説明

画像形成装置

【課題】現像剤の劣化状況の情報を元に、キャリアあるいは現像剤を交換していくことにより、過剰なキャリアもしくは現像剤補給を防止することで、トナーの帯電量安定化、適正化を行い、長期に渡って粒状性が良く、地汚れのない画像を、トナー飛散を発生させることなく得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像スリーブ54によって像担持体4上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像ケース53と、現像ケース53にキャリアもしくは現像剤を補給する装置を有する画像形成装置において、現像装置近傍にトナー飛散検知センサ71を設け、そのトナー飛散検知センサ71からの信号に基づいてキャリアもしくは現像剤を適宜補給することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性キャリアと非磁性トナーからなる2成分現像剤を用いた現像方法に関するものである。さらに、この現像方法を用いて、電子写真方法により画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、像担持体表面に静電的に形成した静電潜像に、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を付与してトナー像を形成した後、紙などの転写材に該トナー像を転写する工程を繰り返す画像形成装置において、長期にわたって安定して高品位な画像を得るためには、トナーが常時安定した帯電量を保持していることが重要である。
しかし、2成分現像剤を用いた場合には、現像剤担持体上の現像剤の量を適正化するために設けられた、一般的には板状のブレードである現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスによって、トナー表面の外添剤がトナー内部に埋没あるいは表面から離脱してしまったり、キャリア表面にトナー成分が固着(スペント)するなどの不具合を生じてしまう。
【0003】
上記不具合のうち、トナーの外添剤が埋没もしくは離脱してしまい、トナー表面に外添剤が存在しなくなった場合には、トナーとキャリアとの間の非静電的付着力が増大し、キャリアに強固に付着してしまうために現像剤としての現像能力に安定性を欠いてしまうという問題がある。また、トナーのキャリアとの間の付着力が増加するために、新規に補給されたトナーとの入れ替わりが起こりにくく、補給されたトナーがキャリアに接触できず、もしくはトナー同士の接触によって弱帯電、逆帯電を保持した状態のまま現像領域に搬送されてしまうこととなる。この様にして発生した弱帯電、逆帯電トナーは、キャリアから離脱し易いため、画像地肌汚れといった異常画像、またトナー飛散による機内汚染を引き起こすため好ましくない。また、感光体あるいは中間転写材から紙への転写の際に、転写率の低下を招くため、画像粒状性の低下、ベタ画像の不均一化を起こすため、同様に好ましくない。
【0004】
特に、画像面積率の低い画像を繰り返し作像した場合には、現像剤は繰り返し現像剤規制部材を通過しなければならないため、トナー表面の添加剤の、トナー内部への埋没が起こり易く、上記不具合が発生しやすいという問題がある。
また、上記したような繰り返しのストレスを受けている間に、キャリア表面にトナー成分が固着してしまった場合には、キャリアのトナーへの帯電付与能力が低下してしまうために、トナーが所定の帯電量を得ることが困難になり、結果として画像地肌汚れ、トナー飛散を引き起こしてしまう原因となってしまうため好ましくない。
【0005】
上記不具合を解決するために、例えば、特許文献1ないし特許文献2に記載の発明では、繰り返し画像形成を行う間、補給されるトナーと一緒にキャリアを補給し、現像容器内の現像剤が一定量を越えた場合にはオーバーフローさせることにより、現像容器内の現像剤を除々に入れ換え、現像容器内の帯電能力をほぼ一定に保つ技術が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−042624号公報
