説明

画像形成装置

【課題】 気体を回収するための複雑な回収機構を用いず、現像剤の特性変化が生じても高画質なプリント画像を出力することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 余剰現像剤除去部材であるスイープローラ32の余剰現像剤除去力を可変にするための除去力可変手段として、スイープローラ32の表面移動速度を変化させることが可能な駆動部36を備え、潜像担持体である感光体ドラム1上にパターン画像形成手段としての露光Lと現像部40とによって制御用のパターン画像を形成し、感光体ドラム1上に形成されたパターン画像の光沢度を光学的に検出する光沢度検出手段としての光沢度センサ35を備え、光沢度センサ35による検出結果に基づいて、制御部200が駆動部36によるスイープローラ32の表面移動速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリなどに用いられる画像形成装置に係り、詳しくは、キャリア液中にトナーを分散した液体現像剤を使用する液体画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、潜像担持体上に形成された潜像を、キャリア液にトナーが分散されてなる現像液を用いる現像手段で現像像とし、この現像像を記録体に直接、あるいは中間転写体を介して間接的に記録体に転写する液体画像形成装置が知られている。
このような液体画像形成装置においては、現像領域を通過した潜像担持体表面には現像液層が形成される。このとき、潜像担持体表面に形成された現像液層中のキャリア液量が多くて現像液層が厚すぎると次の不具合を生じてしまう。潜像担持体表面または中間転写体に記録体を重ねて転写する際に像担持体表面と記録体との間に存在するキャリア液の量が過多となり、画像ながれや文字太りが発生し易くなってしまう。また、キャリア液の消費量が増えてランニングコストをアップさせてしまう。また、転写材に転移するキャリア液の増加で、定着性を阻害するという不具合を引き起こす可能性もある。
一方、キャリア液が少なすぎると電気泳動による転写が困難になって画像濃度が低下したり、転写材の例えば表面凹凸の凹部に対応した部分のみの画像濃度低下や白ヌケが発生したりする。
【0003】
そこで、本出願人は特許文献1、特許文献2及び特許文献3において、現像手段の後に、潜像担持体上に近接また接触して、潜像担持体上の現像像の余剰キャリアを除去する除去部材を設ける方法を提案している。余剰キャリアを除去することにより、キャリア液の量が不適切な状態であることに起因する上述の不具合の発生を防止している。また、この除去部材で除去された余剰キャリア液を例えば液体現像剤収容部に戻して再び現像に供することで除去部材を設けない場合に比べキャリア液の消費を低減することが出来る。
一方、特許文献4には揮発性のキャリアを用いて、潜像担持体上の余剰キャリアを乾燥によって除去する画像形成装置が示されている。また、特許文献4の画像形成装置では余剰キャリアを除去した後の現像像の光反射光量を測定し、測定結果に基づいて、液体キャリアの除去が適切であるか否かを判断して、液体キャリアを乾燥させて除去する除去量を調節している。
【0004】
【特許文献1】特開2002−278303号公報
【特許文献2】特開2001−228717号公報
【特許文献3】特開2002−351222号公報
【特許文献4】特開2002−91174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の画像形成装置では余剰キャリアを除去することにより、キャリア液の量が不適切な状態であることの不具合を防止できた。しかしながら、これらの画像形成装置ではキャリア液の量をさらに精密に調節する必要がある場合には、キャリア液の量を調節する精度が十分ではなかった。すなわち、キャリア液とトナーからなる現像液は周囲の環境に依存してその粘性や電気特性が変動することを避けることは困難であり、また経時変化やトナー濃度の変動により、現像手段での現像後の状態が変化することがある。この場合に、余剰キャリアの除去手段を一定条件に固定していては、上述の現像剤の特性変化に対応できず、所望の機能が果たせなかった。この結果、画像品質の低下につながる恐れがある。
一方、特許文献4に記載の画像形成装置では、潜像担持体上の現像像の反射濃度を測定し、その測定値によって余剰キャリアの除去量を調節しているため、現像剤の特性変化にある程度対応できると考えられる。しかしながら、キャリア液を乾燥させて除去する構成であるため、キャリア液は気化し蒸散する。蒸散するキャリア液を機外へ排出すると装置を設置する作業環境に悪影響を与えるおそれがあるため、溶剤の回収機構を設けるのが一般的である。気体の回収は液体に比べて困難であるため、複雑な回収機構となってしまう。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、気体を回収するため複雑な回収機構を用いず、現像剤の特性変化が生じても高画質なプリント画像を出力することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像をキャリア液中にトナー粒子を分散した液体現像剤を用いて現像し現像像化する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を記録体に転写する転写手段と、該現像手段の潜像担持体表面移動方向下流側、且つ該転写手段の潜像担持体表面移動方向上流側で該潜像担持体表面に近接または接触して現像後の余剰現像剤を除去するための余剰現像剤除去部材とを有する画像形成装置において、該余剰現像剤除去部材の余剰現像剤除去力を可変にするための除去力可変手段と、潜像担持体上に制御用のパターン画像を形成するパターン形成手段と、該潜像担持体上に形成された制御用の該パターン画像の光沢度を光学的に検出する光沢度検出手段と、該光沢度検出手段による検出結果に基づいて該除去力可変手段を制御し、該液体現像剤に接触して余剰キャリアを除去する該余剰現像剤除去部材の該余剰現像剤除去力を調節する制御手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記パターン形成手段が、あらかじめ用意された画像データに基づいて上記潜像担持体に上記パターン画像の潜像を形成するパターン潜像形成手段と、該パターン画像の潜像を現像する現像手段とからなることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記パターン形成手段により形成されるパターン画像が、ベタ画像領域と白画像領域とを有するパターン画像であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記制御手段が、上記光沢度検出手段によって検出される上記白画像領域の検出結果の変動に基づき、該光沢度検出手段によって検出される上記ベタ画像領域の検出結果を補正することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像形成装置において、上記パターン形成手段により形成されるパターン画像が、上記記録体に転写される画像を担持する上記潜像担持体上の有効画像領域の域外である非画像領域に形成されるように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記転写手段は上記潜像担持体の上記現像像を一次転写され、該現像像を上記記録体または他の転写部材に2次転写する中間転写体を備え、該潜像担持体は該中間転写体よりも幅があり、該潜像担持体上の該中間転写体と対向する一次転写領域よりも幅方向外側に上記パターン画像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記潜像担持体表面に連続して形成される2つの上記現像像の有効画像領域の間にある非画像領域に上記パターン画像の形成がなされることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記光沢度検出手段が発光部と受光部とを有する光沢度センサであって、上記パターン画像に照射した光の反射光量を検出して電気信号に変換する機能を有し、上記余剰現像剤除去部材よりも上記潜像担持体の表面移動方向下流側に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記余剰現像剤除去部材を一つ又は複数個備え、上記除去力可変手段が少なくとも一つの該余剰現像剤除去部材の上記潜像担持体に対する距離を調節する接離手段であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、上記余剰現像剤除去部材は上記潜像担持体表面に近接または接触して回転することにより余剰現像剤を除去するスイープローラであり、上記除去力可変手段が該スイープローラの表面移動速度を調節するスイープローラ線速調節手段であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、上記余剰現像剤除去部材で除去された上記余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段と、該余剰現像剤回収手段で回収された該余剰現像剤から上記キャリア液を分離・回収し、再利用可能とするリサイクル手段を有することを特徴とするものである。
