説明

画像形成装置のクラッチ保持機構及び画像形成装置

【課題】画像形成装置でクラッチ保持機能、クラッチ軸受け機能、クラッチ回転止め機能及びケーブル規制機能を少ない部品数で実現できるクラッチ保持機構を提供する。
【解決手段】出力軸111と、回転駆動力を出力軸111に伝達する連結状態と回転駆動力を出力軸111に伝達しない非連結状態とに変更可能で且つ係合部121を有するクラッチ120と、出力軸111の軸方向へのクラッチ120の移動を規制してクラッチ120を保持するクラッチ保持部材130とを備える。クラッチ保持部材130は、出力軸11を回転可能に軸支する軸受部131と、係合部121と係合して出力軸111を中心とするクラッチ120の回転を規制する回転規制部132と、クラッチ保持部材130に沿うケーブル141の配置位置を規制するケーブル規制部133と、軸受部131、回転規制部132及びケーブル規制部133を一体的に構成する保持部材本体部135とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタやコピー機等の画像形成装置においてクラッチを保持するクラッチ保持機構、及びこのクラッチ保持機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタやコピー機等の画像形成装置において、各種ローラ等の回転体を回転駆動させるために、駆動力伝達機構が用いられている。駆動力伝達機構においては、その小型化などのために、1個のモータ等の回転駆動源から回転駆動力を発生させ、発生した回転駆動力を、ギア群などを介して所定の出力軸に伝達する(出力する)。
【0003】
ところで、画像形成装置において使用される回転駆動源は、定常的に回転駆動力を出力する構成(仕様)とすることが多く、この場合、駆動力伝達機構には、例えば、回転駆動力を出力軸に伝達する連結状態と、回転駆動力を出力軸に伝達しない非連結状態とに変更可能なクラッチ(電磁クラッチ等)が用いられる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
ここで、駆動力伝達機構においては、クラッチに関する機能として、クラッチが出力軸の軸方向に移動することを規制してクラッチを保持する機能(クラッチ保持機能)と、出力軸を回転可能に軸支する機能(クラッチ軸受け機能)と、クラッチが出力軸を中心に回転することを規制する機能(クラッチ回転止め機能)と、が必要とされる。
また、クラッチの周辺には、画像形成装置における各種電装品を電気的に接続するために用いられるケーブルが取り回されている。駆動力伝達機構においては、このようなケーブルの配置位置を規制する機能(ケーブル規制機能)も必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−262601号公報
【特許文献2】特開2004−233426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来においては、前述のクラッチ保持機能、クラッチ軸受け機能、クラッチ回転止め機能及びケーブル規制機能は、それぞれ独立した部品により実現していた。例えば、特許文献1,2に記載のクラッチ保持機構においては、クラッチを保持する部材(クラッチ保持部材)は、クラッチ軸受け機能及びケーブル規制機能を有していない。
そのため、クラッチ保持機能、クラッチ軸受け機能、クラッチ回転止め機能及びケーブル規制機能を少ない部品数で実現し、部品コストや製造コストを削減することが望まれている。
【0007】
本発明は、画像形成装置においてクラッチを保持するクラッチ保持機構において、クラッチ保持機能、クラッチ軸受け機能、クラッチ回転止め機能及びケーブル規制機能を少ない部品数で実現することができるクラッチ保持機構を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記クラッチ保持機構を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像形成装置においてクラッチを保持するクラッチ保持機構であって、回転駆動源で発生した回転駆動力を出力可能な出力軸と、回転駆動力を前記出力軸に伝達する連結状態と回転駆動力を前記出力軸に伝達しない非連結状態とに変更可能であると共に、係合部を有するクラッチと、前記クラッチが前記出力軸の軸方向に移動することを規制して前記クラッチを保持するクラッチ保持部材と、を備え、前記クラッチ保持部材は、前記出力軸を回転可能に軸支する軸受部と、前記係合部と係合することにより前記クラッチが前記出力軸を中心に回転することを規制する回転規制部と、前記クラッチ保持部材に沿って配置されるケーブルの配置位置を規制するケーブル規制部と、前記軸受部、前記回転規制部及び前記ケーブル規制部を一体的に構成する保持部材本体部と、を有する、画像形成装置のクラッチ保持機構に関する。
【0009】
また、前記係合部は、前記クラッチの外面から前記出力軸の軸方向に突出し且つ前記クラッチへ供給される電流の入力を受け付けるコネクタ部の外面から形成され、前記回転規制部は、前記保持部材本体部に開口した孔部から形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記ケーブル規制部は、前記軸受部の外面を利用して、ケーブルの配置位置を規制することが好ましい。
【0011】
また、前記クラッチ保持部材は、前記軸受部の外面から離間した位置において前記保持部材本体部から前記出力軸の軸方向に起立する第1壁部を有し、前記ケーブル規制部は、前記軸受部の外面と共に前記第1壁部を利用して、ケーブルの配置位置を規制することが好ましい。
【0012】
また、前記クラッチ保持部材は、前記軸受部の外面に近接した位置において前記保持部材本体部から前記出力軸の軸方向に突出するガイド部と、前記軸受部の外面から離間した位置において前記保持部材本体部から前記出力軸の軸方向に起立する第1壁部と、を有し、前記ケーブル規制部は、前記ガイド部及び前記第1壁部を利用して、ケーブルの配置位置を規制することが好ましい。
