説明

画像形成装置用の無端ベルト及び画像形成装置

【課題】主鎖にエーテル基を持たないフッ素化ポリイミド樹脂から構成される場合に比べて、長期間に渡り離型性を保持することが可能な画像形成装置用の無端ベルトを提供する。
【解決手段】表面層を、その表面層の少なくとも外表面が、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜89.5質量%と、フッ素樹脂10〜70質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物からなるように、構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用の無端ベルト及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタなど電子写真方式を用いた画像形成装置は、光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー画像とする。そして、このトナー画像を、中間転写体を介して、あるいは直接、記録媒体に静電的に転写することにより所望の画像を得る。前記中間転写体としては、例えば、ポリイミド樹脂(以下、ポリイミドを「PI」と略称することがある)が用いられている。
【0003】
PI樹脂製の無端ベルトの製造方法としては、例えば、特許文献1、2に記載されているように、芯体(基材層)の表面に、浸漬塗布法によってPI前駆体溶液を塗布し、熱風乾燥炉等で乾燥した後、更に所定の温度まで加熱焼成することにより、芯体外面上にPI樹脂皮膜を形成する方法がある。
【0004】
一方、無端ベルトを電子写真機器において利用する場合、離型層(表面層)を表面に形成した複数層からなるPI樹脂製の無端ベルトが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
この場合に、離型層としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂系が主に用いられ、用途によっては、カーボンを分散させて導電性を向上させた樹脂や、SiOやBaSO等の無機物のフィラーを混合して耐久性を向上させた樹脂等が用いられている。
【0006】
一方、無端ベルトを電子写真機器において利用する場合、画質の点からは外周面が平滑面であり、かつベルト走行性の点からは内周面が粗面であるというような、外周面と内周面との表面粗さが異なる無端ベルトが必要とされることもある。
【0007】
フッ素樹脂の具体例としては、フッ素化ポリイミドやPFA樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、フッ化アクリル樹脂などがある。特に膜強度と離型性に優れている樹脂であるフッ素化ポリイミドを使う例として、主鎖にエーテル基を持たないフッ素化ポリイミドを使う方法が、特許文献4、5、6に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−273919号公報
【特許文献2】特開2002−091027号公報
【特許文献3】特開2000−351466号公報
【特許文献4】特許公報第3069041号
【特許文献5】特開2000−137396号公報
【特許文献6】特許公報第4215492号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、主鎖にエーテル基を持たないフッ素化ポリイミド樹脂から構成される場合に比べて、長期間に渡り離型性を保持することが可能な画像形成装置用の無端ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の画像形成装置用の無端ベルト及び画像形成装置が提供される。
【0011】
[1] 表面層を有してなり、その表面層の少なくとも外表面が、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜89.5質量%と、フッ素樹脂10〜70質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物から構成されてなる画像形成装置用の無端ベルト。
【0012】
[2] 前記主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂は、少なくともその一部がフッ素化された酸無水物と少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類とから合成されるフッ素化ポリアミック酸から調製された樹脂である前記[1]に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【0013】
[3]前記少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び前記少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類は、フッ素基(−F)及び/又はパーフルオロアルキル基(−C2n+1:nは1以上の整数)を有する前記[2]に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【0014】
[4]前記少なくともその一部がフッ素化された酸無水物は、下記化学式(1)〜(3):
【0015】
【化1】

【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

【0018】
で表されるものであり、かつ前記少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類は、下記化学式(4):
【0019】
【化4】

【0020】
で表されるものである前記[3]に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【0021】
[5]前記少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類は、下記化学式(5)〜(15)で表されるもののいずれかである前記[4]に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
【化9】

