画像形成装置
【課題】良好なクリーニング性能と帯電性能を得る。
【解決手段】帯電ロール14とクリーニングロール100を軸受け部材110によりそれぞれ回転可能に支持して圧接状態とし、軸受け部材110を圧縮コイルばね128により付勢することで帯電ロール14を感光体ドラム12に圧接させる。また軸受け部材110は、帯電ロール14への圧接によるクリーニングロール100の撓みで支持部が変位するのに追従し傾くよう構成する。クリーニングロール100が撓んで支持部が変位すると、軸受け部材110は支持部が変位するのに追従して傾動するため、回転抵抗の増加が抑えられて帯電ロール14に対するクリーニングロール100の従動性が良好となる。
【解決手段】帯電ロール14とクリーニングロール100を軸受け部材110によりそれぞれ回転可能に支持して圧接状態とし、軸受け部材110を圧縮コイルばね128により付勢することで帯電ロール14を感光体ドラム12に圧接させる。また軸受け部材110は、帯電ロール14への圧接によるクリーニングロール100の撓みで支持部が変位するのに追従し傾くよう構成する。クリーニングロール100が撓んで支持部が変位すると、軸受け部材110は支持部が変位するのに追従して傾動するため、回転抵抗の増加が抑えられて帯電ロール14に対するクリーニングロール100の従動性が良好となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、回転駆動される像担持体に接触又は近接配置されて回転しつつ、像担持体の表面を帯電させる接触帯電方式の帯電ロールと、この帯電ロールのクリーニング部材とを有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、近年では、オゾンの排出抑制、装置の小型化、及び高圧電源コストの低減などを図るために、従来のスコロトロン等の非接触型帯電器に替えて、感光体に接触あるいは近接配置されるローラー帯電器(BCR)が用いられている。
【0003】
このような接触帯電方式の帯電装置では、帯電ロールが像担持体に常時接触しているため、帯電ロール表面に異物の付着による汚れが発生しやすいという問題がある。画像形成動作を繰り返し行う像担持体の表面は、転写工程の下流側において、転写後の残留トナー等の異物除去を行うクリーニング工程を経た後、帯電工程のエリアへと進入してくるが、クリーニング工程を経てもトナーの一部やトナーの外添剤など、トナーよりも微小な粒子がクリーニングされずに像担持体上に残留し、帯電ロールの表面へと付着してしまう。帯電ロールの表面に付着した異物は、帯電ロールの表面抵抗値にムラを生じさせ、異常放電や不安定な放電となり帯電均一性を悪化させてしまう。
【0004】
そこで、このような問題を改善するために、回転する帯電ロールの表面にロール形状のスポンジ部材等からなるクリーニングロールを接触させ従動回転させることにより、帯電ロール表面の汚れを良好にクリーニングする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようなクリーニングロールにおいて、安定したクリーニング性能を得るためには、帯電ロールに対するクリーニングロールの食い込み量をある程度、例えば0.3〜1.0mm程度、確保することが望ましい。しかし、食い込み量を増やしていくと、帯電ロールの従動回転に対する負荷が増え、帯電ロールがスリップして帯電ムラを生じるという新たな問題が発生する。またこれについては、近年の装置の小型化要求に応えるために、例えば外径≦φ12と小径化された帯電ロールやクリーニングロールを用いる場合に特に問題となる。接触帯電方式の場合、帯電ロールは、感光体(像担持体)との摩擦及び静電吸着によって回転のための駆動トルク(駆動力)を得ているが、この駆動トルクは、(感光体との摩擦力+吸着力)×帯電ロール半径によって決まる。そのため、帯電ロールが小径になるほど駆動トルクが小さくなり、スリップが発生しやすくなるわけである。
【0006】
これに対し、駆動ギア及び従動ギアからなる駆動機構を用いて帯電ロールを感光体と同速駆動させる構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。またこの従来技術では、同様の駆動機構を用いてクリーニングロールを帯電ロールと連れ回る方向へ回転駆動させることにより、クリーニングロールと帯電ロールの間でのスリップの発生を抑え、帯電ロールのクリーニング不良を防止することが提案されている。
【特許文献1】特開5−297690号公報
【特許文献2】特開8−62948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、帯電ロールやクリーニングロールを回転駆動する場合、ロール外径のバラツキなど考慮すると、帯電ロール、クリーニングロール、及び感光体の各周速を完全に等しくすることは極めて困難であり、実際には数%〜10%程度の速度差が発生してしまう。そのため、帯電ロールと感光体、あるいは帯電ロールとクリーニングロールの間で、感光体や帯電ロールの表面に付着した汚染物を引き伸ばすような「せん断力」が働き、いわゆるフィルミング(汚染物の薄層状付着)が発生しやすくなる。また、各ロールの駆動機構を設けることによるコストアップと、その設置スペースを確保することによる装置の大型化も問題となる。
【0008】
一方、駆動トルクを大きくする方法として、感光体への帯電ロールの押し付け荷重(圧接力)を大きくすることが考えられる。しかし、荷重を大きくしすぎると、保管時などに帯電ロールを変形させてしまうおそれがあるため、この押し付け荷重は、帯電ロールの材質等にもよるが、例えば10N/300mm以下程度に抑えることが望ましい。したがって、この荷重の増加のみで駆動トルクを大きくすることも困難である。
【0009】
また、特に小径のクリーニングロールでは、圧接力による影響で撓みが生じやすくなり、この撓みによって、クリーニング部材の回転軸の端部(支持部)が軸受け部との間にかじりを起こし、局部的に強く接触するようになるため、回転抵抗が増加して帯電ロールに対する従動性が悪くなり、クリーニング性の低下を招く問題がある。また、クリーニングロールから受ける負荷の増加で、感光体に対する帯電ロールの従動性も悪くなるため、帯電不良も発生しやすくなる。
【0010】
本発明は上記事実を考慮して、クリーニングロールによる帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる被帯電体への良好な帯電性能を得ることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、被帯電体に接触又は近接配置され回転して被帯電体を帯電させる帯電ロールと、前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、前記帯電ロールの支持部及び前記クリーニングロールの支持部のうち少なくともクリーニングロールの支持部を回転可能に支持する支持部材と、前記支持部材を前記帯電ロール側へ付勢して前記クリーニングロールを帯電ロールに圧接させる付勢手段と、を有し、前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴としている。
【0012】
本発明では、被帯電体に接触あるいは近接配置された帯電ロールは、回転して被帯電体を帯電させる。また、クリーニングロールはその支持部が支持部材に支持され、支持部材が付勢手段により帯電ロール側へ付勢されて帯電ロールに圧接することにより、回転する帯電ロールに従動回転して帯電ロールをクリーニングする。
【0013】
ここで、クリーニングロールが帯電ロールに圧接することで撓みを生じ、支持部が変位すると、支持部材は支持部が変位するのに追従し傾動する。これにより、支持部が支持部材との間にかじりを起こし、局部的に強く接触することが回避され、回転抵抗の増加が抑えられて帯電ロールに対するクリーニングロールの従動性が良好となり、帯電ロールを良好にクリーニングすることができる。また、クリーニングロールから受ける負荷の増加が抑えられることで帯電ロールの回転性も良好となり、帯電ロールによって被帯電体を良好に帯電性することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、回転する被帯電体に圧接して従動回転することにより被帯電体を帯電させる帯電ロールと、前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、前記帯電ロールの支持部、及び、前記クリーニングロールの支持部をそれぞれ回転可能に支持して帯電ロールとクリーニングロールの相対位置を略一定に保持する支持部材と、前記支持部材を前記被帯電体側へ付勢して前記帯電ロールを被帯電体に圧接させる付勢手段と、を有し、前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴としている。
【0015】
本発明では、帯電ロールとクリーニングロールは、支持部材にそれぞれ回転可能に支持され、帯電ロールにクリーニングロールが圧接した状態で、相対位置が略一定に保持される。そして帯電ロールは、支持部材が付勢手段によって被帯電体側へ付勢されることにより被帯電体に圧接し、被帯電体の回転に伴い従動回転して被帯電体を帯電させるとともに、その回転に伴い従動回転するクリーニング部材によってクリーニングされる。
【0016】
この構成でも、クリーニングロールが帯電ロールに圧接することで撓みを生じ、支持部が変位した場合に、支持部の変位に追従して支持部材が傾動するため、支持部が支持部材に強く接触することはなく、帯電ロールに対するクリーニングロールの従動不良を防止できる。また、クリーニングロールから受ける負荷の増加抑制で、被帯電体に対する帯電ロールの従動不良も防止できる。
【0017】
さらに、帯電ロールが圧接力の影響で撓んだ場合、その支持部と支持部材との間の接触圧の上昇で回転抵抗の増加し、従動性が悪くなるが、この帯電ロールの支持部の変位に対しても支持部材が追従して傾動するため、接触圧の上昇が抑えられ、従動性が良好になる。したがって、クリーニングロールによる帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる被帯電体への良好な帯電性能が得られるようになる。
【0018】
またこのように、帯電ロールとクリーニング部材を共通の支持部材で支持することにより、例えばそれらを別部材で個別に支持するような構成に比べ、支持構造や電圧を印加するための給電構造を簡素化することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の画像形成装置において、前記クリーニングロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線よりも軸方向内側に配置されていることを特徴としている。
【0020】
本発明では、支持部材によって支持するクリーニングロールの支持部を、付勢手段が支持部材に付勢力を作用させる作用線よりも軸方向内側に、すなわち、付勢力が作用する作用点(荷重点)を通りその付勢力の加わる方向に沿った直線よりも軸方向内側に配置することにより、支持部材は、クリーニングロールの撓みによる支持部の変位(傾き)に倣って傾きやすくなる。これにより、特別な傾動機構や電気的手段等を用いることなく、簡単な構成で、支持部材を支持部の変位に追従させて傾動させることができ、クリーニングロール及び帯電ロールの良好な従動性(回転性)を確保することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記帯電ロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線上に配置されていることを特徴としている。
【0022】