【0008】
上記請求項1乃至11の画像形成装置においては、制御用のパターン画像の光沢度の検出結果に基づいて除去力可変手段の余剰現像剤除去力を制御することにより、現像剤の特性の変化に対応したキャリア液除去を行うことが出来る。さらに、除去可変手段が余剰現像剤除去力を可変にする余剰現像剤除去部材は、潜像担持体表面上の液体現像剤に接触して余剰キャリア液を除去するものであり、液体の状態でキャリア液を除去し、その除去量を調節することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
請求項1乃至11の発明によれば、液体の状態のままでキャリア液を除去しその除去量を調節することができるので、キャリア液を気化し、気体の状態で回収するものに比べて、簡易な構成で除去したキャリア液を回収することができ、現像剤の特性の変化に対応したキャリア液除去を行うことが出来るので、現像剤の特性変化が生じても高画質なプリント画像を出力することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を液体画像形成装置である電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という)に適用した場合の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100の要部概略構成図である。プリンタ100は、潜像担持体として感光体ドラム1のまわりに、帯電器2、露光を感光体ドラム1に照射する図示しない露光装置、現像装置4、転写装置5、ドラムクリーニング装置60等が配設されている。感光体ドラム1はその表面が無機物を用いたアモルファスシリコン(a−Si)によって形成される。また、感光体ドラム1の材質としては有機感光体(OPC)等も使用することできる。露光装置としてはLEDやレーザー走査光学系等が使用できる。
【0011】
プリンタ100での画像を形成する動作について説明する。感光体ドラム1は、図示しないモータ等の駆動手段によって複写時には一定速度で矢印方向に回転駆動される。そして帯電器2をいわゆるコロトロンやスコトロンなどが用いられるコロナ放電させることにより、回転駆動する感光体ドラム1の表面が暗中にて一様に帯電せれる。プリンタ100では、感光体ドラム1の表面の帯電電位は約600[V]程度になるように帯電器2の印加電圧を設定している。なお、帯電器2としてはこのようなコロナ放電による帯電を実現するものの他、感光体ドラム1に接触させた帯電ローラなどの帯電部材によって所定の帯電バイアスを印加する方式のものを用いてもよい。
帯電器2により一様帯電された感光体ドラム1の表面は、画像情報に基づいて露光装置により画像データ光像Lを照射結像されて静電潜像が感光体ドラム1の外周表面上に担持される。その後、静電潜像は現像装置4の部分を通過する間に現像され、現像像としてのトナー像を形成する。
【0012】
静電潜像に現像されたトナー像は、感光体ドラム1の回転に伴い、転写装置5との対抗する位置に達する。転写装置5は、中間転写ローラ51によって感光体ドラム1に向けて押圧する加圧手段により、感光体ドラム1と中間転写ローラ51との間に転写ニップを形成している。中間転写ローラ51にトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する図示しない電源等を備えており、プリント時には中間転写ローラ51を図中矢印方向に回転移動させる。転写ニップには、中間転写ローラ51と感光体ドラム1の表面との間に印加される転写バイアスより、この転写ニップには転写電界が形成される。したがって、感光体ドラム1の回転に伴って転写ニップに進入したトナー像は、この転写電界やニップ圧の作用を受けて中間転写ローラ51上に1次転写される。
このようにして1次転写されたトナー像は、2次転写ローラ55による2次転写電界及び2次転写圧力で転写紙Pに2次転写された後、図示しない領域で加熱加圧定着、溶剤定着、UV定着等の定着方式を用いる定着装置によって定着せしめられる。トナー像が定着した転写紙は、定着装置から排紙経路を経て機外へと排出される。
【0013】
転写ニップを通過した感光体ドラム1の表面は除電ランプ70により残留電荷が除電される。除電ランプ70により除電された感光体ドラム1の表面は、ドラムクリーニング装置60のスポンジローラ61およびクリーニングブレード62によって残留している液体現像剤が掻き取り除去される。この除去により、感光体ドラム1の表面は初期化せしめられ、次の作像を実現することが可能になる。
【0014】
次に、現像装置4の構造について説明する。現像装置4は現像部40とスイープ部30とから構成される。この現像部40は、現像剤収容タンク41、一対の攪拌スクリュー46、アニロクスローラ44、現像ローラ42、中間塗布ローラ43、ドクターブレード49、現像クリーニングブレード48等を備えている。
一方、スイープ部30は、第1スイープ装置31aと第2スイープ装置31bとからなる。そして、それぞれ第1スイープローラ32a及び第2スイープローラ32b、第1スイープクリーニングブレード33a及び第2スイープクリーニングブレード33b、第1余剰現像剤回収装置34a及び第2余剰現像剤回収装置34b等を備えている。
【0015】
現像部40の現像剤収容タンク41には、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤45が貯留されている。この液体現像剤45は、一般の液体現像装置に広く用いられている低粘性低濃度のものではなく、高粘性高濃度のものが使用されている。高粘性高濃度の液体現像剤とは、例えば、シリコーンオイル、ノルマルパラフィン、IsoparM(商品名:エクソン社製)、植物油、鉱物油等の絶縁性液体キャリア中に、5〜40[wt%]程度の濃度のトナーを含有する50〜10000[mPa・s]程度の粘度の液体現像剤である。現像装置4に使用されるこのような高粘性高濃度の液体現像剤の揮発性あるいは不揮発性については、現像装置4の現像性能やプリンタの作像性能などに合わせて調整されている。
【0016】
液体現像剤として揮発性のものを用いると、不揮発性の場合に比べて定着には有利であるが、プリンタ100をしばらく使用しないと装置内にトナーが固着して再起動時に装置にかかる負担が大きくなるおそれがある。一方、液体現像剤が不揮発性の場合には、装置をしばらく使用しなくても装置内にトナーが固着せず、再起動時に装置にかかる負担が大きくなるおそれはない。また、液体現像剤中のトナーの粒径についても、これら現像性能や作像性能などに合わせてサブミクロンから10[μm]程度までの範囲で調整されている。
【0017】
一対の攪拌スクリュー46は、現像剤収容タンク41内の液体現像剤45中に浸るように互いに平行配設され、図中矢印で示されるように、図示しない駆動手段によって互いに逆方向に回転駆動せしめられる。現像装置4が現像動作に入ると、これら攪拌スクリュー46がこのように互いに逆回転し、現像剤収容タンク41内の液体現像剤45が攪拌せしめられる。この攪拌により、液体現像剤45は、そのトナー濃度や粘度が均一化する。また、攪拌スクリュー46が互いに逆回転することで、両者の間で図示のように液体現像剤の液面が盛り上がり、その上方に配設されたアニロクスローラ44に付着しやすくなる。
【0018】
塗布ローラとしてのアニロクスローラ44は、図示しない駆動手段によって図中矢印方向に回転駆動せしめられながら、上述のようにして付着した液体現像剤45を汲み上げる。このアニロクスローラ44の周面には、図示しない複数の凹部が形成されている。アニロクスローラ44によって汲み上げられた液体現像剤45の一部は、この凹部内に収容される。
このアニロクスローラ44の表面にはステンレス等の金属で形成された規制ブレードとしてのドクターブレード49が当接しており、アニロクスローラ44上の余分な液体現像剤45を掻き取る。この掻き取りにより、アニロクスローラ44上の液体現像剤45の量が複数の凹部の容量に応じた値に正確に計量される。
【0019】
中間塗布ローラ43は、ドクターブレード49との当接部を通過したアニロクスローラ44表面に接触し、接触部でアニロクスローラ44と同方向に表面移動するように回転している。中間塗布ローラ43とアニロクスローラ44との接触位置である塗布ニップでは、両ローラが互いに同方向に表面移動しながら接触し、且つ、アニロクスローラ44上の液体現像剤45がその粘度にかかわらず正確に計量されているため、中間塗布ローラ43上に均一な厚みの現像剤薄層を形成することができる。
