説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置本体内に前方に開放するように設けた排紙部から、用紙を取り忘れることのない画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置本体1の前方側上部に、操作パネル13を配置し、ここの操作パネル13の右方Y2に側方空間16を設けた。排紙部15に排出された用紙Pを、側方空間16を通して上方から操作者が視認できる。排紙部15が画像形成装置本体1内にあるので、省スペースを図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台で、コピー機能やファクシミリ機能等の多機能を果たすことのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1台で多機能を果たす画像形成装置の需要が高まっている。例えば、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、PCーFAX機能、スキャナ機能等を搭載したものが提供されている。このような多機能画像形成装置であれば、各機能に対応して複数の装置を配置する場合と比較して、格段に省スペース化が図れるため、狭いオフィスでの使用も可能となる。
【0003】
一方、画像記録用の用紙を供給するための給紙カセットや、画像が記録された用紙を排出するための排紙トレイが、画像形成装置本体の両側に突出していると、この分、設置スペースが広く必要となる。そこで、給紙カセットを画像形成装置本体内に装填できるようにし、また、画像形成装置本体内に排紙スペースを設けたものが提供されている。
一般に、画像形成装置本体の前方側の空間は、画像形成装置の操作のために空き空間とされており、上記の給紙カセットは、前方側に取り出すことができるようになっている。また、上記の排紙スペースは画像形成装置本体の前方側に開放されており、排紙スペースに排出された用紙は、前方側に取り出すようにしている。
【特許文献1】特開平5−197225号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばFAX受信した用紙が出力される場合等を想定すると、排紙トレイが画像形成装置本体の側方に突出している画像形成装置では、排紙トレイに排出された用紙は、上方からよく目立つので、これを取り忘れるようなことはない。
しかしながら、排紙スペースを画像形成装置本体内に設置した画像形成装置では、排紙スペーに排出された用紙を、上方から視認できないので、用紙を取り忘れてしまうおそれがあった。例えば、操作者が腰をかがめるなりして、排紙スペースの前方側から排紙スペースの奥を覗き込めば、用紙の有無を確認できるが、このような動作は操作者にとって煩わしく、忘れられがちであった。
【0005】
また、用紙搬送経路が用紙をセンタ基準で搬送している場合には、排紙スペースに排出された用紙が幅の狭い用紙である場合に、用紙の取り出し側の縁部(前縁部)が奥まった位置に位置することになり、その結果、用紙が取り出し難いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、省スペースを図れ且つ排出された用紙を取り忘れることのない画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の部分および第1の部分の下方に配置された第2の部分を含む画像形成装置本体と、この画像形成装置本体の第1の部分の前方に配置され、各種操作キーを備えた操作パネルと、上記第1の部分の前方で且つ操作パネルの側方に位置する側方空間と、画像形成装置本体の第1の部分と第2の部分の間に、用紙の取り出し側となる前方に開放するように形成され、画像が記録された用紙が排出される排紙部とを備え、上記側方空間の直下に、上記排紙部の一部が配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、排紙部を画像形成装置本体内に設けたので、省スペース化が図れる。しかも、排紙部に排出された用紙を、操作パネルの側方に位置する側方空間を通して上方から視認できるので、用紙を取り忘れることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略斜視図である。図1を参照して、本画像形成装置は、画像形成装置本体1の上面に、自動原稿搬送装置10(以下、単にADF10という)を装備しており、画像形成装置本体1の前方X1側上部には、各種操作キー11や表示部12を有する操作パネル13が配置されている。このように操作パネル13を画像形成装置本体1の前方X1側上部に配置することにより、画像形成装置本体1の上面をADF10を配置するために有効に利用している。また、画像形成装置本体1は、上記操作パネル13の下方に、前方X1に開放する排紙部15を有している。画像形成装置本体1の下部には、画像形成装置本体1の前方X1に引き出し可能な給紙カセット14が装着されている。
