画像形成装置及び現像カートリッジ
【課題】カバー部材62を取り付けた現像カートリッジ5を装着同梱した画像形成装置の輸送時及び現像カートリッジ着脱位置においてカバー部材62が外れてしまうことを防止し、確実に現像剤担持体51の保護を実現し得る画像形成装置及び現像カートリッジを提供することである。
【解決手段】
現像カートリッジ5の装置本体100Aに対する着脱方向に直交し、現像剤担持体51の軸方向にスライド可能に装着・取り外し可能なカバー部材62で、装置本体100Aの現像カートリッジ着脱位置においては装置本体100Aに設けた規制部1dにより移動を規制され、取り外すことができないようにした。
【解決手段】
現像カートリッジ5の装置本体100Aに対する着脱方向に直交し、現像剤担持体51の軸方向にスライド可能に装着・取り外し可能なカバー部材62で、装置本体100Aの現像カートリッジ着脱位置においては装置本体100Aに設けた規制部1dにより移動を規制され、取り外すことができないようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像カートリッジ方式の画像形成装置及び現像カートリッジに関するものである。
【0002】
本発明において、画像形成装置には、電子写真画像形成装置、静電記録画像形成装置、磁気記録画像形成装置などが含まれる。
【0003】
電子写真画像形成装置は、像担持体として電子写真感光体を用い、これに電子写真画像形成プロセスを適用して静電潜像を形成し、記録媒体に画像を形成するものである。例えば、電子写真複写機、電子写真プリンター(LEDプリンター、レーザービームプリンターなど)、電子写真ファクシミリ装置、及び、電子写真ワードプロセッサーなどが含まれる。
【0004】
静電記録画像形成装置は、像担持体として静電記録誘電体を用い、これに静電記録画像形成プロセスを適用して静電潜像を形成し、記録媒体に画像を形成するものである。また、磁気記録画像形成装置は、像担持体として磁気記録磁性体を用い、これに磁気記録画像形成プロセスを適用して磁気潜像を形成し、記録媒体に画像を形成するものである。
【0005】
また、現像カートリッジとは、少なくとも、像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤担持体(現像部材)をカートリッジ化し、画像像形成装置の装置本体に対して着脱可能にしたものである。装置本体とは、現像カートリッジ以外の画像形成装置部分である。
【背景技術】
【0006】
以下、便宜上、電子写真画像形成装置を例にして説明する。電子写真画像形成装置においては、像担持体である感光体ドラム上の静電潜像を現像するための現像剤担持体及び現像剤を収納する現像剤収納部を一体にまとめてカートリッジ化する。そして、この現像カートリッジを電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能とするカートリッジ方式が採用されている。
【0007】
このカートリッジ方式により操作性が一層向上され、電子写真画像形成装置のメンテナンスをユーザ(使用者)自身が容易に行うことが可能となった。そこで、このカートリッジ方式は電子写真画像形成装置において広く用いられている。
【0008】
一方、カラー電子写真画像形成装置においては、各々異なった色の現像剤を収納している4個の現像カートリッジを取り外し可能に装着する構成が知られている。
【0009】
また、近年、電子写真画像形成装置の装置本体の初期設置時の操作性を向上させるために、現像カートリッジを装置本体に装着した状態で梱包、輸送することが一般的となっている(装着同梱)。この際、各現像カートリッジには、現像剤担持体を保護するためのカバー部材が取り付けられている。現像剤担持体を確実に保護するためには、初期設置時にユーザが各現像カートリッジにアクセスして装置本体から取り出した後、カバー部材を取り外し、装置本体に戻すという動作を行う必要がある。これを実現した従来例として特許文献1の構成が知られている。
【特許文献1】特開2000―019839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来例では、装置本体の初期設置時にカバー部材の付いた現像カートリッジの装置本体からの取り外しに際し、装置本体の一側面からアクセス可能で、現像カートリッジは現像剤担持体の軸線方向一端部から取り出される構成となっている。また、カバー部材に関しては、現像カートリッジの取り外し方向と同一方向に取り外し可能である。
【0011】
本発明は上記の従来技術を更に発展させたものである。本発明の第一の目的は、現像カートリッジを現像剤担持体の軸線方向と直交する方向に着脱自在の画像形成装置本体の初期設置時にカバー部材の外れを防止する。これにより、現像剤担持体の確実な保護を実現した現像カートリッジ、及び画像形成装置を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の第二の目的は、前記現像剤担持体の軸線方向と直交する方向に把手部を有する現像カートリッジにおいて、把手部を把持する動作により、誤ってカバー部材を外してしまうことを防止する。これにより、現像剤担持体の確実な保護を実現した現像カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体と、前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、を有する現像カートリッジであって、前記画像形成装置の装置本体に対して、前記装置本体に設けられた開口部から前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在であり、前記現像カートリッジの前記装置本体に対する装着方向に対し前記現像剤担持体の上流側に前記カバー部材が配設されている現像カートリッジと、前記カバー部材の前記現像剤担持体の軸線方向への移動を規制する規制部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するための本発明に係る現像カートリッジの代表的な構成は、少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体を有し、画像形成装置の装置本体に対して、前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在な現像カートリッジであって、前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、前記枠体に設けられた、前記現像カートリッジを前記装置本体に対して前記直交する方向から着脱する際に把持する把手部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置及び現像カートリッジによれば、画像形成装置の初期設置時にカバー部材の外れを防止し、現像剤担持体の確実な保護を実現できる。また、把手部を把持する動作によりカバー部材の外れを防止し、現像剤担持体の確実な保護を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施例1]
(画像形成装置の全体構成)
図1は本実施例の画像形成装置100の外観斜視図である。図2は画像形成装置100の縦断左側面図である。
【0017】
以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側(正面側)とは記録媒体のカセット7を挿脱する側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、装置の後側から前側に向かう方向(前方向)、とその逆の方向(後方向)である。左右とは装置を正面から見て左又は右である。左右方向とは右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。また像担持体である電子写真感光体ドラム2aの長手方向(軸線方向)の一端側が駆動側であり、他端側が非駆動側である。また、装置本体100Aとは現像カートリッジ5(5a・5b・5c・5d)以外の画像形成装置部分である。
【0018】
本実施例の画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザービームプリンター(カラー電子写真画像形成装置)である。即ち、例えばパソコン・イメージリーダー・相手方ファクシミリ装置等のホスト装置300から制御回路部(制御手段:CPU)200に入力する電気的な画像信号に基づいて記録媒体(以下、記録材と記す)40に対する画像形成を実行する。記録材40は、例えば、シート状の記録用紙・OHPシート・ラベル等である。制御回路部200は、ホスト装置300や操作部400との間で各種の電気的情報の授受をするとともに、画像形成装置100の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。従って、以下に説明する画像形成動作は制御回路部200によって制御されるものである。
【0019】
画像形成装置100の内部には、回転可能な像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)2aが配設されている。ドラム2aは駆動機構(不図示)により破線矢印Bの反時計方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。ドラム2aの周囲には、ドラム2aに作用するプロセス手段が配設されている。本実施例においては、ドラム2aを一様に帯電するための帯電手段2bと、ドラム2aの一様帯電処理面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段15と、静電潜像を現像剤(以下、トナーと記す)により顕像化する現像手段50が配置されている。また、ドラム2a上の1次転写残留トナーを除去するためのドラムクリーニング手段2cが配置されている。
【0020】
本実施例においては、帯電手段2bは接触帯電ローラである。露光手段15はレーザースキャナーユニットである。
【0021】
現像手段50は、複数の現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを支持して回転して各現像カートリッジを順次に現像位置へ移動するためのロータリ(回転体)1を有するロータリ方式の現像装置である。本実施例においては、ドラム2a上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像して顕像化する、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色4つの現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを有している。イエロー現像カートリッジ5aにはイエロー(Y)色のトナーが収容されている。マゼンタ現像カートリッジ5bにはマゼンタ(M)色のトナーが収容されている。シアン現像カートリッジ5cにはシアン(C)色のトナーが収容されている。ブラック現像カートリッジ5dにはブラック(Bk)色のトナーが収容されている。ロータリ1は、回転軸(中心支軸)1aを中心に回転可能である。そして、図5のように駆動伝達機構(ロータリ電動駆動機構)Mにより駆動される駆動軸21の回転力がドライブギアギアG1(GIL・GIR)を介してロータリギアG2(G2L・G2R)に伝達される。これにより、ロータリ1は回転軸1aを中心に破線矢印Cの時計方向に回転される。このロータリ1の時計方向Cの回転を正回転方向(画像形成時に回転する方向)とする。制御回路部200は駆動伝達機構Mを制御してロータリ1を所定の角度をもって割り出し回転制御する。
【0022】
ドラムクリーニング手段2cは、ドラム2aに作用して転写残トナー(転写残現像剤)を清掃するクリーニング部材としてクリーニングブレードを用いたブレードクリーニング手段である。ブレード2cによりドラム2a面から除去されたトナーはクリーニング容器2d内に収納される。
【0023】
本実施例においては、ドラム2aと、帯電手段2bと、ドラムクリーニング手段2c・2dと、を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置100の装置本体100Aの所定の装着部に対して所定の要領にて着脱可能なドラムカートリッジ2としている。ドラム2aと、帯電手段2bと、ドラムクリーニング手段2c・2dは、各々が独立した構成でも良いし、一体化された構成でも良い。
【0024】
ドラムカートリッジ2と現像手段50との下方には転写手段としての中間転写体ユニット3Aが配設されている。このユニット3Aは、中間転写体としての、誘電体製で可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)3を有する。そして、このベルト3を懸回張設している、2次転写対向ローラ3a、1次転写ローラ4、ベルト駆動ローラ3b、テンションローラ3cを有する。1次転写ローラ4はドラム2aに対してベルト3を挟んで当接している。ドラム2aとベルト3との接触部が1次転写ニップ部T1である。ベルト3はベルト駆動ローラ3bが駆動されることで、破線矢印Aの時計方向にドラム2aの回転速度に対応した速度で循環移動する。
【0025】
2次転写対向ローラ3aのベルト懸回部には2次転写ローラ6が配設されている。この2次転写ローラ6は移動機構(不図示)によりベルト3を挟んで2次転写対向ローラ3aに当接した破線示の作用位置と、ベルト3から離間した実線示の非作用位置とに位置移動される。常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。2次転写ローラ6が作用位置に移動された状態において、2次転写ローラ6とベルト3との接触部が2次転写ニップ部T2である。
【0026】
また、2次転写対向ローラ6のベルト懸回部において、2次転写ローラ6よりもベルト移動方向下流側にはベルトクリーニング手段としてのベルトクリーナ10が配設されている。このベルトクリーナ10はベルト3の表面から2次転写残トナーを除去する手段である。このベルトクリーナ10は、移動機構(不図示)によりクリーニング部材がベルト3の表面に接触した破線示の作用位置と、クリーニング部材がベルト3から離間した実線示の非作用位置とに位置移動される。常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。
【0027】
中間転写体ユニット3Aの下方には、記録材給送ユニット7Aが配設されている。このユニット7Aは、記録材40を積載収容させた給紙カセット7、給紙ローラ8、分離パッド8aを有する。給紙カセット7は画像形成装置100の正面側から出し入れ自由である(フロントローデイング)。7aはカセット7の前面に設けた把手部である。
【0028】