【0020】
現像ローラ42は、中間塗布ローラ43に接触しながら接触部で中間塗布ローラ43と逆方向に表面移動するように回転する。中間塗布ローラ43と現像ローラ42との接触位置であるニップでは、両ローラが互いにカウンター方向に表面移動しながら接触し、中間塗布ローラ43上に形成された現像剤薄層が現像ローラ42に転移される。
また、ニップの出口側で現像ローラ42に対する液体現像剤の供給が開始される一方で、現像ローラ42上に移った液体現像剤45が供給方向とは逆方向に移動する。このような塗布により、現像ローラ42の表面には液体現像剤45からなる均一な厚みの現像剤薄層が形成される。
【0021】
現像ローラ42は、その周面に導電性のウレタンゴム等からなる導電弾性層が設けられており、感光体ドラム1と等速に回転しながらこれに接触して現像ニップを形成している。この現像ニップには、図示しない電源からトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加される現像ローラ42と、感光体ドラム1との電位差によって現像電界が形成される。具体的には、現像ニップでは、現像ローラ42、感光体ドラム1の地肌部及び静電潜像がそれぞれトナーと同極性の電位を帯び、その値が地肌部、現像ローラ42、静電潜像の順に低くなっている。このため、地肌部と現像ローラ42との間では、トナーを電位のより低い現像ローラ42に向けて静電的に移動させるような電界が形成される。また、現像ローラ42と静電潜像との間では、トナーを電位のより低い静電潜像に向けて移動させるような電界が形成される。このような現像電界が形成される現像ニップでは、現像剤薄層中のトナーが、現像ローラ42と地肌部との間で現像ローラ42の表面に向けて電気泳動して集結するとともに、現像ローラ42と静電潜像との間で静電潜像に向けて電気泳動して付着する。この付着により、静電潜像が現像されてトナー像となる。
【0022】
現像ニップ幅は、現像ローラ42の線速と現像時定数との積以上に設定する。ここで、現像時定数とは、現像量が飽和するまでに要する時間であって、トナーの帯電量、粒径、キャリア粘性などのパラメータによるトナー移動度によってきまる。一例をあげれば、現像開始から現像濃度が飽和するまでの時間が10[msec]のトナーを用いた場合、プロセス速度が300[mm/sec]であれば、ニップ幅が3[mm]以上であれば十分な現像が可能となる。
【0023】
現像動作時においては、現像ローラ42にアニロクスローラ44および中間塗布ローラ43によって現像剤の薄層が形成される。このとき現像ローラ42上に塗布される現像剤の厚みが、その表面の1[cm]当たりに担持される現像剤中の顔料含有分が0.1[μg]以上、2.0[μg]以下となるように設定した。このために、現像剤の薄層を5.0〜10[μm]の厚みに塗布するようにした。この理由は、現像剤の塗布厚が、現像ローラ表面の1[cm]当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が0.1[μg]より小さくなるような厚みでは、十分な量の顔料が感光体ドラム1上に形成された潜像の画像部に移動せず、画像部の画像濃度が薄くなるおそれがあるからである。
【0024】
潜像担持体である感光体ドラム1上の画像部においては、顕像化するために必要となるトナー粒子に加え余剰なトナー粒子が付着してしまい、余剰トナー粒子によって例えば細線の再現性に悪影響を与えてしまうことがある。また、(現像領域)ニップ部を通過する潜像担持体上の非画像部においては、トナー粒子が付着し余剰トナー粒子となって残留してしまうことがある。この場合には、この余剰トナー粒子によって画像のカブリを生じる恐れがある。
このような余剰トナーに起因する不具合に対して、スイープ部30を備えることにより、余剰トナーを除去し、細線の再現性の向上や、非画像部のカブリが生じることを防止することが出来る。
【0025】
以下、次にスイープ部30についての説明を行う。
ここでは第1スイープ装置31aと第2スイープ装置31bとはその基本的な構造は共通であるので、以下、部材の名称の第1及び第2の記載と、符号のa及びbの記載は省略する。
スイープローラ32は外周面に導電性を有する弾性体の層が設けられている。この弾性体の層の材質としてはウレタンゴムを用いることができる。この弾性体の層のゴム硬度としては、JIS−A硬度で50[°]以下であることが望ましい。この材質はウレタンゴムに限られるものではなく、導電性を有するものであって、且つ溶剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。
また、弾性体の層をスイープローラ32に設ける構成ではなく、弾性体の層を感光体側に設ける構成であってもよい。さらに、感光体を無端ベルト状部材で構成してもよい。また、スイープローラは、コーティングもしくはチューブにより、その表面が十点平均粗さRz3[μm]以下の平滑性を有するように構成されている。
【0026】
スイープローラ32を感光体ドラム1に対して適当な圧力で当接させると、スイープローラ32の弾性体の層が弾性変形し、除去ニップを形成する。当接圧力を調整することでニップ部における表面移動方向の大きさであるニップ幅を調整することができる。
上述したように、現像ニップの現像ローラ42上の地肌部との間において、現像剤薄層中のトナーは、現像ローラの表面に向けて電気泳動して集結するため、理論的には地肌部には付着しない。しかし、通常よりも帯電量の少ないトナーが他のトナーよりも遅れて電気泳動するなどして、地肌部に付着していわゆるカブリ(地汚れともいう)という現象を引き起こす場合がある。
スイープ部30の機能のひとつとして、このようなカブリを引き起こしたカブリトナーを感光体ドラム1から除去する機能がある。具体的には、スイープローラ32は、感光体ドラム1と略等速に回転しながらこれに接触して除去ニップ部を形成し、この除去ニップ部には、図示しない電源からトナーの帯電極性と同極性の除去バイアスが印加され、感光体ドラム1との電位差によってスイープ電界が形成される。
【0027】
次に、現像ローラによる現像およびスイープローラによる余剰トナー除去について詳細に述べる。
図2(a)、(b)は、現像ニップにおける液体現像剤45の状態を模式的に示した図であり、図2(a)は画像部近傍を、図2(b)は非画像部近傍を示したものである。現像ローラ42には、感光体表面電位である600[V]より低い現像バイアス電圧(400[V])が印加されており、露光装置により露光されて50[V]以下になった感光体表面の画像部との間に現像電界を生じる。
図2(a)に示す感光体ドラム1の画像部では、液体現像剤45中のトナー粒子T1は現像電界によって感光体ドラム1に移動して潜像を顕像化する。このとき、余剰なトナー粒子(以下、「余剰トナー粒子T2」という)も顕像化に用いられ画像部に付着する。
一方、図2(b)に示す感光体ドラム1の非画像部では、現像バイアス電位と感光体電位とによって形成される電界により、現像ローラ42表面にトナー粒子T1を移動させて非画像部にトナー粒子T1が付着しないようにする。
【0028】
上述のように感光体ドラム1の画像部では、余剰トナー粒子T2により顕像化された画像は細線再現性が劣る。更に、非画像部でもトナー粒子の一部が、現像ローラ42表面まで移動しきれずに感光体ドラム1側に残るとカブリの原因となる。そこで、現像装置4では、この細線再現性を劣化させる余剰トナー粒子T2とカブリの原因となるトナー粒子(以下、「カブリトナー粒子T3」という)をスイープするためスイープ部を設けている。スイープ部30のスイープローラ32は、現像ローラ42に対し感光体ドラム1の回転方向下流側であって、現像された現像剤層を挟むように、感光体ドラム1に押圧して設置されている。スイープローラ32の表面は、通常感光体ドラム1の表面と略等速で移動するように設定している。
【0029】
図3(a)〜(c)、図4(a)〜(c)は、感光体ドラム1とスイープローラ32とにより形成される除去ニップでの現像剤の状態を模式的に示した図である。このうち、図3(a)〜(c)は画像部における現像剤の状態を、図4(a)〜(c)は非画像部における現像剤の状態を、それぞれスイープローラ32に印加する電圧を500[V]、150[V]、0[V]の3段階に変化させて示したたものである。
【0030】
スイープローラ32の電位を500[V]にすると、感光体ドラム1の画像部では、図3(a)に示すように画像部(現像剤層)表面電位とスイープローラ32のバイアス電圧による電位差によって生じる電界が強く、画像部の余剰トナー粒子T2が感光体ドラム1側に付着したままとなる。
一方、感光体ドラム1の非画像部では、図4(a)に示すように、感光体ドラム1の非画像部の電位とバイアス電圧による電位との差によって生じる電界が弱く、浮遊しているカブリトナー粒子T3や非画像部に付着しているカブリトナー粒子T3はほとんどスイープローラ32に移動しない。
