説明

画像形成装置

【課題】 複数のユーザーからのプリントジョブで混み合っている場合や、処理時間がかるプリントジョブを送信した場合、ユーザーが出力までの待ち時間を確認するためには、最近の高機能化された画像形成装置では、階層化された操作部の表示を操作する必要があり、直ぐにユーザーが出力までの待ち時間がわからずにイライラすることがある。
【解決手段】 ネットワークに接続された画像形成装置であり、画像形成装置にプリントジョブを送信したユーザーであることを認証し、認識されたユーザーが送信したプリントジョブ終了までの待ち時間を計算通知することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、RF−ID素子を用いて、プリントジョブを送信したユーザーが近づくだけで、ユーザーを特定し管理するものがある(例えば、特許文献1参照。)。また各ジョブの処理時間を計算し、プリント終了までの待ち時間を表示するものがある(例えば、特許文献2参照。)。個人を識別する手段に関しては、上記以外に様々なものがありここでは説明を省略する。
【0003】
以下、従来の画像形成装置について説明する。
【0004】
図8において、ネットワークを通じてホストコンピュータ64に接続された画像形成装置61に画像形成命令を送る画像形成指示装置(不図示)にIDカード69の所持者67が近づくことで、そのIDカード69に内蔵されているRF−ID素子66が記憶するIDコードがRF通信装置68に読み取られるようにする。この状態で画像形成指示装置より画像形成装置61に画像形成命令を送ると、画像形成動作が実行され、計数手段によって画像形成枚数が計数されるようにする。そして、計数された画像形成枚数を、RF通信装置68が読み取った個人IDコードに対して所定の関係を有するIDコードに対応させて、枚数ファイルに記憶保存する。これにより、キーカウンタやキーカード等を用意することなく、また、特別な操作なしに、画像形成枚数が管理される。
【0005】
図9において、原稿送り装置72で送られた原稿がスキャナ部73で読み取られ、メイン処理部74内のイメージ処理部76で処理され、かつ操作表示部71でプログラムされたジョブファイル77が、またはネットワーククライアントからネットワークを通じて送られてくるジョブがメインプロセッサ部78で処理され、プリント待ち行列79に追加されると、当該ジョブのプログラム条件や原稿イメージページ数情報、各ページのデータ圧縮率情報から、そのジョブのプリントにかかるジョブ処理時間とジョブ終了時間がメインプロセッサ部78で計算される。ジョブがプリント待ち行列79からプリント出力部75に送られると、プリントプロセッサ部80はプリント待ち行列79内のジョブのプリント終了時間をアップデートする。これらの計算結果から各ジョブのプリント終了までの待ち時間が表示部71に表示される。
【特許文献1】特開2000−298558号公報
【特許文献2】特開平7−76155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、複数のユーザーからのプリントジョブで混み合っている場合や、処理時間がかるプリントジョブを送信した場合に、ユーザーが出力までの待ち時間を確認するためには、最近の高機能化された画像形成装置では、階層化された操作部の表示を操作する必要があり、結局直ぐにユーザーが出力までの待ち時間がわからずにイライラすることがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明においては、ネットワークに接続された画像形成装置であり、プリントジョブを送信したユーザーを認証する認証手段と、画像形成装置に認証手段を認識する認識手段と、任意のプリントジョブ終了予定時間を算出する計算手段と、プリントジョブ終了までの待ち時間をユーザーに通知する手段と、から構成され、認識手段により認識されたユーザーが送信したプリントジョブ終了までの待ち時間を通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の技術に比べてユーザー本人が送信したプリントジョブのみ表示するため煩雑な操作をすることなく、視認性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施例)
本発明を適用した第1の実施例について図1〜6を用いて説明する。
【0010】
図1において、画像形成装置1は原稿送り装置2、用紙カセット10、画像形成部4、排紙トレイ5などから構成される。
【0011】