装置本体100A内の後側には記録材給送ユニット7Aの給紙ローラ8部分から上方に向う記録材搬送路(記録材を搬送する搬送手段)7bが配設されている。この記録材搬送路7bの下から上に沿って、レジストローラ対9、2次転写ローラ6、定着器11、排紙ローラ対7c、排出口7dが配設されている。定着器11は定着ローラ11aと加圧ローラ11bを有する。装置本体100Aの上面には排紙部(排紙トレイ)12が配設されている。また、装置本体の上面には、ヒンジ軸13aを中心にして開閉可能な着脱カバー(上面カバー)13が配設されている。13bはカバー13に配設した把手部である。カバー13は装置本体100Aに閉じ込まれている状態において排紙部12と一連に繋がって排紙部12の延長トレイとして機能する。画像形成済みの記録材40は排紙ローラ対7cから排出口7dを通っては排紙部12及びカバー13の上に排出される。
【0029】
フルカラー画像を形成する動作は次のとおりである。図2は画像形成装置の待機状態時を示している。ロータリ1はイエロー現像カートリッジ5aが正面向き(図1において右向き)の位置にある回転角度をホームポジション角度位置として回転を停止した状態に保持されている。この状態で、制御回路部200は画像形成スタート信号の入力待ちをしている。
【0030】
制御回路部200は、画像形成スタート信号が入力すると、メインモータ(不図示)を起動させてドラム2aの回転駆動を開始する。また、駆動伝達機構Mを駆動させて駆動軸21・ギアG1・ギアG2によりロータリ1を、回転軸1aを中心に図2のホームポジション角度位置から正回転方向Cに所定角度、本例においてはほぼ45°割り出し回転させて停止させる。このロータリ1の回転によりイエロー現像カートリッジ5aが、図3のように、ドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、イエロー現像カートリッジ5aの現像ローラ51aがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。
【0031】
本実施例において、各現像カートリッジのドラム2aに対する現像位置とは、トナーを担持してドラム2aにトナーを供給する現像剤担持体である現像ローラ51がドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となった位置である。現像位置では安定的に現像ローラ51をドラム2aに当接させるため、ロータリ1は駆動軸21を中心にドラム2aの方向に付勢される。これによって、現像位置に位置している現像カートリッジ5の現像ローラ51がドラム2aに所定の加圧力で当接する状態となる。即ち、後述するように、現像カートリッジを保持しているロータリ1は駆動軸21を中心として揺動可能である。そして、加圧手段(不図示)によってドラム2aの方向に揺動付勢され、現像位置にある現像カートリッジの現像ローラ51がドラム2aに所定の押圧力で当接する。駆動軸21とドライブギアG1は同軸である。なお、現像ローラ51のドラム2aに対する当接には、現像ローラ51の長手両端部に設けたスペーサコロ(不図示)がドラム2aの長手両端部に当接して現像ローラ51がドラム2aに対して所定の僅少な隙間を存して対向する態様も含む。
【0032】
図3のように現像位置に移動されたイエロー現像カートリッジ5aには装置本体100A側から駆動力と現像バイアスが印加される。レーザースキャナーユニット15も駆動される。ベルト3も回転駆動される。二次転写ローラ6とベルトクリーナ10は、それぞれ、ベルト3から離間した非作用位置に保持されている。帯電ローラ2bに所定の帯電バイアスが印加される。これにより回転しているドラム2aの表面が所定の極性・電位に均一に帯電される。レーザースキャナーユニット15からフルカラー画像のY色成分画像信号に対応して変調されたレーザー光が出力され、そのレーザー光によりドラム2aの帯電処理面が走査露光される。これにより、ドラム面にY色成分画像に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像がイエロー現像カートリッジ5aによりY色トナー像として現像される。本実施例においては、ドラム2aの帯電極性と同極性のネガトナーを用いて静電潜像を反転現像している。現像ローラ51aには、ドラム2aに形成された静電潜像にイエロートナーが付着するように、ドラム2aの帯電極性と同極性の電圧(現像バイアス)が印加される。そのY色トナー像が1次転写ニップ部T1においてベルト3の面に1次転写される。1次転写ローラ4には所定の制御タイミングでトナーの帯電極性とは逆極性で所定電位の1次転写バイアスが印加される。1次転写後のドラム2a面はクリーニングブレード2cによりクリーニングされる。
【0033】
Y色トナー像のベルト3に対する1次転写が終了すると、制御回路部200は駆動伝達機構Mを駆動させてロータリ1を正回転方向Cに所定角度、本例においてはほぼ90°割り出し回転させて停止させる。これにより、今度はマゼンタ現像カートリッジ5bがドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、マゼンタ現像カートリッジ5bの現像ローラ51bがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。そして、ドラム2aに対してフルカラー画像のM色成分画像に対応したM色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのM色トナー像が1次転写ニップ部T1において、ベルト3上にすでに転写されているY色トナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。
【0034】
M色トナー像のベルト3に対する1次転写が終了すると、制御回路部200は駆動伝達機構Mを駆動させてロータリ1を正回転方向Cに所定角度、本例においては更にほぼ90°割り出し回転させて停止させる。これにより、今度はシアン現像カートリッジ5cがドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、シアン現像カートリッジ5cの現像ローラ51cがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。そして、ドラム2aに対してフルカラー画像のC色成分画像に対応したC色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのC色トナー像が1次転写ニップ部T1において、ベルト3上にすでに転写されているY色+M色のトナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。
【0035】
C色トナー像のベルト3に対する1次転写が終了すると、制御回路部200は駆動伝達機構Mを駆動させてロータリ1を正回転方向Cに所定角度、本例においては更にほぼ90°割り出し回転させて停止させる。これにより、今度はブラック現像カートリッジ5dがドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、ブラック現像カートリッジ5dの現像ローラ51dがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。そして、ドラム2aに対してフルカラー画像のBk色成分画像に対応したBk色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのBk色トナー像が一次転写部位T1において、ベルト3上にすでに転写されているY色+M色+C色のトナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて一次転写される。
【0036】
このようにして、ベルト3上にはY色+M色+C色+Bk色の4色フルカラーの未定着トナー像が合成形成される。
【0037】
なお、ドラム2aに対して順次に形成する色トナー像の色順は本実施例のようなY色→M色→C色→Bk色の色順に限られるものではなく、適宜の色順で行うことができる。
【0038】
ベルト3上に形成された4色フルカラーの未定着トナー像の画像先端部がベルト3の移動により二次転写ローラ6の位置に到達する前に二次転写ローラ6がベルト3に接触した作用位置に移動される。また、ベルトクリーナ10もベルト3に対する作用位置に移動される。図4はこの状態時を示している。図4においてはブラック現像カートリッジ5dがドラム2aに対する現像位置に位置している。
【0039】
一方、所定の制御タイミングで給紙ローラ8が駆動される。これにより、該ローラ8と分離パッド8aとの協働で、給紙カセット7内に積載収納されている記録材40が一枚分離されて給送される。その記録材40はレジストローラ対9によって所定の制御タイミングにて2次転写ローラ6とベルト3との接触部である2次転写ニップ部T2に導入される。2次転写ローラ6にはトナーの帯電極性とは逆極性で所定電位の2次転写バイアスが印加される。これにより、記録材40が2次転写ニップ部T2を挟持搬送されていく過程で、ベルト3上の4色重畳のトナー像が記録材40の面に順次に一括2次転写される。
【0040】
記録材40はベルト3の面から分離されて定着器11へ導入され、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色トナー像の記録材40への定着(溶融混色)がなされる。そして、記録材40は定着器11を出て、フルカラー画像形成物として排紙ローラ対7cから排出口7dを通っては排紙部12及びカバー13の上に排出される。
【0041】
記録材分離後のベルト3の表面に残留した2次転写残トナーはベルトクリーナ10によって除去される。
【0042】
即ち、互いに現像色を異にする複数の現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを支持させたロータリ1を割り出し回転させて一つの現像カートリッジをドラム2aに所定に対向させた現像位置に移動させる。そして、その現像カートリッジによってドラム2aに形成された静電潜像をトナー像(現像剤像)として現像する。この動作を複数の現像カートリッジについて順次に切り換え的に実行させ、中間転写体3を介して記録材40に対するカラー画像の形成を実行するのである。
【0043】
制御回路部200は1枚或いは連続複数枚の画像形成ジョブが終了したら、画像形成装置100を図2の待機状態に戻して次の画像形成スタート信号の入力を待つ。即ち、ドラム2a、レーザースキャナーユニット15、ベルト3等の駆動を停止する。2次転写ローラ6とベルトクリーナ10を非作用位置に移動する。ロータリ1を図2のホームポジション角度位置に戻し回転して待機状態にする。
【0044】
モノクロ画像形成モードの場合は、ブラック現像カートリッジ5dによる画像形成だけが行われる。制御回路部200は1枚或いは連続複数枚のモノクロ画像形成ジョブが終了したら、画像形成装置100を図2の待機状態に戻して、次の画像形成スタート信号の入力を待つ。
【0045】
(ロータリ)
本実施例におけるロータリ1の構成を図5により説明する。ロータリ1は、図5の(a)のように、回転軸1aと、この回転軸1aの左端部側と右端部側にそれぞれ同心一体に取り付けた左右一対のディスク(円盤状側板)31L・31Rを有する。この左右のディスク31L・31Rの各内面側には、ディスク円周に沿って、前記4つの各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dの長手両端部を着脱可能に支持するための4つ装着部をほぼ90°間隔の割り付けで具備させてある。また、装置本体100Aのメインフレーム100Bの左右の対向側板間には駆動軸21が軸受部材(不図示)を介して回転自由に配設されている。この駆動軸21の左端部側と右端部側にはそれぞれ左右一対の懸垂アーム部材32L・32Rが回動可能に設けられている。そして、この左右の懸垂アーム部材32L・32R間に回転軸1aの左端部側と右端部側をそれぞれ回転可能に軸受けさせてロータリ1を支持させてある。このロータリ1の左右のディスク31L・31R間の所定の装着部位に対して、図2乃至図4、図5の(b)のように、前記4つの現像カートリッジ5a・5b・5c・5dが略円柱状に集合配置されて着脱可能に装着される。左右のディスク31L・31Rの外周囲はそれぞれロータリギアG2L・G2Rにされている。駆動軸21の左端部側と右端部側にはそれぞれ左右一対のドライブギアG1L・G1Rが固着されて配設されている。左側のドライブギアG1Lは左側のロータリギアG2Lと、右側のドライブギアG1Rは右側のロータリギアG2Rと、それぞれ噛合している。駆動軸21は制御回路部200で制御される駆動伝達機構Mにより回転駆動される。
【0046】
上記の構成において、駆動軸21が駆動伝達機構Mにより所定の方向に駆動されると、駆動軸21の回転力がドライブギアG1L・G1Rを介してロータリギアG2L・G2Rに伝達される。これにより、ロータリ1は回転軸1aを中心に正回転方向Cに回転される。制御回路部200は駆動伝達機構Mを制御してロータリ1を所定の角度をもって割り出し回転制御する。
【0047】
ロータリ1は駆動軸21に対して左右の懸垂アーム部材32L・32Rを介して吊り下げられて配設されているので、駆動軸21を中心に、矢印dの反時計方向と、それとは逆の矢印eの時計方向とに揺動可能である。ロータリ1の反時計方向dへの揺動はロータリ1がドラム2aに寄り移動する方向であり、反時計方向eへの揺動はロータリ1がドラム2aから離れ移動する方向である。そして、ロータリ1はバネ等の加圧手段(不図示)により駆動軸21を中心に矢印dの反時計方向に揺動付勢されている。この揺動付勢により、ロータリ1の割り出し回転で現像位置に移動された現像カートリッジの現像ローラ51がドラム2aに均一に当接する。即ち、現像ローラ51がドラム2aに所定の加圧力で当接した状態となる。
【0048】
なお、ロータリ1の左右のロータリギアG2L・G2Rに噛合う左右のドライブギアG1L・G1Rはロータリ1の揺動中心軸である駆動軸21に同心に設けられている。そのため、ロータリ1が揺動動作しても左右のロータリギアG2L・G2Rとの噛合は保たれる。
【0049】
前述したように、ロータリ1は、イエロー現像カートリッジ5a・マゼンタ現像カートリッジ5b・シアン現像カートリッジ5c・ブラック現像カートリッジ5dの4つの現像カートリッジをほぼ90°間隔で略円柱状の集合配置にて保持している。ロータリ1が各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dそれぞれを保持する構成は全て同様である。よって、本実施例でのロータリ1が現像カートリッジを保持する構成の説明は、イエロー現像カートリッジ5aで行うこととする。図2乃至図4を参照して、イエロー現像カートリッジ5aはロータリ1に装着されると、イエロー現像カートリッジ5aに設けられた被係止部16aが、ロータリ1に設けられた係止部17aと係合する。これにより、イエロー現像カートリッジ5aのロータリ1からの脱落が抑制されている。係止部17aはコイルバネ18a(図2・図13・図16〜図18)によりイエロー現像カートリッジ5aと係合する方向(矢印D方向)に付勢されている。マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dには、それぞれ被係止部16b、16c、16dが設けられている。そして、それらの被係止部16b、16c、16dがそれぞれロータリ1に設けられた係止部17b、17c、17dと係合する。これにより、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dの各現像カートリッジのロータリ1からの脱落が抑制されている。