【特許文献2】特許第02937445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1ないし特許文献2に記載の発明は、キャリアも随時補給され続けるために、劣化したキャリアのみでなく、充分にトナーへの帯電付与能力を保持しているキャリアまで排出されてしまうという問題点がある。また、低画像面積で繰り返し作像した場合には、キャリアの供給が不充分となってしまい、現像剤の劣化に起因した不具合の発生を抑制することが困難である。さらに、高画像面積の画像を連続出力した場合には、キャリアが過剰に補給されてしまうため、画像形成にかかるコストが大幅に上昇してしまうという問題点がある。
また、環境等の使用条件によって現像剤の劣化度合が異なってくるために、上記したキャリア補給方法のように、単純に現像剤を定量補給し続けるだけでは、市場のマシン全ての画質を長期に渡って得ることを可能にすることが困難である。
【0008】
そこで本発明は、上記事情に鑑み、現像剤の劣化状況の情報を元に、キャリアあるいは現像剤を交換していくことにより、過剰なキャリアもしくは現像剤補給を防止することで、コスト上昇を招かずに、現像に使用するトナーの帯電量を長期に渡って安定、均一に保ち、これにより異常画像が発生するのを防止し、繰り返しの画像形成においてもトナーの帯電量安定化、適正化を行い、長期に渡って粒状性が良く、地汚れのない画像を、トナー飛散を発生させることなく得ることができる画像形成装置を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の画像形成装置は、回転駆動する像担持体と、担持体表面を所望の電位に帯電させる帯電手段と、像担持体上に画像に対応した静電潜像を形成する露光手段と、非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を内蔵し、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像装置と、現像装置にキャリアもしくは現像剤を補給する装置を有する画像形成装置において、
現像装置近傍にトナー飛散検知センサを設け、その検知センサからの信号に基づいてキャリアもしくは現像剤を適宜補給することを特徴とする。
2.また、本発明の画像形成装置は、1.に記載の画像形成装置において、前記トナー飛散検知センサが、光を照射する発光部と反射光を受光して電気信号に変換する受光部からなる光学式センサであることを特徴とする画像形成方法。
3.また、本発明の画像形成装置は、1.又は2.に記載の画像形成装置において、前記トナー飛散検知センサが、現像剤担持体と像担持体との間に形成される現像部近傍で、且つ現像剤担持体の回転方向下流に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
したがって、上記解決するための手段によって、本発明の画像形成装置は、キャリアあるいは現像剤の交換を、現像剤の劣化状態の情報に基づいて行うことにより、コスト上昇を招くことなく、現像に使用するトナーの帯電量を長期に渡って安定、均一に保ち、これにより、異常画像が発生するのを防止し、さらに繰り返しの画像形成においても、長期に渡って粒状性が良く地汚れのない画像を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置としての電子写真方式のフルカラープリンタを示す。図1において、箱状の装置本体1内には複数個の像担持体ユニットとしての感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kがそれぞれ装置本体1に着脱可能に装着されている。装置本体1内の略中央部には記録材担持体としての転写ベルト3が、装置本体1の対角線方向に斜めに配置されている。転写ベルト3は、その一つに回転駆動力が伝達される複数のローラに架け渡されて矢印Aで示す方向に回転駆動可能に設けられている。
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kは、像担持体としてのドラム状の感光体4Y、4M、4C、4Kを有し、各感光体の表面が転写ベルト3と接触するように、同ベルトの上方に配設されている。感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの配列は、感光体ユニット2Yを給紙側とし、感光体ユニット2Kが定着装置9側に位置するように4Y、4M、4C、4Kの順となっている。感光体4Y、4M、4C、4Kとしては、ベルト状の感光体等を用いてもよい。
【0012】