まず複数部のコピーをとるコピー動作の場合を説明する。原稿送り装置2の原稿トレイ6にオペレータ7が原稿をセットし、操作部13に配置されたテンキー15より部数を入力し、表示部14に表示されたコピー動作内容を確認後、スタートーキー16を押すと、原稿読取装置3により原稿読取動作が開始される。一方用紙カセット10から給紙された用紙は、搬送ローラにより画像形成部4に送り込まれ、ここで用紙上に読み取ったトナー像が形成され、排紙トレイ5上に出力される。
【0012】
プリンタ動作の場合は、上述の原稿読取動作の代わりに、ホストコンピュータ20にLAN接続されたPC19からオペレータ7が操作することで送信された画像データを用紙上に画像形成し、同様に排紙トレイ5上に出力される。
【0013】
次に原稿読取装置3から読込まれ、またはホストコンピュータ20より送られてきたジョブの画像データは、画像形成装置1の制御部11に制御され、制御部11と接続されたハードディスク等の記憶手段内のプリント待ち行列に一旦格納され、画像形成が可能な状態になり次第画像形成を開始する。さらに制御部11内にジョブ時間を計算するための演算部とシステムクロックがあり、所定のタイミングまたは間隔でジョブ時間計算ルーチンが起動する。
【0014】
このジョブ時間計算ルーチンのしくみを図5のフローチャートを用いて説明する。プリント終了時刻の指定の有無、イメージ操作情報などのプログラムパラメータの抽出および解析が行われ(S41)、また圧縮やフォーマット変換情報などのイメージ情報の抽出および解析を行う(S42)。そして、プリントプロセッサ部での処理時間などのプリント前処理時間(1)を計算する(S43)。続いてプリント出力部でのプリント時間(2)を計算する(S44)。さらにプリント出力部での打針、簡易製本などのプリント後処理時間(3)を計算する(S45)。これらの計算結果からジョブ時間(t=(1)+(2)+(3))を計算する(S46)。この結果に基づいて各々のジョブに対するジョブ終了時間が制御部11内のレジスト領域に一時記憶される(S47)。
【0015】
次にRFID(Radio Frequency Identification 無線認証)システム、より詳しく説明すると、非接触式のICカードを使い、無線による個人の認証を行うシステムについて説明する。ホストコンピュータ20にLAN接続された画像形成装置1には、通信装置9が内蔵されている。またオペレータ7が身に付けているIDカード8にはICチップ12が内蔵されており、このチップの中に個人のIDが記憶されている。そして、これら通信装置9とICチップ12が通信をおこなうことにより、個人の認証がおこなわれる。RFIDの通信距離可能な距離は接触〜数メートルと様々であるが、本実施例の場合は2メートル程度としておく。
【0016】
さらにIDカード8の内部について図2を用いて詳しく説明する。IDカード8はデータを記憶するEEPROMやCPU、RAM等を備えたICチップ12の他に、通信をおこなうためのアンテナ17が備えられている。つまり、通信装置9からの電波をアンテナ17で受けて、ICチップ12で制御し、その結果を通信装置9へ送信する。
【0017】
この無線認証システムを用いてオペレータ7を認識するしくみを図6のフローチャートを用いて説明する。画像形成装置1に内蔵された通信装置9は、このIDカード8に対してIDの読み出しコマンドを送信する(S51)。この状態でIDカード8を身に付けたオペレータ7が出力紙を取るために画像形成装置1に近づいて通信可能な距離の範囲内となると、IDカード8はID読み出しコマンドを受信し(S52)、通信装置9に対してオペレータ7固有のIDコードを送信する(S53)。次に通信装置9はIDコードを受信し(S54)、IDコードを制御部11内のレジスト領域に一時記憶する(S54)。
【0018】
図4は制御部11内で管理されているプリントジョブ待ち状況を示す。図4(a)はジョブAが出力される1分前の状況であり、図4(b)はジョブAが出力された直後の状況である。プリントジョブ待ち状況は、ジョブ名、ジョブの受付時刻、ジョブの待ち時間で構成される。例えば、プリントジョブ待ち状況は制御部11内のシステムクロックにより1分毎に更新され、ジョブAは10時に受付、このジョブAの残りの処理に要する時間は、おおよそ1分待ちであることを示している。そして、ジョブAが出力されると、図4(b)に変わる。
【0019】
次にオペレータ7が無線認証システムの通信可能な距離の範囲内に近づき、IDコードを認識した後の表示部13の表示内容を図3を用いて説明する。前述のプリントジョブ待ち状況から、オペレータ7が操作したジョブを抽出し、オペレータ7のみが操作したジョブ名や処理受付時間、待ち時間等を一覧にしたリストを表示する。リストに表示するジョブ数は、あらかじめ設定されたジョブ数の上限または所定時間以内のもの、オペレータ7がクリア操作した以降のものが表示される。また上記実施例では、操作部13上に表示部14を備えた構成で説明したが、表示部がない場合、音声で最終ジョブのみ案内する構成でも良い。さらにまたジョブを操作したオペレータ7のPC19へオペレータ7のみが操作したジョブの一覧を送信する構成でも良い。
