおよび支持部173bがそれぞれ水平に保たれた状態を維持しつつ、Z方向側に上昇し、上述した第1の位置よりも筐体171から離れた第2の位置まで移動して停止する。なお、このとき、フロント側の保持部173aおよびリア側の保持部173aのZ方向の高さは同じとなっており、また、フロント側の支持部173bおよびリア側の支持部173のZ方向の高さも同じとなっている。
【0105】
それゆえ、この進退機構17を有する露光モジュールEMを用いて感光体モジュールPMに対するZ方向の位置決め(LPH14の露光位置への位置決め)を行う際に、LPH14のフロント側あるいはリア側が引っかかって焦点ずれやX方向での濃度むらを招くといった事態が抑制されることになる。
【0106】
また、このとき、フロントカム305Fのフロント軸305Faは、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Faの中央よりも−Z方向側(下側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302FaのX方向側(リア側)に位置する。一方、リアカム305Rのリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたリア長穴306Raの中央よりも−Z方向側(下側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第2リア長穴302RaのX方向側(リア側)に位置する。
【0107】
その結果、露光位置では、フロントカム305Fのフロント軸305Faに対し、昇降部材306のフロントピン306Faが、待機位置のときよりもZ方向に移動した状態で静止することになる。また、露光位置では、リアカム305Rのリア軸305Raに対し、昇降部材306のリアピン306Raが、待機位置のときよりもZ方向に移動した状態で静止することになる。
そして、この状態では、第1リンク部材301を介して第2リンク部材302と連結されるレバー172が、Z方向に直立した状態で静止することになる。
【0108】
今度は、図21(b)、(c)、図22および図23を参照しながら、待機位置から退避位置に設定を変更した場合における進退機構17の動作および退避位置に設定を行った場合における進退機構17の状態について説明する。
【0109】
待機位置から退避位置へとLPH14を移動させる際、レバー172はD方向に操作される。すると、レバー172は、軸172aを中心に回転し、この回転に伴ってレバー172に設けられた軸172bもD方向に回転する。これに伴い、軸172bに取り付けられた第1リンク部材301がX方向(リア側)に押し込まれる。第1リンク部材301がリア側に押し込まれると、軸301aを介して第1リンク部材302と連結される第2リンク部材302は、第2フロント長穴302Fbのフロント側端部に接触するフロント突起部305Fbおよびフロントカム305Fを介してフロントコイルバネ304Fから受ける圧縮力、および、第2リア長穴302Fbのフロント側端部に接触するリア突起部205Rbおよびリアカム305Rを介してリアコイルバネ304Rから受ける圧縮力に抗してX方向に移動する。
【0110】
このとき、フロントカム305Fは、フロント突起部305Fbが第2リンク部材302の第2フロント長穴302Fbに突き当たった状態を維持しつつ、フロント軸305Faを中心に図中反時計方向に回転する。
一方、リアカム305Rも、リア突起部305Rbが第2リンク部材302の第2リア長穴302Rbに突き当たった状態を維持しつつ、リア軸305Raを中心に図中反時計方向に回転する。
なお、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは、第2リンク部材302のX方向(リア側)への移動に伴い、同じ角度ずつ反時計方向に回転していく。
【0111】
このようなフロントカム305Fおよびリアカム305Rの回転動作に伴い、昇降部材306では、フロントピン306Faがフロントカム305Fに設けられたピン用開口3052のZ方向側の内壁面によって押され、且つ、リアピン306Raがリアカム305Rに設けられたピン用開口3052のZ方向側の内壁面によって押される。
このようにしてフロントピン306Faおよびリアピン306Raが−Z方向に押されることから、これらフロントピン306Faおよびリアピン306Raが取り付けられた昇降部材306は、−Z方向に押し下げられる。
【0112】
ただし、この間、フロントカム305Fおよびリアカム305Rは待機位置での状態から図中反時計方向に回転することとなるために、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052およびリアカム305Rに設けられたピン用開口3052は、−Z方向に移動する際にわずかにX方向(リア側)にも移動することになる。
このため、待機位置から退避位置への移動において、昇降部材306には、フロントピン306Faおよびリアピン306Fbを介して−Z方向に向かう力とともにX方向(リア側)に向かう力も加えられることになる。したがって、待機位置から退避位置への移動において、昇降部材306は、Z方向への移動に伴ってわずかにX方向(リア側)にも移動しようとする。
【0113】