現像剤供給手段となる現像装置5Y、5M、5C、5Kは、感光体4Y、4M、4C、4Kとそれぞれ対向配置されている。現像装置5Y、5M、5C、5Kは、複数色、たとえばイエロー(以下Yという)とキャリアを有する2成分現像剤、マゼンタ(以下Mという)とキャリアを有する2成分現像剤、シアン(以下Cという)とキャリアを有する2成分現像剤、ブラック(以下Kという)とキャリアを有する2成分現像剤をそれぞれ感光体4Y、4M、4C、4K上の静電潜像に供給して各静電潜像を現像するものである。
【0013】
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの上方には露光手段としての書き込み装置6が配置され、感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの下方には両面ユニット7が配置されている。両面ユニット7の下方には、サイズの異なる転写材Pが収納可能な給紙カセット13、14が配設されている。装置本体1の左方には反転ユニット8が配置され、装置本体1の右側には手差しトレイ15が矢印B方向に開閉可能に設けられている。転写ベルト3と反転ユニット8との間には定着装置9が配置されている。定着装置9の転写材搬送方向下流側には反転搬送路10が分岐して形成され、シート状の転写材Pを反転搬送路10に配置された排紙ローラ11によって装置上部に設けられた排紙トレイ12に案内している。
【0014】
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kは、感光体4Y、4M、4C、4K上にY、M、C、K各色のトナー像を形成するためのユニットであり、装置本体1に配置される場所を除いては同一構成となっている。たとえば、感光体ユニット2Yは、感光体4Yと、感光体4Yに当接する帯電手段としての帯電ローラと、感光体4Yの表面をブラシローラ及びクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング装置とを一体のユニット構成としたもので、装置本体1に着脱可能に取り付けられる。感光体ユニット2M、2C、2Kの構成の説明は省略する。
書き込み装置6では、同軸上に配置された、図示しない2つの回転多面鏡がポリゴンモータにより回転される。回転多面鏡は、図示しない2つのレーザ光源としてのレーザダイオードからのY画像データで変調されたY用レーザ光、M画像データにより変調されたM用レーザ光と、他の2つのレーザ光源としてのレーザダイオードからのC画像データにより変調されたC用レーザ光、K画像データにより変調されたK用レーザ光とを左右に振り分けて反射する。
回転多面鏡からのY用レーザ光、M用レーザ光、C用レーザ光及びK用レーザ光は、それぞれ2層のfθレンズを通り、このfθレンズからのレーザ光は、ミラーで反射されて長尺WTLを通過した後に、前記ミラーと別に備えられたミラーを介して感光体ユニットの感光体に照射される。
【0015】
図1に示すように、両面ユニット7は、対をなす搬送ガイド41、42と、複数の搬送ローラ対43を備えている。両面ユニット7は、転写材Pの両面に画像を形成する両面画像形成モード時に、片面に画像が形成されてから反転ユニット8の反転搬送路44に搬送されてスイッチバック搬送されることで表裏が反転される転写材Pを受け入れ、これを感光体4Y、4M、4C、4Kと転写ベルト3との間に形成される転写部へと再搬送する。
反転ユニット8は、複数の搬送ローラと、複数の搬送ガイド板とからなり、両面画像形成モード時に片面画像形成後の転写材Pを、その表裏を反転させて両面ユニット7へ送り出す機能や、画像形成後の転写材Pをそのままの向きで機外へ排出する機能、画像形成後の転写材Pを、その表裏を反転させて機外へ排出する機能を備えている。給紙カセット13、14が配置されている給紙部には、給紙カセット13、14上の転写材Pを1枚ずつに分離して給紙する分離給紙部45、46が設けられている。転写ベルト3の内側には、転写手段としての転写ブラシ47、48、49、50が感光体4Y、4M、4C、4Kに対向するように設けられている。
【0016】
本形態では、図示しない操作部により画像形成が指示されると、感光体4Y、4M、4C、4Kが図示しない駆動源により回転駆動されて時計回り方向に回転する。感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの各帯電ローラは、図示しない電源から帯電バイアスが印加されて感光体4Y、4M、4C、4Kをそれぞれ一様に帯電させる。感光体4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ帯電ローラにより一様に帯電された後に書き込み装置6にて、Y、M、C、K各色の画像データで変調されたレーザ光により露光されて、各表面に静電潜像が形成される。これら感光体4Y、4M、4C、4K上の静電潜像は、現像装置5Y、5M、5C、5Kにより現像されてY、M、C、K各色のトナー像となる。
