説明

画像形成装置

【課題】 車椅子使用者が原稿抑えに容易に手を掛けられるようにする。
【解決手段】 原稿抑え部10は、ヒンジ30A,30Bにより回動自在に本体部20に連結されている。ヒンジ30A,30Bは、本体部20の載置面と原稿抑え部10とのなす角度が所定の角度より大であり、且つ外力が加えられていない状態にある場合には、原稿抑え部10の位置を保持し、本体部の載置面と原稿抑え部10とのなす角度が所定の角度以下であり、且つ外力が加えられていない状態にある場合には、本体部20の載置面に原稿抑え部10が接するように原稿抑え部10を回動させる。原稿抑え部10は、本体部20に配設された閉動作キー23Bが押下されると、モータ40を駆動して軸330を回転させ原稿抑え部10を本体部20のほうへ回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の原稿抑えを開閉する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナや複写機、またはこれらの機能を併せ持つ複合機等においては、プラテンガラス上に載置された原稿を抑える原稿抑えは、所定の角度以上開くと原稿を載置しやすくするために開いたままの状態を保つようになっている。このため、ユーザが装置の使用後に原稿抑えを開けて原稿を取り出した後、原稿抑えを閉め忘れると、原稿抑えは開いたままの状態となる。このように原稿抑えが開いたままの状態になると、例えば、次に装置を使用するのが車椅子に座っている者(以下、車椅子使用者と称する)である場合、原稿抑えに手が届かず、原稿抑えを閉じて装置を使用することができなくなってしまう。
【0003】
そこで、このような問題を解決する技術として、例えば特許文献1に開示されているものがある。特許文献1に開示されている画像形成装置の原稿抑えは、その側面部に補助レバーを回動自在に備えている。この補助レバーは、原稿抑えが開くと側面部の略中央に設けられている軸を中心にして回動し下方へ垂れ下がる。補助レバーの先端部は、原稿抑えのユーザ側の端部より低い位置に位置するため、車椅子使用者は手を掛けることができる。そして車椅子使用者が補助レバーに手を掛けて引っ張ると、補助レバーに連結している原稿抑えが下方へ引っ張られるため、原稿抑えを閉めることができる。
【特許文献1】特開2003−66544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術によれば、原稿抑えを閉めるために手を掛ける位置が原稿抑えのユーザ側の先端部と比較して低くなるため、手を掛けられず原稿抑えを閉められないといった問題は生じなくなる。しかしながら補助レバーは、原稿抑えの側面部において原稿抑えから垂れ下がり、特許文献1の図3に示されているように、装置の前面から見て奥側に位置するため、車椅子使用者は、補助レバーを掴もうとする際には車椅子から身体を乗り出したり、装置の前面に対して横を向いて手を伸ばすといった身体に負荷のかかる姿勢を取る必要があった。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、車椅子使用者が原稿抑えに容易に手を掛けられるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明は、載置面に載置されたシートの画像を読取る本体部と、前記載置面に載置されたシートを抑える原稿抑え部と、前記原稿抑え部を前記本体部に回動自在に連結し、前記本体部の載置面と前記原稿抑え部とのなす角度が所定の角度より大であり、且つ外力が加えられていない状態にある場合には、前記原稿抑え部の位置を保持し、前記本体部の載置面と前記原稿抑え部とのなす角度が所定の角度以下であり、且つ外力が加えられていない状態にある場合には、前記原稿抑え部の自重により前記原稿抑え部が前記本体部の載置面に接するように回動するヒンジと、前記ヒンジに外力を付与し、前記ヒンジにおいて前記原稿抑え部に連結されている部材を回動させる回動装置と、前記原稿抑え部または前記本体部に対するユーザの操作の有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記回動装置の駆動を開始する制御手段とを有する画像形成装置を提供する。
この画像形成装置によれば、ユーザの操作を検知して原稿抑えが回動するので、車椅子使用者であっても回動した原稿抑えに容易に手を掛けることができる。また、本体部の載置面と前記原稿抑え部とのなす角度が所定の角度より大であり、且つ外力が加わっていない状態にあっては、原稿抑えはその位置が保持されるので、シートを載置面に容易に載置することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車椅子使用者は原稿抑えに容易に手を掛けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の平面図である。本実施形態において画像形成装置1は、例えばプリンタや複写機、ファクシミリ等の複数の機能を兼ね備えた複合機等である。図1に示したように、この画像形成装置1の構成は、原稿抑え部10と、本体部20と、原稿抑え部10を本体部20の上面に開閉可能に取り付けるヒンジ30A,30Bとに大別される。
