説明

画像形成装置及び制御周期変更方法

【課題】印字品質を高めるための制御間隔を効率的に決定する画像形成装置及び制御周期変更方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、記録媒体に記録を行う記録ヘッドを主走査方向に移動させる主走査駆動部を駆動させ、移動された主走査駆動部の位置情報を取得し、さらに主走査駆動部の速度を取得する。取得した位置情報と速度と予め入力された印字開始位置とに基づいて駆動させるステップを制御する割り込み間隔を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドを用いて印字を行う画像形成装置及び制御周期変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の一種として、記録ヘッドを用いてインクを吐出することにより印字を行うインクジェットプリンタが普及している。このインクジェットプリンタにおいて、記録ヘッドを動作させるための主走査駆動、記録用紙を搬送するための副走査駆動には、画質品質を高めるため等の理由から、高速かつ高精度の駆動が要求されている。そのため、主走査駆動や副走査駆動においてサーボ制御が行われている。サーボ制御では、エンコーダから検出した速度情報に基づいて駆動量演算を行ない、モータを駆動するといったフィードバックによる制御を行っている。尚、サーボ制御の割り込み間隔は、短くすれば高精度の制御が可能となり、長くすればCPU(Central Processing Unit)への負担が小さくなる。
【0003】
ここで、通常記録ヘッドの加速中には速度変動量が大きく、理想のプロファイルから実際の主走査速度がズレやすいため、振動が発生しやすい。この振動の発生を抑制するために、上記したサーボ制御による制御値と、キャリッジの移動速度の加速区間、等速区間、減速区間毎に定められているオフセット値とを合計し、その合計値を制御値としてキャリッジを駆動するための駆動モータを制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、上記したサーボ制御では割り込み間隔が一定であるため、効率的な制御が行われていないという問題があった。すなわち、サーボ制御に求められる精度は条件によって異なるため、高い精度が要求される部分では、割り込み周波数が低いために十分な精度を出すことができていない一方で、精度を要求されない部分では割り込み周波数が必要以上に高いため、CPUへ不要な負荷をかけていた。
【0005】
上記問題を解決するために、記録ヘッドの位置情報、速度情報及び動作モードに基づいて割り込み間隔を変更し、駆動開始から停止までの一連の動作において、制御系の精度が必要なところでは割り込み周期を短くし、精度の必要ないところでは割り込み周期を長くする技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−351778号公報
【特許文献2】特開2005−111881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した技術では、例えば、主走査駆動における等速区間において実際には印字がされない場合であっても、記録ヘッドの位置情報、速度情報及び動作モードに基づいてサーボ制御の割り込み間隔を短くしてしまい、CPUに不要な負荷をかけてしまうという問題があった。
【0007】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、印字品質を高めるための制御間隔を効率的に決定する画像形成装置及び制御周期変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、記録ヘッドを主走査方向に移動させる主走査駆動部と、記記録媒体を副走査方向に移動させる副走査駆動部と、主走査駆動部を駆動させる主走査モータと、副走査駆動部を駆動させる副走査モータと、主走査駆動部の位置情報及び副走査駆動部により移動される記録媒体の位置情報を取得する位置情報取得部と、主走査駆動部の速度及び副走査駆動部により移動される記憶媒体の搬送速度を取得する速度情報取得部と、主走査モータ及び副走査モータを所定の割り込み間隔で制御するモータ制御部と、を有し、モータ制御部は、主走査モータを制御する割り込み間隔を、位置情報取得手段により取得した主走査駆動部の位置情報と印字開始位置とに基づいて変更することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、モータ制御部は、主走査モータを制御する割り込み間隔を、位置情報取得手段により取得した主走査駆動部の位置情報と印字開始位置とに基づいて、主走査駆動部が印字開始位置の一定距離手前に達した場合に変更することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置は、印字制御信号を検知する印字制御信号検知手段をさらに有し、モータ制御部は、主走査モータを制御する割り込み間隔を、印字制御信号検知手段により検知された印字制御信号に基づいて変更することを特徴とする
【0011】
本発明の画像形成装置は、モータ制御部は、副走査モータを制御する割り込み間隔を、副走査モータを停止させる停止制御区間であるか否かに基づいて変更することを特徴とする。
【0012】
