説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】 転写残トナーの現像手段への回収率を向上させた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】 転写装置5による転写後に感光体1表面に残留した転写残トナーをクリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラ91に一時的に回収し、この回収したトナーを感光体1の次の潜像形成に影響のない非潜像形成領域に再付着させるトナー一時回収部9を備える画像形成装置において、トナー一時回収部9は、クリーニングローラ91に回収したトナーを帯電バイアスと同じ極性に整極する電荷注入板96を備え、現像装置4は1成分現像方式を採用し抵抗が1×1010Ωcm以下である低抵抗トナーを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、及びこれに用いるプロセスカートリッジに関するものである。
に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置には、像担持体とこれに接触しつつ表面移動する被転写体との間に転写電界を形成することで、像担持体上のトナー像を被転写体上に転写する静電転写方式を採用するものがある。このような装置では、転写後の像担持体表面部分に転写残トナーが残留する。この転写残トナーが除去されないまま、その像担持体表面部分が次の画像形成工程に供されることになると、その像担持体表面部分で帯電ムラ等の帯電不良が生じ、画質劣化の原因となる。そのため、従来は、転写領域から帯電領域までの像担持体表面に対向する位置にクリーニング装置を設け、転写残トナーを除去していた。このようなクリーニング装置には、像担持体表面から回収した転写残トナーを収容する廃トナータンクや、回収した転写残トナーを再利用するためにその転写残トナーを搬送するリサイクルトナー搬送通路などを設けるスペースが必要になる。そのため、画像形成装置が大型化してしまう。特に、近年では、カラー画像の画像形成スピードの高速化が強く要求されているため、像担持体を各色毎に備えたいわゆるタンデム型の画像形成装置が主流になりつつある。このタンデム型の画像形成装置において、上記のようなクリーニング装置を利用する場合、そのクリーニング装置を複数ある像担持体のすべてに個別に設ける必要が生じる。そのため、タンデム型の画像形成装置では、装置の大型化の問題がより顕著なものとなる。
【0003】
このような装置の大型化の問題に対処できるものとして、例えば、特許文献1に開示された画像形成装置がある。この画像形成装置は、トナー像転写後に像担持体表面に残留した転写残トナーを現像装置にて回収する方式(以下、「現像器回収方式」という。)を採用している。この現像器回収方式では、クリーニングとは別の目的で設置されている現像装置をクリーニング手段として利用するため、別個独立に上記のような廃トナータンクやリサイクルトナー搬送通路を設ける必要がない。よって、この現像器回収方式を採用すれば、装置の小型化に大きく貢献することができる。
【0004】
また、特許文献1では、現像器回収方式の画像形成装置に搭載する帯電装置として、像担持体に帯電ローラを接触させて帯電を行う実施例が記載されている。従来から、像担持体表面を一様に帯電する方式には、その表面に帯電ローラ等の帯電部材を接触させて一様帯電する接触帯電方式と、コロナチャージャ等によって一様帯電するチャージャ帯電方式とが知られている。しかし、チャージャ帯電方式では、像担持体表面を所望の電位とするためには大量の放電を発生させる必要があるため、オゾンやNOx等の放電生成物が大量に発生し、環境面で問題がある。これに対し、接触帯電方式であれば、チャージャ帯電方式に比べて発生する放電量が少なく環境面で有利である。したがって、上記実施例に記載の画像形成装置によれば、装置の小型化を図りつつ、放電生成物の発生量が少なくて環境面で有利となるという効果が得られるものと考えられる。
【0005】
ところが、転写残トナーには、帯電バイアスと同極性に帯電した正規帯電トナーと、正規帯電トナーとは逆極性の逆帯電トナーとが混在する。特許文献1のように現像器回収方式と接触帯電方式を併用した画像形成装置では、像担持体上の転写残トナーを現像領域まで搬送する間、その転写残トナーと帯電部材とが接触することになる。そのため、帯電部材に逆帯電トナーが付着することがある。帯電部材にトナーが付着すると、その付着したトナーによって像担持体の一様帯電が妨げられ、像担持体の表面電位を所望の電位に出来なかったり、帯電ムラ等の帯電不良が生じたりする。また、この画像形成装置では、像担持体表面に転写残トナーが付着したまま潜像形成手段によって像担持体表面に潜像画像が形成される。そのため、トナーが付着した部分や、トナーによって陰となった部分は露光されない。その結果、その結果、ベタ画像部分に濃度ムラや白ポチが発生するという不具合が発生する場合があった。
【0006】
そこで、例えば、特許文献2では、転写残トナーをクリーニングローラ及びブレードにより一時的に回収し、次いでこの回収トナーを像担持体の非画像形成領域に再付着させ、現像装置でこれを回収再使用する画像形成装置が開示されている。転写残トナーは、バイアスが印加されるクリーニングローラにより静電的に回収され、回収しきれなかったトナーはブレードにより捕獲される。次いで、クリーニングローラ、ブレード、帯電部材とがタイミングをとって接離動作し、回収したトナーを像担持体上の非画像形成領域に再付着させ、更に像担持体表面に再付着させたトナーを現像装置で回収する。この装置によれば、再付着したトナーが帯電領域を通過する間、帯電部材が像担持体から離間するので、転写残トナーが帯電部材に付着することがない。また、この装置によれば、クリーニングローラやブレードによって除去された転写残トナーが像担持体の非潜像形成領域に戻されるため、転写残トナーによって潜像形成のための露光が妨げられることがない。
【特許文献1】特許第3091323号公報
