説明

画像形成装置の定着装置

【課題】 定着時におけるヒートローラの長手方向の硬度を均等化して、定着性能の向上を図ると共に、ヒートローラの金属導電層に覆われる弾性体層の破断を防止して、長寿命化を図る。
【解決手段】 常温時において、ヒートローラ27の発泡ゴム層27bの外径を、中央部分よりも両側部分が大きくなるように形成して、ヒートローラ27の中央部分にて、発泡ゴム層27bと金属導電層27cの間に空間を設ける。ヒートローラ27の両側部分における発泡ゴム層27bと金属導電層27cとの接着長さを、ヒートローラ27の駆動側の側部よりも、駆動側と反対の一側部の方が、長くなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載され、トナー像を加熱定着する画像形成装置の定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用される定着装置として、ヒートローラ(あるいは加熱ベルト等)と、加圧ローラとの間に形成されるニップにシート紙を挿通して、シート紙上のトナー像を加熱加圧定着する定着装置がある。このような加熱加圧式の定着装置を実現するため、近年、ヒートローラに金属導電層を設けて、この金属導電層を誘導加熱方式で加熱する誘導加熱定着装置がある。誘導加熱定着装置の1つとして、ヒートローラに弾性体層を設けて、その表面を金属導電層で覆い、この金属導電層を発熱させるための誘導電流発生コイルを、ヒートローラの周囲に対向配置する装置がある。このような装置は、誘導電流発生コイルに所定の電力を供給することにより生じる磁界により、ヒートローラ表面の金属導電層に渦電流を発生させて、この渦電流により、金属導電層を瞬時に加熱して、ヒートローラを加熱するものである。
【0003】
上記のように、金属導電層を表面側に有するヒートローラは、定着性能を確保するために、加圧ローラとの間のニップ幅を確保する必要がある。このため、ヒートローラの芯材の外側に弾性体層を設けて、この弾性体層で金属導電層を支持することにより、加圧ローラの加圧力によりヒートローラ表面を撓ませて、所要のニップ幅を確保している。ヒートローラの弾性体層は、シリコンゴム材料を発泡してなる発泡ゴムあるいはスポンジ等を用いる。
【0004】
一方、一般に細かい気泡を有する発泡ゴムやスポンジは、金属に比べて熱膨張率が大きい。このため、芯材の周囲に弾性体層を設けて、弾性体層により金属導電層を支持するヒートローラでは、加熱による弾性体層と金属導電層の熱膨張率の違いにより、ヒートローラの長手方向の硬度が不均一となる。このようなヒートローラの長手方向における硬度の不均一は、ニップ幅の変化やヒートローラ形状の変化を起こし、定着性に悪影響を及ぼす。
【0005】
これを回避するため従来、ヒートローラの弾性体層を、中央部分の外径より両側部分の外径が大きいダンベル形状とする装置がある。この装置では、常温時には、ヒートローラの中央部分の弾性体層と金属導電層との間に空間を形成する一方、加熱時には、熱膨張した弾性体層により金属導電層を内側から押し上げて、ヒートローラの硬度が不均一になるのを防止している。(例えば特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2005−49812号公報(カラム111〜121、図23、24、25)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上述のように弾性体層をダンベル形状に形成した場合、ヒートローラがウォームアップ温度に達するまでは、ヒートローラの中央部分には空間が形成されていて、加圧ローラの加圧による負荷は、ヒートローラの両側部分に集中してしまう。しかも発泡ゴムあるいはスポンジ等からなる弾性体層は、金属製の芯材に比べて強度が弱い。このため、ヒートローラがウォームアップ温度に達する前に、ヒートローラの両側部分において、加圧ローラにより強い加圧力をかけてしまうと、芯材と弾性体層の境界付近において、強度の弱い弾性体層が破断する恐れがあり、ヒートローラの寿命が短くする恐れがあった。
【0007】
そこで本発明は上記課題を解決するものであり、表面側に金属導電層を有し、芯材周囲の弾性体層により金属導電層を支持するヒートローラを用い、金属導電層を発熱することにより、ウォームアップの短縮を図る定着装置において、定着時に、ヒートローラの硬度を長手方向の全長に渡りほぼ均等に保持することにより良好な定着性を得るものである。又加圧ローラとの加圧接触に関わらず、ヒートローラの芯材と弾性体層との境界付近における弾性体層の破断を防止して、ヒートローラの長寿命化を図ることが出来る画像形成装置の定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するための手段として、芯部材及び、前記芯部材の外周に設けられる弾性体層並びに、前記弾性体層を覆ってなり両側部分にて前記弾性体層と接着される金属導電層を有し、中央部分にて前記弾性体層と前記金属導電層との間に空間を設けて、両側部にて前記導電体層と前記金属導電層とを接着してなる加熱回転部材と、前記加熱回転部材の周囲に配置され、前記加熱回転部材を加熱する加熱機構とを有し、前記弾性体層と前記金属導電層とを接着する接着面積が、前記加熱回転部材の駆動側の側部よりも反対側の一側部が広いものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、芯部材とその周囲の弾性体層との境界近傍で、加圧部材との加圧接触により弾性体層に生じる応力を分散させることが出来る。これにより強度の弱い弾性体層が早期に破断されるのを防止出来、加熱回転部材の長寿命化を得られる。又定着時、加熱回転部材の硬度を、長手方向の全長に渡りほぼ均等に保持することが出来、良好な定着性を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明は、芯部材と弾性体層との境界近傍で、ヒートローラの両側部分の弾性体層に応力が集中するのを軽減する。