本発明では、支持部材によって支持する帯電ロールの支持部を、付勢手段が支持部材に付勢力を作用させる作用線上に、すなわち、付勢力が作用する作用点(荷重点)を通りその付勢力の加わる方向に沿った直線上に配置することにより、この支持部材を介して帯電ロールを被帯電体に圧接させるための圧接力(付勢力)を、帯電ロールに効率よく伝えられるようになる。これにより、被帯電体に対する帯電ロールの圧接状態が軸方向にほぼ均一となって安定するようになり、従動性を更に良好にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像形成装置によれば、クリーニングロールによる帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる被帯電体への良好な帯電性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0025】
(画像形成装置の構成)
図1に示す本実施形態の画像形成装置10は、4サイクル方式のフルカラーレーザプリンタであり、図示のように、装置内には、中央よりもやや右上部に、感光体ドラム12が回転可能に配設されている。この感光体ドラム12としては、例えば、表面にOPC等よりなる感光体層が被覆された導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しないモータにより、矢印方向に沿って所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0026】
感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12の略真下に配置された帯電ロール14によって所定の電位に帯電された後、帯電ロール14の下方に配置された露光装置16によって、レーザービームLBによる画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0027】
この感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器18Y、18M、18C、18Kが周方向に沿って配置された回転式現像器18によって現像され、所定の色のトナー像となる。
【0028】
このとき、感光体ドラム12の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。現像工程では回転式現像器18が回転し、対応する色の現像器18Y、18M、18C、18Kが、感光体ドラム12と対向する現像位置に移動する。
【0029】
例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、感光体ドラム12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。トナー像が形成されるにあたって、感光体ドラム12が回転する回数は、画像のサイズに応じて異なるが、例えば、A4サイズであれば、感光体ドラム12が3回転することによって、1つの画像が形成される。つまり、感光体ドラム12の表面には、感光体ドラム12が3回転するごとに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0030】
感光体ドラム12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム12の外周に中間転写ベルト20が巻き付けられた一次転写位置において、中間転写ベルト20上に互いに重ね合わせた状態で一次転写ロール22によって転写される。
【0031】
この中間転写ベルト20上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、所定のタイミングで給紙される記録用紙24上に、二次転写ロール26によって一括して転写される。
【0032】
一方、記録用紙24は、画像形成装置10の下部に配置された給紙カセット28から、ピックアップロール30によって送り出されるとともに、フィードロール32及びリタードロール34によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、レジストロール36によって中間転写ベルト20上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト20の二次転写位置へと搬送される。
【0033】
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12における回動方向の上流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップインロール38と、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール22と、ラップ位置の下流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップアウトロール40と、二次転写ロール26に中間転写ベルト20を介して当接するバックアップロール42と、中間転写ベルト20のクリーニング装置44に対向する第1のクリーニングバックアップロール46と、第2のクリーニングバックアップロール48と、によって所定の張力で張架されており、所定のプロセススピードで循環移動するように、例えば、感光体ドラム12の回転に伴って従動される。
【0034】
ここで、中間転写ベルト20は、画像形成装置10の小型化を図るため、中間転写ベルト20が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
【0035】
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12と、帯電ロール14と、中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20を張架する複数のロール22、38、40、42、46、48と、中間転写ベルト20用のクリーニング装置44と、後述する感光体ドラム12用のクリーニング装置78と、で一体的に像形成ユニット52を構成している。このため、画像形成装置10の上部カバー54を開き、像形成ユニット52の上部に設けられた把手(図示省略)を手で持ち上げることにより、像形成ユニット52全体を画像形成装置10から取り外し可能となっている。
【0036】
一方、中間転写ベルト20のクリーニング装置44は、第1のクリーニングバックアップロール46によって張架された中間転写ベルト20の表面に当接するように配置されたスクレーパ58と、第2のクリーニングバックアップロール48によって張架された中間転写ベルト20の表面に圧接するように配置されたクリーニングブラシ60とを備え、これらのスクレーパ58やクリーニングブラシ60によって除去された残留トナーや紙粉などは、クリーニング装置44の内部に回収されるようになっている。
【0037】
なお、クリーニング装置44は、揺動軸62を中心にして、図中反時計回り方向に揺動可能に配置されており、最終色のトナー像の二次転写が終了するまでは、中間転写ベルト20の表面から離間した位置に退避するとともに、最終色のトナー像の二次転写が終了すると、中間転写ベルト20の表面に当接するように構成されている。
【0038】
さらに、中間転写ベルト20からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱及び加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出トレイ68上にそのまま排出される。
【0039】
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出トレイ68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)にトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録媒体24を排出トレイ68上に排出する。
【0040】
さらに、画像形成装置10には、オプションによって、画像形成装置10の側面に手差しトレイ74が開閉自在に装着可能となっている。この手差しトレイ74上に載置された任意のサイズ及び種類の記録用紙24は、給紙ロール76によって給紙され、搬送ロール73及びレジストロール36を介して、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送されることにより、任意のサイズ及び種類の記録用紙24にも画像を形成することが可能となっている。
【0041】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12が1回転する毎に、感光体ドラム12の斜め下方に配置されたクリーニング装置78のクリーニングブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0042】
図2に示すように、感光体ドラム12の下方部には、感光体ドラム12と接触するように帯電ロール14が配置されている。この帯電ロール14は、導電性のシャフト14Aの周囲に帯電層14Bが形成されたものであり、シャフト14Aが回転可能に支持されている。帯電ロール14の感光体ドラム12と反対側の下方部には、帯電ロール14の表面に接触するロール状のクリーニング部材であるクリーニングロール100が設けられている。このクリーニングロール100は、シャフト100Aの周囲にスポンジ層100Bが形成されたものであり、シャフト100Aが回転可能に支持されている。
【0043】
クリーニングロール100は帯電ロール14に所定の荷重で押圧され、スポンジ層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形してニップ部101を形成している。感光体ドラム12は、図示しないモータによって図2中の時計回り(矢印2の方向)に回転駆動され、感光体ドラム12の回転により帯電ロール14が矢印4の方向に従動回転する。また、帯電ロール14の回転によりロール状のクリーニングロール100が矢印6の方向に従動回転する。
【0044】
クリーニングロール100が従動回転することにより、帯電ロール14の表面に付着したトナーや外添剤などの汚れ(異物)がクリーニングロール100によってクリーニングされる。そしてこの異物がクリーニングロール100の発泡体のセル内に取り込まれ、セル内に回収された異物が凝集して適度な大きさになると、クリーニングロール100から帯電ロール14を介して感光体ドラム12に戻され、感光体ドラム12をクリーニングするクリーニング装置78に回収されることで、クリーニング性能の維持継続がなされていると考えられている。
【0045】
(帯電ロール及びクリーニングロールの構成)
ここで、本実施形態の帯電ロール(BCR)14とクリーニングロール100について説明する。
【0046】
帯電ロール14は、上述したように、感光体ドラム12の表面に接触して配設され、直流電圧あるいは直流電圧に交流電圧を印加されて、感光体ドラム12表面を帯電させるものである。また、その形状としては、シャフト14Aを構成する芯材の周囲に、帯電層14Bを構成する抵抗弾性層を設けたロール形状であり、抵抗弾性層を、外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層の順に分割した構成とすることも可能である。さらに帯電ロール14の耐久性や耐汚染性の付与のために、必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
【0047】
以下、芯材に弾性層、抵抗層、保護層を設けた場合について、より詳細に説明を行う。
【0048】
芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、金属以外の材料でも、導電性と適度の剛性を有する材料であれば用いることができ、例えば導電性粒子等を分散した樹脂成形品や、セラミックス等を用いることもできる。また、ロール形状のほか、中空のパイプ形状とすることも可能である。
【0049】
弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般には樹脂材あるいはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。樹脂材料としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂などが用いられ、ゴム材料としてはエチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴムなど、または、それらを発泡させた発泡材が用いられる。
【0050】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO-Al2O3、SnO2-Sb2O3、In2O3-SnO2、ZnO-TiO2、MgO-Al2O3、FeO-TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物や、第4級アンモニウム塩等のイオン性化合物等を用いることができ、これらの材料を単独あるいは2種以上混合して用いても良い。更に必要に応じてタルク、アルミナ、シリカ等の無機充填材、フッ素樹脂やシリコンゴムの微粉等の有機充填材の1種または2種以上を混合しても良い。
【0051】
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては10^3〜10^14Ωcm、好ましくは10^5〜10^12Ωcm、さらに好ましくは10^7〜10^12Ωcmがよい。また膜厚としては0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.5〜100μmがよい。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が用いられる。
【0052】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物や、イオン導電性を発現する第4級アンモニウム塩等のイオン性化合物等の1種または2種以上が混合される。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン、タルク、シリカ、アルミナ等の無機充填剤や、フッ素樹脂やシリコン樹脂の微粉等の有機充填材や、シリコーンオイル等の潤滑剤などの、1種または2種以上を添加することができる。また更に界面活性剤や帯電制御剤等が必要に応じて添加される。
【0053】
また、これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0054】
クリーニングロール100は、シャフト100Aを構成する芯材と、この芯材の周面に形成されるスポンジ層100Bを構成する多孔質弾性層から形成され、上述したように、帯電ロール14の表面に接触して配設されている。
【0055】
芯材の材質としては、多孔質弾性層を支持し、帯電ロール14へ適度の圧接力で以って接触状態を維持できる程度の剛性を有するものが用いられ、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等などの金属の他、樹脂成形品、セラミックス等や、これらに導電性粒子等を分散させたものや、無機フィラーを分散させたものを用いることができる。また、ロール形状のほか、中空のパイプ形状とすることも可能である。
【0056】
多孔質弾性層は、所定のセル密度で形成されたロール状のスポンジであり、例えばエーテル系ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリオレフィンフォーム、メラミンフォーム、マイクロポリマー等を用いることができる。
【0057】
ポリウレタンフォームを例にとり、製造方法について簡単に説明すると、ポリオール、イソシアネート、水、触媒(アミン触媒、金属触媒など)および整泡剤(界面活性剤)を用いて製造され、また、用途によっては顔料などの添加剤が用いられる。そして、これら原料を混合・攪拌すると化学反応が起き、ウレタン樹脂の発泡体を得ることができる。
【0058】
(支持構造の構成)
次に、本実施形態に係る帯電ロール14及びクリーニングロール100の支持構造について詳細に説明する。
【0059】
図3に示すように、本実施形態では、帯電ロール14とクリーニングロール100が一対の軸受け部材110を介して単一のフレーム120に組み付けられフレーム120内に収容されており、さらに感光体ドラム12もこのフレーム120に組み付けられ、それらがユニット化されている。
【0060】
図4に示すように、一つの軸受け部材110は、直方体状(ブロック状)に形成され単一構成とされている。この軸受け部材110は、高剛性、高摺動性で耐摩耗性に優れたポリアセタールやポリカーボネート等の合成樹脂材料で形成されている。また、耐摩耗性を更に高めるために、上記の合成樹脂材料にガラス繊維やカーボン繊維等を含有させるようにしてもよい。
【0061】
軸受け部材110には、長手方向(図4の上下方向)に沿って所定の間隔で配置された2つの軸受け孔112、114が形成されている。一方の軸受け孔112には、帯電ロール14のシャフト14A端部に設けられた支持部14aが回転自在に挿入され、他方の軸受け孔114には、クリーニングロール100のシャフト100A端部に設けられた支持部100aが回転自在に挿入されている。
【0062】
この一対の軸受け部材110に、シャフト14Aの両端の支持部14aが軸支された帯電ロール14と、シャフト100Aの両端の支持部100aが軸支されたクリーニングロール100とは、前述したように、クリーニングロール100が帯電ロール14に所定の荷重で押圧され、スポンジ層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形しニップ部101を形成した状態で(図2参照)、軸間距離が一定とされ、圧接方向の相対距離が一定に保たれている。さらに、圧接方向と直交する方向(接触部(ニップ部101)の略接線方向)の位置関係も一定とされて、相対位置が一定に保たれており、これによってニップ幅が一定とされている。
【0063】
図3に示すように、フレーム120は、本体部122における帯電ロール14及びクリーニングロール100の軸方向に沿った両端部(図3の左右の側端部)に、上記の一対の軸受け部材110が取り付けられる一対の取付部124が一体的に設けられている。
【0064】
取付部124には、取付部124の延出方向に沿ったガイド溝126が形成されている。軸受け部材110は、このガイド溝126にはめ入れられてその先端側に配置されており、ガイド溝126にガイドされて取付部124の延出方向(感光体ドラム12に対し接離する方向)に沿って摺動可能とされている。また、ガイド溝126と軸受け部材110との間には、帯電ロール14及びクリーニングロール100の軸方向に沿って所定の隙間が設けられており、これにより、軸受け部材110は、ガイド溝126内で摺動方向に対し傾くことができるようにされている。
【0065】
一対の取付部124の外側面側は厚肉とされて先端側が延出されており、その先端部に、感光体ドラム12を軸支する一対の軸受け部132が設けられている。この一対の軸受け部132には、軸受け孔134が同軸的に形成されており、感光体ドラム12は、シャフト12Aの端部に設けられた支持部12aが各軸受け孔134に回転自在に挿通されて、帯電ロール14及びクリーニングロール100とともにフレーム120に組み付けられている。
【0066】
また、ガイド溝126内の基端側には、軸受け部材110を感光体ドラム12側へ付勢する圧縮コイルばね128が設けられている。この圧縮コイルばね128のばね力で、軸受け部材110が感光体ドラム12側へ付勢され(矢印8の方向)、帯電ロール14は感光体ドラム12に圧接している。
【0067】
また本実施形態では、軸受け部材110に支持されたクリーニングロール100の支持部100aは、圧縮コイルばね128が軸受け部材110にばね力を作用させる作用線Lよりも軸方向内側に、すなわち、ばね力が作用する作用点(荷重点P)を通りそのばね力の加わる方向に沿った直線よりも軸方向内側に配置されている。さらに、軸受け部材110に支持された帯電ロール14の支持部14aは、上記の作用線L上に、すなわち、圧縮コイルばね128のばね力が作用する作用点(荷重点P)を通りそのばね力の加わる方向に沿った直線上に配置されている。
【0068】
これにより、感光体ドラム12が回転すると、感光体ドラム12の回転に伴って帯電ロール14が従動回転し感光体ドラム12を帯電させ、さらに帯電ロール14の回転に伴ってクリーニングロール100が従動回転し帯電ロール14をクリーニングする。
【0069】
次に、本実施形態の作用について図5〜図7を参照して説明する。
【0070】
図5(A)は、感光体ドラム12と帯電ロール14の間、及び、帯電ロール14とクリーニングロール100の間に作用する駆動トルクと回転負荷の概要を示したものである。
【0071】
図5(A)に示すように、帯電ロール(BCR)14は、感光体ドラム12から搬送力を受け、自身の転がり抵抗や軸摺動抵抗による回転負荷を受ける。さらに、クリーニングロール(CLN−R)100から回転負荷を受けるが、これにはクリーニングロール100の転がり抵抗と、クリーニングロール100の軸摺動抵抗が含まれる。なお、これらの他にも回転負荷を形成する力が存在するが、それらについては省略した。
【0072】
上述の搬送力は、感光体ドラム12と帯電ロール14の摩擦力に依存するため、帯電ロール14及びクリーニングロール100を感光体ドラム12に圧接するばね荷重に大きく依存する。一方、このばね荷重が変わると、軸受け部材110にかかる荷重が変わり摺動抵抗が変化するので、回転負荷もばね荷重依存性を持つ。そのため、搬送力、回転負荷のばね荷重依存性は図5(B)に示すようになり、搬送力が回転負荷を超えるばね荷重以上の領域において、帯電ロール14及びクリーニングロール100は安定した従動回転をすることがわかる。
【0073】
この軸受け部材110にかかる荷重について、図6を用いて説明する。図6は、感光体ドラム12、帯電ロール14、及びクリーニングロール100の各々にかかる力を示したものである。
【0074】
帯電ロール14とクリーニングロール100について、それぞれ釣り合いの式は、図6に示すようになり、さらに帯電ロール14とクリーニングロール100、並びに軸受け部材110を一体とみなしたときの釣り合いの式も図6に示した。
【0075】
これら3つの釣り合いの式より、帯電ロール14の軸受け部(軸受け孔112)と、クリーニングロール100の軸受け部(軸受け孔114)にかかる荷重をそれぞれ求めると、クリーニングロール100の軸受け部は、クリーニングロール100と帯電ロール14のニップ荷重がそのまま掛かるのに対して、帯電ロール14の軸受け部には、感光体ドラム12と帯電ロール14のニップ荷重、及び、クリーニングロール100と帯電ロール14のニップ荷重の差分しか掛からないことがわかる。したがって、帯電ロール14の軸受けの摺動抵抗に比べて、クリーニングロール100の摺動抵抗の方が著しく大きいことになり、従動性を考えるにあたっては、このクリーニングロール100の摺動抵抗について十分に配慮することが必要である。
【0076】
また、この軸受け荷重のかかり方に対する考察より、帯電ロール14が、クリーニングロール100及び感光体ドラム12により等分布荷重に近い状態で圧接力を得ているの対して、クリーニングロール100は両端支持で荷重を受けており、撓みやすいこともわかる。
【0077】
一方、感光体ドラム12と帯電ロール14、及び、帯電ロール14とクリーニングロール100の間の接触状態を、良好かつ均一ニップに保つためには、両ロールとも、ある程度の厚み、例えば2〜3mm程度の弾性層が必要になる。外径≦φ12程度の小径とするためには、芯金の径としては、φ4〜6程度以下のものを使用しなければならないが、このような細い芯金、例えばφ4程度の芯金で、軸方向長さが300mm程度の場合、10N程度の荷重で圧接すると、SUS303のようなステンレス合金を用いてもクリーニングロール100側は中央部で0.5mm程度撓みを生じることもある。
【0078】