【特許文献2】特開平9−212057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の画像形成装置においては、クリーニングローラやブレード等のクリーニング部材によって回収されたトナーの電荷が均一に揃えられていない。そのため、回収されたトナーのうち正規極性のトナーを像担持体に再付着させようとすると、逆帯電トナーが像担持体表面に再付着しないでクリーニング部材上に堆積してしまうことがあった。その結果、転写残トナーの現像手段への回収率が悪くなっていた。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものである。その目的とするところは、転写残トナーの現像手段への回収率を向上させた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の画像形成装置は、像担持体と、所定極性の帯電バイアスが印加される帯電部材により該像担持体表面を一様に帯電する帯電手段と、一様帯電された像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、上記帯電バイアスと同じ極性に帯電したトナーを該潜像に付着させて現像を行う現像手段と、該像担持体とこれに接触しつつ表面移動する被転写体との間に転写電界を形成して、該現像手段により該像担持体表面に形成されたトナー像を該被転写体上に転写する転写手段と、該転写手段による転写後に該像担持体表面に残留した転写残トナーが該転写手段から該帯電手段に到達する間に転写残トナーをクリーニングバイアスが印加されるクリーニング部材に一時的に回収し、この回収したトナーを該像担持体上の次の潜像形成に影響のない非潜像形成領域に再付着させるトナー一時回収手段とを備える画像形成装置において、上記トナー一時回収手段は上記クリーニング部材に回収したトナーを上記帯電バイアスと同じ極性に整極するトナー整極手段を備え、上記現像手段は1成分現像方式を採用し抵抗が1×1010Ωcm以下である低抵抗トナーを用いることを特徴とするものである。
請求項2の画像形成装置は、請求項1の画像形成装置において、上記トナーは、重量平均粒径が5μm以上、10μm以下であることを特徴とするものである。
請求項3の画像形成装置は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記トナーは、平均円形度が0.85以上であることを特徴とするものである。
請求項4の画像形成装置は、請求項1、2、又は3の画像形成装置において、上記トナー整極手段は、上記クリーニング部材に接しているトナーに電荷を注入する電荷注入板であり、該クリーニング部材により回収されたトナーを上記像担持体に再付着させる際には、該クリーニング部材に上記帯電バイアスと同極性のバイアスを印加し、該電荷注入板に該バイアスとは実質的に逆のバイアスを印加して該電荷注入板を通過したトナーが該帯電バイアスと同極性になるようにすることを特徴とするものである。
請求項5の画像形成装置は、請求項1、2、3、又は4の画像形成装置において、上記クリーニング部材が転写残トナーを回収する際には、直流バイアスに交流バイアスを重畳したクリーニングバイアスを該クリーニング部材に印加し、該クリーニング部材が回収したトナーを上記像担持体に再付着させる際には、帯電バイアスと同極性の直流バイアスを該クリーニング部材に印加するよう、バイアス電源を切り替えるバイアス電源切り替え手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項6の画像形成装置は、請求項1、2、3、4、又は5の画像形成装置において、上記現像手段は、上記像担持体に再付着したトナーを回収することを特徴とするものである。
請求項7の画像形成装置は、請求項1、2、3、4、5又は6の画像形成装置において、上記帯電手段、上記現像手段、上記トナー一時回収手段のうち少なくともひとつと、上記像担持体とが一体に構成され、画像形成装置本体に対して着脱可能としたプロセスカートリッジを備えたことを特徴とするものである。
請求項8のプロセスカートリッジは、請求項1、2、3、4、5、6又は7の画像形成装置に用いられ、上記帯電手段と、上記現像手段と、上記トナー一時回収手段のうち少なくともひとつと、上記像担持体とが一体に構成され、該画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、転写残トナーの現像手段への回収率を向上させた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のプリンタに適用した実施形態について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタ全体の構成を示す概略構成図である。図2は、このプリンタに着脱可能に構成されるプロセスカートリッジの構成を示す概略構成図である。このプリンタは、像担持体であるドラム状感光体1を備えている。感光体1には有機感光体、アモルファス等、既存の感光体を用いることが出来る。本実施形態では、低コスト化、感光体設計の自由度、無公害性等の観点から有機感光体を用いている。この感光体1の周囲には、図中矢印で示す回転方向に沿って、帯電手段である帯電装置2、潜像形成手段である露光装置3、現像手段である現像装置4、転写手段である転写装置5が配置されている。
【0012】
上記帯電装置2は、いわゆる接触帯電方式で帯電処理を行う帯電部材である帯電ローラ21と、この帯電ローラ21に負電圧印可する負極性電源22を備えている。この帯電ローラ21は、アルミ芯金上に発泡スポンジ層・導電層・リーク発生防止用の保護層からなる3層構造で構成され、スプリング23により所定の押圧力で感光体1に押圧されている。この帯電装置2によって、例えば、感光体ドラム1の表面電位は一様に負極性(マイナス)500[V]に帯電される。
【0013】
上記露光装置3は、感光体1の帯電面に対して画像情報に基づいた光書き込み走査を行って静電潜像を形成する。この画像情報は、ポリゴンモータ31でレーザ光をスキャンさせミラー32で反射した画像信号である。本実施形態の露光装置は、レーザ光学装置としているが、LEDアレイと結像手段からなる露光装置など、種々の方式の露光手段を用いることができる。
【0014】
現像装置4は、感光体1上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する。現像装置4は、感光体1に対向した部分が開口するケーシング内に、開口部から一部を露出させて感光体1上の静電潜像にトナー像を付着させて現像する現像ローラ41を備えている。本実施形態の現像装置4は、後述するように1成分現像方式を採用している。使用するトナーは、負電荷を持った負帯電トナーである。
【0015】
トナー画像が形成されることで消費されるトナーは、プリンタ装置本体に対して着脱可能に構成されたトナーボトルから現像装置4に供給されるようになっている。このように、トナーボトルをプリンタ装置本体に対して着脱可能に構成することで、トナーが無くなったときはトナーボトルだけを交換すればよい。従って、トナーエンド時にまだ寿命になっていない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
【0016】
転写装置5は、現像装置4によって現像された感光体1上のトナー像を被転写体である転写紙上に静電転写する。この転写装置5は、金属ローラ51に中抵抗ゴム層を設けた転写ローラ52と、金属ローラ51に正極性の転写バイアスを印加する図示しない電源とを備え、転写ローラ52が感光体1と接触して所定の転写ニップを形成している。