【0050】
(現像カートリッジの構成)
イエロー現像カートリッジ5a・マゼンタ現像カートリッジ5b・シアン現像カートリッジ5c・ブラック現像カートリッジ5dはそれぞれ収容させているトナーの色が異なるだけで、構成は全て同様である。
【0051】
現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを出荷・輸送する際は現像ローラ51の表面傷及び画像不良を引き起こす影響を防ぐことが望ましい。そこで、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを出荷・輸送する際は、現像ローラ51を保護するためのカバー部材が取り付けられている。図6はカバー部材62が取り付けられている状態の現像カートリッジの斜視図、図7の(a)と(b)はそれぞれ図6の現像カートリッジの長手方向の一端部側と他端部側の拡大図である。図8は図6の現像カートリッジの長手方向中央部における拡大横断面模式図である。図9はカバー部材62が外された状態の現像カートリッジとカバー部材62の斜視図である。図10はトナーシールを開封し、かつカバー部材62が外された状態の現像カートリッジの拡大横断面模式図である。
【0052】
図8を参照して、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、現像容器55を有する。現像容器55はトナー収容室56と、現像ローラ51やトナー供給ローラ52を有する現像室57に分離され、両者はトナー供給開口58により上下に分けられている。現像ローラ51とトナー供給ローラ52はカートリッジ枠体64に回転自在に支持されている。現像カートリッジ5a・5b・5c・5dがユーザの手元に届くまでの未使用状態においては、トナー供給開口58には、トナー収容室56と現像室57を分離するためのフィルム状のトナーシール59が熱溶着などの方法により現像容器55に固定されている。また、現像ローラ51を保護するためのカバー部材62が取り付けられている。
【0053】
ユーザは、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを使用する前にトナーシール59を所定の要領にて取り除く(トナーシールの開封)。トナーシール59の開封により、トナー収容室56内のトナー63は現像室57内に入る。現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、トナーシール59が開封され、かつカバー部材62が取り外されている状態でロータリ1の所定の装着部位に装着される。現像カートリッジはロータリ1の回転により現像位置に移動され、かつ位置決めされた状態において、トナー収容室56内のトナー63がトナー供給開口58から現像室57内に自由落下する。また、その現像カートリッジは装置本体100A側から駆動力の伝達と現像バイアスの印加を受ける。これにより、トナー供給ローラ52は図10の矢印E方向に回転することによって現像ローラ51にトナー63を供給する。現像ローラ51は弾性ゴムローラで構成され、矢印F方向に回転し、現像ローラ51上のトナー63は現像ブレード53によって一定の厚みに規制され、現像位置でドラム2aに対して供給される。現像バイアスは現像ローラ51に対して印加される。これによりドラム2aの静電潜像がトナー像として現像される。現像後に現像ローラ51上に残されたトナー63はトナー供給ローラ52によって除去される。その後、再びトナー供給ローラ52によって現像ローラ51にトナー63が供給される。
【0054】
図9に示すように、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、カートリッジ枠体64から露出し、現像ローラ51の一部である露出部51eを有している。これがドラム2aと当接する。また、後述するように、画像形成装置は、ロータリ1に現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装着した状態で出荷される(装着同梱)。
【0055】
そのため、ユーザが画像形成装置を使用する際には、初期設置時にロータリ1に装着されている現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを取り出し、トナーシール59を除去する。この動作において、現像ローラ51の露出部51eを確実に保護するために、カバー部材62が必要となる。カバー部材62は現像ローラ51の軸線方向に取り外し可能で、カートリッジ枠体64に装着されている。初期設置時には、ロータリ1に装着されている現像カートリッジを取り出し、現像カートリッジからトナーシール59を除去した後に、カバー部材62を現像カートリッジから取り外し、再びロータリ1へ装着するという動作が必要になる。
【0056】
現像カートリッジ5a・5b・5c・5dには現像ローラ51の軸線方向の一端部にカートリッジ枠体64の一部を構成するサイド部材60が設けられている。同様にして、他端部にはサイド部材61が設けられている。カバー部材62には第一の係止部62e、第二の係止部62f、第三の係止部62g、第四の係止部62hが設けられている。一方、サイド部材60には、第一の被係止部60a、第二の被係止部60bが設けられている。また、サイド部材61には、第三の被係止部61a、第四の被係止部61bが設けられている。
【0057】
ここで、図6に示すように、現像ローラ51の軸線方向である図中矢印M方向にカバー部材62を移動させると、第一の係止部62eと第一の被係止部60aが、第二の係止部62fと第二の被係止部60bが係止される。同様にして、第三の係止部62gと第三の被係止部61aが、第四の係止部62hと第四の被係止部61bが係止される。これにより、カバー部材62が現像カートリッジに装着される。一方、カバー部材62を図中矢印N方向に移動させると、各係止部の係止が解除され、カバー部材62が現像カートリッジから取り外される。
【0058】
ここでは被係止部がサイド部材に設けられているものとして説明したが、現像カートリッジを構成するカートリッジ枠体のいずれかの部位に被係止部がある構成でも良い。また、被係止部と係止部を現像ローラ51の軸線方向両端部に2箇所ずつの構成としたが、その限りではなく、現像カートリッジに対して確実にカバー部材が係止できる構成であれば良い。
【0059】
(現像カートリッジ交換方式)
各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、収容されているトナー63が消費される。そこで、例えば、個々の現像カートリッジ内のトナー63の残量を検知する検知手段(不図示)を現像カートリッジに設ける。そして、制御回路部200において、前記検知手段によって検知した残量値を、予め設定した現像カートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。制御回路部200は、前記残量値が閾値よりも少ない残量値までトナー63が減少した現像カートリッジについて、操作部400の表示部400aにその現像カートリッジについての寿命予告或いは寿命警告を表示させる。これによりユーザに、交換用の現像カートリッジの準備を促す、或いは、現像カートリッジの交換を促して、ユーザの利便性を向上している。
【0060】
装置本体100Aの上面に設けられている着脱カバー13を図11・図12のようにヒンジ軸13aを中心に開くと、装置本体100Aの上面に設けた開口部Pが大きく開放される。図13は図12の部分的な拡大図である。この開口部Pは、ロータリ1に対して現像カートリッジの着脱を行うための開口部である。即ち、ユーザが、現像カートリッジをロータリ1の装着部に装着する、或いは、現像カートリッジをロータリ1の装着部から取り出す際に現像カートリッジを把持してこの開口部Pを通過させる。開口部Pは排紙部12よりも手前側に設ける。着脱カバー13はヒンジ軸13aを中心に開口部Pを閉鎖する閉じ状態と開放する開状態とを取り得る。着脱カバー13は常時は閉じられており、現像カートリッジを着脱するときにユーザによって開かれる。着脱カバー13を開くと、開口部Pが開放される。そして、この開口部Pから装置本体内のロータリ1へ通じる現像カートリッジ着脱通路部37が視認できる。通路部37は開口部Pとロータリ1との間に配設された、凹弧面状にカーブしている着脱ガイド14を有する。通路部37はドラム2aよりも上側に配置されている。
【0061】
着脱カバー13の裏面側にはカバー幅方向の左側と右側に突起部13cL・13cRが設けられている。また、ロータリ駆動軸21の左側と右側には係合解除回転部材20L・20Rが揺動可能に配設されている。着脱カバー13が閉じられているときは、係合解除回転部材20L・20Rは突起部13cL・13cRにより押圧されて、軸21を中心に付勢バネ(不図示)に抗して、ロータリ1に対して現像カートリッジ係合位置に回動されている。図13の2点鎖線は現像カートリッジ係合位置に回動されている係合解除回転部材20L・20Rを示している。そして、着脱カバー13が開かれているときは、係合解除回転部材20L・20Rは突起部13cL・13cRによる押圧が解除されて、軸21を中心に付勢バネの付勢力により、ロータリ1に対して現像カートリッジ係合解除位置に回動されている。図13の実線は現像カートリッジ係合解除位置に回動されている係合解除回転部材20L・20Rを示している。
【0062】
ロータリ1は、画像形成動作中以外は、現像カートリッジの現像ローラ51がドラム2aに対して離れる位相まで回転軸1aを中心に回転した位置で停止して待機している。本実施例では、図2のように、イエロー現像カートリッジ5aが正面向き(図2において右向き)の位置にある回転角度をホームポジション角度位置として回転を停止した状態に保持されている。このロータリ1のホームポジション角度位置は、イエロー現像カートリッジ5aの現像位置からロータリ正回転方向に対して45°上流の位置である。このロータリ1のホームポジション角度位置は各現像カートリッジについてロータリ1に対して着脱可能な着脱位置でもある。
【0063】
図2の画像形成装置100の待機状態時において、図11・図12のように、装置本体1Aの着脱カバー13を、ヒンジ部13aを中心に開く。これにより、ユーザが、装置本体上面の開口部Pから装置本体100A内に手をいれて、ロータリ1に保持されて着脱位置に位置している現像カートリッジに対してアクセス可能となる。
【0064】
着脱カバー13が開かれることによって、前述したように、係合解除回転部材20L・20Rが現像カートリッジ係合解除位置に揺動する。即ち、着脱カバー13が開かれることによって係合解除回転部材20L・20Rが、図13のように、付勢バネの付勢力によって矢印Iの方向に軸21を中心に回動する。そして、係合解除回転部材20L・20Rに設けられた突起部20aが、着脱位置に位置しているイエロー現像カートリッジ5aの係止解除スライド部材19aを矢印Jの方向に押圧する。このため、係止部17aがコイルバネ18aの付勢力に抗して矢印Gの方向に移動して、被係止部16aと係止部17aの係止が解除される。これにより、着脱位置にあるイエロー現像カートリッジ5aのみロータリ1の装着部との係合が解除される。
【0065】
そこで、ユーザは、イエロー現像カートリッジ5aを新旧交換するのであれば、開口部Pから通路部37に手を入れて、着脱位置においてロータリ1との係合が解除されているイエロー現像カートリッジ5aの把手54を把持する。そして、イエロー現像カートリッジ5aを着脱ガイド14に沿わせて持ち上げて通路部37を通して開口部Pから装置本体100Aの外に取り出す。Kは現像カートリッジの取り出し方向を示している。
【0066】
次に、トナーシール59を開封し、かつカバー部材62を取り外した新品のイエロー現像カートリッジ5aをその把手54を把持して開口部Pから通路部37内に挿入し、着脱ガイド14に沿わせてロータリ1側に移動させる。そして、着脱位置に位置している、ロータリ1のイエロー現像カートリッジ装着部にイエロー現像カートリッジ5aを挿入装着する。Lは現像カートリッジの挿入装着方向を示している。そして、着脱カバー13を閉じ込む。着脱カバー13が閉じられることによって、前述したように、係合解除回転部材20L・20Rが現像カートリッジ係合位置に揺動する。即ち、着脱カバー13が閉じられることによって係合解除回転部材20L・20Rは突起部13cL・13cRにより押圧されて、付勢バネの付勢力に抗して、図13の矢印Iの方向とは逆方向に軸21を中心に回動する。そして、係合解除回転部材20L・20Rに設けられた突起部20aが、着脱位置に位置しているイエロー現像カートリッジ5aの係止解除スライド部材19aから矢印Jの方向とは逆方向に逃げ移動する。このため、係止部17aがコイルバネ18aの付勢力により矢印Gの方向とは逆方向に移動して、被係止部16aと係止部17aとが係合する。これにより、着脱位置にあるイエロー現像カートリッジ5aがロータリ1との係合がなされる。
【0067】
イエロー現像カートリッジ5aの着脱は、上述した待機状態で行われる。その他の、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dも同様に、現像位置からロータリ正回転方向Cに対して45°上流の位置、即ち着脱位置で着脱可能となる。即ち、着脱カバー13を開き、ロータリ1を直接手動で正回転方向Cに回転させて或いは駆動伝達機構Mを用いて正回転方向Cに回転させて、新旧交換すべき現像カートリッジについて、その現像カートリッジを着脱位置に位置させる。着脱位置に位置した現像カートリッジは、着脱カバー13が開かれていることで現像カートリッジ係合解除位置に揺動している係合解除回転部材20L・20Rによりロータリ1との係合が解除される。即ち、現像カートリッジ係合解除位置に揺動している係合解除回転部材20L・20Rにより、着脱位置に位置させた現像カートリッジに対する係止部がその現像カートリッジの被係止部と係合しない位置まで移動することにより、ロータリ1との係合が解除される。したがって、その現像カートリッジについて、前述したイエロー現像カートリッジ5aの場合と同様の要領にて新旧交換操作を行うことができる。
【0068】
