説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】省電力モードに移行してしまった場合に、ユーザの意思に応じて印刷の出力先を制御することによって、ユーザに煩わしさを感じさせないものを提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置が、動作モードが省電力モードであるときに、印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に復帰指示を受信した場合には、前記画像データ記憶部及び前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、前記画像データ記憶部に記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部に画像形成させ制御部とを、具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複合機、複写機及びプリンタ等の画像形成装置には、地球環境に配慮して、画像形成処理が一定時間実行されないと、稼働電力を落とした状態の動作モード、すなわち省電力モードへ自動的に移行するものが存在する。しかしながら、このような画像形成装置では、省電力モードに移行してしまうと、新たな画像形成指示によって画像形成が可能な稼働状態に復帰するまでに、かなりの時間待たなければならないという問題が存在した。これは、画像形成装置において、画像形成部の一部である画像形成用紙にトナーを定着させる定着ローラを適温まで温めるまでに、時間がかかってしまうからである。
【0003】
そして、このような問題を踏まえ、画像形成装置が省電力モードへ移行してとしても、即座に画像形成を実行することが出来る発明として、下記特許文献1には、ネットワークにおける複数のカラープリンタのうちアクティブな状態、すなわち即座に印字できる状態のカラープリンタへジョブを送信してプリント出力にかかる時間を削減するカラープリントシステムが開示されている。このカラープリントシステムは、ネットワーク上に複数のカラープリンタが接続されるカラープリントシステムであって、各カラープリンタの状態を判断する為のステータ情報を各カラープリンタから受信し、ステータ情報に基づいて各カラープリンタの状態を判断し、スリープ状態(上記省電力モードに相当)やその他の要因によって濃度補正処理が必要であるカラープリンタプリンタに出力するのは避けて、即座に印字可能なプリンタに印刷データを送信する。
【特許文献1】特開2003−103884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、プリントを指示されたカラープリンタが省電力モードである場合に、カラープリンタとは別個に設けられたネットワークサーバが、ネットワークに接続された他のカラープリンタにプリントデータを転送すると共に当該他のカラープリンタにプリンタデータに基づいてプリントを実行させている。しかしながら、一般的にユーザは、自身に最も近い位置にある画像形成装置へプリントを指示する為、上記従来技術のように、プリントを指示した画像形成装置が省電力モードである場合に、必ず当該画像形成装置とは別の画像形成装置から出力が行われると、ユーザは、離れた位置にある画像形成装置まで印刷結果を取りに行かなければならない。
【0005】
すなわち、上記従来技術は、プリントを指示した画像形成装置の省電力モードからの復帰を待つことなく、他の画像形成装置から出力される為に、印刷を急いでいるユーザにとって便利であるが、プリントを指示した画像形成装置が省電力モードである場合に、必ず他の画像形成装置から出力が行われると、特に印刷を急いでいないユーザに印刷結果を取りに行くとういう煩わしさを感じさせることになる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、省電力モードに移行してしまった場合に、ユーザの意思に応じて印刷の出力先を制御することによって、ユーザに煩わしさを感じさせないものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、通信によって外部から印刷指示を通信I/F部が受信すると、前記印刷指示と共に受信した印刷画像データを画像データ記憶部に記憶し、前記画像データ記憶部が記憶した前記印刷画像データに基づいて画像形成部が出力画像を形成する画像形成装置であって、動作モードが省電力モードであるときに、印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に復帰指示を受信した場合には、前記画像データ記憶部及び前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、前記画像データ記憶部に記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部に画像形成させ、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信していない場合には、前記画像形成部を省電力状態のまま、前記画像データ記憶部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、復帰した前記画像データ記憶部に印刷画像データを記憶させ、動作モードが稼動モードである自身以外の画像形成装置へ対して前記印刷画像データと前記印刷画像データに基づく画像形成の要求を前記通信I/F部に送信させる制御部とを、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、表示部を具備し、前記制御部は、動作モードが省電力モードであるときに、前記印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信していない場合には、