本発明の制御周期変更方法は、記録媒体に記録を行う記録ヘッドを主走査方向に移動させる主走査駆動部を駆動させるステップと、駆動させるステップにより移動された主走査駆動部の位置情報を取得するステップと、主走査駆動部の速度を取得するステップと、位置情報を取得するステップにより取得された位置情報と速度を取得するステップにより取得された速度と印字開始位置とに基づいて駆動させるステップを制御する割り込み間隔を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、精度を要求される場合においては高精度の制御を実施し、精度を要求されない場合にはCPUの負荷を軽減することが可能となるので、効率的な制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す。以下、本実施形態では画像形成装置として、インクジェットプリンタを例に挙げて説明する。図示するように、本実施形態に係る画像形成装置は、キャリッジ2、主走査モータ3、タイミングベルト4、エンコーダスケール5、エンコーダセンサ6、ロータリーエンコーダ7、エンコーダセンサ8、副走査モータ9、を有する。
【0016】
本実施形態に係るインクジェットプリンタは、図示しない左右の側板に横架したガイドロット1でキャリッジ2を保持し、主走査モータ3によって、駆動プーリと従動プーリ間に渡したタイミングベルト4を介して主走査方向に移動走査する。
【0017】
このキャリッジ2には、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する4個の液吐出ヘッドから成る記録ヘッドを複数のインク吐出口(ノズル)を形成したノズル面のノズル列を主走査方向と直行する方向である副走査方向に配列し、インク吐出口方向を下方に向けて装着している。なお、ここでは独立した液滴吐出ヘッドを用いているが、各色の記録液の液滴を吐出する複数のノズル列を有する1又は複数のヘッドを用いる構成とすることもできる。また、色の数及び配列順序はこれに限るものではない。
【0018】
記録ヘッドを構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用することができる。
【0019】
キャリッジ2の摺動動作は、例えばスリットを形成したエンコーダスケール5を主走査方向に沿って設け、キャリッジ2に設けたエンコーダセンサ6でエンコーダスケール5を検出する事で位置情報を入手し、主走査モータ3の制御にフィードバックする事で実現できる。
【0020】
一方、記録用紙などの記録媒体の搬送はロータリーエンコーダ7が付随した駆動ベルトまたは搬送ローラを回転駆動させる事によって行ない、装置に固定されたエンコーダセンサ8でロータリーエンコーダ7のスケールを読み取って位置情報を入手し、副走査モータ9の制御にフィードバックする事で制御することが可能である。
【0021】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の制御部の概略構成例を示す。本実施形態に係る画像形成装置は、制御部に、CPU10、ROM(Read-Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、画像出力制御部13、ホストインターフェース(I/F)14、主走査モータ制御部15、副走査モータ制御部16、エンコーダ解析部17、I/O18、を有している。
【0022】
CPU10は、画像形成装置全体の制御を司る用紙の搬送動作及び記録ヘッドの移動動作に関する制御を司る。ROM11は、CPU10が実行するプログラム及びその他の固定データを格納する。RAM12は、画像データ等を一時格納する。ホストI/F14は、画像出力制御部13と、各種メカ制御部と、ホスト側とのデータ送受信を行う。
【0023】
画像出力制御部13は、記録ヘッドを駆動するための駆動波形を生成するとともに、記録ヘッドの圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データを生成してヘッドドライバに順次出力する。またメカ制御機能として、主走査モータ15は主走査モータを駆動し、副走査モータ駆動部16は副走査モータを駆動する。エンコーダ解析部17は、主走査用リニアエンコーダ、副走査用ロータリーエンコーダからの検出パルスを解析し、I/O18は、その他の各種センサからの検知信号入力やアクチュエータの制御を行なう。
【0024】
ここで、本実施形態に係る制御部は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホストのプリンタドライバが生成した印刷データ等をケーブル又はネットワークを介してホストI/F14で受信する。そして、制御部のCPU10は、I/F14に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って画像出力制御部13に転送する。そして、画像出力制御部13は、所要のタイミングでヘッドドライバに画像データや駆動波形を出力する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM11にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。ここでは、プリンタドライバで行うようにしている。
【0025】
画像出力制御部13の駆動波形生成部は、ROM11に格納されてCPU10で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成され、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバに対して出力する。
