説明

画像形成装置

【課題】 プロセスカートリッジの交換作業前に離間位置へと傾動させた転写ローラガイドを、作業完了後に圧接位置へと戻し忘れたことを、容易且つ確実に検知する手段を提供する。
【解決手段】 本画像形成装置1は、転写ローラガイド28を操作する操作レバー34をニップ保持位置Nhで収容可能であってニップ解除位置Nkで収容不能な凹欠部49が形成され、且つ感光ドラム13から回収した廃トナーを集積するための廃トナー容器22が、転写ローラガイド28と内部アクセスカバー8との間の空間に着脱可能に設けられたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を搬送される記録紙を転写ローラで感光ドラムに圧接することで感光ドラム上のトナー像を記録紙に転写する画像形成装置に関し、特に、転写ローラを軸支する転写ローラガイドが、転写ローラを感光ドラムに圧接させる圧接位置と、転写ローラを感光ドラムから離間させる離間位置とへ移動可能に設けられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙に文字や図形等を記録するための画像形成装置としては、従来より、プリンタ、ファクシミリ、複写機等がある。図8は、従来例に係る画像形成装置70の構成を示す概略縦断面図である。画像形成装装置70では、画像形成動作の開始に伴い、感光層が形成された感光ドラム71を帯電デバイス72によって一様に帯電し、記録すべき画像データに応じた光を露光デバイス73から照射して感光ドラム71上に静電潜像を形成する。そして、静電潜像に現像デバイス74からトナーTを供給することによりトナー像を形成するとともに、搬送路75を搬送される記録紙を転写ローラ76で感光ドラム71に圧接することにより、感光ドラム71上のトナー像を記録紙に転写する。トナー像転写後の感光ドラム71は、清掃デバイス77によって残留トナーが除去された後、再び帯電デバイス72により帯電されるものとなっている。
【0003】
このような画像形成装置では、メンテナンスの容易化を図るべく、感光ドラム及び該感光ドラムの周囲に配設される種々のデバイスを一体的にプロセスカートリッジとして構成し、該プロセスカートリッジを画像形成装置の装置本体に着脱可能とする方式が近年採用されている(例えば特許文献1参照)。前記画像形成装置70では、図8に示すように、感光ドラム71、帯電デバイス72、現像デバイス74、及び清掃デバイス77を、樹脂等からなるケーシングに収容することでプロセスカートリッジ78として一体構成し、該プロセスカートリッジ78を感光ドラム71の軸方向に抜き出しまたは挿入することにより装置本体79に着脱可能としている。しかし、感光ドラム71に対して転写ローラ76が圧接された状態のまま、プロセスカートリッジ78を装置本体79に着脱しようとすると、感光ドラム71が転写ローラ76に擦れてその表面が傷付くことにより画像品質が劣化するという問題がある。係る問題を回避するため、転写ローラ76を感光ドラム71に対して圧接又は離間可能とする機構が必要とされる。
【0004】
転写ローラ76を感光ドラム71に対して圧接又は離間可能とするため、画像形成装置70では、転写ローラ76を支持する転写ローラガイド80が、装置本体79の内側に架設された支軸81の廻りに傾動可能に設けられるとともに、該転写ローラガイド80に一端が取り付けられた引張りバネ82の他端が装置本体79に取り付けられている。また、装置本体79によって回転自在に支持された回転軸83には、その径方向にラッチ84が突設されるとともに、図に詳細は示さないが、該回転軸83における転写ローラガイド80の側方、すなわち図8における紙面手前側には、ラッチ84を操作するための操作レバーが設けられている。
【0005】
このような構成により、通常の画像形成動作時には、図8に示すように、転写ローラガイド80の外側面にラッチ84の先端が当接することにより、転写ローラガイド80は、転写ローラ76を感光ドラム71に圧接させた圧接位置で保持され、搬送路75を搬送される記録紙が転写ローラ76によって感光ドラム71に圧接されるものとなっている。一方、トナー切れ等が発生してプロセスカートリッジ78を交換する場合には、前記操作レバーを操作してラッチ84を図8に示す状態から反時計回りに回動させると、ラッチ84の保持力から開放された転写ローラガイド80は、引張りバネ82の引張り力によって、図9に示すように、転写ローラ76を感光ドラム71から離間させた離間位置へと傾動する。これにより、感光ドラム71を転写ローラ76に接触させることなく、不具合が発生したプロセスカートリッジ78を装置本体79から引き抜き、新たなプロセスカートリッジ78を装置本体79に挿入することができる。