説明

画像形成装置及び再印刷制御プログラム

【課題】 所定時間内においては、確実に再印刷の実行を可能とし、その構成を簡易なものとする画像形成装置の提供。
【解決手段】 印刷ジョブを受信するジョブ受信手段と、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、受信した印刷ジョブを保存するジョブ保存手段と、入力操作に応じ保存した印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段と、時間を計測する計時手段と、を備え、前記ジョブ保存手段は、印刷ジョブの受信、保存、又は印刷のうちいずれかを行った後、所定時間を経過するまでは、他の印刷ジョブの保存を行わない構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷済みの印刷ジョブを保存しておくことによって、所定操作にもとづく再印刷を実施しうる画像形成装置に関し、より詳しくは、印刷後、所定時間を経過するまでは、再印刷を確実に実施しうる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一度印刷したところの印刷ジョブを保存し、ユーザの所定操作に応じて再度印刷することができる再印刷機能を備えた画像形成装置が考案され、その技術が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1によって開示されている画像形成装置は、さらに、既存のキー操作によって再印刷部数の設定が可能となっており、LCD等を搭載しないローエンドモデルのプリンタによって再印刷機能を実現できることが特徴となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−35649号公報(第1−3頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような提案されている画像形成装置においては、印刷処理を行ったジョブを一旦は記憶手段によって保存させておくものの、新たな印刷ジョブを受信した場合にはこれによって上書き保存される場合が多く、このような場合には、それまで保存していた先の印刷ジョブが消去され、再印刷に不具合が生じていた。
特にローエンドモデルのプリンタにおいては、保存できるジョブの数は通常一つであり、ユーザが、いざ再印刷をしようとしても、上述のように既に他の印刷ジョブによって上書きされていて、先の印刷に係るドキュメント等を再印刷できない場合が生じていた。
【0005】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、印刷を行った後に他の印刷ジョブを受信等した場合であっても、所定時間内については、再印刷を確実に実行可能とする画像形成装置及び再印刷制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、請求項1に記載するように、印刷ジョブを受信するジョブ受信手段と、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、受信した印刷ジョブを保存するジョブ保存手段と、入力操作に応じ保存した印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段と、時間を計測する計時手段と、を備え、印刷ジョブの受信、保存、又は印刷のうちいずれかを行った後、所定時間を経過するまでは、前記印刷手段は、他の印刷ジョブの印刷処理を実行せず、前記ジョブ保存手段は、前記他の印刷ジョブを保存しない構成としてある。
【0007】
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、再印刷が可能であるだけでなく、予め設定した時間を経過した後でない限り、次に受信する印刷ジョブの印刷や保存をできないようにしているため、所定時間を経過するまでは、確実に再印刷が実施できるようにしている。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、請求項2に記載するように、前記ジョブ受信手段で前記印刷ジョブが受信されるとオフラインへの移行を実行し、前記所定時間が経過すると前記オフラインを解除するオフライン制御手段を備えた構成としてある。
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、オフラインが解除されるまでは他の印刷ジョブの印刷や保存が実行されないため、その間、再印刷が可能となる。これにより、例えば、ユーザが情報処理装置から画像形成装置へ移動する間にその画像形成装置が他の印刷ジョブを受信した場合でも、オフラインが解除されるまでは他の印刷ジョブの印刷等が実行されないため、ユーザは、自身が情報処理装置から送信した印刷ジョブの再印刷が可能となる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、請求項3に記載するように、前記ジョブ保存手段が、保存しうる印刷ジョブの数が一である構成としてある。
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、保存しうるジョブの数が少ない場合(例えば、保存しうるジョブの数が一つのローエンド機の場合)でも本発明を実施可能とすることができる。このため、必要な記憶容量を抑えることが可能となる。