このように芯金(シャフト100A)が撓んでしまうと、図7(B)に示すように、クリーニングロール100の軸受け部(軸受け孔114)において、芯金がかじり状態となるため、摺動抵抗が著しく上昇することになる。なお、このケースでは、図7(A)に示すように、軸受け部材110Aに掛かる力の主要な成分であるばね荷重とクリーニングロール軸荷重が、略同一線上に作用するため、軸受けを傾けるような力は抑制される(帯電ロール軸荷重は、両者に比較して小さい)。
【0079】
これに対して、荷重点と軸受け面の位置関係を図7(C)のようにとると、ばね荷重とクリーニングロール軸荷重が離れた点に作用するため、軸受け部材110Bを芯金の撓み方向に曲げる偶力が生じ、軸受け部材110Bを適度に傾けることができる。これにより、芯金(支持部100a)と軸受け面115が略一致するので、上述した芯金のかじりが抑制され、摺動抵抗の上昇を防止することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態では、クリーニングロール100が帯電ロール14に圧接することで撓みを生じ、シャフト100Aの支持部100aが変位した場合に、支持部100aの変位に追従して軸受け部材110が傾くため、支持部100aが軸受け孔114との間にかじりを起こし、局部的に強く接触することが回避される。これにより、回転抵抗の増加が抑えられて帯電ロール14に対するクリーニングロール100の従動不良を防止できる。また、クリーニングロール100から受ける負荷の増加抑制で、感光体ドラム12に対する帯電ロール14の従動不良も防止できる。
【0081】
さらに、帯電ロール14が圧接力の影響で撓んだ場合、シャフト14Aの支持部14aと軸受け孔112との間の接触圧の上昇で回転抵抗の増加し、従動性が悪くなるが、この帯電ロール14の支持部14aの変位に対しても軸受け部材110が追従して傾動するため、接触圧の上昇が抑えられ、従動性が良好になる。したがって、クリーニングロール100による帯電ロール14の良好なクリーニング性能と、帯電ロール14による感光体ドラム12への良好な帯電性能が得られるようになる。
【0082】
またこのように、帯電ロール14とクリーニングロール100を共通の軸受け部材110で支持することにより、例えばそれらを別部材で個別に支持するような構成に比べ、支持構造や電圧を印加するための給電構造を簡素化することができる。
【0083】
また、軸受け部材110によって支持するクリーニングロール100の支持部100aを、圧縮コイルばね128が軸受け部材110にばね力を作用させる作用線Lよりも軸方向内側に配置していることにより、軸受け部材110は、クリーニングロール100の撓みによる支持部100aの変位(傾き)に倣って傾きやすくなる。これにより、特別な傾動機構や電気的手段等を用いることなく、簡単な構成で、軸受け部材110を支持部100aの変位に追従させて傾かせることができ、クリーニングロール100及び帯電ロール14の良好な従動性を確保することができる。
【0084】
また、軸受け部材110によって支持する帯電ロール14の支持部14aを、上記の作用線L上に配置していることにより、この軸受け部材110を介して帯電ロール14を感光体ドラム12に圧接させるための圧接力(ばね力)を、帯電ロール14に効率よく伝えられるようになる。これにより、感光体ドラム12に対する帯電ロール14の圧接状態が軸方向にほぼ均一となって安定するようになり、従動性が更に良好になる。
【0085】
(実施例の構成)
以下、実施例で用いた帯電ロール14及びクリーニングロール100について説明する。本実施例で用いた帯電ロール14としては、図8(A)に示すように、シャフト14Aを構成する金属性の芯金に、帯電層14Bを構成する導電弾性層15A、抵抗層15B、表面保護層15Cをこの順に積層した外径12mmのロールを使用した。
【0086】
金属芯金としては、φ8mmのSUS303ステンレス合金を用い、その周囲にエピクロルヒドリンゴムに、カーボンブラック(CB)を含有させた、厚さ2mmの導電弾性層を被覆し、その外周にエピクロルヒドリンゴムにCBとSiO2を含有させた、厚さ0.1mmの抵抗層を被覆した。さらに、最後に表面層として、ナイロン樹脂にCBとSiO2を含有させたコート剤を用いて、厚さ5〜50μmのコート層を形成した。
【0087】
また、本実施例で用いたクリーニングロール100としては、図8(B)に示すように、シャフト100Aを構成する金属性の芯金の周囲に、スポンジ層100Bを構成するポリウレタンフォームを被覆した外径10mmのロールを使用した。
【0088】
金属芯金としては、φ6mmのSUS303ステンレス合金を用いた。またポリウレタンフォームとしては、厚さ2mmで、φ50の円盤状部材を0.5mm押し込むのに必要な荷重が0.8〜1.5N程度になるように硬度を調整したエーテル系ポリウレタンを用いた。
【0089】
(従動性の評価方法)
以下に、従動性の評価方法について説明する。φ30の感光体ドラム12と、本実施例の帯電ロール14及びクリーニングロール100を図9に示すように配置した。クリーニングロール100と帯電ロール14の食込み量は回転負荷へ寄与するが、本実施例では0.75mmに固定している。また、温度により感光体ドラム/帯電ロール/クリーニングロールの接触状態が変わり、摩擦力が変化するので、一定気温のもとでテストを行った。また、軸受け部材110等に用いている合成樹脂は、寸法の温度変化があるので、軸受け部(軸受け孔112、114)の内径が小さくなり、摺動抵抗が高くなる低温環境(10℃)にて測定を行った。
【0090】
従動性能の評価としては、感光体を周速度165mm/sで回転駆動したときの、帯電ロールの周速度を、帯電ロールの圧接ばね荷重を変えながら測定することで行った。周速度の測定は、帯電ロール表面に5mm角程度の反射部材を貼付し、日置電機(株)製の非接触型回転計(ハイタコメータ 3403)を用いて、帯電ロールの単位時間当たりの回転数を測定することで行った。
【0091】
(従動性の評価結果)
図10(A)、(B)に示す比較例と、図11(A)、(B)に示す実施例について、従動性の評価を行った。図12に示すとおり、比較例では、クリーニングロール摺動抵抗による回転が大きく、安定した従動性を得るためには13N程度の荷重が必要であった。これに対して、実施例では回転負荷が低減しており、7.5N程度の荷重で安定した従動性を得ることができた。
【0092】
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
【0093】
例えば、上述の実施形態では、帯電ロール14とクリーニングロール100を共に軸受け部材110で支持することによりそれらを圧接状態とし、軸受け部材110を圧縮コイルばね128で付勢することにより帯電ロール14を感光体ドラム12に圧接させる構成としているが、各ロールの支持構造や圧接構造はこれに限定されるものではなく、感光体ドラム12に接触又は近接配置された帯電ロール14と、帯電ロール14に圧接して従動回転するクリーニングロール100とを、個別の軸受け部材で支持し、個別の付勢手段で付勢し圧接させる構成等にも本発明を適用することができる。
【0094】
また、感光体ドラム12の下方部に帯電ロール14を接触させ、その帯電ロール14の下方部にクリーニングロール100、140を接触させる構成としているが、感光体ドラム12、帯電ロール14、及びクリーニングロール100、140の位置関係はこれに限定されるものではない。例えば、感光体ドラムの上方部に帯電ロールを接触させ、その帯電ロールの上方部にスポンジ部材を接触させる構成等にも本発明を適用することができる。
【0095】
また、本発明を適用する画像形成装置については、上述の実施形態のように、回転式現像器18を用いて感光体ドラム12へのトナー像の形成を4回繰り返して行う4サイクル方式の構成に限定されるものではない。例えば、中間転写ベルトの移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ユニットを並設する構成であっても、各画像形成ユニットの感光体ドラム、帯電ロール、及びスポンジ部材に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に搭載された感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールの構成を示す拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールの支持構造の構成を示す部分断面側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る帯電ロール及びクリーニングロールが軸受け部材に軸支された状態を示すが斜視図である。
【図5】(A)は、感光体ドラム、帯電ロール14、及びクリーニングロールに作用する駆動トルクと回転負荷を説明するための説明図、(B)は、搬送力及び回転負荷のばね荷重依存性を示すグラフ図である。
【図6】感光体ドラム、帯電ロール14、及びクリーニングロールにかかる力を説明するための説明図である。
【図7】(A)〜(C)は、従来の帯電ロール及びスポンジ部材の支持構造に対し、本発明の一実施形態に係る支持構造の改善効果を比較説明するための説明図である。
【図8】(A)は本発明の実施例に係る帯電ロールの断面を示す断面図、(B)は本発明の実施例に係るクリーニングロールの断面を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例に係る感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールの支持構造の構成を示す部分断面側面図である。
【図10】(A)、(B)は本発明の比較例に係る帯電ロール及びクリーニングロールの支持部と軸受け部材の構成を示す部分断面側面図である。
【図11】(A)、(B)は本発明の実施例に係る帯電ロール及びクリーニングロールの支持部と軸受け部材の構成を示す部分断面側面図である。
【図12】図10に示した比較例の支持構造と、図11に示した本発明の実施例に係る支持構造の従動性の評価結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0097】
10 画像形成装置
12 感光体ドラム(被帯電体)
14 帯電ロール
14A シャフト
14a 支持部
100 クリーニングロール
100A シャフト
100a 支持部
100B スポンジ層
110 軸受け部材(支持部材)
112 軸受け孔
114 軸受け孔
128 圧縮コイルばね(付勢手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、回転駆動される像担持体に接触又は近接配置されて回転しつつ、像担持体の表面を帯電させる接触帯電方式の帯電ロールと、この帯電ロールのクリーニング部材とを有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、近年では、オゾンの排出抑制、装置の小型化、及び高圧電源コストの低減などを図るために、従来のスコロトロン等の非接触型帯電器に替えて、感光体に接触あるいは近接配置されるローラー帯電器(BCR)が用いられている。
【0003】
このような接触帯電方式の帯電装置では、帯電ロールが像担持体に常時接触しているため、帯電ロール表面に異物の付着による汚れが発生しやすいという問題がある。画像形成動作を繰り返し行う像担持体の表面は、転写工程の下流側において、転写後の残留トナー等の異物除去を行うクリーニング工程を経た後、帯電工程のエリアへと進入してくるが、クリーニング工程を経てもトナーの一部やトナーの外添剤など、トナーよりも微小な粒子がクリーニングされずに像担持体上に残留し、帯電ロールの表面へと付着してしまう。帯電ロールの表面に付着した異物は、帯電ロールの表面抵抗値にムラを生じさせ、異常放電や不安定な放電となり帯電均一性を悪化させてしまう。
【0004】