このため、進退機構17において、待機位置から退避位置へと設定を変更するために、筐体171に昇降部材306を引き込むに際して、待機位置から退避位置へと近づいていくほど、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたフロント長穴306Fbの向きとのなす角度が大きくなっていく。また、フロントピン306Faおよびリアピン306Raを介して昇降部材306が受ける力の向きと、昇降部材306に形成されたリア長穴306Rbの向きとのなす角度が大きくなっていく。
【0114】
その結果、待機位置から退避位置へと向かわせるように進退機構17を動作させた際に、退避位置側において昇降部材306のフロント長穴306Fbにフロントカム305Fのフロント軸305Faが擦られやすくなる。また、待機位置から退避位置に向かわせるように進退機構17を動作させた際に、特に退避位置側において昇降部材306のリア長穴306Rbにリアカム305Rのリア軸305Raが擦られやすくなる。
【0115】
これにより、昇降部材306は、待機位置から、フロント側、リア側にそれぞれ設けられた保持部173aおよび支持部173bがそれぞれ水平に保たれた状態を維持しつつ、−Z方向に下降し、上述した第1の位置よりも筐体171に近づいた第3の位置まで移動して停止する。このとき、上述した擦れにより、フロント側の保持部173aおよびリア側の保持部173aのZ方向の高さが異なっていたり、あるいは、フロント側の支持部173bおよびリア側の支持部173のZ方向の高さが異なっていたりすることがあるが、退避位置では露光動作を行う必要がないので、この点は特に問題とはならない。
【0116】
また、このとき、フロントカム305Fのフロント軸305Faは、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Faの中央部よりもZ方向側(上側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1フロント長穴302Faの−X方向側(フロント側)に位置する。一方、リアカム305Rのリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたリア長穴306Raの中央よりもZ方向側(上側)に位置し、且つ、第2リンク部材302に設けられた第1リア長穴302Raの−X方向側(フロント側)に位置する。
【0117】
その結果、退避位置では、フロントカム305Fのフロント軸305Faに対し、昇降部材306のフロントピン306Faが、待機位置のときよりも−Z方向に移動した状態で静止することになる。また、退避位置では、リアカム305Rのリア軸305Raに対し、昇降部材306のリアピン306Raが、待機位置のときよりも−Z方向に移動した状態で静止することになる。
そして、この状態では、第1リンク部材301を介して第2リンク部材302と連結されるレバー172が、−X方向に寝た状態で静止することになる。
【0118】
ここで、図26は、上述した退避位置から露光位置に向けて進退機構17を動作させる場合に、進退機構17のフロント側において、フロントカム305Fを介して昇降部材306が受ける力の向きと、受けた力によって昇降部材306が移動する向きとの関係を説明するための図である。より具体的に説明すると、図26は、フロントカム305Fのピン用開口3052を介して昇降部材306のフロントピン306Faにかかる力の向きFと、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbにフロントカム305Fのフロント軸305Faが挿入されていることによって動きが規制された昇降部材306が移動する向きDとの関係を示している。なお、図26(a)は退避位置での状態を、図26(b)は露光位置での状態を、それぞれ示している。
【0119】
また、図27は、上述した退避位置から露光位置に向けて進退機構17を動作させる場合に、進退機構17のリア側において、リアカム305Rを介して昇降部材306が受ける力の向きと、受けた力によって昇降部材306が移動する向きとの関係を説明するための図である。より具体的に説明すると、図27は、リアカム305Rのピン用開口3052を介して昇降部材306のリアピン306Raにかかる力の向きFと、昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbにリアカム306Rのリア軸305Raが挿入されていることによって動きが規制された昇降部材306の移動する向きDとの関係を示している。
【0120】
では、図26(a)および図27(a)に示す状態(退避位置)から、昇降部材306を持ち上げようとした場合を考える。
【0121】
まず、図26(a)に示すように、進退機構17のフロント側において、フロントカム305Fは図中時計方向に回転する。このとき、フロントカム305Fのピン用開口3052に挿入されたフロントピン306Faには、図中破線矢印で示す向きFに力がかかる。これに対し、このフロントピン306Faが取り付けられた昇降部材306のフロント長穴306Fbには、フロントカム305Fのフロント軸305Faが貫通しており、しかも、このフロント軸305Faは筐体171に位置が固定された状態で取り付けられていることから、昇降部材306は、図中破線矢印で示す向きDに移動しようとする。
【0122】