【0009】
一方、本画像形成装置は、複写機能を果たす他、図示していないが、ファクシミリ機能を果たすために、送信する画像データを変調したり、受信する画像データを復調したりするためのモデムや、外部通信回線と接続するためのNCU(Network Control Unit)を装備している。
画像形成装置の内部断面を示す模式的正面図である図2を参照して、本画像形成装置では、ADF10が使用される場合は、ADF10によって原稿がADF用読取領域2aに搬送される一方、固定状態とした光学系によって原稿面が照明走査され、この照明走査に基づいて画像が形成される。他方、ブックもの原稿等を原稿載置面2に載置して複写を行う場合には、原稿面が、移動する光学系によって照明走査され、この照明走査に基づいて画像が形成される。
【0010】
ADF10では、原稿セット部10aに、表面を上向きにした複数枚の原稿をセットすると、これらの原稿は、原稿搬送経路10bを通して反転されつつ、原稿載置面2の端部に設定された読取り領域2aを通過した後、原稿排出台10cに1枚目から裏返し状態で順次に排出される。
画像形成装置本体1の内部には、(1)原稿載置板2上に載置された原稿又はADF10によりADF用読取領域2aに搬送される原稿を照明走査し、原稿からの反射光を感光体ドラム42に導くための光学系3、(2)感光体ドラム42に形成された静電潜像を現像装置41により顕像化した後、用紙に転写する作像部4、および(3)給紙カセット61又は所要時に開放される手差し用給紙トレイ62から用紙を引き出し、作像部4を通して、画像形成装置本体1内の排紙部15に排出する用紙搬送部5等が備えられている。
【0011】
光学系3は、第1の移動枠3Aに固定された反射板付きの蛍光ランプ
(図示せず)によって原稿を照明し、原稿からの反射光を、第1の移動枠3Aに固定された第1ミラー33、第2の移動枠3Bに固定された第2ミラー34および第3ミラー35、レンズ36を順次に介して、ラインセンサ37に取り込み、このラインセンサ37への入力に応じたレーザ光を、レーザ光学系38によって感光体ドラム42に照射する。レーザ光学系38は、詳細には図示していないが、レーザ発振器、変調器、レンズ、回転多面鏡(ポリゴンミラー)等を含む公知のものである。
【0012】
作像部4としては、感光体ドラム42の周囲に、帯電チャージャ43、現像装置41、転写ローラ44およびクリーニングローラ45を、この順に配置したものである。この作像部4は、帯電チャージャ43によって均一に帯電した感光体ドラム42の外周面に、原稿像を結像させて静電潜像を形成した後、当該静電潜像を現像装置41によってトナー像に顕像化し、転写ローラ44によってトナー像を用紙に転写し、残留トナーをクリーニングローラ45によって回収するようにしたものである。本作像部4は全体がユニット化されており、一体的に前方X1側へ引き出すことができるようになっている。
【0013】
用紙搬送部5は、給紙カセット61から1枚ずつ用紙Pを引き出す給紙コロ51と、手差し給紙トレイ62から用紙を引き出す給紙コロ52と、各給紙コロ51,52によって搬送された用紙Pの先端を突き当てて、当該用紙Pを一時的に待機させる一対のレジストローラ53,53と、用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着ローラ54を構成する熱ローラ54b及び圧ローラ54aと、一対の排出ローラ55,55とを、この順で備えている。これらの排出ローラ55,55は、図において左方Y1となる搬送方向Kに沿って用紙Pを排出する。
【0014】
図2及び排紙部15の拡大概略斜視図である図3を参照して、排紙部15へは、左方Y1となる搬送方向Kに沿って排出される。排紙部15は、排出された用紙Pの搬送方向後端部Paに対応する部分が最も低くなるように、(図において右方Y2にいくにしたがって低くなるように)傾斜された傾斜部15cを有している。この傾斜部15cの働きで、排紙部15へ排出された用紙Pの搬送方向後端部Paが、排紙部15の搬送方向後端部15aで揃うようになっている。また、多数の用紙Pが排紙部15に排出されて積層状態となっても、これら積層状態の用紙Pの搬送方向後端部Paが、次に排出される用紙Pの排出を妨げないようになっている。
【0015】
