説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】本発明の目的は、圧力転写/定着方式の画像形成装置で発生する転写/定着時の大きな圧力に対しても、アモルファスシリコン系感光体や有機感光体で発生しているクラックやトナーフィルミングに起因する画像欠陥を防止し、デジタル方式の潜像形成の画像形成方法でも通用する高精細な電子写真画像を提供できる画像形成方法及び画像形成装置を提供する事にある。
【解決手段】電子写真感光体上に帯電手段により帯電電位を付与し、続いて、露光手段によりデジタル静電潜像を形成し、該静電潜像を現像手段により現像して電子写真感光体上にトナー像を形成し、該トナー像を圧力転写/定着方式により電子写真感光体から記録媒体に転写/定着して、電子写真画像を得る画像形成方法でおいて、前記電子写真感光体が、3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層を有する有機感光体であることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式の画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置は、感光体ドラム等の像担持体(以下、感光体ともいう)と、この像担持体の表面に一様な静電荷を付与する帯電装置、静電潜像形成装置(画像書込装置)、トナー現像装置、転写装置、およびクリーニング装置を少なくとも備え、感光体に形成した静電潜像をトナーによって現像してトナー像となし、これを転写装置で転写材(記録媒体、例えば、紙)に転写して可視像化するものである。
【0003】
多くの画像形成装置では、上記トナーとして加熱溶融型のトナーを用いるのが一般的であり、トナー像を転写材に転写した後に、加熱ローラ等からなる定着装置を通してトナー像を転写材に固定している。しかし、この種の定着装置では、加熱のために消費されるエネルギーが大きく、画像形成装置全体のエネルギー消費量の低減化を阻害する要因の1つとなっていた。
【0004】
これに対し、圧力転写/定着方式が画像形成装置全体のエネルギー消費量の低減化の為に、技術開発が行われている。例えば、α−Si感光体を像担持体として圧力転写/定着する画像形成装置が特許文献1に開示されている。
【0005】
又、しかしながら、これら圧力転写/定着方式の画像形成装置では、圧力転写/定着方式の転写/定着時にかかる大きな圧力により、駆動系に瞬間的に大きなトルク変動が生じ、感光体ドラム1の回転変動を起こして書き込まれる静電潜像に歪みを招き、結果として画像品質の劣化を招くという問題があった。
【0006】
上記の問題は、近年の急速に市場に進展した、デジタル方式の潜像形成に基づく、高精細な電子写真方式の画像形成方法には、重大な課題として捕らえられている。
【0007】
上記課題を解決する為に、転写/定着時の圧力部材の構成を改良して、過大な圧力を調整し、転写材の突入や排出時の駆動系のトルク変動を抑制して高品質の複写画像を得ることのできる画像形成装置が特許文献2に開示されている。
【0008】
一方、該圧力転写/定着方式の画像形成装置の感光体としては、特許文献1に記載があるように、転写/定着時の高い圧力に耐性が大きいアモルファスシリコン系感光体を適用する例が多く見出される。
【0009】
しかしながら、アモルファスシリコン系感光体は転写/定着時に大きな圧力をうけると、感光体の表面や内部に小さなクラックを発生しやすく、このクラックが原因で電子写真画像に画像欠陥を発生するという問題が発生している。この画像欠陥の発生は、特許文献2に記載の画像形成装置を用いても、使用時間の経過と共に、徐々に生じてくるという問題がある。
【0010】
一方、圧力転写/定着方式の画像形成装置に用いられる感光体として、近年、広範囲に用いられている有機感光体を適用すると、前記したクラックの発生に基づく画像欠陥は解決されるが、該画像形成装置で適用されているマイクロカブセルトナー或いはそれに類似した圧力転写/定着方式用のトナーは、有機感光体の表面に固着しやすく、トナーフィルミングを生成し、その結果、電子写真画像に斑点或いは筋状の画像欠陥を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭58−173777号公報
【特許文献2】特開平8−227236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前記した課題を解決することである。即ち、圧力転写/定着方式の画像形成装置で発生する転写/定着時の大きな圧力に対しても、アモルファスシリコン系感光体や有機感光体で発生しているクラックやトナーフィルミングに起因する画像欠陥を防止し、デジタル方式の潜像形成の画像形成方法でも通用する高精細な電子写真画像を提供できる画像形成方法及び画像形成装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者等は、圧力転写/定着方式の画像形成装置を用いて、前記した感光体のクラックの発生やトナーフィルミングの発生に基づく画像欠陥を防止し、デジタル方式の電子写真方式でも高精細な電子写真画像を得る為には、圧力転写/定着時の過大な圧力を緩和すると同時に、感光体の表面を改善し、前記したクラックやトナーフィルミングに基づく画像欠陥を防止することが、重要である事を見いだし、本願発明を達成した。
【0014】
即ち、本願発明は以下のような構成を有することにより達成される。
【0015】
1.電子写真感光体上に帯電手段により帯電電位を付与し、続いて、露光手段によりデジタル静電潜像を形成し、該静電潜像を現像手段により現像して電子写真感光体上にトナー像を形成し、該トナー像を圧力転写/定着方式により電子写真感光体から記録媒体に転写/定着して、電子写真画像を得る画像形成方法において、前記電子写真感光体が、3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層を有する有機感光体であることを特徴とする画像形成方法。
【0016】
2.前記無機微粒子の数平均粒径が3〜100nmであることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
【0017】
3.前記無機微粒子が表面処理機を有する連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子を用いたことを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成方法。