【0017】
この転写装置5の下方には、転写紙を複数枚重ねて収容する複数の給紙カセット101、106が配設されている。これら給紙カセット101、106は、一番上の転写紙に押し当てているそれぞれの給紙ローラ102、107を所定のタイミングで回転駆動させ、その転写紙を給紙搬送路に給紙する。給紙搬送路内では、送り出された転写紙が複数の搬送ローラ対103を経た後、レジストローラ対104のローラ間に挟まれて止まる。レジストローラ対104は、挟み込んだ転写紙を、感光体1上に形成されたトナー像に重ね合わせ得るタイミングで転写ローラ52と感光体1との間の転写ニップに向けて送り出す。これにより、感光体1上のトナー像とレジストローラ対104によって送り出された転写紙とが転写ニップで同期して密着される。そして、感光体1上のトナー像が上記転写バイアスの影響によって転写紙上に静電転写される。転写後の感光体表面電位は約−50Vと計測される。
【0018】
また、この転写ローラ52の図中左側方には、紙搬送ベルト53が2本のローラ54、55に張架されて図中反時計回りに無端移動されている。この紙搬送ベルト53の更に左側方には、定着装置7、排紙ローラ対105が順次配設されている。トナー像が静電転写された転写紙は、感光体1や転写ローラ52の回転に伴って転写ニップから紙搬送ベルト53上に送られた後、定着装置7内に入る。この定着装置7は、互いに当接しながら等速で回転する定着ローラ71と加圧ローラ72を対にして定着ニップを形成している。定着ローラ71及び加圧ローラ72の内部にはハロゲンランプ等の熱源73、74をそれぞれ有しており、定着ローラ71及び加圧ローラ72を所定温度に制御している。定着装置7内に入った転写紙は、この定着ニップに挟まれて加熱処理及び加圧処理が施される。これにより、トナーが圧力を受けながら熱溶融して転写紙にトナー像が定着せしめられる。そして、転写紙は定着装置7内から排紙ローラ対105を経て機外へと排出される。本実施形態では、加圧ローラ72にも熱源73を内蔵しているので、トナーの定着時間を短縮することができ、プリンタの速度を高速化することができる。
【0019】
ところで、上記転写ニップで転写紙上に静電転写されずに感光体1表面に残留した転写残トナーは、正極性の転写バイアスの影響を受けて一部が正極性に転極されるため、負極性トナーと正極性トナーとが混在している。例えば、転写直前(現像装置4通過後)におけるトナーの帯電量は、ほぼ−30[μC/g]と計測され、そのほとんどが負極性に正規帯電している。一方、転写残トナーの帯電量は、平均で−2[μC/g]と計測された。一般に、転写残トナーは、帯電が不安定であったり、転写ローラ52に印加される正極性の転写バイアスによる電荷注入や放電により逆極性になったりして所望どおりの帯電特性が得られないトナーである。
【0020】
次に、この感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを一時的に回収するトナー一時回収手段であるトナー一時回収部9について説明する。このトナー一時回収部9は、転写残トナーが帯電ローラ21に到達する前にトナーをクリーニング部材であるクリーニングローラ91に付着させて一時的に回収する。そして、回収したトナーを感光体1の次の潜像形成に影響のない非潜像形成領域に再付着させる。その後、トナー一時回収部9によって感光体1上に再付着させたトナーを現像装置4において回収し、再度利用する。
【0021】
上記クリーニングローラ91は、帯電ローラ21と同じくアルミ芯金上に発泡スポンジ層・導電層・リーク発生防止用の保護層からなる3層構造で構成され、スプリング92によって感光体1方向に押圧されている。クリーニングローラ91の駆動は図示しないが、本体から駆動されており感光体1と逆方向に2倍の線速差で回転させられている。また、このクリーニングローラ91の芯金には、スイッチ93を介して直流負電源94と直流負バイアスに交流バイアスを重畳するAC+DC電源95が接続され、電源94、95の他端は画像形成装置本体にアースされている。スプリング92の押圧力は、バイアスされたクリーニングローラ91と感光体1との接触部をすり抜けるトナーの量を単位平方センチメートル当たり0.1mg以下、好ましくは0.05mg以下にする。これにより、実質的にすり抜けたトナーがあってもこのトナーの大半は負極性であるから帯電ローラ21に付着することなく、量も少ないから潜像形成に悪影響を及ぼすこともない。
【0022】
また、このクリーニングローラ91には、トナー整極手段である電荷注入板96がトナーの通過量を制限すべくクリーニングローラ91に加圧されて当接されている。この電荷注入板96はステンレス等の金属板で構成され、その一端はスイッチ97に接続され通常はフロート状態であるが、電荷注入時は本体にアース接続される。電荷注入板96には、電荷注入板96通過後のトナーが帯電バイアスと同極性になるように、クリーニングローラ91に印加されるバイアスとは実質的に逆極性のバイアスが印加されることになる。
【0023】
また、クリーニングローラ91と感光体1の接触部近傍には、除電手段である除電ランプ98が配置されている。この除電ランプ98は、クリーニングローラ91上のトナーが飛び移ることが可能な範囲内にある感光体1表面部分の表面電位がクリーニングローラ91に印加されるバイアス電位よりも低くなるように光を照射する。例えば、クリーニングローラ91にバイアスが印加された時、有機感光体1の表面電位は感光体1とクリーニングローラ91との接触部近傍で、約―650Vとなるが、除電ランプ98を動作させることにより感光体1の表面電位が照射面で約―40Vとなった。この電位は十分に減衰した電位であって、この時の除電ランプ98の光量は感光体1表面で約1.2μJ/cmであった。よって、本実施形態では、除電ランプ98の光量を1.2倍の約1.4μJ/cmに設定した。除電ランプ98の光量は、感光体1がバイアスされたクリーニングローラ91によって帯電する電位を減衰させることが出来る光量の2倍以下に設定されている。除電ランプ98が劣化したり感光体1の感度が劣化したりしても、感光体1表面の十分に電位を減衰させることが出来、かつ、除電ランプ98よって感光体1の光疲労を防止することが出来る。プロセスカートリッジ100の寿命を決定する程に悪化しない。なお、除電ランプ98は、感光体1とクリーニングローラ98の接触部よりも感光体1の回転方向上流側も照射する様配置されても主たる効果を損なうものではない。しかし、本実施形態の除電ランプ98は、クリーニングローラ91と感光体1の接触部よりも感光体1の回転方向下流側であって、接触部にごく近い位置を効率的に除電できるよう配置される。
【0024】
