説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】契約印字率、印刷契約枚数に基づいて保守契約を行っている場合に、実際に画像を形成する前に、契約条件を超えてしまうか否かを判断できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ユーザがコピーを指示すると、全ての原稿の画像を読み取った後、残印刷可能枚数が100枚より多いか否かを判定し、100枚より多い場合、画像データを印刷する(S201〜S203)。一方、残印刷可能枚数が100枚より少ない場合、読み取った画像データの1ページ当たりの平均印字率を演算した後、平均印字率、契約印字率及び1つのコピージョブ内の印刷枚数から契約印字率に換算した換算枚数を演算し、プリント可否の問い合わせ画面を表示する(S204〜S207)。そして、ユーザが印刷を指示した場合、画像データを印刷し、ユーザが中止を指示すれば、プログラムを終了する(S208〜S210)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取って画像データに変換し、この画像データを用紙上に記録する、デジタル複合機等の画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機能、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャナ機能等を有する最近のデジタル複合機あるいはコピー機等の画像形成装置では、コピーを行う際には、読み取った原稿の画像データをプリンタに供給して用紙上に記録している。
【0003】
このような画像形成装置の保守契約を行う場合、例えば、「印字率20%として月間2400枚までは、最初に支払った基本料金の範囲内で、トナー等の消耗品の調達を含む保守/サービスを行う」という内容の契約が行われる。このような保守契約を行った場合、実際の使用実績が平均印字率20%で月2000枚であった場合、ユーザはあと400枚印字できたので損をすることになる。
【0004】
一方、実際の使用実績は平均印字率20%で3000枚であったとき、印字枚数が契約範囲を超えているため、ユーザは超過分600枚の追加料金を支払うことになる。また、実際の使用実績が平均印字率30%で2400枚とすれば、使用実績として印字率(黒字率)の算出及び管理を行っていない場合、追加料金は発生せず、販売側が損をすることになる。すなわち、平均印字率30%での2400枚は、印字率20%に換算すれば3600枚となり、超過分の1200枚分の消耗品を基本料金内で提供することになる。
【0005】
上記のように、実際の平均印字率が想定されている印字率より高い場合、追加料金を取らなければ、基本料金に含まれる分を超えたトナーが基本料金によって使われることになるので、販売側が損をすることになる。また、逆に、実際の平均印字率が想定されている印字率より低い場合、基本料金に含まれる分のトナーをすべて使い切ることができないのでユーザが損をすることになる。このような不都合を解消するためには、契約印字率、印刷契約枚数に基づいて保守契約を行う必要がある。
【0006】
一方、トナーカセットの交換時期を把握するため、画像形成時に黒率、すなわち、1ページの黒画素数の全画素数に対する割合を演算し、現時点の黒率によって画像の形成を続けた場合の残記録可能枚数を表示することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、残記録可能枚数は、標準の画像を形成した場合の平均黒率、平均画像形成枚数、カセット交換から現時点までに形成したすべての画像における平均黒率及び現時点での画像形成枚数から演算される。
【特許文献1】特開2000−32199号公報
【0007】
また、プリンタ機能や複写機能等の各記録機能毎に適切な使用料金を設定、徴収できるように、各機能毎の累積使用料金を演算することが提案されている。すなわち、各機能毎に設定された記録用紙単位枚数当たりの使用料金を記憶しておき、各機能毎の使用枚数と単位枚数当たりの使用料金とに基づいて各機能毎の累積使用料金を演算して記録することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2002−354163号公報
【0008】
さらに、画像形成装置の使用料金を予算内に収めるため、プリントする毎に印字率を積算し、印字率積算カウンタ値が予め設定されている上限カウンタ値に到達したとき、または、上限カウンタ値を超えそうな場合、ユーザに通知することも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献3】特開2004−74530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
