説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】 両面記録時における搬送時間の無駄を省くことにより、簡単な構成で高速に両面記録を行う。
【解決手段】 両面記録時には、制御部15は、搬送ベルト21を第2方向に回転させるとともに第2給紙トレイ42から用紙を給紙し、搬送ベルト21に用紙を吸着させ、用紙の記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第2方向に搬送し、用紙を第2方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙の表面に記録を行い、表面の記録を終了した用紙を反転部13で反転するとともに搬送ベルト21を第1方向に回転させ、搬送ベルト21に反転した用紙を吸着させ、用紙の記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第1方向に搬送し、用紙を第1方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙の裏面に記録を行い、裏面の記録を終了した用紙を排紙部14に排紙する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面記録及び両面記録をする画像形成装置に関し、特に、両面記録時の画像形成時間の短縮に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット記録装置は、給紙部から記録位置に用紙を給紙し、記録部において記録ヘッドを駆動させて用紙に記録を行い、排紙部により記録後の用紙を装置外または排紙トレイへ排出する。片面のみを記録できるインクジェット記録装置を用いて両面記録を行う場合、作業者は、片面記録を終了して排出された用紙を、表裏反対にして再度給紙するため、手間が必要であり、その煩わしさのせいで両面記録の利用頻度が少なくなる。同量の文書を印刷する際、両面に記録するより片面に記録する方が用紙を大量に消費するため、環境への負荷が重い。
【0003】
特許文献1には、画像情報に応じて被記録材にインクを吐出させて記録を行うための記録手段と、前記被記録材を前記記録手段に搬送するための成第2方向に駆動可能な搬送手段と、記録後の被記録材を反転させて再度前記記録手段に搬送する反転搬送手段と、前記被記録材を前記反転搬送手段に導くためのガイド手段と、記録後の被記録材を排出するための排出手段とを有するインクジェット記録装置に、片面記録のための排出口及び排出トレイを設け、片面記録時のスループットを低下させることなく記録を行おうとすることが提案されている。
【0004】
特許文献1では、両面記録と片面記録とを両方とも高速で行うためには、用紙の排出口及び排出トレイを2つ必要とする。
【0005】
特許文献2では、用紙の両面印字を行う両面印字モードにおいては、第1方向に回転する搬送ベルトにより搬送されてきた用紙の表面に画像を形成した後、搬送ローラを逆回転させて用紙を反転ユニットに搬送し、用紙の表裏面を反転させた後、再度、正回転する搬送ベルトにより再搬送することにより用紙の裏面に画像を形成させるインクジェット装置が提案されている。
【0006】
特許文献3には、搬送手段を第1方向に駆動して記録手段で用紙に記録した後、搬送手段を第2方向へ駆動し、反転搬送手段へ用紙を搬送することによって用紙の両面に記録するインクジェット記録装置が提案されている。
【0007】
特許文献2及び特許文献3では、1つの排出口及び排紙トレイで両面印字を行うことができる一方、両面印字の際、一度印字された用紙をスイッチバックして反対方向に搬送するためタイムロスが生じる。
【0008】
【特許文献1】特開平7-149009号公報
【特許文献2】特開2003-205657号公報
【特許文献3】特開2003-154643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、両面記録時における搬送時間の無駄を省くことにより、簡単な構成で高速に両面記録を行う画像形成装置を提供することを目的とし、両面記録の利便性を向上させることにより両面記録の利用を推奨し、環境負荷の低減に貢献することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の第1の画像形成装置は、互いに第2方向の第1方向と第2方向とに記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される記録媒体に画像を記録する記録手段と、第2方向に搬送された記録媒体の表裏を反転させて第1方向に送り出す反転手段とを備える画像形成装置であって、記録媒体の片面のみに記録を行う片面記録時には、記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により画像を記録し、記録媒体の第1面と第2面との両面に記録を行う両面記録時には、記録媒体を搬送手段により第2方向に搬送しながら記録手段により第1面を記録し、第1面を記録した記録媒体を反転手段により反転し、反転した記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第2面を記録する。
【0011】
この発明の第2の画像形成装置は、第1の画像形成装置において、片面記録時には第1方向に向けて搬送手段に記録媒体を供給し、両面印刷時には第2方向に向けて搬送手段に記録媒体を供給する給紙手段を備える。
【0012】