本実施形態では、上述したクリーニングローラ91、スプリング92、電荷注入板96・除電ランプ98は、トナー一次回収部9のワク体に一体的に取り付けられている。更に感光体1と、トナー一時回収部9、帯電装置2、現像装置4とが一体化されたプロセスカートリッジ100として構成されている。このプロセスカートリッジ100は、プリンタ本体に対して着脱自在となっている。よって、プロセスカートリッジ100内に収容された部品に寿命が到来したり、メンテナンスが必要になったりしたときには、そのプロセスカートリッジ100を交換すればよく、利便性が向上する。
【0025】
上記構成のトナー一時回収部9において、まず、感光体1上の転写残トナーをクリーニングローラ91に回収するには、クリーニングローラ91に接続されるスイッチ93を―400Vの直流電圧に600Vの交流電圧を重畳した電源95に切り替える。交流電圧を重畳した電源を用いることで、転写装置5を通過後負極性に正規帯電している転写残トナーや転写の影響で逆極性になったトナーが効果的に静電的に吸引されて回収される。直流電圧の極性は転写残トナーの電荷量割合で決定される。一般に転写残トナーには逆帯電量トナーが多いので、負の直流電圧を印加した方が効率的である。クリーニングローラ91に回収されたトナーは、スイッチ97がOFFにされフロート状態にある電荷注入板93に囲まれる領域で一時保持される。
【0026】
次に感光体への再付着プロセスだが、その前にトナーを整極する為の電荷注入について説明する。クリーニングローラ91に回収されたトナーは、帯電が不安定であったり転写での電荷注入や放電により逆極性になったりして、所望の帯電特性が得られないトナーである。よって、クリーニングローラ91に付着させて回収したトナーを感光体1へ再付着する前に、電荷注入板96によって電荷注入を行う。例えば、クリーニングローラ91に−700Vの負電圧が印可されるようスイッチ93を切り替え、同時にスイッチ97をONにして電荷注入板96をアースに接続する。すると、電荷注入板96の電位は0Vとなり、クリーニングローラ91と電荷注入板96間に大きな電圧差が生じトナーを通して電流が流れることでトナーに電荷が注入される。電流は電荷注入板96からクリーニングローラ91へ流れる様にバイアスされているので、クリーニングローラ91に回収されたトナーは全て負極性の電荷を持ったトナーで整極されることになる。
【0027】
次に電荷注入されたトナーが感光体へ再付着するプロセスについて記載する。負電荷に整極されたトナーは、クリーニングローラ91が−700Vでバイアスされている間、感光体1も略同一な電位(約−650V)に帯電している。そのため、クリーニングローラ91と感光体1間の電位差は小さく(−700V→約−650V≒−50V)感光体に再付着することははない。しかし、除電ランプ98がONされると感光体1表面が除電されて感光体1電位が下がり(約−650V→−40V)、クリーニングローラ91と感光体1間との電位差は約660Vとなる。そのため、クリーニングローラ91上にある負帯電トナーは、感光体1へ再付着することになる。
【0028】
本実施形態では、次の潜像形成に影響がない非潜像形成領域がクリーニングローラ91を通過する時、電荷注入のタイミングと併せて除電ランプ98をONする。そのため、潜像形成領域では回収トナーが感光体1へ再付着することがなく、非潜像形成領域のみで回収トナーが感光体1へ再付着され現像装置4へ運ばれることになる。そして、再付着したトナーは、現像装置4の現像ローラ41上のキャリアに付着して現像装置4に回収され、再度画像形成工程に必要なトナーとして使用することになる。本実施形態では、回収された負帯電トナーが現像ローラ41に到達してから通過するまでの間の回収効率を上げる為、現像ローラ41には、作像に必要な現像バイアスとは逆のバイアス、例えば+200Vのバイアスが印加される。これにより、感光体1の表面と現像ローラ41との間では、負帯電トナーが現像ローラ41側に向かう静電力がより強く働くことになる。よって、回収される負帯電トナーは、現像ローラ41によって効果的に回収され、現像装置4の内部で撹拌搬送された後、再度現像に寄与することになる。
【0029】
上述の実施形態では、クリーニングローラ91にのみ、電荷注入板96、除電ランプ98を設けたが、帯電ローラ21にも同様に電荷注入板、除電ランプを設けてもよい。使用するトナー特性によっては、トナー一次回収手段9をすり抜けたトナーが帯電ローラ21に付着しても帯電ローラ21を汚すことがあるからである。図3は、別の実施形態に係るプロセスカートリッジの構成を示す概略構成図である。なお、図1に示した部材と同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。図3に示すように、帯電ローラ21には、ステンレス等の金属板からなる電荷注入板24が当接している。この電荷注入板24は、その一端はスイッチ25に接続され、通常はフロート状態にあるが、電荷注入時にはアース接続されるようになっている。また、帯電ローラ21と感光体1との接触部近傍には、除電ランプ26が帯電ローラ21上のトナーが飛び移ることが可能な範囲内にある感光体1表面部分に光を照射することができるように配置されている。この除電ランプ26は、帯電ローラ21上のトナーが飛び移ることが可能な範囲内にある感光体1表面部分の表面電位が帯電ローラ21に印加されるバイアス電位よりも低くなるように光を照射する。帯電ローラ21におけるトナーの付着・電荷注入、感光体1への再付着のメカニズムは前述のクリーニングローラ91と同様である。しかし、帯電ローラ21へのトナー付着量はごく少量なため、静電潜像が形成される毎に行う必要もなく、トナー一次回収手段9の動作と同時に行う必要もない。画像形成装置終了直前とか、画像形成装置の立ち上げ時に動作することで良い。よって、帯電装置2は本来の感光体を帯電する機能とは独立して電荷注入、感光体1への再付着を動作させることができる。
【0030】
以上のように構成されるプリンタにおいて、上述した画像プロセスは、以下に説明する1成分低抵抗トナーを用いることで効果が達せられる。以下、本発明の特徴部となるトナーの特性について説明する。本実施形態で用いられるトナーは、抵抗が1×1010Ωcm以下、好ましくは1×10Ωcm以下である。また、トナーの特性を決める因子としては、重量平均粒径が5.0〜10.0μm、平均円形度が0.85以上である磁性一成分トナーであることが好ましい。
【0031】