【0009】
原稿抑え部10は、本体部20に載置された原稿を抑えるものである。この原稿抑え部10は、所謂ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる自動原稿送り機構11を備えており、載置トレイ12に載置された原稿束のうち一番上にある原稿を原稿束から分離させ、分離した原稿を一枚づつ本体部20のプラテンガラス上へ搬送する。自動原稿送り機構11は、搬送した原稿の読取りが終了すると、読取りが終了した原稿を排紙トレイ13へ排出する。
【0010】
ヒンジ30A,30Bは、原稿抑え部10を本体部20の上面に開閉可能に取り付ける装置である。まず、ヒンジ30Aの構成について図2を用いて説明する。ヒンジ30Aは、大別するとベース部300と、支持部310と、取付部320と、軸330とにより構成されている。
【0011】
金属板を折り曲げ加工したベース部300は、底板部301と、底板部301に対して直角な側板部302A,302Bおよび背板部303とを有しており、ボルト304により本体部20に固定される。側板部302A,302Bには、軸330が貫通するように孔305が設けられており、また側板部302Aと側板部302Bとの間にはピン306が固定されている。
【0012】
金属板を折り曲げて加工した取付部320は、ネジ321およびピン322A,322Bにより支持部310に固定されている。そしてこの取付部320には、図示を省略した原稿抑え部10が取り付けられている。
【0013】
金属板を折り曲げ加工した支持部310は、天板部311と、天板部311に対して直角な側板部312A,312Bとを有している。この側板部312Aおよび側板部312Bには、内周面に内歯車を有する孔313が設けられている。支持部310は、この側板部312Aに設けられた孔313と、側板部312A,312Bに設けられた孔313とを貫通する軸330により支持される。また、支持部310は、拘持部314A,314Bを有し、この拘持部314A,314Bと、天板部311と、側板部312A,312Bに囲まれた部分に、コイルバネ315と、バネ固定板316と、支持部310の内部で摺動可能に支持された摺動部材317とを有している。コイルバネ315は、バネ固定板316と摺動部材317との間に配置されており、その弾性力により、バネ固定板316を、側板部312A,312Bを貫通して固定されているピン322A,322Bに当接させて固定する。またコイルバネ315は、その弾性力により、摺動部材317をベース部300のピン306に押圧させる。
【0014】
支持部310が軸330を中心に回動し、本体部20の上面と原稿抑え部10の下面との角度が所定の角度以上になると、この摺動部材317がピン306を押圧することにより生じるトルクと、原稿抑え部10の重さにより軸330に生じるトルクとが均衡し、原稿抑え部10が開いたままの状態で保持される。また原稿抑え部10を閉める動作が行われ、本体部20の上面と原稿抑え部10の下面との角度が所定の角度以下になると、摺動部材317がピン306を押圧して生じるトルクより原稿抑え部10の重さにより軸330に生じるトルクのほうが大となり、原稿抑え部10は自重によって閉められる。
【0015】
軸330は、ベース部300の孔305と、支持部310の孔313に挿通されており、ベース部300の孔305により回転自在に軸支され、支持部310を支持する。軸330において支持部310を支持する部分には、孔313に設けられた内歯車に係合する歯が設けられている。このため軸330が回転すると、支持部310はこの回転に伴って軸330を中心に回動する。
【0016】
次に軸330を回転させる機構について説明する。モータ40は、本体部20に固定されているモータ抑え41に支持されている。モータ40は、図示せぬモータ駆動回路を介して、後述する本体部20の制御部に接続されており、駆動回路(図示略)からの駆動信号により、図2中の矢印Aの方向へシャフトを回転させる。
【0017】
連結装置50は、ワンウェイクラッチとトルクリミッタの機能を兼ね備えた装置であり、一方の端部にはモータ40のシャフトが接続され、もう一方の端部には軸330が接続されている。モータ40のシャフトが図2中の矢印Aの方向へ回転すると、連結装置50はこの回転を軸330へ伝える。軸330が矢印A方向へ回転すると、軸330に係合している支持部310が回動し、原稿抑え部10が閉まる方向に回動する。一方、軸330が矢印B方向へ回転すると、連結装置50は軸330を空転させ、軸330の回転がモータ40のシャフトに伝わるのを遮断する。
【0018】