新旧交換すべき現像カートリッジを着脱位置に移動させるためにロータリ1を正回転方向Cに回転操作するときのロータリ回転力に対して、係合解除回転部材20L・20Rの付勢バネによる現像カートリッジ係合解除位置への回動力は弱い。そのため、現像カートリッジの係止解除スライド部材19aを押圧している係合解除回転部材20L・20Rは回転するロータリ1によって現像カートリッジ係合解除位置とは逆方向に回動されて、次の現像カートリッジの外面に乗り上がる。これにより、そのとき着脱位置にある現像カートリッジをロータリに係止するための係止解除スライド部材の押圧が解除される。よってロータリ1の回転によって、着脱位置から移動した現像カートリッジは、ロータリ1に対してロックされる。また、ロータリ1が更に回転して次の現像カートリッジが着脱位置に到達すると、係合解除回転部材20L・20Rが現像カートリッジ係合解除位置に回動する。これによって、係合解除回転部材20L・20Rが、次の現像カートリッジをロータリ1に係止している係止解除スライド部材を押圧する。これにより、その現像カートリッジがロータリ1から取り外し可能となる。更に次の現像カートリッジ、及び、更に次の現像カートリッジの場合も上記と同様である。
【0069】
ここで、個々の現像カートリッジにはトナーの残量を検知する検知手段(不図示)が設けられている場合には、制御回路部200の制御によって、トナーが減少した現像カートリッジを着脱位置に移動させた状態でロータリ1を停止させることができる。また、制御回路部200の制御によって、表示部400aに寿命予告或いは寿命警告を表示させることができる。これにより、ユーザは着脱カバー13を開くことで、交換すべき現像カートリッジにすぐにアクセスすることができる。
【0070】
(装着同梱)
図14は、装着同梱状態の画像形成装置を示す概略断面図である。ここで、装着同梱とは、画像形成装置100を出荷する際に、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装置本体100A内に装着した状態で出荷する形態を言う。本実施例では、ロータリ1に4色の現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装着して出荷する形態を言う。
【0071】
装着同梱状態においては、図14のように、各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dはそれぞれカバー部材62(62a・62b・62c・62d)が取り付けられている状態でロータリ1に装着されている。
【0072】
従って、ユーザは装着同梱状態の画像形成装置については、画像形成可能な状態に初期設置する必要がある。即ち、カバー部材62が取り付けられている状態でロータリ1に装着される現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装置本体100Aから一旦取り出す。この現像カートリッジの取り出しは、前述した現像カートリッジ交換方式における、新旧交換すべき現像カートリッジの取り出しと同じ要領にてなされる。そして、その取り出した現像カートリッジのトナーシール59を開封し、更に現像カバー部材62を取り外す。その現像カートリッジを再びロータリ1の所定の装着部に装着する。この現像カートリッジの装着は、前述した現像カートリッジ交換方式における、新旧交換すべき現像カートリッジの装着と同じ要領にてなされる。
【0073】
本実施例においては、図14の装着同梱状態の画像形成装置100において、イエロー現像カートリッジ5aが着脱位置に位置している。図15は図14の状態から着脱カバー13が開かれた状態を示す断面図である。図16は図15の部分的拡大図である。着脱カバー13の開放によって、前述したように、着脱位置にあるイエロー現像カートリッジ5aがロータリ1との係合が解除されて取り出し可能な状態になる。
【0074】
ユーザが開口部Pからイエロー現像カートリッジ5aを見ると、装着方向Lに対して現像ローラ51aの上流側にカバー部材62aが見える。そのため、着脱位置においてユーザがイエロー現像カートリッジ5aの取り出しをせずに、カバー部材62aのみを外してしまう懸念がある。
【0075】
このように、装置本体100A内で、カバー部材62aが取り外された場合、イエロー現像カートリッジ5aを、装置本体100から取り出し、トナーシール59を取り外す動作を、ユーザが行う場合、カバー部材62aが無い。そのため、ユーザが現像ローラ51aに触れる可能性がある。
【0076】
これを防止する構成を、イエロー現像カートリッジ5aが装置本体100に装着された状態を示す正面図である図17により詳細に説明する。ロータリ1の一部であるディスク31Lにはカバー部材62aの取り外し方向である図中矢印N方向に相対する位置にディスク31Lの一部として規制部1dが設けられている。ここで、図17においてカバー部材62aが規制部1dに当接するまで移動できる距離Qよりも、図9に示すようにカバー部材62とサイド部材60、61との係止量R、S、T、Uの方が大きい。そのため、着脱位置ではカバー部材62aを図中矢印N方向に移動させようとしても、規制部1dに移動を規制されて移動することができず、取り外すことはできない。これにより、ユーザは現像カートリッジの着脱位置ではカバー部材62aを外すことができず、現像ローラ51aに触れてしまうことを防止できる。
【0077】
また、ユーザがイエロー現像カートリッジ5aを取り外す際に、把手54を把持して取り外し動作を行う。その際、ユーザがカバー部材62aに触れることがあっても、カバー部材62aの取り外し方向が図中矢印N方向のみであるため、ロータリ1の半径方向にカバー部材62aが外れてしまうことはない。さらに前述したように、図中矢印N方向には規制部1dにより移動を規制されているため外れない。よって、ユーザが把手54を把持してもカバー部材62aが外れてしまうことはなく、現像ローラ51aに触れてしまうことを防止できる。さらに、装置本体100Aの輸送時の振動やロータリ1の回転時における遠心力によってもカバー部材62aが外れることはない。
【0078】
ここで、本実施例では規制部1dをディスク31Lの一部に設けたが、その限りではなく、ディスク31L以外の装置本体100を構成する一部に設けても良い。
【0079】
図19のように、よりユーザが把手54を把持し、図中矢印K方向に移動させることで、イエロー現像カートリッジ5aを装置本体100から取り外すことができる。ここで、矢印K方向は、現像ローラ51aの軸線と直交(交差)する方向である。この取り外したイエロー現像カートリッジ5aについて、ユーザはまず図8に示したトナーシール59を除去する。そして、カバー部材62aを取り外す。そして、そのイエロー現像カートリッジ5aを装置本体100に挿入してロータリ1に装着する。
【0080】
この動作を実現する構成を図6・図18により詳細に説明する。イエロー現像カートリッジ5aを取り外したことで、カバー部材62aを図中矢印N方向に移動可能となる。まず、カバー部材62aを外す前に、まず、イエロー現像カートリッジ5aから図8に示したトナーシール59を除去する。そして、カバー部材62aを図6・図18の図中矢印N方向に移動して取り外す。カバー部材62aが外されたイエロー現像カートリッジ5aは把手54を把持し、図20に示す矢印L方向に移動させることで再びロータリ1に装着される。ここで、矢印L方向は、現像ローラ51aの軸線と直交(交差)する方向である。
【0081】
以上の操作を各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dで順に繰り返すことで装置本体100の初期設置が完了する。
【0082】
上記の実施例の画像形成装置の構成をまとめると次のとおりである。現像カートリッジ5は、少なくとも、現像剤担持体である現像ローラ51と、現像ローラ51を保持する枠体64と、現像ローラ51の枠体64から露出している露出部51eを覆うカバー部材62を有する。カバー部材62は枠体64に対して現像ローラ51の軸線方向に取り外し可能である。この現像カートリッジ5は、画像形成装置100の装置本体100Aに対して、装置本体100Aに設けられた開口部Pから現像ローラ51の軸線方向に直交する方向(交差する方向)に着脱自在である。カバー部材62は現像カートリッジ5の装置本体100Aに対する装着方向Lに対し現像ローラ51の上流側に配設されている。そして、装置本体100Aは、カバー部材62が取り付けられている現像カートリッジ5が装置本体100Aに装着されている状態において、カバー部材62の現像ローラ51の軸線方向への移動を規制する規制部1dを有する。現像カートリッジ5は把手部54を有する。
【0083】
また、上記の実施例の現像カートリッジ5の構成をまとめると次のとおりである。少なくとも、現像剤担持体である現像ローラ51と、現像ローラ51を保持する枠体64を有し、画像形成装置100の装置本体100Aに対して、現像ローラ51の軸線方向に直交する方向に着脱自在である。そして、この現像カートリッジ5は、現像ローラ51の枠体64から露出している露出部51eを覆い枠体64に対して現像ローラ51の軸線方向に取り外し可能なカバー部材62と、カバー部材62より露出して設けられた把手部54と、を有する。カバー部材62は、装置本体100Aに対する現像カートリッジ5の装着方向Lに対して現像ローラ51の上流側に配設されている。カバー部材62は、現像カートリッジ5が装置本体100Aに装着されている状態において、現像ローラ51の軸線方向への移動を装置本体100Aに設けられている規制部1dにより規制される。
【0084】
上記の画像形成装置及び現像カートリッジによれば、画像形成装置の初期設置時にカバー部材62の外れを防止し、現像ローラ51の確実な保護を実現できる。また、把手部54を把持する動作によりカバー部材62の外れを防止し、現像ローラ51の確実な保護を実現できる。
【0085】
以上説明したように、カバー部材62の脱落を防止し、着脱位置ではカバー部材62を外すことができず、確実に現像ローラ51の保護を実現できる。
【0086】
また、現像カートリッジのトナーが無くなったことによる交換の際には、まず、ユーザは新しい現像カートリッジのカバー部材62から露出した把手54を把持する。その際、前述したようにカバー部材62の取り外し方向が図中矢印N方向のみであるため、把手54の把持動作によりカバー部材62が外れてしまうことはない。その後、トナーシールを除去し、図6に示すようにカバー部材62を図中矢印N方向に移動させて取り外す。そこで、図20に示すように、把手54を把持し、着脱カバー13が開放された装置本体100Aに対して、図中矢印L方向に移動させることで装着される。
【0087】
以上説明したように、ユーザが把手の把持動作を行う際に、カバー部材の外れを防止し、現像ローラの確実な保護を実現した現像カートリッジを提供できる。
【0088】
また、現像カートリッジとして本実施例で説明した限りではなく、少なくとも感光体ドラムの潜像を現像する現像ローラを有していれば良い。
【0089】
以上、電子写真画像形成装置を例にして説明したが、本発明は、静電記録画像形成装置や磁気記録画像形成装置にも適用して同様の効果が得られることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例の画像形成装置の外観斜視図
【図2】図1の画像形成装置の縦断左側面図(待機状態時)
【図3】イエロー現像カートリッジが現像動作中の画像形成装置の縦断左側面図
【図4】ブラック現像カートリッジが現像動作中の画像形成装置の縦断左側面図
【図5】ロータリの構成説明図
【図6】カバー部材が取り付けられている状態の現像カートリッジの斜視図
【図7】(a)と(b)はそれぞれ図6の現像カートリッジの長手方向の一端部側と他端部側の拡大図
【図8】図6の現像カートリッジの長手方向中央部における拡大横断面模式図
【図9】カバー部材が外された状態の現像カートリッジとカバー部材の斜視図
【図10】トナーシールを開封し、かつカバー部材が外された状態の現像カートリッジの拡大横断面模式図
【図11】着脱カバーが開かれている状態の画像形成装置の外観斜視図
【図12】着脱カバーが開かれている状態の画像形成装置の縦断左側面図
【図13】図12の部分的な拡大図
【図14】装着同梱状態の画像形成装置の縦断左側面図
【図15】装着同梱状態の画像形成装置において着脱カバーが開かれている状態の縦断左側面図
【図16】図15の部分的な拡大図
【図17】イエロー現像カートリッジが装置本体に装着された状態を示す正面図
【図18】イエロー現像カートリッジが装置本体から取り外されて、カバー部材が移動可能となり、カバー部材が移動されている途中図
【図19】図15・図16の状態からイエロー現像カートリッジが取り外されている状態を示した図
【図20】トナーシールを開封して、かつカバー部材を取り外したイエロー現像カートリッジを再装着している状態を示した図
【符号の説明】
【0091】
100・・画像形成装置、100A・・装置本体、1・・ロータリ、2a・・像担持体、5a・5b・5c・5d・・現像カートリッジ、51・・現像剤担持体、22・23・・係止部材、90・・カバー部材、91・92・・係合部、96・・外周面
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像カートリッジ方式の画像形成装置及び現像カートリッジに関するものである。
【0002】
本発明において、画像形成装置には、電子写真画像形成装置、静電記録画像形成装置、磁気記録画像形成装置などが含まれる。
【0003】
電子写真画像形成装置は、像担持体として電子写真感光体を用い、これに電子写真画像形成プロセスを適用して静電潜像を形成し、記録媒体に画像を形成するものである。例えば、電子写真複写機、電子写真プリンター(LEDプリンター、レーザービームプリンターなど)、電子写真ファクシミリ装置、及び、電子写真ワードプロセッサーなどが含まれる。
【0004】
静電記録画像形成装置は、像担持体として静電記録誘電体を用い、これに静電記録画像形成プロセスを適用して静電潜像を形成し、記録媒体に画像を形成するものである。また、磁気記録画像形成装置は、像担持体として磁気記録磁性体を用い、これに磁気記録画像形成プロセスを適用して磁気潜像を形成し、記録媒体に画像を形成するものである。
【0005】
また、現像カートリッジとは、少なくとも、像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤担持体(現像部材)をカートリッジ化し、画像像形成装置の装置本体に対して着脱可能にしたものである。装置本体とは、現像カートリッジ以外の画像形成装置部分である。
【背景技術】
【0006】
以下、便宜上、電子写真画像形成装置を例にして説明する。電子写真画像形成装置においては、像担持体である感光体ドラム上の静電潜像を現像するための現像剤担持体及び現像剤を収納する現像剤収納部を一体にまとめてカートリッジ化する。そして、この現像カートリッジを電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能とするカートリッジ方式が採用されている。
【0007】
このカートリッジ方式により操作性が一層向上され、電子写真画像形成装置のメンテナンスをユーザ(使用者)自身が容易に行うことが可能となった。そこで、このカートリッジ方式は電子写真画像形成装置において広く用いられている。