プロセスカートリッジ78の交換後、操作レバーを操作してラッチ84を図9に示す状態から時計回りに回動させると、ラッチ84の先端部に押圧されることにより、転写ローラガイド80は引張りバネ82の引張り力に抗して傾動し、図8に示す圧接位置へと戻る。これにより、次の画像形成動作を実行可能な状態となる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−66564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の画像形成装置70では、プロセスカートリッジ78を交換した後に、転写ローラガイド80を図9に示す離間位置から図8に示す圧接位置へと戻し忘れる場合がある。この場合、転写ローラ76が感光ドラム71から離間した状態のまま次の画像形成動作が実行され、搬送路内76で紙詰まりや搬送不良が発生するという問題がある。係る問題を防止する手段としては、図に詳細は示さないが、転写ローラガイド80が圧接位置にある時の操作レバーの位置に、該操作レバーを検知する検知センサを設け、該検知センサが操作レバーを検知しない場合に、転写ローラガイド80の圧接位置への戻し忘れをユーザに報知する或いは画像形成動作を禁止する等の方法が考えられる。しかし、検知センサを新たに追加することは、コストアップ及び画像形成装置の大型化につながるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、プロセスカートリッジの交換作業前に離間位置へと傾動させた転写ローラガイドを、作業完了後に圧接位置へと戻し忘れたことを、容易且つ確実に検知する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1記載の画像形成装置は、搬送路を搬送される記録紙を転写ローラで感光ドラムに圧接することで該感光ドラム上のトナー像を記録紙に転写する画像形成装置において、前記感光ドラムを収容してなるプロセスカートリッジが、開閉可能な内部アクセスカバーを介して装置本体の内部へ前記感光ドラムの軸方向に挿抜可能に設けられる一方、前記転写ローラを軸支する転写ローラガイドが、前記転写ローラを前記感光ドラムに圧接させる圧接位置と前記転写ローラを前記感光ドラムから離間させる離間位置とへ移動可能に設けられ、前記転写ローラガイドの前記内部アクセスカバー側に、前記転写ローラガイドの移動を操作するための操作レバーが、前記転写ローラガイドを圧接位置に位置せしめるニップ保持位置と、前記転写ローラガイドを離間位置に位置せしめるニップ解除位置とへ移動可能に設けられ、前記操作レバーをニップ保持位置で収容可能であってニップ解除位置で収容不能な凹欠部が形成され、且つ前記感光ドラムから回収した廃トナーを集積するための廃トナー容器が、前記転写ローラガイドと前記内部アクセスカバーとの間の空間に着脱可能に設けられたものである。
【0010】
請求項2記載の画像形成装置は、前記廃トナー容器が装着されていない場合に前記内部アクセスカバーの閉止が規制され、前記廃トナー容器が装着されている場合に前記内部アクセスカバーの閉止が許容されるものである。
【0011】
請求項3記載の画像形成装置は、前記内部アクセスカバーが閉止されていない場合に画像形成動作が禁止されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る画像形成装置によれば、プロセスカートリッジの交換後に、操作レバーをニップ保持位置へと戻して転写ローラガイドを圧接位置へと戻した場合、凹欠部内に操作レバーを収容して干渉を回避しながら、廃トナー容器を転写ローラガイドと内部アクセスカバーとの間の空間に設置することができる。一方、操作レバーをニップ解除位置へと戻し忘れて転写ローラガイドが離間位置にある場合、凹欠部内に操作レバーを収容できないため、操作レバーが邪魔となって、廃トナー容器を転写ローラガイドと内部アクセスカバーとの間の空間に設置することができない。これにより、ユーザは、操作レバーのニップ保持位置への戻し忘れを検知することができ、搬送路内で紙詰まりが発生するのを未然に防止することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る画像形成装置によれば、ユーザは、内部アクセスカバーを閉止できないことにより、廃トナー容器を装着し忘れたことに気付き、内部アクセスカバーを開いて廃トナー容器を装着するが、この時、廃トナー容器を装着できなければ、操作レバーをニップ保持位置へと戻し忘れたことに気が付くものとなっている。これにより、操作レバーの戻し忘れをより確実に検知することができる。
