画像形成装置
【課題】 ICタグに情報が書き込まれていない記録媒体が、誤使用されてしまうのを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 用紙搬送中にICタグに書き込んだ内容を確かめて、書き込んだ内容にエラーがあった場合は、エラー処理を実行し、通常と区別する処理が行われる。このような処理を行うことで、排紙トレイ26に排出された用紙が、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙か否かをユーザが認識することができる。よって、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙が誤使用されてしまうのを抑制することができる。
【解決手段】 用紙搬送中にICタグに書き込んだ内容を確かめて、書き込んだ内容にエラーがあった場合は、エラー処理を実行し、通常と区別する処理が行われる。このような処理を行うことで、排紙トレイ26に排出された用紙が、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙か否かをユーザが認識することができる。よって、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙が誤使用されてしまうのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶手段を備えた記録媒体に画像を形成するとともに、情報記憶手段への情報の書き込みおよび情報記憶手段から情報の読み出しを行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バーコードに代わる商品識別・管理技術として、ICタグから、情報を無線によってやりとりする技術(RFID(Radio Frequency Identification))が注目されている。RFIDは、データの書き込みや追記が可能である点や、データが読み取られるICタグが汚れたり、物陰に隠れていたりしても、データを読み取れる点が特徴点として挙げられ、バーコードを用いた識別システムにない利点を得ることができる。RFID技術を用いた識別システムは、ICタグを備えた記録媒体たる用紙を用い、用紙に情報画像を印刷し、ICタグに電子情報を書き込んで、人が見ても情報が認識でき、機械でも情報が認識できるようにしている。近年、プリンタなどの画像形成装置にICタグに電子情報を書き込む機能を搭載し、用紙への情報画像の印刷と、ICタグへの情報の書き込みとを一括して行うものが提案されている(例えば、特許文献1〜2)。これにより、人が見ても情報が認識でき、機械でも情報が認識できるようにした用紙を画像形成装置で作製することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−300356号公報
【特許文献2】特開2002−337426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
用紙のICタグが破損していたりすると、ICタグへ電子情報が書き込まれない場合がある。このような場合、ICタグへ電子情報が書き込まれずに用紙に情報画像が印刷されるだけで画像形成装置から排出される。この画像形成装置から排出された用紙は、見た目にはICタグに電子情報が書き込まれた用紙と区別することができない。このため、ICタグに電子情報が書き込まれていない用紙が、誤って識別システムなどに使用されてしまい、この用紙の電子情報を機械で認識することができない不具合を生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、情報記憶手段に情報が書き込まれていない記録媒体が、誤使用されてしまうのを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、情報記憶手段を備えた記録媒体の表面に画像を形成する画像形成手段と、該記録媒体に備えられた情報記憶手段に情報の書込および該情報記憶手段から情報の読み出しを行う書込/読取手段とを備えた画像形成装置において、上記情報記憶手段に情報を書き込んだ後、該情報記憶手段に書き込んだ情報を該情報記憶手段から読出し、該情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知する検知手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記情報記憶手段に情報を書き込んだ情報が正常でない場合、エラー処理を実行するエラー処理実行手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記エラー処理実行手段は、正常な情報が書き込まれていない情報記憶手段を備えた記録媒体に、所定の画像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、記録媒体に画像を形成する前に、上記検知手段で情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、上記情報記憶手段として、ICタグを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、上記情報記憶手段と通信を行う通信手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、記録媒体を反転するための反転台と、反転経路とを備え、記録媒体を一旦反転台に排出し、搬送方向をスイッチバックさせて反転経路へと搬送するものであって、上記通信手段は、該反転台と対向する位置に設けることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、画像が形成された記録媒体が排出される排紙トレイを、上記反転台として用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、記録媒体に画像を形成する方式を、インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット方式としたことを特徴とした画像形成装置。
また、請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、上記インクとして、顔料系インクを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1乃至10の発明によれば、情報記憶手段に情報を書き込んだ後、情報記憶手段に書き込んだ情報を情報記憶手段から読み出し、情報が正常か否かを検知することで、情報記憶手段に情報が正常に書き込まれたか否かがわかる。よって、情報記憶手段に情報が正常に書き込まれていないとき、通常時と異なる処理を実行すれば、ユーザは、排出された記録媒体の情報記憶手段に正しい情報が書き込まれてないことを認識することができる。よって、情報記憶手段に正しい情報が書き込まれていない記録媒体が使用されてしまうのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像記録装置の一実施形態として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ)について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、プリンタ本体の外観図であり、図2は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。このプリンタ100は、図1に示すように、記録媒体たる用紙が積層されて収容された記録媒体積載部たる給紙トレイ18と画像が記録(形成)された用紙をストックするための記録媒体積載部たる排紙トレイ26とがそれぞれ装置本体から着脱可能に装着されている。そして、プリンタ100の上面は略平坦な面で、開閉可能な上カバー101を有しており、装置手前側には上面に対して斜め後方に傾斜した前カバー102が備えられている。この傾斜した前カバー102の下方に、排紙トレイ26および給紙トレイ18を備えている。さらに、装置の手前側には、インクカートリッジ装填部105を有し、このインクカートリッジ装填部105の上面に操作キーや表示器などの操作部104を配置している。このインクカートリッジ装填部105にはインクカートリッジの脱着を行うための開閉可能なドア103を有している。
【0009】
また、図2に示すように、このプリンタ100は、図示しない駆動手段により用紙の搬送方向に対して横切る方向(主走査線方向)に移動可能に保持されたキャリッジ9を備えた印字機構部23を有している。また、プリンタ100は、印字機構部23と対向する位置を経由して給紙トレイ18の用紙を排紙トレイ26に搬送する搬送部21を備えている。
【0010】
印字機構部23のキャリッジ9には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)色のそれぞれインク液を用紙に吐出する吐出口を備えた記録部としてのヘッド13がそれぞれ設けられている。
搬送部21は、多数の用紙を積載した給紙トレイ18、給紙トレイ18内の用紙を搬送ローラ10へ送り出す給紙ローラ19、給紙トレイ18内の複数の用紙のうち一枚だけを搬送ローラ10に送り出すための分離パッド20、給紙トレイ18から給紙された用紙を案内する給紙ガイド27を備えている。搬送ローラ10は、テンションローラ11とで搬送部材としての搬送ベルト12を張架している。搬送ベルト12は、搬送された用紙をヘッド13との対向位置に搬送する。搬送ローラ10は、図示しない駆動手段によって図中の時計周りに回転しており、これにより搬送ベルト12が図示Aの方向に無端移動する。また、搬送部21は、用紙を搬送ローラ10に押し付ける加圧ローラ16、用紙を案内する案内ガイド22、搬送ベルト12表面を帯電させる帯電ローラ15を有している。ヘッド13と対向する位置には、搬送ベルト12をガイドする搬送ガイド板14が搬送ベルト12の内周面側に設けられている。また、搬送部21は、画像が記録された用紙を搬送ベルト12から分離する分離爪17と、排紙トレイ26に排出するための排紙ローラ25および断面星型形状の拍車24を備えている。本実施形態のプリンタ1には、用紙を反転させる反転機構30が設けられており、用紙の両面にプリントができるようにしている。
【0011】
次に、本実施形態のプリンタ100のプリント動作について説明する。
図3は、パーソナルコンピュータ110に通信ケーブル120を介して接続された本インクジェットプリンタ100の外観図である。