また、図27(a)に示すように、進退機構17のリア側において、リアカム305Rは図中時計方向に回転する。このとき、リアカム305Rのピン用開口3052に挿入されたリアピン306Raには、図中破線で示す向きFに力がかかる。これに対し、このリアピン306Raが取り付けられた昇降部材306のリア長穴306Rbには、リアカム305Rのリア軸305Raが貫通しており、しかも、このリア軸305Raは筐体171に位置が固定された状態で取り付けられていることから、昇降部材306は、図中破線矢印で示す向きDに移動しようとする。
【0123】
このように、図26(a)および図27(a)に示す状態では、フロントカム305Fおよびリアカム305Rによって、昇降部材306に対し、Z方向成分および−X方向成分を含む向きFに力がかかることになる。これに対し、昇降部材306は、フロントカム305Fのフロント軸305Faが挿入されるフロント長穴305Fbおよびリアカム305Rのリア軸305Rbが挿入されるリア長穴305Rbにより、Z方向成分およびX方向成分を含む向きDに移動しようとする。
なお、以下の説明においては、向きFを力の向きと呼び、向きDを移動する向きと呼ぶ。また、力の向きFと移動する向きDとの角度の差を角度差αと呼ぶ。
【0124】
次に、図26(a)および図27(a)に示す状態(退避位置)から昇降部材306が持ち上がり、図26(b)および図27(b)に示す状態(露光位置)に到達した場合を考える。
【0125】
まず、図26(b)に示すように、進退機構17のフロント側では、フロントカム305Fの時計方向への回転に伴い、フロントカム305Fに設けられたピン用開口3052が、フロント軸305Faよりも−Z方向側の位置からフロント軸305FaよりもZ方向側の位置へと移動する。これに伴い、フロントカム305Fのピン用開口3052に挿入されたフロントピン306Faにかかる力の向きFは、Z方向成分および−X方向成分を含む状態(図26(a)に示す状態)から、徐々に−X方向成分が減少することによってZ方向成分の割合が多くなっていき、待機位置においてフロント軸305Faとフロントピン306FaとがX方向に並ぶことで−X方向成分がなくなってZ方向成分のみとなった後、今度はZ方向成分およびX方向成分を含むようになるとともに回転に伴ってX方向成分が増加していく。
【0126】
また、図27(b)に示すように、進退機構17のリア側では、リアカム305Rの時計方向への回転に伴い、リアカム305Rに設けられたピン用開口3052が、リア軸305Raよりも−Z方向側の位置からリア軸305RaよりもZ方向側の位置へと移動する。これに伴い、リアカム305Rのピン用開口3052に挿入されたリアピン305Raにかかる力の向きFは、Z方向成分および−X方向成分を含む状態(図27(a)に示す状態)から、徐々に−X方向成分が減少することによってZ方向成分の割合が多くなっていき、待機位置においてリア軸305Raとリアピン306RaとがX方向に並ぶことで−X方向成分がなくなってZ方向成分のみとなった後、今度はZ方向成分およびX方向成分を含むようになるとともに回転に伴ってX方向成分が増加していく。
【0127】
そして、このような過程を経ることで、本実施の形態では、例えば図26(b)に示すように進退機構17のフロント側では、昇降部材306を上昇させきった状態で、力の向きFと移動する向きDとが共に、Z方向成分とX方向成分とを含むようになる。また、例えば図27(b)に示すように進退機構17のリア側でも、昇降部材306を上昇させきった状態で、力の向きFと移動する向きDとが共に、Z方向成分とX方向成分とを含むようになる。特に、この例では、進退機構17のフロント側およびリア側の両者において、それぞれ、力の向きFと移動する向きDとが揃うようになる。
【0128】
また、このような過程を経ることで、本実施の形態では、昇降部材306がZ方向に向かい且つX方向にわずかに傾斜しながら上昇していくことになる。ここで、露光モジュールEMにおいては、進退機構17の昇降部材306によってLPH14が持ち上げられる間、進退機構17に設けられたフロント規制部材178F(図12参照)に挿入されたフロント位置決めピン612Fを介して、フロント位置決めピン612Fが取り付けられたLPH14のX方向および−X方向への移動が規制されている。このため、昇降部材306がZ方向に向かいわずかにX方向に傾斜した状態で持ち上がる間、LPH14に設けられたフロント位置決めピン612Fは、進退機構17に設けられたフロント規制部材178Fのリア側の壁面に押し付けられた状態を維持することになる。
【0129】
ここで、図28(a)は、フロントカム305Fの回転角度θ(°)と、力の向きFおよび移動する向きDの角度差αとの関係を示している。ここで、回転角度θは、退避位置にあるときを基準(0°)とし、時計方向への回転に伴って回転角度θが増加するものとしている。なお、ここではフロントカム305F側を例に説明を行うが、リアカム305R側についても同じである。
【0130】
本実施の形態では、上述した構成を備えることにより、退避位置での角度差αよりも露光位置での角度差αを小さくしている。特に、本実施の形態では、露光位置での角度差αがほぼ0°となるよう、すなわち、露光位置において力の向きFと移動する向きDとが揃うようになっている。また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbが一方向に沿って伸びる直線状の形状を有していることから、回転角度θと角度差αとが線形の関係を示すようになっている。