この発明の第3の画像形成装置は、第2の画像形成装置において、給紙手段は、第1方向に供給する記録媒体を収容する第1給紙トレイと、第2方向に供給する記録媒体を収容する第2給紙トレイとを有する。
【0013】
この発明の第4の画像形成装置は、第3の画像形成装置において、第2給紙トレイは、着脱可能である。
【0014】
この発明の第5の画像形成装置は、第4の画像形成装置において、第2給紙トレイの装着を検出する第2給紙トレイ検出手段を有し、第2給紙トレイ検出手段により第2給紙トレイが未装着であることが検出された状態で両面に記録を行う場合には、記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第1面を記録し、第1面を記録した記録媒体を搬送手段により第2方向に搬送して反転手段に送り、第1面を記録した記録媒体を反転手段により反転し、反転した記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第2面を記録する。
【0015】
この発明の第6の画像形成装置は、第3から第5のいずれかの画像形成装置において、両面記録時に用紙を供給する給紙トレイとして第1給紙トレイと第2給紙とれいとの少なくともいずれかを選択できる選択手段を備え、第2給紙トレイを選択して両面記録を行う場合、第2給紙トレイから搬送手段に記録媒体を供給し、記録媒体を搬送手段により第2方向に搬送しながら記録手段により第1面を記録し、第1面を記録した記録媒体を反転手段により反転し、反転した記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第2面を記録し、第1給紙トレイを選択して両面記録を行う場合、第1給紙トレイから搬送手段に記録媒体を供給し、記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第1面を記録し、第1面を記録した記録媒体を搬送手段により第2方向に搬送して反転手段に送り、第1面を記録した記録媒体を反転手段により反転し、反転した記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第2面を記録する。
【0016】
この発明の第7の画像形成装置は、第2の画像形成装置において、給紙手段は、片面記録時と両面記録時とで記録媒体を収容するトレイの異なる方向から記録媒体を取り出す。
【0017】
この発明の第8の画像形成装置は、第1から第7のいずれかの画像形成装置において、搬送手段は、記録媒体を静電吸着する。
【0018】
この発明の第1の画像形成方法は、互いに第2方向の第1方向と第2方向とに記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される記録媒体に画像を記録する記録手段と、第2方向に搬送された記録媒体の表裏を反転させて第1方向に送り出す反転手段とを備える画像形成装置により画像を形成する画像形成方法であって、記録媒体の片面のみに記録を行う片面記録時には、記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により画像を記録し、記録媒体の第1面と第2面との両面に記録を行う両面記録時には、記録媒体を搬送手段により第2方向に搬送しながら記録手段により第1面を記録し、第1面を記録した記録媒体を反転手段により反転し、反転した記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第2面を記録する。
【0019】
この発明の第2の画像形成方法は、第1の画像形成装置において、両面記録時に記録媒体を供給する給紙トレイとして、第1方向に向けて搬送手段に記録媒体を供給する第1給紙トレイと、第2方向に向けて搬送手段に記録媒体を供給する第2給紙トレイとの少なくともいずれかを選択し、第2給紙トレイを選択して両面記録を行う場合、第2給紙トレイから搬送手段に記録媒体を供給し、記録媒体を搬送手段により第2方向に搬送しながら記録手段により第1面を記録し、第1面を記録した記録媒体を反転手段により反転し、反転した記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第2面を記録し、第1給紙トレイを選択して両面記録を行う場合、第1給紙トレイから搬送手段に記録媒体を供給し、記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第1面を記録し、第1面を記録した記録媒体を搬送手段により第2方向に搬送して反転手段に送り、第1面を記録した記録媒体を反転手段により反転し、反転した記録媒体を搬送手段により第1方向に搬送しながら記録手段により第2面を記録する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、両面記録時において、第1面を記録した記録媒体をスイッチバックすることなく反転手段で反転することができるため、用紙の搬送時間を短縮し、高速に画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第1の実施形態の画像形成装置1は、図1(a)の側面図及び図1(b)の平面図に示すように、搬送部10と記録部11と給紙部12と反転部13と排紙部14と制御部15とを備えている。なお、画像形成装置1は、本実施形態で説明するようなインクジェット記録装置に限らず、搬送される記録媒体に画像を形成する他の形態のものであってもよい。
【0022】