本インクジェットプリンタ100は、パーソナルコンピュータ110から通信ケーブル120を介して画像情報である印字データが送られ、プリントを実行する。まず、先の図2に示すように、給紙トレイ18から給紙ローラ19によって搬送ローラ10へ用紙が給紙される。給紙トレイ18から給紙された用紙は、ガイド部材22や加圧ローラ16に案内されて、搬送ベルト12に搬送される。搬送ベルト12の表面は帯電ローラ15により帯電させられており、用紙を静電的に搬送ベルト12に吸着させる。搬送ベルト12に搬送された用紙がヘッド13と対向する位置に達したら、搬送ベルト12を停止して用紙の移動を停止する。そして、キャリッジ9が印字データに応じて主走査線方向に往復移動しながら、停止した用紙の所定箇所に所定のインク液を吐出して1ライン分の画像を用紙に記録する。ここで、1ラインとは、用紙を停止させた状態で、ヘッド13が用紙へ記録可能な副走査線方向の範囲を言う。主走査線方向に1ライン分の記録が終了したら、搬送ベルト12を所定時間駆動させ、用紙を1ライン分排紙トレイ26方向に移動させて停止する。そして、上述同様、キャリッジ9が印字データに応じて主走査線方向に往復移動しなが1ライン分の画像を記録する。このような工程を所定回数繰り返し行い、用紙に所望の画像をプリントする。所望の画像がプリントされた用紙は、分離爪17で搬送ベルト12から分離され、排紙ローラ25及び拍車24によって搬送され、排紙トレイ26に排出される。
両面プリントの場合は、用紙の一方の面に所望の画像をプリントして用紙の一部を排紙トレイ26に排紙したら、搬送ベルト12を逆回転させ、排紙トレイ上の用紙をスイッチバックさせて反転機構30に搬送する。反転機構30で反転した用紙は、再びガイド部材22や加圧ローラ16に案内されて搬送ベルト12に搬送される。用紙がヘッド13と対向する位置に達したら、上述同様の動作を行い用紙の他方の面に所望の画像をプリントする。そして、両面に所望の画像がプリントされた用紙は、分離爪17で搬送ベルト12から分離され、排紙ローラ25及び拍車24によって搬送されて再び排紙トレイ26に排出される。
【0012】
本実施形態のプリンタ100には、カット紙等に内蔵されたICタグへ書き込み/読み込みを行うためのRFID装置が設けられている。図4に示すように、RFID装置は、排紙トレイ26に取り付けられた通信手段たる送受信アンテナ51と、装置本体内に取り付けられた書込/読取手段たるリーダーライター52とで構成されている。送受信アンテナ51が取り付けられた排紙トレイ26は、図示するように、装置本体に対して、着脱可能となっている。送受信アンテナ51のケーブルは、インクカートリッジ装填部105に設けたコネクタに接続し、プリンタ内部の配線部53を通って、リーダーライター52と接続している。リーダーライター52は、開閉可能な上カバー101の内面にマジックテープ(登録商標)などを用いて上カバー101から着脱可能に取り付けられている。また、リーダーライター52は、図示してないが、装置本体内の制御部に接続されている。送受信アンテナ51およびリーダーライター52は、装置本体から着脱可能になっており、通常のプリンタ100に送受信アンテナ51が取り付けられた排紙トレイ26およびリーダーライター52を装置本体に取り付けることで、通常のプリンタ100をICタグへ書き込み/読み込みが可能なプリンタにすることができる。これにより、通常は一般のOAプリンタとして利用でき、必要なときだけ送受信アンテナ51を備えた排紙トレイ26と、リーダーライター52とを取り付けてICタグへ書き込み/読み込みが可能なRFID専用のプリンタにすることができる。このように、大量生産可能な一般のOAプリンタをRFID専用のプリンタにすることで、予めリーダーライター52と送受信アンテナ51とを内蔵したRFID専用のプリンタに比べて、安価にRFID専用のプリンタを提供することが可能となる。
【0013】
次に、ICタグについて説明する。ICタグは、図5に示すように、カットされた記録媒体たる用紙Pに設けられている。本実施形態では、ICタグ70が貼り付けられている面を用紙の裏面としている。図6は、ICタグ70のブロック図である。ICタグ70は、情報を記憶する情報記憶手段たるEEPROMなどの不揮発性メモリ71と、本体側のRFID装置50と通信を行う送信アンテナ73と受信アンテナ74とを備えている。また、ICタグ70には、受信用アンテナ74から情報を不揮発性メモリ71に送信したり、不揮発性メモリ71の情報を送信アンテナ73に送信したりする通信回路72を備えている。ICタグの不揮発性メモリ71には、64ビットの固有のID(UID)が記憶されている。
【0014】
通信回路72は、受信アンテナ74で受けた受信信号を増幅する受信回路72a、増幅した受信信号を伝送用の所定信号に復調する復調回路72bを備えている。また、受信信号に基づき、不揮発性メモリ71に情報の書き込みを行ったり、不揮発性メモリ71から情報を取り出したりする制御回路72cを備えている。さらに、不揮発性メモリ71の情報を伝送用の所定信号に変調する変調回路72d、送信アンテナ73に送信信号を送る送信ドライバー72eが備えられている。また、受信用アンテナ74の電磁波を整流して電源を作成し、電源を供給する電源回路72fも備えている。
【0015】
次に、ICタグ70との通信について説明する。装置本体100との通信は、まず、装置本体の制御部60から、リーダーライター52へ要求信号を送信する。制御部60とリーダーライター52とは、シリアルインターフェースで接続されており、このシリアルインターフェースにより制御部60とリーダーライター52とで信号の送受信が行われている。リーダーライター52に送信された要求信号は、伝送用の所定の信号に変調されて、本体側の送受信アンテナ51に送らて、ICタグ70の受信アンテナ74へ送られる。
【0016】
装置側の送受信アンテナ51の送信電波を受信アンテナ74で受信したら、電源回路72は、この受信した電波の電磁波を整流して電源を作成する。また、これと同時に、ICタグ70の受信アンテナ74で受信した要求信号は、増幅回路72aで増幅され、復調回路72bで所定信号に復調される。所定信号に復調された要求信号は、制御回路72cに送られ、この要求信号に基づき制御回路72cが不揮発性メモリ71へ情報の書き込みや読み出し等の制御を行う。要求信号が不揮発性メモリ71の情報を要求する信号である場合、制御回路72cは、不揮発性メモリ71から必要な情報を読み出し、読み出した情報にこのICタグ固有のID(UID)を付与する。アドレスが付与された情報は、変調回路72dに送られ、所定信号に変調されて送信アンテナ73に送られる。送信アンテナ73に送られた信号は、装置本体側の送受信アンテナ51に受信される。
【0017】
図7は、プリンタ100の制御ブロック図である。同図において、制御部60は、装置全体の制御を司っている。制御部60には、プリンタ内の様々な機器が接続されている。同図においては、それら機器の一部を示している。即ち、制御部60は、用紙へ画像を記録する印字機構部23や、用紙を搬送する搬送部21が接続されている。また、制御部60には、各種制御プログラムを記憶したROM60cや、制御プログラムを実行するためのワーキングメモリーであるRAM60b、プログラムを実行するためのCPU60aなどを備えている。また、制御部60は、パーソナルコンピュータ110上のプリンタドライバーソフトウエアから入力情報を得て、印字機構部23や搬送部21を制御している。
また、制御部60は、パーソナルコンピュータ上のプリンタドライバーソフトウエアから、ICタグ70への書き込み情報を取得し、この取得した情報をRFID装置50へ送信している。RFID装置50は、ICタグへ上記書き込み情報を送信したり、ICタグ70に記憶されている情報を読み出して、制御部60へ送信したりしている。
ROM60cには、プリンタドライバーソフトウエアから取得したICタグ70への書き込み情報と、ICタグ70から取得した書き込んだ情報とを比較して、ICタグに書き込んだ情報が正常か否かを検知する検知プログラムが記憶されている。そして、この検知プログラムが、CPU60a、RAM60bを用いて実行され、制御部60が検知手段として機能している。また、ROM60cには、ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合、この正常でない情報が書き込まれている用紙に所定の画像(NGの文字)を印刷したり、パーソナルコンピュータの画面上に「エラー表示」したりするなどのエラー処理を実行するエラー処理実行プログラムも記憶されている。そして、このエラー処理実行プログラムが、CPU60a、RAM60bを用いて実行され、制御部60がエラー処理実行手段として機能している。
【0018】
次に、ICタグ70を備えた用紙の印刷処理について説明する。図8は、ICタグ70を備えた用紙の印刷処理のフロー図である。図9は、ICタグ70を備えた用紙の印刷処理を行うときのシーケンス図である。図8に示すように、まず、制御部60は、パーソナルコンピュータ110から通信ケーブル120を介して受信した情報にUID指定情報があるかどうかをチェックする(S1)。UIDの指定は、例えば、商品の製造日などの履歴情報が既に記録された用紙、商品の発送日などの集配情報が既に記録された用紙、患者の病歴などの個人情報が既に記録された用紙など、特定の情報が既に記録されているとともにICタグに所定の情報が記憶されている用紙に、追加情報を印刷する場合に指定される。
【0019】
UIDが指定されている場合(S1YES)は、後述するUID指定時に印刷処理を実行する(S2)。UIDが指定されていない場合(S1のNO)、制御部60は、パーソナルコンピュータ110から通信ケーブル120を介して受信した情報に印字データとともに、ICタグ70への書き込み内容があるかどうかをチェックする(S2)。ICタグ70への書き込み内容の入力は、パーソナルコンピュータ上で、プリンタドライバーソフトウエアを用いて操作者によって入力される。受信した情報にICタグ70への書き込み内容がない場合(S3のNO)は、通常の印刷モードで印刷を行う(S4)。一方、受信した情報にICタグ70への書き込み内容がある場合(S3のYES)、制御部60は、RFIDモードに設定を切り替える(S5)。具体的には、制御部60は、両面印刷モード、および、用紙搬送速度を、通常プリント時の搬送速度よりも下げたRFID用の搬送速度に設定する。本実施形態においては、RFID用の搬送速度は、高品位画像印刷時の用紙搬送速度と同じ速度に設定している。また、本実施形態のプリンタは、排紙トレイ26に送受信アンテナ73を備えているため、画像形成前にICタグ70と通信を行うようにするためには、両面印刷モードに切り換える必要がある。しかし、印字機構部よりも用紙搬送方向上流側に送受信アンテナを設けた場合は、両面印刷モードに切り換えなくても良い。RFIDモードに設定を切り替えたら、用紙の搬送を開始する(S6)。片面印刷の場合(S7のYES)は、用紙に画像を印刷ぜずに、用紙を送受信アンテナ51のある排紙トレイ26へ搬送する。一方、両面印刷の場合(S7のNO)は、例えば、用紙の裏面のICタグが貼り付けられている部分に「剥がさないで下さい」など、用紙の裏面に印字データを印刷(S8)して、排紙トレイ26まで用紙を搬送する。用紙が排紙トレイ26に搬送されてきたら、送受信アンテナ51からUID要求信号を送信する(S9)。ICタグ70は、図9に示すように、装置本体側の送受信アンテナ51からの要求信号を受信して、このICタグ71のUIDを装置本体へ送信する。制御部60は、ICタグ70からUIDを受信したら(S10のYES)、パーソナルコンピュータ110へUIDを送信する(S11)。図9に示すように、パーソナルコンピュータは、プリンタから送信されたUIDを受信して、印字データや書き込み情報と関連付けてUIDを記憶する。