【0018】
4.前記電子写真感光体から記録媒体へのトナー像の転写/定着がベルト部材を介して行われることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0019】
5.電子写真感光体上に帯電手段により帯電電位を付与し、続いて、露光手段によりデジタル静電潜像を形成し、該静電潜像を現像手段により現像して電子写真感光体上にトナー像を形成し、該トナー像を圧力転写/定着手段により電子写真感光体から記録媒体に転写/定着して、電子写真画像を得る画像形成装置において、前記電子写真感光体が、3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層を有する有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の圧力転写/定着方式の画像形成方法を用いることにより、クラックの発生やトナーフィルミングに基づく斑点状或いは筋状の画像欠陥が防止され、デジタル方式の電子写真画像形成方法でも通用する高精細の電子写真画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明に係わる画像形成装置を説明する要部構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、本願発明の画像形成方法に適用される圧力転写/定着方式について、説明する。
【0023】
本願発明において、圧力転写/定着方式とは、電子写真感光体(以下、単に、感光体とも云う)上のトナー像を圧力を付加して、記録媒体に転写と定着を同時に行う方式を意味する。
【0024】
以下、図面を参照して詳細に説明する。図1は本願発明に係わる画像形成装置の模式図である。1は感光体ドラム、2は帯電装置、3は画像書込装置であるレーザー書込装置、3aはレーザー光、4は現像装置、4aは現像ローラ、5は転写/定着用の加圧部材、5aは凹状部材、6はベルト部材、7a,7b,7cはロール、8はクリーニング装置、8aはクリーニングブレード、9は転写材(記録媒体)、10は圧力転写/定着型トナー、10aはトナー像、10bは定着像、10cは残留トナーである。
【0025】
同図において、本実施例の画像形成装置は、感光体ドラム1の周囲に画像形成プロセス順に、コロナ帯電の帯電装置2、レーザー書込装置3、現像装置4、転写/定着用加圧部材5、およびクリーニング装置8が配設されている。帯電ローラ2は図示しない電源に接続され、所望の電位で静電荷を感光体ドラム1の表面に一様に帯電させる。
【0026】
レーザー書込装置3は画像信号に応じて変調されたレーザー光3aを発射し、ポリゴンミラーを含む走査光学系を介して感光体ドラム1の帯電表面を主走査方向に走査する。なお、副走査は感光体ドラム1の矢印方向の回転により行われる。現像装置4には圧力転写/定着型トナー10が収納されており、現像ローラ4aの表面に付着させた薄層を形成して感光体ドラム1に接触させ、その表面に形成された静電潜像をトナー現像するように配置されている。
【0027】
転写/定着用の加圧部材5は、転写材(記録媒体)9を介して前記感光体の円周方向に所定の広がりを持つ接触領域を持って接触する前記感光体側に凹面を有する凹状部材5aと、前記感光体1と前記凹状部材5aの間に周回設置して前記転写材(記録媒体)9を前記感光体1に接触させてその回転に応じて連れ回し搬送されることで転写材(記録媒体)9の搬送を助けるベルト部材6、およびベルト部材6を掛け渡すためのロール7a,7b,7cとから構成される。
【0028】
また、クリーニング装置8は金属または硬質ゴム等の材料からなるクリーニングブレード8aを備え、このクリーニングブレード8aを感光体ドラム1の表面に所定の角度で加圧接触させて残留トナーを掻き落とすようになっている。次に、上記のように構成された本実施例の画像形成装置の動作を説明する。まず、感光体ドラム1の表面を帯電ローラ2により正の電荷で一様に帯電させた後、レーザー書込装置3からの画像信号で変調されたレーザー光3aで走査し、静電潜像を形成する。
【0029】
形成された静電潜像を現像装置4においてその圧力転写/定着型トナー(マイクロカプセルトナー)10によりトナー現像し、トナー像10aを得る。定着部位に設置された加圧部材5を構成するベルト部材6を掛け渡すローラ7a,7b,7cは感光体ドラム1の回転軸方向に対して微妙な角度をもって配置され、ベルト部材6は感光体ドラム1に対して微小な傾斜で走行する。
【0030】
このため、転写材(記録媒体)9は、感光体ドラム1と転写材(記録媒体)9とが接触している領域(以下、この接触領域をニップ領域または単にニップとも呼ぶ)において感光体ドラム1との間に微妙な滑りが発生する。この滑りによってカプセルトナーは効果的に押し潰され、カプセル内部のトナー材(像形成材)が転写材(記録媒体)9に対して効果的に転写される。
【0031】
このようにして、感光体ドラム1上に形成されているトナー像は圧力により転写材(記録媒体)9に転写されると同時に定着されて定着像10bが得られる。また、転写後に感光体ドラム1に残留したトナー10cはクリーニング装置8のクリーニングブレード8aによって掻き落とされて1つの複写サイクルを完了する。
【0032】
ここで、上記の圧力転写/定着型トナーに適用されるマイクロカプセルトナーについて説明する。このマイクロカプセルトナーは、着色剤を含有する芯材料と該芯材料を被覆して封入する殻材料とからなるものである。その芯材料は比較的軟らかい重合体からなるもので、例えば、ポリエステル、ポリエステルベースのウレタン樹脂、エポキシ化フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリイソブチレン、ポリアミド樹脂、ポリエステルベースのアルキル樹脂、変性ロジンエステル、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン樹脂やこれらの共重合体、或いは、これら重合体を溶媒で溶解したポリマー溶液である。
【0033】
重合体を溶解する溶媒としては、比較的高沸点のものが望ましく、例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、クエン酸エステル類、安息香酸エステル類、脂肪酸エステル類、アミド類、トリオクチルトリメリテート、塩素化パラフィン、高沸点脂肪族飽和炭化水素系溶剤等が挙げられる。感光体として有機感光体を使用する場合には、高沸点脂肪族飽和炭化水素系溶剤が有機感光体を損傷しないため好ましい。