トナー抵抗の測定には、トナー3.0gを6t/cm2の荷重をかけ直径40mmの円盤状のペレットにしたものをTR−10C型誘電体損測定器(安藤電気株式会社)使用した。なお周波数は1KHz、RATIOは11×10−9である。重量平均粒径の測定には、Coulter MULTISIZER IIeを使用した。アパーチャー径は100μmである。表1に本実施形態で使用されるトナーの粒径分布の一例を示す。平均円形度の測定には、(株)SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を使用した。この測定には、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整した後0.45μmのフィルターを通した液50〜100mlに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、試料を1〜10mg加える。これを、超音波分散機で1分間の分散処理を行い、粒子濃度を5000〜15000個/μlに調整した分散液を用いて測定を行なった。CCDカメラで撮像した2次元の画像面積と、同一の面積を有する円の直径を円相当径として、円相当径で0.6μm以上をCCDの画素の精度から有効とし平均円形度の算出に用いた。平均円形度は、各粒子の円形度の算出を行い、この各粒子の円形度を足し合わせ、全粒子数で割り算することによって得ることができる。各粒子の平均円形度は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割ることにより算出することができる。平均円形度が0.85以上のトナーは、機械的な衝撃による粉砕や、熱処理による方法などで作る事ができる。
【表1】

【0032】
トナーとキャリアからなる2成分現像剤では、一般にキャリアに比べトナーの抵抗が高い。これに対し、1成分トナーでは、キャリアを含まないため、トナー自体の抵抗を小さくすることにより、2成分現像剤を用いる場合に比べトナーに対する電荷注入がしやすくなる。よって、クリーニングローラ91や帯電ローラ21に回収されたトナーを正規帯電トナーに揃えやすくなり、回収トナーを感光体1に確実に再付着させて現像装置4への回収率を上げることができる。トナーの抵抗が1×1010Ωcm以上の場合には、トナーへの電荷注入が難しくなるため、クリーニングローラ91から感光体1へ再付着するトナー量が少なくなり、現像装置4への回収率が低くなる。また、転写残トナーがクリーニングローラ91に回収されにくくなり、クリーニングローラ91をすり抜けるトナー量も多くなる。
【0033】
また、本実施形態で用いられるトナーは、重量平均粒径が5〜10μm、平均円形度が0.85以下であることがより好ましい。トナーの重量平均粒径が5.0μm未満の場合には、クリーニングローラ91に印加されるバイアス効果よりも、トナーと感光体1との静電吸着力の方が大きくなりやすく、クリーニングローラ91に回収されにくくなる。重量平均粒径10.0μmを超える場合は電荷注入が起こり難い傾向はあるが、本発明の効果を大きく低下するものではない。そのことより、基本的な画像品質の悪化があって好ましくない。平均円形度は、電荷注入のし易さに係わる直接的な特性ではないが、重量平均粒径との相乗効果で、平均円形度が0.85未満の場合にはクリーニングローラ91をすり抜けるトナーの量がます。また、トナー粒子が不定形になると感光体1上でのトナー像の集合状態が不均一となり、転写効率が悪化して転写残トナー量が増える。その結果、クリーニングローラ91へのトナー回収量が増えて、安定した電荷注入を継続的に行うことが難しくなる傾向がある。また、本実施形態で用いられるトナーは磁性一成分が不可欠なことではないが、現在の技術で上記トナー抵抗等を満足出来る特性にするには、非磁性1成分トナーを用いるのが現実的である。
【0034】
以下、本実施形態で使用されるトナーの材料、製造方法について説明する。一般にトナーは、結着樹脂中に、離型剤、磁性体、帯電制御剤、着色剤が分散し、表面に外添剤95が点在した構成となっている。
本実施形態で使用される結着樹脂としては従来公知の樹脂が全て使用可能である。例えば、スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられる。本実施形態では、特にポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。使用されるアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1、4−ビス(ヒドロキシメタ)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1、2、4−ベンゼントリカルボン酸、1、2、5−ベンゼントリカルボン酸、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、1、2、4−ナフタレントリカルボン酸、1、2、5−ヘキサントリカルボン酸、1、3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1、2、7、8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。また上記の樹脂は単独使用も可能であるが、二種類以上併用しても良い。また、これら樹脂の製造方法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合いずれも使用できる。
【0035】
本実施形態で使用される離型剤としては公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
【0036】
本実施形態で使用される磁性体は、酸化鉄、マグネタイト、フェライトなどの従来より使用されている全ての公知磁性微粉末を添加することができる。磁性体の添加量は5〜60重量部、好ましくは15〜45重量部である。
【0037】
本実施形態で使用される外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5μm〜2μmであることが好ましく、特に5μm〜500μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。この他に、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤などが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0038】
また、本実施形態で使用されるトナーには、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンPー51、含金属アゾ染料のボントロンSー34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のEー84、フェノール系縮合物のEー89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTPー302、TP一415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRAー901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カ一リット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0039】