【0010】
また、このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、複数の印刷ジョブを同時に処理する必要がなく、簡易なアルゴリズムによって処理を実行できるようになっている。
このため、動作の安定化や高速化が図れる一方、搭載するCPUやメモリ等についても、高性能・高容量のものを搭載する必要が無くなるため、小型化や低価格化を図ることが可能である。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、請求項4に記載するように、前記所定時間の経過前に前記他の印刷ジョブを受信したときは、前記印刷手段が、前記所定時間の経過後に、前記他の印刷ジョブの印刷処理を実行し、前記ジョブ保存手段が、前記所定時間の経過後に、保存されている前記印刷ジョブを消去するとともに、前記他の印刷ジョブを保存する構成としてある。
【0012】
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、所定時間が経過するまでは他の印刷ジョブの印刷や保存が行われないことから、それまでは、既に保存されている印刷ジョブを再印刷できる。
しかも、所定時間経過後は、他の印刷ジョブを印刷し、既に保存されている印刷ジョブを消去してから他の印刷ジョブを保存するため、ジョブ保存手段が保存しうる印刷ジョブの数が一であっても本発明を実施できる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、請求項5に記載するように、前記所定時間の経過後に前記他の印刷ジョブを受信したときは、前記印刷手段が、前記他の印刷ジョブの印刷処理を実行し、前記ジョブ保存手段は、保存されている印刷ジョブを消去して、前記他の印刷ジョブを保存する構成としてある。
【0014】
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、所定時間が経過した後は、次の印刷ジョブの印刷や再印刷を優先して処理するようにしており、この様なタイミングで次の印刷ジョブを受信した場合には、先の印刷ジョブは消去して、次の印刷ジョブを保存するようにしている。
これにより、限られた記憶領域を効率よく利用できるため、記憶媒体を極めて小容量のものとすることができ、低コスト化や小型化を図ることが可能である。
【0015】
なお、本発明の画像形成装置は、上述の通り、所定時間経過後は、次の印刷ジョブを優先して処理するのが原則だが、所定時間経過した後であっても、次の印刷ジョブを受信していない場合には、先の印刷ジョブは保存されたままなので、引き続き先の印刷ジョブに係る再印刷は可能である。
このように、本発明の画像形成装置によれば、先の印刷ジョブに係る再印刷処理と、新たな印刷ジョブの処理の優先制御を、所定時間に応じて行うことにより、保存する印刷ジョブの数を抑え、確実かつ効果的に再印刷処理ができるようになる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、請求項6に記載するように、所定キーの押下回数を測定する押下回数測定手段を備え、前記再印刷制御手段は、前記押下回数測定手段により測定された回数に応じた部数の再印刷を実行させる構成としてある。
更に、本発明の画像形成装置は、請求項7に記載するように、所定キーの長押し時間を測定する押下時間測定手段を備え、前記再印刷制御手段は、前記押下時間測定手段により測定された時間に応じた部数の再印刷を実行させる構成としてある。
【0017】
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、再印刷専用のキー操作に応じて、又は既存のキー操作に応じて、再印刷の出力部数を設定することが可能となっている。
したがって、LCD等を備えていないローエンドモデルの画像形成装置によっても再印刷やその出力部数の設定できるため、利便性や汎用性に優れた画像形成装置を低価格で提供することができるようになる。
【0018】
また、本発明の再印刷制御プログラムは、請求項8に記載するように、画像形成装置としてのコンピュータを、印刷ジョブを受信するジョブ受信手段、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段、受信した印刷ジョブを保存するジョブ保存手段、入力操作に応じ保存した印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段、時間を計測する計時手段、として機能させるための再印刷制御プログラムであって、前記コンピュータを、印刷ジョブの受信、保存、又は印刷のうちいずれかを行った後、所定時間を経過するまでは、他の印刷ジョブの印刷処理を実行しない前記印刷手段、及び、前記他の印刷ジョブを保存しない前記ジョブ保存手段として機能させるためのプログラムとしてある。
【0019】
このように本発明はプログラムとしても実現化することができる。