【0034】
着色剤は、少なくとも芯材料又は殻材料の一方に含まれるもので、その具体例としては、カーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料;ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレッド等の縮合多環系顔料等挙げられる。また、分散染料、油溶性染料などを用いることもある。さらに、磁性1成分トナーとして構成する場合には、黒色着色剤の全部又は一部を磁性粉で置き換えることも可能である。磁性粉としては、マグネタイト、フェライト、或いは、コバルト、鉄、ニッケル等の金属単体又はその合金を用いることができる。
【0035】
また、定着時のオフセット防止等の目的で、芯材料中に離型剤としてシリコーンオイルを含有させることも可能である。そのシリコーンオイルとしては、ジメチールシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル、アミノ、エポキシ、ポリエーテル、高級脂肪酸等との変性シリコーンオイル、環状ポリジメチルシロキサン、メチル塩素化フェニルシリコーンオイルが挙げられる。離型剤としては、上記シリコーンオイルの他、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、みつロウなどの天然ワックス、及び、ポリエチレンワックス、変性ワックス、セチルアルコール、ステアリン酸等の合成ワックスを添加することもできる。
【0036】
さらに、このマイクロカプセルトナーには、その表面に帯電性物質を化学的或いは物理的に付着させてもよい。また、帯電性、導電性、粉体流動性、潤滑性等の改善のために、金属、金属酸化物、金属塩、セラミック、樹脂、カーボンブラック等の微粒子を添加してもよい。
【0037】
このようなマイクロカプセルトナーのカプセル化方法は、特に限定されないが、被覆の完全さと外殻の機械的強度を考慮すると、界面重合によるカプセル化方法が優れている。界面重合によるカプセルトナーの製造方法としては、例えば、特開昭57−179860号公報、特開昭58−66948号公報、特開昭59−148066号公報、特開昭59−162562号公報に記載の公知の方法を採用することができる。上記重合体化合物を芯材料中の1成分としてカプセル内に含有させる方法としては、予め重合体の状態で他の芯材料成分及び殻材料成分とともに仕込み界面重合により外殻を形成する方法、或いは、上記の材料を低沸点溶剤とともに仕込み界面重合により外殻を形成すると同時又は外殻形成終了後に、低沸点溶剤を系外に追い出して芯材料を形成する方法、或いは、モノマーの状態で仕込み界面重合により外殻を形成した後、モノマーを重合して芯材料を形成する方法、のいずれかを採用することができる。
【0038】
電子写真感光体上に帯電手段により帯電電位を付与し、続いて、露光手段によりデジタル静電潜像を形成し、該静電潜像を現像手段により現像してトナー像を形成し、該トナー像を圧力転写/定着方式により記録媒体に転写/定着して、電子写真画像を得る画像形成方法でおいて、前記電子写真感光体が、3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層を有する有機感光体であることを特徴とする画像形成方法。
【0039】
次に、本願発明に用いられる電子写真感光体について説明する。
【0040】
本願発明の電子写真感光体は3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層を有する有機感光体である。
【0041】
上記3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層は、連鎖重合性化合物と無機粒子を含有した組成物を硬化して形成することができる。
【0042】
以下、該保護層の形成方法と該保護層を有する有機感光体について説明する。
【0043】
本願発明に係わる連鎖重合性化合物の連鎖重合とは、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態を示し、詳しくは例えば技報堂出版 三羽忠広著の「基礎 合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)24頁に説明されているように、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。
【0044】
連鎖重合性化合物とは、前記連鎖重合反応を進行させる不飽和重合性官能基、開環重合性官能基、或いは異性化重合性官能基等を有する化合物を云う。
【0045】
本願発明に用いられる連鎖重合性化合物とは、一般的な連鎖重合性化合物であり、紫外線や電子線等の活性線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等、一般に感光体のバインダー樹脂として用いられる樹脂を形成できるモノマー等の低分子化合物を意味する。特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。
【0046】
中でも、少ない光量あるいは短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基(CH=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する連鎖重合性化合物が特に好ましい。
【0047】
本発明においては、これら電荷輸送性構造を有しない連鎖重合性化合物を単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0048】
また、カチオン性の電荷輸送性構造を有しない連鎖重合性化合物では特にエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられるが、オキセタン化合物が好ましい。
【0049】
以下に保護層の形成に用いられるアクリロイル基(CH=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する連鎖重合性化合物の例を示す。
【0050】
【化1】