給紙カセット13、14のうち選択された方の給紙カセットからは、1枚の転写材Pが分離されて、感光体ユニット2Yよりも給紙部側に配設されたレジストローラ51へ給紙される。本形態では、装置本体1の右方側部に手差しトレイ15が配置され、この手差しトレイ15からも転写材がレジストローラ51へ給紙可能とされている。レジストローラ51は、各転写材を感光体4Y、4M、4C、4K上のトナー像と先端が一致するタイミングで転写ベルト3上へ送り出す。送り出された転写材Pは、紙吸着ローラ52によって帯電される転写ベルト3に静電的に吸着されて各転写部へと搬送される。
搬送された転写材Pには、各転写部を順に通過する際に、転写ブラシ47ないし50により感光体4Y、4M、4C、4K上のY、M、C、K各色のトナー像が順次に重ね合わせて転写されることで、4色重ね合わせのフルカラートナー像が形成される。フルカラートナー像が形成された転写材Pは、定着装置9によりフルカラートナー像が定着され、その後は指定されたモードに応じた排紙路を通って排紙トレイ12に反転排出される場合や、定着装置9から直進して反転ユニット8内を通ってストレートに排紙される。
【0017】
画像形成装置において、両面画像形成モードが選択されているときには、転写材Pは、片面にトナー像が形成されて定着装置9でトナー像が定着された後に、反転ユニット8内の反転搬送路44内に送り込まれ、ここでスイッチバックされてから両面ユニット7に搬送され、そこから再給紙されて表面画像形成時と同様に裏面に画像が形成されて排出される。
以上の作像動作は、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択されたときの動作であるが、3色重ね合わせのフルカラーモードが操作部で選択されたときにはKトナー像の形成が省略されてY、M、C3色のトナー像の重ね合わせによるフルカラー画像が転写材上に形成される。また、白黒画像形成モードが操作部で選択されたときには、Kトナー像の形成のみが行われて白黒画像が転写材上に形成される。
【0018】
現像装置5Y、5M、5C、5Kは、トナー色だけが異なる以外は、同一構成となっているので、現像装置5Yを代表として、その構成を説明する。図2は現像装置5Yの現像剤の搬送方向側から見た図である。
図2において、現像装置5Yは、Yトナーとキャリアを有する2成分現像剤が収容された現像ケース53と、この現像ケース53内に配置され現像ケース53の開口部を介して感光体4Yと対向するように配置された現像剤担持体としての現像スリーブ54と、現像ケース53内に配置され、現像剤を攪拌しながら搬送する撹拌部材としての多条のスクリュー部材55、56とを備えている。
現像ケース53は、感光体4Yへの現像剤の供給側に位置する第1の空間部65と、供給口62から補給トナーの供給を受ける第2の空間部64側とに仕切り壁57によって分割されている。スクリュー部材56は空間部65に、スクリュー部材55は空間部64にそれぞれ配置され、現像ケース53に設けた図示しない軸受部材によって回転自在に支持されている。無論、現像スリーブ54も図示しない軸受部材を介して現像ケース53に回転自在に支持されている。現像スリーブ54は、図示しない駆動手段から回転駆動力が伝達されることで回転する。
【0019】
図2に示すように、スクリュー部材55、56は、転写材Pの幅方向に延設されていて、互いに平行配置されている。スクリュー部材55、56の一端には、歯数の同じ歯車66、68が互いに噛合するように装着されている。本形態では、歯車66に対して駆動モータ69からの回転駆動力が伝達されることで、スクリュー部材55、56が互いに相反する方向に回転駆動される。図2において、スクリュー部材55は現像剤を左方から右方に向かって搬送する向きに回転し、スクリュー部材56は現像剤を右方から左方に向かって搬送する向きに回転する。