【0014】
本発明の請求項3に係る画像形成装置によれば、内部アクセスカバーが閉止されていない状態のまま画像形成動作が実行された場合でも、紙詰まりの発生をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係る画像形成装置について図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る画像形成装置1の外観を示す概略斜視図である。本画像形成装置1は、原稿の複写機能、ファクシミリ通信機能、インターネットファクシミリ通信機能等を備えるコピー・ファクシミリ複合機である。もちろん、コピー・ファクシミリ複合機に限られず、例えば、複写機能のみを備えるコピー専用機や、ファクシミリ通信機能のみを備えるファクシミリ専用機として本画像形成装置1を構成することも可能である。
【0016】
画像形成装置1は、図1に示すように、装置本体2と、該装置本体2の上部に設けられた原稿載置台3と、該原稿載置台3に対して開閉自在に設けられた原稿押圧板4と、原稿載置台3の前面側に設けられた操作パネル5と、を具備してなるものであり、図1に詳細は示さないが、原稿画像を読み取るための画像読取部が原稿載置台3と原稿押圧板4の内部に、原稿から読み取った画像データやファクシミリ受信した画像データに基づいて記録紙に画像を形成するための画像形成部が装置本体2の内部にそれぞれ設けられている。
【0017】
前記装置本体2には、図1に示すように、前記画像形成部に供給する記録紙を格納するための給紙カセット6が引き出し可能に設けられるとともに、画像形成の完了した記録紙が排出される排紙トレイ7が設けられている。また、装置本体2の前面には、フロントカバー(内部アクセスカバー)8が図示しないヒンジを介して開閉可能に設けられ、該フロントカバー8を開放することにより、装置本体2の内部にアクセス可能となっている。
【0018】
図2は、図1におけるA−A断面を示す概略縦断面図である。図に示すように、装置本体2の内部には、前述のように画像形成部9が設けられている。この画像形成部9は、給紙カセット6内に格納された記録紙Pを搬送路10へ繰り込むピックアップローラ11と、記録紙Pの搬送姿勢を調整する一対のレジストローラ12と、表面に感光層が形成され回転駆動される感光ドラム13と、該感光ドラム13の表面を帯電させる帯電デバイス14と、感光ドラム13の表面に光を照射する露光デバイス15と、感光ドラム13の表面にトナー等を供給する現像デバイス16と、搬送路10を挟んで感光ドラム13の対向位置に配置された転写ローラ17と、感光ドラム13の表面を清掃する清掃デバイス18と、搬送路10を搬送される記録紙Pを加熱・加圧する定着デバイス19と、搬送路10に適宜配置され記録紙Pを下流側へ搬送する一対の搬送ローラ20と、搬送路10の最下流部に配置され記録紙Pを排紙トレイ7へ排出する排紙ローラ21と、を具備してなるものである。
【0019】
ここで、現像デバイス16では、像担持体上の静電潜像をトナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いてトナー像化するいわゆる2成分現像方式を採用しているが、この2成分現像方式の下では、トナー像転写後の像担持体上に残留したトナーが廃トナーとして回収される。本画像形成装置1では、感光ドラム13上の廃トナーを清掃デバイス18により回収するとともに、図2に点線で示すように、画像形成部9の装置前面側、すなわち図1に示すフロントカバー8側に、回収した廃トナーを集積するための廃トナー容器22、及びこれを保持するための廃トナー容器保持部材23をそれぞれ配設している。
【0020】
このように構成される画像形成部9では、画像形成動作が開始されると、感光ドラム13の表面が帯電デバイス14によって一様に帯電され、この感光ドラム13に対して記録すべき画像データに応じた光を露光デバイス15から照射して静電潜像を形成し、該潜像に現像デバイス16からトナー等を供給してトナー像とすることで可視像化する。一方、画像形成動作の開始に伴い、給紙カセット6に格納された記録紙Pがピックアップローラ11によって最上紙から1枚ずつ取り出されて搬送路10へ繰り込まれ、該記録紙Pは、その先端が静止したレジストローラ12に突き当たることで搬送姿勢が調整されるとともに、レジストローラ12が感光ドラム13の回転にタイミングを合わせて回転することによって下流側へ搬送される。感光ドラム13へと搬送された記録紙Pは、転写ローラ17によって感光ドラム13に押圧されるが、この際、転写ローラ17に感光ドラム13とは逆極性の電圧を印加することにより、感光ドラム13上のトナー像が記録紙Pに転写される。更に、記録紙Pは搬送路10を下流側へ搬送され、定着デバイス19によって加熱・加圧されることにより、記録紙P上のトナー像が定着する。その後、記録紙Pは排紙ローラ21によって排紙トレイ7へと排出される。一方、トナー像転写後の感光ドラム13は、その表面に残留したトナーや紙粉等が清掃デバイス18によって除去された後、再び帯電デバイス14によってその表面が帯電されるものとなっている。