【0051】
【化2】

【0052】
【化3】

【0053】
【化4】

【0054】
【化5】

【0055】
【化6】

【0056】
【化7】

【0057】
但し、上記においてR及びR′はそれぞれ下記で示される。
【0058】
【化8】

【0059】
また、好ましいオキセタン化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0060】
【化9】

【0061】
【化10】

【0062】
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシドを挙げることができる。
【0063】
本発明においては、3次元架橋の保護層を形成する為に連鎖重合性化合物は官能基数が3以上のものを用いることが好ましい。又、連鎖重合性化合物は、2種以上の化合物を併用してもよいが、この場合でも、連鎖重合性化合物は官能基数が3以上の化合物を50質量%以上用いることが好ましい。
【0064】
(無機微粒子)
本発明で用いられる無機微粒子としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、シリカ等の遷移金属を含む金属酸化物粒子が例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の粒子が好ましい。
【0065】
上記無機微粒子の数平均一次粒径は1〜100nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3〜100nmである。
【0066】
上記無機微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウエアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した。
【0067】
保護層に含有される無機微粒子は表面処理基を有する連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子が好ましい。
【0068】
尚、上記表面処理基とは、無機微粒子の表面に存在する水酸基やハロゲン原子等の反応性官能基と反応して、無機微粒子の表面に連鎖重合性化合物を定着できる官能基を云う。
【0069】
本発明で用いられる表面処理基を有する連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子は、好ましくは以下のようにして、製造することができる。
【0070】
即ち、下記一般式(2);
【0071】
【化11】

【0072】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、Rは連鎖重合性官能基を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。)で表されるシラン化合物(一般式(2)で、Xは表面処理基に相当する)と表面に水酸基を有する金属酸化物粒子(一般に、表面処理を行っていない金属酸化物粒子は表面に水酸基を有している)とを反応させることにより製造することができる。
【0073】
又、金属酸化物粒子と反応させるシラン化合物としては、シリル基、特に加水分解性を有するシリル基(表面処理基)を有し、且つ連鎖重合が可能な官能基を有する化合物であれば特に制限されない。以下に、上記一般式(2)で示される化合物例を挙げる。
【0074】
S−1 CH=CHSi(CH)(OCH
S−2 CH=CHSi(OCH
S−3 CH=CHSiCl
S−4 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−7 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9 CH=CHCOO(CHSiCl
S−10 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11 CH=CHCOO(CHSiCl
S−12 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl2
S−19 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20 CH=CHSi(C)(OCH
S−21 CH=C(CH)Si(OCH
S−22 CH=C(CH)Si(OC
S−23 CH=CHSi(OCH
S−24 CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25 CH=CHSi(CH)Cl
S−26 CH=CHCOOSi(OCH
S−27 CH=CHCOOSi(OC
S−28 CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29 CH=C(CH)COOSi(OC
S−30 CH=C(CH)COO(CHSi(OC
又、前記一般式(2)の化合物以外でも、下記のような表面処理基(シリル基)を有する連鎖重合性官能基を有するシラン化合物を用いてもよい。
【0075】
【化12】