【0008】
一方、カラー電子写真画像形成装置においては、各々異なった色の現像剤を収納している4個の現像カートリッジを取り外し可能に装着する構成が知られている。
【0009】
また、近年、電子写真画像形成装置の装置本体の初期設置時の操作性を向上させるために、現像カートリッジを装置本体に装着した状態で梱包、輸送することが一般的となっている(装着同梱)。この際、各現像カートリッジには、現像剤担持体を保護するためのカバー部材が取り付けられている。現像剤担持体を確実に保護するためには、初期設置時にユーザが各現像カートリッジにアクセスして装置本体から取り出した後、カバー部材を取り外し、装置本体に戻すという動作を行う必要がある。これを実現した従来例として特許文献1の構成が知られている。
【特許文献1】特開2000―019839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来例では、装置本体の初期設置時にカバー部材の付いた現像カートリッジの装置本体からの取り外しに際し、装置本体の一側面からアクセス可能で、現像カートリッジは現像剤担持体の軸線方向一端部から取り出される構成となっている。また、カバー部材に関しては、現像カートリッジの取り外し方向と同一方向に取り外し可能である。
【0011】
本発明は上記の従来技術を更に発展させたものである。本発明の第一の目的は、現像カートリッジを現像剤担持体の軸線方向と直交する方向に着脱自在の画像形成装置本体の初期設置時にカバー部材の外れを防止する。これにより、現像剤担持体の確実な保護を実現した現像カートリッジ、及び画像形成装置を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の第二の目的は、前記現像剤担持体の軸線方向と直交する方向に把手部を有する現像カートリッジにおいて、把手部を把持する動作により、誤ってカバー部材を外してしまうことを防止する。これにより、現像剤担持体の確実な保護を実現した現像カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体と、前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、を有する現像カートリッジであって、前記画像形成装置の装置本体に対して、前記装置本体に設けられた開口部から前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在であり、前記現像カートリッジの前記装置本体に対する装着方向に対し前記現像剤担持体の上流側に前記カバー部材が配設されている現像カートリッジと、前記カバー部材の前記現像剤担持体の軸線方向への移動を規制する規制部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するための本発明に係る現像カートリッジの代表的な構成は、少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体を有し、画像形成装置の装置本体に対して、前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在な現像カートリッジであって、前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、前記枠体に設けられた、前記現像カートリッジを前記装置本体に対して前記直交する方向から着脱する際に把持する把手部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置及び現像カートリッジによれば、画像形成装置の初期設置時にカバー部材の外れを防止し、現像剤担持体の確実な保護を実現できる。また、把手部を把持する動作によりカバー部材の外れを防止し、現像剤担持体の確実な保護を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施例1]
(画像形成装置の全体構成)
図1は本実施例の画像形成装置100の外観斜視図である。図2は画像形成装置100の縦断左側面図である。
【0017】
以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側(正面側)とは記録媒体のカセット7を挿脱する側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、装置の後側から前側に向かう方向(前方向)、とその逆の方向(後方向)である。左右とは装置を正面から見て左又は右である。左右方向とは右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。また像担持体である電子写真感光体ドラム2aの長手方向(軸線方向)の一端側が駆動側であり、他端側が非駆動側である。また、装置本体100Aとは現像カートリッジ5(5a・5b・5c・5d)以外の画像形成装置部分である。
【0018】
本実施例の画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザービームプリンター(カラー電子写真画像形成装置)である。即ち、例えばパソコン・イメージリーダー・相手方ファクシミリ装置等のホスト装置300から制御回路部(制御手段:CPU)200に入力する電気的な画像信号に基づいて記録媒体(以下、記録材と記す)40に対する画像形成を実行する。記録材40は、例えば、シート状の記録用紙・OHPシート・ラベル等である。制御回路部200は、ホスト装置300や操作部400との間で各種の電気的情報の授受をするとともに、画像形成装置100の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。従って、以下に説明する画像形成動作は制御回路部200によって制御されるものである。
【0019】
画像形成装置100の内部には、回転可能な像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)2aが配設されている。ドラム2aは駆動機構(不図示)により破線矢印Bの反時計方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。ドラム2aの周囲には、ドラム2aに作用するプロセス手段が配設されている。本実施例においては、ドラム2aを一様に帯電するための帯電手段2bと、ドラム2aの一様帯電処理面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段15と、静電潜像を現像剤(以下、トナーと記す)により顕像化する現像手段50が配置されている。また、ドラム2a上の1次転写残留トナーを除去するためのドラムクリーニング手段2cが配置されている。
【0020】
本実施例においては、帯電手段2bは接触帯電ローラである。露光手段15はレーザースキャナーユニットである。
【0021】
現像手段50は、複数の現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを支持して回転して各現像カートリッジを順次に現像位置へ移動するためのロータリ(回転体)1を有するロータリ方式の現像装置である。本実施例においては、ドラム2a上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像して顕像化する、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色4つの現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを有している。イエロー現像カートリッジ5aにはイエロー(Y)色のトナーが収容されている。マゼンタ現像カートリッジ5bにはマゼンタ(M)色のトナーが収容されている。シアン現像カートリッジ5cにはシアン(C)色のトナーが収容されている。ブラック現像カートリッジ5dにはブラック(Bk)色のトナーが収容されている。ロータリ1は、回転軸(中心支軸)1aを中心に回転可能である。そして、図5のように駆動伝達機構(ロータリ電動駆動機構)Mにより駆動される駆動軸21の回転力がドライブギアギアG1(GIL・GIR)を介してロータリギアG2(G2L・G2R)に伝達される。これにより、ロータリ1は回転軸1aを中心に破線矢印Cの時計方向に回転される。このロータリ1の時計方向Cの回転を正回転方向(画像形成時に回転する方向)とする。制御回路部200は駆動伝達機構Mを制御してロータリ1を所定の角度をもって割り出し回転制御する。
【0022】
ドラムクリーニング手段2cは、ドラム2aに作用して転写残トナー(転写残現像剤)を清掃するクリーニング部材としてクリーニングブレードを用いたブレードクリーニング手段である。ブレード2cによりドラム2a面から除去されたトナーはクリーニング容器2d内に収納される。
【0023】
本実施例においては、ドラム2aと、帯電手段2bと、ドラムクリーニング手段2c・2dと、を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置100の装置本体100Aの所定の装着部に対して所定の要領にて着脱可能なドラムカートリッジ2としている。ドラム2aと、帯電手段2bと、ドラムクリーニング手段2c・2dは、各々が独立した構成でも良いし、一体化された構成でも良い。
【0024】
ドラムカートリッジ2と現像手段50との下方には転写手段としての中間転写体ユニット3Aが配設されている。このユニット3Aは、中間転写体としての、誘電体製で可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)3を有する。そして、このベルト3を懸回張設している、2次転写対向ローラ3a、1次転写ローラ4、ベルト駆動ローラ3b、テンションローラ3cを有する。1次転写ローラ4はドラム2aに対してベルト3を挟んで当接している。ドラム2aとベルト3との接触部が1次転写ニップ部T1である。ベルト3はベルト駆動ローラ3bが駆動されることで、破線矢印Aの時計方向にドラム2aの回転速度に対応した速度で循環移動する。
【0025】
2次転写対向ローラ3aのベルト懸回部には2次転写ローラ6が配設されている。この2次転写ローラ6は移動機構(不図示)によりベルト3を挟んで2次転写対向ローラ3aに当接した破線示の作用位置と、ベルト3から離間した実線示の非作用位置とに位置移動される。常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。2次転写ローラ6が作用位置に移動された状態において、2次転写ローラ6とベルト3との接触部が2次転写ニップ部T2である。
【0026】
また、2次転写対向ローラ6のベルト懸回部において、2次転写ローラ6よりもベルト移動方向下流側にはベルトクリーニング手段としてのベルトクリーナ10が配設されている。このベルトクリーナ10はベルト3の表面から2次転写残トナーを除去する手段である。このベルトクリーナ10は、移動機構(不図示)によりクリーニング部材がベルト3の表面に接触した破線示の作用位置と、クリーニング部材がベルト3から離間した実線示の非作用位置とに位置移動される。常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。
【0027】
中間転写体ユニット3Aの下方には、記録材給送ユニット7Aが配設されている。このユニット7Aは、記録材40を積載収容させた給紙カセット7、給紙ローラ8、分離パッド8aを有する。給紙カセット7は画像形成装置100の正面側から出し入れ自由である(フロントローデイング)。7aはカセット7の前面に設けた把手部である。
【0028】
装置本体100A内の後側には記録材給送ユニット7Aの給紙ローラ8部分から上方に向う記録材搬送路(記録材を搬送する搬送手段)7bが配設されている。この記録材搬送路7bの下から上に沿って、レジストローラ対9、2次転写ローラ6、定着器11、排紙ローラ対7c、排出口7dが配設されている。定着器11は定着ローラ11aと加圧ローラ11bを有する。装置本体100Aの上面には排紙部(排紙トレイ)12が配設されている。また、装置本体の上面には、ヒンジ軸13aを中心にして開閉可能な着脱カバー(上面カバー)13が配設されている。13bはカバー13に配設した把手部である。カバー13は装置本体100Aに閉じ込まれている状態において排紙部12と一連に繋がって排紙部12の延長トレイとして機能する。画像形成済みの記録材40は排紙ローラ対7cから排出口7dを通っては排紙部12及びカバー13の上に排出される。
【0029】
フルカラー画像を形成する動作は次のとおりである。図2は画像形成装置の待機状態時を示している。ロータリ1はイエロー現像カートリッジ5aが正面向き(図1において右向き)の位置にある回転角度をホームポジション角度位置として回転を停止した状態に保持されている。この状態で、制御回路部200は画像形成スタート信号の入力待ちをしている。
【0030】
制御回路部200は、画像形成スタート信号が入力すると、メインモータ(不図示)を起動させてドラム2aの回転駆動を開始する。また、駆動伝達機構Mを駆動させて駆動軸21・ギアG1・ギアG2によりロータリ1を、回転軸1aを中心に図2のホームポジション角度位置から正回転方向Cに所定角度、本例においてはほぼ45°割り出し回転させて停止させる。このロータリ1の回転によりイエロー現像カートリッジ5aが、図3のように、ドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、イエロー現像カートリッジ5aの現像ローラ51aがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。
【0031】
本実施例において、各現像カートリッジのドラム2aに対する現像位置とは、トナーを担持してドラム2aにトナーを供給する現像剤担持体である現像ローラ51がドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となった位置である。現像位置では安定的に現像ローラ51をドラム2aに当接させるため、ロータリ1は駆動軸21を中心にドラム2aの方向に付勢される。これによって、現像位置に位置している現像カートリッジ5の現像ローラ51がドラム2aに所定の加圧力で当接する状態となる。即ち、後述するように、現像カートリッジを保持しているロータリ1は駆動軸21を中心として揺動可能である。そして、加圧手段(不図示)によってドラム2aの方向に揺動付勢され、現像位置にある現像カートリッジの現像ローラ51がドラム2aに所定の押圧力で当接する。駆動軸21とドライブギアG1は同軸である。なお、現像ローラ51のドラム2aに対する当接には、現像ローラ51の長手両端部に設けたスペーサコロ(不図示)がドラム2aの長手両端部に当接して現像ローラ51がドラム2aに対して所定の僅少な隙間を存して対向する態様も含む。
【0032】