【0021】
本画像形成部9では、図4に示すように、感光ドラム13、帯電デバイス14、現像デバイス16、及び清掃デバイス18を樹脂等からなるケーシング24内に収容することでプロセスカートリッジ25として一体構成し、該プロセスカートリッジ25を感光ドラム13の軸方向に抜き出し又は挿入することにより装置本体2に着脱可能としている。これにより、トナー切れや画像品質の劣化等が生じた場合、不具合が発生した箇所を特定することなくプロセスカートリッジごと交換すればよいので、メンテナンスの容易化を図ることが可能となっている。このプロセスカートリッジ25は、そのケーシング24に開口26が形成され、該開口26から感光ドラム13の一部が露出されるとともに、この感光ドラム13の露出部分を覆って保護するためのシャッタ装置27が開閉可能に設けられている。尚、本実施例では、省スペース化や作業の便宜を考慮して、図1に示すフロントカバー8を介して装置本体2の前面側からプロセスカートリッジ25を挿抜しているが、これに限られず、例えば、装置本体2の側面に開閉可能なカバーを設けて、該カバーを介して装置本体2の側面側からプロセスカートリッジ25を挿抜することも可能である。
【0022】
一方、図4に示すように、搬送路10を挟んでプロセスカートリッジ25の対向位置には、前記転写ローラ17を軸支する転写ローラガイド28が設けられている。この転写ローラガイド28は、装置本体2の内側に架設された支軸29の廻りに傾動可能に設けられるとともに、該転写ローラガイド28に一端が取り付けられた引張りバネ30の他端が装置本体2に取り付けられている。また、転写ローラガイド28の側面には、プロセスカートリッジ25に設けられた前記シャッタ装置27の開閉を制御するシャッタ制御アーム31が突設されている。
【0023】
図3は、転写ローラガイド28の近傍を示す概略斜視図である。図に示すように、転写ローラガイド28の背面側には、装置本体2によって回転軸32が回転自在に支持されており、該回転軸32には、その径方向にラッチ33が突設されるとともに、回転軸32における転写ローラガイド28の側方へ突出した部分、すなわち装置前面側へ突出した部分には、回転軸32を回転させることでラッチ33を回動させるための操作レバー34が、ラッチ33と略同じ方向に向いて突設されている。この操作レバー34は、その装置前面側に廃トナー容器保持部材23及び廃トナー容器22が配設されるため、廃トナー容器22を廃トナー容器保持部材23から一旦取り外さない限り、操作できないものとなっている。尚、操作レバー34の断面形状及び長さは、本実施例に限られず適宜設計変更が可能である。
【0024】
図5は、操作レバー34の操作に伴う転写ローラガイド28の動作を説明するための図である。操作レバー34は、図3に示す回転軸32を支点として、図4に示すニップ保持位置Nhと図5に示すニップ解除位置Nkとの間を回動可能となっている。より詳細に説明すると、通常の画像形成動作時には、図4に示すように、操作レバー34が略水平方向を向いた状態であるニップ保持位置Nhにあって、ラッチ33も略水平方向を向いている。これにより、転写ローラガイド28は、その外側面にラッチ33の先端が当接することにより、圧接位置Paすなわち転写ローラ17を感光ドラム13に圧接させた位置で保持され、搬送路10を搬送される記録紙が転写ローラ17によって感光ドラム13に圧接されるものとなっている。
【0025】
画像形成部9でトナー切れ等が発生してプロセスカートリッジ25を交換する場合は、操作レバー34を、前記ニップ保持位置Nhから、図5に示すように、斜め下方を向いた位置であるニップ解除位置Nkへと反時計回りに回動させる。これに伴い、ラッチ33も反時計回りに回動して、その先端が転写ローラガイド28の外側面から離間する。これにより、ラッチ33の保持力から開放された転写ローラガイド28は、引張りバネ30の引張り力によって、図5に示すように、離間位置Prすなわち転写ローラ17を感光ドラム13から離間させた位置へと傾動する。従って、装置本体2からプロセスカートリッジ25を引き抜き、又は新たなプロセスカートリッジ25を挿入する際に、感光ドラム13が転写ローラ17に擦れてその表面が傷付くことを防止することができる。