そこで、このような問題を改善するために、回転する帯電ロールの表面にロール形状のスポンジ部材等からなるクリーニングロールを接触させ従動回転させることにより、帯電ロール表面の汚れを良好にクリーニングする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようなクリーニングロールにおいて、安定したクリーニング性能を得るためには、帯電ロールに対するクリーニングロールの食い込み量をある程度、例えば0.3〜1.0mm程度、確保することが望ましい。しかし、食い込み量を増やしていくと、帯電ロールの従動回転に対する負荷が増え、帯電ロールがスリップして帯電ムラを生じるという新たな問題が発生する。またこれについては、近年の装置の小型化要求に応えるために、例えば外径≦φ12と小径化された帯電ロールやクリーニングロールを用いる場合に特に問題となる。接触帯電方式の場合、帯電ロールは、感光体(像担持体)との摩擦及び静電吸着によって回転のための駆動トルク(駆動力)を得ているが、この駆動トルクは、(感光体との摩擦力+吸着力)×帯電ロール半径によって決まる。そのため、帯電ロールが小径になるほど駆動トルクが小さくなり、スリップが発生しやすくなるわけである。
【0006】
これに対し、駆動ギア及び従動ギアからなる駆動機構を用いて帯電ロールを感光体と同速駆動させる構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。またこの従来技術では、同様の駆動機構を用いてクリーニングロールを帯電ロールと連れ回る方向へ回転駆動させることにより、クリーニングロールと帯電ロールの間でのスリップの発生を抑え、帯電ロールのクリーニング不良を防止することが提案されている。
【特許文献1】特開5−297690号公報
【特許文献2】特開8−62948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、帯電ロールやクリーニングロールを回転駆動する場合、ロール外径のバラツキなど考慮すると、帯電ロール、クリーニングロール、及び感光体の各周速を完全に等しくすることは極めて困難であり、実際には数%〜10%程度の速度差が発生してしまう。そのため、帯電ロールと感光体、あるいは帯電ロールとクリーニングロールの間で、感光体や帯電ロールの表面に付着した汚染物を引き伸ばすような「せん断力」が働き、いわゆるフィルミング(汚染物の薄層状付着)が発生しやすくなる。また、各ロールの駆動機構を設けることによるコストアップと、その設置スペースを確保することによる装置の大型化も問題となる。
【0008】
一方、駆動トルクを大きくする方法として、感光体への帯電ロールの押し付け荷重(圧接力)を大きくすることが考えられる。しかし、荷重を大きくしすぎると、保管時などに帯電ロールを変形させてしまうおそれがあるため、この押し付け荷重は、帯電ロールの材質等にもよるが、例えば10N/300mm以下程度に抑えることが望ましい。したがって、この荷重の増加のみで駆動トルクを大きくすることも困難である。
【0009】
また、特に小径のクリーニングロールでは、圧接力による影響で撓みが生じやすくなり、この撓みによって、クリーニング部材の回転軸の端部(支持部)が軸受け部との間にかじりを起こし、局部的に強く接触するようになるため、回転抵抗が増加して帯電ロールに対する従動性が悪くなり、クリーニング性の低下を招く問題がある。また、クリーニングロールから受ける負荷の増加で、感光体に対する帯電ロールの従動性も悪くなるため、帯電不良も発生しやすくなる。
【0010】
本発明は上記事実を考慮して、クリーニングロールによる帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる被帯電体への良好な帯電性能を得ることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、被帯電体に接触又は近接配置され回転して被帯電体を帯電させる帯電ロールと、前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、前記帯電ロールの支持部及び前記クリーニングロールの支持部のうち少なくともクリーニングロールの支持部を回転可能に支持する支持部材と、前記支持部材を前記帯電ロール側へ付勢して前記クリーニングロールを帯電ロールに圧接させる付勢手段と、を有し、前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴としている。
【0012】
本発明では、被帯電体に接触あるいは近接配置された帯電ロールは、回転して被帯電体を帯電させる。また、クリーニングロールはその支持部が支持部材に支持され、支持部材が付勢手段により帯電ロール側へ付勢されて帯電ロールに圧接することにより、回転する帯電ロールに従動回転して帯電ロールをクリーニングする。
【0013】
ここで、クリーニングロールが帯電ロールに圧接することで撓みを生じ、支持部が変位すると、支持部材は支持部が変位するのに追従し傾動する。これにより、支持部が支持部材との間にかじりを起こし、局部的に強く接触することが回避され、回転抵抗の増加が抑えられて帯電ロールに対するクリーニングロールの従動性が良好となり、帯電ロールを良好にクリーニングすることができる。また、クリーニングロールから受ける負荷の増加が抑えられることで帯電ロールの回転性も良好となり、帯電ロールによって被帯電体を良好に帯電性することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、回転する被帯電体に圧接して従動回転することにより被帯電体を帯電させる帯電ロールと、前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、前記帯電ロールの支持部、及び、前記クリーニングロールの支持部をそれぞれ回転可能に支持して帯電ロールとクリーニングロールの相対位置を略一定に保持する支持部材と、前記支持部材を前記被帯電体側へ付勢して前記帯電ロールを被帯電体に圧接させる付勢手段と、を有し、前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴としている。
【0015】
本発明では、帯電ロールとクリーニングロールは、支持部材にそれぞれ回転可能に支持され、帯電ロールにクリーニングロールが圧接した状態で、相対位置が略一定に保持される。そして帯電ロールは、支持部材が付勢手段によって被帯電体側へ付勢されることにより被帯電体に圧接し、被帯電体の回転に伴い従動回転して被帯電体を帯電させるとともに、その回転に伴い従動回転するクリーニング部材によってクリーニングされる。
【0016】
この構成でも、クリーニングロールが帯電ロールに圧接することで撓みを生じ、支持部が変位した場合に、支持部の変位に追従して支持部材が傾動するため、支持部が支持部材に強く接触することはなく、帯電ロールに対するクリーニングロールの従動不良を防止できる。また、クリーニングロールから受ける負荷の増加抑制で、被帯電体に対する帯電ロールの従動不良も防止できる。
【0017】
さらに、帯電ロールが圧接力の影響で撓んだ場合、その支持部と支持部材との間の接触圧の上昇で回転抵抗の増加し、従動性が悪くなるが、この帯電ロールの支持部の変位に対しても支持部材が追従して傾動するため、接触圧の上昇が抑えられ、従動性が良好になる。したがって、クリーニングロールによる帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる被帯電体への良好な帯電性能が得られるようになる。
【0018】
またこのように、帯電ロールとクリーニング部材を共通の支持部材で支持することにより、例えばそれらを別部材で個別に支持するような構成に比べ、支持構造や電圧を印加するための給電構造を簡素化することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の画像形成装置において、前記クリーニングロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線よりも軸方向内側に配置されていることを特徴としている。
【0020】
本発明では、支持部材によって支持するクリーニングロールの支持部を、付勢手段が支持部材に付勢力を作用させる作用線よりも軸方向内側に、すなわち、付勢力が作用する作用点(荷重点)を通りその付勢力の加わる方向に沿った直線よりも軸方向内側に配置することにより、支持部材は、クリーニングロールの撓みによる支持部の変位(傾き)に倣って傾きやすくなる。これにより、特別な傾動機構や電気的手段等を用いることなく、簡単な構成で、支持部材を支持部の変位に追従させて傾動させることができ、クリーニングロール及び帯電ロールの良好な従動性(回転性)を確保することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記帯電ロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線上に配置されていることを特徴としている。
【0022】
本発明では、支持部材によって支持する帯電ロールの支持部を、付勢手段が支持部材に付勢力を作用させる作用線上に、すなわち、付勢力が作用する作用点(荷重点)を通りその付勢力の加わる方向に沿った直線上に配置することにより、この支持部材を介して帯電ロールを被帯電体に圧接させるための圧接力(付勢力)を、帯電ロールに効率よく伝えられるようになる。これにより、被帯電体に対する帯電ロールの圧接状態が軸方向にほぼ均一となって安定するようになり、従動性を更に良好にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像形成装置によれば、クリーニングロールによる帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる被帯電体への良好な帯電性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0025】
(画像形成装置の構成)
図1に示す本実施形態の画像形成装置10は、4サイクル方式のフルカラーレーザプリンタであり、図示のように、装置内には、中央よりもやや右上部に、感光体ドラム12が回転可能に配設されている。この感光体ドラム12としては、例えば、表面にOPC等よりなる感光体層が被覆された導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しないモータにより、矢印方向に沿って所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0026】
感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12の略真下に配置された帯電ロール14によって所定の電位に帯電された後、帯電ロール14の下方に配置された露光装置16によって、レーザービームLBによる画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0027】
この感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器18Y、18M、18C、18Kが周方向に沿って配置された回転式現像器18によって現像され、所定の色のトナー像となる。
【0028】
このとき、感光体ドラム12の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。現像工程では回転式現像器18が回転し、対応する色の現像器18Y、18M、18C、18Kが、感光体ドラム12と対向する現像位置に移動する。
【0029】
例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、感光体ドラム12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。トナー像が形成されるにあたって、感光体ドラム12が回転する回数は、画像のサイズに応じて異なるが、例えば、A4サイズであれば、感光体ドラム12が3回転することによって、1つの画像が形成される。つまり、感光体ドラム12の表面には、感光体ドラム12が3回転するごとに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0030】
