説明

画像形成装置及び画像形成装置の用紙排出先選択方法

【課題】複数の排紙トレイを備える画像形成装置において、出力枚数に応じて、印刷処理された用紙を各トレイの特性を考慮した排出先に排出する画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体上面に設けられた上面排紙トレイと、側面に設けられた側面排紙トレイを備えている。上面排紙トレイは、側面排紙トレイと比較し最大用紙積載量は少ないが、ファーストコピータイムが短く、画像形成装置本体のフロント側に立つユーザからの視認性が良いという特性を持つ。また、側面排紙トレイは、上面排紙トレイと比較し最大用紙積載量は多いが、ファーストコピータイムが長く、フロント側に立つユーザからの視認性は良くないという特性を持つ。このような各排紙トレイの持つ特性を考慮した上で、画像形成された用紙の出力枚数に応じて、画像形成された用紙の排出先トレイを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成された用紙を排出する排紙トレイを複数個備える画像形成装置及び画像形成装置の用紙排出先選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙積載量の異なる複数の排紙トレイを備える画像形成装置において、画像形成された用紙を排出する排紙トレイをユーザが任意に変更できるというものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上記の画像形成装置はユーザが指定した出力枚数が所定値を超えるか否かを判断する手段を持ち、出力枚数が所定値を超える場合にユーザが設定した排紙トレイに画像形成された用紙を排出することが示されている。すなわち、ユーザが用紙積載量の多い排紙トレイを排出先に設定しておけば、出力枚数が多い(所定値を超える)場合に排出に適した排紙トレイ(用紙積載量の多い排紙トレイ)に用紙を排出することが可能となる。
【特許文献1】特開2006−89253号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画像形成装置においては、画像形成された用紙の排出先は、排紙トレイの用紙積載量の違いを考慮しているのみであった。しかしながら、複数の排紙トレイを備えた画像形成装置には、各トレイの設置されている箇所が異なるため画像形成装置の利用者からの視認性が異なるもの、また、画像形成部から夫々の排紙トレイまでの紙搬送パスの長さが異なるためファーストコピータイムが異なるもの等が存在する。
【0005】
このように複数の排紙トレイを有する画像形成装置において、各排紙トレイが前述したような異なる特徴を持つ場合、それらの特徴を考慮し、画像形成装置の利用者にとって最も適した用紙の排出先を選択することが好ましいが、未だこのような用紙の排出先が適用されているものは存在しなかった。
【0006】
そこで、本発明は、複数の排紙トレイを備えた画像形成装置において、画像形成された用紙を排出する排紙トレイを選択する際に、各トレイの用紙積載量のみでなく、利用者からの視認性、ファーストコピータイムの違いを考慮して、用紙を排出するのに適した排紙トレイを自動的に選択する画像形成装置及び画像形成装置の用紙排出先選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明における画像形成装置は、画像形成装置本体と、この本体内に設けられ用紙に画像を形成する画像形成部と、前記本体の上面に設けられ、前記画像形成部で画像が形成された用紙を本体上面から視認できるように載置する上面排紙トレイと、前記本体の側面であって、かつ前記上面排紙トレイの下部に設けられ、前記画像形成部で画像が形成された用紙を載置するもので、前記上面排紙トレイよりも最大用紙積載量の多い側面排紙トレイと、前記画像形成部から出力される用紙の出力枚数が所定の閾値を越えているか否かに応じて前記用紙の排出先を前記上面排紙トレイと前記側面排紙トレイの何れかに選択する用紙排出先選択手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の排紙トレイを備えた画像形成装置において、画像形成された用紙を排出する排紙トレイを選択する際に、各排紙トレイの用紙積載量の違いのみでなく、利用者からの視認性、ファーストコピータイムの違いを考慮して排紙トレイを自動的に選択する画像形成装置及び画像形成装置の用紙排出先選択方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明における実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
【0010】
図1は、本発明における画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0011】