【実施例1】
【0011】
以下、この発明の実施例1について図1乃至図3を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の実施例1の定着装置26を搭載してなる画像形成装置1を示す概略構成図である。画像形成装置1は画像形成部2に記録媒体である用紙Pを供給するカセット機構3を備え、上面には自動原稿送り装置4により供給される原稿Dを読取るスキャナ部6を備える。カセット機構3から画像形成部2に至る搬送路7上にはレジストローラ8が設けられる。
【0012】
画像形成部2は、感光体ドラム11周囲に、感光体ドラム11の矢印qの回転方向に従い順次感光体ドラム11を一様に帯電する帯電装置12、帯電された感光体ドラム11にスキャナ装置6からの画像データに基づき潜像を形成するレーザ露光装置13、現像装置14、転写チャージャ16、剥離チャージャ17、クリーナ18、除電LED20を有している。画像形成部2は、周知の電子写真方式による画像形成プロセスにて感光体ドラム11上にトナー像を形成し、用紙Pに転写する。
【0013】
画像形成部2において、用紙Pの搬送方向下流には、トナー像を転写された用紙Pを排紙部21方向に搬送する排紙搬送路22が設けられる。排紙搬送路22上には、感光体ドラム11から剥離された用紙Pを定着装置26に搬送する搬送ベルト23、定着装置26通過後の用紙Pを排紙部21に排出する排紙ローラ24が設けられる。
【0014】
次に定着装置26について述べる。図2は定着装置26を示す概略説明図である。定着装置26は、加熱回転部材であるヒートローラ27と加圧部材である加圧ローラ28とを有する。定着装置26は、ヒートローラ27の芯部材27aに回転力を供給するモータ47を有する。加圧ローラ28は軸部材28aを軸受け部材60で押し上げて、ヒートローラ27に対して40kgの加圧力で加圧接触可能となっている。軸受け部材60は、軸部材28aを支持する軸受けバー60aをバネ60bで常時ヒートローラ27方向に押し付けている。ヒートローラ27に加圧ローラ28が加圧接触されると、ヒートローラ27表面が弾性変形する。これによりヒートローラ27及び加圧ローラ28間には、用紙の搬送方向に対して一定の接触幅を有するニップ30が形成される。
【0015】
ヒートローラ27の周囲には、ヒートローラの矢印rの回転方向に沿って、定着後の用紙Pの巻きつきを防止する剥離爪31、ヒートローラ27端部の表面温度を検知するサーミスタ32、誘導加熱機構である誘導加熱装置33、クリーニング装置34、ヒートローラ27の表面温度を非接触で検知する赤外線温度センサ36及び、ヒートローラ27の表面温度の異常を検知して、加熱を遮断するためのサーモスタット37が設けられる。ヒートローラ27は、例えば、直径24mmの芯部材27aの周囲に弾性体層である発泡ゴム層27b、金属導電層27c、シリコンゴム層27d及び、離型層27eを有し、直径40mmに形成される。
【0016】
加圧ローラ28の周囲には、加圧ローラの矢印s方向の回転方向に沿って、用紙Pの巻きつきを防止する剥離爪44及びクリーニングローラ46が設けられる。加圧ローラ28は、例えば、軸部材28a周囲に弾性を有するシリコンゴム層28bと、フッ素ゴム等からなる離型層28cを有し、直径40mmに形成される。
【0017】
発泡ゴム層27bとは、製造時に発泡工程を経たものであって、例えばシリコンゴム等を発泡させたシリコン発泡ゴム等をいう。金属製の芯部材27aは、例えば鉄からなり、外周に発泡ゴム層27bが接着されている。発泡ゴム層27bは図3に示すように、常温時、軸方向の両側部分127b、127cの肉厚r4が7.5mmであり、中央部分127aの肉厚r3が7mmになるように形成される。これにより、発泡ゴム層27bの中央部分127aの外径r1は38mmとされ、両側部分127b、127cの外径r2は39mmとされる。
【0018】
従って常温時、ヒートローラ27の軸方向の中央部分127aにおいては、発泡ゴム層27bと金属導電層27cとの間に約0.5mmの空間が形成される。発泡ゴム層27bの肉厚が7mmである軸方向の中央部分127aの長さD1は256mm、モータ47が接続される駆動側の発泡ゴム層27bの肉厚が7.5mmである側部127bの長さD2は30mm、駆動側と反対側の発泡ゴム層27bの肉厚が7.5mmである、一側部127cの長さD3は50mmに形成される。発泡ゴム層27bの駆動側の側部127bには、発泡ゴム層27bが熱膨張したときに、金属導電層27cとの空間の空気を逃がすための空気抜き29が形成される。
【0019】