動作モードが稼動モードである自身以外の画像形成装置へ対して前記印刷画像データと前記印刷画像データに基づく画像形成の要求を前記通信I/F部に送信させ、出力先として前記自身以外の画像形成装置を前記表示部に表示させるという手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、画像形成システムに係る第1の解決手段として、上記第1または第2の解決手段を採用する画像形成装置である第1の画像形成装置と、前記第1の画像形成装置と通信する第2の画像形成装置と、印刷指示を通信によって前記第1の画像形成装置へ送信する電子機器とを具備し、前記第1の画像形成装置の前記制御部は、動作モードが省電力モードであるときに、印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信した場合には、前記画像データ記憶部及び前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、前記画像データ記憶部に記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部に画像形成させ、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信していない場合には、前記画像形成部を省電力状態のまま、前記画像データ記憶部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、復帰した前記画像データ記憶部に印刷画像データを記憶させ、動作モードが稼動モードである自身以外の画像形成装置へ対して前記印刷画像データと前記印刷画像データに基づく画像形成の要求を前記通信I/F部に送信させ、前記第2の画像形成装置は、前記要求を受信すると、前記印刷画像データに基づいて画像形成を実行するという手段を採用する。
【0010】
本発明では、画像形成システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第1の画像形成装置の前記制御部は、動作モードが省電力モードであるときに、前記電子機器から印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信した場合には、前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態への復帰を開始し、前記電子機器は、前記画像形成部が復帰するまでの間、印刷画像データを記憶し、前記画像形成部が復帰すると前記印刷画像データを前記第1の画像形成装置へ送信し、そして、前記第1の画像形成装置の制御部は、前記電子機器から前記通信I/F部が前記印刷画像データを受信すると、当該印刷画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させるという手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置が、動作モードが省電力モードであるときに、印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に復帰指示を受信した場合には、前記画像データ記憶部及び前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、前記画像データ記憶部に記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部に画像形成させ、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信していない場合には、前記画像形成部を省電力状態のまま、前記画像データ記憶部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、復帰した前記画像データ記憶部に印刷画像データを記憶させ、動作モードが稼動モードである自身以外の画像形成装置へ対して前記印刷画像データと前記印刷画像データに基づく画像形成の要求を前記通信I/F部に送信させる制御部とを、具備する。
【0012】
すなわち、この画像形成装置では、制御部が、通信I/F部が印刷指示を受信した際に省電力モードに移行していたとしても、復帰指示によって画像形成部を復帰させて画像形成を実行させることが出来ることによって、印刷を急いでいないユーザは他の画像形成装置まで印刷結果を取りに行く必要がない為、印刷結果を取りに行くとういう煩わしさをユーザに感じさせることがない。
【0013】
また、画像形成装置が、印刷指示を受信した際に省電力モードに移行していたとしても、復帰指示を受信しなかった場合に、画像形成装置の代わりに他の画像形成装置に画像形成を実行させること出来ることによって、印刷を急いでいるユーザは当該画像形成装置の画像形成部が実行可能な状態になるまでの間待つ必要がない為、短時間で複写を実行及び完了することができる。
【0014】
さらに、この画像形成装置では、制御部が、通信I/F部が印刷指示を受信した際に省電力モードに移行していたとしても、必ずしも画像形成部を省電力状態から稼動可能な状態に復帰させるわけではなく、画像データ記憶部を省電力状態から復帰させず、画像形成を自身以外の他の画像形成装置に実行させることによって、画像形成部を省電力状態から稼動状態への復帰に必要な電力消費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の画像形成装置の一つである複写機能、印刷機能、FAX送信/受信機能を併せ持つ複合機及び当該複合機によって構成される画像形成システムに関する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムAのシステム構成図である。
この画像形成システムAは、図1に示すように、複合機B、プリンタC、ローカルエリアネットワークD及びクライアントコンピュータE‐1〜E‐nから構成されている。
