説明

画像形成装置

【課題】原稿の置き忘れという事象を的確に認識し、操作者に嫌悪感を抱かせることなく、原稿の置き忘れに対する注意を促すことを目的とする。
【解決手段】原稿の読み取り終了後に原稿の置き忘れ防止を促すための第一の警告メッセージを表示し複写(プリント)終了後に複写継続の意思がない事を確認した場合、原稿の置き忘れ防止を促すための第二の警告メッセージを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機または課金装置が接続された複写機において、操作者が複写終了した後、原稿を複写機の内部に残したまま立ち去り、原稿が紛失したり、機密が漏洩したりすることを防止する複写機の原稿置き忘れ防止方法に係る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機でコピーをとった場合、出力用紙の取り出しや、また課金装置が接続されている複写機では、課金処理に気をとられ、原稿を複写機内部に置き忘れてしまうことが、時々ある。しかし、通常の複写機では原稿を置き忘れた場合に警告を発する手段が設けられていないため、原稿を紛失したり、機密が漏洩したりする可能性があった。
【0003】
また、通常の複写機では原稿を置き忘れたのか、まだ続けてコピーをとる為に原稿の交換をしていないだけなのかの区別をつけることが困難であり、原稿の置き忘れではない場合でも報知音が鳴ってしまう可能性が高い。更にまた、複写終了時に鳴らすのでは、複写終了音を適用している複写機では音が重なってしまい、操作者に不快感を与える可能性があり、複写終了後、タイマーを用いて一定時間経った後で報知音を鳴らすのでは、操作者が既に複写機から離れてしまっている可能性がある。
【特許文献1】特開平5−53385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、原稿の置き忘れという事象を的確に認識し、操作者が操作画面を見ているであろう時には、メッセージのみでの警告とし、操作者の目が操作画面から離れていると判断できる場合には、報知音で操作者の目を画面に向けさせてから、メッセージで警告を行う原稿置き忘れ防止機能を搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
原稿の読み取り終了後に、原稿の置き忘れ防止を促すためのメッセージを表示する第一の警告メッセージ表示手段と、複写(プリント)終了後に、複写継続の意思を確認するための継続確認手段と、前記継続確認手段により継続しない事を選択した場合に、原稿の置き忘れ防止を促すためのメッセージを表示する、第二の警告メッセージ表示手段とを備える。
【0006】
また、課金装置が接続され、複写利用料を課す課金手段を備えた画像形成装置において、複写終了後に前記課金装置のコイン返却ボタンを押下した場合、原稿の置き忘れ防止を促すためのメッセージを表示する、警告メッセージ表示手段と、原稿の置き忘れがないように警告音で報知する報知手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原稿の読み取りが終了した時点で、原稿を取り除くもしくは交換する事が可能である事をメッセージで伝えるため、コピー動作が終了する前に、原稿を操作者の手元に戻す事が可能である。
【0008】
また、コピー動作終了時にも原稿置き忘れ防止画面を表示するため、操作者の原稿置忘れを、二重に防止することが可能である。
【0009】
更に、操作者が操作パネルを見ているかどうかを、複写機本体を操作したか、課金装置を操作したかで判断し、操作者の目が複写機本体から離れていると判断できるときのみ、報知音での警告を行うため、操作者に対しても嫌悪感を与える事がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概観図である。
【0011】
この画像形成装置10は、課金装置を備え、コンビニエンスストアなどに設置されて不特定多数の操作者によって使用される複写機である。
【0012】
図1の課金装置の硬貨投入口13から、操作者が硬貨を投入する事により、複写機の操作(液晶)パネル11から、コピーの設定およびコピースタートすることが可能となる。また、余分に投入された硬貨を返却する際は、課金装置の料金返却レバー12を押下することで、硬貨が返却口14に返却される。また、複写機と課金装置はコネクタ37で接続されており、複写機からは、コピーの状態や、用紙サイズなどが課金装置に対して送信され、課金装置からは、用紙サイズに基づいた単価情報や投入金額、不足金額などが送信される。
【0013】
操作者が硬貨を投入すると、課金装置の金額読み取り部33から投入金額がコネクタ37を通して通知され、投入金額が0円を超えていれば、操作部25から、コピーモードを設定する事が可能となる。それまでは、「コインを投入してください」と言った旨の画面で、操作不可能となっている。操作者が必要なコピーモードを設定し、操作部25上のスタートキーを押下すると、操作者が設定したコピーモードと、課金装置の単価テーブル34から通知されてくる単価情報とから、コピー遂行に必要な総額と、操作者が投入した金額と総額との差分(不足金額)を計算し、差分が0円の場合は、所定のコピー動作を開始する。もし、差分が0円でなく不足していた場合は、不足金額を操作パネル11に表示し、硬貨の追加投入を促す。
【0014】
所定のコピージョブが正常に終了すると、制御ユニット23は課金装置の金額読み取り部33から通知されてくる残高をチェックし、残高が0円の場合はコピーを継続するかどうかの確認画面を表示し、ここでコピー終了を選択するか、課金装置の料金返却レバーを押下して残高が0円になった場合は、原稿の置き忘れ防止を促す画面を表示する。
【0015】
一方、コピージョブが終了したときに料金が残っていたときには、そのまま継続してコピーをとることが可能なコピー開始画面へ遷移する。