【0026】
ヘッドドライバは、シリアルに入力される記録ヘッドの1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて画像出力制御部13の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッドの圧力発生手段に対して印加することで記録ヘッドを駆動する。なお、このヘッドドライバは、例えば、クロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッドの圧力発生手段に印加する。
【0027】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置のモータ制御の処理の流れの例を示す。図示する制御方法は、上記図2の主走査モータ及副走査モータの駆動のために用意されている。以下本実施形態に係る画像形成装置のモータ制御の例について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0028】
まず、パラメータ設定部では、制御パラメータと装置情報パラメータを設定する(ステップS301)。制御パラメータは動作ごとに設定する必要があるパラメータであり、例えば目標速度や停止位置がある。装置情報パラメータは、装置に固有のパラメータであり、例えば比例ゲインや積分ゲインがある。
【0029】
現在位置取得部では、主走査や副走査の現在位置を計算する(ステップS302)。エンコーダのカウント量はエンコーダ解析部17のレジスタ値として参照できるため、エンコーダ解析部17からカウンタ値を取得し、移動中における相対位置を算出している。次に、現在速度取得部では、一定時間中にカウントされたエンコーダカウント値から計算された主副走査の速度を取得する(ステップS303)。
【0030】
上記計算の結果、主走査や副走査が停止位置に達しているかを判断する(ステップS304)。停止位置に達していた場合(ステップS304/YES)は、制御を終了する(ステップS305)。一方、主走査や副走査が停止位置に達していない場合(ステップS304/NO)には、速度偏差量を算出する(ステップS306)。
【0031】
そして、速度偏差量を算出した後に、PI制御を行う(ステップS307)。PI制御では設定されているパラメータと停止位置までの距離、検出した速度から計算を行い、モータの操作量を決定する。モータの回転速度を変える操作量は、例えばPWMのデューティ設定であり、操作量の更新は設定された一定の時間間隔おきに行う。
【0032】
このように、上述したモータ制御方法では、位置や速度を検出してフィードバック制御するタイミングを一定間隔の割り込みにより実施する。尚、モータ制御方法の処理の順序は例であり、これに限定されるものではない。
【0033】
ここで、本実施形態に適用することが可能である印字制御に関して説明する。以下、クロス制御を適用した場合について説明する。「クロス制御」とは、記録ヘッドを搭載したキャリッジの主走査方向の駆動と、記録媒体の搬送における副走査方向の駆動において、協調的に両駆動をオーバラップさせる制御をいう。印字処理を高速化させるために、理想的には、副走査完了前に主走査の駆動を開始し、主走査が記録領域に達した瞬間にちょうど副走査が停止するように駆動のタイミングを管理するものである。このような時間管理を行わないと、副走査が動作している最中に主走査が記録領域に達してしまい、斜行記録を引き起こしたり、逆に副走査駆動と重ならずに記録も行わない無駄な主走査の空走区間が生じてしまう。
【0034】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置におけるサーボ制御の割り込み間隔と精度との関係例を示す。サーボ制御は、上記図3に示したように現在の位置と速度から、速度を補正する処理を行っている。そのため、この位置・速度の取得間隔すなわち割り込み間隔が精度を決定する大きな要因である。
【0035】
図4(a)は、割り込み間隔が大きい場合の精度について示した図である。この場合、割込み間隔が大きいため、理想としているプロファイルと実際の速度の差が開いていることが分かる。一方、割り込み間隔が小さい場合を示す図4(b)では、理想のプロファイルと実際の速度の差が小さくなる。しかしながら、割り込み間隔を小さくすると、その分CPUの処理が多くなるため、必要とする精度とCPUの能力を考慮した設定が必要である。
【0036】
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の主走査駆動のプロファイル例を示す。図示するように、主走査は、印字開始領域まで加速する加速区間、印写を行う等速区間、印写終了位置から減速する減速区間、そして改行などが行われている間の停止区間、に分けられる。等速区間は、通常印字領域よりわずかに前に始まり、印字領域終了後わずかで終わる。主走査はこれらの動作を連続的に実施することにより画像形成を行う。主走査モータの制御間隔は固定間隔Tで行なわれる。この主走査の速度プロファイルにおいて、形成される画像に影響を与える部分は印写区間である。印写区間において速度変化が大きく等速性が悪いと、インクが記録用紙に着弾する際にズレが生じる。