【0027】
【化10】

【0028】
【化11】

【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

【0032】
【化15】

【0033】
[6]前記表面層だけの単層構造、前記表面層と、前記表面層に接するように形成された基材層との2層構造、又は前記表面層と、前記表面層及び前記基材層の間に形成された弾性層と、前記基材層との3層構造を有する前記[1]〜[5]のいずれかに記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【0034】
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の画像形成装置用の無端ベルトを用いた画像形成装置。
【発明の効果】
【0035】
請求項1〜6に係る発明によれば、主鎖にエーテル基を持たないフッ素化ポリイミド樹脂から構成される場合に比べて、長期間に渡り離型性を保持することが可能な画像形成装置用の無端ベルトを提供することができる。
【0036】
請求項7に係る発明によれば、本構成の画像形成装置用の無端ベルトを用いない場合に比べて、長期間に渡り画像の汚れが抑制された画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト(表面層だけの単層構造を有する場合)を示す斜視図である。
【図1B】図1Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの縦断面図である。
【図1C】図1Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの横断面図である。
【図2A】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト(表面層と基材層との2層構造を有する場合)を示す斜視図である。
【図2B】図2Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの縦断面図である。
【図2C】図2Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの横断面図である。
【図3A】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト(表面層と弾性層と基材層との3層構造を有する場合)を示す斜視図である。
【図3B】図3Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの縦断面図である。
【図3C】図3Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの横断面図である。
【図4】図1Aに示す画像形成装置用の無端ベルトが支持体で支持された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト]
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト(表面層だけの単層構造を有する場合)を示す斜視図である。図1Bは、図1Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの縦断面図である。また、図1Cは、図1Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの横断面図である。
【0039】
図1A〜1Cに示すように、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト10は、被記録部材(図示せず)上に画像を形成する画像形成装置(図示せず)において被記録部材上に未転写画像を転写させる中間転写ベルトとして用いられる画像形成装置用の無端ベルト10であって、転写時に被記録部材に接触する筒状の表面層11を有し、その表面層11の少なくとも外表面は、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜89.5質量%と、フッ素樹脂10〜70質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物から構成されてなるものである。
【0040】
図1A〜1Cにおいては、上述のように、表面層11として、円筒状のものを用いた場合を示したが、例えば、楕円筒等の筒状又は円柱等の柱状であってもよい。また、上述のように単層のものを用いた場合を示したが、例えば、表面層11自体が複数層からなるものであっても、単層からなり内側から外側に向かって主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜89.5質量%と、フッ素樹脂10〜70質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物の含有量が段階的又は傾斜的に増加するものであってもよい。これらの場合、その外表面は、上述の複合樹脂組成物から構成されることが必要である。
【0041】
なお、第1の実施の形態における画像形成装置用の無端ベルト10は、表面層11自体が複数層からなるものであっても、表面層11以外の層、例えば、後述する基材層12(図2A参照)等を有しないので、「表面層11だけの単層構造を有する場合」(すなわち、無端ベルト10として、他の層、例えば、基材層等を有しない場合)に含まれる。
【0042】
第1の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト10の表面層11の少なくとも外表面は、上述のように、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜89.5質量%と、フッ素樹脂10〜70質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物から構成される。
【0043】
この複合樹脂組成物としては、例えば、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂の前駆体としての、少なくともその一部がフッ素化された酸無水物と少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類とから合成されるフッ素化ポリアミック酸の溶液(例えば、N−メチルピロリドン溶液)に、フッ素樹脂と、導電性粒子とを分散させた、複合樹脂組成物の前駆体としての分散液から調製されたものを挙げることができる。
【0044】
また、この複合樹脂組成物としては、例えば、複合樹脂組成物の前駆体としての上述の分散液を加熱することによって調製されたものを挙げることができる。
【0045】
以下、この複合樹脂組成物を構成する、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、及び導電性粒子について順に説明し、その後に、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂の前駆体であるフッ素化ポリアミック酸の溶液に、フッ素樹脂と、導電性粒子とを分散させて、複合樹脂組成物の前駆体としての分散液を調整することについて説明する。
【0046】
まず、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂について説明する。この主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂は、無端ベルト10が、長期間に渡り、適度な離型性を保持することを可能ならしめるために用いられる。主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂の前駆体としてのフッ素化ポリアミック酸は、上述の少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類を合成することによって得られるが、これらの酸無水物及びジアミン類としては、フッ素基(−F)及び/又はパーフルオロアルキル基(−C2n+1:nは1以上の整数)を有するものを挙げることができる。パーフルオロアルキル基(−C2n+1)におけるnは、1〜9であることが好ましく、具体的には、−CF,−C,−C等を挙げることができる。なお、上述の少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類の少なくともいずれか一方は、主鎖にエーテル基を持つことが必要である。
【0047】
具体的には、少なくともその一部がフッ素化された酸無水物としては、例えば、上記化学式(1)〜(3)で表されるものを挙げることができる。
【0048】
また、少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類としては、一般的に、上記化学式(4)で表され、具体的に、例えば、上記化学式(5)〜(15)で表されるものを挙げることができる。
【0049】
上述のように、本発明に用いられる少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類としては、完全フッ素化されたものだけではなく、一部がフッ素化されることなく(フッ素基(−F)及び/又はパーフルオロアルキル基(−C2n+1:nは1以上の整数)で置換されることなく)、水素基(−H)のままであるものをも用いることができる。