契約印字率、印刷契約枚数に基づいて保守契約を行う場合、上記の残印刷可能枚数の演算を保守契約に適用して残印刷可能枚数を表示することが考えられる。しかしながら、残印刷可能枚数が少なくなった場合、実際にコピーを実行しないと、残印刷可能枚数を越えるか否かを判断することができない。すなわち、コピーする原稿の印字率がわからないため、残印刷可能枚数より少ない枚数の原稿をコピーした場合に、残印刷可能枚数がマイナスになることが生じる。例えば、契約印字率が20%で残印刷可能枚数が30枚の場合、コピーする原稿の原稿枚数が20枚で印字率が40%であった場合、契約印字率に換算すると40枚になるので、残印刷可能枚数は−10枚となってしまう。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、契約印字率、印刷契約枚数に基づいて保守契約を行っている場合に、実際に画像を形成する前に、契約条件を超えてしまうか否かを判断できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部と、前記画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記各部を制御する制御部とを備えた画像形成装置において、コピー実行時に、前記制御部が、前記画像読取部により原稿を読み取った後、得られた画像データの印字率、保守契約の契約印字率及び当該コピーで印刷する印刷枚数から契約印字率に換算した換算枚数を演算するとともに、演算した換算枚数を報知し、ユーザが印刷を指示したとき、前記画像形成部により前記画像データに基づいて画像形成を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の画像形成装置は、上記の画像形成装置において、前記画像形成部が画像を形成する毎に、前記制御部が、保守契約の印刷契約枚数、契約印字率、その時点までの平均印字率及びその時点までの印刷枚数から残印刷可能枚数を演算し、コピー実行時に残印刷可能枚数が設定枚数以下のとき、前記制御部が換算枚数を報知することを特徴とする。
また、本発明のさらに他の画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかにおいて、前記制御部が、換算枚数ととともに残印刷可能枚数を表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像形成方法は、コピー実行時に原稿を読み取って画像データを取得し、当該画像データの印字率、保守契約の契約印字率及び当該コピーで印刷する印刷枚数から契約印字率に換算した換算枚数を演算するとともに、演算した換算枚数を報知し、ユーザが印刷を指示したとき、前記画像データに基づき画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、コピー実行時に、原稿を読み取った画像データの印字率、保守契約の契約印字率及び当該コピーで印刷する印刷枚数から契約印字率に換算した換算枚数が演算され、演算された換算枚数が報知される。したがって、残印刷可能枚数が少なくなったとき、実際に原稿のコピーを行った場合に、保守契約の印刷契約枚数を超えるか否かを確認できるので、保守契約の契約枚数超過を容易に防止できる。
【0015】
また、本発明の他の画像形成装置によれば、残印刷可能枚数が設定枚数以下のとき、換算枚数が表示されるので、残印刷可能枚数が多い時に無駄に換算枚数を報知することを防止でき、円滑にコピーを実行できる。
また、本発明のさらに他の画像形成装置によれば、換算枚数ととともに、残印刷可能枚数が表示されるので、保守契約の印刷契約枚数を超えるか否かを容易に確認でき、保守契約の契約枚数超過を確実に防止できる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の画像形成装置をデジタル複合機に適用した実施例について説明する。
なお、本実施例では、デジタル複合機の保守契約として、1集計期間、例えば、1ヶ月、または、3ヶ月の期間内において、所定の契約印字率と基本料金内で追加料金無しに消耗品が提供される印刷契約枚数が契約される。具体的には、A4用紙に換算した1集計期間内の印刷契約枚数が契約され、例えば、契約印字率20%とA4用紙に換算した1集計期間内の印刷契約枚数2400枚がデジタル複合機に登録される。
【0017】
そして、1集計期間において、残印刷可能枚数が設定枚数以下になれば、それ以降に実行されるコピー処理において、印刷を行うか否かの問い合わせ画面が表示される。また、計数される実際の印刷枚数(実績印刷枚数)は集計期間の経過後、リセットされる。
【0018】