仕切り壁57の一端と現像ケース53の内側面53aの間には、空間部65から空間部64へ現像剤を送る受け渡し部59が形成され、仕切り壁57の他端と現像ケース53の内側面53bの間には、空間部64から空間部65へ現像剤を送る受け渡し部59がそれぞれ形成されている。現像ケース53には、現像剤中のトナー濃度を検知して出力するトナー濃度検知手段として図示しないがTセンサが装着されている。
【0020】
このような構成の現像装置5Yの動作を現像剤の搬送について説明する。現像ケース53内の2成分現像剤は、スクリュー部材55、56が等速回転すると、攪拌されつつ図2において右方から左方へと搬送され、受け渡し部59から搬送スクリュー56が配置された空間部65へと送られる。受け渡し部59から空間部65に送られた2成分現像剤は、搬送スクリュー56により撹拌されると同時に図2において右方向に搬送された後、受け渡し部58から空間部64側に送られ、再び搬送スクリュー55により撹拌されると同時に図2において左方向に搬送される。このように現像剤を攪拌しながら搬送することで、現像剤は現像装置5Y内を循環しながらYトナーとキャリアとが撹拌により摩擦帯電する。
搬送スクリュー56は現像剤の一部を現像スリーブ54に供給し、現像スリーブ54はその現像剤を磁気的に担持して搬送する。感光体4Y上の静電潜像は、現像スリーブ54上のYトナーで現像されてYトナー像となる。
現像ケース53内の現像剤のトナー濃度(トナーとキャリアの割合)が所定の値となると、Yトナーがトナー補給口62から現像ケース53内の空間部64側に補給される。このYトナーはスクリュー部材55による撹拌で現像剤と混合される。
【0021】
図3は、現像ケース53の断面図である。内部に収容された現像剤は、適性なトナー濃度に調整された状態でスクリュー部材55、56によって撹拌、搬送される。現像剤は、内部に固定磁石を保持する現像剤担持体表面の現像スリーブ54によって汲み上げられ、適性な現像剤量に規制された後にトナーを周囲に保持したキャリアがスリーブ上に磁気ブラシを形成し、像担持体4に接触して、潜像にトナーを付着させることによってトナー像を形成する。ここで、現像スリーブ54と像担持体4との間の現像領域下方で、現像スリーブの回転方向下流側にトナー飛散検知センサ71を設置した。トナー飛散検知センサ71は、現像装置近傍が好ましく、さらに現像装置の下方、現像スリーブ54の回転方向下流が好ましいが、現像装置の上方でも、スリーブの回転方向上流であってもよい。また、現像装置近傍の大気を吸引搬送して、離れた位置にあるトナー飛散検知センサ71でトナー飛散を検出してもよい。
【0022】
図4は、トナー飛散検知センサ71の該略図である。トナー飛散検知センサ71は、発光部72、受光部73、レンズ74からなる。トナー飛散が生じた場合には、現像装置から飛散したトナーが、発光部72と受光部73の間を通過する。この際、発光部72から照射された光がトナーに反射され、その反射光は受光部73にて読み取られ、電気信号に変換された形で出力される。
【0023】
図5は、トナー飛散検知センサ71によるトナー飛散の検出結果である。トナー飛散の程度の異なる現像剤を使用し、上記現像装置に設置した時のトナー飛散濃度とセンサ出力の関係である。この結果によれば、トナー飛散検知センサの出力値から、現像装置のトナー飛散量を精度良く検知することが可能であることがわかる。
ここで、トナー飛散は、帯電量が低い、あるいは逆極性に帯電したトナーが現像スリーブ54の回転による遠心力によって穂立ちした磁気ブラシ中のキャリアから離脱し、現像装置外に飛散する現象である。図7は、弱帯電、逆帯電トナーの量に対するトナー飛散濃度の関係を示したものである。ここに示される様に、現像剤中の弱帯電、逆帯電トナーの量が増加すればするほど、トナー飛散は悪化する。
一般的に、現像剤中の弱帯電/逆帯電トナーは、繰り返し画像形成を行った際に現像剤がストレスを受け続けることによって経時で増加していく傾向がある。主な原因としては、キャリア表面のコート層が削れてしまうこと、また、トナー成分がキャリア表面に固着してしまう、といったことが挙げられる。従って、経時におけるトナー飛散の悪化は、現像剤のキャリアの劣化として考えることができる。
そこで、本実施例では、トナー飛散量に応じて新しいキャリアを補給し、帯電能力の低下したキャリアを排出することによって現像装置内のキャリアを常に入れ換えられるよう構成した。補給するのはキャリア単体でも、キャリアとトナーが混合された状態であっても構わない。
【0024】