【0037】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置において、加速中に振動が発生した場合の主走査プロファイル例を示す。加速中は速度変動量が大きく、理想的なプロファイルから実際の主走査速度がズレやすいため、振動が発生しやすい。図示するように、振動が発生した場合、その後に続く等速区間まで振動による速度変動が収まらず画像品質を悪化させる場合がある。振動を抑えるためには、モータ制御間隔を短くしてフィードバック周期を早くすることが有効であるが、制御間隔を短くするとCPU10への負荷が高くなる副作用があり、無制限に制御間隔を短くする事は出来ない。
【0038】
図7は、本実施形態に係る画像形成装置において、印字開始前に制御間隔を短くした場合の主走査プロファイル例を示す。
【0039】
(実施形態1)
上述したように、制御間隔を短くするとCPU10への負荷が高くなる副作用があり、無制限に制御間隔を短くする事は出来ない。そのため、印写区間での等速性を確保するために一定区間では制御間隔を短くT1として理想プロファイルへの追従性を高くして速度変動を抑えるが、それ以外の区間では制御間隔を長くT2にすることでCPU10の負荷を軽減することができる。印字品質を高めるために制御間隔を短くする区間は、印字開始位置を基準として決定する事で効果的に変更できる。印刷モードとエンコーダから得られるキャリッジの位置情報だけではチャートによっては印字区間が無い場合も制御間隔を短くしてしまうが、印字開始位置を基準とすれば印字品質に影響する区間だけを抽出できるためである。
【0040】
図9は、本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。図9には、上述した主走査制御周期決定方法の例が示されている。ここでは、主走査の位置情報からサーボ制御の割込み間隔を変更する方法について、1スキャン分を例にとって以下に説明する。
【0041】
主走査制御部では、主走査駆動に必要なパラメータをモータ制御部に設定する(ステップS901)。ここで設定するパラメータとしては、目標速度、印写開始位置、印写終了位置、停止目標位置などがある。これらの情報をセットした後、主走査の駆動を開始する(ステップS902)。主走査駆動を開始後は、キャリッジが制御間隔切替え位置aに到達するまで(ステップS903/NO)、T2の割込み周期でサーボ制御を行う(ステップS904)。キャリッジが印写開始位置より手前の所定の制御切替え位置aに達する(ステップS903/YES)と、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定する(ステップS906)。キャリッジが制御間隔切り替え位置bに達したら(ステップS905/YES)、再び割り込み間隔をT2に設定してサーボ制御を行い(ステップS908)、停止位置に達するまで(ステップS907/NO)割り込み間隔T2でサーボ制御を行う。
【0042】
(実施形態2)
図10は、本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。本実施形態では、印刷データから制御切替え位置情報aを算出する場合における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0043】
主走査制御部では、主走査駆動に必要なパラメータをモータ制御部に設定する(ステップS1001)。ここで設定するパラメータとしては、目標速度、印写開始位置、印写終了位置、停止目標位置などがある。次に、制御切替え位置aを、印字開始から一定距離手前として、例えばエンコードカウンタによる位置情報から算出する(ステップS1002)。そして、上述した情報等をセットした後、主走査の駆動を開始する(ステップS1003)。
【0044】
主走査駆動を開始後は、キャリッジが上記ステップS1002で算出した制御間隔切替え位置aに到達するまで(ステップS1004/NO)、T2の割込み周期でサーボ制御を行う(ステップS1005)。キャリッジが印写開始位置より手前の所定の制御切替え位置aに達する(ステップS1004/YES)と、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定する(ステップS1007)。キャリッジが制御間隔切り替え位置bに達したら(ステップS1006/YES)、再び割り込み間隔をT2に設定してサーボ制御を行い(ステップS1009)、停止位置に達するまで(ステップS1008/NO)割り込み間隔T2でサーボ制御を行う。
【0045】
(実施形態3)
図11は、本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。本実施形態では、印字制御信号をトリガーとする場合における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。ここで、印字制御信号の例として駆動波形のマスク信号が挙げられるが、駆動波形のマスク信号は印字より一定距離前に加圧素子にチャージをするためにアサートされるため、印字前に必ず一度アサートされる。
【0046】
主走査制御部では、主走査駆動に必要なパラメータをモータ制御部に設定する(ステップS1101)。ここで設定するパラメータとしては、目標速度、印写開始位置、印写終了位置、停止目標位置などがある。これらの情報をセットした後、主走査の駆動を開始する(ステップS1102)。主走査駆動を開始後は、印字制御信号を検知するまで(ステップS1103/NO)、T2の割込み周期でサーボ制御を行う(ステップ1104)。印字制御信号を検知する(ステップS1103/YES)と、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定する(ステップS1106)。キャリッジが制御間隔切り替え位置bに達したら(ステップS1105/YES)、再び割り込み間隔をT2に設定してサーボ制御を行い(ステップS1108)、停止位置に達するまで(ステップS1107/NO)割り込み間隔T2でサーボ制御を行う。