上述したように、画像形成装置本体1内には、光学系3、作像部4及び用紙搬送部5等が収容されているが、図2を参照して、光学系3を収容する第1の部分1aと、これの下方で作像部4及び用紙搬送部5を収容する第2の部分1bとは、分離構成されており、画像形成装置の組み立て時には、図5に示すように、第2の部分1bの上に第1の部分1aを載せて互いに組み合わせるようにしている。上記排紙部15は第2の部分1bの上部に設けられて、第1の部分1aとの間に介在している。
【0016】
一方、図1及び図2を参照して、画像形成装置本体1の両側面には、上記排紙部15を外部に連通する採光用の窓部としての開口部17(図1では一方のみ図示)がそれぞれ形成されており、これにより、排紙部15に光を導入して、排紙部15の空間が暗くならないようにし、排紙部15に排出された用紙Pを視認し易くしている。
また、各開口部17は、第1及び第2の部分1a,1bの各側面の合わせ目部分に設けられている。各開口部17は、画像形成装置の組み立て時に、図5に示すように、第1の部分1aの各側面の略中央位置の下縁を支えた手を導入できる大きさ、位置に設定されている。これにより、画像形成装置本体1の組み立て時に、第1の部分1aと第2の部分1bとの間で手を挟んだりすることを防止し、また、両部分1a,1bを位置精度良く組み合わせられるようになっている。なお、開口部17は、本実施形態では、第2の部分1bに配置されているが、第1の部分1aに配置されるものであっても良いし、また、両部分1a,1bに跨がって配置されるものであっても良い。
【0017】
また、第2の部分1bの右側上面を排紙部15に連続して区画する部分19に、画像形成装置本体1の右側面1cの開口部17に臨む主通風口18が複数設けられている。他方、第2の部分1bの前面1dの上部には、上記複数の主通風口18全体の開口面積よりも格段に狭い開口面積を持つ副通風口20が形成されている。これら通風口20,18を通して、定着ローラ54に冷却風が供給されるようになっている。
【0018】
画像形成装置本体1の一部破断右側面図である図4(図4では、画像形成装置本体1の右側面の表面カバーを取り去り、板状フレームが露出した状態を示している)を参照して、定着ローラ54は画像形成装置の前後方向X1,X2に沿って配置されており、上記主通風口18に近接している。この定着ローラ54の軸方向後端部に近接して、送風用のファン21が配置されており、このファン21は、上記の通風口20,18から空気を吸い込んで定着ローラ54の軸方向後方(即ち後方X2)に向かって風を送る。上記通風口20,18以外からは、定着ローラ54側へ空気が殆ど流れ込まないように定着ローラ54の周囲が区画されており、また、副通風口20から導入される空気量は、主通風路20全体から導入される空気量よりも格段に小さく設定されている。一方、上記の主通風口18は、定着ローラ54の送風方向下流側部分に主に対応しており、この送風方向下流側部分を主に冷却するようになっている。これにより、定着ローラ54の軸方向に関する温度分布を均一にするようにしている。なお、後面フレーム1eがファン21により排気される空気流を遮断することがないように、後面フレーム1eの下端の高さが設定されている。
【0019】
図4に示すように、第1の部分1aは第2の部分1bよりも後方X2へ所定量ずらした状態に配置されている(図において、C1は光学系3の前後方向の中央部を示すラインであり、C2は作像部の前後方向の中央部を示すラインである。)。これにより、第1の部分1aの前方X1側に空き空間が形成されるが、この空き空間の一部を占拠するように上記操作パネル13が配置されており(図1参照)、残りの空き空間によって、操作パネル13の右方Y2に側方空間16が構成され、この側方空間16を通して、図4に示すように、操作者は、排紙部15に排出された用紙Pの有無を、上方から目視で確認できるようになっている。この側方空間16は、図1に示すように、排出された用紙Pの搬送方向後端部Paの上方に位置しているので、用紙サイズにかかわらず、排紙部15に用紙Pがあるか否かを容易に視認することができる。
【0020】
また、図4及び第1の部分1aの後面フレームを示す図5を参照して、第1の部分1aの後面フレーム1eには、第1の部分1aに収容されている光学系3を駆動するための駆動部材22が支持されている。この駆動部材22は、モータ23と、このモータ23の回転軸に固定された駆動プーリ24と、この駆動プーリ24によってベルト25を介して駆動される従動プーリ26と、この従動プーリ26と一体回転する第1ギア27と、この第1ギア27と噛み合う第2ギア28とを備えている。この駆動部材22に含まれる部材23〜27のうち、モータ23及び駆動プーリ24は、第2の部分1bの後方X2に配置されている。特に、モータ23は、第1の部分1aを後方へずらすことにより第2の部分1bの後方にできた空き空間に配置されている。仮に、モータ23を第1の部分1aの後面に配置したままで、第1の部分1aを単に後方へずらすだけでは、画像形成装置全体が占める平面スペースが広くなってしまうが、本実施形態では、モータ23を第2の部分1bの後方に配置してあるので、画像形成装置が占める平面スペースを増大させることがない。