【0016】
複合機Bは、ローカルエリアネットワークDを介してプリンタC及びクライアントコンピュータE‐1〜E‐nに接続する。複合機Bは、複写指示に基づいて複写処理を実行し、ローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータE‐1〜E‐nから受け付けた印刷指示に基づいて印刷処理を実行し、さらにローカルエリアネットワークDを介して公衆網(図示略)からファクシミリを受信すると、ファクシミリ画像データに基づいて受信結果の出力処理を実行する。また、複合機Bは、画像形成システムAにおけるプリンタサーバとしての機能も有する。すなわち、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nからプリンタCへ印刷指示が送信された場合に、当該印刷指示及び印刷画像データは複合機Bを経由してプリンタCへ送信される。
【0017】
プリンタCは、ローカルエリアネットワークDを介して複合機B、クライアントコンピュータE‐1〜E‐n及び公衆網(図示略)に接続し、ローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータE‐1〜E‐nから受け付けた印刷指示に基づいて印刷処理を実行し、さらにローカルエリアネットワークDを介して公衆網からファクシミリを受信すると、ファクシミリデータに基づいて受信結果の出力処理を実行する。
【0018】
ローカルエリアネットワークDは、LAN(Local Area Network)ケーブル及びLANハブ等によって構成され、複合機B、プリンタC及びクライアントコンピュータE‐1〜E‐n及び公衆網(図示略)とを接続する。このローカルエリアネットワークDは、複合機B、プリンタC、クライアントコンピュータE‐1〜E‐n及び公衆網の間の通信における信号の伝送路である。
【0019】
クライアントコンピュータE‐1〜E‐nは、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータであり、キーボード及びマウス等の入力デバイスが受け付けたユーザの指示に基づいて、印刷指示を複合機BまたはプリンタCへローカルエリアネットワークDを介して送信する。なお、図1のクライアントコンピュータE‐1〜E‐nは、複数台のクライアントコンピュータが、ローカルエリアネットワークDを介して複合機Bに接続していることを示す。
【0020】
上記構成の画像形成システムAにおける複合機Bの機能構成について、図2を参照して、説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成システムAにおける複合機Bの機能ブロック図である。
複合機Bは、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、各種センサ群4、用紙搬送部5、画像読取部6、画像データ記憶部7、画像形成部8、通信I/F部9、操作表示部10及び画像形成装置IP(Internet Protocol)アドレス記憶部11を備えている。そして操作表示部10は、タッチパネル10aを有している。
【0021】
CPU1は、ROM2に記憶されている制御プログラム、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、印刷画像データまたはファクシミリ画像データ、通信I/F部9を介してクライアントコンピュータE‐1〜E‐nまたは公衆網(図示略)から入力される各種指示及び操作表示部10から入力される操作指示に基づいて複合機Bの全体動作を制御する。なお、このCPU1の制御処理の詳細については、以下に複合機Bの動作として説明する。
ROM2は、CPU1で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
【0022】
RAM3は、CPU1が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
各種センサ群4は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU1に出力する。
【0023】
用紙搬送部5は、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部8に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
【0024】
画像読取部6は、ADF(自動原稿送り装置)とCCD(Charge Coupled Device)センサ等を備え、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データを出力する。なお、画像読取部6は、原稿画像データをCPU1に出力し、一方、CPU1は、原稿画像データを画像データ記憶部7に記憶させる。
【0025】
画像データ記憶部7は、例えばフラッシュメモリであり、CPU1の指示の下、原稿画像データ、通信I/F部9がローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータから受信する印刷画像データ及び通信I/F部9がローカルエリアネットワークDを介して公衆網Eから受信するファクシミリ画像データを記憶する。
【0026】
画像形成部8は、CPU1の制御の下、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、印刷画像データまたはファクシミリ画像データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される印刷用紙にトナーによって形成される画像形成画像を転写し、定着ローラによって当該画像形成画像の定着処理を行う。