【0013】
また、前記第1壁部は、前記軸受部の外面に対応する部分において、前記軸受部の外面から離間する方向に湾曲していることが好ましい。
【0014】
また、前記回転規制部は、前記孔部を挿通する前記コネクタ部の外面と前記軸受部の外面との間に配置され且つ前記孔部の周縁部から起立する第2壁部を有し、前記ケーブル規制部は、前記第2壁部を利用して、ケーブルの配置位置を規制することが好ましい。
【0015】
また、前記クラッチ保持部材は、前記第1壁部の起立端部から前記出力軸の軸方向に直交する方向に延出する延出部を有し、前記出力軸の軸方向において、前記軸受部における前記軸方向の端部は、前記延出部よりも外方に位置することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記クラッチ保持機構を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像形成装置においてクラッチを保持するクラッチ保持機構において、クラッチ保持機能、クラッチ軸受け機能、クラッチ回転止め機能及びケーブル規制機能を少ない部品数で実現することができるクラッチ保持機構を提供することができる。
また、本発明によれば、前記クラッチ保持機構を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】プリンタ1の感光体ドラム2a,2b,2c,2dを駆動する駆動ユニット100及びクラッチ保持機構150を説明するための斜視図である。
【図3】図2に示したクラッチ保持機構150の一部拡大斜視図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図2に示したクラッチ120の設置状態を説明するための拡大斜視図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】クラッチ保持機構150におけるクラッチ保持部材130を出力軸111の軸方向で装置本体Mの外方側から視た外観斜視図である。
【図8】クラッチ保持機構150におけるクラッチ保持部材130を出力軸111の軸方向で装置本体Mの内方側から視た外観斜視図である。
【図9】クラッチ保持機構150におけるクラッチ保持部材130を、筐体101に固定して設置した状態を示す要部の拡大斜視図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】図10に記した一点指示鎖線x1−x2に沿って断面した要部の拡大横断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態のプリンタ1におけるクラッチ保持機構150のクラッチ保持部材130を筐体101に固定して設置した状態を示す要部の拡大正面図である。
【図13】本発明の第3実施形態のプリンタ1におけるクラッチ保持機構150のクラッチ保持部材130を、筐体101に固定して設置した状態を示す要部の拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
以下の説明において、プリンタ1の前側に立ったユーザから見て、左右方向をX方向とし、前後(奥行き)方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成されている。
【0021】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0022】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0023】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、画像形成時に感光体ドラム2a、2b、2c、2dが回転すると順に、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対して、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0024】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
感光体ドラム2a,2b,2c,2dを駆動する駆動ユニット100については、後に詳述する。
【0025】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
【0026】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置されている。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成されている。
【0027】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0028】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像の帯電電荷が除去された箇所に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成されている。
【0029】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0030】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー搬送装置によって結ばれている。
【0031】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラとして機能する対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡されている。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0032】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置されている。