【0020】
次に、制御部60は、書き込み情報に受信したUIDを付与して、装置本体の送受信アンテナ51からICタグ70へ送信する(S12)。ICタグ70は、図9に示すように、装置本体から送信されたUIDが付与された書き込み情報を受信して、UIDを確認する。UIDが、このICタグのUIDと同一の場合は、受信した内容を不揮発性メモリ71に記憶する。一方、UIDが、このICタグのUIDと異なっている場合は、記憶を行わない。
【0021】
次に、用紙が排紙トレイ26に所定位置まで排出されて、スイッチバックを開始したら(S13のYES)、制御部60は、書き込み情報取得要求信号をICタグへ送信する(S14)。ICタグ70は、図9に示すように、装置本体から送信され書き込む情報取得要求信号を受信して、不揮発性メモリ71に記憶した書き込み情報を読み出し、UIDを付与して装置本体へ送信する。
書き込み情報を受信したら(S15のYES)、制御部60は、受信した書き込み情報およびUIDと送信した書き込み情報および取得したUIDとを比較する(S16)。比較の結果、受信した情報が、送信した情報と異なる場合(S16のNO)、スイッチバックして反転機構30を通って反転した用紙に「NG」を印刷して(S17)終了する。一方、比較の結果、受信した書き込み情報とUIDが送信した書き込み情報と取得したUIDが同じ場合(S16のYES)は、スイッチバックして反転機構30を通って反転した用紙に、用紙表面の印字データを印刷して(S18)、終了する。
【0022】
なお、上記では、受信した書き込み情報が送信した書き込み情報と異なる場合、用紙に「NG」と印刷しているがこれに限られない。例えば、受信した書き込み情報が送信した書き込み情報と異なる場合、制御部60は、パーソナルコンピュータにエラー処理信号を送信し、パーソナルコンピュータがこの信号に基づき画面上に「ICタグへの書き込みに失敗しました」などのエラー表示を行う。そして、用紙に何も印刷せずに排紙するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、用紙搬送中にICタグ70に書き込んだ内容を確かめて、書き込んだ内容にエラーがあった場合は、「NG」を印刷するなど所定の画像を印刷して、正常な情報が書き込まれた用紙と区別する処理を行っている。このような処理を行うことで、排紙トレイ26に排出された用紙が、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙か否かが用紙を見ただけでわかる。よって、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙が誤使用されてしまうのを抑制することができる。
また、ICタグ70に書き込んだ内容を確かめてから、用紙に印字データを印刷するので、内容にエラーがあった場合、「NG」などの所定の画像を印刷したり印刷せずに排出したりして、ICタグ70に書き込んだ内容にエラーがある用紙か否かが、排紙トレイに排出された用紙を見ただけで判別できる処理を行うことができる。印刷せずに排出すれば、この用紙を再利用することもできる。
また、本実施形態においては、搬送されてくる用紙のICタグ70に記憶されているUIDを読み込んで、このUIDをもつICタグ70に対して書き込み・読み出しを行っている。これにより、搬送中の用紙のICタグ以外のICタグ70にデータを書き込んだり、搬送中の用紙のICタグ以外のICタグ70に記憶されているデータを読み出したりすることがない。よって、ICタグへの誤書き込みや、誤読み出しを防止することができる。
【0024】
また、本実施形態においては、用紙がスイッチバックする反転台たる排紙トレイ26に送受信アンテナ51を設けている。排紙トレイ26に搬送されてきた用紙は、スイッチバックするために、一旦停止して、再び搬送される。このため、用紙が排紙トレイ26に留まっている時間が長いので、この排紙トレイ26に送受信アンテナ51を設けることで、確実に用紙のICタグ70に書き込みと、書き込んだデータの読み込みとを行うことができる。
【0025】
次に、UID指定時の印刷処理について説明する。図10は、UID指定時の印刷処理の制御フローである。一度情報が印刷され、ICタグに情報が記憶された用紙に対して、追加の情報を印刷したい場合、印刷する用紙のICタグに記憶されているUIDを指定する。UIDの指定の方法は、パーソナルコンピュータ110のアプリケーションソフトから印刷対象の用紙に記録した情報またはICタグに記憶した情報を読み出して、この情報からUIDを指定する。また、その他に、一度目の印刷のときに用紙の所定の位置にUIDを印刷しておき、一度印刷された用紙を再度印刷する場合は、ユーザーが用紙に印刷されているUIDをパーソナルコンピュータ110で入力することでも指定することができる。この場合、図8に示したフローのS8のステップを行う必要がなくなる。
【0026】
上記のようにして指定されたUIDが、印字データや書き込み情報とともにプリンタに送られたら、プリンタの制御部60は、RFID設定モードに設定して(S21)、給紙トレイ18にセットされた一度情報が印刷されている用紙の搬送を開始する(S22)。この一度情報が印刷されている用紙が、排紙トレイ26まできたら、制御部60は、上述同様、UID要求信号を一度印刷された用紙のICタグへ送信する。ICタグは、この要求信号を受信して、プリンタへUIDを送信する。制御部60は、ICタグから送信されたUIDを受信したら(S24のYES)、指定されたUIDと、受信したUIDとが一致しているか否かチェックする(S25)。指定されたUIDと、受信したUIDとが一致していない場合(S25のNO)は、ユーザーが誤ったUIDを指定したか、誤った用紙を給紙トレイにセットしているので、制御部60は、パーソナルコンピュータ110へエラー処理信号を送信する(S26)。エラー処理信号を受信したパーソナルコンピュータ110は、異なる用紙がセットされているため印刷を中止した旨を画面に表示する。そして、制御部60は、用紙に情報を印刷せずに、排紙トレイ26へ排紙する。
【0027】
一方、UIDが一致している場合(S25のYES)、制御部60は、パーソナルコンピュータ110から受信した情報に、ICタグ70への書き込み情報があるかどうかチェックする(S27)。書き込み情報がある場合(S27のYES)、制御部60は、書き込み情報にUIDを付与して、装置本体の送受信アンテナ51からICタグ70へ送信する(S28)。ICタグ70は、UIDが付与された書き込み情報を受信して、UIDを確認する。UIDが、このICタグのUIDと同一の場合は、受信した内容を不揮発性メモリ71に記憶する。一方、UIDが、このICタグのUIDと異なっている場合は、記憶を行わない。
【0028】
次に、排紙トレイ26上で用紙がスイッチバックしたら(S29)、制御部60は、ICタグ70へ書き込み情報取得要求信号を送信する(S30)。ICタグ70は、書き込み情報取得要求信号を受信して、不揮発性メモリ71に記憶した書き込み情報を読み出し、UIDを付与して装置本体へ送信する。
制御部60は、書き込み情報を受信したら(S31のYES)、受信した書き込み情報およびUIDと送信した書き込み情報およびUIDとを比較する(S32)。比較の結果、受信した情報が、送信した情報と異なる場合(S32のNO)、制御部60は、パーソナルコンピュータ110へエラー処理信号を送信する(S33)。エラー処理信号を受信したパーソナルコンピュータ110は、ICタグへの書き込みに失敗た旨を画面上に表示する。そして、制御部60は、用紙に情報を印刷せずに、排紙トレイ26へ排紙する。
【0029】
一方、比較の結果、受信した情報と送信した情報とが同じ場合(S32のYES)またはICタグへの書き込み情報がない場合(S27のNO)、スイッチバックして反転機構30を通って反転した用紙の表面に印字データを追加印刷して(S34)、終了する。
【0030】
このように、ICタグ70へ情報を書き込む前にICタグ固有の識別ID(UID)を取得して、取得したUIDが指定されたUIDのときICタグへの書き込みを行っている。これにより、所定の用紙にのみ、追加印刷することができる。
【0031】
また、上記では、UIDを指定することで、一度情報が印刷され、ICタグに情報が記憶された用紙に、この用紙に記録されている情報と関連する情報をのみを追加印刷することができるようにしているが、これに限られない。一度目の印刷時に、例えば、配送番号などの識別番号を設定して、パーソナルコンピュータ110に記憶または用紙に印刷するとともに、この設定した識別番号をICタグに記憶させておく。そして、追加印刷する際、上記設定した識別番号を指定し、ICタグに記憶した識別番号と比較して、識別番号が一致した場合に追加印刷を行うようにしても良い。
【0032】
本実施形態においては、アンテナを用紙が積載される記録媒体積載部たる排紙トレイ26に設けている。また、排紙トレイ26の下部には、用紙が積載された記録媒体積載部たる給紙トレイ18が設けられている。このとき、図16に示すように、点線で示すアンテナの電波範囲に積載された用紙のICタグ70があると、この給紙トレイ18に積層された用紙のICタグ70や、排紙トレイ26に積層されている用紙のICタグ70のUIDが装置本体に送信されてしまい、この給紙トレイ18に積載された用紙のICタグ70や、排紙トレイ26に積載されている用紙のICタグ70が、搬送中の用紙のICタグ70と誤認識してしまうおそれがある。その結果、実際は、搬送中の用紙のICタグ70には、正しいデータが書き込まれていないにもかかわらず、装置本体の制御部60では、搬送中の用紙のICタグ70に正しいデータが書き込まれたと誤認識してしまう。その結果、実際は、ICタグ70に何のデータも書き込まれていない用紙が誤使用されてしまうおそれがある。
このため、本実施形態においては、送受信アンテナ51の電波が、給紙トレイ18に積層された用紙のICタグ70や排紙トレイ26に積層された用紙のICタグ70にかからないよう、送受信アンテナ51を配置している。
【0033】
図11は、送受信アンテナ51と、排紙トレイ26上でスイッチバック中の用紙P1と、排紙トレイ26上に排紙されて積載された印刷済みの用紙P2と、給紙トレイ18に積載されている用紙P3との関係を示す断面図であり、図12は、その平面図である。図12(a)は、送受信アンテナ51と、排紙トレイ26上でスイッチバック中の用紙P1と、排紙トレイ26上に排紙されて積載された印刷済みの用紙P2との関係を示した平面図で、スイッチバック中の用紙P1を一点鎖線で示している。図12(b)は、送受信アンテナ51と、給紙トレイ18に積載されている用紙P3との関係を示す平面図である。
【0034】