これにより、装置発明としてのみならず従来の画像形成装置等にプログラムをインストールすることによって本発明を実現することができ、汎用性,拡張性に優れた再印刷制御プログラムとして提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の画像形成装置及び再印刷制御プログラムによれば、印刷ジョブ(第一の印刷ジョブ)を受信等すると、この受信等を行ってから所定時間内に第二の印刷ジョブを受信しても、当該第二の印刷ジョブについては印刷や保存を行わないことから、この間は、第一の印刷ジョブの再印刷を確実に実行できる。
また、高性能・高容量のCPU、記憶媒体やLCD等を必要とせず、ローエンドクラスのプリンタ等を用いても容易に本発明を構成することができるため、利便性及び汎用性に優れた画像形成装置を低価格で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
ここで、以下に示す本実施形態の画像形成装置は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示すような所定の処理・機能を行わせる。すなわち、本実施形態の画像形成装置における各処理・手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、画像形成装置10は、ホストドライバ101と、PDL解析部102と、PDL処理部103と、VIDEO部104と、エンジンコントローラ105と、RAM106と、画像圧縮部107と、記憶部108と、オフライン制御手段109と、タイマ110とを備えている。
【0023】
ホストドライバ101は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置20から送信されてきた印刷ジョブ(印刷データ)を受信するインタフェースである(ジョブ受信手段)。
PDL解析部102及びPDL処理部103は、ホストドライバ101によって受信された印刷ジョブを解析し、ビットマップデータに変換するものである。PDL処理部103でビットマップ状態になったジョブデータはRAM106に展開されるとともに、ビットマップ化の終了がVIDEO部104に通知される。
【0024】
VIDEO部104は、RAM106に展開された画像データを参照しつつ、ビットマップデータにもとづきページ単位の画像イメージを生成する。
エンジンコントローラ105は、VIDEO部104で生成された画像イメージにもとづき印刷処理を実行する(印刷手段)。
画像圧縮部107は、RAM106に展開されたビットマップデータを圧縮する。
記憶部108は、画像圧縮部107で圧縮されたビットマップデータを保存する(ジョブ保存手段)。これは、一旦、記憶部108に印刷ジョブを保存させておき、後に読み出して再印刷を行うためである。
【0025】
なお、記憶部108において保存可能な印刷ジョブのジョブ数は一つであることが本実施形態の特徴となっている。
したがって、画像形成装置10が新たな印刷ジョブを保存する場合には、先に保存されていた印刷ジョブは必然的に消去され、その再印刷はできなくなるが、一方で、必要な記憶容量を抑えることができるため、画像形成装置10にかかるコストやサイズをコンパクトにすることが可能である。
【0026】
オフライン制御手段109は、オフラインへの移行処理と、オフラインの解除処理とを実行する。
ここで、オフラインとは、オンラインの対語であって、オンライン処理とは異なる処理を実行する状態をいう。オンライン処理とは、画像形成装置の基本動作をいい、具体的には、印刷ジョブを受信すると、その印刷ジョブの印刷処理を実行し保存するという手順が相当する。オンライン処理がそのような手順の場合、オフライン処理は、印刷ジョブを受信してもその基本動作を実行しない状態となるが、本実施形態においては、第一の印刷ジョブを受信等することで所定時間を設定し、この所定時間内に第二の印刷ジョブを受信しても、その所定時間内では第二の印刷ジョブの印刷処理及び保存処理を実行しないことをいう。
【0027】
このような機能を実現するため、オフライン制御手段109は、第一の印刷ジョブを受信等するとオフラインへ移行して所定時間を設定し、この所定時間が経過するとオフラインを解除する。
さらに、オフライン制御手段109は、オフラインへの移行や解除を実現するため、第一の印刷ジョブが受信等された時刻の記録、所定時間の設定、所定時間の計時、第二の印刷ジョブの受信時刻と計時中の所定時間との比較、第二の印刷ジョブの待機指令、所定時間経過の通知などを実行する。
これらのうち、第一の印刷ジョブが受信等された時刻の記録や、所定時間に関する処理については、タイマ110(計時手段)から現在時刻を受け取って各処理を実行する。
【0028】
また、オフライン制御手段109がオフラインへの移行や解除を実行することにより、予め定める所定時間(T)の前後に応じて印刷ジョブの処理を制御することも本実施形態の特徴である。
具体的には、先の印刷ジョブの保存時間が所定時間(T)を過ぎるまでは、ジョブ保存手段は、次の印刷ジョブの保存を行わせない制御を行う。
また、先の印刷ジョブの保存時間が所定時間(T)を過ぎるまでは、ジョブ受信手段は、次の印刷ジョブの受信を行わないといったオフライン制御も可能である。
これにより、所定時間(T)内においては、先の印刷ジョブにかかる再印刷を確実に実施できるようになっている。
なお、再実施の操作、実行中に、所定時間(T)が経過した場合であっても、先の印刷ジョブに係る再印刷を優先して処理することも可能である。