図3のように現像位置に移動されたイエロー現像カートリッジ5aには装置本体100A側から駆動力と現像バイアスが印加される。レーザースキャナーユニット15も駆動される。ベルト3も回転駆動される。二次転写ローラ6とベルトクリーナ10は、それぞれ、ベルト3から離間した非作用位置に保持されている。帯電ローラ2bに所定の帯電バイアスが印加される。これにより回転しているドラム2aの表面が所定の極性・電位に均一に帯電される。レーザースキャナーユニット15からフルカラー画像のY色成分画像信号に対応して変調されたレーザー光が出力され、そのレーザー光によりドラム2aの帯電処理面が走査露光される。これにより、ドラム面にY色成分画像に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像がイエロー現像カートリッジ5aによりY色トナー像として現像される。本実施例においては、ドラム2aの帯電極性と同極性のネガトナーを用いて静電潜像を反転現像している。現像ローラ51aには、ドラム2aに形成された静電潜像にイエロートナーが付着するように、ドラム2aの帯電極性と同極性の電圧(現像バイアス)が印加される。そのY色トナー像が1次転写ニップ部T1においてベルト3の面に1次転写される。1次転写ローラ4には所定の制御タイミングでトナーの帯電極性とは逆極性で所定電位の1次転写バイアスが印加される。1次転写後のドラム2a面はクリーニングブレード2cによりクリーニングされる。
【0033】
Y色トナー像のベルト3に対する1次転写が終了すると、制御回路部200は駆動伝達機構Mを駆動させてロータリ1を正回転方向Cに所定角度、本例においてはほぼ90°割り出し回転させて停止させる。これにより、今度はマゼンタ現像カートリッジ5bがドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、マゼンタ現像カートリッジ5bの現像ローラ51bがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。そして、ドラム2aに対してフルカラー画像のM色成分画像に対応したM色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのM色トナー像が1次転写ニップ部T1において、ベルト3上にすでに転写されているY色トナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。
【0034】
M色トナー像のベルト3に対する1次転写が終了すると、制御回路部200は駆動伝達機構Mを駆動させてロータリ1を正回転方向Cに所定角度、本例においては更にほぼ90°割り出し回転させて停止させる。これにより、今度はシアン現像カートリッジ5cがドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、シアン現像カートリッジ5cの現像ローラ51cがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。そして、ドラム2aに対してフルカラー画像のC色成分画像に対応したC色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのC色トナー像が1次転写ニップ部T1において、ベルト3上にすでに転写されているY色+M色のトナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて1次転写される。
【0035】
C色トナー像のベルト3に対する1次転写が終了すると、制御回路部200は駆動伝達機構Mを駆動させてロータリ1を正回転方向Cに所定角度、本例においては更にほぼ90°割り出し回転させて停止させる。これにより、今度はブラック現像カートリッジ5dがドラム2aに対する現像位置に移動して位置決めされる。即ち、ブラック現像カートリッジ5dの現像ローラ51dがドラム2aに対して所定に対向して当接した状態となる。そして、ドラム2aに対してフルカラー画像のBk色成分画像に対応したBk色トナー像を形成する帯電・露光・現像の工程が実行される。そのBk色トナー像が一次転写部位T1において、ベルト3上にすでに転写されているY色+M色+C色のトナー像に所定の位置合わせ状態にて重畳されて一次転写される。
【0036】
このようにして、ベルト3上にはY色+M色+C色+Bk色の4色フルカラーの未定着トナー像が合成形成される。
【0037】
なお、ドラム2aに対して順次に形成する色トナー像の色順は本実施例のようなY色→M色→C色→Bk色の色順に限られるものではなく、適宜の色順で行うことができる。
【0038】
ベルト3上に形成された4色フルカラーの未定着トナー像の画像先端部がベルト3の移動により二次転写ローラ6の位置に到達する前に二次転写ローラ6がベルト3に接触した作用位置に移動される。また、ベルトクリーナ10もベルト3に対する作用位置に移動される。図4はこの状態時を示している。図4においてはブラック現像カートリッジ5dがドラム2aに対する現像位置に位置している。
【0039】
一方、所定の制御タイミングで給紙ローラ8が駆動される。これにより、該ローラ8と分離パッド8aとの協働で、給紙カセット7内に積載収納されている記録材40が一枚分離されて給送される。その記録材40はレジストローラ対9によって所定の制御タイミングにて2次転写ローラ6とベルト3との接触部である2次転写ニップ部T2に導入される。2次転写ローラ6にはトナーの帯電極性とは逆極性で所定電位の2次転写バイアスが印加される。これにより、記録材40が2次転写ニップ部T2を挟持搬送されていく過程で、ベルト3上の4色重畳のトナー像が記録材40の面に順次に一括2次転写される。
【0040】
記録材40はベルト3の面から分離されて定着器11へ導入され、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色トナー像の記録材40への定着(溶融混色)がなされる。そして、記録材40は定着器11を出て、フルカラー画像形成物として排紙ローラ対7cから排出口7dを通っては排紙部12及びカバー13の上に排出される。
【0041】
記録材分離後のベルト3の表面に残留した2次転写残トナーはベルトクリーナ10によって除去される。
【0042】
即ち、互いに現像色を異にする複数の現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを支持させたロータリ1を割り出し回転させて一つの現像カートリッジをドラム2aに所定に対向させた現像位置に移動させる。そして、その現像カートリッジによってドラム2aに形成された静電潜像をトナー像(現像剤像)として現像する。この動作を複数の現像カートリッジについて順次に切り換え的に実行させ、中間転写体3を介して記録材40に対するカラー画像の形成を実行するのである。
【0043】
制御回路部200は1枚或いは連続複数枚の画像形成ジョブが終了したら、画像形成装置100を図2の待機状態に戻して次の画像形成スタート信号の入力を待つ。即ち、ドラム2a、レーザースキャナーユニット15、ベルト3等の駆動を停止する。2次転写ローラ6とベルトクリーナ10を非作用位置に移動する。ロータリ1を図2のホームポジション角度位置に戻し回転して待機状態にする。
【0044】
モノクロ画像形成モードの場合は、ブラック現像カートリッジ5dによる画像形成だけが行われる。制御回路部200は1枚或いは連続複数枚のモノクロ画像形成ジョブが終了したら、画像形成装置100を図2の待機状態に戻して、次の画像形成スタート信号の入力を待つ。
【0045】
(ロータリ)
本実施例におけるロータリ1の構成を図5により説明する。ロータリ1は、図5の(a)のように、回転軸1aと、この回転軸1aの左端部側と右端部側にそれぞれ同心一体に取り付けた左右一対のディスク(円盤状側板)31L・31Rを有する。この左右のディスク31L・31Rの各内面側には、ディスク円周に沿って、前記4つの各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dの長手両端部を着脱可能に支持するための4つ装着部をほぼ90°間隔の割り付けで具備させてある。また、装置本体100Aのメインフレーム100Bの左右の対向側板間には駆動軸21が軸受部材(不図示)を介して回転自由に配設されている。この駆動軸21の左端部側と右端部側にはそれぞれ左右一対の懸垂アーム部材32L・32Rが回動可能に設けられている。そして、この左右の懸垂アーム部材32L・32R間に回転軸1aの左端部側と右端部側をそれぞれ回転可能に軸受けさせてロータリ1を支持させてある。このロータリ1の左右のディスク31L・31R間の所定の装着部位に対して、図2乃至図4、図5の(b)のように、前記4つの現像カートリッジ5a・5b・5c・5dが略円柱状に集合配置されて着脱可能に装着される。左右のディスク31L・31Rの外周囲はそれぞれロータリギアG2L・G2Rにされている。駆動軸21の左端部側と右端部側にはそれぞれ左右一対のドライブギアG1L・G1Rが固着されて配設されている。左側のドライブギアG1Lは左側のロータリギアG2Lと、右側のドライブギアG1Rは右側のロータリギアG2Rと、それぞれ噛合している。駆動軸21は制御回路部200で制御される駆動伝達機構Mにより回転駆動される。
【0046】
上記の構成において、駆動軸21が駆動伝達機構Mにより所定の方向に駆動されると、駆動軸21の回転力がドライブギアG1L・G1Rを介してロータリギアG2L・G2Rに伝達される。これにより、ロータリ1は回転軸1aを中心に正回転方向Cに回転される。制御回路部200は駆動伝達機構Mを制御してロータリ1を所定の角度をもって割り出し回転制御する。
【0047】
ロータリ1は駆動軸21に対して左右の懸垂アーム部材32L・32Rを介して吊り下げられて配設されているので、駆動軸21を中心に、矢印dの反時計方向と、それとは逆の矢印eの時計方向とに揺動可能である。ロータリ1の反時計方向dへの揺動はロータリ1がドラム2aに寄り移動する方向であり、反時計方向eへの揺動はロータリ1がドラム2aから離れ移動する方向である。そして、ロータリ1はバネ等の加圧手段(不図示)により駆動軸21を中心に矢印dの反時計方向に揺動付勢されている。この揺動付勢により、ロータリ1の割り出し回転で現像位置に移動された現像カートリッジの現像ローラ51がドラム2aに均一に当接する。即ち、現像ローラ51がドラム2aに所定の加圧力で当接した状態となる。
【0048】
なお、ロータリ1の左右のロータリギアG2L・G2Rに噛合う左右のドライブギアG1L・G1Rはロータリ1の揺動中心軸である駆動軸21に同心に設けられている。そのため、ロータリ1が揺動動作しても左右のロータリギアG2L・G2Rとの噛合は保たれる。
【0049】
前述したように、ロータリ1は、イエロー現像カートリッジ5a・マゼンタ現像カートリッジ5b・シアン現像カートリッジ5c・ブラック現像カートリッジ5dの4つの現像カートリッジをほぼ90°間隔で略円柱状の集合配置にて保持している。ロータリ1が各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dそれぞれを保持する構成は全て同様である。よって、本実施例でのロータリ1が現像カートリッジを保持する構成の説明は、イエロー現像カートリッジ5aで行うこととする。図2乃至図4を参照して、イエロー現像カートリッジ5aはロータリ1に装着されると、イエロー現像カートリッジ5aに設けられた被係止部16aが、ロータリ1に設けられた係止部17aと係合する。これにより、イエロー現像カートリッジ5aのロータリ1からの脱落が抑制されている。係止部17aはコイルバネ18a(図2・図13・図16〜図18)によりイエロー現像カートリッジ5aと係合する方向(矢印D方向)に付勢されている。マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dには、それぞれ被係止部16b、16c、16dが設けられている。そして、それらの被係止部16b、16c、16dがそれぞれロータリ1に設けられた係止部17b、17c、17dと係合する。これにより、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dの各現像カートリッジのロータリ1からの脱落が抑制されている。
【0050】
(現像カートリッジの構成)
イエロー現像カートリッジ5a・マゼンタ現像カートリッジ5b・シアン現像カートリッジ5c・ブラック現像カートリッジ5dはそれぞれ収容させているトナーの色が異なるだけで、構成は全て同様である。
【0051】
現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを出荷・輸送する際は現像ローラ51の表面傷及び画像不良を引き起こす影響を防ぐことが望ましい。そこで、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを出荷・輸送する際は、現像ローラ51を保護するためのカバー部材が取り付けられている。図6はカバー部材62が取り付けられている状態の現像カートリッジの斜視図、図7の(a)と(b)はそれぞれ図6の現像カートリッジの長手方向の一端部側と他端部側の拡大図である。図8は図6の現像カートリッジの長手方向中央部における拡大横断面模式図である。図9はカバー部材62が外された状態の現像カートリッジとカバー部材62の斜視図である。図10はトナーシールを開封し、かつカバー部材62が外された状態の現像カートリッジの拡大横断面模式図である。
【0052】
図8を参照して、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、現像容器55を有する。現像容器55はトナー収容室56と、現像ローラ51やトナー供給ローラ52を有する現像室57に分離され、両者はトナー供給開口58により上下に分けられている。現像ローラ51とトナー供給ローラ52はカートリッジ枠体64に回転自在に支持されている。現像カートリッジ5a・5b・5c・5dがユーザの手元に届くまでの未使用状態においては、トナー供給開口58には、トナー収容室56と現像室57を分離するためのフィルム状のトナーシール59が熱溶着などの方法により現像容器55に固定されている。また、現像ローラ51を保護するためのカバー部材62が取り付けられている。
【0053】
ユーザは、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを使用する前にトナーシール59を所定の要領にて取り除く(トナーシールの開封)。トナーシール59の開封により、トナー収容室56内のトナー63は現像室57内に入る。現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、トナーシール59が開封され、かつカバー部材62が取り外されている状態でロータリ1の所定の装着部位に装着される。現像カートリッジはロータリ1の回転により現像位置に移動され、かつ位置決めされた状態において、トナー収容室56内のトナー63がトナー供給開口58から現像室57内に自由落下する。また、その現像カートリッジは装置本体100A側から駆動力の伝達と現像バイアスの印加を受ける。これにより、トナー供給ローラ52は図10の矢印E方向に回転することによって現像ローラ51にトナー63を供給する。現像ローラ51は弾性ゴムローラで構成され、矢印F方向に回転し、現像ローラ51上のトナー63は現像ブレード53によって一定の厚みに規制され、現像位置でドラム2aに対して供給される。現像バイアスは現像ローラ51に対して印加される。これによりドラム2aの静電潜像がトナー像として現像される。現像後に現像ローラ51上に残されたトナー63はトナー供給ローラ52によって除去される。その後、再びトナー供給ローラ52によって現像ローラ51にトナー63が供給される。