画像形成装置1は、画像情報を出力画像として出力するための画像形成部110、画像形成部110に対して画像出力に用いられる任意サイズの用紙Pを供給可能な用紙供給部106、画像形成部110において画像形成される対象である画像情報を原稿から画像データとして取り込む画像読取部108を有する。また、画像読取部108には,読み取るべき原稿を読み取り位置へ搬送するとともに読み取りが終了した原稿を読み取り位置から排出位置に排出し,次の原稿を読み取り位置に搬送する自動原稿送り装置(ADF)108aが設けられている。
【0012】
また、画像形成部110に対して装置後方のコーナーには、支柱に回動可能に設置されたスイングアームの先端に画像形成の開始や原稿の画像情報の読取りの開始を指示する等の操作を行うコントロールパネル10が設けられている。
【0013】
画像形成装置1の本体上面には、画像が形成された用紙Pが排出される上面排紙トレイ134が設けられている。また、画像形成装置1本体上面の上面排紙トレイ134の側方には、ADF108aが配置されている。
【0014】
ユーザは画像形成装置1を操作する際には、通常コントロールパネル10の操作が行いやすい画像形成装置1本体のフロント側に立って操作する。そのため、画像形成装置1の上面に設けられる上面排紙トレイ134は、ユーザが立っている位置からは遮蔽するものが無く、ユーザにとって視認性が良く、用紙Pを取り出し易い位置に設けられている。
【0015】
一方、画像形成装置1の本体側面には、画像が形成された用紙Pが排出される側面排紙トレイ136が設けられている。この側面排紙トレイ136は、上面排紙トレイ134が画像形成装置1本体の図中左側に突出して設けられているため、上面排紙トレイの下部に設けられることとなる。また、側面排紙トレイ136は、上面排紙トレイ134と比較して、用紙積載量が多いという特徴を有する。
【0016】
図2は、図1の画像形成装置1の内部構造を示した断面図である。
【0017】
画像形成装置1は,画像形成装置1の装置本体102、複数種類のサイズの用紙Pを保持可能であって所定の経路に沿って形成された用紙搬送路104に用紙を供給する用紙供給部106、画像形成される対象である画像情報を読み取る画像読取部108、用紙Pに画像を形成する画像形成部110、用紙搬送路104に沿って設けられたガイド部材やローラ等によって用紙を搬送する用紙搬送部112を備えている。装置本体102の外側部には、上面排紙トレイ134に用紙が排出される第1の排出口116と、第1の排出口116の下方に配置され側面排紙トレイ136に用紙が排出される第2の排出口114とが設けられている。
【0018】
なお、上面排紙トレイ134と側面排紙トレイ136を合わせて排紙トレイ138と称する。
【0019】
画像読取部108は、画像形成部110において画像形成される対象である画像情報を原稿から画像データとして読取る。画像形成部110は、外部から通信回線を経由して指示入力された画像情報や画像読取部108で読み取った画像情報に対応する画像を、出力画像として搬送される用紙Pに出力する。
【0020】
画像形成部110は、画像情報に基づいて感光体ドラム118に潜像を形成する露光装置120、感光体ドラム118に形成された潜像を現像する現像装置、感光体ドラム118上で現像されたトナー像を出力媒体である任意サイズの用紙Pに転写する転写装置122、転写装置122によりトナー像が転写された用紙のトナー像を定着する定着装置124を備えている。定着装置124は、定着ローラ126、プレスローラ128を有して構成される。定着ローラ126、プレスローラ128は所定の速度で用紙を搬送路130へ送り出す。すなわち、定着ローラ126、プレスローラ128は用紙搬送部112としても機能する。
【0021】
このような構成で、用紙Pは、用紙搬送路104によって、画像形成装置1の下方側の領域において複数の用紙カセット132から夫々上方に向かって画像形成部110へ至り、画像が形成される。そして、画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の上方側の領域の搬送路130により、画像形成装置1本体の上面に設けられた第1の排出口116を介して上面排紙トレイ134に、あるいは、画像形成装置1本体の側面に設けられた第2の排出口114を介した側面排紙トレイ136に選択的に排出される。
【0022】
また、画像形成部110の定着装置124から第1の排出口116までの搬送パスの長さ(図3に太線で示す)が定着装置124から第2の排出口114までの搬送パス(図4に太線で示す)よりも短いため、画像形成された用紙Pの一枚目が第1の排出口116に排出されるまでの時間のほうが短い。なお、用紙Pが用紙カセット132より給紙されてから画像形成された用紙Pの一枚目が排紙トレイ138に排出されるまでの時間をファーストコピータイムと称する。すなわち、上面排紙トレイ134が側面排紙トレイ136と比較し、ファーストコピータイムが短いという特徴を持つ。
【0023】