【0076】
【化13】

【0077】
これらのシラン化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
以下、連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子の製造方法を酸化チタン粒子を例にして説明する。
【0079】
連鎖重合性化合物で表面処理された酸化チタン粒子の製法
本発明に係わる連鎖重合性化合物で表面処理された酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子を前記した一般式(2)で表されるシラン化合物を用いて表面処理することにより、得ることが出来る。該表面被覆処理するに際し、酸化チタン粒子100質量部に対し、シラン化合物を表面処理剤として0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。
【0080】
以下に、均一でしかもより微細にシラン化合物で表面被覆処理された酸化チタン粒子を製造する表面処理方法を述べる。
【0081】
即ち、酸化チタン粒子とシラン化合物の表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、酸化チタン粒子を微細化すると同時に酸化チタン粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化するので、均一でしかもより微細なシラン化合物により表面処理された酸化チタン粒子を得ることができる。
【0082】
本発明において用いられる表面処理装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた攪拌ディスクを高速回転させることにより、無機微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、無機微粒子に表面処理を行う際に無機微粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できる形式であれば問題なく、たとえば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
【0083】
上記サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
【0084】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0085】
以上のような湿式処理により、一般式(2)等のシラン化合物による表面処理により、連鎖重合性化合物で表面処理された酸化チタン粒子を得ることができる。
【0086】
以上、酸化チタン粒子で説明したが、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の無機微粒子も、酸化チタンと同様に表面に水酸基を有しているので、酸化チタンと同様に一般式(2)等のシラン化合物による表面処理により、連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子を得ることができる。
【0087】
保護層を形成する際の組成物、即ち、連鎖重合性化合物(A)及び連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子(B)を含有する組成物で、(A):(B)の割合は、(A)100質量部に対し、(B)が1〜1000質量部質量部が好ましい。
【0088】
本願発明に係わる連鎖重合性化合物等を含有する保護層組成物(保護層塗布液)を反応させる際には、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤あるいはカチオン重合性開始剤を添加して、光、熱で反応する方法などが用いられる。重合開始剤は光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
【0089】
これら光硬化性化合物のラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、中でも、アルキルフェノン系化合物、或いはフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。特に、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、或いはアシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましい。また、カチオン重合を開始させる化合物としては、例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C、PF、AsF、SbF、CFSO塩などのイオン系重合開始剤やスルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物或いは、鉄アレン錯体等の非イオン系重合開始剤を挙げることができる。特に、非イオン系重合開始剤であるスルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物が好ましい。
【0090】
下記に好ましく用いられる光重合開始剤を例示する。
α−アミノアセトフェノン系の例
【0091】
【化14】