ヒートローラ27の金属導電層27cは、例えば厚さ0.02〜0.1mmのアルミニウム(Al)からなり、発泡ゴム層27bを覆っている。金属導電層27cの材料は、ニッケル(Ni)あるいは鉄(Fe)等、渦電流により発熱する材料であれば限定されない。シリコンゴム層27dは、厚さ200μm程度に形成される。離型層27eは、厚さ30μm程度のフッ素樹脂(PFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル)またはPTFE(ポリ四フッ化エチレン)、若しくはPFAとPTFEの混合物等)により構成される。肉厚が7.5mmである、発泡ゴム層27bの両側部分127b、127cと金属導電層27cとは、シリコン系の耐熱接着剤により接着される。即ち、ヒートローラ27の両側部における発泡ゴム層27bと金属導電層27cとの接着面積は、ヒートローラ27の駆動側の側部127bの接着面積より駆動側と反対側の一側部127cの接着面積の方が広くなっている。
【0020】
誘導加熱装置33は、誘導加熱コイル33aを有する。誘導加熱コイル33aに駆動電流を供給すると、誘導加熱コイル33aは磁界を生じる。誘導加熱装置33は、この磁界により金属導電層27cに渦電流を発生させて、金属導電層27cを発熱させる。
【0021】
次に作用について述べる。ウォームアップの開始時に画像形成装置1の電源をONすると、モータ47が駆動され、ヒートローラ27は矢印r方向に回転される。又誘導加熱コイル33aに駆動電流が供給され、金属導電層27cが加熱される。加圧ローラ28はヒートローラ27に従動回転される。
【0022】
ウォームアップを完了するまでは、ヒートローラ27の中央部分127aには空間が介在されることから、ヒートローラ27に従動する加圧ローラ28の加圧接触によりヒートローラ27に掛かる負荷は、ほぼヒートローラ27の両側部分127b、127cに掛かる。このため、ヒートローラ27の両側部分127b、127cにおいて、芯部材27aと発泡ゴム層27bの境界部分に応力が集中する。特にヒートローラの駆動側と反対側の一側部127cには、ヒートローラ27の表面側からの駆動力の伝達遅れにより発泡ゴム層27bがねじれる応力と、モータ47からの駆動力の伝達遅れにより発泡ゴム層27bがねじれる応力とが加わる。即ち特にヒートローラの駆動側と反対側の一側部127cでは、発泡ゴム層27bがねじれて破断される恐れが大きい。
【0023】
但し駆動側と反対側の一側部127cは、発泡ゴム層27bと金属導電層27cとの接着面積が広いので、一側部127cに特に大きな応力が掛かったとしても、発泡ゴム層27bに掛かる応力はより広い面積に分散されて、芯部材27aと発泡ゴム層27bの境界部分の発泡ゴム層27bがねじれて破断されるのを回避できる。
【0024】
この後誘導加熱装置33による金属導電層27cの加熱が進むと、発泡ゴム層27b及び金属導電層27cは熱膨張される。但し金属導電層27cに比べて発泡ゴム層27bの熱膨張率が大きいので、ヒートローラ27の中央部分127aの空間は、熱膨張された発泡ゴム層27bに埋められる。即ちヒートローラ27の中央部分127aにおいて発泡ゴム層27bと金属導電層27cとが密着される。
【0025】
尚、ヒートローラ27の中央部分127aの空間に存在していた空気は、発泡ゴム層27bの駆動側の側部127bに設けられる空気抜き29から外部に排出される。この様に発泡ゴム層27bが熱膨張して、中央部分127aにて金属導電層27cに密着すると、ヒートローラ27の硬度は、軸方向全長に渡りほぼ均等になる。この結果、ヒートローラ27及び加圧ローラ28間には、軸方向全長に渡りトナー像を十分に定着可能な均等なニップ幅を有するニップ30が形成される。
【0026】
ヒートローラ27の温度がウォームアップ完了温度である170℃に到達すると、画像形成装置1は、赤外線温度センサ36からの検知結果により、ウォームアップを完了した旨を検知する。更に画像形成装置1のコントロールパネル(図示せず)等に、ウォームアップを完了し、レディ状態にあることを表示する。ヒートローラ27がウォームアップ完了温度に達した後は、赤外線温度センサ36及びサーミスタ32の検知結果に従い、誘導加熱装置33をオン/オフ制御して、160±10℃のレディ温度を保持する。
【0027】
この後プリント操作を指示されると、画像形成装置1は、画像形成プロセスを開始する。画像形成部2では矢印q方向に回転する感光体ドラム11が、帯電装置12により一様に帯電され、レーザ露光装置13により原稿情報に応じたレーザ光を照射されて、静電潜像を形成される。次いで感光体ドラム11に形成された静電潜像が、現像装置14により現像され、感光体ドラム11上にトナー像を形成される。
【0028】
感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、転写チャージャ16により用紙Pに転写される。次いで用紙Pは感光体ドラム11から剥離されて、定着装置26に搬送される。定着装置26にて用紙Pは、モータ47により駆動回転するヒートローラ27及び、ヒートローラ27に従動回転する加圧ローラ28間のニップ30に挿通され、トナー像を加熱加圧定着される。
【0029】
このとき、ニップ30に生じる加圧力がヒートローラ27の全長に渡りほぼ均等であり、ヒートローラ27の全長に渡り、ヒートローラ27及び加圧ローラ28間に十分且つ均等なニップ幅が確保される。これにより、用紙P上のトナー像は、走査方向全長に渡り良好に定着される。又この定着時には、ヒートローラ27の芯部材27aに接する発泡ゴム層27bの境界部分にかかる応力が、ヒートローラ27の両側部分127b、127cに集中することがなく、ヒートローラ27の全長に渡りほぼ均一となる。この後全てのプリント操作を終了して、電源をOFFすると、熱膨張率が大きい発泡ゴム層27bは、ヒートローラ27の温度低下により、金属導電層27cに比べてより大きい比率で縮小される。この結果、発泡ゴム層27bと金属導電層27cとの間に、再度空間を生じることとなる。