感光体ドラム12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム12の外周に中間転写ベルト20が巻き付けられた一次転写位置において、中間転写ベルト20上に互いに重ね合わせた状態で一次転写ロール22によって転写される。
【0031】
この中間転写ベルト20上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、所定のタイミングで給紙される記録用紙24上に、二次転写ロール26によって一括して転写される。
【0032】
一方、記録用紙24は、画像形成装置10の下部に配置された給紙カセット28から、ピックアップロール30によって送り出されるとともに、フィードロール32及びリタードロール34によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、レジストロール36によって中間転写ベルト20上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト20の二次転写位置へと搬送される。
【0033】
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12における回動方向の上流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップインロール38と、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール22と、ラップ位置の下流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップアウトロール40と、二次転写ロール26に中間転写ベルト20を介して当接するバックアップロール42と、中間転写ベルト20のクリーニング装置44に対向する第1のクリーニングバックアップロール46と、第2のクリーニングバックアップロール48と、によって所定の張力で張架されており、所定のプロセススピードで循環移動するように、例えば、感光体ドラム12の回転に伴って従動される。
【0034】
ここで、中間転写ベルト20は、画像形成装置10の小型化を図るため、中間転写ベルト20が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
【0035】
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12と、帯電ロール14と、中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20を張架する複数のロール22、38、40、42、46、48と、中間転写ベルト20用のクリーニング装置44と、後述する感光体ドラム12用のクリーニング装置78と、で一体的に像形成ユニット52を構成している。このため、画像形成装置10の上部カバー54を開き、像形成ユニット52の上部に設けられた把手(図示省略)を手で持ち上げることにより、像形成ユニット52全体を画像形成装置10から取り外し可能となっている。
【0036】
一方、中間転写ベルト20のクリーニング装置44は、第1のクリーニングバックアップロール46によって張架された中間転写ベルト20の表面に当接するように配置されたスクレーパ58と、第2のクリーニングバックアップロール48によって張架された中間転写ベルト20の表面に圧接するように配置されたクリーニングブラシ60とを備え、これらのスクレーパ58やクリーニングブラシ60によって除去された残留トナーや紙粉などは、クリーニング装置44の内部に回収されるようになっている。
【0037】
なお、クリーニング装置44は、揺動軸62を中心にして、図中反時計回り方向に揺動可能に配置されており、最終色のトナー像の二次転写が終了するまでは、中間転写ベルト20の表面から離間した位置に退避するとともに、最終色のトナー像の二次転写が終了すると、中間転写ベルト20の表面に当接するように構成されている。
【0038】
さらに、中間転写ベルト20からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱及び加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出トレイ68上にそのまま排出される。
【0039】
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出トレイ68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)にトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録媒体24を排出トレイ68上に排出する。
【0040】
さらに、画像形成装置10には、オプションによって、画像形成装置10の側面に手差しトレイ74が開閉自在に装着可能となっている。この手差しトレイ74上に載置された任意のサイズ及び種類の記録用紙24は、給紙ロール76によって給紙され、搬送ロール73及びレジストロール36を介して、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送されることにより、任意のサイズ及び種類の記録用紙24にも画像を形成することが可能となっている。
【0041】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12が1回転する毎に、感光体ドラム12の斜め下方に配置されたクリーニング装置78のクリーニングブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0042】
図2に示すように、感光体ドラム12の下方部には、感光体ドラム12と接触するように帯電ロール14が配置されている。この帯電ロール14は、導電性のシャフト14Aの周囲に帯電層14Bが形成されたものであり、シャフト14Aが回転可能に支持されている。帯電ロール14の感光体ドラム12と反対側の下方部には、帯電ロール14の表面に接触するロール状のクリーニング部材であるクリーニングロール100が設けられている。このクリーニングロール100は、シャフト100Aの周囲にスポンジ層100Bが形成されたものであり、シャフト100Aが回転可能に支持されている。
【0043】
クリーニングロール100は帯電ロール14に所定の荷重で押圧され、スポンジ層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形してニップ部101を形成している。感光体ドラム12は、図示しないモータによって図2中の時計回り(矢印2の方向)に回転駆動され、感光体ドラム12の回転により帯電ロール14が矢印4の方向に従動回転する。また、帯電ロール14の回転によりロール状のクリーニングロール100が矢印6の方向に従動回転する。
【0044】
クリーニングロール100が従動回転することにより、帯電ロール14の表面に付着したトナーや外添剤などの汚れ(異物)がクリーニングロール100によってクリーニングされる。そしてこの異物がクリーニングロール100の発泡体のセル内に取り込まれ、セル内に回収された異物が凝集して適度な大きさになると、クリーニングロール100から帯電ロール14を介して感光体ドラム12に戻され、感光体ドラム12をクリーニングするクリーニング装置78に回収されることで、クリーニング性能の維持継続がなされていると考えられている。
【0045】
(帯電ロール及びクリーニングロールの構成)
ここで、本実施形態の帯電ロール(BCR)14とクリーニングロール100について説明する。
【0046】
帯電ロール14は、上述したように、感光体ドラム12の表面に接触して配設され、直流電圧あるいは直流電圧に交流電圧を印加されて、感光体ドラム12表面を帯電させるものである。また、その形状としては、シャフト14Aを構成する芯材の周囲に、帯電層14Bを構成する抵抗弾性層を設けたロール形状であり、抵抗弾性層を、外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層の順に分割した構成とすることも可能である。さらに帯電ロール14の耐久性や耐汚染性の付与のために、必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
【0047】
以下、芯材に弾性層、抵抗層、保護層を設けた場合について、より詳細に説明を行う。
【0048】
芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、金属以外の材料でも、導電性と適度の剛性を有する材料であれば用いることができ、例えば導電性粒子等を分散した樹脂成形品や、セラミックス等を用いることもできる。また、ロール形状のほか、中空のパイプ形状とすることも可能である。
【0049】
弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般には樹脂材あるいはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。樹脂材料としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂などが用いられ、ゴム材料としてはエチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴムなど、または、それらを発泡させた発泡材が用いられる。
【0050】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO-Al2O3、SnO2-Sb2O3、In2O3-SnO2、ZnO-TiO2、MgO-Al2O3、FeO-TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物や、第4級アンモニウム塩等のイオン性化合物等を用いることができ、これらの材料を単独あるいは2種以上混合して用いても良い。更に必要に応じてタルク、アルミナ、シリカ等の無機充填材、フッ素樹脂やシリコンゴムの微粉等の有機充填材の1種または2種以上を混合しても良い。
【0051】
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては10^3〜10^14Ωcm、好ましくは10^5〜10^12Ωcm、さらに好ましくは10^7〜10^12Ωcmがよい。また膜厚としては0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.5〜100μmがよい。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が用いられる。
【0052】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物や、イオン導電性を発現する第4級アンモニウム塩等のイオン性化合物等の1種または2種以上が混合される。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン、タルク、シリカ、アルミナ等の無機充填剤や、フッ素樹脂やシリコン樹脂の微粉等の有機充填材や、シリコーンオイル等の潤滑剤などの、1種または2種以上を添加することができる。また更に界面活性剤や帯電制御剤等が必要に応じて添加される。
【0053】
また、これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0054】
クリーニングロール100は、シャフト100Aを構成する芯材と、この芯材の周面に形成されるスポンジ層100Bを構成する多孔質弾性層から形成され、上述したように、帯電ロール14の表面に接触して配設されている。
【0055】