【0092】
α−ヒドロキシアセトフェノン系化合物の例
【0093】
【化15】

【0094】
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例
【0095】
【化16】

【0096】
その他のラジカル重合開始剤の例
【0097】
【化17】

【0098】
非イオン系重合開始剤
【0099】
【化18】

【0100】
イオン系重合開始剤
【0101】
【化19】

【0102】
光硬化性樹脂の保護層を形成するには、保護層の塗布液(連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子等を含有する組成物)を感光層上に塗布した後、塗膜の流動性が無くなる程度まで1次乾燥した後、紫外線を照射して保護層を硬化し、更に塗膜中の揮発性物質の量を規定量にするため2次乾燥を行って作製する方法が好ましい。
【0103】
紫外線を照射する装置としては、紫外線硬化樹脂を硬化させるのに用いられている公知の装置を用いることができる。
【0104】
樹脂を紫外線硬化させる紫外線の量(mJ/cm)は、紫外線照射強度と照射時間で制御することが好ましい。
【0105】
一方、熱重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド系化合物、パーオキシケタール系化合物、ハイドロパーオキサイド系化合物、ジアルキルパオキサイド系化合物、ジアシルパーオキサイド系化合物、パーオキシジカーボネート系化合物、パーオキシエステル系化合物等が用いられ、これらの熱重合開始剤は企業の製品カタログ等で公開されている。
【0106】
本願発明には、これらの熱重合開始剤を、前記の光重合開始剤と同様に、連鎖重合性化合物で表面処理された金属酸化物粒子や連鎖重合性化合物等と混合して、保護層の塗布液を作製し、該塗布液を感光層の上に塗布後、加熱乾燥して、本発明に係わる保護層を形成する。熱重合開始剤としては、前記その他のラジカル重合開始剤等を用いることができる。
【0107】
又、保護層の塗布方法も、感光体全体を保護層塗布液に浸漬する浸漬塗布は、重合開始剤の下層への拡散を増大させるので、保護層の下の感光層の膜を極力溶解させないため、量規制型(円形スライドホッパー型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0108】
これらの重合開始剤は1種または2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、アクリル系化合物の100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0109】
又、本発明の保護層には、さらに各種の電荷輸送物質や酸化防止剤を含有させることも出来るし、各種の滑剤粒子を加えることができる。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。保護層中の滑剤粒子の割合は、アクリル系樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜60質量%である。滑剤粒子の粒径は、平均一次粒径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。特に好ましくは、0.05μm〜0.5μmのものである。樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0110】
保護層を形成するための溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
本発明の保護層は、塗布後、自然乾燥または熱乾燥を行った後、活性線を照射して反応させることが好ましい。
【0112】
塗布方法は、中間層、感光層と同様の、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法などの公知の方法を用いることができる。
【0113】
本発明の感光体は、塗膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては紫外線や電子線が特に好ましい。
【0114】
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜100mJ/cmである。ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
【0115】
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては、0.5〜10Mradであることが好ましい。
【0116】
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒〜5分がより好ましい。
【0117】
活性線としては、紫外線が使用しやすく特に好ましい。
【0118】
本発明の感光体は、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
【0119】
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などのよって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温〜180℃であり、特に好ましくは80℃〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは1分〜200分であり、特に好ましくは5分〜100分である。
【0120】
保護層の膜厚は好ましくは0.2〜10μmであり、より好ましくは0.5〜6μmである。
【0121】
以下に、前記保護層以外の有機感光体の構成を記載する。
【0122】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0123】
本発明の有機感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と前記したような保護層を順次積層したものあるが、具体的には、以下に示すような層構成を例示することができる。
【0124】
1)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生層と電荷輸送層、及び保護層を順次積層した層構成、
2)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷輸送材料と電荷発生材料とを含む単層、及び保護層を順次積層した層構成。
【0125】
上記1)を中心に、本願発明の有機感光体の層構成を記載する。
【0126】
〔導電性支持体〕
本発明で用いる支持体は導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
【0127】
〔中間層〕
本発明においては、導電層と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。
【0128】
中間層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、浸漬塗布などによって形成できる。中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
【0129】
また、中間層の抵抗調整の目的で各種の導電性微粒子や金属酸化物を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
【0130】
これら金属酸化物を1種類もしくは2種類以上混合して用いてもよい。2種類以上混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。このような金属酸化物の平均粒径は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
【0131】
中間層に使用する溶媒としては、無機粒子を良好に分散し、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0132】
バインダー樹脂の濃度は、中間層の膜厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
【0133】
無機粒子などを分散したと時のバインダー樹脂に対する無機粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機粒子20〜400質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜200部である。
【0134】
無機粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
中間層の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0136】
中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
【0137】
〔電荷発生層〕
本発明に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成したものが好ましい。
【0138】
電荷発生物質は、スーダンレッド及びダイアンブルーなどのアゾ原料、ビレンキノン及びアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの電荷発生物質は単独、もしくは公知の樹脂中に分散する形態で使用することができる。
【0139】
電荷発生層のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0140】
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0141】
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜500部である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μmである。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
【0144】
〔電荷輸送層〕
本発明の感光体に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
【0145】
電荷輸送物質は、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体等を2種以上混合して使用してもよい。
【0146】
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
【0147】
電荷輸送層の形成は、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0148】
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質10〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜100質量部である。
【0150】
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは5〜40μmで、さらに好ましくは10〜30μmである。
【0151】
電荷輸送層中には酸化防止剤、電子導電剤、安定剤等を添加してもよい。酸化防止剤については特願平11−200135号、電子導電剤は特開昭50−137543号、同58−76483号等に記載のものがよい。
【0152】
本発明の画像形成装置は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【実施例】
【0153】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0154】
マイクロカプセルトナー1の作製
圧力転写/定着型トナーのマイクロカプセルトナーを以下のようにして製造した。
【0155】
ジブチルナフタレン60gと酢酸エチル60gの混合液にポリイソブチルメタクリレート(MW=16×10)30g、スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体(MW=6×10)40gを加えて溶解させ、さらに磁性粉(戸田工業社製:EPT−1000)120gを入れ、ボールミルにて16時間分散した。次に、この分散液200gに対してイソシアネート(住化バイエルウレタン社製:スミジュールL)30g及び酢酸エチル24gを加え十分混合した(この液をA液とする)。一方、イオン交換水200gにヒドキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製:メトローズ65H50)10gを溶解させ、5℃まで冷却した(この液をB液とする)。
【0156】
次いで、乳化機(殊機加工社製:オートホモミクサー)により上記B液を攪拌し、この中に上記A液をゆっくり投入して乳化を行うことにより、O/W型エマルジョンを得た。次に、そのエマルジョンを、乳化機に代えてプロペラ型の攪拌羽根を備えた攪拌機(新東科学社製:スリーワンモータ)により400回転/分で攪拌した。10分間撹拌した後、この中に5%のジエチレントリアミン水溶液100gを滴下し、しかる後、60℃に加温し、3時間カプセル化反応を行った。反応終了後、2リットルのイオン交換水にあけて充分攪拌し静置し、カプセル粒子が沈降した後に上澄みを取り除いた。この操作をその後7回繰り返し、カプセル粒子を洗浄した。このようにして、油性バインダーを含有したカプセル粒子を得た。カプセル粒子にイオン交換水を加え、固形分濃度40%の懸濁液に調製した。
【0157】
次いで、調製したカプセル粒子の懸濁液125g(カプセル粒子50gに相当)に、イオン交換水125gを加え、プロペラ型の攪拌羽根を備えた前記攪拌機により200回転/分で攪拌した。これに1Nの硝酸5g、10%の硫酸セリウム水溶液4gを加えた後、トリフルオロエチルメタクリレートを0.5g加え、15℃で3時間反応を行った。反応終了後1リットルのイオン交換水にあけ、充分攪拌し静置した。カプセル粒子が沈降した後、上澄みを取り除いた。この操作をその後2回繰り返しカプセル粒子を洗浄した。このようにしてトリフルオロエチルメタクリレートがカプセル外殻の表面にグラフト重合したカプセル粒子を得た。これを再びイオン交換水に再懸濁させ、プロペラ型の攪拌羽根を備えた前記攪拌機にて200回転/分で攪拌した。そして、この中に0.4gの過硫酸カリウム、0.2gの塩化メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムおよび2.0gのメチルメタクリレート、0.16gの亜硫酸水素ナトリウムを順次添加し、25℃で3時間反応を行った。反応終了後2リットルのイオン交換水にあけ充分攪拌し静置した。カプセル粒子が沈降した後、上澄みを取り除いた。この操作をあと4回繰り返しカプセル粒子を洗浄した。次に、このカプセル粒子懸濁液に4−ナフトールスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2gを加え30分間室温で攪拌してイオン交換反応を行った。反応終了後カプセル粒子を1リットルのイオン交換水で5回洗浄して本実施例におけるカプセルトナーを得た。
【0158】
得られたカプセル懸濁液をステンレス製のバットにあけ、乾燥機(ヤマト科学社製)にて60℃で10時間乾燥した。得られたカプセルトナー100部に対し塩基性カーボンブラック(キャボット社製:REGAL330R)を0.1部添加して充分混合し、負帯電マイクロカプセルトナー1とした。
【0159】
このマイクロカプセルトナーにおける粒径の設定は、上記乳化機の撹拌条件を制御することにより行うことができるが、マイクロカプセルトナー1では平均トナー粒径を8μmに制御した。
【0160】
次に、本願発明に係わる有機感光体の例を記載する。
【0161】
感光体1の作製
下記の様に感光体1を作製した。
【0162】
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=0.8(μm)の導電性支持体を用意した。
【0163】
〈中間層〉
下記組成の中間層塗布液を作製した。
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ株式会社製) 1部
20化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 1.1部
エタノール 20部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
【0164】
上記塗布液を用いて前記支持体上に、110℃で20分乾燥後の膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
【0165】
〈電荷発生層〉
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で5少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)
20部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0166】
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質:CTM(下記化合物A) 150部
バインダー:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:チバ・ジャパン社製) 6部
トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法を用いて、110℃で60分乾燥後膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0167】
【化20】