図1はデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。CPU1はバス11を介してデジタル複合機のハードウェア各部を制御するとともに、ROM(Read Only Memory)2に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行する。ROM2はデジタル複合機の動作に必要な種々のプログラム及び操作メッセージ等を予め記憶する。また、RAM(Random Access Memory)3は、プログラムの実行時に発生する一時的なデータ及び設定された保守契約の集計期間、契約印字率及び印刷契約枚数を記憶する。また、このRAM3は、1集計期間内に実際に実行した印刷の1ページ当たりのA4換算の平均印字率、使用実績としての実績印刷枚数、及び、契約印字率でA4用紙に換算した残印刷可能枚数も記憶する。
【0019】
操作パネル4は、デジタル複合機の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、デジタル複合機を操作するための複数のキーを含む。
図2はこの操作パネル4の詳細な構成を示す図である。表示部を構成するLCD表示部41には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部41に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択あるいは機能を実行できる。
【0020】
また、操作キーとして、テンキー42、スタートキー43、リセットキー44、ストップキー45、複数のワンタッチダイヤルキー46、十字キー47、リターンキー48、セットキー49が設けられている。さらに、機能切替キーとして、FAX切替キー50、コピー切替キー51、スキャナ切替キー52が設けられている。なお、LCD表示部41によりこれらの操作キーあるいは機能切替キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0021】
読取部5はオートドキュメントフィーダー(ADF)及び/またはフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、ドットイメージデータを出力する。
この読取部5は、図に示すように、CCD21、画像信号処理回路22、メモリコントローラ23、ページメモリ24、コーデック25を含み、画像信号処理回路22はCCD21からの画像信号を2値化する。メモリコントローラ23はこの2値化された画像信号の1ページ分をページメモリ24に記憶した後、コーデック25により1ページ分の画像データをMH、MRまたはMMR方式により符号化して出力する。
【0022】
また、画像メモリ6は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等を用いて構成され、ファクス機能により送信すべき画像データまたは受信した画像データあるいはスキャナ機能で読み取った画像データを記憶する。記録部7はプリンタを備え、ファクス受信した画像データ、コピーの画像データあるいは外部のパソコン等から送信された画像データをプリントアウトする。
【0023】
この記録部7は、図に示すように、メモリコントローラ26、ページメモリ27、コーデック28、プリンタ画像処理回路29、プリンタ30及び黒画素数カウンタ31を含む。プリント時には、画像メモリ6からの符号化画像データをコーデック28により復号し、メモリコントローラ26が復号された1ページ分の画像データをページメモリ27に記憶させる。そして、メモリコントローラ26は、ページメモリ27より1ページ分の画像データを読み出してプリンタ画像処理回路29に供給し、プリンタ画像処理回路29はプリンタ30に白黒画像制御信号を入力する。
【0024】
黒画素数カウンタ31は、プリンタのトナー使用量などを把握するために設けられているものであり、プリンタ画像処理回路29より出力される白黒画像制御信号中の黒画素をカウントする。なお、両面コピー等の両面印刷の場合には、片面毎に黒画素数を計数する。この黒画素数カウンタ31はバス11に接続されており、CPU1は直接カウント値にアクセスできる。また、CPU1からの制御信号により黒画素数カウンタ31をクリアでき、プリントを始める前に、CPU1は、黒画素数カウンタ31をクリアし、カウント値を「0」にする。
【0025】
一方、モデム8はバス11に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム8は同様にバス11に接続されたネットワーク制御ユニット(NCU)9と接続されている。NCU9はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム8を公衆交換電話網(PSTN)に接続する。