【0131】
また、図28(b)は、力の向きFおよび移動する向きDの角度差αと、昇降部材306の上昇動作に伴ってフロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faおよび昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの内壁の間に働く摩擦力μFとの関係を示す図である。なお、ここではフロントカム305F側を例に説明を行うが、リアカム305R側についても同じである。
【0132】
この例において、角度差αの絶対値が大きくなるということは、フロントカム305Fからフロントピン306Faを介して昇降部材306に加えられる力において、Z方向成分に比べて−X方向成分(あるいはX方向成分)の割合が増加していることを意味する。このように昇降部材306に対し−X方向(あるいはX方向)に加えられる力が増加すると、昇降部材306が上昇しようとする際に、フロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faが、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの内壁に突き当てられやすくなる。すると、この突き当たりが強くなるにつれ、フロント軸305Faとフロント長穴306Fbの内壁との間に働く摩擦力μFが増大し、昇降部材306の上昇動作を阻害するおそれがある。そして、昇降部材306の上昇動作が阻害されることによって昇降部材306のフロント側が図24に示す状態よりも下位で停止してしまった場合には、感光体ドラム12に対する、進退機構17によるLPH14のフロント側のZ方向位置決めが不十分なものとなってしまう。なお、リアカム305R側で同様の事態が生じた場合には、結果として、感光体ドラム12に対する、進退機構17によるLPH14のリア側のZ方向位置決めが不十分なものとなってしまう。
【0133】
これに対し、本実施の形態では、上述した構成を備えることにより、露光位置に近づくにつれて角度差αが小さくなることから、昇降部材306が上昇しようとする際に、例えばフロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faが、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbの内壁に突き当てられにくくなる。また、フロント軸305Faがフロント長穴306Fbの内壁に接触するような場合であっても、両者間に働く摩擦力μFは小さくなる。一方、例えばリアカム305Rに設けられたリア軸305Raも、昇降部材306に設けられたリア長穴306Rbの内壁に突き当てられにくくなる。また、リア軸305Raがリア長穴306Rbの内壁に接触するような場合であっても、両者間に働く摩擦力μFは小さくなる。
このため、露光位置側において昇降部材306の上昇動作が阻害されにくくなり、進退機構17の昇降部材306によって持ち上げられたLPH14は、目的とする位置まで移動して停止する。したがって、目的とする露光位置において、LPH14のフロント側およびリア側のZ方向位置決めがなされることになる。
【0134】
なお、本実施の形態では、進退機構17の昇降部材306がZ方向に上がりきった状態で、力の向きFと移動の向きDとを揃えるようにしていたが、これに限られるものではなく、少なくとも力の向きFと移動の向きDとが同じ側を向いていればよい。
【0135】
また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbの形状を直線状としていたが、これに限られるものではない。
図29(a)は昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbの他の構成例を示している。図29(a)に示す例において、フロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbは、−Z方向側においてZ方向に伸び且つX方向に傾斜する第1の領域と、第1の領域のZ方向側においてZ方向に伸び且つ第1の領域よりもZ方向側に傾いた角度でX方向に傾斜する第2の領域とを一体化して構成されている。
【0136】
図29(b)は、図26に示す構成を有する昇降部材306を上述した進退機構17に組み込んだ場合における、フロントカム305Fの回転角度θ(°)と、力の向きFおよび移動する向きDの角度差αとの関係を示している。ただし、図29(b)には、この構成を採用した場合を太線の二点鎖線で、実施の形態1で説明した構成を採用した場合を細線の一点鎖線で、それぞれ示している。なお、ここではフロントカム305F側を例に説明を行うが、リアカム305R側についても同じである。
【0137】
この構成を採用した場合、実施の形態1で説明した構成を採用した場合と比較して、退避位置から昇降部材306の持ち上げを開始する際の角度差αが小さくなっていることがわかる。そして、角度差αが小さいということは、図28(b)を用いて説明したように、昇降部材306の持ち上げに際して発生する摩擦力μFが小さくなることを意味する。したがって、この構成を採用した場合には、退避位置から待機位置および露光位置側に向けて昇降部材306の上昇動作を行わせる際に、持ち上げに必要な力が少なくて済む、ということになる。
【0138】