本実施形態で使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料の全てが適用される。具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、オイルブラック、アゾオイルブラックなど特に限定されない。着色剤の使用量は1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。
【0040】
本実施形態で用いられるトナーの製造方法は、従来公知の方法でよい。結着樹脂、離型剤、着色剤、その他場合によっては帯電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練する。その後、冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕で粉砕し、その後分級し得られる。上記トナーに無機無粉末を添加するにはスーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いる。
【0041】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス 5重量部
(分子量900)
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッチングブラックインターナショナル) 5重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて70℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径7.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合し表2に示す物性を有するトナーAを得た。
【0042】
[実施例2]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 84重量部
(重量平均分子量:382000、Tg:68.0℃)
ポリエチレンワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 5重量部
カーボンブラック(#44 三菱化成工業社製) 20重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重要部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径8.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.3重量%を混合し、表2に示す物性を持ったトナーBを得た。
【0043】
[実施例3]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:280000、Tg:61℃)
カルナウバワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッチングブラックインターナショナル) 3重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて140℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径4.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合し表2に示す物性を有するトナーCを得た。
【0044】
[実施例4]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス(分子量900) 5重量部
マグネタイト微粒子 35重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッチングブラックインターナショナル) 3重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径3.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.3重量%を混合し、表2に示す物性を持ったトナーDを得た。
【0045】
[実施例5]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 78重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス(分子量900) 5重量部
マグネタイト微粒子 45重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッチングブラックインターナショナル) 7重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて70℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径5.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合し表2に示す物性を有するトナーEを得た。
【0046】
[実施例6]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:325000、Tg:67.5℃)
ポリエチレンワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッチングブラックインターナショナル) 3重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径11.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.3重量%を混合し、表2に示す物性を持ったトナーFを得た。
【0047】
[比較例1]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 84重量部
(重量平均分子量:382000、Tg:68.0℃)
ポリエチレンワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 45重量部