【0033】
中間転写ベルト7は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成されている。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0034】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0035】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0036】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に1次転写後に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0037】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0038】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0039】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置されている。中間転写ベルト7は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間に2次転写ニップN2が形成されている。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写されている。
【0040】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0041】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置されている。給紙カセット52は、装置本体Mのケース体BDから水平方向に引き出し可能に構成されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容されている。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52の用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されているカセット給紙部51により搬送路Lに送り出されている。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0042】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされている用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの右側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置されている。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0043】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0044】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0045】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ニップN2との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサ(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置されている。前記用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置されている。レジストローラ対80は、前記用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0046】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置されている。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81に関して用紙搬送方向の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送されている用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0047】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbによって、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対してトナー画像が転写されている。
【0048】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0049】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成されている。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置されている。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によって、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送されている用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0050】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mの上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサ(不図示)が配置されている。
【0051】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、中間ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0052】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0053】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0054】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0055】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0056】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0057】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0058】
さらに、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0059】
次に、図2から図8により、第1実施形態のプリンタ1における駆動ユニット100及び駆動ユニット100のクラッチ120を保持するクラッチ保持機構150の詳細な構成について説明する。
【0060】
図2は、プリンタ1の感光体ドラム2a,2b,2c,2dを駆動する駆動ユニット100及びクラッチ保持機構150を説明するための斜視図である。図3は、図2に示したクラッチ保持機構150の一部拡大斜視図である。図4は、図3の正面図である。図5は、図2に示したクラッチ120の設置状態を説明するための拡大斜視図である。図6は、図5の正面図である。図7は、クラッチ保持機構150におけるクラッチ保持部材130を出力軸111の軸方向で装置本体Mの外方側から視た外観斜視図である。図8は、クラッチ保持機構150におけるクラッチ保持部材130を出力軸111の軸方向で装置本体Mの内方側から視た外観斜視図である。
【0061】
図2に示すように、駆動ユニット100は、感光体ドラム2a,2b,2c,2dそれぞれに対応する駆動機構100a,100b,100c,100dを有し、これら駆動機構100a,100b,100c,100dを一つの筐体101に収容してユニット化したものである。筐体101は、プリンタ1における装置本体Mの内部に固定されて設置される。
【0062】
図2、図3及び図4に示すように、クラッチ保持機構150は、回転駆動源としてのモータ(不図示)で発生した回転駆動力を出力可能な出力軸111と、クラッチ120と、クラッチ保持部材130と、を備える。
【0063】
クラッチ120は、電磁クラッチからなり、電流の供給を断続することにより、モータ駆動軸(不図示)と出力軸111との間に介在する電磁石(不図示)をON/OFFすることができる。これにより、クラッチ120は、モータで発生した回転駆動力を出力軸111に伝達する連結状態と、回転駆動力を出力軸111に伝達しない非連結状態とに、変更可能となっている。
【0064】
図5及び図6に示すように、電磁クラッチ120は、係合部121を有する。係合部121は、電磁クラッチ120の外面から出力軸111の軸方向CXの前方及び右側方へ突出するコネクタ部の外面から形成される。コネクタ部121は、プリンタ1内の電源回路(不図示)から供給される電流を電磁クラッチ120へ入力させる(入力を受け付ける)ためのコネクタである。
【0065】
図7及び図8に示すように、クラッチ保持部材130は、軸受部131と、回転規制部132と、ケーブル規制部133と、筐体101への取付け部134と、軸受部131、回転規制部132、ケーブル規制部133及び取付け部134を一体的に構成(連結)する保持部材本体部135と、を備える。
軸受部131は、出力軸111を回転可能に軸支する。軸受部131における出力軸111の軸方向CXの端部131Eは、出力軸111の端部111Eよりも外方に位置する(図11参照)。
【0066】
回転規制部132は、保持部材本体部135に開口(形成)した孔部から形成される。つまり、電磁クラッチ120の係合部であるコネクタ部121の外周を孔部132の内縁に係合させることによって、孔部132は、電磁クラッチ120が出力軸111を中心に回転することを規制する回り止めとして機能する。
【0067】
ケーブル規制部133は、第1壁部136及び延出部137を有しており、第1壁部136及び延出部137と共に軸受部131の外面131A等も利用して、ケーブル141の配置位置を規制する。詳しくは、図7に示すように、第1壁部136は、軸受部131の外面131Aから上下に離間した位置において、保持部材本体部135から出力軸111の軸方向CXに起立するように、上下一対に設けられる。
【0068】
また、延出部137は、舌片状の部位であり、軸受部131の径方向の両側対向位置において、上下一対の第1壁部136の起立端部136Bからそれぞれ出力軸111の軸方向CXに直交する方向に延出するように、一対設けられる。この一対の舌片状の延出部137は、軸受部131の軸方向CXの外面131Aよりも外方に位置する。ここで、舌片状の延出部137と軸受部131の軸方向CXの外面131Aとの距離Nは、ケーブル141の直径Dよりも小さく(N>D)設定されている。これによって、一対の舌片状の延出部137は、ケーブル規制部133により配置位置が規制されたケーブル141の外方への抜け止めとして機能する。
【0069】
クラッチ保持部材130の取付け部134は、保持部材本体部135の長手方向の両端部に一対設けられる。一対の取付け部134は、軸受部131の軸方向CXに対して直交する方向に弾性変位可能な板部材134Aと、板部材134Aの先端に形成される鉤状係合爪134Bと、を備える。一対の取付け部134は、筐体101に形成された一対の取付け孔部102に前方から差し込まれることにより、先端の鉤状係合爪134Bが取付け孔部102の被係合部(不図示)に弾性的に係合される。これによって、クラッチ保持部材130は、筐体101に対して抜け止め状態に固定されて設置される。