【0050】
主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂は、複合樹脂組成物の全体に対して、通常、25〜89.5質量%、好ましくは、35〜75質量%の割合で配合される。25質量%未満であると、無端ベルト10はポリアミック酸からの重合が困難になることと、耐久性が不足するという支障をきたす場合がある。75質量%を超えると、離型性と電気抵抗制御の両立が困難になるという支障をきたす場合がある。
【0051】
次に、フッ素樹脂について説明する。フッ素樹脂は、画像形成装置用の無端ベルトの表面における剥離性(離型性)を向上させるために用いられる。フッ素樹脂は、複合樹脂組成物の全体に対して、通常、10〜70質量%、好ましくは、20〜60質量%の割合で配合される。10質量%未満であると、無端ベルト10の表面の剥離性が不足する場合があり、70質量%を超えるとポリアミック酸の重合に支障をきたし、耐久性が不足する場合がある。
【0052】
このようなフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が好ましい。中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)がさらに好ましい。分散剤として用いられるフッ素樹脂は、好ましくは、0.1〜1μm、さらに好ましくは、0.1〜0.3μmの平均粒径を有する粒子であることが好ましい。
【0053】
次に、導電性粒子について説明する。導電性粒子は、複合樹脂組成物により得られる膜を所望の電気抵抗に調整するために使用される。導電性粒子は、複合樹脂組成物の全体に対して、通常、10〜50質量%、好ましくは、15〜30質量%の割合で配合される。10質量%未満であると、中間転写体表面上に静電的に吸着しているトナーにより、中間転写体表面上に誘起される電荷量が増大することで、外周面横方向(沿面方向)に放電が発生し、トナー像がぼやけてしまい粒状性の悪化が引き起こされ、良好な出力画像を得ることができない場合がある。一方、50質量%を超えると、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。
【0054】
このような導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、カーボンブラックを造粒したカーボンビーズ、カーボンファイバー、グラファイト等の炭素系物質、ニッケル、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO−In複合酸化物等の導電性金属酸化物、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー等を挙げることができる。
【0055】
フッ素樹脂(PFTE)及び導電性粒子(カーボンブラック)の配合量と、表面層の複合樹脂組成物(主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂として、全フッ化ポリイミド(10FEDA+4FMPD)を用いた場合)の剥離力との関係を調査した結果を以下に示す。すなわち、カーボンブラックを配合しない系では、PFTEの配合量が、0質量%、5質量%、10質量%、20質量%、30質量%と増加するにつれて、複合樹脂組成物の剥離力[N]は、1.4N、0.9N、0.4N、0.3N、0.2Nと減少し、剥離性が向上することが分かる。上述のように、PFTEの配合量が30質量%の場合の剥離力[N]は0.2Nであり、これはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の場合の剥離力[N]に匹敵し、PFTEの配合量が30質量%の場合、PFA並みの剥離性が得られることが分かる。
また、カーボンブラックを50質量%配合した系では、PFTEの配合量が20質量%の場合、複合樹脂組成物の剥離力[N]は、約0.4Nで変化がなかった。このことから、複合樹脂組成物におけるフッ素樹脂の配合量は、通常、10〜70質量%、であり、導電性粒子は、通常、10〜50質量%であることが好ましいことが分かる。
【0056】
表面層11(複数層からなる場合は少なくとも最外層)の外表面は、10Ω/□〜1015Ω/□の表面抵抗率を有することが好ましい。転写ベルトとしては、10Ω/□〜1014Ω/□であることがさらに好ましい。なお、表面層11の表面抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化社製、ハイレスターIPの「URプローブ」)を用い、JIS K6911に従って測定される。
【0057】
[第2の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト]
図2Aは、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト(表面層と基材層との2層構造を有する場合)を示す斜視図である。図2Bは、図2Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの縦断面図である。図2Cは、図2Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの横断面図である。
【0058】
図2A〜2Cに示すように、第2の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト20は、第1の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト10が表面層だけの単層構造を有する場合と比べて、表面層と基材層との2層構造を有する点が異なるが、その他の点では基本的に第1の実施の形態の場合と同様である。具体的には、第2の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト20は、被記録部材(図示せず)上に画像を形成する画像形成装置(図示せず)において被記録部材上に未転写画像を転写させる中間転写ベルトとして用いられる画像形成装置用の無端ベルト20であって、円筒状の基材層22を有し、この基材層22上に、転写時に被記録部材に接触する筒状の表面層21を有し(換言すれば基材層22は表面層21の裏面側に設けられる)、表面層21の少なくとも外表面は、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜89.5質量%と、フッ素樹脂10〜70質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物から構成されてなるものである。以下、第1の実施の形態の場合と異なる点について主に説明する。
【0059】
第2の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト20に用いられる基材層22は、剥離性(離型性)を必要とする表面層21と機能を分けることで、一定の強度を維持した上で材料の使用量を減らすことができるため、高価なフッ素化ポリイミド樹脂を用いた場合にコストの上昇を抑制するために用いられる。また、表面層21の場合と同様に、基材層22自体が複数層であってもよい。基材層22の厚さは、10μm〜100μmが好ましく、20μm〜80μmがさらに好ましい。10μm未満であると、強度不足になることがあり、100μmを超えると、屈曲性が不十分になることがある。
【0060】
基材層22の少なくとも内表面(表面層21における外表面と同様の意味である)は、ポリイミド、ポリアミドイミド又はポリアミドから構成されてなるものであることが、接着性の点から好ましい。
【0061】
転写ベルトとしての使用に際し、第1の実施の形態の場合と同様に、表面層21には、導電性粒子を分散させるが、表面層21と同様に、基材層22中に導電性粒子を分散させることが好ましい。すなわち、上述の基材層22を構成するポリイミド、ポリアミドイミド又はポリアミドには、導電性粒子が分散されてなることが好ましい。
【0062】
導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、カーボンブラックを造粒したカーボンビーズ、カーボンファイバー、グラファイト等の炭素系物質、ニッケル、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO−In複合酸化物等の導電性金属酸化物、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー等を挙げることができる。分散維持性が良好なカーボンブラックが好ましい。
【0063】
[第3の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト]
図3Aは、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト(表面層と弾性層と基材層との3層構造を有する場合)を示す斜視図である。図3Bは、図3Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの縦断面図である。図3Cは、図3Aに示す画像形成装置用の無端ベルトの横断面図である。