通信I/F部9は、ローカルエリアネットワークDを介してプリンタC及びクライアントコンピュータE‐1〜E‐n及び公衆網(図示略)に接続し、このプリンタC及びクライアントコンピュータE‐1〜E‐n及び公衆網との間で各種信号の送受信を行う。
【0027】
操作表示部10は、スタートキー、ストップキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、タッチパネル10a、クリアキーやその他の各種操作キー、を備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU1に出力すると共に、CPU1の制御の下、タッチパネル10aに種々の画面を表示する。
【0028】
画像形成装置IPアドレス記憶部11は、例えばフラッシュメモリであり、ローカルエリアネットワークDに接続されている画像形成装置、すなわちプリンタCのIPアドレスを記憶する。画像形成装置IPアドレス記憶部11は、CPU1の制御の下、ユーザによる操作によって操作表示部10が受け付けたIPアドレス登録指示、またはローカルエリアネットワークDを介してユーザによる操作によってクライアントコンピュータE‐1〜E‐nから受け付けたIPアドレス登録指示に基づいて、プリンタCのIPアドレスを記憶する。CPU1は、通信I/F部9が印刷指示を受け付けた際に、複合機Bの動作モードが省電力モードである場合に、画像形成装置IPアドレス記憶部11にIPアドレスが記憶されているプリンタCへ複合機Bの代わりに画像形成を実行させる。
【0029】
さらに、上記構成の画像形成システムAにおけるプリンタCの機能構成について、図3を参照して、説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成システムAにおけるプリンタCの機能ブロック図である。
プリンタCは、CPU21、ROM22、RAM23、各種センサ群24、用紙搬送部25、画像データ記憶部26、画像形成部27、通信I/F部28、操作部29及び表示部30を備えている。
【0030】
CPU21は、ROM22に記憶されている制御プログラム、画像データ記憶部26に記憶されている印刷画像データまたはファクシミリ画像データ、通信I/F部28を介してクライアントコンピュータE‐1〜E‐nまたは公衆網(図示略)から入力される各種指示及び操作部29から入力される操作指示に基づいてプリンタCの全体動作を制御する。なお、このCPU21の制御処理の詳細については、以下にプリンタCの動作として説明する。
ROM22は、CPU21で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
【0031】
RAM23は、CPU21が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
各種センサ群24は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU21に出力する。
【0032】
用紙搬送部25は、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部27に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
画像データ記憶部26は、例えばフラッシュメモリであり、CPU21の指示の下、通信I/F部28がローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータE‐1〜E‐nから受信する印刷画像データ及び通信I/F部28がローカルエリアネットワークDを介して公衆網Eから受信するファクシミリ画像データを記憶する。
【0033】
画像形成部27は、CPU1の制御の下、画像データ記憶部26に記憶されている印刷画像データまたはファクシミリ画像データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される印刷用紙にトナーによって形成される画像形成画像を転写し、当該画像形成画像の定着処理を行う。
通信I/F部28は、ローカルエリアネットワークDを介して複合機B、クライアントコンピュータE‐1〜E‐n及び公衆網(図示略)に接続し、この複合機B及びクライアントコンピュータE‐1〜E‐nとの間で各種信号の送受信を行う。
【0034】
操作部29は、メニューキー、オンラインキー、電源キー、リセットキー、上下左右キーやその他の各種操作キーを備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU21に出力する。
表示部30は、例えば液晶モニタであり、CPU21から入力される信号に基づいて画像や文字からなる種々の画面を表示する。
【0035】
次に、上記構成の画像形成システムAにおける複合機B及びプリンタCの動作について、図4のシーケンス図を参照して、詳しく説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成システムAの複合機B及びプリンタCの動作を示すシーケンス図である。
【0036】
複合機Bでは、所定時間にわたってユーザから操作表示部10が操作指示を受け付けていない、複写指示または印刷指示が入力されない場合に、CPU1が、最低限必要なCPU1、EOM2、RAM3、通信I/F部9及び操作表示部10以外の各部への電力の供給を減少または停止する、すなわち省電力モードへ移行させる。
【0037】
そして、プリンタCでも、所定時間にわたってユーザから操作指示、印刷指示が入力されないと、CPU21の指示に基づいて、省電力モードへ移行する。すなわち、複合機B及びプリンタCでは、各種指示が入力されていない間の時間を計時する省電力移行タイマが設けられ、この省電力タイマが規定された所定時間を計時してタイムアウトすると、最低限必要な機能以外の画像読取及び画像形成時に動作する機能への電力の供給を減少または停止する。
【0038】