【0029】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10の再印刷について、図2及び図3を参照しながら説明を行う。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の構成のうち再印刷に関する構成を示すブロック図であり、図3は、本実施形態に係る画像形成装置の全体及びキー操作部を示した斜視図である。
図2に示すように、再印刷の実施は、画像形成装置10に備えられたキー操作部111をユーザが操作することから始まる。具体的には、図3(a)に示すGOキー(111a)その他既存のキーを長押しするか、又は、図3(b)に示す再印刷用キー(リプリントキー111c)を押下することによってパネルドライバ112は再印刷の指示を認識する。なお、GOキー111aは、通常、画像形成装置10のオンライン/オフライン切替のために使用される操作キー111のことである。
【0030】
ここで、本実施形態の画像形成装置10は、再印刷実施の際に、予め部数の設定が可能であり、例えば、上記GOキー111aの長押し時間やリプリントキー111cの押下回数に応じてカウントアップさせ、設定部数に応じた再出力を行うこともできる。
また、再印刷を複数部行う場合には、先の再印刷の操作から後の再印刷の操作までを一定時間内に行うようにし、当該時間内に後の再印刷の操作がなければその後の再印刷は無効とすることもできる。また、処理中止を指示するキャンセルキー111bにより設定中の再印刷部数をクリアすることも可能である。
例えば、3部再印刷したい場合、リプリントキー111cを3度押す必要があるが、最初にリプリントキー111cを押してから3秒以内に2度目のリプリントキー111cを押さなければならず、2度目のリプリントキー111cを押してから3秒以内に3度目のリプリントキー111cを押さなければならないこととすることができる。そして、画像形成装置10は、リプリントキー111cが最後に押されてから3秒後に再印刷を行うようにしてもよい。
【0031】
パネルドライバ112は、再印刷の指示を認識すると、記憶部108に保存している印刷ジョブを画像伸張部113に出力させる。
なお、パネルドライバ112は、GOキー111aの押下時間を測定し、この測定した押下時間に応じた部数の再印刷を実行させるときには、「押下時間測定手段」として機能する。
また、パネルドライバ112は、リプリントキー111cの押下回数をカウント(測定)し、このカウントした押下回数に応じた部数の再印刷を実行させるときには、「押下回数測定手段」として機能する。
【0032】
画像伸張部113では、圧縮されたビットマップデータを元のデータに戻したうえで、VIDEO部104に出力する。
VIDEO部104では、ビットマップデータにもとづき、ページ毎の画像イメージを生成する。そして、エンジンコントローラ105によって印刷が行われる。
このように、キー操作部111においてキー操作を行うことにより再印刷の要求を行い、パネルドライバ112がこれを検知する。そして、パネルドライバ112は、記憶部108に保存されている印刷ジョブの読み出しを行い、エンジンコントローラ105から印刷を行わせる。
なお、本実施形態においては、再印刷に関係する構成各部、特に、キー操作部111やパネルドライバ112を「再印刷制御手段」という。
【0033】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の動作手順について図4及び図5を参照しながら説明する。
図4及び図5は、本実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示したシーケンスである。
これらの図に示すように、本実施形態の画像形成装置10は、主に、ジョブ受信手段、ジョブ保存手段、オフライン制御手段、印刷手段及び再印刷制御手段があり、相互に連携して様々な処理を行っている。
なお、前述の通り、記憶部108に保存しうるジョブの数は1である。
【0034】
図4に示すように、画像形成装置10のホストドライバ101は、同一ネットワーク上に存在するPC等の情報処理装置20からジョブ1(第一の印刷ジョブ)を受信する(A1)。
ジョブ1が受信されると、オフライン制御手段109は、そのジョブ1の受信時点が所定時間内か否かを判定する(A2)。
ここで、所定時間内ではないと判定されたとすると、ジョブ1が、ホストドライバ101からPDL解析部102及びPDL処理部103に送られてビットマップ化され、RAM106に保存される。さらに、VIDEO部104でRAM106内の画像データが参照され、画像イメージが生成される。そして、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(A3)。
【0035】
一方、RAM106に保存されたビットマップデータは、画像圧縮部107で圧縮処理されて記憶部108に保存される(A4)。
オフライン制御手段109は、ジョブ1のビットマップデータが記憶部108に保存された時点から所定時間の計時を開始する(A5)。
なお、所定時間の計時を開始するタイミングは、本実施形態においては、ビットマップデータが記憶部108に保存された時点とするが、その保存の時点に限るものではなく、ジョブ1の受信時、印刷開始時、印刷終了時などであってもよい。