【0064】
図3A〜3Cに示すように、第3の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト30は、第1の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト20が表面層だけの単層構造を有する場合と比べて、表面層と弾性層と基材層との3層構造を有する点が異なるが、その他の点では基本的に第1及び第2の実施の形態の場合と同様である。具体的には、第3の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト30は、被記録部材(図示せず)上に画像を形成する画像形成装置(図示せず)において被記録部材上に未転写画像を転写させる中間転写ベルトとして用いられる画像形成装置用の無端ベルト30であって、円筒状の基材層32を有し、この基材層32上に、転写時に被記録部材に接触する筒状の表面層31を有し(換言すれば、基材層32は表面層31の裏面側に設けられる)、さらに、表面層31と基材層32との間に、中間層として弾性層33をさらに有し、表面層31の少なくとも外表面は、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜89.5質量%と、フッ素樹脂10〜70質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物から構成されてなるものである。以下、第1及び第2の実施の形態の場合と異なる点について主に説明する。
【0065】
第3の実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルト30に用いられる弾性層33は、感光体等との密着性を向上させ、安定的に転写領域を形成するために用いられる。表面層31の場合と同様に、弾性層33自体が複数層等であってもよい。
【0066】
弾性層33は、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴムが、耐熱性、コスト等の点から好ましい。
【0067】
[支持体]
図4は、図1Aに示す第1の実施の形態の画像形成装置用の無端ベルトを支持体で支持した状態を示す斜視図である。
【0068】
支持体50は、本実施の形態の画像形成装置用の無端ベルトを製造する場合や使用する場合等において、無端ベルトを支持するために用いられる。
【0069】
支持体50の形状としては、円柱状等の柱状又は円筒状等の筒状を挙げることができる。その断面は、一般的に上述のように円形状のものが好適に用いられるが、楕円状等のその他の断面形状を有するものであってもよい。
【0070】
支持体50の材質は、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属が好ましい。この場合、支持体50表面の剥離性を向上させるため、支持体50表面をクロムやニッケルでメッキしたり、フッ素樹脂やシリコーン樹脂で支持体50表面を被覆したり、又は支持体50表面に離型剤を塗布してもよい。
【0071】
一方、後述する本実施の形態の画像形成装置用の無端ベルトを製造する場合、支持体50表面に複合樹脂組成物前駆体分散液の塗膜を形成し、形成された塗膜を加熱するが、この場合に、塗膜中に残留する溶媒等が気化して発生するガスによって、得られる複合樹脂組成物皮膜に膨れや欠陥が発生する場合があった。このことから、加熱処理した際に、塗膜中に発生するガスを効果的に放出することができるようにするため、支持体50表面にブラスト加工を施すことにより、支持体50表面に、表面粗さRaが、0.2〜1.0μm程度の粗面を形成したり、支持体50表面の周方向に切削加工を施してもよい。
【0072】
[画像形成装置用の無端ベルトの製造方法]
本実施の形態の画像形成装置用の無端ベルトの製造方法は、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂の前駆体としての少なくともその一部がフッ素化された酸無水物と少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類とから合成されるフッ素化ポリアミック酸の溶液(例えば、N−メチルピロリドン溶液)に、フッ素樹脂と、導電性粒子とを分散させて、複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を調製し、得られた複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を基材又は支持体に塗布して塗膜を形成し(以下、「複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜形成工程」と略称することがある)するとともに、形成された塗膜を加熱して、表面層の少なくとも外表面を構成する複合樹脂組成物の皮膜を形成する(以下、「複合樹脂組成物皮膜(表面層)形成工程」と略称することがある)を含む。なお、必要に応じて、上記工程のほかに、複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜の乾燥工程等の他の工程を含んでもよい。
【0073】
本実施の形態に係る画像形成装置用の無端ベルトの製造方法としては、大別して、第1の実施の形態の場合のように、無端ベルトが複合樹脂組成物の表面層だけの単層構造を有する場合(金属製の支持体50上に、複合樹脂組成物の単体の膜(表面層)を直接形成する場合)と、第2又は第3の実施の形態の場合のように、無端ベルトが複合樹脂組成物の表面層と基材層との2層構造を有する場合又は表面層と弾性層と基材層との3層構造を有する場合(既存のポリイミドから構成された無端ベルトに、複合樹脂組成物前駆体分散液をコーティングして複数の層を持つ無端ベルトを形成する場合)とに分けて説明する。
【0074】
<無端ベルトが複合樹脂組成物の表面層だけの単層構造を有する場合>
(複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜形成工程)
複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜形成工程では、支持体50表面に塗膜を形成するために複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を用いる。主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド前駆体としては、上述の化学式(1)〜(3)で表される、少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び、上述の化学式(4)、具体的には上述の化学式(5)〜(15)で表される少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類から合成されるフッ素化ポリアミック酸が用いられる。なお、ジアミン類は、フッ素化率が高いほど好ましい。また、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリアミック酸(フッ素化PI前駆体)を溶解させる溶媒(この溶媒は、フッ素樹脂及び導電性粒子の分散媒体としても機能する)としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等、公知の非プロトン系の極性溶媒を用いることができる。なお、フッ素化PI前駆体溶液の濃度、粘度等は、最終的に得られる複合樹脂組成物中におけるフッ素化ポリイミド樹脂の配合量が25〜89.5質量%となるように、適宜選択することができる。次いで、フッ素化PI前駆体溶液に、フッ素樹脂及び導電性粒子を、分散器を用いて分散させて、複合樹脂組成物前駆体分散液を調製する。
【0075】
支持体50表面への、複合樹脂組成物前駆体分散液の塗布方法としては、支持体50の形状にもよるが、支持体50を複合樹脂組成物前駆体分散液に浸漬して引き上げる浸漬塗布法、軸方向が水平方向にほぼ平行となるように設置し、周方向に回転している支持体50の表面に、支持体50のほぼ真上に設置したノズル等から複合樹脂組成物前駆体分散液を吐出しながら、支持体50又はノズルを軸方向に平行移動させるフローコート法、このフローコート法において、支持体50表面に形成された塗膜をブレードでメタリングするブレード塗布法等、公知の方法を利用することができる。なお、上記フローコート法やブレード塗布法では、支持体50表面に形成される塗膜は支持体50の軸方向にらせん状に形成されるため、継ぎ目ができるものの、複合樹脂組成物前駆体分散液に含まれる溶媒は常温での乾燥が遅いために継ぎ目は自然に平滑化される。
【0076】
(複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜の乾燥工程)