芯材の材質としては、多孔質弾性層を支持し、帯電ロール14へ適度の圧接力で以って接触状態を維持できる程度の剛性を有するものが用いられ、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等などの金属の他、樹脂成形品、セラミックス等や、これらに導電性粒子等を分散させたものや、無機フィラーを分散させたものを用いることができる。また、ロール形状のほか、中空のパイプ形状とすることも可能である。
【0056】
多孔質弾性層は、所定のセル密度で形成されたロール状のスポンジであり、例えばエーテル系ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリオレフィンフォーム、メラミンフォーム、マイクロポリマー等を用いることができる。
【0057】
ポリウレタンフォームを例にとり、製造方法について簡単に説明すると、ポリオール、イソシアネート、水、触媒(アミン触媒、金属触媒など)および整泡剤(界面活性剤)を用いて製造され、また、用途によっては顔料などの添加剤が用いられる。そして、これら原料を混合・攪拌すると化学反応が起き、ウレタン樹脂の発泡体を得ることができる。
【0058】
(支持構造の構成)
次に、本実施形態に係る帯電ロール14及びクリーニングロール100の支持構造について詳細に説明する。
【0059】
図3に示すように、本実施形態では、帯電ロール14とクリーニングロール100が一対の軸受け部材110を介して単一のフレーム120に組み付けられフレーム120内に収容されており、さらに感光体ドラム12もこのフレーム120に組み付けられ、それらがユニット化されている。
【0060】
図4に示すように、一つの軸受け部材110は、直方体状(ブロック状)に形成され単一構成とされている。この軸受け部材110は、高剛性、高摺動性で耐摩耗性に優れたポリアセタールやポリカーボネート等の合成樹脂材料で形成されている。また、耐摩耗性を更に高めるために、上記の合成樹脂材料にガラス繊維やカーボン繊維等を含有させるようにしてもよい。
【0061】
軸受け部材110には、長手方向(図4の上下方向)に沿って所定の間隔で配置された2つの軸受け孔112、114が形成されている。一方の軸受け孔112には、帯電ロール14のシャフト14A端部に設けられた支持部14aが回転自在に挿入され、他方の軸受け孔114には、クリーニングロール100のシャフト100A端部に設けられた支持部100aが回転自在に挿入されている。
【0062】
この一対の軸受け部材110に、シャフト14Aの両端の支持部14aが軸支された帯電ロール14と、シャフト100Aの両端の支持部100aが軸支されたクリーニングロール100とは、前述したように、クリーニングロール100が帯電ロール14に所定の荷重で押圧され、スポンジ層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形しニップ部101を形成した状態で(図2参照)、軸間距離が一定とされ、圧接方向の相対距離が一定に保たれている。さらに、圧接方向と直交する方向(接触部(ニップ部101)の略接線方向)の位置関係も一定とされて、相対位置が一定に保たれており、これによってニップ幅が一定とされている。
【0063】
図3に示すように、フレーム120は、本体部122における帯電ロール14及びクリーニングロール100の軸方向に沿った両端部(図3の左右の側端部)に、上記の一対の軸受け部材110が取り付けられる一対の取付部124が一体的に設けられている。
【0064】
取付部124には、取付部124の延出方向に沿ったガイド溝126が形成されている。軸受け部材110は、このガイド溝126にはめ入れられてその先端側に配置されており、ガイド溝126にガイドされて取付部124の延出方向(感光体ドラム12に対し接離する方向)に沿って摺動可能とされている。また、ガイド溝126と軸受け部材110との間には、帯電ロール14及びクリーニングロール100の軸方向に沿って所定の隙間が設けられており、これにより、軸受け部材110は、ガイド溝126内で摺動方向に対し傾くことができるようにされている。
【0065】
一対の取付部124の外側面側は厚肉とされて先端側が延出されており、その先端部に、感光体ドラム12を軸支する一対の軸受け部132が設けられている。この一対の軸受け部132には、軸受け孔134が同軸的に形成されており、感光体ドラム12は、シャフト12Aの端部に設けられた支持部12aが各軸受け孔134に回転自在に挿通されて、帯電ロール14及びクリーニングロール100とともにフレーム120に組み付けられている。
【0066】
また、ガイド溝126内の基端側には、軸受け部材110を感光体ドラム12側へ付勢する圧縮コイルばね128が設けられている。この圧縮コイルばね128のばね力で、軸受け部材110が感光体ドラム12側へ付勢され(矢印8の方向)、帯電ロール14は感光体ドラム12に圧接している。
【0067】
また本実施形態では、軸受け部材110に支持されたクリーニングロール100の支持部100aは、圧縮コイルばね128が軸受け部材110にばね力を作用させる作用線Lよりも軸方向内側に、すなわち、ばね力が作用する作用点(荷重点P)を通りそのばね力の加わる方向に沿った直線よりも軸方向内側に配置されている。さらに、軸受け部材110に支持された帯電ロール14の支持部14aは、上記の作用線L上に、すなわち、圧縮コイルばね128のばね力が作用する作用点(荷重点P)を通りそのばね力の加わる方向に沿った直線上に配置されている。
【0068】
これにより、感光体ドラム12が回転すると、感光体ドラム12の回転に伴って帯電ロール14が従動回転し感光体ドラム12を帯電させ、さらに帯電ロール14の回転に伴ってクリーニングロール100が従動回転し帯電ロール14をクリーニングする。
【0069】
次に、本実施形態の作用について図5〜図7を参照して説明する。
【0070】
図5(A)は、感光体ドラム12と帯電ロール14の間、及び、帯電ロール14とクリーニングロール100の間に作用する駆動トルクと回転負荷の概要を示したものである。
【0071】
図5(A)に示すように、帯電ロール(BCR)14は、感光体ドラム12から搬送力を受け、自身の転がり抵抗や軸摺動抵抗による回転負荷を受ける。さらに、クリーニングロール(CLN−R)100から回転負荷を受けるが、これにはクリーニングロール100の転がり抵抗と、クリーニングロール100の軸摺動抵抗が含まれる。なお、これらの他にも回転負荷を形成する力が存在するが、それらについては省略した。
【0072】
上述の搬送力は、感光体ドラム12と帯電ロール14の摩擦力に依存するため、帯電ロール14及びクリーニングロール100を感光体ドラム12に圧接するばね荷重に大きく依存する。一方、このばね荷重が変わると、軸受け部材110にかかる荷重が変わり摺動抵抗が変化するので、回転負荷もばね荷重依存性を持つ。そのため、搬送力、回転負荷のばね荷重依存性は図5(B)に示すようになり、搬送力が回転負荷を超えるばね荷重以上の領域において、帯電ロール14及びクリーニングロール100は安定した従動回転をすることがわかる。
【0073】
この軸受け部材110にかかる荷重について、図6を用いて説明する。図6は、感光体ドラム12、帯電ロール14、及びクリーニングロール100の各々にかかる力を示したものである。
【0074】
帯電ロール14とクリーニングロール100について、それぞれ釣り合いの式は、図6に示すようになり、さらに帯電ロール14とクリーニングロール100、並びに軸受け部材110を一体とみなしたときの釣り合いの式も図6に示した。
【0075】
これら3つの釣り合いの式より、帯電ロール14の軸受け部(軸受け孔112)と、クリーニングロール100の軸受け部(軸受け孔114)にかかる荷重をそれぞれ求めると、クリーニングロール100の軸受け部は、クリーニングロール100と帯電ロール14のニップ荷重がそのまま掛かるのに対して、帯電ロール14の軸受け部には、感光体ドラム12と帯電ロール14のニップ荷重、及び、クリーニングロール100と帯電ロール14のニップ荷重の差分しか掛からないことがわかる。したがって、帯電ロール14の軸受けの摺動抵抗に比べて、クリーニングロール100の摺動抵抗の方が著しく大きいことになり、従動性を考えるにあたっては、このクリーニングロール100の摺動抵抗について十分に配慮することが必要である。
【0076】
また、この軸受け荷重のかかり方に対する考察より、帯電ロール14が、クリーニングロール100及び感光体ドラム12により等分布荷重に近い状態で圧接力を得ているの対して、クリーニングロール100は両端支持で荷重を受けており、撓みやすいこともわかる。
【0077】
一方、感光体ドラム12と帯電ロール14、及び、帯電ロール14とクリーニングロール100の間の接触状態を、良好かつ均一ニップに保つためには、両ロールとも、ある程度の厚み、例えば2〜3mm程度の弾性層が必要になる。外径≦φ12程度の小径とするためには、芯金の径としては、φ4〜6程度以下のものを使用しなければならないが、このような細い芯金、例えばφ4程度の芯金で、軸方向長さが300mm程度の場合、10N程度の荷重で圧接すると、SUS303のようなステンレス合金を用いてもクリーニングロール100側は中央部で0.5mm程度撓みを生じることもある。
【0078】
このように芯金(シャフト100A)が撓んでしまうと、図7(B)に示すように、クリーニングロール100の軸受け部(軸受け孔114)において、芯金がかじり状態となるため、摺動抵抗が著しく上昇することになる。なお、このケースでは、図7(A)に示すように、軸受け部材110Aに掛かる力の主要な成分であるばね荷重とクリーニングロール軸荷重が、略同一線上に作用するため、軸受けを傾けるような力は抑制される(帯電ロール軸荷重は、両者に比較して小さい)。
【0079】
これに対して、荷重点と軸受け面の位置関係を図7(C)のようにとると、ばね荷重とクリーニングロール軸荷重が離れた点に作用するため、軸受け部材110Bを芯金の撓み方向に曲げる偶力が生じ、軸受け部材110Bを適度に傾けることができる。これにより、芯金(支持部100a)と軸受け面115が略一致するので、上述した芯金のかじりが抑制され、摺動抵抗の上昇を防止することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態では、クリーニングロール100が帯電ロール14に圧接することで撓みを生じ、シャフト100Aの支持部100aが変位した場合に、支持部100aの変位に追従して軸受け部材110が傾くため、支持部100aが軸受け孔114との間にかじりを起こし、局部的に強く接触することが回避される。これにより、回転抵抗の増加が抑えられて帯電ロール14に対するクリーニングロール100の従動不良を防止できる。また、クリーニングロール100から受ける負荷の増加抑制で、感光体ドラム12に対する帯電ロール14の従動不良も防止できる。
【0081】
さらに、帯電ロール14が圧接力の影響で撓んだ場合、シャフト14Aの支持部14aと軸受け孔112との間の接触圧の上昇で回転抵抗の増加し、従動性が悪くなるが、この帯電ロール14の支持部14aの変位に対しても軸受け部材110が追従して傾動するため、接触圧の上昇が抑えられ、従動性が良好になる。したがって、クリーニングロール100による帯電ロール14の良好なクリーニング性能と、帯電ロール14による感光体ドラム12への良好な帯電性能が得られるようになる。
【0082】
またこのように、帯電ロール14とクリーニングロール100を共通の軸受け部材110で支持することにより、例えばそれらを別部材で個別に支持するような構成に比べ、支持構造や電圧を印加するための給電構造を簡素化することができる。
【0083】
また、軸受け部材110によって支持するクリーニングロール100の支持部100aを、圧縮コイルばね128が軸受け部材110にばね力を作用させる作用線Lよりも軸方向内側に配置していることにより、軸受け部材110は、クリーニングロール100の撓みによる支持部100aの変位(傾き)に倣って傾きやすくなる。これにより、特別な傾動機構や電気的手段等を用いることなく、簡単な構成で、軸受け部材110を支持部100aの変位に追従させて傾かせることができ、クリーニングロール100及び帯電ロール14の良好な従動性を確保することができる。