【0026】
プロセスカートリッジ25の交換後、操作レバー34を、図5に示すニップ解除位置Nkから、図4に示すニップ保持位置Nhへと時計回りに回動させると、これに伴ってラッチ33も時計回りに回動する。この時、転写ローラガイド28は、その外側面がラッチ33の先端部に押圧されることにより、引張りバネ30の引張り力に抗して起立するように傾動し、図4に示す圧接位置Paへと戻る。尚、本発明において、操作レバー34のニップ解除位置Nkとは、操作レバー34の可動範囲内で、ニップ保持位置Nhを除いた任意の位置を意味し、図5に示す位置に限定されるものではない。同様に、転写ローラガイド28の離間位置Prとは、転写ローラガイド28の移動範囲内で、圧接位置Paを除いた任意の位置を意味し、図5に示す位置に限定されるものではない。
【0027】
図6は、前記廃トナー容器22と前記廃トナー容器保持部材23の外観を示す概略斜視図である。廃トナー容器保持部材23は、廃トナー容器22を着脱可能に保持するためのものであり、廃トナー容器22を担持する受け部35と、フロントカバー8の閉止を規制する規制部36とから構成され、受け部35は、平面視略矩形のベース板37の上面に、廃トナー容器22を位置決めするための位置決め片38、及びプロセスカートリッジ25の挿抜を案内するためのガイド片39がそれぞれ突設されてなるものである。このように構成される廃トナー容器保持部材23は、図2に示すように、装置本体2内におけるプロセスカートリッジ25及び転写ローラガイド28の装置前面側、すなわちプロセスカートリッジ25及び転写ローラガイド28とフロントカバー8との間の空間に配置され、図示しないボルト等により固定されている。プロセスカートリッジ25の交換に際しては、プロセスカートリッジ25を所定の設置場所から抜き出し、ベース板37上を滑らせるようにして装置本体2の外部へ取り出すことができる。そして、新たなプロセスカートリッジ25を、感光ドラム13の軸方向がガイド片39方向となるようにベース板37上に載置し、ガイド片39に沿ってベース板37上を滑らせて所定の設置場所へと挿入することが可能となっている。
【0028】
図7は、廃トナー容器保持部材23の規制部36の構成及びその動作を示す概略横断面図である。図7(a)に示すように、規制部36は、廃トナー容器22側に第1開口40が装置前面側に第2開口41がそれぞれ形成されてなる筐体42と、該筐体42の内部に収容された規制部材43と、からなるものである。この規制部材43は、略円筒形状の当接部44、該当接部44の一部が径方向に切欠かれてなる回避部45、及び当接部44から径方向に突設された操作部46を備えるものである。この規制部材43は、操作部46を第1開口40から突出させた状態で回転自在に軸支され、操作部46が第1開口40の端縁に当接するまでの範囲で回転可能となっている。また、規制部材43は、図示しないバネによって図7(a)において時計回りに付勢され、外力が作用しない状態で、操作部46を第1開口40の装置前面側の端縁に当接させた位置で静止している。
【0029】
廃トナー容器22は、図6に示すように、合成樹脂等からなる略直方体形状の筐体であって、底面に凹溝47が、規制部36側の側面に制御凸部48が、背面に凹欠部49と接続孔50とが、それぞれ形成されている。このように構成される廃トナー容器22が、その背面と側面を位置決め片38に沿わせて位置決めするとともに、底面の凹溝47をガイド片39に嵌合させることにより、ベース板37の上に装着し又は取り外しが可能となっている。また、ベース板37上に装着する時に、プロセスカートリッジ25の清掃デバイス18が接続孔50に接続され、感光ドラム13から回収した廃トナーが、廃トナー容器22へ搬送されるものとなっている。
【0030】