複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜の乾燥工程では、支持体50表面に形成された塗膜中に含まれる溶媒を加熱・乾燥することで除去することが好ましい。加熱温度は使用する溶媒の沸点以下が好ましく、例えば溶媒がN−メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)の場合には、70〜201℃の範囲が好ましく、溶媒がジメチルアセトアミド(DMAC、沸点165℃)の場合には、60℃〜164℃の範囲が好ましい。さらに好ましくは、イミド化が始まる125℃以下の60℃〜125℃で一度加熱し、溶媒に溶けているイミド化に悪影響を及ぼす水を除去した後、溶媒の沸点以下の温度で加熱する、2段階加熱で溶媒を除去するのが好ましい。2段階目の温度としては、例えば、溶媒がN−メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)の場合には、125℃〜201℃の範囲が好ましく、溶媒がジメチルアセトアミド(DMAC、沸点165℃)の場合には、125℃〜164℃の範囲が好ましい。加熱時間は塗布した塗膜の濃度と膜厚とによって変わるが、各段階の加熱時間は10〜120分程度が好ましい。乾燥中に重力の影響により、支持体50表面に形成された塗膜が垂れる場合には、支持体50を、軸方向を水平にして、10〜60rpm程度で回転させながら加熱・乾燥させることも好ましい。
【0077】
(複合樹脂組成物皮膜(表面層)形成工程)
上記複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜の乾燥工程を経て乾燥された塗膜の加熱による複合樹脂組成物皮膜の形成は、溶媒の沸点以上で400℃程度までの温度範囲で、20〜120分間程度で実施することが好ましい。その際、上述の温度に達するまでに、段階的な上昇や、ゆっくりと一定速度で上昇させるのが好ましく、さらに好ましくは、2段階や3段階の温度で加熱・成膜する。なお、最終温度は高い方が強固な膜が形成されるため、340℃以上で加熱することが好ましい。次に、上記した加熱処理を経て支持体50表面に形成された複合樹脂組成物皮膜(表面層11)を、支持体50から剥離することにより無端ベルト10を得る。このようにして得られた無端ベルト10には、さらに必要に応じて、端部のスリット加工、パンチング穴あけ加工、テープ巻き付け加工等を施してもよい。
【0078】
<無端ベルトが表面層と基材層との2層構造を有する場合>
(PI前駆体塗膜形成工程)
PI前駆体塗膜形成工程では、支持体50表面に塗膜を形成するためにポリイミド前駆体溶液を用いる。このポリイミド前駆体溶液に含まれるPI前駆体としては、公知のものを用いることができる。また、PI前駆体を溶解させる溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等、公知の非プロトン系極性溶媒を用いることができる。なお、PI前駆体溶液の濃度、粘度等は、適宜選択することができ、また、PI前駆体溶液には、必要に応じて、導電性粒子等の他の材料や添加剤等を加えてもよい。
【0079】
支持体50表面への、PI前駆体溶液の塗布方法としては、支持体50の形状にもよるが、支持体50をPI前駆体溶液に浸漬して引き上げる浸漬塗布法、軸方向が水平方向にほぼ平行となるように設置し、周方向に回転している支持体50の表面に、支持体50のほぼ真上に設置されたノズル等からPI前駆体溶液を吐出しながら、支持体50又はノズルを軸方向に平行移動させるフローコート法、このフローコート法において、支持体50表面に形成された塗膜をブレードでメタリングするブレード塗布法等、公知の方法を利用することができる。なお、上記フローコート法やブレード塗布法では、支持体50表面に形成される塗膜は支持体50の軸方向にらせん状に形成されるため、継ぎ目ができるものの、PI前駆体溶液に含まれる溶媒は常温での乾燥が遅いために継ぎ目は自然に平滑化される。
【0080】
(PI前駆体乾燥工程)
PI前駆体乾燥工程では、上述のように支持体50表面に形成された塗膜中に含まれる溶媒を加熱・乾燥することで除去することが好ましい。加熱温度は使用する溶媒の沸点以下が好ましく、例えば、溶媒がN−メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)の場合には、70〜201℃の範囲が好ましく、溶媒がジメチルアセトアミド(DMAC、沸点165℃)の場合には、60℃〜164℃の範囲が好ましい。より好ましくは、イミド化が始まる125℃以下の60℃〜125℃で一度加熱し、溶媒に溶けているフッ素化に悪影響を及ぼす水を除去した後、溶媒の沸点以下の温度で加熱する、2段階加熱で溶媒を除去するのが好ましい。2段階目の温度としては、例えば、溶媒がN−メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)の場合には、125℃〜201℃の範囲が好ましく、溶媒がジメチルアセトアミド(DMAC、沸点165℃)の場合には、125℃〜164℃の範囲が好ましい。加熱時間は塗布した塗膜の濃度と膜厚によって変わるが、各段階の加熱時間は10〜120分程度が好ましい。乾燥中に重力の影響により、支持体50表面に形成された塗膜が垂れる場合には、支持体50を、軸方向を水平にして、10〜60rpm程度で回転させながら加熱・乾燥させることも好ましい。
【0081】
(PI樹脂皮膜(基材層)形成工程)
上記PI前駆体乾燥工程を経て乾燥された塗膜の加熱によるPI樹脂膜(基材層22)の形成は、溶媒の沸点以上で400℃程度までの温度範囲で、20〜120分間程度で実施することが好ましい。その際、上述の温度に達するまでに、段階的な上昇や、ゆっくりと一定速度で上昇させるのが好ましく、さらに好ましくは、2段階や3段階の温度で加熱・成膜する。なお、最終温度は高い方が強固な膜が形成されるため、340℃以上で加熱することが好ましい。
【0082】
(複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜形成工程)
次に、PI樹脂皮膜(基材層22)表面に複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜を形成する。主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド前駆体としては、上述の化学式(1)〜(3)で表される少なくともその一部がフッ素化された酸無水物と、上述の化学式(5)〜(15)で表される少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類から合成されるフッ素化ポリアミック酸が用いられる。なお、ジアミン類は、フッ素化率が高いほど好ましい。また、フッ素化PI前駆体を溶解させる溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等、公知の非プロトン系極性溶媒を用いることができる。なお、フッ素化PI前駆体溶液の濃度、粘度等は、上述のように、適宜選択することができる。次いで、フッ素化PI前駆体溶液に、フッ素樹脂及び導電性粒子を、分散器を用いて分散させて、複合樹脂組成物前駆体分散液を調製する。
【0083】
PI膜(基材層22)表面への、複合樹脂組成物前駆体分散液の塗布方法としては、軸方向が水平方向にほぼ平行となるように設置し、周方向に回転しているPI樹脂皮膜(基材層22)の表面に、PI樹脂皮膜(基材層22)のほぼ真上に設置されたノズル等から複合樹脂組成物前駆体分散液を吐出しながら、PI樹脂皮膜(基材層22)又は前記ノズルを軸方向に平行移動させるフローコート法、このフローコート法において、PI樹脂皮膜(基材層22)表面に形成された塗膜をブレードでメタリングするブレード塗布法等、公知の方法を利用することができる。
【0084】
(複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜乾燥工程)
複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜乾燥工程では、上述のようにPI膜表面に形成された塗膜中に含まれる溶媒を加熱・乾燥することで除去することが好ましい。加熱温度は使用する溶媒の沸点以下が好ましく、例えば、溶媒がN−メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)の場合には、70〜201℃の範囲が好ましく、溶媒がジメチルアセトアミド(DMAC、沸点165℃)の場合には、60℃〜164℃の範囲が好ましい。さらに好ましくは、イミド化が始まる125℃以下の60℃〜125℃で一度加熱し、溶媒に溶けているフッ素化に悪影響を及ぼす水を除去した後、溶媒の沸点以下の温度で加熱する、2段階加熱で溶媒を除去するのが好ましい。2段階目の温度としては、例えば、溶媒がN−メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)の場合には、125℃〜201℃の範囲が好ましく、溶媒がジメチルアセトアミド(DMAC、沸点165℃)の場合には、125℃〜164℃の範囲が好ましい。加熱時間は塗布した塗膜の濃度と膜厚によって変わるが、各段階の加熱時間は10〜120分程度が好ましい。乾燥中に重力の影響により、支持体50表面に形成された塗膜が垂れる場合には、支持体50を、軸方向を水平にして、10〜60rpm程度で回転させながら加熱・乾燥させることも好ましい。
【0085】