【0031】
スイープローラ32の電位を0[V]にすると、感光体ドラム1の画像部では、図3(c)に示すようにスイープローラ32の電位が感光体ドラム1上の画像部(現像剤層)表面電位と等しいため、スイープローラ表面には感光体ドラム1との接触によって現像後の現像剤層からトナー粒子T1がスイープローラ32に機械的に移動してしまう。
一方、感光体ドラム1の非画像部では、図4(c)に示すようにスイープローラ32の電位と感光体ドラム1上の非画像表面電位との電位差によって生じる電界によって、非画像部上に浮遊しているカブリトナー粒子T3や付着しているカブリトナー粒子T3のほとんどがスイープローラ32に移動する。
【0032】
以上のことから、スイープローラ32の電位を上げ過ぎると、画像部に余剰トナーが残ってしまい、画像部濃度が高くなって細線の再現性が低下してしまうという不具合が発生する。一方、スイープローラ32の電位を下げ過ぎると、画像部濃度が低下してしまうということになる。
【0033】
そこで、画像部ではカブリトナー粒子を除去してトナー濃度を調整し、非画像部ではカブリトナー粒子を除去できる程度に、スイープローラ32に印加する電圧を調節している。また、この設定値は諸条件の変動によってその最適値が決定されることとなる。
プリンタ100では、スイープローラ32の電位を150[V]にしている。このようにスイープローラ32の電位を最適値に設定することにより、感光体ドラム1の画像部では、図3(b)に示すようにスイープローラ32の電位が画像部(現像剤層)表面電位(0〜100[V])に近いため、感光体ドラム1の画像部表面電位とスイープローラ32のバイアス電圧による電位差によって弱い電界が発生し、余剰トナー粒子T2のみがスイープローラ32に付着する。
また、感光体ドラム1の非画像部では、図4(b)に示すように、感光体ドラム1の非画像部の電位とバイアス電圧による電位との差によって生じる電界により、浮遊しているカブリトナー粒子T3をスイープローラ32に移動させることができる。この段階での非画像部の現像剤層は現像ローラ42の現像ニップ部分の厚さの約半分で、且つトナーの濃度は現像前の濃度の約20[%]程度に低下しており、カブリトナー粒子T3の除去は容易に行われる。これにより、非画像部のカブリをほぼ完全に防止することができる。
【0034】
また、図5は、感光体ドラム1の帯電電位600[V]、露光部電位が0[V]、現像バイアス400[V]で感光体に現像したときの画像部、非画像部の画像濃度を、スイープローラ32に印加するバイアスとの関係で示したグラフである。
スイープローラ32に印加する電圧を高くすると画像部の濃度は高くなり、電圧を低くすると画像部の濃度も低下する。従って、スイープローラ32に印加する電圧により発生する電界によって画像部の画像濃度を制御することができる。
また、非画像部の濃度も、スイープローラ32に印加する電圧を高くすると濃度が高くなり、電圧を低くすると濃度も低下する。そして、スイープローラ32のバイアスが250[V]程度で非画像部の画像濃度が0.02程度まで低下し、バイアスをそれ以下にすることにより、非画像部の画像濃度は常に0.01〜0.02に抑えることができる。またこのとき、画像部の画像濃度を1.7から1.2程度まで変化させることができた。図5のグラフより、画像濃度はスイープローラ32のバイアスによって所望の濃度に制御することができる。
【0035】
以上のように、スイープローラ32を設置しそのバイアスを制御することによって、画像部濃度を制御することができ、細線の再現性のよい高品質な画像を形成する事ができると共に、非画像部の画像のカブリも防止することができる。
【0036】
ここで、現像後に感光体ドラム1上に形成される液体現像剤薄層の厚みは20[μm]以下、より好ましくは10[μm]以下が望ましい。スイープローラ32を感光体ドラム1に当接させて除去ニップを形成する場合には、スイープローラ32を感光体ドラム1に当接する圧力と液体現像剤粘性との関係にもよるが、液体現像剤膜厚が20[μm]よりも厚すぎると、両者の除去ニップに液体現像剤膜の侵入が困難となり、感光体ドラム1上の液体現像剤膜厚は削られ、薄くなってしまう場合があるためである。一方、膜厚が薄い方が低い電位差で高電界となり、画像部のトナーを除去することが少なく、余剰液を除去できる。これにより、画像濃度を低下させることなく、転写不良、文字太り、画像後端流れ等のない良好な画像を形成できる。
また、現像後の感光体ドラム1表面の、液体現像剤中のキャリア液の重量比率についても、膜厚と同様のことが言える。すなわち、現像後の感光体ドラム1表面の、液体現像剤中のキャリア液の重量比率は、85[%]以下であることが望ましい。これは、スイープローラ32を感光体ドラム1に当接する圧力と液体現像剤粘性との関係にもよるが、トナー固形分よりキャリア液の粘性は低く、液体現像剤中のキャリア液比率が85[%]よりも高すぎると、現像剤全体の粘性が低くなり、両者の除去ニップに液体現像剤膜の侵入が困難となり、感光体ドラム1上の液体現像剤膜は削られ、感光体ドラム1に現像された現像剤膜が減少してしまう場合があるためである。
【0037】
尚、スイープローラ32を設置することによって、現像時に感光体ドラム1上に付着した余分なキャリア液の約半分程度を除去することもできる。これを余剰現像剤回収装置34で回収して再利用することでキャリアの消費量を低減させることができる。
また、スイープローラ32の表面と感光体ドラム1の表面とがほぼ等速で移動し、トナーに対して相対的に感光体ドラム1の接線方向の速度ベクトルを持たせないので、画像として、先端がかすれたり、縦線と横線とのバランスが悪かったりする現象が生じることがない。
さらに、プリンタ100では感光体ドラム1と現像ローラ42との間の現像ニップで余剰トナー粒子T2が画像部に現像されても、さらにカブリトナー粒子T3が少々残留しても、スイープローラ32で除去することが出来る。よって、カブリ除去電界(現像ローラ42に印加された現像バイアスと感光体帯電電位との電位差)を低く抑えることでき、感光体ドラム1の帯電電位を低くすることが可能になる。このことにより、感光体ドラム1電気的な負荷を軽減することによる耐久性向上、帯電器2の負担軽減、及び帯電手段により発生するオゾン等の有害ガスの低減、露光パワーの低減等、種々の利点が生じる。
【0038】
上述の説明では、スイープローラ32が有するトナー像の画像濃度制御機能について説明を行ってきたが、スイープローラはトナー像のキャリア液含有量を制御する機能も併せ持っている。
スイープローラのキャリア液量制御機能について、以下に具体的に説明する。
【0039】
感光体ドラム1表面に形成された現像剤層中のキャリア液含有量が多く、現像液層の厚みが厚すぎると、中間転写ローラ51にトナー像を転写する1次転写の際に、感光体ドラム1表面と中間転写ローラ51との間に存在するキャリア液量が過多となる。キャリア液量が過多となると、画像ながれや文字太りが発生し易くなることがある。また、余剰キャリア液が転写紙Pまで到達して消費されるために、キャリア液の消費量が増えてランニングコストをアップさせることにもなる。
さらには、転写紙Pに転移するキャリア液量が過多になると、定着装置による加熱・加圧定着時に、キャリア液の存在がトナー粒子間あるいはトナーと転写紙間の結着性を妨げる要因となり、定着性を阻害する。さらに、定着に要するエネルギーを増大させるといった不具合を引き起こす可能性がある。
【0040】
一方、感光体ドラム1表面の現像液層中のキャリア液量が少なすぎると、現像剤中のトナー粒子の電気泳動が十分に得られなくなるため、転写紙への転写不良による画像濃度の低下や転写ムラが起こりやすくなる。特に表面に凹凸のある表面性の粗い上質紙や化粧紙などの転写紙に転写する場合には、表面凹凸の凹部に対応した部分に画像濃度低下や白ヌケなどの発生が見られるようになる。
【0041】
したがって、1次転写前の感光体ドラム1上トナー像に含まれるキャリア液を適正な量に保つことができれば、感光体ドラム1から中間転写ローラ51への1次転写性および中間転写ローラ51から転写紙Pへの2次転写性を確保することが出来る。さらに、良好な定着性が得られる条件を満足させることができる。また、スイープローラ32を設置することによって、現像時に感光体ドラム上の画像部および非画像部に付着した余剰キャリア液を除去することができる。この除去されたキャリア液をスイープローラ32のクリーニング手段等によって回収し、不純物を除去して再利用することにより、キャリア液の消費量を大幅に低減させることができる。
このように、転写性および定着性を確保し、かつキャリア液の消費量を低減させるためには、現像後のトナー画像に含まれるキャリア液量を適正値に維持、制御する機構が必要となる。
【0042】
以下、プリンタ100におけるスイープローラ32のキャリア液除去機能およびその制御方法について、詳細に説明を行う。