【0070】
次に、図9から図11により、第1実施形態のプリンタ1におけるクラッチ保持機構150によるケーブル141の取り回しについて説明する。
図9は、クラッチ保持機構150におけるクラッチ保持部材130を、筐体101に固定して設置した状態を示す要部の拡大斜視図である。図10は、図9の正面図である。図11は、図10に記した一点指示鎖線x1−x2に沿って断面した要部の拡大横断面図である。
【0071】
図9及び図10に示すように、電磁クラッチ120の前面位置には、プリンタ1における各種電装品を電気的に接続するために用いられるケーブル141が取り回されて配置される。コネクタ部121には、電磁クラッチ120の電磁石(不図示)に電流を供給するためのメスコネクタ付ケーブル142が接続される。
【0072】
クラッチ保持部材130を電磁クラッチ120の前方に配置した状態で、クラッチ保持部材130の一対の取付け部134を筐体101における一対の取付け孔部102に前方から差し込む。この差し込みにより、一対の取付け部134の先端の鉤状係合爪134Bは、取付け孔部102の被係合部(不図示)に弾性的に係合する。これにより、クラッチ保持部材130は、筐体101に対して抜け止め状態に固定されて設置される。
【0073】
クラッチ保持部材130が筐体101に抜け止め状態に固定されて設置されると、クラッチ保持部材130の保持部材本体部135は、電磁クラッチ120の最外面(前面)に当接する。これにより、電磁クラッチ120が出力軸111の軸方向CXに移動することが規制されて、電磁クラッチ120を所定位置に保持する機能、即ち、クラッチ保持機能が発揮される。
【0074】
またこのとき、クラッチ保持部材130の軸受部131は出力軸111に嵌合(外嵌)する。これにより、軸受部131が出力軸111を回転可能に軸支する機能、即ち、クラッチ軸受け機能が発揮される。同時に、クラッチ保持部材130の回転規制部としての孔部132の内縁がコネクタ部121の外周に係合される。これにより、クラッチ120が出力軸111を中心に回転することを規制する機能、即ち、クラッチ回転止め機能が発揮される。
【0075】
更に、図9、図10及び図11に示すように、ケーブル141を、ケーブル規制部133を形成する軸受部131の外面と上下一対の第1壁部136との間に入り込ませるように取り回しすることにより、ケーブル141の配置位置を規制する機能、即ち、ケーブル規制機能が発揮される。
【0076】
またこのとき、一対の舌片状の延出部137は、上下一対の第1壁部136の起立端部136Bからそれぞれ出力軸111の軸方向CXに直交する方向に延出され、軸受部131の軸方向CXの外面131Aよりも外方に位置する。これにより、ケーブル規制部133によって配置位置が規制されたケーブル141の外方への抜け出しが阻止される機能、即ち、ケーブル抜け止め機能が発揮される。
【0077】
以上に説明した第1実施形態のプリンタ1のクラッチ保持機構150によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第1実施形態のクラッチ保持機構150は、モータ(不図示)で発生した回転駆動力を出力可能な出力軸111と、回転駆動力を出力軸111に伝達する連結状態と回転駆動力を出力軸111に伝達しない非連結状態とに変更可能であると共に、係合部121を有する電磁クラッチ120と、電磁クラッチ120が出力軸111の軸方向CXに移動することを規制して電磁クラッチ120を保持するクラッチ保持部材130と、を備えている。また、クラッチ保持部材130は、出力軸111を回転可能に軸支する軸受部131と、係合部121と係合することにより電磁クラッチ120が出力軸111を中心に回転することを規制する回転規制部132と、クラッチ保持部材130に沿って配置されるケーブル141の配置位置を規制するケーブル規制部133と、軸受部131、回転規制部132及びケーブル規制部133を一体的に構成する保持部材本体部135と、を有する。
【0078】
そのため、電磁クラッチ120の設置箇所近くの筐体101にクラッチ保持部材130を固定して設置するだけで、電磁クラッチ120が出力軸111の軸方向CXに移動することを規制するクラッチ保持機能、出力軸111を回転可能に軸支するクラッチ軸受け機能、電磁クラッチ120が出力軸111を中心に回転することを規制するクラッチ回転止め機能及び電磁クラッチ120の周辺に取り回されているケーブル141が所定の配置位置からずれ動かないようにケーブル141の配置位置を規制するケーブル規制機能を、併せて発揮させることができる。従って、電磁クラッチ120に関わる各種の機能を少ない部品数で実現することができ、部品コストや製造(組立)コストの削減を図ることができる。
【0079】
また、第1実施形態のクラッチ保持機構150において、係合部121は、電磁クラッチ120の外面から出力軸111の軸方向CXに突出し且つ電磁クラッチ120へ供給される電流の入力を受け付けるコネクタ部の外面から形成され、回転規制部132は、保持部材本体部135に開口した孔部から形成される。
そのため、電磁クラッチ120への電流の入力を受け付けるために電磁クラッチ120が本来的に備えているコネクタ部を、クラッチ回転止め機能の部品として有効に利用することが可能である。従って、クラッチ保持機構150全体としての部品コストを一層削減することができる。
【0080】
また、第1実施形態のクラッチ保持機構150において、ケーブル規制部133は、軸受部131の外面131Aを利用して、ケーブル141の配置位置を規制する。
そのため、ケーブル141の配置位置を規制するための別の部品を用いる必要がない。従って、部品数の節減及びクラッチ保持機構150全体の組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0081】