上記のような構成により、上面排紙トレイ134と側面排紙トレイ136の特性は、図5に示すようになる。このため、ユーザが指定した出力枚数が上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超えない場合は、ユーザにとって視認性がよく、用紙を取り出しやすく、ファーストコピータイムが短い上面排紙トレイ134に画像形成された用紙を排出するのが好ましい。
【0024】
また、ユーザが指定した出力枚数が上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超える場合は、視認性やファーストコピータイムでは上面排紙トレイ134に劣るが最大用紙積載量の多い側面排紙トレイ136に排出することが好ましい。よって、上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を閾値として定め、画像形成された用紙の出力枚数がこの閾値を以下ならば上面排紙トレイ134に排出し、用紙の出力枚数が閾値を越える場合には側面排紙トレイ136に排出するように排出先を自動的に選択すればよい。
【0025】
次に画像形成された用紙の排出先の選択について説明する。
【0026】
図6は、画像形成装置1の制御部を示したブロック図である。
【0027】
画像形成装置1は、ユーザが印刷設定(原稿枚数、印刷部数、両面印刷、片面印刷等)を入力する入力部200、画像形成された用紙Pの排出先トレイを選択する際に用いる閾値を記憶する記憶部202、記憶部202に記憶された閾値を用いて排出先トレイを選択する排出先選択制御部204、及び入力部200や排出先選択制御部204と情報のやり取りを行い、画像形成装置1全体の情報の制御を行う主制御部206を備えている。
【0028】
また、図7は、印刷開始要求があった場合の画像が形成された用紙の排出先を決めるまでのフローチャートである。
【0029】
ユーザが入力部200より印刷開始要求をした場合(S1:YES)、次に、ユーザが排出先トレイを指定しているかを判断する(S2)。ユーザが排出先トレイを指定している場合には(S2:YES)、ユーザにより指定された排出先トレイを排出先に設定する(S3)。
【0030】
一方、ユーザが排出先トレイを指定しない場合は(S2:NO)、ユーザが入力部200より設定した原稿枚数と印刷部数との積の値(出力枚数)が記憶部202に記憶されている閾値を超えているか否かを判断する(S4)。ユーザが設定した出力枚数が閾値を超えていると判断された場合(S4:YES)、排出先選択制御部204では、上面排紙トレイ134と比較してファーストコピータイムは長いが、最大用紙積載量が多い側面排紙トレイ136を排出先に設定する(S5)。
【0031】
ユーザが設定した出力枚数が閾値以下と判断された場合(S4:NO)、排出先選択制御部204では、側面排紙トレイ136と比較して最大用紙積載量は少ないが、ファーストコピータイムが短く、視認性のよい上面排紙トレイ134を排出先に設定する(S6)。排出先選択制御部204において排出先を決定した後、主制御部206にその選択結果が送られ、印刷処理(画像形成)が開始される(S7)。その後、主制御部206により指定された排紙トレイ138に用紙Pが排出される。
【0032】
以上のような制御によって、上記の実施形態の画像形成装置1では、ユーザが指定した出力枚数が閾値以下であれば、ユーザにとって視認性がよく、ファーストコピータイムが短いため画像形成された用紙を速く排出することが可能な上面排紙トレイ134への排出を選択する。そのため、ユーザは、画像形成された用紙Pが排出されるまでの待ち時間が少なく、かつ用紙が排出された箇所の確認を容易に行うことができる。
【0033】
また、ユーザが指定した出力枚数が閾値を越える枚数であれば、上面排紙トレイ134と比較し最大用紙積載量の多い側面排紙トレイ136に排出することにより、排紙トレイ138の最大用紙積載量を超えるために印刷が停止することを極力防止することが可能である。
【0034】
このように、ユーザが指定した出力枚数が閾値を超えるか否かを判断することにより、ユーザにとって適した排紙トレイ138に画像形成された用紙Pを排出することが可能となる。
【0035】
なお、上記の例ではユーザが原稿枚数と印刷部数をコントロールパネル10から入力する場合を説明したが、通信回線を経由して原稿枚数と印刷部数とが入力される場合も同様に出力枚数が算出可能である。
【0036】
また、上記の例においては、ユーザが入力部200より設定した原稿枚数に基づいた出力枚数により排出先トレイを設定しているが、自動原稿送り装置(ADF)108aに原稿が載置された場合には、その原稿枚数を用いて出力枚数を算出するとしてもよい。
【0037】
この場合、ADF108aの原稿を載置する部位には、原稿の積載量を検知するセンサが設けられており、このセンサにより原稿枚数を検知する。これは、載置された原稿の高さを光学的又は機械的なレバー等によって検出し、原稿の枚数に換算すれば可能である。
このようにセンサにより検知した原稿枚数とユーザが入力した印刷設定により出力枚数を算出する。
【0038】
このような構成により、ADF108aに原稿を設置する場合にも、ユーザによる原稿枚数の指定を必要とせず、ユーザにとって最適な排出先に画像形成された用紙Pを排出することができる。