給紙トレイ18にセットされるICタグ付きの用紙は、用紙のおもて面、すなわちICタグが貼り付けられていない方の面が上になるようセットする。これにより、排紙トレイ26でスイッチバックし反転機構30で反転して再び印字機構部23に搬送されてきた用紙の表面が、キャリッジ9と対向するようになる。そして、送受信アンテナ51は、図11、図12(b)に示すように、おもて面が上になるように給紙トレイにセットされ積載された用紙P3のICタグ70と対向しない位置に配置している。また、送受信アンテナ51は、図11、図12(a)に示すように、排紙トレイ26に排出されて積載された印刷済みの用紙P2のICタグ70と対向しないようにも配している。さらに、送受信アンテナ51は、図11、図12(a)に示すように、排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70と対向する位置に配置する。
【0035】
上記のように送受信アンテナ51を配置することで、排紙トレイ26上でスイッチバック中の用紙のICタグと通信を行う際、図中点線で示す送受信アンテナ51の電波範囲51aに、排紙トレイ26や給紙トレイ18に積載された用紙P2、P3のICタグ70が入ることがない。よって、排紙トレイ26でスイッチバックしている搬送中の用紙P1のICタグのUIDのみが制御部60で認識される。その結果、給紙トレイ18に積層された用紙P2のICタグ70や、排紙トレイ26に積載されている用紙P3のICタグ70が、搬送中の用紙P1のICタグ70と誤認識してしまうことがない。
【0036】
また、図13に示すように、排紙トレイ26の送受信アンテナ51と給紙トレイ18との間にアルミ等からなるシールド板54を設けて、送受信アンテナ51からの電波を遮断し、給紙トレイ18に届かせないようにしてもよい。これにより、給紙トレイ18に積層された用紙P3のICタグ70に送受信アンテナ51の電波が届かないので、給紙トレイ18に積層された用紙P3のICタグ70のUIDが、搬送中の用紙のICタグ70のUIDと誤認識するのを防止することができる。
【0037】
また、図14、図15に示すように通信手段たる送受信アンテナと書込/読取手段たるリーダーライターとが一体となったハンディタイプのRFID装置50を装置本体の前カバー102に取り付けて、通常のプリンタをICタグへ書き込み/読み込みが可能なRFID専用プリンタにしても良い。このハンディタイプのRFID装置50の装置本体への取り付けは、例えば、マジックテープ(登録商標)で行うことができる。この場合、送受信アンテナ70の電波が、排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70に届くよう、図14に示すように、装置の前カバーに取り付けマーク102aなどを設けておく。そして、RFID装置50にも、同様なマーク50aを設けておき、前カバーの取り付けマーク102aとRFID装置50のマーク50aとが合うように、RFID装置50を前カバーに取り付ける。これにより、図15に示すようにRFID装置50のアンテナの電波が、排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70に届く。その結果、ハンディタイプのRFID装置50で確実に排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70に対して書き込みや読み出しを行うことができる。また、この場合も、排紙トレイ26に積層された用紙P2のICタグ70にRFID装置50のアンテナの電波がかからないように、RFID装置50の取り付け位置を設定しておく。
【0038】
また、上記では、通信方式で用紙の記憶手段に記憶された電子情報の読み出しや、記憶手段へ情報の書き込みを行っているが、非通信方式で行っても良い。この場合は、用紙に備えられたICタグには、通信回路72に替えて接続端子を備える。また、画像形成装置には、用紙の接続端子と接触する接触端子が設けられており、この接触端子を記録媒体の搬送経路上に配置する。この接触端子は、書込/読取手段に接続されている。これにより、用紙搬送中に接続端子に接触端子が接触して、情報を読み出しまたは書き込みが行われる。
【0039】
また、磁気によって、用紙の記憶手段に記憶された電子情報の読み出しや、記憶手段への情報の書き込みを行うようにしても良い。
【0040】
(1)
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、ICタグに情報を書き込んだ後、ICタグに書き込んだ情報をICタグから読み出し、ICタグに書き込んだ情報が正常か否かをチェックすることで、ICタグに情報が正常に書き込まれたか否かがわかる。
(2)
また、ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合は、パーソナルコンピュータに、警告表示するなどのエラー処理を実行することで、用紙のICタグに情報が正しく書き込まれたか否かをユーザが認識することができる。これにより、ICタグに正しい情報が書き込まれていない用紙が使用されてしまうのを抑制することができる。
(3)
また、正常な情報が書き込まれていないICタグを備えた用紙に、所定の画像(「NG」の文字)をプリントすることで、ユーザは用紙を見ただけで、ICタグに正しい情報が書き込まれていない用紙か否かを判別することができる。これにより、ICタグに正しい情報が書き込まれていない用紙が使用されてしまうのをより、良好に抑制することができる。
(4)
また、用紙に画像を形成する前に、ICタグに書き込んだ情報が正常か否かをチェックすることで、例えば、ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合、エラー処理として画像形成を行わないようにすることができる。ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合は、用紙に何も印刷しないようにすることで、このICタグに正常に情報が書き込まれなかった用紙を再利用することができる。
(5)
また、情報を記憶する情報記憶手段をICタグとしているので、情報を通信によりやりとりすることができる。
(6)
また、通信手段たる送受信アンテナを備えることで、情報記憶媒体と情報を通信によりやりとりすることができる。
(7)
また、送受信アンテナを用紙がスイッチバックする反転台と対向する位置に設ける。反転台に搬送されてきた用紙は、スイッチバックするために、一旦停止して、再び搬送される。このため、用紙が反転台に留まっている時間が長いので、この反転台と対向する位置に送受信アンテナを設けることで、確実に用紙のICタグに書き込みと、書き込んだデータの読み込みとを行うことができる。
(8)
また、排紙トレイを反転台として用いることで、装置をコンパクト化することができる。
(9)
また、本実施形態の画像形成装置は、インクジェット方式で用紙に画像を形成している。インクジェット方式は、トナーを用いた画像形成方式のように静電的に画像を転写したり、熱と圧力とで画像を用紙に定着させたりしなくても、用紙に画像を形成することができる。このため、インクジェット方式は、トナーを用いた画像形成方式に比べて、ICタグへの電気的なダメージや熱や圧力によるダメージを少なくすることができる。その結果、用紙への画像形成中に、書き込んだ情報が壊れたり、消えたりする不具合を抑制することができる。
(10)
また、画像を形成するインクとして、顔料系インクを用いることで、水系インクに比べて形成した画像のにじみを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの外観斜視図。
【図2】インクジェットプリンタの概略構成図。
【図3】パーソナルコンピュータに通信ケーブルを介して接続された同インクジェットプリンタの外観図。
【図4】同インクジェットプリンタをICタグへ書き込み/読み込みが可能なインクジェットプリンタに変更した図。
【図5】ICタグを備えた用紙を示す図。
【図6】ICタグの制御ブロック図。
【図7】プリンタの制御ブロック図。
【図8】ICタグを備えた用紙の印刷処理の制御フロー図。
【図9】ICタグを備えた用紙の印刷処理を行うときのシーケンス図。
【図10】UID指定時の印刷処理の制御フロー図。
【図11】送受信アンテナと、排紙トレイ上でスイッチバック中の用紙と、排紙トレイ上に排紙されて積載された印刷済みの用紙と、給紙トレイに積載されている用紙との関係を示す断面図。
【図12】(a)は、送受信アンテナと、排紙トレイ上でスイッチバック中の用紙と、排紙トレイ上に排紙されて積載された印刷済みの用紙との関係を示した平面図。(b)は、送受信アンテナと、給紙トレイに積載されている用紙との関係を示す平面図である。
【図13】排紙トレイにシールド板を設けた図。
【図14】ハンディタイプのRFID装置を装置本体の前カバーに取り付けて、ICタグへ書き込み/読み込みが可能なインクジェットプリンタした例を示す図。
【図15】ハンディタイプのRFID装置を装置本体の前カバーに取り付けたインクジェットプリンタの要部拡大構成図。
【図16】従来のインクジェットプリンタの要部構成図。
【符号の説明】
【0042】
9 キャリッジ
12 搬送ベルト
13 ヘッド
18 給紙トレイ
26 排紙トレイ
51 送受信アンテナ
52 リーダーライター
54 シールド板
70 ICタグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶手段を備えた記録媒体に画像を形成するとともに、情報記憶手段への情報の書き込みおよび情報記憶手段から情報の読み出しを行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バーコードに代わる商品識別・管理技術として、ICタグから、情報を無線によってやりとりする技術(RFID(Radio Frequency Identification))が注目されている。RFIDは、データの書き込みや追記が可能である点や、データが読み取られるICタグが汚れたり、物陰に隠れていたりしても、データを読み取れる点が特徴点として挙げられ、バーコードを用いた識別システムにない利点を得ることができる。RFID技術を用いた識別システムは、ICタグを備えた記録媒体たる用紙を用い、用紙に情報画像を印刷し、ICタグに電子情報を書き込んで、人が見ても情報が認識でき、機械でも情報が認識できるようにしている。近年、プリンタなどの画像形成装置にICタグに電子情報を書き込む機能を搭載し、用紙への情報画像の印刷と、ICタグへの情報の書き込みとを一括して行うものが提案されている(例えば、特許文献1〜2)。これにより、人が見ても情報が認識でき、機械でも情報が認識できるようにした用紙を画像形成装置で作製することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−300356号公報
【特許文献2】特開2002−337426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
