説明

画像形成装置及び給送装置

【課題】1枚目を排出するまでにかかる時間を短くできる画像形成装置及び給送装置を提供する。
【解決手段】第一無端ベルト状中間転写体105、及び、第二無端ベルト状中間転写体205と、装置下部に配置され、装置本体の一端部側から装置本体の中央部に向かって記録シートSを給送する給送部2と、排出トレイ1と、装置本体の中央部を縦断するシート搬送経路3と、を有し、前記給送部から給送され前記シート搬送経路を搬送される記録シートの表裏面に画像を形成し、排出する画像形成装置において、第一及び第二無端ベルト状中間転写体105、205の像担持体102、202との接触面が傾斜して配置され、第一作像部101の装置本体の端部側は、接触面より上方になり、高さが排出トレイ1の高さと同等となり、第二作像部201の装置本体の端部側は、接触面より下方になり、高さが給送部2の高さと同等となることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用して記録材に画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置、及び、この画像形成装置に設置可能な給送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ等の電子写真画像形成装置においては、環境配慮の観点から両面画像形成へのニーズが高まり、同時に両面時の生産性向上が求められている。
【0003】
従来の電子写真方式の画像形成装置では、記録シートの両面に画像を形成する場合は、一旦片面に未定着画像を形成し、熱定着した後に、反対の面に未定着画像を形成し、再度熱定着を行う。このため、1回目の熱定着による記録シートのヒートカールや水分含有量の変化が2回目の画像形成時に影響を与える。また、反対の面は1回の熱定着に対し、片面は2回熱定着が行われる。従って、表裏の画質差が生じるという課題がある。
【0004】
上記課題を解決するため、これまで、記録シートの一度の搬送中にその両面に画像を形成する装置が提案されている(特許文献1、2)。
【0005】
図3は特許文献1に記載の画像形成装置の正面断面図である。この画像形成装置は、図3に示すように、記録シートの一度の搬送中にその両面に画像を形成できる。画像形成ユニットPU2で形成した画像を無端ベルト状中間転写体10に一旦転写した後に記録シートの一面に画像を形成する。同時に、記録シートの反対の面には画像形成ユニットPU1から直接画像を形成する。これにより、記録シートの一度の搬送で記録シートの両面への画像形成を可能にしている。
【0006】
図4は特許文献2に記載の画像形成装置の正面断面図である。この画像形成装置は、図4に示すように、2組の無端ベルト状中間転写体及び画像形成ユニットA、Bを下に配設し、記録シートの一度の搬送中にその両面に画像を形成する。
【0007】
また、2組の無端ベルト状中間転写体および画像形成ユニットによって、鉛直方向に延びる搬送路を搬送される記録材の両面に同時に画像を形成する装置がある(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2003−98765号公報
【特許文献2】特開2003−295661号公報
【特許文献3】特開2000−352889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、フルカラー画像の形成可能な画像形成ユニットPU1、PU2をシート搬送経路上にシート搬送方向に並べて配設している。また、特許文献2に記載の画像形成装置では、無端ベルト状中間転写体の接触面とシート搬送経路とが略水平になっている。このため、シート搬送経路が長くなり、1枚目の記録シートが排出されるまでにかかる時間が長くなる。そして、コピー動作開始から1枚目を排出するまでにかかる時間が長くなってしまう。また、特許文献3に記載の構成では、装置の大きさ、特に水平方向の大きさが大きく、また1枚目の記録シートが排出されるまでにかかる時間を考えた場合にも、各部の配置は適したものではない。
【0010】
そこで本発明は、記録シートの搬送経路を短くでき、コピー動作開始から1枚目を排出するまでにかかる時間を短くできる小型な画像形成装置及びこれに設置される給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、第一無端ベルト状中間転写体、及び、少なくとも1つの像担持体を有する第一作像部と、第二無端ベルト状中間転写体、及び、少なくとも1つの像担持体を有する第二作像部と、装置下部に配置され、装置本体の一端部側から装置本体の中央部に向かって記録シートを給送する給送部と、該給送部の対角上の装置上方に配置され、装置本体の中央部から装置本体の他端部側に向かう記録シートが排出される排出部と、前記給送部の装置本体の中央部側と前記排出部の装置本体の中央部側を結び装置本体の中央部を縦断するシート搬送経路と、を有し、前記給送部から給送され前記シート搬送経路を搬送される記録シートの表裏面に前記第一作像部と前記第二作像部とによって画像を形成し、画像が形成された記録シートを前記排出部に排出する画像形成装置において、前記第一作像部は、前記給送部の上方に配置され、前記第二作像部は、前記排出部の下方に配置され、前記第一及び第二作像部は、前記シート