次にヒンジ30Bの構成について説明する。なお、ヒンジ30Bにおいては、軸330と、支持部310の孔313と、コイルバネ315の弾性力以外はヒンジ30Aと同じとなっているため、これらの構成要素以外の構成についてはその説明を省略する。ヒンジ30Bにおいては、支持部310の孔313の内周面に内歯車が設けられていない。また、軸330において、支持部310を支持する部分にも歯が設けられていない。このため、支持部310は、軸330に回動自在に支持される。また、ヒンジ30Bにおいては、コイルバネ315の弾性力がヒンジ30Bのコイルバネ315の弾性力より小となっている。これは、原稿抑え部10においてヒンジ30Bが支持する側には、自動原稿送り機構11のような重量のある機構がなく、開いた状態で支持する際のトルクがヒンジ30A側より小さくてすむからである。
【0019】
次に本体部20について説明する。本体部20は、CPU、ROM、RAMおよびデータを記憶する不揮発性メモリ等を備えた制御部、用紙を格納する用紙トレイ、用紙トレイから供給される用紙に画像を形成する画像形成ユニット、プラテンガラス上にある原稿を読取り、読取った原稿の画像を表す画像データを生成するスキャナ機構、用紙トレイから用紙を画像形成ユニットに搬送し、画像が形成された用紙を外部へ排出する用紙搬送機構(いずれも図示略)、ユーザが各種操作を行うためのコントロールパネル21等を備えている。
【0020】
コントロールパネル21は、図1に示したように、ユーザが各種操作を行うために使用する複数のキーと、各種操作を行うためのメニュー画面等を表示する液晶ディスプレイ22を備えている。ユーザが、コントロールパネル21に配設されたキーを押下すると、押下されたキーが制御部により検知される。制御部は、押下されたキーとメニュー画面とに基づいてユーザが行った操作を特定し画像形成装置1の各部を制御する各種処理を行う。例えば、コントロールパネル21に設けられているスタートキー23Aが押下された場合、制御部は原稿をスキャナ機構で読取り、読取った原稿の複写処理を行う。また、コントロールパネル21に設けられている閉動作キー23Bが押下された場合、制御部は原稿抑え部10を閉める処理を行う。また、コントロールパネル21に設けられているホールドキー23Cが押下された場合、制御部は、原稿抑え部10を閉める処理を中止する。
【0021】
また、本体部20は、その上面部に図3に示したように、アングル検出スイッチ24と、開閉センサ25とを有している。アングル検出スイッチ24は、原稿抑え部10の開閉角度を検知するスイッチである。アングル検出スイッチ24は、ユーザ側から見て左側側面近傍であって、原稿抑え部10の下方に位置しており、図3に示したように角度検出棒24Aが本体部20から突出するように取り付けられている。この角度検出棒24Aは、図示せぬバネにより原稿抑え部10の方向へ付勢されており、原稿抑え部10が閉められ、原稿抑え部10の下面により抑えられると、本体部20に収納されるようになっている。アングル検出スイッチ24は、原稿抑え部10の下面と本体部20の上面の角度が所定の角度となり、角度検出棒24Aが所定の長さ分だけ本体部20に押し込まれると、角度検出棒24Aが押し込まれたことを示す角度検知信号を制御部へ出力する。
【0022】
開閉センサは25、原稿抑え部10が閉じられている状態を検知するセンサである。このセンサは、磁気を検知する磁気センサを有しており、原稿抑え部10が閉められ、原稿抑え部10に設けられている磁石25Aが近づくと、磁気を検知したことを示す磁気検知信号を出力する。
【0023】
[動作]
次に本実施形態に係わる画像形成装置1において原稿抑え部10を閉める時の動作について図4を用いて説明する。ユーザが閉動作キー23Bを押下すると、まず制御部は、原稿の読取り処理または原稿の複写処理を実行中であるか否かを判断する(ステップSA1)。制御部は、これらの処理を実行中である場合には(ステップSA1;YES)、原稿抑え部10を閉める制御を行わず処理を終了する。
【0024】
制御部は、ステップSA1でNOと判断した場合、磁気検知信号が開閉センサ25から出力されているか否か、即ち、原稿抑え部10が閉じた状態であるか否かを判断する(ステップSA2)。磁気検知信号が開閉センサ25から出力されている場合(ステップSA2;YES)、制御部は、原稿押さえ部10が閉められていると判断し、原稿抑え部10を閉める制御を行わず処理を終了する。
【0025】
一方、ステップSA2でNOと判断した場合、制御部はモータ駆動回路を制御し、モータ40のシャフトを図2中の矢印A方向へ回転させる(ステップSA3)。シャフトが矢印Aの方向へ回転すると、シャフトの回転が連結装置により軸330へ伝わり、軸330が矢印A方向へ回転する。軸330が矢印A方向へ回転すると、軸330に係合している支持部310が回動し、原稿抑え部10が閉まる方向に回動する。なお、ユーザに対する安全性を考慮して、シャフトの回転速度は原稿抑え部10がフルオープンの状態から数秒間〜十数秒間かけて閉まるように制御される。