【0030】
この実施例によれば、常温時には、発泡ゴム層27bの両側部分127b、127cの外径が、中央部分127aより肉厚となるように形成している。この結果、発泡ゴム層27b及び金属導電層27cの熱膨張率の違いにかかわらず、ウォームアップを完了し、発泡ゴム層27bが熱膨張された定着時においては、ヒートローラ27の硬度は軸方向全長にわたりほぼ均等となる。従って、ヒートローラ27及び加圧ローラ28間のニップ30では、ヒートローラ27の軸方向全長に渡り十分且つ均等なニップ幅を確保出来、ヒートローラ27の軸方向全長に渡り均等な加圧力を得られる。この結果用紙P上のトナー像は、走査方向の全長に渡り良好な定着性能を得られる。
【0031】
更にこの実施例によれば、発泡ゴム層27bの肉厚が7.5mmのヒートローラ27の駆動側の側部127bの長さが30mmであるのに比べて、駆動側と反対側の発泡ゴム層27bの肉厚が7.5mmの一側部127cの長さが50mmと長く、ヒートローラ27の駆動側の側部127bに比べて、駆動側と反対側の一側部127cと金属導電層27cとの接着面積が広くされている。従って駆動側と反対側の一側部127cは、加圧ローラ28の加圧接触により、芯部材27aと発泡ゴム層27bの境界部分に、より大きな応力を受けるにもかかわらず、より広い接着面積に応力を分散することが出来る。この結果、特に破断し易い駆動側と反対側の一側部127cにおいて、面積当たりの応力を低減でき、芯部材27aと発泡ゴム層27bの境界部分にて発泡ゴム層27bが破断するのを防止でき、ヒートローラ27の長寿命化を得られる。
【実施例2】
【0032】
次にこの発明の実施例2について説明する。この実施例2は上述した実施例1において、ヒートローラの弾性体層の構造が異なるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例2にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0033】
実施例2のヒートローラ70は、図4に示すように、芯部材27a周囲の弾性体層であるシリコン層71が、発泡工程を行っていないシリコンゴムからなるソリッドゴム層71aと、発泡工程を行ったシリコンゴムからなる発泡ゴム層71bからなっている。ソリッドゴム層71aは、ヒートローラ70の軸方向の中央部分72aの肉厚が4.0mm、両側部分の肉厚が4.5mmになるよう形成されている。ソリッドゴム層71aの周囲には、軸方向に一様に3mmの厚さに形成される発泡ゴム層71bが積層される。ソリッドゴム層71aと発砲ゴム層71bは、シリコン系の耐熱接着剤で接着される。即ち、強度の低い発泡ゴム層71bの内周は、芯部材27a周囲に形成される比較的強度が強く、外周が大きいソリッドゴム層71aに接着されている。
【0034】
これにより常温において、シリコン層71は、図5に示すように軸方向の中央部分72aの肉厚r5が7.0mmであり両側部分72bの肉厚r6が7.5mmとなっている。シリコン層71の表面外周は金属導電層27c、シリコンゴム層27dおよび離型層27eで覆われている。シリコン層71の両側部分72bは、金属導電層27cと、シリコン系の耐熱接着剤により接着される。常温時、ヒートローラ70の軸方向の中央部分72aにおいては、シリコン層71と金属導電層27cとの間に約0.5mmの空間が形成される。シリコン層71の、軸方向の中央部分72aの長さD4は276mm、両側端部72bの長さD5は30mmに形成される。シリコン発泡ゴム層71bの一方の側部には、実施例1と同様シリコン層71が熱膨張したときに、金属導電層27cとの空間の空気を逃がすための空気抜き73が形成される。
【0035】
このヒートローラ70は、ウォームアップを完了するまでは中央部分72aに空間が介在されることから、ヒートローラ70に従動する加圧ローラ28の加圧接触による負荷は、ほぼヒートローラ70の両側部分72bに掛っている。このため、ヒートローラ70の両側部分72bにおいて、芯部材27aとシリコン層71の境界部分に応力が集中する。但しシリコン層71の、芯部材27aとの接触面側は、比較的強度が強いソリッドゴム層71aで形成されている。そしてソリッドゴム層71aの外周に、より弾性力のある発泡ゴム層71bが積層されている。即ち、弾性力が大きいものの強度の弱い発泡ゴム層71bは、径の大きいソリッドゴム層71aに接着されている。これにより加圧ローラ28の負荷により発泡ゴム層71bの内周に生じる応力は、ソリッドゴム層71aとの接触領域であるより広い領域に分散されることとなる。従って、シリコン層71は、芯部材27aとの境界部分がねじれて破断される恐れが無い。しかもシリコン層71は外周側が発泡ゴム層71bから形成されることから、その弾性力を損なうことも無い。
【0036】
この後ウォームアップが開始されて、誘導加熱装置33による金属導電層27cの加熱が進むと、シリコン層71が熱膨張されて、ヒートローラ70の中央部分72aの空間は埋められてシリコン層71と金属導電層27cとが密着される。これによりヒートローラ70の硬度は、軸方向全長に渡りほぼ均等となり、ヒートローラ70及び加圧ローラ28間には、軸方向全長に渡りトナー像を十分に定着可能なニップ幅を有するニップ30が形成される。ヒートローラがこのような状態になった後、実施例1と同様に画像形成プロセスを実施することとなる。