【0036】
この所定時間内にキー操作部111で再印刷の開始に関する操作が行われると、パネルドライバ112でその操作内容が検出される(A6)。この検出にもとづき、再印刷要求が記憶部108に送られ(A7)、現在保存中のビットマップデータ(ジョブ1の圧縮データ)が記憶部108から抽出され(A8)、画像伸張部113で伸張され、VIDEO部104で画像イメージが生成されて、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(A9、A10)。
【0037】
その後、ホストドライバ101が、ジョブ2(第二の印刷ジョブ)を受信すると(B1)、オフライン制御手段109は、そのジョブ2の受信時点が所定時間内か否かを判定する(B2)。
判定の結果、受信時点が所定時間内であるとされると、待機要求が、オフライン制御手段109からホストドライバ101へ送られる(B3)。これにより、ジョブ2は待機状態となる(B4)。
【0038】
オフライン制御手段109が、所定時間の終了を検出すると(A11)、待機解除要求が、オフライン制御手段109からホストドライバ101へ送られる(B5)。
ホストドライバ101は、待機中のジョブ2をPDL解析部102へ送る(B6)。そして、ビットマップデータや画像イメージの生成などを経て、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(B7、B8)。
また、RBM106に保存された画像データは、画像圧縮部107で圧縮され記憶部108に保存される。このとき、それまで保存されていたジョブ1のビットマップデータが消去され(B9)、代わってジョブ2のビットマップデータが保存される(B10)。
このジョブ2のビットマップデータの保存にもとづき、オフライン制御手段109は、所定時間の計時を開始する(B11)。
【0039】
その所定時間が経過した後に(B12)、キー操作部111で再印刷の開始に関する操作が行われると、パネルドライバ112でその操作内容が検出される(B13)。この検出にもとづき、再印刷要求が記憶部108に送られる(B14)。この時点では、ジョブ2についての所定時間は経過しているものの、新たなジョブが受信されていないため、記憶部108にはジョブ2のビットマップデータが保存されている。このビットマップデータ(ジョブ2の圧縮データ)が記憶部108から抽出され(B15)、画像伸張部113で伸張され、VIDEO部104で画像イメージが生成されて、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(B16、B17)。
【0040】
その後、ホストドライバ101が情報処理装置20からジョブ3(第三の印刷ジョブ)を受信すると(C1)、オフライン制御手段109は、そのジョブ3の受信時点が所定時間内か否かを判定する(C2)。ここで、所定時間内ではないと判定されると、ジョブ3が、ホストドライバ101からPDL解析部102及びPDL処理部103に送られてビットマップ化され、RAM106に保存される。さらに、VIDEO部104でRAM106内の画像データが参照され、画像イメージが生成される。そして、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(C3)。
【0041】
一方、RAM106に保存されたビットマップデータは、画像圧縮部107で圧縮処理されて記憶部108に保存される(C4)。
オフライン制御手段109は、ジョブ3のビットマップデータが記憶部108に保存された時点から所定時間の計時を開始する(C5)。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置10によれば、予め設定した所定時間に応じて、再印刷に係る優先制御を動的に行うようにしている。
具体的には、先に実行した印刷ジョブの保存時間として所定の時間を確保し、その間に受信した他の印刷ジョブの印刷や保存を行わず、先の印刷ジョブに係る再印刷を確実に行えるようにしている。
一方、所定時間を超えた場合には、他の印刷ジョブの処理を優先し、記憶部108から先の印刷ジョブを消去すると同時に、他の印刷ジョブに係る印刷や保存を行うこととしている。
【0043】
このように、本実施形態の画像形成装置10によれば、保存しうる印刷ジョブの数が一つであっても、効果的に再印刷の利便性を向上させることが可能となる。
また、上述の通り、複数のジョブを同時に処理する必要がないため、高性能のCPU等によらず画像形成装置10を構成することができる。
さらに、再印刷の操作手段としては、操作キーにより行うこととしているため、LCD等の高度なデバイスも特に必要ではない。
【0044】
この様に、本実施形態の画像形成装置10は、所定時間内における再印刷を確実に実施することができる。
また、CPU、記憶媒体、操作部等の各構成部を簡易なものとすることができるため、装置全体のコストを抑えることができるだけでなく、ローエンドモデルのプリンタ等を利用して本発明の画像形成装置10を実現することもできる。
このため、利便性のみならず、汎用性に優れた画像形成装置10を低価格で提供することができる。