【0026】
また、LAN(Local Area Network)インターフェース10はLANに接続され、LANに接続されたパソコン等からの信号を受信する。また、このLANインターフェース10は、LANに対して信号の送信も実行するものであり、信号変換あるいはプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。
【0027】
デジタル複合機は上記のような構成を備えており、ファクシミリ送信時には、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック25で圧縮された画像データが画像メモリ6に蓄積される。この圧縮された画像データが画像メモリ6から読み出されてモデム8で変調され、NCU9からPSTNを通して通信相手先に送信される。また、ファクシミリ受信時には、受信した画像データがモデム8で復調され、画像メモリ6に蓄積された後、コーデック28で復号されてプリンタ30により印刷される。
【0028】
次に、プリント時に実行される平均印字率、残印刷可能枚数の演算について図3のフローチャートにより説明する。
1ページを印刷する毎に、CPU1は図3のフローチャートに示す印字率、残印刷可能枚数の演算プログラムを開始し、まず、RAM3に記憶されている1集計期間内の使用実績としての実績印刷枚数に1を加算する(ステップ101)。次に、CPU1は、黒画素数カウンタ31から1ページの黒画素数を取得し、取得した黒画素数からA4用紙に換算した印字率rを演算した(ステップ102)後、この印字率rを用いて平均印字率rを演算してRAM3に記憶する(ステップ103)。
【0029】
すなわち、CPU1は、取得した黒画素数とA4用紙の全画素数の比より印字率rを演算し、平均印字率r
平均印字率r={直前の平均印字率×(実績印刷枚数−1)+r}/実績印刷枚数
により求める。
なお、「平均印字率r」は1集計期間の最初から現時点までのA4換算の印字率の平均値であり、「直前の平均印字率」は1集計期間の最初から直前の印字までのA4換算の印字率の平均値である。また、「実績印刷枚数」は1集計期間中の使用実績としての全印刷枚数である。
【0030】
次に、CPU1は、契約印字率(20%)でA4用紙に換算した残印刷可能枚数を演算してRAM3に記憶した(ステップ104)後、プログラムを終了する。すなわち、CPU1は、
残印刷可能枚数=(契約印字率×印刷契約枚数−実績印刷枚数×平均印字率)/契約印字率
により残印刷可能枚数を演算してRAM3に記憶する。この「残印刷可能枚数」は、残りの1集計期間内に契約印字率で印刷することが可能な枚数であり、A4用紙に換算した枚数である。
なお、上記の例では1ページ印刷する毎に平均印字率を演算したが、1ページ毎の印字率rをすべてRAM3に記憶し、1集計期間内のすべての印字率rの合計Σrを用いて、
残印刷可能枚数=(契約印字率×印刷契約枚数―Σr)/契約印字率
により残印刷可能枚数を求めることもできる。
【0031】
次に、コピー実行時のCPU1の作用を図4のフローチャートにより説明する。
ユーザが操作パネル4のコピー切替キー51を押下するとともに、読取部5の原稿載置部に原稿をセットし、印刷部数等を設定した後、スタートキー43を押下すれば、CPU1は図4のフローチャートに示すコピープログラムを開始する。このコピープログラムにより、CPU1は、まず、原稿載置部に載置された原稿を読取部5によりすべて読み取り、画像データを画像メモリ6に記憶する(ステップ201)。
【0032】
次に、CPU1は、RAM3に記憶している残印刷可能枚数が100枚より多いか否かを判定する(ステップ202)。残印刷可能枚数が100枚より多い場合、CPU1は、画像メモリ6に記憶している画像データを記録部7のプリンタ30により印刷し(ステップ203)、プログラムを終了する。
【0033】
一方、ステップ202で残印刷可能枚数が100枚より少ないと判定した場合、CPU1は読取部5で読み取った画像データの1つのコピージョブにおける総黒画素数を取得する(ステップ204)。すなわち、CPU1は、画像メモリ6からの符号化画像データをコーデック28により復号し、メモリコントローラ26が復号された1ページ分の画像データをページメモリ27に記憶させる。そして、メモリコントローラ26が、ページメモリ27より1ページ分の画像データを読み出しプリンタ画像処理回路29に供給し、プリンタ画像処理回路29が画像データを黒画素カウンタ31に供給する。以上の動作を、画像メモリ6に記憶されている画像データのすべてのページについて実行して、1つのコピージョブにおける総黒画素数を求める。
【0034】