(第2の実施形態)
【0039】
以下に第2の実施の形態を図8を用いて説明する。
画像形成装置1の構造、上面排紙トレイ134及び側面排紙トレイ136の特性(図6参照)は第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施の形態における画像形成装置1は、画像形成が行われた用紙Pの出力枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を超える場合の用紙Pの排出の制御方法が第1の実施の形態と異なっている。
【0041】
画像形成が行われた用紙Pの出力枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を超える場合、側面排紙トレイ136に排出しきれなかった用紙Pが上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超えなければ上面排紙トレイ134に排出することにより一度の印刷で全ての印刷が完了できることとなる。
【0042】
一方、側面排紙トレイ136に排出しきれなかった用紙Pが上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超えるようであれば、一度で印刷が完了しないために、側面排紙トレイ136に最大用紙積載量が積載された時点で一旦印刷を中止し、ユーザに側面排紙トレイ136から用紙を取り除いて貰い、その後に印刷を再開することを繰返して全ての印刷を完了するものである。
【0043】
図8は、画像形成が行われた用紙Pの出力枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を超える場合に画像形成装置1において行われる処理を示したフローチャートであり、図7の処理に加えて行われる処理である。
【0044】
すなわち、図7においては画像形成が行われた用紙Pの出力枚数が閾値を超える場合に側面排紙トレイ136が排出先に設定される(S4)。次にS11では出力枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を超えるか否かが判定される(S11)。この判定の結果、最大用紙積載量を超えないとき(S11:NO)は図7のS6で印刷の開始がなされる。
【0045】
一方、S11で最大用紙積載量を超えると判定されたときは出力枚数から側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を差引いた値が上面排紙トレイ134の最大用紙制裁量を超えるか否かが判定される(S12)。
【0046】
S12で出力枚数から側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を差引いた値が上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超えない場合(S12:NO)は、印刷が開始される(S13)とともに側面排紙トレイ136に排出しきれなかった用紙Pを上面排紙トレイ134に排出する(S14)ことで一度の印刷開始指示で印刷が完了する。
【0047】
S12で出力枚数から側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を差引いた値が上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超える場合(S12:YES)は、印刷が開始(S15)されるとともに側面排紙トレイ136に出力された用紙枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量に達したか否かが判断される(S16)。S16で最大用紙積載量に達していないときは全ての印刷が完了したかが判断される(S17)。以下、S16、S17が繰返される。
【0048】
この過程でS16において側面排紙トレイ136に出力された用紙枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量に達したと判定されたときは印刷が一旦中止される(S18)。印刷が中止されるとユーザに対して「側面排紙トレイから用紙を取り除いて下さい」という内容の案内が成される(図示せず)。この案内に基づいてユーザによって側面排紙トレイから用紙が取り除かれたか否かが判定され、用紙が取り除かれるまで待つ(S19)。
【0049】
S19にて用紙が取り除かれたと判定されると印刷が再開される(S20)。
【0050】
印刷が再開されると上記同様に側面排紙トレイ136に出力された用紙枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量に達したか否かの判定(S16)と印刷が完了したかの判定(S17)が繰返される。S17において印刷が完了したと判定されたときは印刷が終了となる。
【0051】