用紙のICタグが破損していたりすると、ICタグへ電子情報が書き込まれない場合がある。このような場合、ICタグへ電子情報が書き込まれずに用紙に情報画像が印刷されるだけで画像形成装置から排出される。この画像形成装置から排出された用紙は、見た目にはICタグに電子情報が書き込まれた用紙と区別することができない。このため、ICタグに電子情報が書き込まれていない用紙が、誤って識別システムなどに使用されてしまい、この用紙の電子情報を機械で認識することができない不具合を生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、情報記憶手段に情報が書き込まれていない記録媒体が、誤使用されてしまうのを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、情報記憶手段を備えた記録媒体の表面に画像を形成する画像形成手段と、該記録媒体に備えられた情報記憶手段に情報の書込および該情報記憶手段から情報の読み出しを行う書込/読取手段とを備えた画像形成装置において、上記情報記憶手段に情報を書き込んだ後、該情報記憶手段に書き込んだ情報を該情報記憶手段から読出し、該情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知する検知手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記情報記憶手段に情報を書き込んだ情報が正常でない場合、エラー処理を実行するエラー処理実行手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記エラー処理実行手段は、正常な情報が書き込まれていない情報記憶手段を備えた記録媒体に、所定の画像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、記録媒体に画像を形成する前に、上記検知手段で情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、上記情報記憶手段として、ICタグを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、上記情報記憶手段と通信を行う通信手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、記録媒体を反転するための反転台と、反転経路とを備え、記録媒体を一旦反転台に排出し、搬送方向をスイッチバックさせて反転経路へと搬送するものであって、上記通信手段は、該反転台と対向する位置に設けることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、画像が形成された記録媒体が排出される排紙トレイを、上記反転台として用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、記録媒体に画像を形成する方式を、インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット方式としたことを特徴とした画像形成装置。
また、請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、上記インクとして、顔料系インクを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1乃至10の発明によれば、情報記憶手段に情報を書き込んだ後、情報記憶手段に書き込んだ情報を情報記憶手段から読み出し、情報が正常か否かを検知することで、情報記憶手段に情報が正常に書き込まれたか否かがわかる。よって、情報記憶手段に情報が正常に書き込まれていないとき、通常時と異なる処理を実行すれば、ユーザは、排出された記録媒体の情報記憶手段に正しい情報が書き込まれてないことを認識することができる。よって、情報記憶手段に正しい情報が書き込まれていない記録媒体が使用されてしまうのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像記録装置の一実施形態として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ)について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、プリンタ本体の外観図であり、図2は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。このプリンタ100は、図1に示すように、記録媒体たる用紙が積層されて収容された記録媒体積載部たる給紙トレイ18と画像が記録(形成)された用紙をストックするための記録媒体積載部たる排紙トレイ26とがそれぞれ装置本体から着脱可能に装着されている。そして、プリンタ100の上面は略平坦な面で、開閉可能な上カバー101を有しており、装置手前側には上面に対して斜め後方に傾斜した前カバー102が備えられている。この傾斜した前カバー102の下方に、排紙トレイ26および給紙トレイ18を備えている。さらに、装置の手前側には、インクカートリッジ装填部105を有し、このインクカートリッジ装填部105の上面に操作キーや表示器などの操作部104を配置している。このインクカートリッジ装填部105にはインクカートリッジの脱着を行うための開閉可能なドア103を有している。
【0009】
また、図2に示すように、このプリンタ100は、図示しない駆動手段により用紙の搬送方向に対して横切る方向(主走査線方向)に移動可能に保持されたキャリッジ9を備えた印字機構部23を有している。また、プリンタ100は、印字機構部23と対向する位置を経由して給紙トレイ18の用紙を排紙トレイ26に搬送する搬送部21を備えている。
【0010】
印字機構部23のキャリッジ9には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)色のそれぞれインク液を用紙に吐出する吐出口を備えた記録部としてのヘッド13がそれぞれ設けられている。
搬送部21は、多数の用紙を積載した給紙トレイ18、給紙トレイ18内の用紙を搬送ローラ10へ送り出す給紙ローラ19、給紙トレイ18内の複数の用紙のうち一枚だけを搬送ローラ10に送り出すための分離パッド20、給紙トレイ18から給紙された用紙を案内する給紙ガイド27を備えている。搬送ローラ10は、テンションローラ11とで搬送部材としての搬送ベルト12を張架している。搬送ベルト12は、搬送された用紙をヘッド13との対向位置に搬送する。搬送ローラ10は、図示しない駆動手段によって図中の時計周りに回転しており、これにより搬送ベルト12が図示Aの方向に無端移動する。また、搬送部21は、用紙を搬送ローラ10に押し付ける加圧ローラ16、用紙を案内する案内ガイド22、搬送ベルト12表面を帯電させる帯電ローラ15を有している。ヘッド13と対向する位置には、搬送ベルト12をガイドする搬送ガイド板14が搬送ベルト12の内周面側に設けられている。また、搬送部21は、画像が記録された用紙を搬送ベルト12から分離する分離爪17と、排紙トレイ26に排出するための排紙ローラ25および断面星型形状の拍車24を備えている。本実施形態のプリンタ1には、用紙を反転させる反転機構30が設けられており、用紙の両面にプリントができるようにしている。
【0011】
次に、本実施形態のプリンタ100のプリント動作について説明する。
図3は、パーソナルコンピュータ110に通信ケーブル120を介して接続された本インクジェットプリンタ100の外観図である。
本インクジェットプリンタ100は、パーソナルコンピュータ110から通信ケーブル120を介して画像情報である印字データが送られ、プリントを実行する。まず、先の図2に示すように、給紙トレイ18から給紙ローラ19によって搬送ローラ10へ用紙が給紙される。給紙トレイ18から給紙された用紙は、ガイド部材22や加圧ローラ16に案内されて、搬送ベルト12に搬送される。搬送ベルト12の表面は帯電ローラ15により帯電させられており、用紙を静電的に搬送ベルト12に吸着させる。搬送ベルト12に搬送された用紙がヘッド13と対向する位置に達したら、搬送ベルト12を停止して用紙の移動を停止する。そして、キャリッジ9が印字データに応じて主走査線方向に往復移動しながら、停止した用紙の所定箇所に所定のインク液を吐出して1ライン分の画像を用紙に記録する。ここで、1ラインとは、用紙を停止させた状態で、ヘッド13が用紙へ記録可能な副走査線方向の範囲を言う。主走査線方向に1ライン分の記録が終了したら、搬送ベルト12を所定時間駆動させ、用紙を1ライン分排紙トレイ26方向に移動させて停止する。そして、上述同様、キャリッジ9が印字データに応じて主走査線方向に往復移動しなが1ライン分の画像を記録する。このような工程を所定回数繰り返し行い、用紙に所望の画像をプリントする。所望の画像がプリントされた用紙は、分離爪17で搬送ベルト12から分離され、排紙ローラ25及び拍車24によって搬送され、排紙トレイ26に排出される。
両面プリントの場合は、用紙の一方の面に所望の画像をプリントして用紙の一部を排紙トレイ26に排紙したら、搬送ベルト12を逆回転させ、排紙トレイ上の用紙をスイッチバックさせて反転機構30に搬送する。反転機構30で反転した用紙は、再びガイド部材22や加圧ローラ16に案内されて搬送ベルト12に搬送される。用紙がヘッド13と対向する位置に達したら、上述同様の動作を行い用紙の他方の面に所望の画像をプリントする。そして、両面に所望の画像がプリントされた用紙は、分離爪17で搬送ベルト12から分離され、排紙ローラ25及び拍車24によって搬送されて再び排紙トレイ26に排出される。
【0012】
本実施形態のプリンタ100には、カット紙等に内蔵されたICタグへ書き込み/読み込みを行うためのRFID装置が設けられている。図4に示すように、RFID装置は、排紙トレイ26に取り付けられた通信手段たる送受信アンテナ51と、装置本体内に取り付けられた書込/読取手段たるリーダーライター52とで構成されている。送受信アンテナ51が取り付けられた排紙トレイ26は、図示するように、装置本体に対して、着脱可能となっている。送受信アンテナ51のケーブルは、インクカートリッジ装填部105に設けたコネクタに接続し、プリンタ内部の配線部53を通って、リーダーライター52と接続している。リーダーライター52は、開閉可能な上カバー101の内面にマジックテープ(登録商標)などを用いて上カバー101から着脱可能に取り付けられている。また、リーダーライター52は、図示してないが、装置本体内の制御部に接続されている。送受信アンテナ51およびリーダーライター52は、装置本体から着脱可能になっており、通常のプリンタ100に送受信アンテナ51が取り付けられた排紙トレイ26およびリーダーライター52を装置本体に取り付けることで、通常のプリンタ100をICタグへ書き込み/読み込みが可能なプリンタにすることができる。これにより、通常は一般のOAプリンタとして利用でき、必要なときだけ送受信アンテナ51を備えた排紙トレイ26と、リーダーライター52とを取り付けてICタグへ書き込み/読み込みが可能なRFID専用のプリンタにすることができる。このように、大量生産可能な一般のOAプリンタをRFID専用のプリンタにすることで、予めリーダーライター52と送受信アンテナ51とを内蔵したRFID専用のプリンタに比べて、安価にRFID専用のプリンタを提供することが可能となる。
【0013】