【0047】
(実施形態4)
図12は、本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。本実施形態では、印字開始とともに主走査制御周期を変更する場合における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
主走査制御部では、主走査駆動に必要なパラメータをモータ制御部に設定する(ステップS1201)。ここで設定するパラメータとしては、目標速度、印写開始位置、印写終了位置、停止目標位置などがある。これらの情報をセットした後、主走査の駆動を開始する(ステップS1202)。主走査駆動を開始後は、キャリッジが制御間隔切替え位置aに到達するまで(ステップS1203/NO)、T2の割込み周期でサーボ制御を行う(ステップS1204)。キャリッジが印写開始位置より手前の所定の制御切替え位置aに達する(ステップS1203/YES)と、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定する(ステップS1206)。キャリッジが印字区間に達したら(ステップS1205/YES)、再び割り込み間隔をT2に設定してサーボ制御を行い(ステップS1208)、停止位置に達するまで(ステップS1207/NO)割り込み間隔T2でサーボ制御を行う。
【0049】
尚、本実施形態は印字開始位置で十分に等速性が確保されている場合などに好適である。すなわち、上記図7に記載されている制御Aのように印字開始とともに制御間隔をT2に戻す事でCPU10の負荷を上記実施形態よりも軽減することが可能となる。
【0050】
(実施形態5)
図13は、本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。本実施形態では、印刷データから制御切替え位置情報bを算出する場合における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を、図13に示すフローチャートを用いて説明する。
【0051】
主走査制御部では、主走査駆動に必要なパラメータをモータ制御部に設定する(ステップS1301)。ここで設定するパラメータとしては、目標速度、印写開始位置、印写終了位置、停止目標位置などがある。次に、制御間隔をT2に戻す制御切替え位置bを任意の位置として又は例えばエンコードカウンタによる位置情報から算出して設定する(ステップS1302)。そして、上述した情報等をセットした後、主走査の駆動を開始する(ステップS1303)。尚、制御切替え位置bは印字開始位置の前後の何れでも適用することが可能である。
【0052】
主走査駆動を開始後は、キャリッジが上記ステップS1002で算出した制御間隔切替え位置aに到達するまで(ステップS1304/NO)、T2の割込み周期でサーボ制御を行う(ステップS1305)。キャリッジが印写開始位置より手前の所定の制御切替え位置aに達する(ステップS1304/YES)と、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定する(ステップS1307)。キャリッジが制御間隔切り替え位置bに達したら(ステップS1306/YES)、再び割り込み間隔をT2に設定してサーボ制御を行い(ステップS1309)、停止位置に達するまで(ステップS1308/NO)割り込み間隔T2でサーボ制御を行う。
【0053】
尚、上記図7に記載されている制御Bのように制御間隔をT2に戻す位置bを任意の位置として設定し、等速性が安定した後に制御間隔をT2に戻す事で確実に印字領域での速度変動を抑制することも可能である。
【0054】
(実施形態6)
図14は、本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。本実施形態では、キャリッジ速度が等速になった位置を切替え位置として設定する場合における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を、図14に示すフローチャートを用いて説明する。
【0055】
主走査制御部では、主走査駆動に必要なパラメータをモータ制御部に設定する(ステップS1401)。ここで設定するパラメータとしては、目標速度、印写開始位置、印写終了位置、停止目標位置などがある。これらの情報をセットした後、主走査の駆動を開始する(ステップS1402)。主走査駆動を開始後は、キャリッジが制御間隔切替え位置aに到達するまで(ステップS1403/NO)、T2の割込み周期でサーボ制御を行う(ステップS1404)。キャリッジが印写開始位置より手前の所定の制御切替え位置aに達する(ステップS1403/YES)と、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定する(ステップS1406)。キャリッジ速度の監視により、キャリッジ速度が等速になったと検知された場合(ステップS1405/YES)には、再び割り込み間隔をT2に設定してサーボ制御を行い(ステップS1408)、停止位置に達するまで(ステップS1407/NO)割り込み間隔T2でサーボ制御を行う。