(複合樹脂組成物皮膜(表面層)形成工程)
上述の複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜乾燥工程を経て乾燥された塗膜の加熱による複合樹脂組成物皮膜(表面層21)の形成は、溶媒の沸点以上で400℃程度までの温度範囲で、20〜120分間程度で実施することが好ましい。その際、上述の温度に達するまでに、段階的な上昇や、ゆっくりと一定速度で上昇させるのが好ましく、さらに好ましくは、2段階や3段階の温度で加熱・成膜する。なお、最終温度は高い方が強固な膜が形成されるため、340℃以上で加熱することが好ましい。次に、上述の加熱処理を経て支持体50表面に形成されたPI樹脂皮膜(基材層22)及び複合樹脂組成物皮膜(表面層21)を、支持体50から剥離することにより無端ベルト20を得る。このようにして得られた無端ベルト20には、さらに必要に応じて、端部のスリット加工、パンチング穴あけ加工、テープ巻き付け加工等を施してもよい。
【0086】
<無端ベルトが表面層と弾性層と基材層との3層構造を有する場合>
後述する「弾性層33の形成工程」が加わること以外は、基本的に、「無端ベルトが表面層及び基材層の複数層からなる場合」と同様である。すなわち、「無端ベルトが表面層及び基材層の複数層からなる場合」における「PI樹脂皮膜(基材層)形成工程」と、「複合樹脂組成物前駆体分散液塗膜形成工程」及び「複合樹脂組成物皮膜(表面層)形成工程」との間に以下の「弾性層の形成工程」が実施される。
【0087】
(弾性層の形成工程)
PI樹脂皮膜(基材層)32の表面に、接着性を持たせるための接着層を塗布した後、フッ素ゴム溶液を塗布・風乾した後、230℃、4時間、加硫を行い、合計180μmのフッ素ゴム層を積層して弾性層33を形成する。得られた弾性層33の表面上にフッ素含有芳香族エーテルケトン系重合体の前駆体塗膜を形成、加熱し、複合樹脂組成物皮膜(表面層31)を形成して、最終的に無端ベルト30を得る。
【0088】
[画像形成装置]
次に、本実施の形態の無端ベルトを用いた画像形成装置について説明する。本実施の形態の画像形成装置は、中間転写体方式の画像形成装置であれば、特に限定されるものではない。例えば、本発明は現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、感光体ドラム等の潜像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の潜像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等に適用される。
【0089】
一例としてタンデム型カラー画像形成装置を挙げる。感光体ドラム表面が一様に帯電され、次いで画像情報に基づき、光ビーム走査装置等により静電潜像が形成される。感光体上に形成された静電潜像は、現像器によって現像される。ブラック用現像器、イエロー用現像器、マジェンタ用現像器、シアン用現像器それぞれに対応する感光体上のトナー像は、1次転写ローラと感光体との間で形成される電界により中間転写体のベルトに一旦転写される。トナー像が転写された中間転写体は、駆動ローラ、テンションローラ、バックアップローラ等からなる駆動系によって駆動される。記録媒体は、中間転写体ベルトと2次転写ローラとの間を通過しその間に中間転写体上のトナー像は記録媒体3に転写される。トナー像が転写された記録媒体は搬送ベルトにより定着器まで搬送され、定着器により定着される。
【実施例】
【0090】
以下に、本発明の画像形成装置用の無端ベルト及びその製造方法を、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって、いかなる制限を受けるものではない。
【0091】
ここで、実施例1〜5は、表面層だけの単層構造を有する無端ベルトの場合、実施例6は、表面層と基材層との2層構造を有する無端ベルトの場合、実施例7は比較例1〜2は、フッ素化ポリイミド樹脂として主鎖にエーテル基を持たない樹脂を用いた場合、比較例3〜6は、フッ素樹脂及び導電性粒子を規定外の配合量で配合した場合をそれぞれ示す。
【0092】
(実施例1)
支持体50表面への複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)の塗布は、フローコート装置を用いて以下のように実施した。複合樹脂組成物前駆体分散液(ワニス)として、溶媒としてのN−メチルピロリドンに、上述の化学式(2)で表される酸無水物(10FEDA:1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物)及び上述の化学式(15)で表される芳香族ジアミン(6FBAPP:2,2−ビス(p−(p−アミノフェノキシ)フェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)から合成してなる部分フッ素化ポリアミック酸60質量%を溶解した部分フッ素化ポリアミック酸の溶液に、平均粒径が0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子25質量%と、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)15質量%とを分散させた分散液(ワニス)を利用した。また、支持体50としては、外径366mm、長さ600mmのアルミ製円筒を用い、肉厚6mmのアルミ製円筒を用い、この表面を、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、支持体50表面の表面粗さRa:0.4μmに粗面化したものを用意した。さらに支持体50表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学社製)を塗布して、300℃で1時間、焼き付け処理した。次いで支持体50表面に、フローコート装置を用いて、前述の複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を塗布した。次に、窒素置換した加熱炉(イナートオーブン)を使って加熱成膜を行った。加熱は、120℃で30分加熱した後、200℃で30分、250℃で30分、最後に380℃で30分加熱するという方法で、支持体50表面に複合樹脂組成物皮膜を形成した。室温に冷えてから複合樹脂組成物皮膜を剥離、ベルト膜厚が50μmと均一であり、欠陥のない複合樹脂組成物の表面層だけの単層構造を有する無端ベルトを得た。また、支持体50表面には予め離型剤が塗布されているため、剥離に際して、無端ベルトの内周面が支持体50と接着することはなかった。
【0093】
(実施例2)
主鎖にエーテル基を持つフッ素化PI前駆体として、上述の化学式(3)で表される酸無水物(6FDA:2,2−ビス(3,4−アンヒドロジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン)及び上述の化学式(15)で表される芳香族ジアミン(6FBAPP:2,2−ビス(p−(p−アミノフェノキシ)フェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)から合成されてなる部分フッ素化ポリアミック酸を用いたこと以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のない部分フッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する無端ベルトを得た。
【0094】
(実施例3)
フッ素化PI前駆体として、上述の化学式(2)で表される酸無水物(10FEDA:1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物)及び上述の化学式(6)で表される芳香族ジアミン(6FMDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン)から合成されてなる完全フッ素化ポリアミック酸を用いたこと以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のない完全フッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する無端ベルトを得た。
【0095】
(実施例4)
フッ素化PI前駆体として、上述の化学式(2)で表される酸無水物(10FEDA:1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物)及び上述の化学式(9)で表される芳香族ジアミン(13FPD:1,4−ジアミノ−2−トリデカフルオロ−n−ヘキシルベンゼン)から合成されてなる部分フッ素化ポリアミック酸を用いたこと以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のない部分フッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する無端ベルトを得た。
【0096】
(実施例5)