このような制御により、画像形成が行われる用紙Pの出力枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を超え、排紙トレイ138のうちの一つに排出することが不可能な場合に、側面排紙トレイ136に排出しきれなかった用紙Pが上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超えなければ、印刷を中止することなく、上面排紙トレイ134への排出に切り替えるため、スムーズに用紙Pを排出することが可能となる。
【0052】
また、出力枚数が側面排紙トレイ136の最大用紙積載量を超え、かつ、側面排紙トレイ136に排出しきれなかった用紙Pが上面排紙トレイ134の最大用紙積載量を超える場合であっても側面排紙トレイ136を繰り返して使用することにより一度の印刷処理を分割して処理することが出来る。
【0053】
なお、上述の実施例では側面排紙トレイに最大用紙積載量になった時点で印刷を中止しているが、最大用紙積載量になる前の所定部数の印刷が完了した時点で印刷を中止することで、部単位での区分が出来その後の煩雑さを解消することが出来る。
(第3の実施形態)
【0054】
次に第3の実施の形態を図9及び図10を用いて説明する。画像形成装置1の構造、上面排紙トレイ134及び側面排紙トレイ136の特性(図3参照)は第1の実施形態と同様である。
【0055】
画像形成された用紙Pが排紙トレイ138に排出された後、ユーザが直ちに排紙トレイ138より用紙Pを取り除かなければ、用紙Pが取り除かれる前に他の印刷ジョブが開始されてしまう場合がある。この時、用紙Pが載置されたままになっている排紙トレイ138の最大用紙積載量は、用紙Pが載置されていない場合の最大用紙積載量よりも少なくなる。すなわち、載置されたままになっている用紙の枚数によって排紙トレイ138上に新たに載置可能な用紙の積載量が変化することとなる。
【0056】
本実施の形態においては、排紙トレイ138上に載置されている用紙Pの積載量を検知し、排紙トレイ138上に新たに載置可能な用紙積載量(最大用紙積載量)を算出する。そして、排紙トレイ138に新たに載置可能な用紙の量が少ない方の用紙積載量を閾値とし、印刷処理された用紙Pの排出先排紙トレイを選択することとする。
【0057】
次に、具体的に本実施の形態における印刷処理された用紙Pの排出先選択の方法について説明する。
【0058】
図9は、本実施の形態における画像形成装置1の制御部を示したブロック図である。
画像形成装置1は、ユーザが印刷設定(原稿枚数、印刷部数、両面印刷、片面印刷等)を入力する入力部300、上面排紙トレイ134上に既に排出された用紙の載置量を検知する第1の検知部と側面排紙トレイ136上に既に排出された用紙の載置量を検知する第2の検知部とからなるセンサ部308、画像形成された用紙Pの排出先トレイを選択する際に用いる閾値を記憶する記憶部302、記憶部302に記憶された閾値を用いて排出先トレイを選択する排出先選択制御部304、画像形成装置1全体の情報の制御を行う主制御部306を備えている。
【0059】
排紙トレイ138上に既に排出された用紙の載置量を検知するセンサは排紙トレイ138に載置されている用紙の高さを光学的又は機械式のレバー等を用いて検出し、用紙の枚数に換算することが出来る。この場合、正確な枚数の把握は困難であるが概略の枚数として把握し、新たに積載可能な枚数を最大用紙積載枚数に対して少なめに設定することにより、載置高さがオーバして支障を来たすことを防止すればよい。
【0060】
図10は、排紙トレイ138上に用紙Pが既に載置されている場合の用紙Pの排出先決定までのフローチャートである。
【0061】
最初に上面排紙トレイ134上に画像形成された用紙Pが既に載置されているか否かを主制御部306が判定する(S21)。この判定の結果、上面排紙トレイ上134に用紙Pが既に載置されているとき(S21:YES)、上面排紙トレイ134上に載置されている用紙Pの積載量をセンサ部308により検出し、その結果を主制御部306へ送信し、上面排紙トレイ134に新たに載置可能な用紙積載量を算出する(S22)。
【0062】
S21により上面排紙トレイ134に用紙Pが載置されていない場合には(S21:NO)、S23に進む。
【0063】
次に、側面排紙トレイ136上に用紙Pが既に載置されているかを判定する(S23)。判定の結果、側面排紙トレイ136上に用紙Pが既に載置されているとき(S23:YES)、側面排紙トレイ136上に載置されている用紙Pの積載量をセンサ部308により検出し、S22と同様に、その結果を主制御部306へ送信し、側面排紙トレイ136上に新たに載置可能な用紙積載量を算出する(S24)。
【0064】
S23により側面排紙トレイ136に用紙Pが載置されていない場合には(S23:NO)、S25に進む。
【0065】