次に、ICタグについて説明する。ICタグは、図5に示すように、カットされた記録媒体たる用紙Pに設けられている。本実施形態では、ICタグ70が貼り付けられている面を用紙の裏面としている。図6は、ICタグ70のブロック図である。ICタグ70は、情報を記憶する情報記憶手段たるEEPROMなどの不揮発性メモリ71と、本体側のRFID装置50と通信を行う送信アンテナ73と受信アンテナ74とを備えている。また、ICタグ70には、受信用アンテナ74から情報を不揮発性メモリ71に送信したり、不揮発性メモリ71の情報を送信アンテナ73に送信したりする通信回路72を備えている。ICタグの不揮発性メモリ71には、64ビットの固有のID(UID)が記憶されている。
【0014】
通信回路72は、受信アンテナ74で受けた受信信号を増幅する受信回路72a、増幅した受信信号を伝送用の所定信号に復調する復調回路72bを備えている。また、受信信号に基づき、不揮発性メモリ71に情報の書き込みを行ったり、不揮発性メモリ71から情報を取り出したりする制御回路72cを備えている。さらに、不揮発性メモリ71の情報を伝送用の所定信号に変調する変調回路72d、送信アンテナ73に送信信号を送る送信ドライバー72eが備えられている。また、受信用アンテナ74の電磁波を整流して電源を作成し、電源を供給する電源回路72fも備えている。
【0015】
次に、ICタグ70との通信について説明する。装置本体100との通信は、まず、装置本体の制御部60から、リーダーライター52へ要求信号を送信する。制御部60とリーダーライター52とは、シリアルインターフェースで接続されており、このシリアルインターフェースにより制御部60とリーダーライター52とで信号の送受信が行われている。リーダーライター52に送信された要求信号は、伝送用の所定の信号に変調されて、本体側の送受信アンテナ51に送らて、ICタグ70の受信アンテナ74へ送られる。
【0016】
装置側の送受信アンテナ51の送信電波を受信アンテナ74で受信したら、電源回路72は、この受信した電波の電磁波を整流して電源を作成する。また、これと同時に、ICタグ70の受信アンテナ74で受信した要求信号は、増幅回路72aで増幅され、復調回路72bで所定信号に復調される。所定信号に復調された要求信号は、制御回路72cに送られ、この要求信号に基づき制御回路72cが不揮発性メモリ71へ情報の書き込みや読み出し等の制御を行う。要求信号が不揮発性メモリ71の情報を要求する信号である場合、制御回路72cは、不揮発性メモリ71から必要な情報を読み出し、読み出した情報にこのICタグ固有のID(UID)を付与する。アドレスが付与された情報は、変調回路72dに送られ、所定信号に変調されて送信アンテナ73に送られる。送信アンテナ73に送られた信号は、装置本体側の送受信アンテナ51に受信される。
【0017】
図7は、プリンタ100の制御ブロック図である。同図において、制御部60は、装置全体の制御を司っている。制御部60には、プリンタ内の様々な機器が接続されている。同図においては、それら機器の一部を示している。即ち、制御部60は、用紙へ画像を記録する印字機構部23や、用紙を搬送する搬送部21が接続されている。また、制御部60には、各種制御プログラムを記憶したROM60cや、制御プログラムを実行するためのワーキングメモリーであるRAM60b、プログラムを実行するためのCPU60aなどを備えている。また、制御部60は、パーソナルコンピュータ110上のプリンタドライバーソフトウエアから入力情報を得て、印字機構部23や搬送部21を制御している。
また、制御部60は、パーソナルコンピュータ上のプリンタドライバーソフトウエアから、ICタグ70への書き込み情報を取得し、この取得した情報をRFID装置50へ送信している。RFID装置50は、ICタグへ上記書き込み情報を送信したり、ICタグ70に記憶されている情報を読み出して、制御部60へ送信したりしている。
ROM60cには、プリンタドライバーソフトウエアから取得したICタグ70への書き込み情報と、ICタグ70から取得した書き込んだ情報とを比較して、ICタグに書き込んだ情報が正常か否かを検知する検知プログラムが記憶されている。そして、この検知プログラムが、CPU60a、RAM60bを用いて実行され、制御部60が検知手段として機能している。また、ROM60cには、ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合、この正常でない情報が書き込まれている用紙に所定の画像(NGの文字)を印刷したり、パーソナルコンピュータの画面上に「エラー表示」したりするなどのエラー処理を実行するエラー処理実行プログラムも記憶されている。そして、このエラー処理実行プログラムが、CPU60a、RAM60bを用いて実行され、制御部60がエラー処理実行手段として機能している。
【0018】
次に、ICタグ70を備えた用紙の印刷処理について説明する。図8は、ICタグ70を備えた用紙の印刷処理のフロー図である。図9は、ICタグ70を備えた用紙の印刷処理を行うときのシーケンス図である。図8に示すように、まず、制御部60は、パーソナルコンピュータ110から通信ケーブル120を介して受信した情報にUID指定情報があるかどうかをチェックする(S1)。UIDの指定は、例えば、商品の製造日などの履歴情報が既に記録された用紙、商品の発送日などの集配情報が既に記録された用紙、患者の病歴などの個人情報が既に記録された用紙など、特定の情報が既に記録されているとともにICタグに所定の情報が記憶されている用紙に、追加情報を印刷する場合に指定される。
【0019】
UIDが指定されている場合(S1YES)は、後述するUID指定時に印刷処理を実行する(S2)。UIDが指定されていない場合(S1のNO)、制御部60は、パーソナルコンピュータ110から通信ケーブル120を介して受信した情報に印字データとともに、ICタグ70への書き込み内容があるかどうかをチェックする(S2)。ICタグ70への書き込み内容の入力は、パーソナルコンピュータ上で、プリンタドライバーソフトウエアを用いて操作者によって入力される。受信した情報にICタグ70への書き込み内容がない場合(S3のNO)は、通常の印刷モードで印刷を行う(S4)。一方、受信した情報にICタグ70への書き込み内容がある場合(S3のYES)、制御部60は、RFIDモードに設定を切り替える(S5)。具体的には、制御部60は、両面印刷モード、および、用紙搬送速度を、通常プリント時の搬送速度よりも下げたRFID用の搬送速度に設定する。本実施形態においては、RFID用の搬送速度は、高品位画像印刷時の用紙搬送速度と同じ速度に設定している。また、本実施形態のプリンタは、排紙トレイ26に送受信アンテナ73を備えているため、画像形成前にICタグ70と通信を行うようにするためには、両面印刷モードに切り換える必要がある。しかし、印字機構部よりも用紙搬送方向上流側に送受信アンテナを設けた場合は、両面印刷モードに切り換えなくても良い。RFIDモードに設定を切り替えたら、用紙の搬送を開始する(S6)。片面印刷の場合(S7のYES)は、用紙に画像を印刷ぜずに、用紙を送受信アンテナ51のある排紙トレイ26へ搬送する。一方、両面印刷の場合(S7のNO)は、例えば、用紙の裏面のICタグが貼り付けられている部分に「剥がさないで下さい」など、用紙の裏面に印字データを印刷(S8)して、排紙トレイ26まで用紙を搬送する。用紙が排紙トレイ26に搬送されてきたら、送受信アンテナ51からUID要求信号を送信する(S9)。ICタグ70は、図9に示すように、装置本体側の送受信アンテナ51からの要求信号を受信して、このICタグ71のUIDを装置本体へ送信する。制御部60は、ICタグ70からUIDを受信したら(S10のYES)、パーソナルコンピュータ110へUIDを送信する(S11)。図9に示すように、パーソナルコンピュータは、プリンタから送信されたUIDを受信して、印字データや書き込み情報と関連付けてUIDを記憶する。
【0020】
次に、制御部60は、書き込み情報に受信したUIDを付与して、装置本体の送受信アンテナ51からICタグ70へ送信する(S12)。ICタグ70は、図9に示すように、装置本体から送信されたUIDが付与された書き込み情報を受信して、UIDを確認する。UIDが、このICタグのUIDと同一の場合は、受信した内容を不揮発性メモリ71に記憶する。一方、UIDが、このICタグのUIDと異なっている場合は、記憶を行わない。
【0021】
次に、用紙が排紙トレイ26に所定位置まで排出されて、スイッチバックを開始したら(S13のYES)、制御部60は、書き込み情報取得要求信号をICタグへ送信する(S14)。ICタグ70は、図9に示すように、装置本体から送信され書き込む情報取得要求信号を受信して、不揮発性メモリ71に記憶した書き込み情報を読み出し、UIDを付与して装置本体へ送信する。
書き込み情報を受信したら(S15のYES)、制御部60は、受信した書き込み情報およびUIDと送信した書き込み情報および取得したUIDとを比較する(S16)。比較の結果、受信した情報が、送信した情報と異なる場合(S16のNO)、スイッチバックして反転機構30を通って反転した用紙に「NG」を印刷して(S17)終了する。一方、比較の結果、受信した書き込み情報とUIDが送信した書き込み情報と取得したUIDが同じ場合(S16のYES)は、スイッチバックして反転機構30を通って反転した用紙に、用紙表面の印字データを印刷して(S18)、終了する。
【0022】
なお、上記では、受信した書き込み情報が送信した書き込み情報と異なる場合、用紙に「NG」と印刷しているがこれに限られない。例えば、受信した書き込み情報が送信した書き込み情報と異なる場合、制御部60は、パーソナルコンピュータにエラー処理信号を送信し、パーソナルコンピュータがこの信号に基づき画面上に「ICタグへの書き込みに失敗しました」などのエラー表示を行う。そして、用紙に何も印刷せずに排紙するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、用紙搬送中にICタグ70に書き込んだ内容を確かめて、書き込んだ内容にエラーがあった場合は、「NG」を印刷するなど所定の画像を印刷して、正常な情報が書き込まれた用紙と区別する処理を行っている。このような処理を行うことで、排紙トレイ26に排出された用紙が、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙か否かが用紙を見ただけでわかる。よって、ICタグ70の書き込んだ内容にエラーがあった用紙が誤使用されてしまうのを抑制することができる。
また、ICタグ70に書き込んだ内容を確かめてから、用紙に印字データを印刷するので、内容にエラーがあった場合、「NG」などの所定の画像を印刷したり印刷せずに排出したりして、ICタグ70に書き込んだ内容にエラーがある用紙か否かが、排紙トレイに排出された用紙を見ただけで判別できる処理を行うことができる。印刷せずに排出すれば、この用紙を再利用することもできる。
また、本実施形態においては、搬送されてくる用紙のICタグ70に記憶されているUIDを読み込んで、このUIDをもつICタグ70に対して書き込み・読み出しを行っている。これにより、搬送中の用紙のICタグ以外のICタグ70にデータを書き込んだり、搬送中の用紙のICタグ以外のICタグ70に記憶されているデータを読み出したりすることがない。よって、ICタグへの誤書き込みや、誤読み出しを防止することができる。