【0084】
また、軸受け部材110によって支持する帯電ロール14の支持部14aを、上記の作用線L上に配置していることにより、この軸受け部材110を介して帯電ロール14を感光体ドラム12に圧接させるための圧接力(ばね力)を、帯電ロール14に効率よく伝えられるようになる。これにより、感光体ドラム12に対する帯電ロール14の圧接状態が軸方向にほぼ均一となって安定するようになり、従動性が更に良好になる。
【0085】
(実施例の構成)
以下、実施例で用いた帯電ロール14及びクリーニングロール100について説明する。本実施例で用いた帯電ロール14としては、図8(A)に示すように、シャフト14Aを構成する金属性の芯金に、帯電層14Bを構成する導電弾性層15A、抵抗層15B、表面保護層15Cをこの順に積層した外径12mmのロールを使用した。
【0086】
金属芯金としては、φ8mmのSUS303ステンレス合金を用い、その周囲にエピクロルヒドリンゴムに、カーボンブラック(CB)を含有させた、厚さ2mmの導電弾性層を被覆し、その外周にエピクロルヒドリンゴムにCBとSiO2を含有させた、厚さ0.1mmの抵抗層を被覆した。さらに、最後に表面層として、ナイロン樹脂にCBとSiO2を含有させたコート剤を用いて、厚さ5〜50μmのコート層を形成した。
【0087】
また、本実施例で用いたクリーニングロール100としては、図8(B)に示すように、シャフト100Aを構成する金属性の芯金の周囲に、スポンジ層100Bを構成するポリウレタンフォームを被覆した外径10mmのロールを使用した。
【0088】
金属芯金としては、φ6mmのSUS303ステンレス合金を用いた。またポリウレタンフォームとしては、厚さ2mmで、φ50の円盤状部材を0.5mm押し込むのに必要な荷重が0.8〜1.5N程度になるように硬度を調整したエーテル系ポリウレタンを用いた。
【0089】
(従動性の評価方法)
以下に、従動性の評価方法について説明する。φ30の感光体ドラム12と、本実施例の帯電ロール14及びクリーニングロール100を図9に示すように配置した。クリーニングロール100と帯電ロール14の食込み量は回転負荷へ寄与するが、本実施例では0.75mmに固定している。また、温度により感光体ドラム/帯電ロール/クリーニングロールの接触状態が変わり、摩擦力が変化するので、一定気温のもとでテストを行った。また、軸受け部材110等に用いている合成樹脂は、寸法の温度変化があるので、軸受け部(軸受け孔112、114)の内径が小さくなり、摺動抵抗が高くなる低温環境(10℃)にて測定を行った。
【0090】
従動性能の評価としては、感光体を周速度165mm/sで回転駆動したときの、帯電ロールの周速度を、帯電ロールの圧接ばね荷重を変えながら測定することで行った。周速度の測定は、帯電ロール表面に5mm角程度の反射部材を貼付し、日置電機(株)製の非接触型回転計(ハイタコメータ 3403)を用いて、帯電ロールの単位時間当たりの回転数を測定することで行った。
【0091】
(従動性の評価結果)
図10(A)、(B)に示す比較例と、図11(A)、(B)に示す実施例について、従動性の評価を行った。図12に示すとおり、比較例では、クリーニングロール摺動抵抗による回転が大きく、安定した従動性を得るためには13N程度の荷重が必要であった。これに対して、実施例では回転負荷が低減しており、7.5N程度の荷重で安定した従動性を得ることができた。
【0092】
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
【0093】
例えば、上述の実施形態では、帯電ロール14とクリーニングロール100を共に軸受け部材110で支持することによりそれらを圧接状態とし、軸受け部材110を圧縮コイルばね128で付勢することにより帯電ロール14を感光体ドラム12に圧接させる構成としているが、各ロールの支持構造や圧接構造はこれに限定されるものではなく、感光体ドラム12に接触又は近接配置された帯電ロール14と、帯電ロール14に圧接して従動回転するクリーニングロール100とを、個別の軸受け部材で支持し、個別の付勢手段で付勢し圧接させる構成等にも本発明を適用することができる。
【0094】
また、感光体ドラム12の下方部に帯電ロール14を接触させ、その帯電ロール14の下方部にクリーニングロール100、140を接触させる構成としているが、感光体ドラム12、帯電ロール14、及びクリーニングロール100、140の位置関係はこれに限定されるものではない。例えば、感光体ドラムの上方部に帯電ロールを接触させ、その帯電ロールの上方部にスポンジ部材を接触させる構成等にも本発明を適用することができる。
【0095】
また、本発明を適用する画像形成装置については、上述の実施形態のように、回転式現像器18を用いて感光体ドラム12へのトナー像の形成を4回繰り返して行う4サイクル方式の構成に限定されるものではない。例えば、中間転写ベルトの移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ユニットを並設する構成であっても、各画像形成ユニットの感光体ドラム、帯電ロール、及びスポンジ部材に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に搭載された感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールの構成を示す拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールの支持構造の構成を示す部分断面側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る帯電ロール及びクリーニングロールが軸受け部材に軸支された状態を示すが斜視図である。
【図5】(A)は、感光体ドラム、帯電ロール14、及びクリーニングロールに作用する駆動トルクと回転負荷を説明するための説明図、(B)は、搬送力及び回転負荷のばね荷重依存性を示すグラフ図である。
【図6】感光体ドラム、帯電ロール14、及びクリーニングロールにかかる力を説明するための説明図である。
【図7】(A)〜(C)は、従来の帯電ロール及びスポンジ部材の支持構造に対し、本発明の一実施形態に係る支持構造の改善効果を比較説明するための説明図である。
【図8】(A)は本発明の実施例に係る帯電ロールの断面を示す断面図、(B)は本発明の実施例に係るクリーニングロールの断面を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例に係る感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールの支持構造の構成を示す部分断面側面図である。
【図10】(A)、(B)は本発明の比較例に係る帯電ロール及びクリーニングロールの支持部と軸受け部材の構成を示す部分断面側面図である。
【図11】(A)、(B)は本発明の実施例に係る帯電ロール及びクリーニングロールの支持部と軸受け部材の構成を示す部分断面側面図である。
【図12】図10に示した比較例の支持構造と、図11に示した本発明の実施例に係る支持構造の従動性の評価結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0097】
10 画像形成装置
12 感光体ドラム(被帯電体)
14 帯電ロール
14A シャフト
14a 支持部
100 クリーニングロール
100A シャフト
100a 支持部
100B スポンジ層
110 軸受け部材(支持部材)
112 軸受け孔
114 軸受け孔
128 圧縮コイルばね(付勢手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被帯電体に接触又は近接配置され回転して被帯電体を帯電させる帯電ロールと、
前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、
前記帯電ロールの支持部及び前記クリーニングロールの支持部のうち少なくともクリーニングロールの支持部を回転可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を前記帯電ロール側へ付勢して前記クリーニングロールを帯電ロールに圧接させる付勢手段と、
を有し、
前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転する被帯電体に圧接して従動回転することにより被帯電体を帯電させる帯電ロールと、
前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、
前記帯電ロールの支持部、及び、前記クリーニングロールの支持部をそれぞれ回転可能に支持して帯電ロールとクリーニングロールの相対位置を略一定に保持する支持部材と、
前記支持部材を前記被帯電体側へ付勢して前記帯電ロールを被帯電体に圧接させる付勢手段と、
を有し、
前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニングロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線よりも軸方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電ロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線上に配置されていることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項1】
被帯電体に接触又は近接配置され回転して被帯電体を帯電させる帯電ロールと、
前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、
前記帯電ロールの支持部及び前記クリーニングロールの支持部のうち少なくともクリーニングロールの支持部を回転可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を前記帯電ロール側へ付勢して前記クリーニングロールを帯電ロールに圧接させる付勢手段と、
を有し、
前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転する被帯電体に圧接して従動回転することにより被帯電体を帯電させる帯電ロールと、
前記帯電ロールに圧接して従動回転することにより帯電ロールをクリーニングするクリーニングロールと、
前記帯電ロールの支持部、及び、前記クリーニングロールの支持部をそれぞれ回転可能に支持して帯電ロールとクリーニングロールの相対位置を略一定に保持する支持部材と、
前記支持部材を前記被帯電体側へ付勢して前記帯電ロールを被帯電体に圧接させる付勢手段と、
を有し、
前記支持部材は、前記帯電ロールへの圧接による前記クリーニングロールの撓みで前記支持部が変位するのに追従し傾動可能とされていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニングロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線よりも軸方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電ロールの支持部は、前記付勢手段が前記支持部材に付勢力を作用させる作用線上に配置されていることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−133065(P2007−133065A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324550(P2005−324550)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]