説明

画像形成装置

【課題】コロナ帯電器などの帯電器により感光体ドラムの表面を帯電させる方式の画像形成装置において、帯電器内で発生したオゾンを確実かつ効率的に除去する。
【解決手段】感光体ドラムを帯電器にて帯電し、画像情報に像露光を行って静電潜像を形成し、その静電潜像を現像剤により可視像に現像して用紙上に転写することにより画像情報を得る画像形成装置において、感光体ドラム3及び帯電器5を有するドラムユニット30内で発生したオゾンを含む空気を排気するための排気用のダクト33と新鮮な空気を取り入れる吸気用のダクト32とをドラムユニット30内に設けて、ドラムユニット30内の換気を効率良く行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・レーザプリンタ・ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、さらに詳しくは、コロナ帯電器などの帯電器により感光体ドラム(静電潜像担持体)の表面を帯電させる方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの電子写真方式の画像形成装置としては、白黒画像を形成するモノクロ画像形成装置と、カラー画像を形成するカラー画像形成装置がある。カラー画像形成装置としては、各色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のトナー像形成手段を介して各成分色のトナー像を単一の感光体上に順次形成する多回転方式の画像形成装置と、各色成分のトナー像をそれぞれ個別の感光体上に略同時に形成する複数のトナー像形成手段を、中間転写材の搬送方向に沿って直列に配置したタンデム方式の画像形成装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、電子写真方式の画像形成装置の帯電器には、ワイヤーとケースを用いたコロトロン帯電器、ワイヤー(放電電極)とケース及びグリッド電極を用いて感光体の表面電位を安定させるスコロトロン帯電器などのコロナ帯電器が多く用いられている(例えば、特許文献2参照。)。特に、スコロトロン帯電器は、放電電極と感光体表面との間に配置したグリッドを用いることによって、感光体の表面電位を安定して制御できるという利点がある。
【特許文献1】特開2003−191526号公報
【特許文献2】特開2002−229302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、帯電器としてコロナ帯電器を用いた場合、帯電器内にオゾンが発生し、発生したオゾンが滞留すると感光体ドラムの表面に悪影響を及ぼして画像が劣化するという問題がある。また、現像プロセスにおいて現像剤が飛散し、その飛散現像剤によって装置内部が汚染されるという問題がある。このような問題を解消するため、従来、排気ファンなどを用いて装置本体内を一括して換気するというシステムが採用されている。
【0005】
しかしながら、従来の換気システムでは、定着装置付近の空気も吸引されるため、定着装置で発生した熱が画像形成プロセスに悪影響を与える。例えば、トナーのブロッキングや装置のハウジングの熱変形などが発生する。このような影響を避けるには、定着装置と画像形成プロセス部とを一定の距離を離して設置しなければならず、装置の小型化を妨げる要因となる。また、定着装置付近を含めた装置内の全体の換気を行う場合、大容量の排気ファンや専用のダクトが必要となり、この場合も小型化の妨げになる。
【0006】
さらに、一括換気システムでは、画像形成プロセス部に配置の帯電器内の換気が不完全となり、感光体ドラムへのオゾンダメージ、帯電器のグリットへの窒素酸化物付着等による画像の劣化及び画像形成プロセスのライフ低下を避けることができない。
【0007】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、コロナ帯電器などの帯電器により感光体ドラムの表面を帯電させる方式の画像形成装置において、帯電器内で発生したオゾンを確実かつ効率的に除去することが可能な構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体としての感光体ドラムを帯電器にて帯電し、画像情報に基づいて像露光を行って静電潜像を形成し、その静電潜像を現像剤により可視像に現像して用紙上に転写することにより画像情報を得る画像形成装置において、前記感光体ドラム及び帯電器を有するドラムユニット内に発生したオゾンを含む空気を排気するための排気用のダクトが当該ドラムユニット内に形成されていることによって特徴づけられる。
【0009】
本発明の画像形成装置によれば、ドラムユニット内にダクトを形成しているので、帯電器内で発生したオゾンを含んだ空気がドラムユニット外に漏れることがなく、オゾンを含んだ空気を装置外部に確実に排気することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置において、ドラムユニット内に、オゾンを含む空気を排気するための排気用のダクトに加えて、新鮮な空気を取り入れる吸気用のダクトを形成しておくことが好ましい。このように吸排気専用の個別のダクトをドラムユニット内に形成することにより、帯電器内に取り入れる新鮮な空気と、帯電器内で発生したオゾンを含む空気とが混在することがなくなるので、帯電ケース内の換気を効率良く行うことができる。
【0011】
本発明の画像形成装置において、吸気用のダクトが空気取入口を通じて帯電器の内部に連通し、排気用のダクトが空気排出口を通じて帯電器の内部に連通していることが好ましい。このように帯電器内への空気取入口と空気排出口とを個別に設けておくことで、帯電器内で発生したオゾンを効率良く排出することができる。
【0012】
本発明を適用する画像形成装置が、複数の感光体ドラムが配置されたカラー画像形成装置である場合、その各感光体ドラムの各々に対応して上記したダクトを配置することが好ましい。