【0024】
また、本実施形態においては、用紙がスイッチバックする反転台たる排紙トレイ26に送受信アンテナ51を設けている。排紙トレイ26に搬送されてきた用紙は、スイッチバックするために、一旦停止して、再び搬送される。このため、用紙が排紙トレイ26に留まっている時間が長いので、この排紙トレイ26に送受信アンテナ51を設けることで、確実に用紙のICタグ70に書き込みと、書き込んだデータの読み込みとを行うことができる。
【0025】
次に、UID指定時の印刷処理について説明する。図10は、UID指定時の印刷処理の制御フローである。一度情報が印刷され、ICタグに情報が記憶された用紙に対して、追加の情報を印刷したい場合、印刷する用紙のICタグに記憶されているUIDを指定する。UIDの指定の方法は、パーソナルコンピュータ110のアプリケーションソフトから印刷対象の用紙に記録した情報またはICタグに記憶した情報を読み出して、この情報からUIDを指定する。また、その他に、一度目の印刷のときに用紙の所定の位置にUIDを印刷しておき、一度印刷された用紙を再度印刷する場合は、ユーザーが用紙に印刷されているUIDをパーソナルコンピュータ110で入力することでも指定することができる。この場合、図8に示したフローのS8のステップを行う必要がなくなる。
【0026】
上記のようにして指定されたUIDが、印字データや書き込み情報とともにプリンタに送られたら、プリンタの制御部60は、RFID設定モードに設定して(S21)、給紙トレイ18にセットされた一度情報が印刷されている用紙の搬送を開始する(S22)。この一度情報が印刷されている用紙が、排紙トレイ26まできたら、制御部60は、上述同様、UID要求信号を一度印刷された用紙のICタグへ送信する。ICタグは、この要求信号を受信して、プリンタへUIDを送信する。制御部60は、ICタグから送信されたUIDを受信したら(S24のYES)、指定されたUIDと、受信したUIDとが一致しているか否かチェックする(S25)。指定されたUIDと、受信したUIDとが一致していない場合(S25のNO)は、ユーザーが誤ったUIDを指定したか、誤った用紙を給紙トレイにセットしているので、制御部60は、パーソナルコンピュータ110へエラー処理信号を送信する(S26)。エラー処理信号を受信したパーソナルコンピュータ110は、異なる用紙がセットされているため印刷を中止した旨を画面に表示する。そして、制御部60は、用紙に情報を印刷せずに、排紙トレイ26へ排紙する。
【0027】
一方、UIDが一致している場合(S25のYES)、制御部60は、パーソナルコンピュータ110から受信した情報に、ICタグ70への書き込み情報があるかどうかチェックする(S27)。書き込み情報がある場合(S27のYES)、制御部60は、書き込み情報にUIDを付与して、装置本体の送受信アンテナ51からICタグ70へ送信する(S28)。ICタグ70は、UIDが付与された書き込み情報を受信して、UIDを確認する。UIDが、このICタグのUIDと同一の場合は、受信した内容を不揮発性メモリ71に記憶する。一方、UIDが、このICタグのUIDと異なっている場合は、記憶を行わない。
【0028】
次に、排紙トレイ26上で用紙がスイッチバックしたら(S29)、制御部60は、ICタグ70へ書き込み情報取得要求信号を送信する(S30)。ICタグ70は、書き込み情報取得要求信号を受信して、不揮発性メモリ71に記憶した書き込み情報を読み出し、UIDを付与して装置本体へ送信する。
制御部60は、書き込み情報を受信したら(S31のYES)、受信した書き込み情報およびUIDと送信した書き込み情報およびUIDとを比較する(S32)。比較の結果、受信した情報が、送信した情報と異なる場合(S32のNO)、制御部60は、パーソナルコンピュータ110へエラー処理信号を送信する(S33)。エラー処理信号を受信したパーソナルコンピュータ110は、ICタグへの書き込みに失敗た旨を画面上に表示する。そして、制御部60は、用紙に情報を印刷せずに、排紙トレイ26へ排紙する。
【0029】
一方、比較の結果、受信した情報と送信した情報とが同じ場合(S32のYES)またはICタグへの書き込み情報がない場合(S27のNO)、スイッチバックして反転機構30を通って反転した用紙の表面に印字データを追加印刷して(S34)、終了する。
【0030】
このように、ICタグ70へ情報を書き込む前にICタグ固有の識別ID(UID)を取得して、取得したUIDが指定されたUIDのときICタグへの書き込みを行っている。これにより、所定の用紙にのみ、追加印刷することができる。
【0031】
また、上記では、UIDを指定することで、一度情報が印刷され、ICタグに情報が記憶された用紙に、この用紙に記録されている情報と関連する情報をのみを追加印刷することができるようにしているが、これに限られない。一度目の印刷時に、例えば、配送番号などの識別番号を設定して、パーソナルコンピュータ110に記憶または用紙に印刷するとともに、この設定した識別番号をICタグに記憶させておく。そして、追加印刷する際、上記設定した識別番号を指定し、ICタグに記憶した識別番号と比較して、識別番号が一致した場合に追加印刷を行うようにしても良い。
【0032】
本実施形態においては、アンテナを用紙が積載される記録媒体積載部たる排紙トレイ26に設けている。また、排紙トレイ26の下部には、用紙が積載された記録媒体積載部たる給紙トレイ18が設けられている。このとき、図16に示すように、点線で示すアンテナの電波範囲に積載された用紙のICタグ70があると、この給紙トレイ18に積層された用紙のICタグ70や、排紙トレイ26に積層されている用紙のICタグ70のUIDが装置本体に送信されてしまい、この給紙トレイ18に積載された用紙のICタグ70や、排紙トレイ26に積載されている用紙のICタグ70が、搬送中の用紙のICタグ70と誤認識してしまうおそれがある。その結果、実際は、搬送中の用紙のICタグ70には、正しいデータが書き込まれていないにもかかわらず、装置本体の制御部60では、搬送中の用紙のICタグ70に正しいデータが書き込まれたと誤認識してしまう。その結果、実際は、ICタグ70に何のデータも書き込まれていない用紙が誤使用されてしまうおそれがある。
このため、本実施形態においては、送受信アンテナ51の電波が、給紙トレイ18に積層された用紙のICタグ70や排紙トレイ26に積層された用紙のICタグ70にかからないよう、送受信アンテナ51を配置している。
【0033】
図11は、送受信アンテナ51と、排紙トレイ26上でスイッチバック中の用紙P1と、排紙トレイ26上に排紙されて積載された印刷済みの用紙P2と、給紙トレイ18に積載されている用紙P3との関係を示す断面図であり、図12は、その平面図である。図12(a)は、送受信アンテナ51と、排紙トレイ26上でスイッチバック中の用紙P1と、排紙トレイ26上に排紙されて積載された印刷済みの用紙P2との関係を示した平面図で、スイッチバック中の用紙P1を一点鎖線で示している。図12(b)は、送受信アンテナ51と、給紙トレイ18に積載されている用紙P3との関係を示す平面図である。
【0034】
給紙トレイ18にセットされるICタグ付きの用紙は、用紙のおもて面、すなわちICタグが貼り付けられていない方の面が上になるようセットする。これにより、排紙トレイ26でスイッチバックし反転機構30で反転して再び印字機構部23に搬送されてきた用紙の表面が、キャリッジ9と対向するようになる。そして、送受信アンテナ51は、図11、図12(b)に示すように、おもて面が上になるように給紙トレイにセットされ積載された用紙P3のICタグ70と対向しない位置に配置している。また、送受信アンテナ51は、図11、図12(a)に示すように、排紙トレイ26に排出されて積載された印刷済みの用紙P2のICタグ70と対向しないようにも配している。さらに、送受信アンテナ51は、図11、図12(a)に示すように、排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70と対向する位置に配置する。
【0035】
上記のように送受信アンテナ51を配置することで、排紙トレイ26上でスイッチバック中の用紙のICタグと通信を行う際、図中点線で示す送受信アンテナ51の電波範囲51aに、排紙トレイ26や給紙トレイ18に積載された用紙P2、P3のICタグ70が入ることがない。よって、排紙トレイ26でスイッチバックしている搬送中の用紙P1のICタグのUIDのみが制御部60で認識される。その結果、給紙トレイ18に積層された用紙P2のICタグ70や、排紙トレイ26に積載されている用紙P3のICタグ70が、搬送中の用紙P1のICタグ70と誤認識してしまうことがない。
【0036】
また、図13に示すように、排紙トレイ26の送受信アンテナ51と給紙トレイ18との間にアルミ等からなるシールド板54を設けて、送受信アンテナ51からの電波を遮断し、給紙トレイ18に届かせないようにしてもよい。これにより、給紙トレイ18に積層された用紙P3のICタグ70に送受信アンテナ51の電波が届かないので、給紙トレイ18に積層された用紙P3のICタグ70のUIDが、搬送中の用紙のICタグ70のUIDと誤認識するのを防止することができる。
【0037】
また、図14、図15に示すように通信手段たる送受信アンテナと書込/読取手段たるリーダーライターとが一体となったハンディタイプのRFID装置50を装置本体の前カバー102に取り付けて、通常のプリンタをICタグへ書き込み/読み込みが可能なRFID専用プリンタにしても良い。このハンディタイプのRFID装置50の装置本体への取り付けは、例えば、マジックテープ(登録商標)で行うことができる。この場合、送受信アンテナ70の電波が、排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70に届くよう、図14に示すように、装置の前カバーに取り付けマーク102aなどを設けておく。そして、RFID装置50にも、同様なマーク50aを設けておき、前カバーの取り付けマーク102aとRFID装置50のマーク50aとが合うように、RFID装置50を前カバーに取り付ける。これにより、図15に示すようにRFID装置50のアンテナの電波が、排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70に届く。その結果、ハンディタイプのRFID装置50で確実に排紙トレイ26でスイッチバック中の用紙P1のICタグ70に対して書き込みや読み出しを行うことができる。また、この場合も、排紙トレイ26に積層された用紙P2のICタグ70にRFID装置50のアンテナの電波がかからないように、RFID装置50の取り付け位置を設定しておく。
【0038】