【0026】
次に制御部は、ホールドキー23Cが押下されたか否かを判断する(ステップSA4)。制御部は、ホールドキー23Cが押下されたことを検知した場合(ステップSA4;YES)、モータ駆動回路を制御し、モータ40のシャフトの回転を停止させ(ステップSA6)、原稿抑え部10を閉める処理を終了する。一方、ホールドキー23Cが押下されていない場合(ステップSA4;NO)、制御部はアングル検出スイッチ24から角度検知信号が出力されているか否かを判断する(ステップSA5)。角度検知信号がアングル検出スイッチ24から出力されていない場合(ステップSA5;NO)、制御部はステップSA4に戻り、ステップSA4とステップSA5の処理を繰り返す。
【0027】
一方、角度検知信号がアングル検出スイッチ24から出力された場合(ステップSA5;YES)、制御部はモータ駆動回路を制御し、モータ40のシャフトの回転を停止させ、原稿抑え部10を閉める処理を終了する。原稿抑え部10が角度検出棒24Aを押し込む角度まで閉まると、原稿押さえ部10は自重により下面が本体部20の上面に接するまで回動する。
【0028】
以上説明したように本実施形態によれば、車椅子使用者は原稿抑え部10を容易に閉めることができる。
【0029】
[第2実施形態]
[構成]
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、図5に示したセンサ60と、軸330に取り付けられたエンコードプレート70とを有している点が第1実施形態と異なる。なお、その他の構成については第1実施形態と同じであるため、他の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
図6に示したように、エンコードプレート70の円周部には、複数のスリットが設けられている。具体的には、中心から鉛直方向に引いた線を15度回転させた方向に、第1のスリットが設けられており、このスリットを始点にして周方向に所定の間隔でスリットが複数設けられている。
【0031】
センサ60は、例えば、透過型フォトセンサーであり、光を発する発光素子と、光を受け取り電気信号を発する受光素子とを具備している。この透過型フォトセンサーは、発光素子が発した光が受光素子に入光している場合には、受光素子に光りが入光していることを示すオン信号を制御装置へ出力し、発光素子が発した光が受光素子に入光していない場合には、受光素子に光りが入光してないことを示すオフ信号を制御部へ出力する。エンコードプレート70がこの発光素子と受光素子との間を通過するように配置されているので、軸330の回転に伴いエンコードプレート70が回転すると、エンコードプレート70に設けられているスリットにより、オン信号とオフ信号とが交互に出力されることとなる。
【0032】
[動作]
次に本実施形態の動作について説明する。ユーザが原稿抑え部10を閉める操作を行うと、原稿抑え部10の回動に伴って軸330が回転し、エンコードプレート70が回転する。エンコードプレート70が回転し、センサ60の出力がオン信号からオフ信号、またはオフ信号からオン信号に切り替わると、制御部はこの切り替わりを検知し、原稿抑え部10を閉める処理(図7参照)を行う。
【0033】
まず制御部は、角度検知信号が出力されているか否かを判断し(ステップSB1)、角度検知信号が出力されていると判断した場合には(ステップSB1;YES)、原稿抑え部10を閉める処理を終了する。一方、角度検知信号が出力されていないと判断した場合には(ステップSB1;NO)、制御部はモータ駆動回路を制御し、モータ40のシャフトを図5中の矢印A方向へ回転させる(ステップSB2)。シャフトが矢印Aの方向へ回転すると、シャフトの回転が連結装置50により軸330へ伝わり、軸330が矢印A方向へ回転する。軸330が矢印A方向へ回転すると、軸330に係合している支持部310が回動し、原稿抑え部10が閉まる方向に回動する。
【0034】
次に制御部は、アングル検出スイッチ24から角度検知信号が出力されているか否かを判断する(ステップSB3)。角度検知信号がアングル検出スイッチ24から出力されていない場合、制御部はモータ40のシャフトを回転させつつ角度検知信号が出力されるのを待つ(ステップSB3;NO)。一方、角度検知信号がアングル検出スイッチ24から出力された場合、制御部はモータ駆動回路を制御してモータ40のシャフトの回転を停止させ(ステップSB4)、原稿抑え部を閉める処理を終了する。原稿抑え部10が角度検出棒24Aを押し込む角度まで閉まると、原稿押さえ部10は自重により下面が本体部20の上面に接するまで回動する。
【0035】
以上説明したように本実施形態によれば、原稿抑え部10を自動的に閉めることが可能となり、健常者にとっても使い勝手がよくなる。
【0036】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