廃トナー容器22の凹欠部49は、前記操作レバー34との干渉を回避するためのものであって、図6に示すように、廃トナー容器22における前記転写ローラガイド28に面する側の角部を略直方体形状に切り欠いて形成したものである。すなわち、図4及び図5に示すように、廃トナー容器22の高さ寸法は、転写ローラガイド28の高さ寸法と略等しいため、廃トナー容器保持部材23に廃トナー容器22を装着するためには、廃トナー容器22の頂部が、転写ローラガイド28の側方に設けられた操作レバー34と干渉するのを回避する必要がある。本発明では、廃トナー容器22を廃トナー容器保持部材23に装着する場合に、図4に示すように操作レバー34がニップ保持位置Nhにある時は、凹欠部49内に操作レバー34を収容して干渉を回避することにより廃トナー容器22を装着可能である一方、図5に示すように操作レバー34が回動されてニップ解除位置Nkにある時は、凹欠部49内に操作レバー34を収容できないため、操作レバー34が邪魔となって廃トナー容器22を装着できないものとなっている。換言すれば、転写ローラガイド28が圧接位置Paにある時、すなわち転写ローラ17が感光ドラム13に圧接された状態の時は廃トナー容器22を装着可能であるが、転写ローラガイド28が離間位置Prにある時、すなわち転写ローラ17が感光ドラム13から離間した状態の時は廃トナー容器22を装着できないものとなっている。尚、凹欠部49の位置・形状・大きさ等は、操作レバー34をニップ保持位置Nhでのみ収容可能な範囲であれば、操作レバー34の位置・形状・大きさ等に応じて適宜設計変更が可能である。
【0031】
このように、本画像形成装置1は、操作レバー34の装置前面側に廃トナー容器22が装着されることにより、廃トナー容器22を一旦取り外さない限り操作レバー34を操作できない構造としたことに加えて、操作レバー34をニップ保持位置Nhに戻さない限り、取り外した廃トナー容器22を再度装着することができない構造としている。これにより、プロセスカートリッジ25の交換に際し、不具合が発生したプロセスカートリッジ25を装置本体2から抜き出す前に、ニップ保持位置Nhからニップ解除位置Nkへと回動させた操作レバー34を、新たなプロセスカートリッジ25を装置本体2に挿入した後にニップ保持位置Nhへと戻し忘れた場合、廃トナー容器22を装着することができないため、ユーザは操作レバー34の戻し忘れに気が付くものとなっている。戻し忘れに気付いた場合、操作レバー34をニップ保持位置Nhへと戻して、転写ローラガイド28を圧接位置Paに戻すことにより、次の画像形成動作時に搬送路10内で紙詰まりが発生するのを未然に防止することができる。
【0032】
廃トナー容器22の制御凸部48は、廃トナー容器保持部材23の規制部36の動作を制御することにより、図1に示すフロントカバー8の閉止を規制するものである。より詳細に説明すると、本画像形成装置1では、前述のように、廃トナー容器22が装着不能であることによって、操作レバー34をニップ保持位置Nhへ戻し忘れたことにユーザが気付くものとなっているが、ユーザが廃トナー容器22を装着する作業自体を忘れてフロントカバー8を閉じる場合がある。この場合、廃トナー容器22が装着不能であることに気付くことなく、従って操作レバー34の戻し忘れにも気付くことなく次の画像形成動作が実行されるため、搬送路10内で紙詰まりが発生する。従って、本画像形成装置1では、廃トナー容器22が装着されていない場合はフロントカバー8の動作を規制して閉止できないようにすることにより、ユーザが廃トナー容器22の装着忘れに気付き、ひいては操作レバー34の戻し忘れに気付くものとなっている。
【0033】
制御凸部48による規制部36の動作制御について図7に基づいて説明する。図7(a)に示すように、廃トナー容器22が装着されておらず、規制部材43に外力が作用していない時は、前述のように規制部材43はその操作部46を第1開口40の装置前面側の端縁に当接させるとともに、当接部44を第2開口41に向けた状態で静止している。一方、図1に示すフロントカバー8の内側面下端部には、図7(a)に示すように、その開閉に伴って第2開口41に挿抜するアーム51が突設されている。このフロントカバー8を、廃トナー容器22が装着されていない状態で閉止すると、図7(a)に示すように、アームがその回動軌跡上にある当接部44と当接することにより、フロントカバー8を完全に閉止できないようになっている。これにより、ユーザは、廃トナー容器22を装着し忘れたことに気付き、フロントカバー8を開いて廃トナー容器22の装着作業を行うが、この時、廃トナー容器22を廃トナー容器保持部材23に装着不能であれば、操作レバー34をニップ保持位置Nhへと戻し忘れたことに気が付くものとなっている。
【0034】
一方、図7(b)に示すように、廃トナー容器22を廃トナー容器保持部材23に廃トナー容器22を装着すると、これに伴って廃トナー容器22の制御凸部48により操作部46が押圧されることにより、規制部材43は図示しないバネの付勢力に抗して反時計回りに回転し、回避部45を第2開口41に向けた状態となる。この状態でフロントカバー8を閉止すると、規制部材43の回避部45はアーム51の回動軌跡上には位置せずその動作に干渉することはないため、フロントカバー8を完全に閉止することが可能となっている。