搬送部10は、搬送ローラ20と搬送ベルト21と押さえ部材22とで構成されている。搬送ローラ20は、回転駆動されることにより、掛けまわされた無端の搬送ベルト21を回転させる。搬送ベルト21は帯電することにより用紙を静電吸着しながら搬送する。静電吸着を使用することで、搬送方向に記録ヘッドが長い場合でも、高画質に両面を記録することができる。押さえ部材22は、先端にコロを設けた押さえ板をバネで押すことにより、給紙される用紙を搬送ベルト21に押し付ける。なお、搬送部10は、帯電により用紙を吸着する搬送ベルト21のほか、搬送ローラなど他の形態であってもよく、別の吸着手段を利用した吸着ベルトであってもよい。
【0023】
記録部11は、記録ヘッドとインクタンクとを搭載したキャリッジ30を、駆動モータの動力で駆動される駆動ベルト31により、搬送ベルト21の用紙搬送方向と直交する方向に設けられたシャフト32でガイドしながら走査し、記録ヘッドからインクを吐出し、搬送ベルト21上の用紙に記録を行う。記録ヘッドは、サーマル式やピエゾ式のヘッドや静電ヘッドなどで構成されている。
【0024】
給紙部12は、第1給紙トレイ40と第1給紙ローラ41と第2給紙トレイ42と第2給紙ローラ43とを有する。第1給紙トレイ40及び第2給紙トレイ42は、用紙などの記録媒体を収容しており、第1給紙トレイ40には片面印刷に適した記録媒体が収容され、第2給紙トレイ42には両面印刷に適した記録媒体が収容されている。第1給紙ローラ41は第1給紙トレイ40から搬送ベルト21へ用紙を給紙し、第2給紙ローラ43は第2給紙トレイ42から搬送ベルト21へ用紙を給紙する。第1給紙トレイ40から給紙される用紙と、第2給紙トレイ42から給紙される用紙とは、記録部11を挟んだ両側の異なる位置で搬送ベルト21に到達する。第2給紙トレイ42は、記録部11に近づけて配置されているため、高速に両面記録を行うことができる。
【0025】
反転部13は、第1給紙トレイ40から搬送ベルト21への給紙位置付近において、搬送ベルト21から搬送される用紙の表裏を反転し、再度搬送ベルト21に送り出す。具体的には、反転部13は、切り替え板の上側を通って進入する用紙を、反転ローラで内壁に沿って送り、切り替え板の下側を通して再度搬送ベルト21へ送り出す。反転部13には、進入する用紙の後端と先端とを重ねない十分な距離が確保されている。
【0026】
排紙部14は、第2給紙トレイ42から搬送ベルト21への給紙位置付近において、搬送ベルト21から搬送される用紙を排紙する。制御部15は、画像形成装置1全体の動作を制御する。
【0027】
画像形成装置1の片面記録及び両面記録の各動作を説明する。なお、搬送ベルト21の搬送方向において、記録部11を通過する用紙が、第1給紙トレイ40の給紙位置から排紙部14へ向う方向を第1方向とし、第2給紙トレイ42の給紙位置から反転部13へ向う方向を第2方向とする。
【0028】
片面記録時には、制御部15は、搬送ベルト21を第1方向に回転させるとともに第1給紙トレイ40から用紙を給紙し、搬送ベルト21に用紙を吸着させ、用紙の記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第1方向に搬送し、用紙を第1方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙に記録を行い、記録を終了した用紙を排紙部14に排紙する。
【0029】
両面記録時には、制御部15は、搬送ベルト21を第2方向に回転させるとともに第2給紙トレイ42から用紙を給紙し、搬送ベルト21に用紙を吸着させ、用紙の記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第2方向に搬送し、用紙を第2方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙の表面に記録を行い、表面の記録を終了した用紙を反転部13で反転するとともに搬送ベルト21を第1方向に回転させ、搬送ベルト21に反転した用紙を吸着させ、用紙の記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第1方向に搬送し、用紙を第1方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙の裏面に記録を行い、裏面の記録を終了した用紙を排紙部14に排紙する。
【0030】
第1の実施形態の画像形成装置1によれば、両面記録時において、表面の記録を終了した用紙をスイッチバックする必要なく反転部13に送ることができるため、用紙の搬送時間を短縮し、高速に画像を形成することができる。第1の実施形態の画像形成装置1によれば、片面記録時と両面記録時とで排紙方向が同一であるため、排紙部14の構成を簡単にすることができる。
【0031】
第1の実施形態の画像形成装置1によれば、片面記録時と両面記録時とで異なる用紙トレイから記録媒体を給紙するため、片面記録時と両面記録時とで異なる記録媒体を用いる場合においても、作業者が記録媒体の入れ替えを行う必要がなく、手間なく高速に画像を形成することができ、両面記録の利便性を向上させることにより両面記録の利用を推奨し、環境負荷の低減に貢献することができる。
【0032】
なお、記録部11は、キャリッジ30を走査するタイプのほか、ラインプリンタなどの場合のようにラインヘッドを用いたものなど他の形態をもつものであってもよい。ラインプリンタにおいては、両面記録に要する時間のうち大きな割合を占める用紙の搬送時間を短縮することにより、全体の画像形成の時間を大きな割合で短縮することができる。
【0033】