搬送経路を挟んで配置され、記第一及び第二無端ベルト状中間転写体の前記像担持体との接触面が傾斜して配置され、前記第一作像部の少なくとも一部は、高さが前記排出部の高さと同等となり、前記第二作像部の少なくとも一部は、高さが前記給送部の高さと同等となることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る給送装置の代表的な構成は、上記画像形成装置の下方に設置されるオプションの給送装置において、記録シートを収納する収納庫を複数有し、前記収納庫のうち少なくとも2つの収納庫高さが等しくなるように配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録シートの両面に同時に画像を形成するための2つの無端ベルト状中間転写体を有する画像形成装置において、記録シートの搬送経路を短くでき、コピー動作開始から1枚目を排出するまでにかかる時間を短くできる小型な装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
[第一実施形態]
本発明に係る画像形成装置及び給送装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。図1は第一実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置は、排出トレイ(排出部)1、給送部2、シート搬送経路3、定着装置4、第一及び第二作像部101、201を有している。第一及び第二作像部101、201は、像担持体102、202、帯電ロール103、203、現像器104、204、第一及び第二無端ベルト状中間転写体105、205、2次転写器120、220、露光手段131、231を有している。
【0017】
各像担持体102Y〜102K、202Y〜202Kは、それぞれの帯電ロール103Y〜103K、203Y〜203Kにより一様に帯電された後、露光手段131、231のレーザー光によりその表面に静電潜像を形成される。形成された静電潜像は、現像器104Y〜104K、204Y〜204Kによりトナー像に現像される。
【0018】
現像されたトナー像は、それぞれ、1次転写ローラ106Y〜106K、206Y〜206Kにて第一無端ベルト状中間転写体105、第二無端ベルト状中間転写体205上に順次重ねて1次転写される。1次転写されたカラートナー像は、2次転写器120に搬送される。一方、同様に中間転写体205上に1次転写されたカラートナー像は、2次転写器220に搬送される。
【0019】
給送部2から搬送されてきた記録シートSは、中間転写体105、205上のトナー像のタイミングに合わせ、2次転写器120、220に送られ、記録シートSの両面に同時にトナー像を転写される。トナー像を転写された記録シートSは、定着装置4を経てトナー像を定着された後、排出トレイ1に排出される。
【0020】
(配置)
ここで、排出トレイ1、給送部2、シート搬送経路3、第一作像部101、第二作像部201の配置について説明する。
【0021】
排出トレイ1は、給送部2の対角上の装置上方に配置されており、装置本体の略中央部から装置本体の他端部側(図1中右側)に向かって記録シートを排出される。
【0022】
給送部2は、排出トレイ1の対角上の装置下部に配置されており、記録シートを装置本体の一端部側(図1中左側)から装置本体の略中央部に向かって給送する給送手段(給送ローラ2a)を有している。
【0023】
シート搬送経路3は、装置本体の略中央部を縦断しており、排出トレイ1の装置本体の略中央部側と給送部2の装置本体の略中央部側を結んでいる。
【0024】
第一作像部101、第二作像部201は、シート搬送経路3を挟んで配設されている。第一作像部101、第二作像部201は、記録シートSが一度搬送される間に、記録シートSの両面(表裏面)にフルカラー画像を形成できる。
【0025】
第一作像部101は、給送部2の上方、かつ、排出トレイ1の横に配設される。第一作像部101は、傾斜して配設されている。第一作像部101の装置本体の端部側は、中間転写体105と像担持体102との接触面より上方になる。第一作像部101の端部側の一部は、高さが排出トレイ1の高さと同等となる。
【0026】
第二作像部201は、排出トレイ1の下方、かつ、給送部2の横に配設される。第二作像部201は、傾斜して配設されている。第二作像部201の装置本体の端部側は、中間転写体205と像担持体202との接触面より下方になる。第二作像部201の端部側の一部は、高さが給送部2の高さと同等となる。
【0027】
像担持体102、202は、中間転写体105、205の下部に配設されている。すなわち、像担持体102は、中間転写体105と給送部2の間に配置される。像担持体202は、給送部2の横のスペースに配置される。
【0028】
なお、図1の画像形成装置において、2次転写部(2次転写器120、220)の位置は上下にずれた位置となっているが、2次転写部を同一個所に配置してもよい。
【0029】
(効果)
上述の配置により、中間転写体105、205を水平に配設する場合と比較して、排出トレイ1を下方に配置し、給送部2を上方に配設できる。従って、本実施の形態の構成は、中間転写体105、205を水平に配設する場合と比較して、レイアウト上の無駄なスペースを省かれて小型化されているとともに、排出トレイ1と給送部2が近くなることから、シート搬送経路3の距離が短くなり、コピー動作開始から1枚目を排出するまでにかかる時間を短くできる。