S21〜S24により上面排紙トレイ134および側面排紙トレイ136に新たに積載可能な用紙積載量が確定した後、側面排紙トレイ136に積載可能な用紙量よりも上面排紙トレイ134に載置可能な用紙量が多いか否かを主制御部306により比較する(S25)。側面排紙トレイ136に積載可能な用紙量が上面排紙トレイ134に積載可能な用紙量よりも多い場合(S25:YES)、上面排紙トレイ134に載置可能な用紙量を閾値として設定(更新)する(S26)。
【0066】
閾値を設定した後のS28〜S33は、実施形態1における図5のフローチャートのS1〜S6と同様の処理である。
【0067】
一方、S25において側面排紙トレイ136に積載可能な用紙量が上面排紙トレイ134に積載可能な用紙量以下の場合は(S25:NO)印刷開始要求がされたとき(S34:YES)、ユーザによる排出先の指定が成されているか否かを判断する(S35)。
【0068】
ユーザにより排出先が指定されない場合(S35:YES)は、上面排紙トレイ134に常に排出するように主制御部306により制御される(S36)。これは、上面排紙トレイ134は側面排紙トレイ136と比較し用紙積載量が多く、また視認性もよく、ファーストコピータイムも短いため、画像形成された用紙Pを排出するのに最適な排出先であると考えられるためである。このようにS36により上面排紙トレイ134が排出に設定された後、印刷が開始される(S33)。
【0069】
以上のような構成により画像形成装置1は、排出先選択の際に用いる閾値を変更することにより、排紙トレイ138上に用紙Pが残されている場合にも、ユーザにとって最適な排出先に排出することが可能となる。
【0070】
なお、上記の実施の形態では、上面排紙トレイ134が側面排紙トレイ136の上に突出した例で説明したが、上面排紙トレイ134が側面から突出しないものでも良い。この場合に、上面排紙トレイ134の下部に側面排紙トレイ136を設けたとは、側面排紙トレイ136が上面排紙トレイ134よりも相対的に下にあるものを意味する。上面排紙トレイ134が突出していなくとも、画像形成装置1の側面に上面排紙トレイ134より下方に側面排紙トレイ136が設けられれば、上面排紙トレイ134と比較し、側面排紙トレイ136は視認性が悪い。そのため、図5で示した特性の違いがこの場合にもあてはまるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の外観を示す斜視図。
【図2】図1の画像形成装置の内部構造を示す断面図。
【図3】定着装置から第1の排出口までの搬送パスの長さを示した図2の画像形成装置の断面図。
【図4】定着装置から第2の排出口までの搬送パスの長さを示した図2の画像形成装置の断面図。
【図5】第1の実施の形態における上面排紙トレイ及び側面排紙トレイの特性を示す表。
【図6】第1の実施の形態における画像形成装置の制御部を示すブロック図。
【図7】第1の実施の形態における印刷処理された用紙の排出先トレイを選択する際のフローチャート。
【図8】第2の実施の形態における印刷処理された用紙の排出先トレイを選択する際のフローチャート。
【図9】第3の実施の形態における画像形成装置の制御部を示すブロック図。
【図10】第3の実施の形態における印刷処理された用紙の排出先トレイを選択する際のフローチャート。
【符号の説明】
【0072】
1.画像形成装置
10.コントロールパネル
102.装置本体
104.用紙搬送路
106.用紙供給部
108.画像読取部
108a.自動原稿送り装置(ADF)
110.画像形成部
112.用紙搬送部
114.第2の排出口
116.第1の排出口
118.感光体ドラム
120.露光装置
122.転写装置
124.定着装置
126.定着ローラ
128.プレスローラ
130.搬送路
132.用紙カセット
134.上面排紙トレイ
136.側面排紙トレイ
138.排紙トレイ
200、300.入力部
202、302.記憶部
204、304.排出先選択制御部
206、306.主制御部
308.センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
この本体内に設けられ用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記本体の上面に設けられ、前記画像形成部で画像が形成された用紙を本体上面から視認できるように載置する上面排紙トレイと、
前記本体の側面であって、かつ前記上面排紙トレイの下部に設けられ、前記画像形成部で画像が形成された用紙を載置するもので、前記上面排紙トレイよりも最大用紙積載量の多い側面排紙トレイと、
前記画像形成部から出力される用紙の出力枚数が所定の閾値を越えているか否かに応じて前記用紙の排出先を前記上面排紙トレイと前記側面排紙トレイの何れかに選択する用紙排出先選択手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部から前記上面排紙トレイまでの用紙搬送パスは、前記画像形成部から前記側面排紙トレイまでの用紙搬送パスよりも短く構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
自動原稿送り装置と、