図6は、本発明に係る構成における、トナー飛散検知、キャリアあるいは現像剤補給動作を示すフローチャートである。先ず、画像形成が指示されると、像担持体への潜像形成と同時に現像剤担持体が駆動し始める。その際にトナー飛散検知センサを作動させ、トナー飛散の状態を出力し、出力値が基準値を越えている場合には、キャリア補給及び排出を開始し、基準電圧より低い場合にはキャリア補給なしで次回の画像形成に備えるように制御する。また、トナー飛散検知センサの出力によって、キャリア補給量を可変にすればさらに有効である。
上記した工程を経ることで、長期に渡って繰り返し画像を形成した場合でも、ストレスを受け続けることによってトナーへの帯電付与能力の低下したキャリアを現像装置外に排出し、新しいキャリアを補給することにより、現像装置内のキャリア劣化の進行を防止することが可能となる。また、弱帯電あるいは逆帯電トナーの発生を防ぎ、常に適性な帯電量をトナーに付与し続けることが可能なため、トナー飛散や地肌汚れ等不具合が発生することなく、長期に渡って画像形成を繰り返すことが可能となる。さらに、トナー飛散を検知して、現像剤の劣化状態を把握してキャリアもしくは現像剤を補給するため、必要最小限のコスト上昇に抑えた上で、従来に較べて大幅な長期使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる画像形成装置としての電子写真方式のフルカラープリンタを示す。
【図2】現像装置5Yの現像剤の搬送方向側から見た図である。
【図3】現像装置53の断面図である。
【図4】トナー飛散検知センサ71の該略図である。
【図5】トナー飛散検知センサ71によるトナー飛散の検出結果である。
【図6】本発明に係る構成における、トナー飛散検知、キャリアあるいは現像剤補給動作を示すフローチャートである。
【図7】弱帯電、逆帯電トナーの量に対するトナー飛散濃度の関係を示したものである。
【符号の説明】
【0026】
1 装置本体
2Y、2M、2C、2K 感光体ユニット
3 転写ベルト
4 像担持体
4Y、4M、4C、4K 感光体
5Y、5M、5C、5K 現像装置
6 書き込み装置
7 両面ユニット
8 反転ユニット
9 定着装置
10 反転搬送路
11 排紙ローラ
12 排紙トレイ
13、14 給紙カセット
15 手差しトレイ
41、42 搬送ガイド
43 搬送ローラ対
44 反転搬送路
45、46 分離給紙部
47、48、49、50 転写ブラシ
51 レジストローラ
52 紙吸着ローラ
53 現像ケース
53a、53b 内側面
54 現像スリーブ
55、56 スクリュー部材
57 仕切り壁
58、59 受け渡し部
62 トナー補給口
64、65 空間部
66、68 歯車
69 駆動モータ
71 トナー飛散検知センサ
72 発光部
73 受光部
74 レンズ
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動する像担持体と、
担持体表面を所望の電位に帯電させる帯電手段と、
像担持体上に画像に対応した静電潜像を形成する露光手段と、
非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤を内蔵し、内部に磁石ローラを固定保持して回転駆動する現像剤担持体によって像担持体上の静電潜像にトナー像を顕像化する現像装置と、
現像装置にキャリアもしくは現像剤を補給する装置を有する画像形成装置において、
現像装置近傍にトナー飛散検知センサを設け、その検知センサからの信号に基づいてキャリアもしくは現像剤を適宜補給する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記トナー飛散検知センサは、光を照射する発光部と反射光を受光して電気信号に変換する受光部からなる光学式センサである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1、2に記載の画像形成装置において、
前記トナー飛散検知センサは、現像剤担持体と像担持体との間に形成される現像部近傍で、且つ現像剤担持体の回転方向下流に設置される
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−3625(P2006−3625A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179878(P2004−179878)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】