次に、CPU1は、取得した総黒画素数を1つのコピージョブの総原稿ページ数で割った値とA4用紙の全画素数の比よりA4用紙換算の平均印字率qを演算する(ステップ205)。この後、CPU1は、
換算枚数=総原稿ページ数×印刷部数×平均印字率q/契約印字率
により換算枚数を演算し(ステップ206)、LCD表示部41に換算枚数及びプリント可否の問い合わせ画面を表示する(ステップ207)。
図5は、総原稿ページ数が20枚、印刷部数が1部、平均印字率が40%の場合の問い合わせ画面の一例である。図に示すように、残印刷可能枚数50枚と印刷実行時の換算枚数、すなわち、契約印字率20%に換算した40枚が問い合わせ画面に表示されるので、ユーザは両者の値を比較して印刷を実行するか否かを判断できる。
【0035】
LCD表示部41に問い合わせ画面を表示した後、CPU1は「OK」ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップ208)、「OK」ボタンが押下されたと判定した場合、画像データをプリンタ30により印刷する(ステップ209)。また、ステップ208で、「OK」ボタンが押下されていないと判定した場合、CPU1は、「NO」ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップ210)、「NO」ボタンが押下されたと判定した場合、印刷を中止してプログラムを終了する。一方、ステップ210で「NO」ボタンが押下されていないと判定した場合、CPU1は、ステップ208に戻って再び「OK」ボタンが押下されたか否かを判定する。
【0036】
以上のように、残印刷可能枚数が設定枚数以下になれば、コピーを実行するときに、原稿読取が完了した時点において、コピー処理を中断して印刷可否の問い合わせ画面が表示される。この問い合わせ画面には契約印字率に換算した換算枚数と残印刷可能枚数が表示されるので、実際に原稿のコピーを行った場合に、保守契約の印刷契約枚数を超えるか否かを確認でき、保守契約の契約枚数超過を容易に防止できる。
【0037】
上記のように、残印刷可能枚数が設定枚数以下になったとき、コピー処理を中断して印刷可否の問い合わせ画面を表示しても、コピーが必要な場合には、契約印字率に換算した合計印刷枚数が印刷契約枚数を超過することがある。このため、契約印字率に換算した合計印刷枚数の持ち越し機能を持たせることもできる。
すなわち、契約内容として、契約印字率、印刷契約枚数に加えて、契約期間、例えば、48ヶ月を登録できるようにし、契約期間内において、1集計期間、例えば、1ヶ月または3ヶ月内の超過分または未使用分を以降の集計期間に持ち越せるようにする。なお、契約印字率に換算した合計印刷枚数は、実績印刷枚数×平均印字率/契約印字率により求めることができる。
【0038】
例えば、契約印字率20%で印刷契約枚数が2400枚の保守契約の場合において、1月の使用実績が印字率20%換算で3000枚の合計印刷枚数であったとする。この場合、2月分の契約内容を契約印字率20%で印刷契約枚数を1800枚(2400枚−600枚)に置き換えて残印刷可能枚数を演算し、上記の印刷可否の報知を行う。
一方、1月の使用実績が印字率20%換算で2000枚の合計印刷枚数であった場合、2月分の契約内容を契約印字率20%で印刷契約枚数を2800枚(2400枚+400枚)に置き換える。そして、この置き換えた印刷契約枚数で残印刷可能枚数を演算して上記の印刷可否の報知を行う。
【0039】
このようにすれば、1集計期間で契約印字率に換算した合計印刷枚数が印刷契約枚数に対して超過または不足しても、契約期間全体において契約印字率に換算した合計印刷枚数を印刷契約枚数とほぼ同じ値に調整することが可能となる。なお、この超過分持ち越し及び未使用分持ち越しの機能は、機器設定によりオン/オフを変更できるようにし、両方まとめて変更できるようにしてもよいし、個別に変更できるようにしてもよい。
【0040】
また、上記の実施例では、残印刷可能枚数が設定枚数以下になったとき、印刷可否の問い合わせ画面を表示したが、コピーの実行によって残印刷可能枚数がマイナスになるときに、問い合わせ画面を表示することもできる。すなわち、現在実行しようとしているコピーを実行すれば、1集計期間における契約印字率に換算した合計印刷枚数が、基本料金下の印刷契約枚数を超えるときに、問い合わせ画面を表示する。
【0041】
さらに、上記の実施例では、黒画素数カウンタを用いて印字率を演算したが、黒画素カウンタを用いることなく、原稿読取後にプリンタ画像処理回路29からの印刷用の画像データあるいは画像メモリ6に記憶された画像データに基づき印字率を求めることも可能である。この場合は、印刷設定に応じて、例えば、縮小する場合は等倍の場合よりも縮小率に応じて画像データより求めた印字率を減少させ、Nin1の場合は1in1の場合よりも印刷枚数を減少する等の演算を行うことになる。