【0013】
本発明の画像形成装置において、帯電器の側壁に空気取入口及び空気排出口を設け、その空気取入口を感光体ドラムの回転方向の上流側に配置し、空気排出口を感光体ドラムの回転方向の下流側に配置しておくことが好ましい。また、空気取入口をダクトの空気の流れ方向の上流部に配置し、空気排出口をダクトの空気の流れ方向の下流部に配置しておくことが好ましい。このような形態で空気取入口及び空気排出口を配置しておくと、ドラムユニット内に取り入れられた新鮮な空気がダクトを介して帯電器内に流れやすくなるので、帯電器内に滞留するオゾンを効率よく排出することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、空気取入口の開口面積を空気排気口よりも小さくすることが好ましい。このように、空気取入口と空気排気口との大きさを異ならせることにより、帯電器内で発生したオゾンを含む空気を効率良く排出することができる。
【0015】
本発明の画像形成装置において、感光ドラムに対応して設けられた排気用のダクトには、空気の流れ方向の下流部に収集ダクトを接続するとともに、その収集ダクトに集められた空気をオゾン除去フィルタを介して排気する排気ファンを設けておくことが好ましい。このような構成を採用すると、カラー画像形成装置等において、複数の帯電器で発生したオゾンを1台の排気ファンで効率良く排気することができる。しかも、オゾン除去フィルタにてオゾンを除去した後の空気を装置外部に排気することができるので、周囲環境へのオゾンの流出を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置によれば、感光体ドラム及び帯電器を有するドラムユニット内で発生したオゾンを含む空気を排気するためのダクトをドラムユニット内に形成しているので、帯電器内で発生したオゾンを含んだ空気がドラムユニット外に漏れることがなく、オゾンを含んだ空気を装置外部に確実に排気することができる。さらに、ドラムユニット内に専用のダクトを形成することにより、装置全体の小型化を達成しながら、帯電器で発生したオゾンを効率良く除去することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
<画像形成装置>
まず、本発明を適用する画像形成装置を図1を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示す画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙(シート)に対して多色及び単色の画像を形成するカラータンデム方式の画像形成装置であって、露光ユニット1、現像器2a〜2d、感光体ドラム3a〜3d、帯電器5a〜5d、クリーナユニット4a〜4d、中間転写ベルト7、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S、給紙トレイ10及び排紙トレイ15などによって構成されている。
【0020】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、図1に示すように、現像器2a,2b,2c,2d、感光体ドラム3a,3b,3c,3d、帯電器5a,5b,5c,5d、クリーナユニット4a,4b,4c,4dは、各色(K,C,M,Y)に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられており、各色(K,C,M,Y)に対応する4つの画像ステーションSa,Sb,Sc,Sdが構成されている。なお、各符号の「a」がブラック、「b」がシアン、「c」がマゼンタ、「d」がイエローにそれぞれ対応している。
【0021】
感光体ドラム3a〜3dは、画像形成装置100の上部に配置されている。
【0022】
帯電器5a〜5dは、感光体ドラム3a〜3dの表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、この例では、図7に示すように、鋸刃形状の放電電極51、網状のグリッド52、及び、放電電極51を覆う帯電ケース50を有するコロナ帯電器が使用されている。
【0023】
露光ユニット1は、入力される画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3a〜3dを露光することにより、その各感光体ドラム3a〜3dの表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット1には、レーザ照射部1a及び反射ミラー1bなどを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)が用いられている。なお、露光ユニット1としては、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドなどを用いてもよい。
【0024】
現像器2a〜2dは、それぞれの感光体ドラム3a〜3d上に形成された静電潜像を、各色(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット4a〜4dは、現像・画像転写後における感光体ドラム3a〜3d上の表面に残留したトナーを除去・回収するものである。
【0025】
中間転写ベルトユニット8は感光体ドラム3a〜3dの上方に配置されている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルトテンション機構73、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ローラ6a,6b,6c,6d、及び、中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。これら中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルトテンション機構73、中間転写ローラ6a〜6d、及び、中間転写ベルト従動ローラ72等は、中間転写ベルト7を張架し、中間転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させるものである。