【0037】
この実施例2によれば、前述の実施例1と同様、ヒートローラ70がウォームアップを完了して、シリコン層71が熱膨張された定着時においては、ヒートローラ70及び加圧ローラ28間のニップ30は、ヒートローラ70の軸方向全長に渡り均等な加圧力を得られる。この結果ヒートローラ70の全長に渡り、均等で良好な定着性能を得られる。
【0038】
又この実施例によれば、シリコン層71を2層にして、発泡ゴム層71bをソリッドゴム層71aの外周に接着形成している。従ってヒートローラ70の両側部分72bにあって、シリコン層71が熱膨張される迄に、加圧ローラ28の加圧接触による負荷により発泡ゴム層71bの内周に生じる応力を、より広い領域に分散できる。この結果、ヒートローラ70の両側部分72bにおいて、発泡ゴム層71bに生じる面積当たりの応力を低減出来、発泡ゴム層71bの内周が破断するのを防止でき、ヒートローラ70の長寿命化を得られる。
【0039】
尚この実施例2では、弾性体層をソリッドゴム層と発泡ゴム層の2層構造としたが、弾性体層は、弾性力を損なわず且つ破壊を防止可能であれば、その材質は限定されない。例えば、発泡率の異なる2種類の発泡ゴム層を用いて、発泡率が低く強度が強い発泡ゴム層を芯部材側に設けて芯部材に接着し、発泡率が高く弾性力が大きいものの強度が低い発泡ゴム層をその外周に接着すれば、芯部材と弾性体層との境界での弾性体層の破断を防止できると共に、ヒートローラの弾性特性を良好に保持できる。又、弾性体層の材料もシリコンに限定されない。
【実施例3】
【0040】
次にこの発明の実施例3について説明する。この実施例3は上述した実施例2において、シリコン層71のソリッドゴム層71aと発泡ゴム層71bとの接着部分の構造が異なるものであり、他は実施例2と同様である。従ってこの実施例3にあっては、前述の実施例2で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】
実施例3は図6に示すように、前述の実施例2と同様、ヒートローラ74のシリコン層71の、芯部材27aとの接触面側は、比較的強度が強いソリッドゴム層71aで形成されている。そしてソリッドゴム層71aの外周に発泡ゴム層71bが積層されている。更にソリッドゴム層71aと発泡ゴム層71bの境界面75は凹凸の入れ子状に形成されている。境界面75の凹凸の段差は2mmとされる。
【0042】
シリコン層71の表面外周は金属導電層27c、シリコンゴム層27dおよび離型層27eで覆われている。発泡ゴム層71bの両側部分と金属導電層27cは、シリコン系の耐熱接着剤により接着される。常温時、ヒートローラ74の中央部分においては、発泡ゴム層71bと金属導電層27cとの間に約0.5mmの空間が形成される。
【0043】
この様にしてなるヒートローラ74を用いて、ウォームアップ時に、前述の実施例2と同様に電源をONすると、ウォームアップが完了し、シリコン層71が膨張する迄は、加圧ローラ28との加圧接触による負荷がヒートローラ74の両側部分に集中する。但しシリコン層71の、芯部材27aとの接触面側は、比較的強度が強いソリッドゴム層71aで形成されている。更に強度の弱い発泡ゴム層71bは径の大きいソリッドゴム層71aの外周に積層されている。従って加圧ローラ28の負荷により、ヒートローラ74の両側部分にて発泡ゴム層71bの内周に生じる応力は、より広い接触領域に分散される。しかもソリッドゴム層71aと発泡ゴム層71bの境界面75の凹凸の入れ子状によっても、両者の接触面積は更に拡大されている。これによりシリコン層71は、発泡ゴム層71bが破断されるのを回避出来る。しかもシリコン層71の外周側が発泡ゴム層71bであることから、その弾性力を損なうことも無い。この後、ウォームアップが完了し、シリコン層71が熱膨張されて、ヒートローラ74の中央部分の空間が埋められて、シリコン層71と金属導電層27cとが密着されると、ヒートローラ74の硬度は、軸方向全長に渡りほぼ均等となり、ヒートローラ74及び加圧ローラ28間には、軸方向全長に渡りトナー像を十分に定着可能なニップ幅を有するニップ30が形成される。ヒートローラ74がこのような状態になるのを待って、前述の実施例2と同様に画像形成プロセスを実施する。
【0044】
この実施例3によれば、前述の実施例2と同様、定着時には、ヒートローラ74及び加圧ローラ28間のニップ30は、ヒートローラ74の全長に渡り均等な加圧力を得られ、良好な定着画像を得られる。更にこの実施例によれば、比較的強度の弱い発泡ゴム層71bをソリッドゴム層71aの外周に接着している。これにより発泡ゴム層71bに生じる応力が分散される。又その上にソリッドゴム層71aと発泡ゴム層71bの境界面75を凹凸の入れ子状にして、その接着面を更に大きくしている。従ってこの実施例によれば、ヒートローラ74がウォームアップ温度に達するまで、ヒートローラ74に従動する加圧ローラ28の加圧接触により、ヒートローラ74の両側部分にて、発泡ゴム層71bの内周に生じる応力を、更に広い領域に分散できる。この結果、ヒートローラ74の両側部分で、発泡ゴム層71bの内周が破断するのをより確実に防止でき、ヒートローラ74の更なる長寿命化を得られる。
【0045】
更にソリッドゴム層71aと発泡ゴム層71bの境界面75が凹凸の入れ子状に形成されることから、ヒートローラ74の全長にわたり、発泡ゴム層71bの内周に生じる応力を十分に分散でき、ウォームアップを完了した後においても、発泡ゴム層71bの内周がねじれて破断するのをより確実に防止することができる。