なお、本実施の形態では、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbに、フロントカム305Fに設けられたフロント軸305Faとリアカム305Rに設けられたリア軸305Raとをそれぞれ挿通させることにより、昇降部材306の上昇動作に伴う昇降部材306の移動方向の規制を行っていたが、これに限られるものではない。例えば、フロント軸305Faやリア軸305Ra以外の軸部材を、昇降部材306に設けられたフロント長穴306Fbおよびリア長穴306Rbに挿通させるようにしてもよい。また、これらフロントカム305F、リアカム305Rおよび昇降部材306とは別に、昇降部材306の移動方向を規制する機構を設けてもよい。
また、本実施の形態では、昇降部材306に設けられるフロント長穴306Fbを一方向に沿って伸びる直線状の形状とすることで、回転角度θと角度差αとが線形の関係を示すようにしているが、これに限られず、例えば回転角度θと角度差αとが線形の関係を示すように、長穴の形状を曲線形状としたりあるいは一部を屈曲させた形状としたりしても構わない。
【符号の説明】
【0139】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、12…感光体ドラム、14…LEDプリントヘッド(LPH)、17…進退機構、171…筐体、172…レバー、173…リンク機構、173a…保持部、173b…支持部、178F…フロント規制部材、301…第1リンク部材、302…第2リンク部材、303…センターコイルバネ、304F…フロントコイルバネ、304R…リアコイルバネ、305F…フロントカム、305R…リアカム、306…昇降部材、PM…感光体モジュール、EM…露光モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と、
前記像保持体を露光する露光部材と、
前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、
位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、
前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光部材から前記像保持体に向かう方向に対し予め決められた側に傾斜した方向に前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記支持部材を直線状に案内することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記案内手段は、前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、前記角度差が線形に変化するように前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記案内手段は、前記支持部材を介して前記待避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光位置にて前記角度差が最小となるように当該支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
像保持体を露光する露光部材と、
前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、
位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、
前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段と
を含む露光装置。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体を露光する露光部を有する露光部材と、
予め決められた待避位置から前記露光部の光軸方向である第1の方向に前記露光部材を移動させて前記像保持体に対し当該露光部を予め決められた露光位置に進出させ、当該露光位置から当該第1の方向とは逆方向に当該露光部材を移動させて当該露光部を当該待避位置に待避させる進退機構とを備え、
前記進退機構は、
前記像保持体の軸線方向のうち当該像保持体の一端側から他端側に向かう第2の方向に沿って設けられ、前記像保持体に対する位置が固定される筐体と、
前記第1の方向および前記第2の方向に交差する第3の方向に伸び且つ前記筐体に位置が固定された状態で取り付けられる軸と、当該軸を中心として回転する回転体とを備える回転部材と、
前記回転部材の前記軸が貫通する長穴を備え、前記露光部材を搭載するとともに前記回転部材の前記回転体に連結され、当該回転体の回転に伴って当該露光部材を前記待避位置あるいは前記露光位置に移動させる搭載部材とを含み、
前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる際に前記回転部材を介して当該搭載部材が受ける力の向きと当該搭載部材に設けられた前記長穴の向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記搭載部材に設けられる前記長穴は、前記第1の方向に向かい且つ前記第2の方向または当該第2の方向とは逆方向のいずれか一方に傾斜して形成されることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記搭載部材に設けられる前記長穴が直線形状を有していることを特徴とする請求項7または8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる間に、当該露光位置にて前記角度差が最小となることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項載の画像形成装置。