また、上記の実施例では、1ページ印刷毎に平均印字率、残印刷可能枚数を演算したが、デジタル複合機の機能毎、例えば、コピー機能、ファクス受信機能、プリント機能の実行毎に平均印字率、残印刷可能枚数を演算して記憶してもよい。
【0042】
さらに、上記の実施例では、残印刷可能枚数が設定枚数以下のとき自動的に問い合わせ画面が表示されるようにしたが、残印刷可能枚数に関係なく、常時、問い合わせ画面を表示してもよい。
また、操作パネル4に確認スイッチを設け、コピー時に確認スイッチが押下されたことに伴って問い合わせ画面を表示することも可能であり、この確認スイッチによる確認機能のオン/オフを機器設定により変更可能にすることもできる。
【0043】
さらに、上記の実施例では、モノクロ印字の場合について説明したが、カラー印字とモノクロ印字とで別個に印字率、印字枚数を算出し、カラー印字の場合に、色材毎に印字率を算出し、各色材の印字率を平均して算出してもよい。色材として、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を使用する場合、例えば、シアンの場合、画像データ等から1ページのシアンの画素数を求め、取得したシアンの画素数とA4用紙の全画素数の比よりシアンの印字率を算出することができる。そして、求めた各色材の印字率の平均値、カラーの契約印字率及びカラーの印刷契約枚数から残印刷可能枚数を演算するとともに、コピー実行時に色材毎の印字率の平均値を用いて換算枚数を演算できる。
【0044】
また、1つの画像形成装置を複数のユーザで共用する場合、保守契約をユーザ毎に行い、ユーザ毎に残印刷可能枚数を算出して問い合わせ画面を表示することも可能である。
また、上記の実施例では、本発明の画像形成装置をデジタル複合機に適用した例について説明したが、ファクシミリ機能を持たない通常のコピー機にも本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】操作パネルの詳細な構成を示す図である。
【図3】プリント時に実行される平均印字率、残印刷可能枚数の演算の作用を示すフローチャートである。
【図4】コピー実行時のCPUの作用を示すフローチャートである。
【図5】プリント可否の問い合わせ画面の一例である。
【符号の説明】
【0046】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 操作パネル
5 読取部
6 画像メモリ
7 記録部
8 モデム
9 NCU
10 LAN I/F
11バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部と、前記画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、前記各部を制御する制御部とを備えた画像形成装置において、
コピー実行時に、前記制御部が、前記画像読取部により原稿を読み取った後、得られた画像データの印字率、保守契約の契約印字率及び当該コピーで印刷する印刷枚数から契約印字率に換算した換算枚数を演算するとともに、演算した換算枚数を報知し、ユーザが印刷を指示したとき、前記画像形成部により前記画像データに基づいて画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記画像形成部が画像を形成する毎に、前記制御部が、保守契約の印刷契約枚数、契約印字率、その時点までの平均印字率及びその時点までの印刷枚数から残印刷可能枚数を演算し、コピー実行時に残印刷可能枚数が設定枚数以下のとき、前記制御部が換算枚数を報知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された画像形成装置において、
前記制御部が、換算枚数ととともに残印刷可能枚数を表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
コピー実行時に原稿を読み取って画像データを取得し、当該画像データの印字率、保守契約の契約印字率及び当該コピーで印刷する印刷枚数から契約印字率に換算した換算枚数を演算するとともに、演算した換算枚数を報知し、ユーザが印刷を指示したとき、前記画像データに基づき画像を形成することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−124342(P2010−124342A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297450(P2008−297450)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】