【0056】
上述したように、制御間隔をT2に戻す位置をキャリッジ速度の監視によってキャリッジが等速になった位置とする事で、必要最小限の範囲で制御間隔をT1とし、CPU10への負荷を最大限軽減させることができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の副走査制御方法について説明する。
【0058】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置の副走査駆動のプロファイル例を示す。副走査は加速区間、等速区間、減速区間、停止区間、に分けることができる。副走査の場合は、主走査とは異なり動作中に画像形成が行われることがないため、速度が多少変化しても大きな問題にはならない。しかしながら、副走査の場合は記録用紙の搬送量が重要である。搬送量が多すぎる場合には、画像に印写されない領域が発生し、逆に搬送量が少ない場合には、画像が重なる領域が発生してしまう。そのため、副走査では決められた距離で精度良く停止させることが重要である。
【0059】
(実施形態7)
図15は、本実施形態に係る画像形成装置における副走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。本実施形態では、停止制御区間開始位置を切替え位置として設定する場合における副走査制御周期決定方法の処理の流れの例を、図15に示すフローチャートを用いて説明する。
【0060】
以下、副走査の位置情報と印刷モードからサーボ制御の割込み間隔を変更する方法について、1改行分を例にとって説明する。副走査制御部では、副走査駆動に必要なデータをASIC(Application Specified IC)に設定する(ステップS1501)。ここで設定するデータとしては、目標速度、停止目標位置などがある。次に、例えば、印刷情報及び印刷モードから停止制御開始位置を算出する(ステップS1502)。そして、これらの情報をセットした後、副走査の駆動を開始する(ステップS1503)。
【0061】
副走査駆動開始後は、減速開始位置に到達するまでモータ制御の割込み周期T2でサーボ制御を行い(ステップS1505)、速度条件もしくは位置条件から停止制御区間であると判断した場合には(ステップS1504/YES)、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定し(ステップS1507)、目標停止位置に達するまでサーボ制御を行う。尚、位置条件から停止制御区間を判定する場合には、印刷モードによって改行量が異なるため、エンコーダカウントによる位置情報のほかに印刷モードの設定情報も必要となる。
【0062】
このように、図8に記載されている制御Aのように、停止制御区間では副走査モータの制御間隔を短いT1とし、停止区間以外では制御間隔を長いT2とすることにより、停止制度を高め、かつCPU10の負荷を軽減することが可能である。
【0063】
(実施形態8)
【0064】
図16は、本実施形態に係る画像形成装置における副走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示す。本実施形態では、副走査の搬送速度を監視して一定速度以下になった位置を切替え位置として設定する場合における副走査制御周期決定方法の処理の流れの例を、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0065】
副走査制御部では、副走査駆動に必要なデータをASIC(Application Specified IC)に設定する(ステップS1601)。ここで設定するデータとしては、目標速度、停止目標位置などがある。これらの情報をセットした後、副走査の駆動を開始する(ステップS1603)。
【0066】
副走査駆動開始後は、副走査搬送速度が一定速度以下に低下する位置に到達するまで(ステップS1603/NO)、モータ制御の割込み周期T2でサーボ制御を行い(ステップS1604)、停止が完了するまで(ステップS1605/NO)は、割込み間隔をT2よりも短いT1に設定し(ステップS1507)、目標停止位置に達するまでサーボ制御を行う。
【0067】
上述した各本実施形態又はその組合せにより、精度を要求される場合においては高精度の制御を実施し、精度を要求されない場合にはCPUの負荷を軽減することが可能となるので、効率的な制御が可能となる。また、高精度制御とCPU負荷軽減のバランスは、ユーザが所望するように設定することが可能である。
【0068】
尚、各図のフローチャートに示す処理を、CPU10が実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0069】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した画像形成装置及び制御周期変更方法に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御部の概略構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置のモータ制御の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置におけるサーボ制御の割り込み間隔と精度との関係例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