【0026】
中間転写ローラ6a〜6dは、転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構73の中間転写ローラ取付部(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3a〜3d上のトナー像を、中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスを与えるものである。
【0027】
中間転写ベルト7は、それぞれの感光体ドラム3a〜3dに接触するように設けられており、各感光体ドラム3a〜3dに形成された各色のトナー像を中間転写ベルト7に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト7は、厚さ100〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。なお、モノクロ印刷の際には、ブラック(K)の感光体ドラム3aのみが中間転写ベルト7に接触する。
【0028】
感光体ドラム3a〜3dから中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6a〜6dによって行われる。中間転写ローラ6a〜6dには、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0029】
中間転写ローラ6a〜6dは、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)にて覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。なお、この例では、転写電極として中間転写ローラ6a〜6dを使用しているが、それ以外にブラシなどを用いてもよい。
【0030】
以上のように、各感光体ドラム3a〜3d上で各色相に応じた顕像化された静電像は中間転写ベルト7で積層され、装置に入力された画像情報となる。このようにして積層された画像情報は中間転写ベルト7の回転によって、後述の記録用紙と中間転写ベルト7の接触位置に配置される転写ローラ11によって記録用紙上に転写される。
【0031】
このとき、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナーを記録用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ11は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは前記中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(例えば弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)とすることが好ましい。
【0032】
また、上記のように、感光体ドラム3a〜3dとの接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、もしくは、転写ローラ11によって記録用紙上に転写が行われず中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるので、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように構成されている。
【0033】
中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触する部材、例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードを備えており、そのクリーニングブレードが接触する中間転写ベルト7は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72によって支持されている。
【0034】
給紙トレイ10は、画像形成に使用する記録用紙(記録シート)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置100の露光ユニット1の下側に設けられている。また、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みの記録用紙をフェイスダウンで載置するためのトレイである。
【0035】
また、画像形成装置100には、給紙トレイ10の記録用紙を転写部11や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、転写ローラ11、定着ユニット12、記録用紙を搬送する搬送ローラ21〜28が配置されている。
【0036】
搬送ローラ21〜26は、記録用紙の搬送を促進・補助するために使用される小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。
【0037】
ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ10から、記録用紙を1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されている記録用紙を一旦保持するものであり、中間転写ベルト7上のトナー像の先端と記録用紙の先端とを合わせるタイミングで記録用紙を転写ローラ11に搬送する。
【0038】
定着ユニット12は、ヒートローラ12a及び加圧ローラ12bなどを備えている。それらヒートローラ12a及び加圧ローラ12bは、記録用紙を挟んで回転するようになっている。
【0039】