フッ素化PI前駆体として、上述の化学式(1)で表される酸無水物(P6FDA:3,6−ビス(トリフルオロメチル)−1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシリック二無水物)及び上述の化学式(5)で表される芳香族ジアミン(8FODA:2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)から合成されてなる完全フッ素化ポリアミック酸を用いたこと以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のない部分フッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する無端ベルトを得た。
【0097】
(実施例6)
支持体50表面へのPI前駆体を含む溶液をフローコート装置を用いて行った後、加熱成膜し通常のPI無端ベルトを形成した後、表面に更にフローコート装置を用いて複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を塗布し加熱することで、表面層と基材層との2層構造を有する無端ベルトを得た。なお、詳細は以下に説明する。PI前駆体溶液としては、PI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産社製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)を利用した。また、支持体50としては、外径366mm、長さ600mmのアルミ製円筒を用い、肉厚6mmのアルミ製円筒を用い、この表面を、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、支持体50表面の表面粗さRa:0.4μmに粗面化したものを用意した。さらに支持体50表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学社製)を塗布して、300℃で1時間、焼き付け処理した。次いで支持体50表面に、フローコート装置を用いて、前述のPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液を塗布した。次に、窒素置換した加熱炉(イナートオーブン)を使って加熱成膜を行った。加熱は、120℃で30分加熱した後、200℃で30分、250℃で30分、最後に340℃で30分加熱するという方法で、支持体50表面にPI樹脂皮膜を形成した。次に、このポリイミド基層だけの単層構造を有する表面に、同じフローコート装置を用いて複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を塗布した。複合樹脂組成物の前駆体分散液(ワニス)として、溶媒としてのN−メチルピロリドンに、上述の化学式(2)で表される酸無水物(10FEDA:1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物)及び上述の化学式(15)で表される芳香族ジアミン(6FBAPP:2,2−ビス(p−(p−アミノフェノキシ)フェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)から合成されてなる部分フッ素化ポリアミック酸60質量%を溶解した部分フッ素化ポリアミック酸の溶液に、平均粒径が0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子30質量%と、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)10質量%とを分散させた分散液(ワニス)を利用した。次に、窒素置換した加熱炉(イナートオーブン)を使って加熱成膜を行った。加熱は、120℃で30分加熱した後、200℃で30分、250℃で30分、最後に340℃で30分加熱するという方法で、支持体50表面に複合樹脂組成物皮膜を形成した。室温に冷えてからPI樹脂と複合樹脂組成物皮膜の2層からなる樹脂を支持体50から剥離し、ベルト層膜厚が70μmの欠陥のないPI樹脂の基材層と複合樹脂組成物の表面層との2層構造を有する無端ベルトを得た。各層のPI間の接着性は強固で剥がれることはなく、支持体50表面には予め離型剤が塗布されているため、支持体50との無端ベルトの剥離は容易であった。
【0098】
(実施例7)
支持体50表面へのPI前駆体を含む溶液をフローコート装置を用いて行った後、加熱成膜し通常のPI無端ベルトを形成した後、弾性層を塗布乾燥し、表面に更にフローコート装置を用いて複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を塗布し加熱することで、表面層、弾性層と基材層との3層構造を有する無端ベルトを得た。なお、詳細は以下に説明する。PI前駆体溶液としては、PI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産社製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)を利用した。また、支持体50としては、外径366mm、長さ600mmのアルミ製円筒を用い、肉厚6mmのアルミ製円筒を用い、この表面を、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、支持体50表面の表面粗さRa:0.4μmに粗面化したものを用意した。さらに支持体50表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学社製)を塗布して、300℃で1時間、焼き付け処理した。次いで支持体50表面に、フローコート装置を用いて、前述のPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液を塗布した。次に、窒素置換した加熱炉(イナートオーブン)を使って加熱成膜を行った。加熱は、120℃で30分加熱した後、200℃で30分、250℃で30分、最後に340℃で30分加熱するという方法で、支持体50表面にPI樹脂皮膜を形成した。次に、前記無端状ベルト表面に、JIS−K6253(1997)に準拠したタイプAデュロメータで規定されるデュロメータ硬さがA35となるように調整された液状シリコーンゴム(KE1940−35、液状シリコーンゴムA35品、信越化学工業社製)を膜厚が200μmとなるように塗布し、乾燥させることにより、乾燥状態の液状シリコーンゴム層を設けた。そしてこのポリイミド基層、弾性層を有する表面に、同じフローコート装置を用いて複合樹脂組成物の前駆体としての分散液(ワニス)を塗布した。複合樹脂組成物の前駆体分散液(ワニス)として、溶媒としてのN−メチルピロリドンに、上述の化学式(2)で表される酸無水物(10FEDA:1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物)及び上述の化学式(15)で表される芳香族ジアミン(6FBAPP:2,2−ビス(p−(p−アミノフェノキシ)フェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)から合成されてなる部分フッ素化ポリアミック酸60質量%を溶解した部分フッ素化ポリアミック酸の溶液に、平均粒径が0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子30質量%と、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)10質量%とを分散させた分散液(ワニス)を利用した。次に、窒素置換した加熱炉(イナートオーブン)を使って加熱成膜を行った。加熱は、120℃で30分加熱した後、200℃で30分、250℃で30分、最後に340℃で30分加熱するという方法で、支持体50表面に複合樹脂組成物皮膜を形成した。室温に冷えてからPI樹脂と複合樹脂組成物皮膜の2層からなる樹脂を支持体50から剥離し、ベルト層膜厚が70μmの欠陥のないPI樹脂の基材層と弾性層および複合樹脂組成物の表面層との3層構造を有する無端ベルトを得た。各層の接着性は強固で剥がれることはなく、支持体50表面には予め離型剤が塗布されているため、支持体50との無端ベルトの剥離は容易であった。
【0099】
(比較例1)
フッ素化PI前駆体溶液として、上述の化学式(3)で表される酸無水物(6FDA:2,2−ビス(3,4−アンヒドロジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン)及び上述の化学式(6)で表される芳香族ジアミン(6FMDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン)とから合成されてなる部分フッ素化ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を用いたこと以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のないフッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する無端ベルトを得た。しかしながら、この部分フッ素化ポリイミド膜は、エーテル結合を持たないことから剛直で、柔軟性に欠けていた。
【0100】
(比較例2)
フッ素化PI前駆体が、下記化学式(16):
【0101】
【化16】