第2の実施形態の画像形成装置2は、図2の側面図に示すように、搬送部10と記録部11と給紙部50と反転部13と排紙部14とを備えている。搬送部10と記録部11と反転部13と排紙部14とは第1の実施形態の画像形成装置1の場合と同様の構成をもつ。
【0034】
給紙部50は、給紙トレイ51と第1ガイド板52と第2ガイド板53と第1給紙ローラ54と第2給紙ローラ55とを有する。給紙トレイ51は、用紙などの記録媒体を収容している。第1ガイド板52は、給紙トレイ51から搬送ベルト21の反転部13側へ用紙を案内する。第2ガイド板53は、給紙トレイ51から搬送ベルト21の排紙部14側へ用紙を案内する。第1給紙ローラ54は第1ガイド板52側へ用紙を給紙し、第2給紙ローラ55は第2ガイド板53側へ用紙を給紙する。給紙部50は、第1給紙ローラ54と第2給紙ローラ55とのいずれで用紙を給紙するかにより、記録部11を挟んだ両側の異なる位置から搬送ベルト21に用紙を供給することができる。
【0035】
画像形成装置2の片面記録及び両面記録の各動作を説明する。なお、搬送ベルト21の搬送方向において、記録部11を通過する用紙が第1ガイド板52による給紙位置から第2ガイド板53による給紙位置へ向う方向を第1方向とし、第2ガイド板53による給紙位置から第1ガイド板52による給紙位置へ向う方向を第2方向とする。
【0036】
片面記録時には、制御部15は、搬送ベルト21を第1方向に回転させるとともに第1給紙ローラ54を駆動させて第1ガイド板52側から搬送ベルト21に用紙を給紙し、搬送ベルト21に用紙を吸着させ、用紙の記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第1方向に搬送し、用紙を第1方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙に記録を行い、記録を終了した用紙を排紙部14に排紙する。
【0037】
両面記録時には、制御部15は、搬送ベルト21を第2方向に回転させるとともに第2給紙ローラ55を駆動させて第2ガイド板53側から搬送ベルト21に用紙を給紙し、搬送ベルト21に用紙を吸着させ、用紙の記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第2方向に搬送し、用紙を第2方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙の表面に記録を行い、表面の記録を終了した用紙を反転部13で反転するとともに搬送ベルト21を第1方向に回転させ、搬送ベルト21に反転した用紙を吸着させ、記録領域を記録ヘッドに到達させるように用紙を第1方向に搬送し、用紙を第1方向にわずかずつ送りながらキャリッジ30を走査して用紙の裏面に記録を行い、裏面の記録を終了した用紙を排紙部14に排紙する。
【0038】
第2の実施形態の画像形成装置2によれば、両面記録時において、表面の記録を終了した用紙をスイッチバックする必要なく反転部13に送ることができるため、用紙の搬送時間を短縮することができる。第2の実施形態の画像形成装置2によれば、片面記録時及び両面記録時に記録媒体を供給する給紙トレイを共通としているため、装置構成を小さくすることができる。
【0039】
第3の実施形態の画像形成装置3は、図3の構成図に示すように、第1の実施形態の画像形成装置1において第2給紙トレイ42を着脱することができ、第2給紙トレイ検出部60と選択部61とを備えている。
【0040】
第2給紙トレイ42は、図4(a)の平面図、図4(b)のA1-A2図、及び図3(c)の側面図に示すように、用紙を支える筐体を形成するガイド62と、ガイド62内に用紙を出し入れするために回転軸63を中心に開閉自在なふた64と、ガイド62の底部に接続されたバネ65と、バネ65に接続されて用紙の底部を支持する用紙支持板66と、ガイド62の画像形成装置3への挿入方向先端に設けられた突起67とを有する。なお、給紙トレイ42は、画像形成装置3に装着された際に簡単にはずれないようなロック機構を有することが望ましい。また、バネ65の代わりに、くの字型の金具やゴムなどの弾性体を用いてもよい。
【0041】
第2給紙トレイ42を画像形成装置3に装着した場合、用紙支持板の上にある用紙がバネの力で第2給紙ローラ43に押し当てられるため給紙が可能となる。ここで、第2給紙トレイ42が画像形成装置3に装着されていないときはバネ65にロックがかかり、装着された際にバネ65による力が加わるような機構を有することが望ましい。
【0042】
第2給紙トレイ検出部60は、凹型のガイドを有しており、第2給紙トレイ42が画像形成装置3に装着され、突起67が凹型のガイドに挿入されると、制御部15から出力されている検知信号を、第2給紙トレイ42へ電気的に導通させることにより、第2給紙トレイ42の装着を検知する。なお、第2給紙トレイ検出部60は、第2給紙トレイ検出部60の装着を検出できれば、光学センサや磁気センサなどの他のセンサを用いたものであってもよい。
【0043】
選択部61は、両面記録時において第1給紙トレイ40と第2給紙トレイ42とのいずれから給紙を行うかを入力する。
【0044】
画像形成装置3の両面記録時の動作を図5のフロー図を用いて説明する。まず、制御部15は、選択部61から第1給紙トレイ40からの給紙と第2給紙トレイ42からの給紙との、いずれが選択されているか入力を受ける(ステップS10)。制御部15は、第2給紙トレイ42からの給紙が選択されている場合、第2給紙トレイ検出部60からの入力に基づいて第2給紙トレイ42が装着されているか検出し(ステップS11)、第2給紙トレイ42が装着されていれば、第1の実施形態の両面記録時の動作と同様に、第2給紙トレイ42から用紙を給紙して両面記録を行う(ステップS12)。制御部15は、第1給紙トレイ40からの給紙が選択されている場合、または、第2給紙トレイ42からの給紙が選択されているが第2給紙トレイ42が装着されていない場合には、第1給紙トレイ40から用紙を給紙して両面記録を行う(ステップS13)。第1給紙トレイ40から用紙を給紙して両面記録を行う場合は、第1方向に用紙を搬送して表面の記録を行い、搬送ベルト21を第2方向にスイッチバックして反転部13に用紙を送り、反転した用紙を第1方向に搬送して裏面の記録を行う。