【0046】
尚この実施例3でも、2層の弾性部材からなる弾性体層は、発泡ゴム層の破壊を防止可能であれば、その材質あるいは材料等限定されない。例えば、発泡率の異なる2種類の発泡ゴム層を用いて弾性体層を形成しても良い。この場合、発泡率が低く強度が強い発泡ゴム層を芯部材と接着すれば、芯部材と弾性体層との境界での弾性体層の破断を防止できると共に、ヒートローラ74の弾性特性を良好に保持できる。又、弾性体層の材料もシリコンに限定されない。
【実施例4】
【0047】
次にこの発明の実施例4について説明する。この実施例4は上述した実施例3において、ヒートローラの中央部分の構造が異なるものであり、他は実施例3と同様である。従ってこの実施例4にあっては、前述の実施例3で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0048】
実施例4は図7に示すようにヒートローラ76の両側部分78bのシリコン層77をソリッドゴム層77aと発泡ゴム層77bの2層構造とする。更にソリッドゴム層77aと発泡ゴム層77bの境界面80を凹凸の入れ子状に形成する。ヒートローラ76の中央部分78aのシリコン層77は、発泡ゴム層77bのみで形成して、芯部材27aの周囲に直接発泡ゴム層77bを接着している。
【0049】
常温時におけるヒートローラ76の両側部分78bの、ソリッドゴム層77a及び発泡ゴム層77bの合計の肉厚r7は7.5mmであり、中央部分78aの発泡ゴム層77bの肉厚r8は7mmとされる。シリコン層77の表面外周は金属導電層27c、シリコンゴム層27dおよび離型層27eで覆われている。この時、ヒートローラ76の中央部分78aにおいては、発泡ゴム層77bと金属導電層27cとの間に約0.5mmの空間が形成される。発泡ゴム層77bの両側部分78bと金属導電層27cは、シリコン系の耐熱接着剤により接着される。
【0050】
この様にしてなるヒートローラ76を用いて、ウォームアップ時に、前述の実施例3と同様に電源をONすると、ウォームアップが完了してシリコン層77が膨張する迄は、ヒートローラ76に従動する加圧ローラ28との加圧接触による負荷が、ヒートローラ76の両側部分78bに集中する。但し両側部分78bにおいては、弾性力の大きい発泡ゴム層77bは、強度の強いソリッドゴム層77a周囲に形成される。又、ソリッドゴム層77aと発砲ゴム層77bとの境界面が凹凸の入れ子状に形成される。この結果、発砲ゴム層77bのソリッドゴム層77aとの接触面積が拡大されていて、ヒートローラ76の両側部78bにおいて発泡ゴム層77bの内周に生じる応力が分散されるので、強度の弱い発泡ゴム層77bがねじれて破断されるのを回避出来る。
【0051】
この後、ウォームアップが完了し、ヒートローラ76の中央部分78aの空間が埋められて発砲ゴム層77bと金属導電層27cとが密着されると、ヒートローラ76の硬度は、軸方向全長に渡りほぼ均等となり、ヒートローラ76及び加圧ローラ28間には、軸方向全長に渡りトナー像を十分に定着可能なニップ幅を有するニップ30が形成される。ヒートローラ76がこのような状態になるのを待って、前述の実施例2と同様に画像形成プロセスを実施する。このとき、ヒートローラ76の中央部分78aは発泡ゴム層77bのみで弾性力を得ている。これにより、ヒートローラ76の中央部分78aにあっては、軸方向全長に渡りソリッドゴム層77aの凹凸の影響を受けるおそれがなく、極めて滑らかな加圧力を得られる。
【0052】
この実施例4によれば、シリコン層77が熱膨張された定着時においては、ヒートローラ76及び加圧ローラ28間のニップ30は、ヒートローラ76の軸方向全長に渡り均等な加圧力を得られる。更に、ヒートローラ76の中央部分78aにあっては、凹凸の入れ子状のソリッドゴム層77aを用いないので、ソリッドゴム層77aの凹凸形状が発泡ゴム層77bにまで影響する恐れが全く無く、より均等で良好な定着画像を得られる。
【0053】
又この実施例によれば、ヒートローラ76の両側部分78bにて、ソリッドゴム層77aと発泡ゴム層77bの境界面80を凹凸の入れ子状にして、その接触面積をより大きく出来る。従って、特にウォームアップに達するまでにヒートローラ76の両側部分78bにて、発泡ゴム層77bの内周に生じるより大きな応力を分散出来る。この結果、ヒートローラ76の両側部分78bの発泡ゴム層77bの内周の破断を防止でき、ヒートローラ76の長寿命化を得られる。
【0054】
なおこの実施例4では、前述の実施例3と同様、弾性体層の材質あるいは材料等限定されない。例えば、発泡率が低く強度が強い発泡ゴム層の外周に発泡率が高く弾性力の大きい発泡ゴム層を積層しても良い。又、弾性体層の材料もシリコンに限定されない。
【実施例5】
【0055】
次にこの発明の実施例5について説明する。この実施例5は前述した実施例1において、芯部材及び発泡ゴム層の構造が異なるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例5にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0056】