【0045】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明の画像形成装置は、プリンタ等の印刷装置ではなく、ファクシミリ装置であってもよく、例えば、原稿をファクシミリ装置で読み取った後、一定時間はその画像データを保存させておき、その間は同一又は他の通信相手をダイヤルすることにより、同一の原稿を何度も送信することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、再印刷機能を備えた画像形成装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するための第一のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するための第二のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体及びキー操作部を示した斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示した第一のシーケンスである。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示した第二のシーケンスである。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成装置
108 記憶部
109 タイマ
110 キー操作部
110a GOキー
110b キャンセルキー
110c リプリントキー
20 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを受信するジョブ受信手段と、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、受信した印刷ジョブを保存するジョブ保存手段と、入力操作に応じ保存した印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段と、時間を計測する計時手段と、を備え、
印刷ジョブの受信、保存、又は印刷のうちいずれかを行った後、所定時間を経過するまでは、前記印刷手段は、他の印刷ジョブの印刷処理を実行せず、前記ジョブ保存手段は、前記他の印刷ジョブを保存しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ受信手段で前記印刷ジョブが受信されるとオフラインへの移行を実行し、前記所定時間が経過すると前記オフラインを解除するオフライン制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブ保存手段は、保存しうる印刷ジョブの数が一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定時間の経過前に前記他の印刷ジョブを受信したときは、
前記印刷手段は、前記所定時間の経過後に、前記他の印刷ジョブの印刷処理を実行し、
前記ジョブ保存手段は、前記所定時間の経過後に、保存されている前記印刷ジョブを消去するとともに、前記他の印刷ジョブを保存することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定時間の経過後に前記他の印刷ジョブを受信したときは、前記印刷手段は、前記他の印刷ジョブの印刷処理を実行し、前記ジョブ保存手段は、保存されている印刷ジョブを消去して、前記他の印刷ジョブを保存することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
所定キーの押下回数を測定する押下回数測定手段を備え、
前記再印刷制御手段は、前記押下回数測定手段により測定された回数に応じた部数の再印刷を実行させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
所定キーの長押し時間を測定する押下時間測定手段を備え、
前記再印刷制御手段は、前記押下時間測定手段により測定された時間に応じた部数の再印刷を実行させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置としてのコンピュータを、印刷ジョブを受信するジョブ受信手段、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段、受信した印刷ジョブを保存するジョブ保存手段、入力操作に応じ保存した印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段、時間を計測する計時手段、として機能させるための再印刷制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
印刷ジョブの受信、保存、又は印刷のうちいずれかを行った後、所定時間を経過するまでは、他の印刷ジョブの印刷処理を実行しない前記印刷手段、及び、前記他の印刷ジョブを保存しない前記ジョブ保存手段として機能させるための再印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−87207(P2008−87207A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267697(P2006−267697)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】