【0045】
第1給紙トレイ40から給紙する場合にはスイッチバックを行うため、第2給紙トレイ42から給紙するほうが早い速度で両面印字することができる。
【0046】
選択部61を備えることにより、例えば、第2給紙トレイ42に両面印字用の高価な紙をセットし、第1給紙トレイ40に片面印字用の比較的安価な紙をセットしておき、それほど高価な用紙に記録する必要がなくかつ遅い印刷速度でよいユーザは第1給紙トレイ40を選択し、両面記録用の高価な用紙に記録する必要がありまたは速く印刷を行いたいユーザは第2給紙トレイ42を選択するなど、ユーザの希望のとおりに印刷することができる。
【0047】
第2給紙トレイ42を着脱可能に形成することにより、高速両面記録を必要とする画像形成装置と高速両面記録を必要としない画像形成装置とにおいて基本構造を同じに構成することができる。第2給紙トレイ検出部60を備えることにより、第2給紙トレイ42が装着されていない場合に、誤って第2給紙トレイ42から給紙する動作を行うことを防止することができる。
【0048】
第3の実施形態の画像形成装置3によれば、両面記録時において、表面の記録を終了した用紙をスイッチバックする必要なく反転部13に送ることができるため、用紙の搬送時間を短縮することができるとともに、ユーザが印刷速度や用紙の種類を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の構成図である。
【図2】第2の実施形態の画像形成装置の構成図である。
【図3】第3の実施形態の画像形成装置の構成図である。
【図4】第3の実施形態の第2給紙トレイの構成図である。
【図5】第3の実施形態の画像形成装置の両面記録時のフロー図である。
【符号の説明】
【0050】
1;画像形成装置、2;画像形成装置、3;画像形成装置、10;搬送部、
11;記録部、12;給紙部、13;反転部、14;排紙部、15;制御部、
20;搬送ローラ、21;搬送ベルト、22;押さえ部材、30;キャリッジ、
31;駆動ベルト、32;シャフト、40;第1給紙トレイ、41;第1給紙ローラ、
42;第2給紙トレイ、43;第2給紙ローラ、50;給紙部、51;給紙トレイ、
52;第1ガイド板、53;第2ガイド板、54;第1給紙ローラ、
55;第2給紙ローラ、60;第2給紙トレイ検出部、61;選択部、62;ガイド、
63;回転軸、64;ふた、65;バネ、66;用紙支持板、67;突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆方向の第1方向と第2方向とに記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される前記記録媒体に画像を記録する記録手段と、前記第2方向に搬送された前記記録媒体の表裏を反転させて前記第1方向に送り出す反転手段とを備える画像形成装置であって、
前記記録媒体の片面のみに記録を行う片面記録時には、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により画像を記録し、
前記記録媒体の前記第1面と前記第2面との両面に記録を行う両面記録時には、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第2方向に搬送しながら前記記録手段により前記第1面を記録し、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記反転手段により反転し、反転した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第2面を記録することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記片面記録時には前記第1方向に向けて前記搬送手段に前記記録媒体を供給し、前記両面印刷時には前記第2方向に向けて前記搬送手段に前記記録媒体を供給する給紙手段を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給紙手段は、前記第1方向に供給する前記記録媒体を収容する第1給紙トレイと、前記第2方向に供給する前記記録媒体を収容する第2給紙トレイとを有する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2給紙トレイは、着脱可能である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2給紙トレイの装着を検出する第2給紙トレイ検出手段を有し、