【0054】
図9に示すように、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、カートリッジ枠体64から露出し、現像ローラ51の一部である露出部51eを有している。これがドラム2aと当接する。また、後述するように、画像形成装置は、ロータリ1に現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装着した状態で出荷される(装着同梱)。
【0055】
そのため、ユーザが画像形成装置を使用する際には、初期設置時にロータリ1に装着されている現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを取り出し、トナーシール59を除去する。この動作において、現像ローラ51の露出部51eを確実に保護するために、カバー部材62が必要となる。カバー部材62は現像ローラ51の軸線方向に取り外し可能で、カートリッジ枠体64に装着されている。初期設置時には、ロータリ1に装着されている現像カートリッジを取り出し、現像カートリッジからトナーシール59を除去した後に、カバー部材62を現像カートリッジから取り外し、再びロータリ1へ装着するという動作が必要になる。
【0056】
現像カートリッジ5a・5b・5c・5dには現像ローラ51の軸線方向の一端部にカートリッジ枠体64の一部を構成するサイド部材60が設けられている。同様にして、他端部にはサイド部材61が設けられている。カバー部材62には第一の係止部62e、第二の係止部62f、第三の係止部62g、第四の係止部62hが設けられている。一方、サイド部材60には、第一の被係止部60a、第二の被係止部60bが設けられている。また、サイド部材61には、第三の被係止部61a、第四の被係止部61bが設けられている。
【0057】
ここで、図6に示すように、現像ローラ51の軸線方向である図中矢印M方向にカバー部材62を移動させると、第一の係止部62eと第一の被係止部60aが、第二の係止部62fと第二の被係止部60bが係止される。同様にして、第三の係止部62gと第三の被係止部61aが、第四の係止部62hと第四の被係止部61bが係止される。これにより、カバー部材62が現像カートリッジに装着される。一方、カバー部材62を図中矢印N方向に移動させると、各係止部の係止が解除され、カバー部材62が現像カートリッジから取り外される。
【0058】
ここでは被係止部がサイド部材に設けられているものとして説明したが、現像カートリッジを構成するカートリッジ枠体のいずれかの部位に被係止部がある構成でも良い。また、被係止部と係止部を現像ローラ51の軸線方向両端部に2箇所ずつの構成としたが、その限りではなく、現像カートリッジに対して確実にカバー部材が係止できる構成であれば良い。
【0059】
(現像カートリッジ交換方式)
各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dは、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、収容されているトナー63が消費される。そこで、例えば、個々の現像カートリッジ内のトナー63の残量を検知する検知手段(不図示)を現像カートリッジに設ける。そして、制御回路部200において、前記検知手段によって検知した残量値を、予め設定した現像カートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。制御回路部200は、前記残量値が閾値よりも少ない残量値までトナー63が減少した現像カートリッジについて、操作部400の表示部400aにその現像カートリッジについての寿命予告或いは寿命警告を表示させる。これによりユーザに、交換用の現像カートリッジの準備を促す、或いは、現像カートリッジの交換を促して、ユーザの利便性を向上している。
【0060】
装置本体100Aの上面に設けられている着脱カバー13を図11・図12のようにヒンジ軸13aを中心に開くと、装置本体100Aの上面に設けた開口部Pが大きく開放される。図13は図12の部分的な拡大図である。この開口部Pは、ロータリ1に対して現像カートリッジの着脱を行うための開口部である。即ち、ユーザが、現像カートリッジをロータリ1の装着部に装着する、或いは、現像カートリッジをロータリ1の装着部から取り出す際に現像カートリッジを把持してこの開口部Pを通過させる。開口部Pは排紙部12よりも手前側に設ける。着脱カバー13はヒンジ軸13aを中心に開口部Pを閉鎖する閉じ状態と開放する開状態とを取り得る。着脱カバー13は常時は閉じられており、現像カートリッジを着脱するときにユーザによって開かれる。着脱カバー13を開くと、開口部Pが開放される。そして、この開口部Pから装置本体内のロータリ1へ通じる現像カートリッジ着脱通路部37が視認できる。通路部37は開口部Pとロータリ1との間に配設された、凹弧面状にカーブしている着脱ガイド14を有する。通路部37はドラム2aよりも上側に配置されている。
【0061】
着脱カバー13の裏面側にはカバー幅方向の左側と右側に突起部13cL・13cRが設けられている。また、ロータリ駆動軸21の左側と右側には係合解除回転部材20L・20Rが揺動可能に配設されている。着脱カバー13が閉じられているときは、係合解除回転部材20L・20Rは突起部13cL・13cRにより押圧されて、軸21を中心に付勢バネ(不図示)に抗して、ロータリ1に対して現像カートリッジ係合位置に回動されている。図13の2点鎖線は現像カートリッジ係合位置に回動されている係合解除回転部材20L・20Rを示している。そして、着脱カバー13が開かれているときは、係合解除回転部材20L・20Rは突起部13cL・13cRによる押圧が解除されて、軸21を中心に付勢バネの付勢力により、ロータリ1に対して現像カートリッジ係合解除位置に回動されている。図13の実線は現像カートリッジ係合解除位置に回動されている係合解除回転部材20L・20Rを示している。
【0062】
ロータリ1は、画像形成動作中以外は、現像カートリッジの現像ローラ51がドラム2aに対して離れる位相まで回転軸1aを中心に回転した位置で停止して待機している。本実施例では、図2のように、イエロー現像カートリッジ5aが正面向き(図2において右向き)の位置にある回転角度をホームポジション角度位置として回転を停止した状態に保持されている。このロータリ1のホームポジション角度位置は、イエロー現像カートリッジ5aの現像位置からロータリ正回転方向に対して45°上流の位置である。このロータリ1のホームポジション角度位置は各現像カートリッジについてロータリ1に対して着脱可能な着脱位置でもある。
【0063】
図2の画像形成装置100の待機状態時において、図11・図12のように、装置本体1Aの着脱カバー13を、ヒンジ部13aを中心に開く。これにより、ユーザが、装置本体上面の開口部Pから装置本体100A内に手をいれて、ロータリ1に保持されて着脱位置に位置している現像カートリッジに対してアクセス可能となる。
【0064】
着脱カバー13が開かれることによって、前述したように、係合解除回転部材20L・20Rが現像カートリッジ係合解除位置に揺動する。即ち、着脱カバー13が開かれることによって係合解除回転部材20L・20Rが、図13のように、付勢バネの付勢力によって矢印Iの方向に軸21を中心に回動する。そして、係合解除回転部材20L・20Rに設けられた突起部20aが、着脱位置に位置しているイエロー現像カートリッジ5aの係止解除スライド部材19aを矢印Jの方向に押圧する。このため、係止部17aがコイルバネ18aの付勢力に抗して矢印Gの方向に移動して、被係止部16aと係止部17aの係止が解除される。これにより、着脱位置にあるイエロー現像カートリッジ5aのみロータリ1の装着部との係合が解除される。
【0065】
そこで、ユーザは、イエロー現像カートリッジ5aを新旧交換するのであれば、開口部Pから通路部37に手を入れて、着脱位置においてロータリ1との係合が解除されているイエロー現像カートリッジ5aの把手54を把持する。そして、イエロー現像カートリッジ5aを着脱ガイド14に沿わせて持ち上げて通路部37を通して開口部Pから装置本体100Aの外に取り出す。Kは現像カートリッジの取り出し方向を示している。
【0066】
次に、トナーシール59を開封し、かつカバー部材62を取り外した新品のイエロー現像カートリッジ5aをその把手54を把持して開口部Pから通路部37内に挿入し、着脱ガイド14に沿わせてロータリ1側に移動させる。そして、着脱位置に位置している、ロータリ1のイエロー現像カートリッジ装着部にイエロー現像カートリッジ5aを挿入装着する。Lは現像カートリッジの挿入装着方向を示している。そして、着脱カバー13を閉じ込む。着脱カバー13が閉じられることによって、前述したように、係合解除回転部材20L・20Rが現像カートリッジ係合位置に揺動する。即ち、着脱カバー13が閉じられることによって係合解除回転部材20L・20Rは突起部13cL・13cRにより押圧されて、付勢バネの付勢力に抗して、図13の矢印Iの方向とは逆方向に軸21を中心に回動する。そして、係合解除回転部材20L・20Rに設けられた突起部20aが、着脱位置に位置しているイエロー現像カートリッジ5aの係止解除スライド部材19aから矢印Jの方向とは逆方向に逃げ移動する。このため、係止部17aがコイルバネ18aの付勢力により矢印Gの方向とは逆方向に移動して、被係止部16aと係止部17aとが係合する。これにより、着脱位置にあるイエロー現像カートリッジ5aがロータリ1との係合がなされる。
【0067】
イエロー現像カートリッジ5aの着脱は、上述した待機状態で行われる。その他の、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dも同様に、現像位置からロータリ正回転方向Cに対して45°上流の位置、即ち着脱位置で着脱可能となる。即ち、着脱カバー13を開き、ロータリ1を直接手動で正回転方向Cに回転させて或いは駆動伝達機構Mを用いて正回転方向Cに回転させて、新旧交換すべき現像カートリッジについて、その現像カートリッジを着脱位置に位置させる。着脱位置に位置した現像カートリッジは、着脱カバー13が開かれていることで現像カートリッジ係合解除位置に揺動している係合解除回転部材20L・20Rによりロータリ1との係合が解除される。即ち、現像カートリッジ係合解除位置に揺動している係合解除回転部材20L・20Rにより、着脱位置に位置させた現像カートリッジに対する係止部がその現像カートリッジの被係止部と係合しない位置まで移動することにより、ロータリ1との係合が解除される。したがって、その現像カートリッジについて、前述したイエロー現像カートリッジ5aの場合と同様の要領にて新旧交換操作を行うことができる。
【0068】
新旧交換すべき現像カートリッジを着脱位置に移動させるためにロータリ1を正回転方向Cに回転操作するときのロータリ回転力に対して、係合解除回転部材20L・20Rの付勢バネによる現像カートリッジ係合解除位置への回動力は弱い。そのため、現像カートリッジの係止解除スライド部材19aを押圧している係合解除回転部材20L・20Rは回転するロータリ1によって現像カートリッジ係合解除位置とは逆方向に回動されて、次の現像カートリッジの外面に乗り上がる。これにより、そのとき着脱位置にある現像カートリッジをロータリに係止するための係止解除スライド部材の押圧が解除される。よってロータリ1の回転によって、着脱位置から移動した現像カートリッジは、ロータリ1に対してロックされる。また、ロータリ1が更に回転して次の現像カートリッジが着脱位置に到達すると、係合解除回転部材20L・20Rが現像カートリッジ係合解除位置に回動する。これによって、係合解除回転部材20L・20Rが、次の現像カートリッジをロータリ1に係止している係止解除スライド部材を押圧する。これにより、その現像カートリッジがロータリ1から取り外し可能となる。更に次の現像カートリッジ、及び、更に次の現像カートリッジの場合も上記と同様である。
【0069】
ここで、個々の現像カートリッジにはトナーの残量を検知する検知手段(不図示)が設けられている場合には、制御回路部200の制御によって、トナーが減少した現像カートリッジを着脱位置に移動させた状態でロータリ1を停止させることができる。また、制御回路部200の制御によって、表示部400aに寿命予告或いは寿命警告を表示させることができる。これにより、ユーザは着脱カバー13を開くことで、交換すべき現像カートリッジにすぐにアクセスすることができる。
【0070】
(装着同梱)
図14は、装着同梱状態の画像形成装置を示す概略断面図である。ここで、装着同梱とは、画像形成装置100を出荷する際に、現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装置本体100A内に装着した状態で出荷する形態を言う。本実施例では、ロータリ1に4色の現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装着して出荷する形態を言う。
【0071】
装着同梱状態においては、図14のように、各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dはそれぞれカバー部材62(62a・62b・62c・62d)が取り付けられている状態でロータリ1に装着されている。
【0072】
従って、ユーザは装着同梱状態の画像形成装置については、画像形成可能な状態に初期設置する必要がある。即ち、カバー部材62が取り付けられている状態でロータリ1に装着される現像カートリッジ5a・5b・5c・5dを装置本体100Aから一旦取り出す。この現像カートリッジの取り出しは、前述した現像カートリッジ交換方式における、新旧交換すべき現像カートリッジの取り出しと同じ要領にてなされる。そして、その取り出した現像カートリッジのトナーシール59を開封し、更に現像カバー部材62を取り外す。その現像カートリッジを再びロータリ1の所定の装着部に装着する。この現像カートリッジの装着は、前述した現像カートリッジ交換方式における、新旧交換すべき現像カートリッジの装着と同じ要領にてなされる。
【0073】
本実施例においては、図14の装着同梱状態の画像形成装置100において、イエロー現像カートリッジ5aが着脱位置に位置している。図15は図14の状態から着脱カバー13が開かれた状態を示す断面図である。図16は図15の部分的拡大図である。着脱カバー13の開放によって、前述したように、着脱位置にあるイエロー現像カートリッジ5aがロータリ1との係合が解除されて取り出し可能な状態になる。