まず、複合機Bによって印刷しようとするユーザは、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nにおけるキーボードまたはマウス等を操作することによって、印刷指示を複合機Bへ送信する。その際、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nは、インストールされている複合機Bのドライバに、複合機Bの省電力モードからの復帰を指示する復帰指示チェックボックスが設けられており、当該復帰指示チェックボックスがチェックされた状態でユーザからキーボードまたはマウス等の入力デバイスが印刷の指示を受け付けると、印刷指示と共に複合機Bの省電力モードからの復帰指示を複合機Bへ送信する。
【0039】
複合機BのCPU1は、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nから印刷指示を通信I/F部9が受信したか否か判定し(ステップS1)、ステップS1において『NO』と判定した場合には、すなわちクライアントコンピュータE‐1〜E‐nから印刷指示を通信I/F部9が受信していない場合には、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nから印刷指示を通信I/F部9が受信するまで待機し、ステップS1において『YES』と判定した場合には、すなわちクライアントコンピュータE‐1〜E‐nから印刷指示を通信I/F部9が受信した場合には、動作モードが省電力モードであるか否か判定する(ステップS2)。
【0040】
CPU1は、ステップS2において『NO』と判定した場合には、すなわち動作モードが省電力モードではない稼働モードである場合には、印刷指示と共に受信した印刷画像データを画像データ記憶部7へ記憶させ、当該印刷画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部8に画像形成させる(ステップS3)。そして、CPU1は、ステップS2において『YES』と判定した場合には、すなわち動作モードが省電力モードである場合には、通信I/F部9が印刷指示と共に復帰指示を受信したか否か判定する(ステップS4)。
【0041】
CPU1は、ステップS4において『YES』と判定した場合には、すなわち通信I/F部9が復帰指示を受信した場合には、印刷画像データの記憶動作及び画像形成動作に関わる画像データ記憶部7、各種センサ群4、用紙搬送部5及び画像形成部8への電力の供給を再開し(ステップS5)、ステップS3において印刷指示と共に受信した印刷画像データを画像データ記憶部7へ記憶させ、当該印刷画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部8に画像形成させる。
【0042】
CPU1は、ステップS4において『NO』と判定した場合には、すなわち通信I/F部9が復帰指示を受信していない場合には、印刷画像データの記憶動作に関わる画像データ記憶部7への電力の供給を再開し(ステップS6)、ファクシミリ画像データを画像データ記憶部7に記憶させ(ステップS7)、画像形成装置IPアドレス記憶部11がIPアドレスを記憶するプリンタCへ対してローカルエリアネットワークDを介して動作モード通知要求を通信I/F部9に送信させる(ステップS8)。
【0043】
プリンタCのCPU21は、通信I/F部28が動作モード通知要求を受信すると、プリンタCの現在の動作モードを示す動作モード通知応答を複合機Bへ対して通信I/F部28に送信させる(ステップS9)。
【0044】
複合機BのCPU1は、通信I/F部9がプリンタCから動作モード通知応答を受信すると、プリンタCからの動作モード通知応答に基づいてプリンタCが省電力モードであるか否か判定し(ステップS10)、ステップS10において『YES』と判定した場合には、すなわちプリンタCが省電力モードである場合には、画像形成動作に関わる各種センサ群4、用紙搬送部5及び画像形成部8への電力の供給を再開し(ステップS11)、ステップS3において画像データ記憶部7が記憶する印刷画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部8に画像形成させる。
【0045】
CPU1は、ステップS10において『NO』と判定した場合には、すなわちプリンタCの動作モードが省電力モードではない稼働モードである場合に、出力要求と共に画像データ記憶部7が記憶する印刷画像データをプリンタCへ対して通信I/F部9に送信させ(ステップS12)、プリンタCから出力する旨をタッチパネル10aに表示させる(ステップS13)。
【0046】
プリンタCのCPU21は、複合機Bから出力要求を通信I/F部28が受信したか否か判定し(ステップS14)、ステップS14において『YES』と判定した場合には、すなわち出力要求を通信I/F部28が受信した場合には、出力要求と共に受信した印刷画像データを画像データ記憶部26に記憶させ、当該印刷画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部27に画像形成させ(ステップS15)、ステップS14において『NO』と判定した場合には、すなわち出力要求を通信I/F部28が受信していない場合には、通信I/F部28が出力要求を受信するまで待機する。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システムAでは、複合機Bが省電力モードである場合に、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nから印刷指示を受信すると、印刷指示と共に復帰指示を受信した場合に、印刷画像データの記憶動作及び画像形成動作に関わる画像データ記憶部7、各種センサ群4、用紙搬送部5及び画像形成部8への電力の供給を再開し、画像データ記憶部7へ記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部8に画像形成させ、印刷指示と共に復帰指示を受信していない場合に、印刷画像データの記憶動作に関わる画像データ記憶部7への電力の供給を再開し、印刷画像データを画像データ記憶部7に記憶させ、動作モードが省電力モードではなく稼働モードであるプリンタCへ対して印刷稿画像データ及び出力要求を送信し、複合機Bの代わりにプリンタCに当該印刷画像データに基づいて画像形成させる。