カーボンブラック(#44 三菱化成工業社製) 5重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径7.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.3重量%を混合し、表2に示す物性を持ったトナーGを得た。
【0048】
[比較例2]
上記実施例2の処方で2軸エクストルーダーを用いて120℃で混練後、気流式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径4.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.3重量%を混合し、表2に示す物性を持ったトナーHを得た。
【0049】
[比較例3]
(トナー処方)
ポリエステル樹脂 89重量部
(重量平均分子量:280000、Tg:61℃)
カルナウバワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッチングブラックインターナショナル) 3重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて140℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径8.0μmとした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合し表2に示す物性を有するトナーIを得た。
【0050】
[比較例4]
(トナー処方)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 88重量部
(重量平均分子量:55000、Tg:52℃)
ライスワックス 5重量部
マグネタイト微粒子 50重量部
カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ケッチングブラックインターナショナル) 3重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学)1重量部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて90℃で混練後、機械式粉砕機により粉砕、分級し重量平均粒径6.0μm(重量平均粒径/個数平均粒径1.29)とした。その後ヘンシェルミキサーを用い、シリカ(R−972 日本アエロジル)0.5重量%を混合し表1に示す物性を有するトナーJを得た。
【0051】
以上の実施例及び比較例のトナーA〜Jを、リコーImagioMF7070を一部改造したプリンタに投入した。この時の現像装置はMF150に搭載されている現像装置を取り付け、その時の現像Gapは0.3mmに設定した。動作タイミングや印加バイアスは前述記載の条件であるが、例えば帯電手段2の帯電ローラ21には約―550Vが印加され感光体表面電位を約500Vに帯電させている。トナー一次回収部9の動作は前述記載のごとくであるが、感光体回転動作に同期して直流負電源にACを重畳したAC+DC電圧がスイッチ95を介してクリーニングローラ91に印加されている。クリーニングローラ91に転写残トナーを回収するモードが通常モードであって、その時のスイッチ95はAC+DC電源側、スイッチ94はフロート状態、光照射96はOFF状態である。トナー電荷注入や感光体への再付着タイミングは画像形成毎の非潜像領域及び画像形成終了後に行った。
【0052】
そして、クリーニングローラから感光体へ再付着したトナー帯電量、及びクリーニングローラをすり抜けるトナー量を評価した。その結果を表2に併せて示す。感光体へ再付着したトナーの帯電量は、25μC/g以上を許容レベルとする。クリーニングローラをすり抜けるトナー量は、0.05mg/cm以下を許容レベルとする。表2の結果から、トナー抵抗が1×1010Ωcm以下である実施例では、クリーニングローラから感光体に再付着したトナーの帯電量が比較例に比べ大きい。クリーニングローラ上のトナーが帯電極性と同極性に極性が整極され、感光体への再付着量が多いことがわかる。低抵抗トナーであることに加えて、重量平均粒径が5.0〜10.0μm、平均円形度が0.85以上であるトナーを用いた実施例1及び5では、特に良好な結果を得ることができた。また、クリーニングローラをすり抜けるトナー量も少なく、潜像形成領域にトナーが付着してベタ部に白ポチが発生する等の異常画像の発生がなく、良好な画像を得ることができた。
【0053】
【表2】

【0054】
以上、本実施形態によれば、低抵抗トナーを用いているため、トナーへの電荷注入がしやすい。そのため、トナー整極手段は、クリーニング部材であるクリーニングローラ91に回収したトナーの極性を帯電バイアスと同極性に整極しやすい。帯電バイアスと同極性に整極された回収トナーは、クリーニングローラ91上に堆積することなく、感光体1へ再付着することができる。その結果、現像手段に搬送されるトナーは、すべて正規帯電トナーとすることができ、確実に現像装置に回収することができる。また、感光体1に再付着したトナーは帯電極性と同極性に整極されているため、帯電ローラ21が感光体1に常時接触している状態であっても、帯電ローラ21に付着することがない。その結果、帯電電位の均一性の向上、帯電ローラ21の長寿命化を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、重量平均粒径が5〜10μmであるトナーを用いることが好ましい。これにより、転写残トナーを確実にクリーニングローラ91に回収することが可能となり、粒径が大きくなることによる画像品質の悪化を防止することができる。
また、本実施形態によれば、円形度が0.85であるトナーを用いることが好ましい。これにより、転写残トナーを確実にクリーニングローラ91に回収することが可能となる。また、転写効率を良好に維持できるため、転写残トナー自体の量を少なくすることができる。
また、本実施形態によれば、クリーニングローラ91に回収された回収トナーが電荷注入板96によって帯電極性と同極性に均一に整極される。よって、回収トナーはクリーニングローラ91上に堆積することなく、感光体1へ再付着することができる。その結果、現像領域に搬送されるトナーは、すべて正規帯電トナーとすることができ、確実に現像装置に回収することができる。また、感光体1に再付着したトナーは帯電極性と同極性に整極されているため、帯電ローラ21が感光体1に常時接触している状態であっても、帯電ローラ21に付着することがない。その結果、帯電電位の均一性の向上、帯電ローラ21の長寿命化を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、転写残トナーをクリーニングローラ91に回収する際には、直流バイアスに交流バイアスを重畳したバイアスをクリーニングローラ91に印加する。そのため、転写残トナーの極性や電荷量が異なっている場合でも回収が可能である。また、回収したトナーを感光体1に再付着させる際には、帯電バイアスと同極性の直流バイアスがクリーニングローラに印加される。そのため、クリーニングローラ91上のトナーへの電荷注入が容易となり、感光体へ再付着しやすいトナーを得ることができる。