【0035】
しかし、このように廃トナー容器22が装着されていない場合にフロントカバー8の閉止を規制しても、ユーザが、フロントカバー8を完全に閉止できないことに気付かずに、或いは気付いても無視して画像形成動作を実行すると、操作レバー34がニップ保持位置Nhにない場合は搬送路10内で紙詰まりが発生する。従って、本発明では、図に詳細は示さないが、フロントカバー8をその閉止位置で検知するカバーセンサを設置し、フロントカバー8の閉止を検知した場合は、図示しない制御部によって画像形成動作を許可する一方、フロントカバー8の閉止を検知しない場合は、画像形成動作を禁止するものとしている。これにより、フロントカバー8が完全に閉止されていない状態のまま画像形成動作が実行された場合でも、紙詰まりの発生が確実に防止されるものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、複写機能のみを備えるコピー専用機や、ファクシミリ通信機能のみを備えるファクシミリ専用機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置1の外観を示す概略斜視図。
【図2】図1におけるA−A断面を示す概略縦断面図。
【図3】転写ローラガイド28の近傍を示す概略斜視図。
【図4】プロセスカートリッジ25と転写ローラガイド28を装置本体2の前面側から見た図。
【図5】プロセスカートリッジ25と転写ローラガイド28を装置本体2の前面側から見た図。
【図6】廃トナー容器22と廃トナー容器保持部材23の外観を示す概略斜視図。
【図7】廃トナー容器保持部材23の規制部36の構成及びその動作を示す概略横断面図。
【図8】従来例に係る画像形成装置70に関し、転写ローラガイド80が圧接位置にある状態を示す概略縦断面図。
【図9】従来例に係る画像形成装置70に関し、転写ローラガイド80が離間位置にある状態を示す概略縦断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 画像形成装置
2 装置本体
8 フロントカバー(内部アクセスカバー)
13 感光ドラム
17 転写ローラ
22 廃トナー容器
25 プロセスカートリッジ
28 転写ローラガイド
34 操作レバー
49 凹欠部
Pa 圧接位置
Pr 離間位置
Nh ニップ保持位置
Nk ニップ解除位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を搬送される記録紙を転写ローラで感光ドラムに圧接することで該感光ドラム上のトナー像を記録紙に転写する画像形成装置において、
前記感光ドラムを収容してなるプロセスカートリッジが、開閉可能な内部アクセスカバーを介して装置本体の内部へ前記感光ドラムの軸方向に挿抜可能に設けられる一方、前記転写ローラを軸支する転写ローラガイドが、前記転写ローラを前記感光ドラムに圧接させる圧接位置と前記転写ローラを前記感光ドラムから離間させる離間位置とへ移動可能に設けられ、
前記転写ローラガイドの前記内部アクセスカバー側に、前記転写ローラガイドの移動を操作するための操作レバーが、前記転写ローラガイドを圧接位置に位置せしめるニップ保持位置と、前記転写ローラガイドを離間位置に位置せしめるニップ解除位置とへ移動可能に設けられ、
前記操作レバーをニップ保持位置で収容可能であってニップ解除位置で収容不能な凹欠部が形成され、且つ前記感光ドラムから回収した廃トナーを集積するための廃トナー容器が、前記転写ローラガイドと前記内部アクセスカバーとの間の空間に着脱可能に設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記廃トナー容器が装着されていない場合に前記内部アクセスカバーの閉止が規制され、前記廃トナー容器が装着されている場合に前記内部アクセスカバーの閉止が許容されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記内部アクセスカバーが閉止されていない場合に画像形成動作が禁止されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−308799(P2006−308799A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130186(P2005−130186)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】