また、上記では、通信方式で用紙の記憶手段に記憶された電子情報の読み出しや、記憶手段へ情報の書き込みを行っているが、非通信方式で行っても良い。この場合は、用紙に備えられたICタグには、通信回路72に替えて接続端子を備える。また、画像形成装置には、用紙の接続端子と接触する接触端子が設けられており、この接触端子を記録媒体の搬送経路上に配置する。この接触端子は、書込/読取手段に接続されている。これにより、用紙搬送中に接続端子に接触端子が接触して、情報を読み出しまたは書き込みが行われる。
【0039】
また、磁気によって、用紙の記憶手段に記憶された電子情報の読み出しや、記憶手段への情報の書き込みを行うようにしても良い。
【0040】
(1)
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、ICタグに情報を書き込んだ後、ICタグに書き込んだ情報をICタグから読み出し、ICタグに書き込んだ情報が正常か否かをチェックすることで、ICタグに情報が正常に書き込まれたか否かがわかる。
(2)
また、ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合は、パーソナルコンピュータに、警告表示するなどのエラー処理を実行することで、用紙のICタグに情報が正しく書き込まれたか否かをユーザが認識することができる。これにより、ICタグに正しい情報が書き込まれていない用紙が使用されてしまうのを抑制することができる。
(3)
また、正常な情報が書き込まれていないICタグを備えた用紙に、所定の画像(「NG」の文字)をプリントすることで、ユーザは用紙を見ただけで、ICタグに正しい情報が書き込まれていない用紙か否かを判別することができる。これにより、ICタグに正しい情報が書き込まれていない用紙が使用されてしまうのをより、良好に抑制することができる。
(4)
また、用紙に画像を形成する前に、ICタグに書き込んだ情報が正常か否かをチェックすることで、例えば、ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合、エラー処理として画像形成を行わないようにすることができる。ICタグに書き込んだ情報が正常でない場合は、用紙に何も印刷しないようにすることで、このICタグに正常に情報が書き込まれなかった用紙を再利用することができる。
(5)
また、情報を記憶する情報記憶手段をICタグとしているので、情報を通信によりやりとりすることができる。
(6)
また、通信手段たる送受信アンテナを備えることで、情報記憶媒体と情報を通信によりやりとりすることができる。
(7)
また、送受信アンテナを用紙がスイッチバックする反転台と対向する位置に設ける。反転台に搬送されてきた用紙は、スイッチバックするために、一旦停止して、再び搬送される。このため、用紙が反転台に留まっている時間が長いので、この反転台と対向する位置に送受信アンテナを設けることで、確実に用紙のICタグに書き込みと、書き込んだデータの読み込みとを行うことができる。
(8)
また、排紙トレイを反転台として用いることで、装置をコンパクト化することができる。
(9)
また、本実施形態の画像形成装置は、インクジェット方式で用紙に画像を形成している。インクジェット方式は、トナーを用いた画像形成方式のように静電的に画像を転写したり、熱と圧力とで画像を用紙に定着させたりしなくても、用紙に画像を形成することができる。このため、インクジェット方式は、トナーを用いた画像形成方式に比べて、ICタグへの電気的なダメージや熱や圧力によるダメージを少なくすることができる。その結果、用紙への画像形成中に、書き込んだ情報が壊れたり、消えたりする不具合を抑制することができる。
(10)
また、画像を形成するインクとして、顔料系インクを用いることで、水系インクに比べて形成した画像のにじみを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの外観斜視図。
【図2】インクジェットプリンタの概略構成図。
【図3】パーソナルコンピュータに通信ケーブルを介して接続された同インクジェットプリンタの外観図。
【図4】同インクジェットプリンタをICタグへ書き込み/読み込みが可能なインクジェットプリンタに変更した図。
【図5】ICタグを備えた用紙を示す図。
【図6】ICタグの制御ブロック図。
【図7】プリンタの制御ブロック図。
【図8】ICタグを備えた用紙の印刷処理の制御フロー図。
【図9】ICタグを備えた用紙の印刷処理を行うときのシーケンス図。
【図10】UID指定時の印刷処理の制御フロー図。
【図11】送受信アンテナと、排紙トレイ上でスイッチバック中の用紙と、排紙トレイ上に排紙されて積載された印刷済みの用紙と、給紙トレイに積載されている用紙との関係を示す断面図。
【図12】(a)は、送受信アンテナと、排紙トレイ上でスイッチバック中の用紙と、排紙トレイ上に排紙されて積載された印刷済みの用紙との関係を示した平面図。(b)は、送受信アンテナと、給紙トレイに積載されている用紙との関係を示す平面図である。
【図13】排紙トレイにシールド板を設けた図。
【図14】ハンディタイプのRFID装置を装置本体の前カバーに取り付けて、ICタグへ書き込み/読み込みが可能なインクジェットプリンタした例を示す図。
【図15】ハンディタイプのRFID装置を装置本体の前カバーに取り付けたインクジェットプリンタの要部拡大構成図。
【図16】従来のインクジェットプリンタの要部構成図。
【符号の説明】
【0042】
9 キャリッジ
12 搬送ベルト
13 ヘッド
18 給紙トレイ
26 排紙トレイ
51 送受信アンテナ
52 リーダーライター
54 シールド板
70 ICタグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記憶手段を備えた記録媒体の表面に画像を形成する画像形成手段と、該記録媒体に備えられた情報記憶手段に情報の書込および該情報記憶手段から情報の読み出しを行う書込/読取手段とを備えた画像形成装置において、
上記情報記憶手段に情報を書き込んだ後、該情報記憶手段に書き込んだ情報を該情報記憶手段から読出し、該情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知する検知手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記情報記憶手段に情報を書き込んだ情報が正常でない場合、エラー処理を実行するエラー処理実行手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記エラー処理実行手段は、正常な情報が書き込まれていない情報記憶手段を備えた記録媒体に、所定の画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、
記録媒体に画像を形成する前に、上記検知手段で情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、
上記情報記憶手段として、ICタグを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、上記情報記憶手段と通信を行う通信手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
記録媒体を反転するための反転台と、反転経路とを備え、記録媒体を一旦反転台に排出し、搬送方向をスイッチバックさせて反転経路へと搬送するものであって、
上記通信手段は、該反転台と対向する位置に設けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
画像が形成された記録媒体が排出される排紙トレイを、上記反転台として用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
記録媒体に画像を形成する方式を、インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット方式としたことを特徴とした画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、
上記インクとして、顔料系インクを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
情報記憶手段を備えた記録媒体の表面に画像を形成する画像形成手段と、該記録媒体に備えられた情報記憶手段に情報の書込および該情報記憶手段から情報の読み出しを行う書込/読取手段とを備えた画像形成装置において、
上記情報記憶手段に情報を書き込んだ後、該情報記憶手段に書き込んだ情報を該情報記憶手段から読出し、該情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知する検知手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記情報記憶手段に情報を書き込んだ情報が正常でない場合、エラー処理を実行するエラー処理実行手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記エラー処理実行手段は、正常な情報が書き込まれていない情報記憶手段を備えた記録媒体に、所定の画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、
記録媒体に画像を形成する前に、上記検知手段で情報記憶手段に書き込んだ情報が正常か否かを検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、
上記情報記憶手段として、ICタグを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、上記情報記憶手段と通信を行う通信手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
記録媒体を反転するための反転台と、反転経路とを備え、記録媒体を一旦反転台に排出し、搬送方向をスイッチバックさせて反転経路へと搬送するものであって、
上記通信手段は、該反転台と対向する位置に設けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
画像が形成された記録媒体が排出される排紙トレイを、上記反転台として用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
記録媒体に画像を形成する方式を、インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット方式としたことを特徴とした画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、
上記インクとして、顔料系インクを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−76068(P2007−76068A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264446(P2005−264446)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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