また、本実施形態によれば、感光体1に再付着したトナーは、現像装置4によって回収される。そのため、別個独立に廃トナータンクを設ける必要がなく、またトナー搬送通路を設けないでトナーを再利用することができ、装置の小型化、トナーのリサイクルが可能となる。
また、本実施形態によれば、プロセスカートリッジ化することにより、プロセスカートリッジ100内に収容された部品に寿命が到来したり、メンテナンスが必要になったりしたときには、そのプロセスカートリッジ100を交換すればよく、利便性が向上する。
【0055】
なお、上述の実施形態においては、感光体1に再付着したトナーを現像装置4にて回収したが、中間転写ベルトや紙搬送ベルトを感光体に対向させるものであれば、これらに転写し、その後にこれらベルトに併設されたベルトクリーニング手段で回収してもよい。前者の中間転写ベルトの場合、これに代え、あるいは加えて、転写紙に転写させてもよい。
【0056】
また、上述の実施形態においては、ひとつの感光体1及びひとつの現像装置4を有するモノクロ画像形成装置を例に説明したがこれに限られない。例えば、Y、M、C、K色それぞれのトナー像を形成可能な複数の感光体と現像装置を備えたカラー画像形成装置にも適用することが可能である。この場合、Y、M、C、K色それぞれの画像形成プロセス手段に上述の実施形態を用いることができる。その結果、各色ごとに個別の廃タンクやクリーニング装置を設ける必要がなくなるので、大幅に装置の小型化を図ることができる。また、このカラー画像形成装置の場合、Y、M、C、K色それぞれの画像形成プロセス手段をプロセスカートリッジとして装置本体から着脱可能に構成することができる。また、被転写体に中間転写体を用い、感光体から中間転写体にトナー像を転写し、次いでこれを転写紙に転写する画像形成装置にも適用することができる。この場合には、中間転写体・中間転写体クリーニング等を一体化したプロセスカートリッジとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図。
【図2】同プリンタに着脱可能に構成されるプロセスカートリッジの構成を示す概略構成図。
【図3】同プリンタに着脱可能に構成される別のプロセスカートリッジの構成を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0058】
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
9 トナー一時回収部
91 クリーニングローラ
96 電荷注入板
98 除電ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、所定極性の帯電バイアスが印加される帯電部材により該像担持体表面を一様に帯電する帯電手段と、一様帯電された像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、上記帯電バイアスと同じ極性に帯電したトナーを該潜像に付着させて現像を行う現像手段と、該像担持体とこれに接触しつつ表面移動する被転写体との間に転写電界を形成して、該現像手段により該像担持体表面に形成されたトナー像を該被転写体上に転写する転写手段と、該転写手段による転写後に該像担持体表面に残留した転写残トナーが該転写手段から該帯電手段に到達する間に転写残トナーをクリーニングバイアスが印加されるクリーニング部材に一時的に回収し、この回収したトナーを該像担持体上の次の潜像形成に影響のない非潜像形成領域に再付着させるトナー一時回収手段とを備える画像形成装置において、
上記トナー一時回収手段は上記クリーニング部材に回収したトナーを上記帯電バイアスと同じ極性に整極するトナー整極手段を備え、
上記現像手段は1成分現像方式を採用し抵抗が1×1010Ωcm以下である低抵抗トナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記トナーは、重量平均粒径が5μm以上、10μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記トナーは、平均円形度が0.85以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3の画像形成装置において、
上記トナー整極手段は、上記クリーニング部材に接しているトナーに電荷を注入する電荷注入板であり、
該クリーニング部材により回収されたトナーを上記像担持体に再付着させる際には、該クリーニング部材に上記帯電バイアスと同極性のバイアスを印加し、該電荷注入板に該バイアスとは実質的に逆のバイアスを印加して該電荷注入板を通過したトナーが該帯電バイアスと同極性になるようにすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4の画像形成装置において、
上記クリーニング部材が転写残トナーを回収する際には、直流バイアスに交流バイアスを重畳したクリーニングバイアスを該クリーニング部材に印加し、該クリーニング部材が回収したトナーを上記像担持体に再付着させる際には、帯電バイアスと同極性の直流バイアスを該クリーニング部材に印加するよう、バイアス電源を切り替えるバイアス電源切り替え手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、又は5の画像形成装置において、
上記現像手段は、上記像担持体に再付着したトナーを回収することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6の画像形成装置において、
上記帯電手段、上記現像手段、上記トナー一時回収手段のうち少なくともひとつと、上記像担持体とが一体に構成され、画像形成装置本体に対して着脱可能としたプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7の画像形成装置に用いられ、上記帯電手段と、上記現像手段と、上記トナー一時回収手段のうち少なくともひとつと、上記像担持体とが一体に構成され、該画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−184474(P2006−184474A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376980(P2004−376980)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】