また、ヒートローラ12aは、図示しない温度検出器からの信号に基づく制御によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ12bとともに記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、記録用紙に対して熱定着させる。
【0040】
なお、多色トナー像の定着後の記録用紙は、搬送ローラ22,23によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。
【0041】
次に、用紙搬送経路を詳細に説明する。
【0042】
まず、この例の画像形成装置100には予め記録用紙を収納する給紙カセット10と、ユーザが少数枚の印字を行う時に、給紙カセット10の開閉動作を行わなくても良い手差しトレイ20とが配置されている。これら給紙カセット10及び手差しトレイ20の給紙は、各トレイ10,20の端部にそれぞれ配置されたピックアップローラ16,17によって記録用紙の1枚ずつを搬送路に送り出すという方法で行なわれる。
【0043】
給紙カセット10から搬送される記録用紙は、搬送路中の搬送ローラ21によってレジストローラ14まで搬送され、記録用紙の先端と中間転写ベルト7上の画像情報の先端とを整合するタイミングで転写ローラ11に搬送され、記録用紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録用紙は,定着ユニット12を通過することによって記録用紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され搬送ローラ22を経て排紙ローラ23から排紙トレイ15上に排出される(片面印字要求の時)。
【0044】
他方、手差し給紙トレイ20に積載される記録用紙はピックアップローラ17によって給紙され、複数の搬送ローラ26,25,24を経てレジストローラ14に到達し、それ以降は、給紙カセット10から給紙される記録用紙と同様の経過を経て排紙トレイ15に排出される(片面印字要求の時)。
【0045】
ここで、印字要求内容が両面印字要求であるときは、上記のようにして片面印字が終了した後、定着ユニット12を通過した記録用紙の後端が排紙ローラ23でチャックされ、排紙ローラ23が逆回転することによって搬送ローラ27,28に導かれる。そして、レジストローラ14を経て裏面印字が行われた後に排紙トレイ15に排出される。
【0046】
<実施例>
次に、本発明の特徴部分(実施例)を図2〜図8を参照しながら説明する。
【0047】
まず、この例では、上記した画像形成装置100の各色に対応する4本の感光体ドラム3a,3b,3c,3d(以下、各感光体ドラムをそれぞれ「感光体ドラム3」という)と帯電器5a,5b,5c,5d(以下、各帯電器をそれぞれ「帯電器5」という)とを一体的に組み込んでドラムユニット30を構成している。そのドラムユニット30の外観形状を図2及び図3に示す。また、図4に、4つのドラムユニット30を一体化するとともに、後述する排気機構部40を組み込んだ換気ユニット200の外観形状を示す。
【0048】
ドラムユニット30のユニットケース31には、図2、図3及び図5に示すように、空気導入口31a及び空気吐出口31bが設けられている。
【0049】
ユニットケース31内には帯電器5が収容されている。帯電器5はコロナ帯電器であって、図7に示すように、鋸刃形状の放電電極51、網状のグリッド52、及び、放電電極51を覆う帯電ケース50を備えている。帯電器5の帯電ケース50の互いに対向する側壁にはそれぞれ空気取入口50aと空気排出口50bが設けられている。これら空気取入口50aと空気排出口50bは、図8に示すように、帯電器5の長手方向の端部に配置されている。さらに、空気取入口50aは感光体ドラム3の回転方向の上流側に配置され、空気排出口50bは感光体ドラム3の回転方向の下流側に配置されている(図6参照)。また、空気取入口50aの開口面積は空気排出口50bよりも小さい。
【0050】
ユニットケース31内には、図6に示すように、仕切り用のリブ31cが設けられており、そのリブ31cによってユニットケース31内に2つのダクト32,33が形成されている。その2つのダクト32,33のうち、一方のダクト32(帯電器5の下方部のダクト)は吸気用のダクトであって、帯電ケース50の空気取入口50aに連通している。また、他方のダクト33は排気用のダクトであって、帯電ケース50の空気排出口50bに連通している。さらに、吸気用のダクト32はユニットケース31の空気導入口31aに連通しており、排気用のダクト33はユニットケース31の空気吐出口31bに連通している。従って、ドラムユニット30には、図5に示すように、[ユニットケース31の空気導入口31a]→[吸気用のダクト32]→[帯電ケース50の空気取入口50a]→[帯電ケース50の内部]→[帯電ケース50の空気排出口50b]→[排気用のダクト33]→[ユニットケース31の空気吐出口31b]という空気の流れ道(流路)が形成される。
【0051】
排気機構部40は、4つのドラムユニット30の全ての空気吐出口31bに連通する収集ダクト41、この収集ダクト41内の排気を行う排気ファン42、及び、排気ファン42の吐出側に配置されたオゾン除去フィルタ43を備えている。なお、排気ファン42の吐出口とオゾン除去フィルタ43とはホッパー状のダクト44を介して接続されている。また、オゾン除去フィルタ43としては、例えば、ハニカム構造のフィルタで、そのハニカム部側面に配置された活性炭にてオゾンを吸着除去するタイプものを使用する。
【0052】
以上の構造において、排気ファン42を駆動すると、新鮮な空気がユニットケース31の空気導入口31a、吸気用のダクト32及び帯電ケース50の空気取入口50aを通じて帯電器5内に取り入れられるとともに、帯電器5の放電電極51に発生したオゾンを含んだ空気が、帯電ケース50の空気排出口50b、排気用のダクト33及びユニットケース31の空気吐出口31bを通じて排気機構部40の収集ダクト41内に吸引され、各ドラムユニット30からの排気空気流が収集ダクト41内において合流する。そして、このようにして集められた空気は、オゾン除去フィルタ43にてオゾンが除去された後に装置外部に排気される。