【0037】
連結装置50をワンウェイクラッチとし、軸330の回転がモータ40のシャフトに伝わらないようにする一方、シャフトの回転を軸330に伝えるようにしてもよいし、シャフトと軸330とを直結するようにしてもよい。
【0038】
コントロールパネル21に配置してあるキーによって原稿抑え部10を閉める時の速度を入力し、この入力された速度に基づいて制御部がモータ40の回転速度を計算してモータ40の回転速度を制御することにより原稿抑え部10を閉める時の速度を可変できるようにしてもよい。また、原稿抑え部10を閉める時の速度は、ある角度までは早く閉まるようにし、所定の角度からは閉まる速度を遅くするようにしてもよい。
【0039】
また、アングル検出スイッチ24から角度検知信号が出力されなくなった後、センサ60から出力されるオン信号またはオフ信号が一定時間切り替わらなかった場合、制御部は原稿抑え部10が開いたままであると判断し、モータ40を制御して自動的に原稿抑え部10を閉めるようにしてもよい。なお、この態様においては、自動的に原稿抑え部10を閉める動作を開始するまでの時間を、コントロールパネル21に設けてあるキーにより入力するようにし、ユーザが設定できるようにしてもよい。このような態様によれば、自動的に原稿抑え部10が閉まるので、車椅子使用者は画像形成装置1を使用する際に自動原稿送り機構11に容易に原稿を載置することができる。
【0040】
上述した実施形態においては、アングル検出スイッチ24から角度検知信号が出力された場合、モータ40の回転を停止しているが、アングル検出スイッチ24を使用せずに、開閉センサ25から磁気検知信号が出力された場合にモータ40の回転を停止させるようにしてもよい。
【0041】
また、軸330に例えばポテンショメータ等の角度センサを取付け、この角度センサにより原稿抑え部10の傾き角度を検知し、所定の角度を検知した場合にモータ40の回転を停止するようにしてもよい。また、角度センサにより原稿抑え部10の傾き角度を監視し、閉まっている状態から所定の角度まで開く操作が行われたことを検知した場合、モータ40を回転させて原稿抑え部10を開けるようにしてもよい。この態様によれば、車椅子使用者は、原稿抑え部10をフルオープンの状態まで容易に開けることが可能となる。なお、角度センサはポテンショメータに限定されず、例えば、ジャイロセンサを用いて角度を検知するようにしてもよい。
【0042】
上述した実施形態においては、原稿抑え部10を回動させるために軸330を回転させているが、原稿抑え部10を回動させる方法は、この方法に限定されるものではない。原稿抑え部10または支持部310を電動で本体側へ牽引することにより原稿抑え部10を回動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1の平面図である。
【図2】ヒンジ30Aとヒンジ30Aの周辺の構成を示す図である。
【図3】原稿抑え部10と本体部20の上部の側面図である。
【図4】第1実施形態に係る制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態におけるヒンジ30Aとヒンジ30Aの周辺の構成を示す図である。
【図6】エンコードプレート70の平面図である。
【図7】第2実施形態に係る制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1・・・画像形成装置、10・・・原稿抑え部、11・・・自動原稿送り機構、12・・・載置トレイ、13・・・排紙トレイ、20・・・本体部、21・・・コントロールパネル、22・・・液晶ディスプレイ、23A・・・スタートキー、23B・・・閉動作キー、23C・・・ホールドキー、24・・・アングル検出スイッチ、24A・・・角度検出棒、25・・・開閉センサ、25A・・・磁石、30A,30B・・・ヒンジ、40・・・モータ、41・・・モータ抑え、50・・・連結装置、60・・・センサ、70・・・エンコードプレート、71・・・スリット、300・・・ベース部、301・・・底板部、302A,302B・・・側板部、303・・・背板部、304・・・ボルト、305・・・孔、306・・・ピン、310・・・支持部、311・・・天板部、312A,312B・・・側板部、313・・・孔、314A,314B・・・拘持部、315・・・コイルバネ、316・・・バネ固定板、317・・・摺動部材、320・・・取付部、321・・・ネジ、322A,322B・・・ピン、330・・・軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置されたシートの画像を読取る本体部と、
前記載置面に載置されたシートを抑える原稿抑え部と、