実施例5のヒートローラ81は、図8に示すように、芯部材81aの軸方向の中央部分82aの外径r10は24mm、両側部分82bの外径r11は25mmとされる。芯部材81aの周囲には、発泡ゴム層81bが接着される。即ち、ウォームアップ完了前に負荷が集中してしまう、ヒートローラ81の両側部分82bにあっては、芯部材81aの外周を大きくしている。これによりヒートローラ81の両側部分82bでは、中央部分82aに比べて、発泡ゴム層81bと芯部材81aとの接着面積が拡大されている。発泡ゴム層81bは、軸方向に7mmの一様な厚さとされている。これにより、発泡ゴム層81bの中央部分82aの外径は38mm、両側部分82bの外径は39mmとなる。
【0057】
発泡ゴム層81bの表面外周は金属導電層27c、シリコンゴム層27dおよび離型層27eで覆われている。発泡ゴム層81bの両側部分82bと金属導電層27cは、シリコン系の耐熱接着剤により接着される。常温時、ヒートローラ81の中央部分82aにおいては、発泡ゴム層81bと金属導電層27cとの間に約0.5mmの空間が形成される。
【0058】
この様にしてなるヒートローラ81を用いて、ウォームアップ時に、前述の実施例1と同様に電源をONすると、ウォームアップが完了し、発砲ゴム層81bが膨張する迄は、ヒートローラ81の両側部分82bに負荷が集中する。但し両側部分82bにおいては、芯部材81aの外径が大きく形成されることから、発泡ゴム層81bと芯部材81aとの接触面積が拡大されている。これによりヒートローラ81の両側部分82bにおいて、発泡ゴム層81bの内周に生じる応力が分散され、強度の弱い発泡ゴム層81bがねじれて破断するのを回避している。
【0059】
この後、ウォームアップが完了し、発砲ゴム層81bが熱膨張されて、ヒートローラ81の中央部分82aの空間が埋められて、発砲ゴム層81bと金属導電層27cとが密着されると、ヒートローラ81の硬度は、軸方向全長に渡りほぼ均等となり、ヒートローラ81及び加圧ローラ28間には、軸方向全長に渡りトナー像を十分に定着可能なニップ幅を有するニップ30が形成される。ヒートローラ81がこのような状態になるのを待って、画像形成プロセスを実施する。
【0060】
この実施例5によれば、実施例1と同様、発砲ゴム層81bが熱膨張された定着時には、ニップ30は、ヒートローラ81の軸方向全長に渡り均等な加圧力を得られ、用紙P上のトナー像は、走査方向全長に渡り、均等で良好な定着画像を得られる。更にこの実施例によれば、ヒートローラ81の両側部分82bでは、芯部材81aの外径が大きく形成されていて、芯部材81aと発泡ゴム層81bとの接触面積が大きくなっている。従ってヒートローラ81の両側部分82bにあっては、発泡ゴム層81bの内周に生じる応力が分散され、発泡ゴム層81bの内周部分が破断するのを防止でき、ヒートローラ81の長寿命化を得られる。
【実施例6】
【0061】
次にこの発明の実施例6について説明する。この実施例6は上述した実施例1において、芯部材及び発泡ゴム層の構造が異なると共に、芯部材の材質更にはヒートローラのサイズが異なるものである。他は実施例1と同様である。従ってこの実施例6にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
実施例6は図9に示すように、ヒートローラ83の、鉄製の芯部材83aの外周を、凹凸の入れ子状に形成する。芯部材83aの最小直径を30mm、最大直径を33mmとする。図9に示すr12は、芯部材83aの最大半径を示し、r13は、芯部材83aの最小半径を示す。芯部材83a外周に形成される発泡ゴム層83bの内周は、芯部材83aの凹凸の入れ子状に噛み合い、芯部材83aに接着される。これにより、芯部材83aと発泡ゴム層83bとの接着面積が拡大されている。
【0063】
常温時における発泡ゴム層83bの軸方向の両側部分の肉厚は、中央部分に比べて0.5mm厚くなるよう形成される。これにより発泡ゴム層83bの中央部分の外径は44mm、両側部分の外径は45mmとなっている。発泡ゴム層83bの表面外周は金属導電層27c、シリコンゴム層27dおよび離型層27eで覆われている。発泡ゴム層83bの両側部分と金属導電層27cは、シリコン系の耐熱接着剤により接着される。常温時、ヒートローラ83の中央部分では、発泡ゴム層83bと金属導電層27cとの間に約0.5mmの空間が形成される。
【0064】
この様にしてなるヒートローラ83を用いて、ウォームアップ時に、前述の実施例1と同様に電源をONすると、ウォームアップが完了し、発砲ゴム層83bが膨張する迄は、ヒートローラ83の両側部分に負荷が集中する。但し芯部材83aと発泡ゴム層83bとが、凹凸の入れ子状に噛み合っていて、その接着面積が大きいことから、ヒートローラ83の両側端部にて発泡ゴム層83bの内周に生じる応力がより分散される。これにより発泡ゴム層83bがねじれて破断するのを回避している。
【0065】
この後、ウォームアップが完了し、発砲ゴム層83bが熱膨張されて、ヒートローラ83の中央部分の空間が埋められて、発砲ゴム層83bと金属導電層27cとが密着されると、ヒートローラ83の硬度は、軸方向全長に渡りほぼ均等となり、ヒートローラ83及び加圧ローラ28間には、軸方向全長に渡りトナー像を十分に定着可能なニップ幅を有するニップ30が形成される。ヒートローラ83がこのような状態になるのを待って、前述の実施例1と同様に画像形成プロセスを実施する。
【0066】