図6は感光体ドラム1上の現像剤層のキャリア液含有比率を変化させたときの光沢度の変化を測定した結果を示すグラフである。なお、光沢度の変化は市販の光沢度センサ(キーエンス社製:PI−G)を用いて計測した。
なお、感光体上のトナー層のキャリア含有量は、現像ローラ及び感光体状のトナー層の単位面積当たるのトナー重量と、トナー層の光学濃度を計測することによって求められる。
すなわち、現像ローラ上に塗布されたトナー層の固形分率は既知であるため、このトナー層の重量とそれに対応する光学濃度を計測してその関係を導き出せば、未知のトナー層における重量および光学濃度から固形分率を割り出すことができる。ここで、光学濃度とトナー層の固形分はほぼ比例することが実測値から確認されている。
図6に示すように、現像剤層内のキャリア液含有量によって、光沢度センサの測定結果である光沢度に変化が見られ、キャリア液含有量が多いほど光沢度が高くなり、含有量が低下するに従って光沢度も低下している。
【0043】
上述したように、1次転写前の感光体上現像剤層のキャリア液含有比率は高すぎても低すぎても弊害の要因となるため、ある程度の許容範囲が存在する。この許容範囲は、画像形成装置のプロセス条件や、現像剤の諸特性、環境条件等にある程度影響を受けるものの、諸条件を変化させた幾多の実験から、概ね以下のような範囲が望ましいという結果が導き出された。
すなわち、中間転写体から転写紙への転写性確保のためには、1次転写前の感光体上キャリア液含有比率は少なくとも40[%]以上、好ましくは50[%]以上であることが望ましい。この値はあくまで1次転写前の値であり、一次転写において感光体側に残留するキャリア液分があるため、2次転写前にはさらに低い含有比率となっていると考えられる。一方、キャリア液量過多による1次転写における画像流れや解像度劣化を防ぐためには、キャリア液含有比率は少なくとも80[%]以下、好ましくは70[%]以下であることが望ましい。したがって、1次転写前の感光体上現像剤層のキャリア液含有比率の許容範囲は、50[%]以上、70[%]以下が望ましい範囲ということになる。
なお、上述の転写性を確保する上で好ましいキャリア液含有比率は、本実施形態で用いる液体現像剤45における値であり、このキャリア液含有率はその液体現像剤の特性によって異なるものである。
【0044】
実際に、固形分率が20[%]の現像剤を用いて作像実験を行い、1次転写、2次転写ともに高い転写率が得られ、かつ良好な定着性が得られる条件において、1次転写前の感光体上現像剤層のキャリア液含有比率を測定したところ、約60[%]という数値であった。
したがって、スイープローラ32のキャリア液除去機能を制御することにより、1次転写前の感光体ドラム1上現像剤層のキャリア液含有比率を上述の許容範囲に維持することができれば、常に良好な画像が得られるということになる。
【0045】
また、プリンタ100は感光体ドラム1の表面上に制御用のパターン画像を形成し、そのパターン画像の光沢度の検出結果に基づいて、余剰現像剤除去手段としてのスイープローラのスイープ力を変化させるものである。
以下、パターン画像に基づいてスイープ力を変化させる構成の具体的な実施例について説明する。
【0046】
[実施例1]
図7は実施例1として、スイープローラ32の線速を調節する線速調節手段としての駆動部36を制御することによりスイープローラ32の回転速度を調節し、スイープ力を可変にする構成の説明図である。
図7に示すように、スイープ部30には少なくとも一つのスイープローラ32が設けられ、そのスイープローラ32の感光体ドラム表面移動方向下流側には光沢度検出手段としての光沢度センサ35が設けられている。なお、第1スイープローラ32aが感光体ドラム1と対向する位置から感光体ドラム1の表面移動方向下流側には第1光沢度センサ35a、第2スイープローラ32bの感光体ドラム1の表面移動方向下流側には第2光沢度センサ35bが設けられている。
光沢度センサ35は発光部と受光部を有し、被測定部の光沢度を検出するためのセンサである。光沢度センサ35は種々のものが一般に商品化されているが、その測定原理はほぼ同様である。すなわち、光沢度センサの発光部から被測定部に光を照射したときに、被測定部の反射面の光沢度に応じて光の反射状態が変化するため、受光部で反射光を検知することにより、被測定部の光沢度を測定することができる。
【0047】
光沢度センサ35をプリンタ100に適用すると、感光体ドラム1上の現像剤層内のキャリア液量が多い、すなわち光沢度が高い場合には、光沢度センサ35の発光部からの投光スポットがそのまま正反射する。一方、現像剤層内のキャリア液量が少ない、すなわち光沢度の低い場合には、発光部からの投光スポットが現像剤層表面で乱反射する。この違いを光沢度センサ35の受光部で検出することにより、光沢度、すなわち現像剤層内のキャリア液量の多少を判別することができる。
【0048】
また、感光体ドラム1上に形成されるパターン画像としては、基本的には色々なものが適用可能である。本発明者が鋭意研究を行ったところ、網点パターンや万線パターンなどの中間調濃度を有する画像データに比較して、ベタ画像の方がスイープローラ32の回転速度を変化させたときに得られる光沢度センサの出力変化がより正確に得られた。これは、上記の中間調画像における非画像部分の光沢度が測定結果に影響を与え、トナー層に存在するキャリア液量の変化が中間調画像の場合は、ベタ部に比べて、変化の度合いが検知しづらくなったためと考えられる。この実験結果に基づき、本実施例においては光沢度を測定するパターン画像としてベタ画像を採用した。
【0049】
なお、パターン形成手段としては、あらかじめ用意された画像データに基づいて感光体ドラム1にパターン画像の潜像を形成するパターン潜像形成手段としての露光装置と、パターン画像の潜像を現像する現像部40とで構成される。また、パターン画像としては上述のようにベタ画像を用いるのが望ましい。
【0050】
以下、パターン画像の形成位置について説明する。図8はパターン画像の形成位置の説明図である。
図8(a)は感光体ドラム1上に連続して形成される2つの現像像の有効画像領域EIと有効画像領域EIとの間にある非画像領域NIにパターン画像PIを形成した場合を示している。この場合は、枚葉紙を用いるプリンタ100に対して適用可能であり、記録紙Pの紙間に相当する非画像領域NI部分に形成された光沢度検出用のパターン画像PIは、図8(a)に示すような位置で光沢度センサ35によって測定される。このように紙間にパターン画像PIを形成する場合には、パターン画像形成のための特別なスペースを用意する必要がないため装置の小型化が図れるという利点を有する。
【0051】
しかし、一方で、感光体ドラム1から中間転写ローラ51などに一旦転写してから記録紙に転写する構成によるプリンタ100にこのようなパターン画像PIを形成すると、中間転写ローラ51にパターン画像が転写される。これにより、中間転写ローラ51のクリーニング手段である中間転写クリーニング装置52に負担が掛かる。また、ロール紙のような連続紙を用いる場合には紙間の非画像領域NIが存在しないため使用できないという不具合がある。
【0052】
上述の不具合を解決するために、図8(b)に示すように、感光体ドラム1の軸方向の長さ(幅)が中間転写ローラ51の軸方向の長さ(幅)より長く、感光体ドラム1と中間転写ローラ51との対向部である一次転写領域は有効画像領域EIの幅よりも長くなっている。そして、感光体ドラム1の表面上の一次転写領域よりも幅方向(軸方向)外側の非画像領域NIにパターン画像PIを形成することにより、中間転写ローラ51に転写されない非画像領域にパターン画像PIを形成することができる。この方法によれば、感光体ドラム1に形成されたパターン画像PIは感光体ドラム1のクリーニング手段であるドラムクリーニング装置60によりクリーニングすることができる。これにより、中間転写ローラ51のクリーニング手段である中間転写クリーニング装置52に負担をかけることがなく、かつロール紙を用いるプリンタ100であっても適用可能である。しかし、感光体ドラム1が長い分だけ図8(a)に示した構成に比べて装置が大型になる問題は避けられない。よって、プリンタ100の用途に応じて、図8(a)または図8(b)に示す構成のうち最適な構成を選択する。
【0053】
プリンタ100においては、図8に示すようにパターン画像PIは、ベタ画像部と白画像部とによって形成される。そして、ベタ画像の光沢度を測定すると同時に白画像部の光沢度も測定し、白画像部分の光沢度を基準値としてベタ画像部の光沢度の検出結果を補正することを行っている。これは、光沢度センサ35の受発光部の経時的な汚れなどでセンサの出力値が変動した場合でも、常に正確な出力値が得られるようにするためである。
【0054】
以下、検出結果の補正の一つの具体例について説明する。
白画像における初期的な光沢度検出電圧値(GW0)に対する経時変化後の検出電圧値(GW1)の割合(GW1/GW0)を求めて補正値とする。そして、経時変化後のベタ部画像部の光沢度(GS0)を除することにより、補正された光沢度GS1(=GS0÷(GW1/GW0))を求めることができる。