【0168】
〈保護層〉
表面処理基を有する連鎖重合性化合物で表面処理された酸化チタン粒子
(同一質量のS−15で表面処理された数平均一次粒径6nmの酸化チタン粒子)
100部
硬化性化合物(例示化合物31) 100部
イソプロピルアルコール 500部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散した後、
重合開始剤1−6 30部
を加え、遮光下で混合攪拌して溶解し保護層塗布液を作製した(保存中は遮光)。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、保護層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程)、膜厚3μmの保護層を得た。
【0169】
感光体2〜13の作製
感光体1の保護層に使用する材料、硬化条件を表1の一覧表のように変更した以外は、同様にして感光体2〜13を作製した。
硬化条件(光):メタルハライドランプ(500W)より100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して膜厚3μmの保護層を得た。
硬化条件(熱):140℃で30分間加熱し膜厚3μmの保護層を得た。
【0170】
感光体14(保護層のバインダーにポリカーボネートを用いた)
感光体1の作製において、保護層を下記のようにして形成した以外は、感光体1と同様にして感光体14を作製した。
【0171】
〈保護層〉
酸化チタン粒子
(メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された数平均一次粒径6nmのシリカ粒子) 100部
バインダー(下記構造のポリカーボネート:重量平均分子量2万:PC−1)100部
イソプロピルアルコール 500部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散して保護層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、保護層を塗布した。塗布後、100℃で50分乾燥し、膜厚3μmの保護層を得た。
【0172】
【化21】

【0173】
【表1】

【0174】
感光体15(a−Si感光体)の作製
特開2002−372820号公報等で公知のRF−PCVD法(RF帯を用いた高周波プラズマCVD法)による画像形成装置用感光体の製造装置を用い、直径40mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表2に示す条件で負帯電のアモルファスシリコン感光体を作製した。
【0175】
【表2】