【0074】
ユーザが開口部Pからイエロー現像カートリッジ5aを見ると、装着方向Lに対して現像ローラ51aの上流側にカバー部材62aが見える。そのため、着脱位置においてユーザがイエロー現像カートリッジ5aの取り出しをせずに、カバー部材62aのみを外してしまう懸念がある。
【0075】
このように、装置本体100A内で、カバー部材62aが取り外された場合、イエロー現像カートリッジ5aを、装置本体100から取り出し、トナーシール59を取り外す動作を、ユーザが行う場合、カバー部材62aが無い。そのため、ユーザが現像ローラ51aに触れる可能性がある。
【0076】
これを防止する構成を、イエロー現像カートリッジ5aが装置本体100に装着された状態を示す正面図である図17により詳細に説明する。ロータリ1の一部であるディスク31Lにはカバー部材62aの取り外し方向である図中矢印N方向に相対する位置にディスク31Lの一部として規制部1dが設けられている。ここで、図17においてカバー部材62aが規制部1dに当接するまで移動できる距離Qよりも、図9に示すようにカバー部材62とサイド部材60、61との係止量R、S、T、Uの方が大きい。そのため、着脱位置ではカバー部材62aを図中矢印N方向に移動させようとしても、規制部1dに移動を規制されて移動することができず、取り外すことはできない。これにより、ユーザは現像カートリッジの着脱位置ではカバー部材62aを外すことができず、現像ローラ51aに触れてしまうことを防止できる。
【0077】
また、ユーザがイエロー現像カートリッジ5aを取り外す際に、把手54を把持して取り外し動作を行う。その際、ユーザがカバー部材62aに触れることがあっても、カバー部材62aの取り外し方向が図中矢印N方向のみであるため、ロータリ1の半径方向にカバー部材62aが外れてしまうことはない。さらに前述したように、図中矢印N方向には規制部1dにより移動を規制されているため外れない。よって、ユーザが把手54を把持してもカバー部材62aが外れてしまうことはなく、現像ローラ51aに触れてしまうことを防止できる。さらに、装置本体100Aの輸送時の振動やロータリ1の回転時における遠心力によってもカバー部材62aが外れることはない。
【0078】
ここで、本実施例では規制部1dをディスク31Lの一部に設けたが、その限りではなく、ディスク31L以外の装置本体100を構成する一部に設けても良い。
【0079】
図19のように、よりユーザが把手54を把持し、図中矢印K方向に移動させることで、イエロー現像カートリッジ5aを装置本体100から取り外すことができる。ここで、矢印K方向は、現像ローラ51aの軸線と直交(交差)する方向である。この取り外したイエロー現像カートリッジ5aについて、ユーザはまず図8に示したトナーシール59を除去する。そして、カバー部材62aを取り外す。そして、そのイエロー現像カートリッジ5aを装置本体100に挿入してロータリ1に装着する。
【0080】
この動作を実現する構成を図6・図18により詳細に説明する。イエロー現像カートリッジ5aを取り外したことで、カバー部材62aを図中矢印N方向に移動可能となる。まず、カバー部材62aを外す前に、まず、イエロー現像カートリッジ5aから図8に示したトナーシール59を除去する。そして、カバー部材62aを図6・図18の図中矢印N方向に移動して取り外す。カバー部材62aが外されたイエロー現像カートリッジ5aは把手54を把持し、図20に示す矢印L方向に移動させることで再びロータリ1に装着される。ここで、矢印L方向は、現像ローラ51aの軸線と直交(交差)する方向である。
【0081】
以上の操作を各現像カートリッジ5a・5b・5c・5dで順に繰り返すことで装置本体100の初期設置が完了する。
【0082】
上記の実施例の画像形成装置の構成をまとめると次のとおりである。現像カートリッジ5は、少なくとも、現像剤担持体である現像ローラ51と、現像ローラ51を保持する枠体64と、現像ローラ51の枠体64から露出している露出部51eを覆うカバー部材62を有する。カバー部材62は枠体64に対して現像ローラ51の軸線方向に取り外し可能である。この現像カートリッジ5は、画像形成装置100の装置本体100Aに対して、装置本体100Aに設けられた開口部Pから現像ローラ51の軸線方向に直交する方向(交差する方向)に着脱自在である。カバー部材62は現像カートリッジ5の装置本体100Aに対する装着方向Lに対し現像ローラ51の上流側に配設されている。そして、装置本体100Aは、カバー部材62が取り付けられている現像カートリッジ5が装置本体100Aに装着されている状態において、カバー部材62の現像ローラ51の軸線方向への移動を規制する規制部1dを有する。現像カートリッジ5は把手部54を有する。
【0083】
また、上記の実施例の現像カートリッジ5の構成をまとめると次のとおりである。少なくとも、現像剤担持体である現像ローラ51と、現像ローラ51を保持する枠体64を有し、画像形成装置100の装置本体100Aに対して、現像ローラ51の軸線方向に直交する方向に着脱自在である。そして、この現像カートリッジ5は、現像ローラ51の枠体64から露出している露出部51eを覆い枠体64に対して現像ローラ51の軸線方向に取り外し可能なカバー部材62と、カバー部材62より露出して設けられた把手部54と、を有する。カバー部材62は、装置本体100Aに対する現像カートリッジ5の装着方向Lに対して現像ローラ51の上流側に配設されている。カバー部材62は、現像カートリッジ5が装置本体100Aに装着されている状態において、現像ローラ51の軸線方向への移動を装置本体100Aに設けられている規制部1dにより規制される。
【0084】
上記の画像形成装置及び現像カートリッジによれば、画像形成装置の初期設置時にカバー部材62の外れを防止し、現像ローラ51の確実な保護を実現できる。また、把手部54を把持する動作によりカバー部材62の外れを防止し、現像ローラ51の確実な保護を実現できる。
【0085】
以上説明したように、カバー部材62の脱落を防止し、着脱位置ではカバー部材62を外すことができず、確実に現像ローラ51の保護を実現できる。
【0086】
また、現像カートリッジのトナーが無くなったことによる交換の際には、まず、ユーザは新しい現像カートリッジのカバー部材62から露出した把手54を把持する。その際、前述したようにカバー部材62の取り外し方向が図中矢印N方向のみであるため、把手54の把持動作によりカバー部材62が外れてしまうことはない。その後、トナーシールを除去し、図6に示すようにカバー部材62を図中矢印N方向に移動させて取り外す。そこで、図20に示すように、把手54を把持し、着脱カバー13が開放された装置本体100Aに対して、図中矢印L方向に移動させることで装着される。
【0087】
以上説明したように、ユーザが把手の把持動作を行う際に、カバー部材の外れを防止し、現像ローラの確実な保護を実現した現像カートリッジを提供できる。
【0088】
また、現像カートリッジとして本実施例で説明した限りではなく、少なくとも感光体ドラムの潜像を現像する現像ローラを有していれば良い。
【0089】
以上、電子写真画像形成装置を例にして説明したが、本発明は、静電記録画像形成装置や磁気記録画像形成装置にも適用して同様の効果が得られることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例の画像形成装置の外観斜視図
【図2】図1の画像形成装置の縦断左側面図(待機状態時)
【図3】イエロー現像カートリッジが現像動作中の画像形成装置の縦断左側面図
【図4】ブラック現像カートリッジが現像動作中の画像形成装置の縦断左側面図
【図5】ロータリの構成説明図
【図6】カバー部材が取り付けられている状態の現像カートリッジの斜視図
【図7】(a)と(b)はそれぞれ図6の現像カートリッジの長手方向の一端部側と他端部側の拡大図
【図8】図6の現像カートリッジの長手方向中央部における拡大横断面模式図
【図9】カバー部材が外された状態の現像カートリッジとカバー部材の斜視図
【図10】トナーシールを開封し、かつカバー部材が外された状態の現像カートリッジの拡大横断面模式図
【図11】着脱カバーが開かれている状態の画像形成装置の外観斜視図
【図12】着脱カバーが開かれている状態の画像形成装置の縦断左側面図
【図13】図12の部分的な拡大図
【図14】装着同梱状態の画像形成装置の縦断左側面図
【図15】装着同梱状態の画像形成装置において着脱カバーが開かれている状態の縦断左側面図
【図16】図15の部分的な拡大図
【図17】イエロー現像カートリッジが装置本体に装着された状態を示す正面図
【図18】イエロー現像カートリッジが装置本体から取り外されて、カバー部材が移動可能となり、カバー部材が移動されている途中図
【図19】図15・図16の状態からイエロー現像カートリッジが取り外されている状態を示した図
【図20】トナーシールを開封して、かつカバー部材を取り外したイエロー現像カートリッジを再装着している状態を示した図
【符号の説明】
【0091】
100・・画像形成装置、100A・・装置本体、1・・ロータリ、2a・・像担持体、5a・5b・5c・5d・・現像カートリッジ、51・・現像剤担持体、22・23・・係止部材、90・・カバー部材、91・92・・係合部、96・・外周面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体と、前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、を有する現像カートリッジであって、前記画像形成装置の装置本体に対して、前記装置本体に設けられた開口部から前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在であり、前記現像カートリッジの前記装置本体に対する装着方向に対し前記現像剤担持体の上流側に前記カバー部材が配設されている現像カートリッジと、
前記カバー部材の前記現像剤担持体の軸線方向への移動を規制する規制部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、前記画像形成装置は、複数の前記現像カートリッジが取り外し可能に装着された、前記装置本体に対して回転可能に設けられた回転体であって、前記規制部が設けられた回転体を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像カートリッジは、前記枠体に設けられた、前記装置本体に対して前記直交する方向から着脱する際に把持する把手部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体を有し、画像形成装置の装置本体に対して、前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在な現像カートリッジであって、
前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、
前記枠体に設けられた、前記現像カートリッジを前記装置本体に対して前記直交する方向から着脱する際に把持する把手部と、
を有することを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記装置本体に対する前記現像カートリッジの装着方向に対して前記現像剤担持体の上流側に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の現像カートリッジ。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記現像カートリッジが前記装置本体に装着されている状態において、前記現像剤担持体の軸線方向への移動を前記装置本体に設けられている規制部により規制されることを特徴とする請求項4又は5に記載の現像カートリッジ。
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体と、前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、を有する現像カートリッジであって、前記画像形成装置の装置本体に対して、前記装置本体に設けられた開口部から前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在であり、前記現像カートリッジの前記装置本体に対する装着方向に対し前記現像剤担持体の上流側に前記カバー部材が配設されている現像カートリッジと、
前記カバー部材の前記現像剤担持体の軸線方向への移動を規制する規制部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、前記画像形成装置は、複数の前記現像カートリッジが取り外し可能に装着された、前記装置本体に対して回転可能に設けられた回転体であって、前記規制部が設けられた回転体を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像カートリッジは、前記枠体に設けられた、前記装置本体に対して前記直交する方向から着脱する際に把持する把手部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を保持する枠体を有し、画像形成装置の装置本体に対して、前記現像剤担持体の軸線方向に直交する方向に着脱自在な現像カートリッジであって、
前記現像剤担持体の前記枠体から露出している露出部を覆い前記枠体に対して前記現像剤担持体の軸線方向に取り外し可能なカバー部材と、
前記枠体に設けられた、前記現像カートリッジを前記装置本体に対して前記直交する方向から着脱する際に把持する把手部と、
を有することを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記装置本体に対する前記現像カートリッジの装着方向に対して前記現像剤担持体の上流側に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の現像カートリッジ。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記現像カートリッジが前記装置本体に装着されている状態において、前記現像剤担持体の軸線方向への移動を前記装置本体に設けられている規制部により規制されることを特徴とする請求項4又は5に記載の現像カートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−60614(P2010−60614A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223403(P2008−223403)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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