【0048】
すなわち、この画像形成システムAでは、複合機Bが印刷指示を受信した際に省電力モードに移行していたとしても、復帰指示によって複合機Bを復帰させて画像形成を実行させることが出来ることによって、印刷を急いでいないユーザはプリンタCまで印刷結果を取りに行く必要がない為、印刷結果を取りに行くとういう煩わしさをユーザに感じさせることがない。
また、複合機Bが印刷指示を受信した際に省電力モードに移行していたとしても、複合機Bの代わりにプリンタCに画像形成を実行させること出来ることによって、印刷を急いでいるユーザは複合機Bの画像形成部8の定着ローラが適温に温まるまで印刷の実行を待つ必要がない為、短時間で複写を実行及び完了することができる。
【0049】
さらに、この画像形成システムAでは、複合機Bが印刷指示を受信した際に省電力モードに移行していたとしても、必ずしも画像形成に関わる機能への電力の供給を再開するわけではなく、印刷画像データの記憶に関わる機能しか省電力状態から復帰させず、画像形成を稼働モードであるプリンタCに実行させることによって、画像形成に関わる機能の省電力状態からの復帰に必要な電力消費を抑えることができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
【0051】
(1)上記実施形態では、複合機Bが省電力モードである場合に、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nから印刷指示を受信すると、複合機Bの代わりに動作モードが稼動モードであるプリンタCに画像形成を実行させ、その際に複合機Bのタッチパネル10aは、CPU1の指示の下、プリンタCから出力する旨を表示したが、本発明はこれに限定されない。
【0052】
プリンタC以外に画像形成装置がローカルエリアネットワークDに接続されている場合に、複合機BのCPU1は、タッチパネル10aにローカルエリアネットワークDに接続されている各画像形成装置の動作モード、すなわち稼働モード及び省電力モードのいずれかである旨を表示させ、さらに稼動モードである画像形成装置のいずれかを出力先としてユーザに選択させる為の出力先選択メニューをタッチパネル10aに表示させ、選択された出力先の画像形成装置に複合機Bの代わりに画像形成を実行させるようにしてもよい。また、複合機Bにおいて上記出力先選択メニュー及びプリンタCから出力する旨をタッチパネル10aに表示させるのではなく、複合機Bが画面情報をクライアントコンピュータE‐1〜E‐nへ送信して、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nのディスプレイに表示させるようにしてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、複合機BのCPU1が、上記ステップS8において通信I/F部9に動作モード通知要求をプリンタCへ送信させ、通信I/F部9が受信したプリンタCからの動作モード通知応答に基づいて、複合機B及びプリンタCの動作モードを判断したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、複合機BのCPU1は、所定時刻毎に通信I/F部9に動作モード通知要求をプリンタCへ送信することによって、通信I/F部9が複合機B及びプリンタCから動作モード通知応答を受信して、所定時刻毎にプリンタCの動作モードを把握するようにしてもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、複合機Bが画像形成システムAにおけるプリンタサーバとしての機能を有し、複合機Bが印刷指示を受信した際に省電力モードに移行していたとしても、複合機Bの代わりにプリンタCに画像形成を実行させることを出来るようにしたが、本発明はこれに限定されない。
【0055】
画像形成システムAのように、複合機BとプリンタCの関係がサーバとクライアントという上下の関係ではなく、複合機BとプリンタCとが、並列な関係として、お互いのIPアドレスを記憶すると共にお互いの動作モードを把握し、複合機Bが、省電力モードに移行している際に、印刷指示を受信すると、複合機Bの代わりにプリンタCに画像形成を実行させ、また、プリンタCが、省電力モードに移行している際に、印刷指示を受信すると、プリンタCの代わりに複合機Bに画像形成を実行させるようにしてもよい。
【0056】
(4)上記実施形態では、複合機Bが、省電力モードに移行しているときに印刷指示を受信し、その際に印刷指示と共に復帰指示を受信すると、印刷画像データの記憶動作及び画像形成動作に関わる画像データ記憶部7、各種センサ群4、用紙搬送部5及び画像形成部8への電力の供給を再開し、画像データ記憶部7へ記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部8に画像形成させているが、本発明はこれに限定されない。
【0057】