このようにして光沢度センサ35によって検出され、上記の補正手段によって補正された光沢度検出信号は図に示した制御部200に送られる。制御部200は、この光沢度センサ35の検出信号の値に基づき、図示しない制御用データテーブルを参照して、各スイープローラ32の諸条件を制御するように構成される。この制御方法の詳細については後述する。
【0055】
図9は、スイープローラ32の感光体ドラム1に対する表面移動速度比を変化させたときの、光沢度センサ35の出力電圧値の関係を表すグラフである。
図9に示すように、スイープローラ32の感光体ドラム1に対する表面移動速度比を変化させることにより、感光体ドラム1上のトナー像の光沢度、すなわちキャリア液含有率を変化させることが可能となる。
【0056】
ここで、対向し、接触する位置でニップ部を形成する2本のローラについて、ニップ部を通過後の2本のローラ表面の液膜厚と2本のローラの表面移動速度の比である線速比との関係について説明する。図10は、2つのローラの線速比と液膜との関係を説明する概略説明図である。
図10は2本の回転するローラ間に液膜が存在するとき、ローラのニップの出口で液膜が分裂する際の様子を図であらわしたものである。各ローラAおよびBが表面移動速度VaおよびVbで回転しているとき、ニップ出口での各ローラの液膜の膜厚TaおよびTbの関係は流体力学的な解析により、以下の膜厚分裂比の式1で表される。
膜厚分裂比=Tb/Ta=k(Vb/Va)1/2・・・式1
【0057】
式1中の係数kは流体の粘度、ローラの半径、ローラの表面の硬度など、変化しない要素によって決められる係数であって、式1で示す膜厚分裂比はローラの表面移動速度だけで決められ、流体の粘度、ローラの半径、ローラの表面の硬度などには左右されない。このことより、ローラの線速比を変えることで、2本のローラのニップ部を通過後の各ローラ表面に分裂される液膜の厚さを制御できることが分かる。
よって、図9に示すように、感光体ドラム1の表面移動速度に対するスイープローラ32の表面移動速度比を変化させることにより、感光体ドラム1表面に存在するキャリア液の量をコントロールできる。
【0058】
図7に示すプリンタ100では、例えば光沢度センサ35の出力値からスイープローラ32のキャリア液除去量が多いと判断された場合は、検知結果に基づき制御部から、2つのスイープローラ32の表面移動速度を遅くするように駆動部36に制御信号が送られる。スイープローラ32の表面移動速度を遅くすることにより、キャリア液除去量を低減することができるようになる。
【0059】
また、図9に示すグラフは、スイープローラ32が1本のときと2本のときの感光体ドラム1上のパターン画像の光沢度を示している。
例えば、図9中に点線で示すように、1本のスイープローラ32を感光体ドラム1の2倍の表面速度で回転したときの光沢度センサ35の出力電圧と2本のスイープローラ32をそれぞれ感光体ドラム1の半分の速度で回転したときの光沢度センサ35の出力電圧がともに0.75[V]と等しくなっており、すなわち、これらの条件のときに同じ光沢度になることを表している。
よって、光沢度センサ35の検出結果から、感光体ドラム1に当接するスイープローラ32の本数や、スイープローラ32の表面移動速度を制御することにより、図6に示したような範囲に感光体ドラム1上の光沢度、すなわちキャリア液含有比率を制御することができるわけである。
【0060】
ここで、スイープローラ32と感光体ドラム1の回転速度比率があまりに大きくなると、感光体ドラム1上のトナー像に対して感光体ドラム1の接線方向の相対的な速度ベクトルも大きくなる。線速方向の相対的な速度ベクトルが大きくなると、画像の先端がかすれたり、縦線と横線とのバランスが悪くなったりする異常画像が生じることがある。したがって、感光体ドラム1とスイープローラ32との線速比が極端に大きくならないような条件になるように、感光体ドラム1に当接するスイープローラ32の本数および表面移動速度を選定することが望ましい。
【0061】
[実施例2]
図11は実施例2として、スイープローラ32の感光体ドラム1に対する部材間の距離を調節することによりスイープ力を可変にする構成の説明図である。
実施例2は、実施例1の構成にスイープローラ32の感光体ドラム1に対する部材間の距離を調節することによりスイープ力を可変にする構成を加えた点でのみ実施例1とは異なるものであり、共通する点についての説明は省略する。
【0062】
図11において、スイープ装置31は偏心カム37により所定の範囲内で図中左右方向に移動可能に構成されており、図11の例はスイープ装置31が右方向に最大限移動した状態で、スイープローラ32が感光体ドラム1に当接している状態を表している。
【0063】
スイープ装置31は引張バネ38により常に図中左側に引っ張られるように付勢されているので、偏心カム37を回転することによりスイープ装置31は左右に移動する。偏心カム37はウオームギヤ391を介してステッピングモータ39で駆動するようになっている。このステッピングモータ39には回転位置検出装置としてのレゾルバ392が設けられており、パターン画像PIの濃度検出手段の検出結果に基づいて制御部により回転が制御され、スイープローラ32の感光体ドラム1に対する部材間の距離を調節することができる。これにより、スイープローラ32が感光体ドラム1に当接している幅(ニップ幅)を変化させることができる。また、スイープ装置31を最大限に右方向に移動させる、または最大限に左方向に移動させるかによって、スイープローラ32の感光体ドラム1に対する接離を制御することが出来る。
【0064】
図11の例は、上述したようにスイープ装置31が右方向に最大限移動した状態で、スイープローラ32が感光体ドラム1に当接している状態を表している。この場合、弾性導電層が大きく弾性変形して大きな除去ニップ幅を形成している(例えば、3[mm])。
図11に示すプリンタ100では、例えば光沢度センサ35の出力値からスイープローラ32のキャリア液除去量が多いと判断された場合は、制御部から検知結果に基づき、2つのスイープローラ32の表面移動速度をそれぞれに調整してキャリア液除去量を低減する。すなわちスイープローラ32の表面移動速度を遅くするように制御信号が駆動部36に送られる。この表面移動速度制御によっても所定のキャリア液量、すなわち光沢度検出値が得られない場合には、偏心カム37を回転させて2つのうちの一つのスイープ装置31を感光体ドラム1から離間させ、一方のスイープローラ32による現像剤除去機能を完全に停止させることで、キャリア液除去量をさらに低減させることができる。
【0065】
なお、図11では、2つのスイープローラ32を両方とも感光体ドラム1に対して接離可能に構成したが、少なくとも1本のスイープローラ32が接離可能であれば、転写材の性質に応じて感光体ドラム1上の液除去量を切替える効果が得られる。
また、2つのスイープローラ32に対し、たとえばローラの表面粗さや親油性の程度を変えるなどにより、各々のローラのキャリア液除去能力を変化させることができるため、キャリア液除去量の可変範囲や最小可変量などをより微細に調整することも可能である。
さらに、図11では、スイープローラ32の表面移動速度と感光体ドラム1に対する距離とを調節することにより、キャリア液除去量を調節しているが、感光体ドラム1に対する距離のみを調節することにより、キャリア液除去量を調節してもよい。また、余剰現像剤除去部材の感光体ドラム1に対する距離のみを調節することにより、キャリア液除去量を調節する構成であれば、スイープローラに限らず、ブレード状の余剰現像剤除去部材を設け、その感光体ドラム1に対する距離を調節するものであってもよい。
【0066】
このように、実施例1または2のプリンタ100では、スイープローラ32のキャリア液除去機能を制御することにより、1次転写前の感光体ドラム1上の現像剤層に含まれるキャリア液を適正な量に保つことができる。これにより、感光体ドラム1から中間転写ローラ51への1次転写性および中間転写ローラ51から転写紙Pへの2次転写性を確保しつつ、良好な定着性が得られる条件を満足させることができる。また、スイープローラ32を設置することによって、現像時に感光体ドラム1上の画像部および非画像部に付着した余剰キャリア液を除去することができる。よって、この除去されたキャリア液をスイープローラ32のクリーニング手段等によって回収し、トナーなどの不純物を除去して再利用することにより、キャリア液の消費量を大幅に低減させることができる。
【0067】
回収したキャリア液から不純物を除去する手段としては種々の方法があるが、以下、その一例について説明する。
図12は、キャリア液から不純物を除去するキャリア液回収装置80の概略構成図である。