この自動原稿送り装置に載置した原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段と、
印刷部数を入力する入力部と、
をさらに有し、
前記用紙排出先選択手段は前記原稿枚数検知手段により検知した原稿枚数と前記入力部により入力された印刷部数とから出力枚数を算出することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記用紙排出先選択手段には、
前記画像形成部から出力される用紙の出力枚数が前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を超えるか否かを判定する第1の判定部と、
この第1の判定部で出力枚数が前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を越えると判定されたとき、前記出力枚数から前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を差引いた枚数が前記上面排紙トレイの最大用紙積載量を超えるか否かを判定する第2の判定部と、
この第2の判定部で前記上面排紙トレイの最大用紙積載量を超えると判定された場合は前記側面排紙トレイの最大用紙積載量の範囲内での用紙排出を繰返し行い、前記第2の判定部で前記上面排紙トレイの最大用紙積載量を超えないと判定された場合は前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を越える枚数の用紙を前記上面排紙トレイに排出する切換え制御部と、
を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記上面排紙トレイ上に排出された用紙の積載量を検知する第1の検知手段と、
前記側面排紙トレイ上に排出された用紙の積載量を検知する第2の検知手段と、
をさらに有し、
前記用紙排出先選択手段には、
前記第1の検知手段により検知した前記上面排紙トレイ上の用紙積載量から前記上面排紙トレイ上に新たに載置可能な残りの用紙積載量を算出する第1の算出手段と、
前記第2の検知手段により検知した前記側面排紙トレイ上の用紙積載量から前記側面排紙トレイ上に載置可能な新たに用紙積載量を算出する第2の算出手段と、
前記第1の算出手段により算出した上面排紙トレイの用紙積載量が前記第2の算出手段により算出した側面排紙トレイの用紙積載量よりもよりも少ないとき、前記第1の算出手段により算出した上面排紙トレイの用紙積載量を前記閾値として更新する閾値更新手段と、
を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置本体と、この本体内に設けられ用紙に画像を形成する画像形成部と、前記本体の上面に設けられ、前記画像形成部で画像が形成された用紙を本体上面から視認できるように載置する上面排紙トレイと、前記本体の側面であって、かつ前記上面排紙トレイの下部に設けられ、前記画像形成部で画像が形成された用紙を載置するもので、前記上面排紙トレイよりも最大用紙積載量の多い側面排紙トレイと、を有する画像形成装置であって、
前記画像形成部から出力される用紙の出力枚数が所定の閾値を越えているか否かを判定し、
この判定結果に応じて、前記用紙の排出先を前記上面排紙トレイと前記側面排紙トレイの何れかに選択する、
ことを特徴とする画像形成装置の用紙排出先選択方法。
【請求項7】
前記用紙排出先を選択するステップには、
前記画像形成部から出力される用紙の出力枚数が前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を超えるか否かを判定する第1の判定ステップと、
この第1の判定ステップで出力枚数が前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を越えると判定されたとき、前記出力枚数から前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を差引いた枚数が前記上面排紙トレイの最大用紙積載量を超えるか否かを判定する第2の判定ステップと、
この第2の判定ステップで前記上面排紙トレイの最大用紙積載量を超えると判定された場合は前記側面排紙トレイの最大用紙積載量の範囲内での用紙排出を繰返し行い、前記第2の判定部で前記上面排紙トレイの最大用紙積載量を超えないと判定された場合は前記側面排紙トレイの最大用紙積載量を越える枚数の用紙を前記上面排紙トレイに排出するように切換えるステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の用紙排出先選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−107929(P2010−107929A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332281(P2008−332281)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】