更に、第1実施形態のクラッチ保持機構150において、クラッチ保持部材130は、軸受部131の外面131Aから離間した位置において保持部材本体部135から出力軸111の軸方向に起立する第1壁部136を有し、ケーブル規制部133は、軸受部131の外面131Aと共に第1壁部136を利用して、ケーブル141の配置位置を規制する。
そのため、ケーブル141が、軸受部131の外面131Aと第1壁部136との間に挟み込まれて保持される状態となり、ケーブル141の配置位置を規制するケーブル規制機能を一層確実に発揮させることができる。
【0082】
次に、図12により、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、本発明の第2実施形態のプリンタ1におけるクラッチ保持機構150のクラッチ保持部材130を筐体101に固定して設置した状態を示す要部の拡大正面図である(図10対応図)。
【0083】
第2実施形態のクラッチ保持機構150Aは、第1実施形態のクラッチ保持機構150と比べ、クラッチ保持部材130Aのケーブル規制機能を発揮するための構成が主に異なる、第2実施形態及び後述の第3実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第2及び第3実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は採用される。
【0084】
図12に示すように、第2実施形態のクラッチ保持機構150Aにおいては、クラッチ保持部材130Aは、ガイド部138と、第1壁部136と、を有する。
ガイド部138は、軸受部131の外面の上下に近接した位置において保持部材本体部135から出力軸111の軸方向CXに突出する。
【0085】
第1壁部136は、軸受部131の外面から上下に離間した位置において保持部材本体部135から出力軸111の軸方向CXに起立する。また、第1壁部136は、軸受部131の外面131Aに対応する部分(湾曲部分)136Aにおいて、軸受部131の外面131Aから離間する方向に略円弧状に湾曲している。ケーブル141を、略円弧状に湾曲した湾曲部分136Aとガイド部138との間に沿わせて、大きな曲率半径の曲線状に配置することにより、ケーブル規制機能を発揮させる。
このように、ケーブル規制部133は、ガイド部138及び第1壁部136を利用して、ケーブル141の配置位置を規制するように構成されている。
【0086】
更に、回転規制部132は、第2壁部139を有している。第2壁部139は、保持部材本体部135に開口した孔部に係合するコネクタ部121の外面と軸受部131の外面131Aとの間に配置され、孔部132の周縁部から出力軸111の軸方向CXに起立する。ケーブル規制部133は、第2壁部139も利用して、ケーブル141の配置位置を規制する。第2壁部139によれば、ケーブル141とコネクタ部121との接触を抑制することができる。
【0087】
以上に説明した第2実施形態のクラッチ保持機構150Aによれば、例えば、次のような効果が奏される。
第2実施形態のクラッチ保持機構150Aにおいては、軸受部131の外面の上下に近接した位置において保持部材本体部135から出力軸111の軸方向CXに突出するガイド部138及び第1壁部136を利用して、ケーブル141の配置位置を規制する。そのため、ケーブル141の配置位置を出力軸111から十分に離すことが可能である。従って、ケーブル141が出力軸111に接触したり、巻き込まれたりすることを一層抑制することができる。
【0088】
また、第2実施形態のクラッチ保持機構150においては、第1壁部136の軸受部131の外面131Aに対応する湾曲部分136Aは、軸受部131の外面131Aから離間する方向に湾曲している。
そのため、ケーブル141を、第1壁部136の湾曲部分136Aとガイド部138との間に沿わせて大きな曲率半径の曲線状に配置させることが可能である。従って、ケーブル141に無理な力を掛けずに、ケーブル規制機能を発揮させることができる。
【0089】
また、第2実施形態のクラッチ保持機構150においては、保持部材本体部135に開口した孔部に係合するコネクタ部121の外面と軸受部131の外面131Aとの間に配置され且つ孔部132の周縁部から出力軸111の軸方向CXに起立する第2壁部139を有している。そして、ケーブル規制部133は、第2壁部139も利用してケーブル141の配置位置を規制する。
そのため、第2実施形態によれば、ガイド部138と第1壁部136の湾曲部分136Aとの間及び第2壁部139を利用して、ケーブル141を一層確実に且つ滑らかな配置状態に規制することができる。
【0090】
次に、図13により、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、本発明の第3実施形態のプリンタ1におけるクラッチ保持機構150のクラッチ保持部材130を、筐体101に固定して設置した状態を示す要部の拡大横断面図である(図11対応図)。
【0091】
図13に示すように、第3実施形態のクラッチ保持機構150Bは、第1実施形態のクラッチ保持機構150と比べ、クラッチ保持部材130Bの延出部137及び軸受部131の構成が主に異なる。第3実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第2実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は採用される。
【0092】
図13に示すように、第3実施形態のクラッチ保持機構150Bにおいては、クラッチ保持部材130Bは、第1壁部136の起立端部136Bからそれぞれ出力軸111の軸方向CXに直交する方向DXに延出する一対の舌片状の延出部137を有する。そして、出力軸111の軸方向CXにおいて、軸受部131の軸方向CXの端部131Eは、舌片状の延出部137よりも外方に位置している。
【0093】
上記のように構成された第3実施形態のクラッチ保持機構150Bによれば、軸受部131の外面131Aと第1壁部136との間に入り込ませたケーブル141は、振動等の影響で軸受部131の外面131Aに沿い外方側へずれ動いたとしても、延出部137に当接することにより、それ以上の外方へのずれ動きが阻止される。従って、配置位置の規制されたケーブル141の外方への抜け出しを阻止する機能、即ち、ケーブル抜け止め機能を確実に発揮させることができる。