【0016】
以下に、本発明の、ジョブ終了後動作選択の手順を図を用いて、詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図3を使用して、操作者が操作(液晶)パネル上からコピーを終了させた場合の原稿置き忘れ防止方法を説明する。
【0018】
操作者がコピーに必要な設定を一通り入力し終わると、スタートキー押下によってコピー開始のコマンドが送信される(S1001)。このコマンドに対し、コピー動作が開始されると、制御ユニットはS1002にて、原稿読み取り中のステータスを通知する。その後まもなくしてプリントが開始され、プリント中のステータスが通知される。この段階では、原稿読み取り+プリント中という状態である。全ての原稿を読み取ったら、原稿読み取り終了ステータスが通知され(S1003)る。この段階ではプリント中のみの状態であり、原稿を取り除いたり、次のコピーのために原稿の交換が可能である。
【0019】
従って、図6の61のようなメッセージを表示し、操作者に対して原稿を取り除く事が可能でかつ原稿を忘れないような注意を促している。操作者が設定した部数のコピーが正常に終了すると、制御ユニットはプリント終了ステータスを操作部に対して通知する(S1004)。と同時に、課金装置に残っている料金の残高も通知し、ここで、残高が0円の場合、図5のようなコピー継続確認画面を表示する(S1005)。選択肢としては、51「終了する」、52「続けてコピーする」、53「新しい設定でコピーする」の3つが用意されており、51の「終了する」以外は、まだコピーを継続する意思があると判断でき、現在セットされている原稿を継続して使用するか、もしくは原稿を交換するため、現在セットされている原稿は、確実に操作者の手に戻ると考えることができる。そのため「終了する」以外を選択した場合は、特に原稿の置き忘れ防止用の警告を通知することなく、コピー継続が可能な画面に遷移する。
【0020】
一方、51「終了する」を選択した場合は、明らかにコピー作業を終了し、操作者が機器から離れると考えられるため、S1006にて、図7のような原稿置き忘れ防止画面を表示する。但しこの場合、操作者の画面操作(「終了する」選択)により原稿置き忘れ防止画面に遷移するため、操作者は操作パネル11を見ている状態である。従って、原稿置き忘れ防止画面の表示のみで、警告音での報知は行わない。
【0021】
続いて、警告音での報知も行う場合の実施例を以下に述べる。
【0022】
プリント終了ステータスが制御ユニットから操作部へ通知されるまでのシーケンスは、前述したケースと同様である(S1001〜S1004とS2001〜S2004)。前述したケースでは、プリント終了時に既に料金残高が0円となっていたが、それとは違って、プリント終了後に、料金がまだ残っていた場合、コピー継続確認画面へは遷移せず、コピー継続が可能な画面(コピー開始画面)へ遷移する。この状態で操作者が課金装置の料金返却レバー12を押下し(S2005)、課金装置の金額読み取り部33から制御ユニット23へ残高0円が通知されてきたときには、操作者にコピー継続の意志がないと判断できるため、S2006で原稿置き忘れ防止画面を表示する。但し、この場合は、操作者の視線は課金装置(料金返却レバー)の方へ向いており、操作パネルを見ていない可能性が高い。従って、この場合は警告音を鳴らし、操作者の注意を操作パネルへ向けさせ、原稿の置き忘れを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成を示す概観図である。
【図2】図1の画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】原稿の置き忘れ防止を促すメッセージ及び画面を表示するための基本的な情報のやり取りを示すシーケンス図である。
【図4】原稿の置き忘れ防止画面を表示する時に警告音を鳴らすための基本的な情報のやり取りを示すシーケンス図である。
【図5】図3の例でコピー終了時に表示される、コピー継続確認画面の一例を示す図である。
【図6】図3、図4の例で、原稿読み込み終了時に表示される原稿置き忘れ防止メッセージの一例を示す図である。
【図7】図3、図4の例でコピー終了後に表示される原稿置き忘れ防止画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
11 操作(液晶)パネル
12 料金返却レバー
13 硬貨投入口
14 返却口
37 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の読み取り終了後に、原稿の置き忘れ防止を促すためのメッセージを表示する第一の警告メッセージ表示手段と、
複写(プリント)終了後に、複写継続の意思を確認するための継続確認手段と、
前記継続確認手段により継続しない事を選択した場合に、原稿の置き忘れ防止を促すためのメッセージを表示する、第二の警告メッセージ表示手段、
とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
課金装置が接続され、複写利用料を課す課金手段を備えた画像形成装置において
複写終了後に前記課金装置のコイン返却ボタンを押下した場合、原稿の置き忘れ防止を促すためのメッセージを表示する、警告メッセージ表示手段と、
原稿の置き忘れがないように警告音で報知する報知手段、
とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−162714(P2006−162714A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350566(P2004−350566)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】