【0021】
上記モータ23は、後面フレーム1eの内側面に取り付けられているので、後面フレーム1eの外側面に取り付けられている従来の場合と比較して、画像形成装置本体1の後カバーから距離を離して(即ち、画像形成装置本体1のより内奥側に)配置され、且つ後面フレーム1eによって遮蔽された状態で配置されていることになる。その結果、装置稼働時のモータ音が装置外へ漏れ難くすることができるので、騒音の低減が見込まれる。
【0022】
また、図3に示すように、排紙部15に排出される用紙Pの取り出し側となる前縁Pbが、排紙部15の前縁Pbから所定距離d(例えば20mm)だけ離れたラインLに沿う状態で、用紙Pが排出されるように、用紙搬送経路が設定されている。即ち、用紙搬送経路が、いわゆる機械前側基準となっている。このように前側基準であるので、用紙サイズにかかわらず、排紙部15に排出された用紙Pの前縁Pbは、排紙部15の前縁15bから一定の近接距離(例えば20mm)にあることになり、その結果、用紙サイズにかかわらず用紙Pを排紙部15から前方へ取り出し易くなっている。
【0023】
以上のように、本実施形態によれば、排紙部15に排出された用紙Pを、操作者が上方から側方空間16を通して視認できるので、用紙Pを取り忘れることがない。
また、上記側方空間16が、排出された用紙Pの搬送方向後端部Paの上方に位置しているので、用紙サイズにかかわらず、用紙Pの有無を確認できる結果、確実に取り忘れを防止できる。
【0024】
さらに、装置の前側基準による用紙搬送なので、排紙部15に排出された用紙Pの前縁Pbが、用紙サイズにかかわらず、排紙部15の前縁15b近くに位置することになる結果、用紙Pを排紙部15から前方へ取り出し易い。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば上記実施形態においては、画像形成装置本体1の第1の部分1aを後方X2へずらすことで、操作パネル13の横に側方空間16を確保したが、ずらさなくても側方空間16を確保できる場合には、そうしても良い。何れにしても、排紙部15に排出された用紙Pを視認するための側方空間16が形成できれば良い。また、側方空間16の配置は、操作パネル13の右方X2に限定されるものではなく、左方X1でも良い。その他、本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置を示す概略斜視図である。
【図2】画像形成装置の内部構成を示す模式的正面図である。
【図3】排紙部の拡大概略斜視図である。
【図4】画像形成装置本体の一部破断概略右側面図である。
【図5】画像形成装置本体を組み立てる際の一工程を示す概略側面図である。
【図6】第1の部分の後面フレームの概略図である。
【符号の説明】
【0026】
1 画像形成装置本体
2 原稿載置面
3 光学系
4 作像部
5 用紙搬送部
10 ADF
11 操作キー
13 操作パネル
15 排紙部
15a 前縁
16 側方空間
X1 前方
Y2 右方
P 用紙
Pa 搬送方向後端部
Pb 前縁
K 搬送方向
L ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分および第1の部分の下方に配置された第2の部分を含む画像形成装置本体と、
この画像形成装置本体の第1の部分の前方に配置され、各種操作キーを備えた操作パネルと、
上記第1の部分の前方で且つ操作パネルの側方に位置する側方空間と、
画像形成装置本体の第1の部分と第2の部分の間に、用紙の取り出し側となる前方に開放するように形成され、画像が記録された用紙が排出される排紙部とを備え、
上記側方空間の直下に、上記排紙部の一部が配置されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−18321(P2006−18321A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248166(P2005−248166)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【分割の表示】特願平8−138386の分割
【原出願日】平成8年5月31日(1996.5.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】