【0094】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本発明の画像形成装置の種類は、プリンタに限定されることなく、コピー機、ファクシミリ、又はこれらの複合機であってもよい。
【0095】
また、前述の各実施形態においては、保持部材本体部135の長手方向の両端部に設けた一対の取付け部134を、筐体101側の一対の取付け孔部102に前方から差し込むことにより、取付け部134の先端の鉤状係合爪134Bが取付け孔部102の被係合部(不図示)に弾性的に係合して、クラッチ保持部材130は、筐体101に抜け止め状態に固定されて設置されるが、これに制限されない。例えば、クラッチ保持部材130は、ホルド等を用いて筐体101に取り付けされて(固定されて)設置することができる。
各実施形態における各構成については、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0096】
1……プリンタ(画像形成装置)、111……出力軸、120……電磁クラッチ(クラッチ)、121……コネクタ部(係合部)、130,130A,130B……クラッチ保持部材、131……軸受部、131A……軸受部の外面、131E……軸受部の軸方向端部、132……孔部(回転規制部)、133……ケーブル規制部、135……保持部材本体部、136……第1壁部、136A……湾曲部分、137……延出部、138……ガイド部、139……第2壁部、141……ケーブル、150,150A,150B……クラッチ保持機構、CX……出力軸の軸方向、DX……出力軸の軸方向に直交する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置においてクラッチを保持するクラッチ保持機構であって、
回転駆動源で発生した回転駆動力を出力可能な出力軸と、
回転駆動力を前記出力軸に伝達する連結状態と回転駆動力を前記出力軸に伝達しない非連結状態とに変更可能であると共に、係合部を有するクラッチと、
前記クラッチが前記出力軸の軸方向に移動することを規制して前記クラッチを保持するクラッチ保持部材と、を備え、
前記クラッチ保持部材は、前記出力軸を回転可能に軸支する軸受部と、前記係合部と係合することにより前記クラッチが前記出力軸を中心に回転することを規制する回転規制部と、前記クラッチ保持部材に沿って配置されるケーブルの配置位置を規制するケーブル規制部と、前記軸受部、前記回転規制部及び前記ケーブル規制部を一体的に構成する保持部材本体部と、を有する、
画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項2】
前記係合部は、前記クラッチの外面から前記出力軸の軸方向に突出し且つ前記クラッチへ供給される電流の入力を受け付けるコネクタ部の外面から形成され、
前記回転規制部は、前記保持部材本体部に開口した孔部から形成される
請求項1に記載の画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項3】
前記ケーブル規制部は、前記軸受部の外面を利用して、ケーブルの配置位置を規制する
請求項1又は2に記載の画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項4】
前記クラッチ保持部材は、前記軸受部の外面から離間した位置において前記保持部材本体部から前記出力軸の軸方向に起立する第1壁部を有し、
前記ケーブル規制部は、前記軸受部の外面と共に前記第1壁部を利用して、ケーブルの配置位置を規制する
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項5】
前記クラッチ保持部材は、前記軸受部の外面に近接した位置において前記保持部材本体部から前記出力軸の軸方向に突出するガイド部と、前記軸受部の外面から離間した位置において前記保持部材本体部から前記出力軸の軸方向に起立する第1壁部と、を有し、
前記ケーブル規制部は、前記ガイド部及び前記第1壁部を利用して、ケーブルの配置位置を規制する
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項6】
前記第1壁部は、前記軸受部の外面に対応する部分において、前記軸受部の外面から離間する方向に湾曲している
請求項4又は5のいずれかに記載の画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項7】
前記回転規制部は、前記孔部を挿通する前記コネクタ部の外面と前記軸受部の外面との間に配置され且つ前記孔部の周縁部から起立する第2壁部を有し、
前記ケーブル規制部は、前記第2壁部を利用して、ケーブルの配置位置を規制する
請求項4から6のいずれかに記載の画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項8】
前記クラッチ保持部材は、前記第1壁部の起立端部から前記出力軸の軸方向に直交する方向に延出する延出部を有し、
前記出力軸の軸方向において、前記軸受部における前記軸方向の端部は、前記延出部よりも外方に位置する
請求項4から7のいずれかに記載の画像形成装置のクラッチ保持機構。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のクラッチ保持機構を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−247937(P2011−247937A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118273(P2010−118273)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】