【0053】
ここで、この例においては、帯電器5の帯電ケース50の上流部と下流部にそれぞれ空気取入口50aと空気排出口50bが配置されており、しかも、それら空気取入口50aと空気排出口50bとが互いに対向する側壁に設けられているので、排気ファン42の駆動により、帯電ケース50の上流部から下流部に向けてスムーズに流れる空気流を作り出すことができ、放電電極51に発生したオゾンを含む空気を帯電ケース50の外部に効率よく排気することができる。
【0054】
さらに、ドラムユニット30内に吸気用のダクト32と排気用のダクト33とが分離した形態で形成されているので、排気ファン42の駆動により取り込んだ新鮮な空気と、放電電極51に発生したオゾンを含む空気とが混在することがなく、帯電ケース50内の換気を効率良く行うことができる。また、ドラムユニット30内に吸排気の専用のダクト32,33を設けておくことにより、ドラムユニット30から他のユニットへのオゾン流出を防止することができるとともに、装置全体の小型化をはかることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、コロナ帯電器などの帯電器により感光体ドラムの表面を帯電させる方式の画像形成装置において、帯電器内で発生したオゾンを確実かつ効率的に排出するのに有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用する画像形成装置の構造を模式的に示す図である。
【図2】ドラムユニットの実施例の外観斜視図(前面側)である。
【図3】ドラムユニットの実施例の外観斜視図(背面側)である。
【図4】ドラムユニットと排気機構部とを組み合わせた換気ユニットの外観斜視図である。
【図5】換気ユニットの空気流れを模式的に示す図である。
【図6】ドラムユニットの断面構造を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施例に用いる帯電器の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】図7の帯電器の帯電ケースを模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
100 画像形成装置
1 露光ユニット
2a〜2d 現像器
3a〜3d 感光体ドラム
4a〜4d クリーナユニット
5a〜5d,5 帯電器
7 中間転写ベルト
8 中間転写ベルトユニット
9 中間転写ベルトクリーニングユニット
10 給紙トレイ
11 転写ローラ
12 定着ユニット
15 排紙トレイ
30 ドラムユニット
31 ユニットケース
31a 空気導入口
31b 空気吐出口
31c リブ
32 吸気用のダクト
33 排気用のダクト
40 排気機構部
41 収集ダクト
42 排気ファン
43 オゾン除去フィルタ
50 帯電ケース
50a 空気取入口
50b 空気排出口
51 放電電極
52 グリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体としての感光体ドラムを帯電器にて帯電し、画像情報に基づいて像露光を行って静電潜像を形成し、その静電潜像を現像剤により可視像に現像して用紙上に転写することにより画像情報を得る画像形成装置において、
前記感光体ドラム及び帯電器を有するドラムユニット内に発生したオゾンを含む空気を排気するための排気用のダクトが当該ドラムユニット内に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドラムユニット内に、前記オゾンを含む空気を排気するための排気用のダクトに加えて、新鮮な空気を取り入れる吸気用のダクトが形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体ドラムが複数設けられており、その各感光体ドラムに対応して前記ダクトが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸気用のダクトが空気取入口を通じて前記帯電器の内部に連通し、前記排気用のダクトが空気排出口を通じて前記帯電器の内部に連通していることを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電器の側壁に前記空気取入口及び空気排出口が設けられており、その空気取入口が前記感光体ドラムの回転方向の上流側に配置され、前記空気排出口が前記感光体ドラムの回転方向の下流側に配置されていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記空気取入口がダクトの空気の流れ方向の上流部に配置され、前記空気排出口がダクトの空気の流れ方向の下流部に配置されていることを特徴とする請求項4または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記空気取入口の開口面積が前記空気排気口よりも小さいことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記感光ドラムに対応して設けられた排気用のダクトには、空気の流れ方向の下流部に収集ダクトが接続されているとともに、その収集ダクトに集められた空気をオゾン除去フィルタを介して排気する排気ファンが設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−23391(P2006−23391A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199646(P2004−199646)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】