前記原稿抑え部を前記本体部に回動自在に連結し、前記本体部の載置面と前記原稿抑え部とのなす角度が所定の角度より大であり、且つ外力が加えられていない状態にある場合には、前記原稿抑え部の位置を保持し、前記本体部の載置面と前記原稿抑え部とのなす角度が所定の角度以下であり、且つ外力が加えられていない状態にある場合には、前記原稿抑え部の自重により前記原稿抑え部が前記本体部の載置面に接するように回動するヒンジと、
前記ヒンジに外力を付与し、前記ヒンジにおいて前記原稿抑え部に連結されている部材を回動させる回動装置と、
前記原稿抑え部または前記本体部に対するユーザの操作の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記回動装置の駆動を開始する制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が所定の角度より大であることを検知する第1角度検知手段と、
前記検知手段によりユーザの操作が検知されなくなった時点からの経過時間を計時する計時手段と
を有し、
前記第1角度検知手段により前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が所定の角度より大であることが検知され、且つ、前記計時手段により計時された経過時間が所定の時間以上となった場合、前記制御手段は前記回動装置の駆動を開始し、前記ヒンジにおいて前記原稿抑え部に連結されている部材を前記本体部の方向へ回動させること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
時間を示す時間データを受取る時間データ入力手段を有し、
前記第1角度検知手段により前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が所定の角度より大であることが検知され、且つ、前記計時手段により計時された経過時間が前記時間データ入力手段により受取られた時間データが表す時間以上となった場合、前記制御手段は前記回動装置の駆動を開始すること
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が所定の角度以下であることを検知する第2角度検知手段を有し、
前記制御手段は、前記第2角度検知手段により前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が所定の角度以下であることが検知された場合、前記回動装置の駆動を停止すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
角度を示す角度データを受取る角度データ入力手段を有し、
前記第2角度検知手段は、前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が前記角度データ入力手段により受取られた角度データが表す角度以下であることを検知すること
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
速度を表す速度データを受取る速度データ入力手段を有し、
前記制御手段は、前記速度データ入力手段により受取られた速度データに基づいて、前記回動装置を駆動し、前記ヒンジにおいて前記原稿抑え部に連結されている部材の回動の角速度を可変すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が所定の角度より小であることを検知する第2角度検知手段と、
前記原稿抑え部が回動したことを検知する回動検知手段と
を有し、
前記第2角度検知手段により前記原稿抑え部と前記本体部の載置面とのなす角度が所定の角度より小であることが検知され、且つ、前記回動検知手段により前記原稿抑え部が前記本体部とは反対の方向へ回動したことが検知された場合、前記制御手段は前記回動装置の駆動を開始し、前記ヒンジにおいて前記原稿抑え部に連結されている部材を前記本体部と反対の方向へ回動させること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記本体部と前記原稿抑え部とを連結するヒンジを複数有し、前記回動装置は、前記原稿抑え部から最も大きな荷重をうけるヒンジに外力を付与することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記本体部にはキーが配設されており、
前記検知手段は、前記本体部に配設されたキーへの入力を検知し、
前記制御手段は、前記検知手段により前記本体部に配設されたキーへの入力が検知された場合、前記回動装置の駆動を開始することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−78966(P2006−78966A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265451(P2004−265451)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】