【請求項1】
像保持体と、
前記像保持体を露光する露光部材と、
前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、
位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、
前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光部材から前記像保持体に向かう方向に対し予め決められた側に傾斜した方向に前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記支持部材を直線状に案内することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記案内手段は、前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、前記角度差が線形に変化するように前記支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記案内手段は、前記支持部材を介して前記待避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該露光位置にて前記角度差が最小となるように当該支持部材を案内することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
像保持体を露光する露光部材と、
前記露光部材が前記像保持体から離れた退避位置と当該退避位置よりも当該像保持体に近づいた露光位置との間で移動するように当該露光部材を支持する支持部材と、
位置が固定された回転軸と当該回転軸に取り付けられ且つ前記支持部材に連結される回転体とを備え、回転に伴って前記露光部材を前記退避位置から前記露光位置に向けて移動させる移動部材と、
前記移動部材を回転させることにより前記支持部材を介して前記退避位置から前記露光位置に前記露光部材を移動させる際に、当該移動部材を介して当該支持部材が受ける力の向きと当該支持部材が移動する向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さくなるように当該支持部材を案内する案内手段と
を含む露光装置。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体を露光する露光部を有する露光部材と、
予め決められた待避位置から前記露光部の光軸方向である第1の方向に前記露光部材を移動させて前記像保持体に対し当該露光部を予め決められた露光位置に進出させ、当該露光位置から当該第1の方向とは逆方向に当該露光部材を移動させて当該露光部を当該待避位置に待避させる進退機構とを備え、
前記進退機構は、
前記像保持体の軸線方向のうち当該像保持体の一端側から他端側に向かう第2の方向に沿って設けられ、前記像保持体に対する位置が固定される筐体と、
前記第1の方向および前記第2の方向に交差する第3の方向に伸び且つ前記筐体に位置が固定された状態で取り付けられる軸と、当該軸を中心として回転する回転体とを備える回転部材と、
前記回転部材の前記軸が貫通する長穴を備え、前記露光部材を搭載するとともに前記回転部材の前記回転体に連結され、当該回転体の回転に伴って当該露光部材を前記待避位置あるいは前記露光位置に移動させる搭載部材とを含み、
前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる際に前記回転部材を介して当該搭載部材が受ける力の向きと当該搭載部材に設けられた前記長穴の向きとの角度差が、当該退避位置よりも当該露光位置において小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記搭載部材に設けられる前記長穴は、前記第1の方向に向かい且つ前記第2の方向または当該第2の方向とは逆方向のいずれか一方に傾斜して形成されることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記搭載部材に設けられる前記長穴が直線形状を有していることを特徴とする請求項7または8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記待避位置から前記露光位置に前記搭載部材を移動させる間に、当該露光位置にて前記角度差が最小となることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2011−20414(P2011−20414A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169319(P2009−169319)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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