前記第2給紙トレイ検出手段により前記第2給紙トレイが未装着であることが検出された状態で両面に記録を行う場合には、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第1面を記録し、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第2方向に搬送して前記反転手段に送り、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記反転手段により反転し、反転した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第2面を記録する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記両面記録時に用紙を供給する給紙トレイとして前記第1給紙トレイと前記第2給紙とれいとの少なくともいずれかを選択できる選択手段を備え、
前記第2給紙トレイを選択して前記両面記録を行う場合、前記第2給紙トレイから前記搬送手段に記録媒体を供給し、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第2方向に搬送しながら前記記録手段により前記第1面を記録し、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記反転手段により反転し、反転した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第2面を記録し、
前記第1給紙トレイを選択して前記両面記録を行う場合、前記第1給紙トレイから前記搬送手段に記録媒体を供給し、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第1面を記録し、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第2方向に搬送して前記反転手段に送り、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記反転手段により反転し、反転した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第2面を記録する請求項3から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記給紙手段は、前記片面記録時と前記両面記録時とで前記記録媒体を収容するトレイの異なる方向から前記記録媒体を取り出す請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、前記記録媒体を静電吸着する請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
互いに逆方向の第1方向と第2方向とに記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される前記記録媒体に画像を記録する記録手段と、前記第2方向に搬送された前記記録媒体の表裏を反転させて前記第1方向に送り出す反転手段とを備える画像形成装置により画像を形成する画像形成方法であって、
前記記録媒体の片面のみに記録を行う片面記録時には、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により画像を記録し、
前記記録媒体の前記第1面と前記第2面との両面に記録を行う両面記録時には、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第2方向に搬送しながら前記記録手段により前記第1面を記録し、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記反転手段により反転し、反転した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第2面を記録することを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記両面記録時に前記記録媒体を供給する給紙トレイとして、前記第1方向に向けて前記搬送手段に前記記録媒体を供給する第1給紙トレイと、前記第2方向に向けて前記搬送手段に前記記録媒体を供給する第2給紙トレイとの少なくともいずれかを選択し、
前記第2給紙トレイを選択して両面記録を行う場合、前記第2給紙トレイから前記搬送手段に記録媒体を供給し、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第2方向に搬送しながら前記記録手段により前記第1面を記録し、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記反転手段により反転し、反転した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第2面を記録し、
前記第1給紙トレイを選択して両面記録を行う場合、前記第1給紙トレイから前記搬送手段に記録媒体を供給し、前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第1面を記録し、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第2方向に搬送して前記反転手段に送り、前記第1面を記録した前記記録媒体を前記反転手段により反転し、反転した前記記録媒体を前記搬送手段により前記第1方向に搬送しながら前記記録手段により前記第2面を記録することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−199425(P2006−199425A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12492(P2005−12492)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】