図12において、キャリア液回収装置80は、回収キャリア液45aを貯めて、スリット状の開口部81aから一定量の液をトナー分離部82に少量ずつ供給するための回収キャリア液タンク81を備えている。また、回収キャリア液タンク81の下方には、少なくとも一対の平行電極83と、平行電極83に挟持された連泡発泡体84からなるトナー分離部82を備えており、平行電極83に電圧を印加して連泡発泡体84内に電界を形成するための電源86を備えている。さらに、トナー分離部82の下方には、分離後のキャリア液である再利用キャリア液45bを貯めるためのキャリア液タンク85を備えている。
【0068】
連泡発泡体84は、回収キャリア液45aの拡散を抑制するための液拡散抑制部材として機能し、連泡発泡体84を通過中の回収キャリア液45aに平行電極83により電界を作用させる。これにより、回収キャリア液45a中の帯電したトナーを平行電極83に移動させるとともに電着させ、連泡発泡体84から残留液であるクリアなキャリア液のみを分離して抽出することができる。
なお、連泡発泡体84には回収キャリア液タンク81からトナーが混在した回収キャリア液45aが順次滴下されるが、連泡発泡体84の気孔により滴下された回収キャリア液45aの拡散が抑制される。よって、滴下されたばかりのトナー濃度の高い回収キャリア液45aと連泡発泡体84の下方に存在するトナー濃度の低いキャリア液が混ざり合うことは無い。これにより、トナーの混在した回収キャリア液45aが連泡発泡体84の下方に移動してキャリア液タンク85へ滴下するのを防ぐので、確実に回収キャリア液45aからクリアな再利用キャリア液45bのみを抽出することができ、キャリア液の再利用が可能となる。
【0069】
なお、上述の実施形態では、露光部を画像部として現像する反転現像により画像を形成する場合について説明したが、露光部を非画像部として現像する正規現像により画像を形成することもできる。
さらに、潜像担持体に感光体ドラムを用いて説明したが、この他、例えば潜像担持体にイオンフローヘッドで静電潜像を形成し、現像装置で顕像化する画像形成装置等を用いても良い。実施例に述べたスイープローラのバイアス値についても同様で、これに限定されるものでない。
また、実施例1及び2では中間転写体を有し、感光体から画像を中間転写体に一次転写し、更に記録紙に二次転写する中間転写方式のプリンタ100について説明した。プリンタとしては、これに限定されるものではなく、感光体ドラム1上に形成された画像を直接転写紙に転写する画像形成装置であっても良い。
さらに、帯電装置、露光装置、潜像担持体、現像装置、クリーニング装置を一つのユニット化し、そのユニットを各色ごとに配置し、潜像担持体上に形成した画像を順次、中間転写体上に転写し、得られたカラー画像を記録紙に転写するカラー画像形成装置であっても良い。また、帯電装置、露光装置、潜像担持体、クリーニング装置を一つ配置し、各色ごとに配置された現像装置で順次現像し、潜像担持体に得られた画像を中間転写体に形成し、同様に次の色を現像転写し、中間転写体に得られたカラー画像を記録紙に転写するカラー画像形成装置であっても良い。
【0070】
特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の画像形成装置では、感光体上の余剰キャリアを除去する構成を有するものの、除去量の制御が不十分であった。すなわち、キャリア液とトナーからなる現像液は周囲の環境に依存してその粘性や電気特性が変動することを避けることは困難であり、また経時変化やトナー濃度の変動幅により、現像手段での現像後の状態が変化することがある。この場合に、余剰キャリアの除去手段を一定条件に固定していては、現像剤の特性変化に対応できず、所望の機能が果たせなくなる恐れがある。また、画像の出力結果を見てから余剰キャリアの除去手段の条件を設定するのでは、作業性が悪く、時間と資源を無駄にすることにもなる。
これに対して、実施例1及び2に記載のプリンタ100は、感光体ドラム1上のパターン画像PIの光沢度に応じて感光体ドラム1上のキャリア液の除去量を調節している。これにより、現像剤の特性の変化に対応することが出来、所望の機能を果たすことができるようになる。さらに、感光体ドラム1上のパターン画像PIの出力結果を見てから余剰キャリアの除去手段の条件を設定しているので、画像の出力結果を見るものに比して、作業性の向上と時間の短縮、そして、省資源化を図ることができるようになる。
【0071】
また、特許文献4には、余剰キャリアの除去量をトナーの反射濃度の測定値によって調整する方法が提案されている。しかし、特許文献4の方法においては、従来一般的に市販され使用されているIsopar(エクソン商標)をキャリアとした低粘性(1cSt程度)、低濃度(1%程度)の液体現像剤を用いており、揮発性が高いために、空気を感光体に吹き付けることによる乾燥手段がとられている。このため、キャリア液の除去量が定量的にコントロールするのが困難であるとともに、キャリアとして揮発性の有機溶媒を用いることから、溶媒の機外への排出を極力抑えるために溶剤の回収機構を設けるのが一般的であり、装置の簡易化が困難であるという問題がある。
これに対して、プリンタ100は、高粘度高濃度の液体現像剤を用いて、感光体ドラム1表面に接触するスイープローラ32による余剰キャリア液の除去量を調節している。接触する部材で除去することにより、乾燥による除去に比べてキャリア液の除去量のコントロールが容易となる。さらに、キャリア液を液体の状態で回収するため、キャリア液を気化して除去する構成のように、キャリア液が機外への排出されるおそれがないので、キャリア液を蒸散させて除去するものに比べて、キャリア液の回収機構を簡易な構成にすることが出来る。
【0072】
以上、本実施形態によれば、余剰現像剤除去部材であるスイープローラ32の余剰現像剤除去力を可変にするための除去力可変手段として、スイープローラ32の表面移動速度を変化させることが可能な駆動部36を備え、潜像担持体である感光体ドラム1上に制御用のパターン画像PIをパターン画像形成手段としての露光Lと現像部40とによって形成し、感光体ドラム1上に形成されたパターン画像PIの光沢度を光学的に検出する光沢度検出手段としての光沢度センサ35を備え、光沢度センサ35による検出結果に基づいて、駆動部36によるスイープローラ32の表面移動速度を制御する制御手段である制御部200を備えている。感光体ドラム1上に形成されたパターン画像PIの反射光量を光学的に検出するための光沢度センサ35をスイープ部の下流に設け、その出力信号にスイープローラ32の表面移動速度を制御することにより、作像条件が変動しても、1次転写前の感光体ドラム1上ト現像剤層に含まれるキャリア液を適正な量に保つことができ、1次転写性および2次転写性を確保しつつ、良好な定着性が得られる条件を満足させることができる。これにより高画質なプリント画像を出力することが出来る。さらに、接触型の除去部材であるスイープローラ32によるキャリア液の除去量を制御できるため、キャリア液を液体の状態で除去でき、キャリア液を蒸散させるものに比して、より簡易な構成で余剰なキャリア液を回収することが出来る。
また、あらかじめ用意された画像データに基づいて、感光体ドラム1上にパターン画像PIを形成し、このパターン画像PIの光沢度の検出結果に基づいて、キャリア液の除去量を調節することにより、一定の画像の光沢度の変化に基づいて制御すルことが出来、画像形状が定まらない箇所の光沢度を検出するものに比べて、より精度良く光沢度を検知することができるようになる。
特に、あらかじめベタ画像領域と白画像領域とを有する画像パターンを用意して、感光体ドラム1上にパターン画像PIを形成し、このパターン画像PIを光沢度センサ35で検知して、スイープ部のキャリア液除去力可変手段をリアルタイムに制御することにより、スイープ部のキャリア液除去量を非常に精度高く制御することが可能となり、1次転写性および2次転写性を確保しつつ、良好な定着性が得られる条件を満足させることができる。
さらに、光沢度センサ35によって検出される白画像領域の検出結果の変動割合に基づいて、ベタ画像領域の検出結果を補正することにより、経時変化により、光沢度センサ35の出力信号に変動が生じても、これを補正することができるため、より信頼性の高い光沢度検知を行うことが可能となり、高画質を実現可能なプリンタを提供することができる。
また、感光体ドラム1は中間転写体である中間転写ローラ51よりも幅があり、感光体ドラム1上の中間転写ローラ51と対向する一次転写領域よりも外側の非画像部NIにパターン画像PIを形成することにより、中間転写ローラ51に転写する必要がない、パターン画像PIを中間転写ローラ51に転写することがなく、中間転写ローラ51のクリーニング手段である中間クリーニング装置52の負担を軽減することが出来る。さらに有効画像領域EIに切れ目がなくてもパターン画像PIを感光体ドラム1上に形成することができるため、記録体である転写紙Pとして、切れ目がないロール紙を用いるプリンタに適用することができる。