【0176】
評価
基本的に図1の構成を有する圧力転写/定着型の画像形成装置に、現像装置に前記マイクロカプセルトナー1を用い、感光体に上記感光体1等(表2の組み合わせNo.1〜15の様に)を搭載して、反転現像にて、電子写真画像を形成し評価した。
【0177】
評価条件
感光体の線速:外径40mmφの感光体を用い、感光体の線速を150mm/secに設定した。
【0178】
帯電条件:感光体の表面電位を−650Vに帯電した(感光体15の帯電条件のみは表面電位を550Vに変更)。
【0179】
像露光:780nmのレーザー光を用いた。
【0180】
現像剤:
前記マイクロカプセルトナー1を用いた。
【0181】
現像バイアス条件:
現像ローラ:DC:−450V、AC:Vp−p=1.6kV、周波数=2.6kHz
(感光体15を用いた組み合わせ15のみ、DC:−400V、AC:Vp−p=1.6kV、周波数=2.6kHzのバイアス条件に変更した)
圧力転写/定着条件
図1の5の圧力部材に6500Nの加重を印加した。
【0182】
電子写真画像の評価
《画像評価》
上記圧力転写/定着型の画像形成装置を常温常湿(24℃、60%RH)環境でA4紙、1千枚の文字画像(印字率5%)を有するオリジナルモノクロ画像データの複写を1枚間欠にて行い、1千枚出力後にカブリ、画像濃度、ドット再現性、画像欠陥の評価を下記の基準で行った。
【0183】
(カブリ:ベタ白画像濃度で判定)
マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、印字されていないコピー用紙(白紙)の濃度を20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均値を白紙濃度とする。次に、画像形成がなされた評価用紙の白地部分を同様に20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均濃度から前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。
【0184】
◎:スタート時及び1千枚出力後の両方とも、0.005以下(良好)
○:スタート時及び1千枚出力後の両方とも、0.005より大で、0.01以下(実用上問題ないレベル)
×:スタート時及び1千枚出力後の少なくともどちらか一方が、0.01より大(明らかに、実用上問題あり)
(画像濃度)
画像濃度の測定は、各色のべた部を濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用し、記録紙をゼロとした相対反射濃度で測定した。
【0185】
◎:スタート時及び1千枚出力後の両方とも、Bk及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が1.2以上(良好)
○:スタート時及び1千枚出力後の両方とも、Bk及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が1.0以上(実用上問題なし)
×:スタート時及び1千枚出力後の少なくともどちらか一方が、Bk及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が1.0未満(実用上問題あり)
(トナーフィルミングの評価)
1千枚出力後の電子写真画像及び感光体の表面観察により、トナーフィルミングの発生の有無を評価した。
【0186】
◎:感光体の表面及び電子写真画像のいずれもトナーフィルミングの発生なし(良好)
○:感光体の表面にはトナーフィルミングが若干発生しているが、電子写真画像には発生していない(実用上問題なし)
×:感光体の表面及び電子写真画像のいずれにもトナーフィルミングが発生している(実用上問題有り)。
【0187】
(クラックの発生の評価)
1千枚出力後の電子写真画像及び感光体の表面観察により、クラックの発生の有無を評価した。
【0188】
◎:感光体の表面及び電子写真画像のいずれもクラックの発生なし(良好)
○:感光体の表面にはクラックが若干発生しているが、電子写真画像には、クラックに基づく画像欠陥は発生していない(実用上問題なし)
×:感光体の表面及び電子写真画像のいずれにもクラックが発生している(実用上問題有り)
評価結果を下記表3にまとめた。
【0189】
【表3】

【0190】
表3から明らかなように、本願発明内の組み合わせNo.1〜12は、各評価項目において、実用性あり以上の結果が得られているが、組み合わせNo.13、14、15(比較例:感光体13、14、15に対応)では何れかの評価項目において、実用性に問題がある結果となっている。
【符号の説明】
【0191】
1 感光体ドラム
2 帯電装置
3 レーザー書込装置
3a レーザー光
4 現像装置
4a 現像ローラ
5 転写/定着用の加圧部材
5a 凹状部材
6 ベルト部材
7a,7b,7c ロール
8 クリーニング装置
8a クリーニングブレード
9 転写材(記録媒体)
10 圧力転写/定着型トナー
10a トナー像
10b 定着像、
10c 残留トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体上に帯電手段により帯電電位を付与し、続いて、露光手段によりデジタル静電潜像を形成し、該静電潜像を現像手段により現像して電子写真感光体上にトナー像を形成し、該トナー像を圧力転写/定着方式により電子写真感光体から記録媒体に転写/定着して、電子写真画像を得る画像形成方法において、前記電子写真感光体が、3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層を有する有機感光体であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記無機微粒子の数平均粒径が3〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記無機微粒子が表面処理機を有する連鎖重合性化合物で表面処理された無機微粒子を用いたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記電子写真感光体から記録媒体へのトナー像の転写/定着がベルト部材を介して行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
電子写真感光体上に帯電手段により帯電電位を付与し、続いて、露光手段によりデジタル静電潜像を形成し、該静電潜像を現像手段により現像して電子写真感光体上にトナー像を形成し、該トナー像を圧力転写/定着手段により電子写真感光体から記録媒体に転写/定着して、電子写真画像を得る画像形成装置において、前記電子写真感光体が、3次元架橋の樹脂層中に無機微粒子を含有した保護層を有する有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−174991(P2011−174991A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37257(P2010−37257)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】