【0102】
で表される酸無水物(NTCDA:ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボキシリック二無水化物)と上述の化学式(7)で表される芳香族ジアミン(6FMDA:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)とから合成されてなる部分フッ素化ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を用いたこと以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のないフッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する半導電性無端ベルトを得た。しかしながら、この部分フッ素化ポリイミド膜は、エーテル結合を持たないことから剛直で、柔軟性に欠けていた。
【0103】
(比較例3)
部分フッ素化ポリアミック酸の溶解量が20質量%、PTFE粒子の分散量が50質量%、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を30質量%分散させた分散液を用いて作製したところ、均一性が悪くかつ強度の非常に弱い半導電性フッ化ポリイミドベルトフッ化ポリイミドベルトを得た。
【0104】
(比較例4)
部分フッ素化ポリアミック酸の溶解量が質量90%、PTFE粒子が2質量%、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を8質量%分散させた分散液であること以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のないフッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する半導電性無端ベルトを得た。
【0105】
(比較例5)
PTFE粒子の分散量が7質量%、部分フッ化ポリアミック酸の溶解量が70質量%、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を23質量%分散させた分散液であること以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のないフッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する半導電性無端ベルトを得た。
【0106】
(比較例6)
フッ素樹脂の分散量が80質量%であること以外は、実施例1と全く同じようにして作製したところ、欠陥が多く均一性に欠ける半導電性フッ化ポリイミドベルトを得た。
【0107】
(比較例37)
カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)の分散量を55質量%、部分フッ化ポリアミック酸の溶解量が30質量%、PTFE粒子分散量が15%の分散液であること以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のないフッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する半導電性無端ベルトを得た。
【0108】
(比較例58)
カーボンブラックが、(Special Black 4:Degussa社製)の分散量を7質量%、部分フッ化ポリアミック酸の溶解量が60質量%、PTFE粒子分散量が33%の分散液である以外は、実施例1と全く同じようにして欠陥のない部分フッ素化ポリイミドの表面層だけの単層構造を有する無端ベルトを得た。
【0109】
(評価試験)
実施例1〜6において得られた各複合樹脂組成物を用いた無端ベルト及び比較例1〜6において得られた無端ベルトを、それぞれ中間転写ベルトとしてカラー複合機(商品名:DocuColor 8000 Digital Press:富士ゼロックス社製)の定着中間転写装置に組み込み、50万枚連続通紙による耐久試験及び画質評価を行った。実施例1〜7の無端ベルトを組み込んだ定着装置では、50万枚連続通紙後でも良好な耐久性と画質が得られた。一方、比較例1または比較例2の無端ベルトを組み込んだ中間転写装置では、膜に柔軟性が無いためにそれぞれ2万枚および5万枚時点で膜端部に破断が生じた。比較例3及び6の無端ベルトを組み込んだ中間転写装置では、ベルト均一性に欠けるため画質が悪くかつ耐久性も不十分であった。比較例4の無端ベルトを組み込んだ中間転写装置では、抵抗が高いことによる放電に加え剥離性不足により良好な画質を得ることができなかった。比較例5の無端ベルトを組み込んだ中間転写装置では、剥離性に欠けるため転写不良が生じ、良好な画質を得ることができなかった。比較例7の無端ベルトを組み込んだ中間転写装置では、転写ベルトの電気抵抗が10Ω/□と低く、未定着トナー像保持力が弱いためブラーが発生し、良好な画質を得ることができなかった。比較例8の無端ベルトを組み込んだ中間転写装置では、電気抵抗が1016Ω/□と高いため粒状性が悪化し、良好な画質を得ることができなかった。
【符号の説明】
【0110】
10 画像形成装置用の無端ベルト
11 表面層
20 画像形成装置用の無端ベルト
21 表面層
22 基材層
30 画像形成装置用の無端ベルト
31 表面層
32 基材層
33 弾性層
50 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層を有してなり、その表面層の少なくとも外表面が、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂25〜80質量%と、フッ素樹脂10〜65質量%と、導電性粒子10〜50質量%とを含む複合樹脂組成物から構成されてなる画像形成装置用の無端ベルト。
【請求項2】
前記主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂は、少なくともその一部がフッ素化された酸無水物と少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類とから合成されるフッ素化ポリアミック酸から調製された樹脂である請求項1に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【請求項3】
前記少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び前記少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類は、フッ素基(−F)及び/又はパーフルオロアルキル基(−C2n+1:nは1以上の整数)を有する請求項2に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【請求項4】
前記少なくともその一部がフッ素化された酸無水物は、下記化学式(1)〜(3):
【化1】


【化2】


【化3】


で表されるものであり、かつ前記少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類は、下記化学式(4):
【化4】


で表されるものである請求項3に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【請求項5】
前記少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類は、下記化学式(5)〜(15)で表されるもののいずれかである請求項4に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
前記少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類は、下記化学式(5)〜(15)
で表されるもののいずれかである請求項4に記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】

【請求項6】
前記表面層だけの単層構造、前記表面層と、前記表面層に接するように形成された基材層との2層構造、又は前記表面層と、前記表面層及び前記基材層の間に形成された弾性層と、前記基材層との3層構造を有する請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置用の無端ベルト。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置用の無端ベルトを用いた画像形成装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−68344(P2012−68344A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211624(P2010−211624)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】