置の主走査プロファイル例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置において、加速中に振動が発生した場合の主走査プロファイル例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る画像形成装置において、印字開始前に制御間隔を短くした場合の主走査プロファイル例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る画像形成装置の副走査プロファイル例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態に係る画像形成装置における主走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る画像形成装置における副走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図16】本実施形態に係る画像形成装置における副走査制御周期決定方法の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 ガイドロット
2 キャリッジ
3 主走査モータ
4 タイミングベルト
5 エンコーダスケール
6 エンコーダセンサ
7 ロータリーエンコーダ
8 エンコーダセンサ
9 副走査モータ
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 画像出力制御部
14 ホストI/F
15 主走査モータ駆動部
16 副走査モータ駆動部
17 エンコーダ解析部
18 I/O

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを主走査方向に移動させる主走査駆動部と、
前記記録媒体を副走査方向に移動させる副走査駆動部と、
前記主走査駆動部を駆動させる主走査モータと、
前記副走査駆動部を駆動させる副走査モータと、
前記主走査駆動部の位置情報及び前記副走査駆動部により移動される記録媒体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記主走査駆動部の速度及び前記副走査駆動部により移動される記憶媒体の搬送速度を取得する速度情報取得部と、
前記主走査モータ及び前記副走査モータを所定の割り込み間隔で制御するモータ制御部と、を有し、
前記モータ制御部は、前記主走査モータを制御する前記割り込み間隔を、前記位置情報取得手段により取得した前記主走査駆動部の位置情報と印字開始位置とに基づいて変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記モータ制御部は、前記主走査モータを制御する前記割り込み間隔を、前記位置情報取得手段により取得した前記主走査駆動部の位置情報と印字開始位置とに基づいて、前記主走査駆動部が前記印字開始位置の一定距離手前に達した場合に変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
印字制御信号を検知する印字制御信号検知手段をさらに有し、
前記モータ制御部は、前記主走査モータを制御する前記割り込み間隔を、前記印字制御信号検知手段により検知された印字制御信号に基づいて変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モータ制御部は、前記主走査モータを制御する前記割り込み間隔を、前記速度情報取得手段により取得された前記主走査駆動部の速度に基づいて、前記主走査駆動部が等速運動になった場合に変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記モータ制御部は、前記副走査モータを制御する前記割り込み間隔を、前記副走査モータを停止させる停止制御区間であるか否かに基づいて変更することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記停止制御区間は、前記位置情報取得手段により取得された前記記録媒体の位置と印字モードとに基づいて決定されることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記停止制御区間は、前記速度情報取得手段により取得された前記記録媒体の搬送速度に基づいて、前記搬送速度が一定以下になった場合に決定されることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録媒体に記録を行う記録ヘッドを主走査方向に移動させる主走査駆動部を駆動させるステップと、
前記駆動させるステップにより移動された前記主走査駆動部の位置情報を取得するステップと、
前記主走査駆動部の速度を取得するステップと、
前記位置情報を取得するステップにより取得された位置情報と速度を取得するステップにより取得された速度と印字開始位置とに基づいて前記駆動させるステップを制御する割り込み間隔を変更することを特徴とする制御周期変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−58344(P2010−58344A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225170(P2008−225170)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】