【0020】
(第2の実施例)
本発明を適用した第2の実施例を、図7に基づいて説明する。
【0021】
第1の実施例と同一構成のものに関しては、同一符号を付けて、説明を省略する。
【0022】
無線認証システムによりオペレータを認識する第1の実施例に対して、第2の実施例を示す図6では、オペレータを認識するために、画像形成装置1に配置または接続され、IDカード8を挿入することでIDカード8のIDコードを読み取る手段であるIDカードリーダー18を用いる。また図2に示す操作部13に配置されたテンキー15よりIDコードをオペレータ7が入力することでも良い。読み取りまたは入力されたIDコードは第1の実施例と同様に制御部11内のレジスト領域に一時記憶される。さらにオペレータ7への通知方法は、第1の実施例と同様である。
【0023】
以上の様に、本発明は、従来の技術に比べてユーザー本人が送信したプリントジョブのみ表示するため煩雑な操作をすることなく、視認性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施例を示すシステムの概要を説明する模式図である。
【図2】IDカードを説明する模式図である。
【図3】操作部の概要を説明する模式図である。
【図4】制御部内のプリントジョブ待ち状況を説明する表である。
【図5】ジョブ時間計算ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】無線認証システムを用いてオペレータを認証する処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例を示すシステムの概要を説明する模式図である。
【図8】従来の技術である特許文献1を示す図である。
【図9】従来の技術である特許文献2を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 画像形成装置
2 原稿送り装置
3 原稿読取装置
4 画像形成部
5 排紙トレイ
6 原稿トレイ
7 オペレータ
8 IDカード
9 通信装置
10 用紙カセット
11 制御部
12 ICチップ
13 操作部
14 表示部
15 テンキー
16 スタートキー
17 アンテナ
18 IDカードリーダー
19 PC
20 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された画像形成装置であり、プリントジョブを送信したユーザーを認証する認証手段と、画像形成装置に認証手段を認識する認識手段と、任意のプリントジョブ終了予定時間を算出する計算手段と、プリントジョブ終了までの待ち時間をユーザーに通知する手段と、から構成され、認識手段により認識されたユーザーが送信したプリントジョブ終了までの待ち時間を通知することを特徴とした画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置が認証手段を認識するために、無線通信を利用した無線通信認識手段または登録された認証手段を直接読み取る読取認識手段、認証手段を入力する入力認識手段のいずれかの認識手段を備えたことを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
プリントジョブ終了までの待ち時間を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1ないし2の画像形成装置。
【請求項4】
プリントジョブ終了までの待ち時間を通知する手段が音声で案内することを特徴とする請求項1ないし2、3の画像形成装置。
【請求項5】
ネットワークに接続された画像形成装置であり、プリントジョブを送信したユーザーを認証する認証手段と、プリントジョブ終了予定時間を算出する演算手段と、から構成され、プリントジョブを送信したユーザーに対して、プリントジョブ終了までの待ち時間をネットワークを介して通知することを特徴とした画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−44917(P2007−44917A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229715(P2005−229715)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】