この実施例によれば、実施例1と同様、発砲ゴム層83bが熱膨張された定着時、ヒートローラ83と加圧ローラ28との間のニップ30は、ヒートローラ83の全長に渡り均等な加圧力を得られ、用紙P上のトナー像は、走査方向全長に渡り、均等で良好な定着画像を得られる。更にこの実施例によれば、発泡ゴム層83bが芯部材83aと全長に渡り凹凸の入れ子状に噛み合っていることから、芯部材83aと発泡ゴム層83bとの接触面積が大きくなっている。従って発泡ゴム層83bの内周に生じる応力が、分散されて、発泡ゴム層83bの内周が破断するのを防止出来、ヒートローラ83の長寿命化を得られる
尚この発明は、上記実施例に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変更可能であり、弾性体層の材質や構造あるいは形状等は限定されず、例えば弾性体層と金属導電層の空間は弾性体層の熱膨張を吸収可能であればその空間の大きさ等限定されない。又弾性部材の弾性係数等も任意である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例1の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1の定着装置を、ヒートローラの軸と直交する方向から見た概略説明図である。
【図3】本発明の実施例1のヒートローラを示す概略説明図である。
【図4】本発明の実施例2のヒートローラの、軸と直交する方向の断面を示す概略説明図である。
【図5】本発明の実施例2のヒートローラを示す概略説明図である。
【図6】本発明の実施例3のヒートローラの、軸と直交する方向の断面を示す概略説明図である。
【図7】本発明の実施例4のヒートローラを示す概略説明図である。
【図8】本発明の実施例5のヒートローラを示す概略説明図である。
【図9】本発明の実施例6のヒートローラの、軸と直交する方向の断面を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1…画像形成装置
2…画像形成部
3…カセット機構
4…自動原稿送り装置
6…スキャナ部
7…搬送路
26…定着装置
27…ヒートローラ
27a…芯部材
27b…発泡ゴム層
27c…金属導電層
27d…シリコンゴム層
27e…離型層
28…加圧ローラ
29…空気抜き
33…誘導加熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯部材及び、前記芯部材の外周に設けられる弾性体層並びに、前記弾性体層を覆ってなり両側部分にて前記弾性体層と接着される金属導電層を有し、中央部分にて前記弾性体層と前記金属導電層との間に空間を設けて、両側部にて前記導電体層と前記金属導電層とを接着してなる加熱回転部材と、
前記加熱回転部材の周囲に配置され、前記加熱回転部材を加熱する加熱機構とを具備する画像形成装置の定着装置において、
前記弾性体層と前記金属導電層とを接着する接着面積が、前記加熱回転部材の駆動側の側部よりも反対側の一側部が広いことを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項2】
芯部材及び、前記芯部材の外周に設けられる弾性体層並びに、前記弾性体層を覆ってなり両側部分にて前記弾性体層と接着される金属導電層を有し、中央部分にて前記弾性体層と前記金属導電層との間に空間を設けて、両側部にて前記導電体層と前記金属導電層とを接着してなる加熱回転部材と、
前記加熱回転部材の周囲に配置され、前記加熱回転部材を加熱する加熱機構とを具備する画像形成装置の定着装置において、
少なくとも前記加熱回転部材の駆動側と反対側の一側部における前記弾性体層が、複数種類の弾性部材を積層してなることを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項3】
前記複数種類の弾性部材は、少なくとも前記加熱回転部材の駆動側と反対側の一側部にて、隣接部分が入れ子状に積層されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項4】
前記複数種類の弾性部材は、前記芯部材から前記金属導電層方向に向かうに従い、硬度が小さくなることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項5】
前記弾性体層の外径は、前記加熱回転部材の前記中央部分より前記両側部分の方が大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項6】
前記弾性体層の層厚は、前記加熱回転部材の前記中央部分より前記両側部分の方が厚いことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項7】
前記芯部材の外径は、前記加熱回転部材前記中央部分より前記両側部分の方が大きいことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項8】
前記芯部材は、少なくとも前記加熱回転部材の駆動側と反対側の一側部にて、前記弾性体層との接触部分が入れ子状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の画像形成装置の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−293346(P2007−293346A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111724(P2007−111724)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】