複合機Bが印刷指示を受信してから、画像形成を実行するまでは、ユーザは、画像形成部8の定着ローラを適温まで温まる時間を待つ必要があり、その間、複合機BのCPU1は、印刷画像データを画像データ記憶部7に記憶させているが、画像データ記憶部7ではなく、クライアントコンピュータE‐1〜E‐nが、自身の記憶部に印刷画像データを蓄積し、複合機Bの画像形成部8が画像形成を実行可能な状態になると、印刷画像データを複合機Bへ送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAのシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAにおける複合機Bの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAにおけるプリンタCの機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAの複合機B及びプリンタCの動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0059】
A…画像形成システム、B…複合機、C…プリンタ、D…ローカルエリアネットワーク、E‐1〜E‐n…クライアントコンピュータ、1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…各種センサ群、5…用紙搬送部、6…画像読取部、7…画像データ記憶部、8…画像形成部、9…通信I/F部、10…操作表示部、10a…タッチパネル、11…画像形成装置IPアドレス記憶部、21…CPU、22…ROM、23…RAM、24…各種センサ群、25…用紙搬送部、26…画像データ記憶部、27…画像形成部、28…通信I/F部、29…操作部、30…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信によって外部から印刷指示を通信I/F部が受信すると、前記印刷指示と共に受信した印刷画像データを画像データ記憶部に記憶し、前記画像データ記憶部が記憶した前記印刷画像データに基づいて画像形成部が出力画像を形成する画像形成装置であって、
動作モードが省電力モードであるときに、印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に復帰指示を受信した場合には、前記画像データ記憶部及び前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、前記画像データ記憶部に記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部に画像形成させ、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信していない場合には、前記画像形成部を省電力状態のまま、前記画像データ記憶部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、復帰した前記画像データ記憶部に印刷画像データを記憶させ、動作モードが稼動モードである自身以外の画像形成装置へ対して前記印刷画像データと前記印刷画像データに基づく画像形成の要求を前記通信I/F部に送信させる制御部とを、
具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
表示部を具備し、
前記制御部は、動作モードが省電力モードであるときに、前記印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信していない場合には、動作モードが稼動モードである自身以外の画像形成装置へ対して前記印刷画像データと前記印刷画像データに基づく画像形成の要求を前記通信I/F部に送信させ、出力先として前記自身以外の画像形成装置を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置である第1の画像形成装置と、
前記第1の画像形成装置と通信する第2の画像形成装置と、
印刷指示を通信によって前記第1の画像形成装置へ送信する電子機器とを具備し、
前記第1の画像形成装置の前記制御部は、動作モードが省電力モードであるときに、印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信した場合には、前記画像データ記憶部及び前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、前記画像データ記憶部に記憶させた印刷画像データに基づいて画像形成部に画像形成させ、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信していない場合には、前記画像形成部を省電力状態のまま、前記画像データ記憶部を省電力状態から稼働可能な状態へ復帰させ、復帰した前記画像データ記憶部に印刷画像データを記憶させ、動作モードが稼動モードである自身以外の画像形成装置へ対して前記印刷画像データと前記印刷画像データに基づく画像形成の要求を前記通信I/F部に送信させ、
前記第2の画像形成装置は、前記要求を受信すると、前記印刷画像データに基づいて画像形成を実行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
前記第1の画像形成装置の前記制御部は、動作モードが省電力モードであるときに、前記電子機器から印刷指示を通信I/F部が受信し、前記印刷指示と共に前記復帰指示を受信した場合には、前記画像形成部を省電力状態から稼働可能な状態への復帰を開始し、
前記電子機器は、前記画像形成部が復帰するまでの間、印刷画像データを記憶し、前記画像形成部が復帰すると前記印刷画像データを前記第1の画像形成装置へ送信し、
そして、前記第1の画像形成装置の制御部は、前記電子機器から前記通信I/F部が前記印刷画像データを受信すると、当該印刷画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−76349(P2010−76349A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249614(P2008−249614)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】