【0030】
また、像担持体102、202を中間転写体105、205の下部に配設したことで、中間転写体105、205への1次転写から、2次転写器120までの距離を可能な限り近づけることができる。この結果、画像形成から記録シートSへの転写までの一連の動作を短時間で行うことができ、コピー動作開始から1枚目を排出するまでにかかる時間を短くできる。
【0031】
[第二実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置及び給送装置の第二実施形態について図を用いて説明する。図2はオプションの給送装置を取り付けた画像形成装置の断面図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図2に示すように、上記第一実施形態の画像形成装置にオプションとして給送装置5を取り付ける。給送装置5は、画像形成装置の給送部2の下方、及び第二作像部205の下方に配設される。
【0033】
給送装置5内の収納庫高さが等しくなるように収納庫6、7を配設する。給送装置5は、収納庫6、7から装置本体の略中央に向かって記録シートSを給送し、給送後は画像形成装置の給送部2から給送された記録シートSが搬送されるシート搬送経路3に合流する。
【0034】
上述の配置により、収納庫7から給送を行った場合、収納庫を上下に積み重ねて配置した従来のオプションの給送装置の下層の収納庫から給送する場合と比較して、シート搬送経路を短くできる。従って、レイアウト上の無駄なスペースを省けるとともに、コピー動作開始から1枚目を排出するまでにかかる時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第一実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】第二実施形態に係る画像形成装置及び給送装置の断面図である。
【図3】従来の記録シートの一度の搬送中にその両面に画像を形成できる画像形成装置の断面図である。
【図4】従来の記録シートの一度の搬送中にその両面に画像を形成できる画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
S…記録シート、1…排出トレイ(排出部)、2…給送部、2a…給送ローラ、3…シート搬送経路、4…定着装置、5…給送装置、6…収納庫、7…収納庫、101…第一作像部、102…像担持体、103…帯電ロール、104…現像器、105…第一無端ベルト状中間転写体、106…1次転写ローラ、120…2次転写器、131…露光手段、201…第二作像部、202…像担持体、203…帯電ロール、204…現像器、205…第二無端ベルト状中間転写体、206…1次転写ローラ、220…2次転写器、231…露光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一無端ベルト状中間転写体、及び、少なくとも1つの像担持体を有する第一作像部と、
第二無端ベルト状中間転写体、及び、少なくとも1つの像担持体を有する第二作像部と、
装置下部に配置され、装置本体の一端部側から装置本体の中央部に向かって記録シートを給送する給送部と、
該給送部の対角上の装置上方に配置され、装置本体の中央部から装置本体の他端部側に向かう記録シートが排出される排出部と、
前記給送部の装置本体の中央部側と前記排出部の装置本体の中央部側を結び装置本体の中央部を縦断するシート搬送経路と、
を有し、前記給送部から給送され前記シート搬送経路を搬送される記録シートの表裏面に前記第一作像部と前記第二作像部とによって画像を形成し、画像が形成された記録シートを前記排出部に排出する画像形成装置において、
前記第一作像部は、前記給送部の上方に配置され、
前記第二作像部は、前記排出部の下方に配置され、
前記第一及び第二作像部は、前記シート搬送経路を挟んで配置され、
前記第一及び第二無端ベルト状中間転写体の前記像担持体との接触面が傾斜して配置され、
前記第一作像部の少なくとも一部は、高さが前記排出部の高さと同等となり、
前記第二作像部の少なくとも一部は、高さが前記給送部の高さと同等となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一及び第二作像部の像担持体を、前記第一及び第二無端ベルト状中間転写体の下部に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置の下方に設置されるオプションの給送装置において、
記録シートを収納する収納庫を複数有し、前記収納庫のうち少なくとも2つの収納庫高さが等しくなるように配置したことを特徴とする給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−256890(P2008−256890A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98127(P2007−98127)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】