一方、感光体ドラム1表面に連続して形成される2つの現像像の有効画像領域EIの間にある非画像領域NIにパターン画像PIを形成する構成により、感光体ドラム1を中間転写ローラ51よりも幅方向に長く形成する必要がなく、プリンタ100の小型化を図ることができる。
また、光沢度センサ35が感光体ドラム1上に形成されるパターン画像PIの光沢度を検出して電気信号に変換する機能を持つことより、より精度の高い光沢度検出を行えるとともに、この光沢度センサ35をスイープ部30の感光体ドラム1の表面移動方向下流側に設けたことにより、スイープ部30のキャリア液除去力可変手段をリアルタイムに制御することができる。
また、2つのスイープ装置31のうち少なくとも1つのスイープ装置31を感光体ドラム1に対して接離させる接離手段としての偏心カム37を光沢度センサ35の検出結果に基づいて接離制御することにより、より幅の広い制御範囲を達成でき、キャリア液除去量の大幅な変動に対しても対処できる。
また、スイープローラ32の表面移動速度を可変にする速度可変手段である駆動部36を、光沢度センサの検出結果に基づいて制御することにより、より高精度なキャリア液除去量が可能となる。
また、スイープローラ32で除去された余剰キャリアを回収する余剰現像剤回収手段としてのスイープクリーニングブレード33及び余剰現像剤回収装置34を備えることで、常にスイープローラ32表面をリフレッシュすることができ、スイープローラ32のキャリア液除去性能を維持できるとともに、余剰現像剤回収装置34で回収したキャリア液を分離・回収し、再利用可能とするリサイクル手段としてキャリア液回収装置を有し、キャリア液をリサイクルすることで省資源を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】(a)画像部、(b)非画像部の現像ニップにおける現像剤の状態を模式図。
【図3】(a)〜(c)は、画像部における感光体ドラムとスイープローラとにより形成される除去ニップの模式図。
【図4】(a)〜(c)は、非画像部における感光体ドラムとスイープローラとにより形成される除去ニップの模式図。
【図5】スイープローラバイアスと、画像部、非画像部の画像濃度との関係を示したグラフ。
【図6】現像剤層内のキャリア液含有比率と光沢度との関係を示したグラフ。
【図7】実施例1に係る画像形成装置の概略構成図。
【図8】パターン画像の形成位置の概略説明図、(a)は連続して形成される2つの現像像の有効画像領域の間の非画像領域にパターン画像を形成する場合の概略説明図、(b)は感光体ドラムの表面上の一次転写領域よりも幅方向外側の非画像領域にパターン画像を形成する場合の概略説明図。
【図9】スイープローラと感光体ドラムとの線速比と、光沢度センサの出力電圧値の関係を表すグラフ。
【図10】2つのローラの線速比と液膜との関係を説明する概略説明図。
【図11】実施例2に係る画像形成装置の概略構成図。
【図12】キャリア液回収装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0074】
1 感光体ドラム
2 帯電器
4 現像装置
5 転写装置
30 スイープ部
31 スイープ装置
31a 第1スイープ装置
31b 第2スイープ装置
32 スイープローラ
32a 第1スイープローラ
32b 第2スイープローラ
33 スイープクリーニングブレード
33a 第1スイープクリーニングブレード
33b 第2スイープクリーニングブレード
34 余剰現像剤回収装置
34a 第1余剰現像剤回収装置
34b 第2余剰現像剤回収装置
35 光沢度センサ
35a 第1光沢度センサ
35b 第2光沢度センサ
36 駆動部
37 偏心カム
38 引張バネ
39 ステッピングモータ
40 現像部
41 現像剤収容タンク
42 現像ローラ
43 中間塗布ローラ
44 アニロクスローラ
45 液体現像剤
45a 回収キャリア液
45b 再利用キャリア液
46 攪拌スクリュー
48 現像クリーニングブレード
49 ドクターブレード
51 中間転写ローラ
60 ドラムクリーニング装置
70 除電ランプ
80 キャリア液回収装置
81 回収キャリア液タンク
82 トナー分離部
83 平行電極
84 連泡発泡体
85 キャリア液タンク
86 電源
100 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
該潜像担持体上の潜像をキャリア液中にトナー粒子を分散した液体現像剤を用いて現像し現像像化する現像手段と、
該潜像担持体上の顕像を記録体に転写する転写手段と、
該現像手段の潜像担持体表面移動方向下流側、且つ該転写手段の潜像担持体表面移動方向上流側で該潜像担持体表面に近接または接触して現像後の余剰現像剤を除去するための余剰現像剤除去部材とを有する画像形成装置において、
該余剰現像剤除去部材の余剰現像剤除去力を可変にするための除去力可変手段と、
潜像担持体上に制御用のパターン画像を形成するパターン形成手段と、
該潜像担持体上に形成された制御用の該パターン画像の光沢度を光学的に検出する光沢度検出手段と、
該光沢度検出手段による検出結果に基づいて該除去力可変手段を制御し、該液体現像剤に接触して該余剰キャリアを除去する該余剰現像剤除去部材の該余剰現像剤除去力を調節する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記パターン形成手段が、あらかじめ用意された画像データに基づいて上記潜像担持体に上記パターン画像の潜像を形成するパターン潜像形成手段と、該パターン画像の潜像を現像する現像手段とからなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記パターン形成手段により形成されるパターン画像が、ベタ画像領域と白画像領域とを有するパターン画像であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記制御手段が、上記光沢度検出手段によって検出される上記白画像領域の検出結果の変動に基づき、該光沢度検出手段によって検出される上記ベタ画像領域の検出結果を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の画像形成装置において、
上記パターン形成手段により形成されるパターン画像が、上記記録体に転写される画像を担持する上記潜像担持体上の有効画像領域の域外である非画像領域に形成されるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記転写手段は上記潜像担持体の上記現像像を一次転写され、該現像像を上記記録体または他の転写部材に2次転写する中間転写体を備え、該潜像担持体は該中間転写体よりも幅があり、
該潜像担持体上の該中間転写体と対向する一次転写領域よりも幅方向外側に上記パターン画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記潜像担持体表面に連続して形成される2つの上記現像像の有効画像領域の間にある非画像領域に上記パターン画像の形成がなされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記光沢度検出手段が発光部と受光部とを有する光沢度センサであって、上記パターン画像に照射した光の反射光量を検出して電気信号に変換する機能を有し、上記余剰現像剤除去部材よりも上記潜像担持体の表面移動方向下流側に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、
上記余剰現像剤除去部材を一つ又は複数個備え、
上記除去力可変手段が少なくとも一つの該余剰現像剤除去部材の上記潜像担持体に対する距離を調節する接離手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、
上記余剰現像剤除去部材は上記潜像担持体表面に近接または接触して回転することにより余剰現像剤を除去するスイープローラであり、
上記除去力可変手段が該スイープローラの表面移動速度を調節するスイープローラ線速調節手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、
上記余剰現像剤除去部材で除去された上記余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段と、該余剰現像剤回収手段で回収された該余剰現像剤から上記キャリア液を分離・回収し、再利用可能とするリサイクル手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−301162(P2006−301162A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120780(P2005−120780)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】