説明

画像形成装置

【課題】クリーニングブレードの破損による画質欠陥の抑制効果の維持に適した画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面に電荷を付与される、電荷付与時の表面電位VH、500ms後の表面電位をVsとしたときに、上記表面に電荷を付与されてから500ms後までの表面電位の減衰率(VH−Vs)/VHが、0.12≦(VH−Vs)/VH≦0.24という関係を満たす、該表面に像が形成されて該像を保持する像保持体と、上記像保持体の表面に電荷を付与する帯電器と、上記帯電器によって電荷が付与された像保持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を、帯電したトナーで現像することで現像像を形成する像形成部と、上記像保持体に当接するクリーニングブレードとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像保持体を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタやコピー機を中心とする画像形成装置が広く普及しており、このような画像形成装置を構成する様々な要素に関する技術も広く普及している。画像形成装置の中でも電子写真方式を採用している画像形成装置では、感光体ドラムをはじめとする像保持体の上に周囲の電位とは電位が異なる静電潜像を形成することによって印刷したいパターンの形成が行われることが多く、このようにして形成された静電潜像は、トナーを含む現像剤で現像された後、最終的に記録媒体上に転写される。このとき、像保持体上に残留したトナーは、多くの場合、クリーニングブレードのようなクリーニング部材によって像保持体から擦り落とされる。最近では、画像形成装置の構成要素のうち、像保持体やクリーニングブレードを含む1群の構成要素が一体化されてセットになったプロセスカートリッジが市場に出回るようになってきており、使用者は、このプロセスカートリッジを画像形成装置に組み込むことで、像保持体やクリーニングブレードを含む、複数の構成要素をまとめて画像形成装置に組み込むことができるので、メンテナンス等が容易である。
【0003】
画像形成装置の中には、コロナ放電を利用した非接触帯電方式の帯電装置を用いて、静電潜像を形成するために像保持体を帯電する過程や画像形成後に像保持体上に残留したトナー粒子の電荷をクリーニングに適した電荷に調整するプレクリーニング過程を踏む画像形成装置が存在する。こうした非接触帯電方式の帯電装置には、帯電速度が速いという長所があるが、その反面、放電によって副次的にオゾンや窒素酸化物などの放電生成物が発生することが多いという短所がある。放電生成物が像保持体に付着すると、放電生成物が付着した像保持体表面とクリーニングブレードとの間の摩擦係数の増加を招くことが知られており、摩擦係数の増加に伴ってクリーニングブレードの負担が増大する。像保持体表面に、ある程度の量のトナーが存在するとトナーが潤滑剤として機能するので、摩擦係数が増加してもクリーニングブレードの負担が緩和されるが、像保持体における画像形成と、像保持体における次の画像形成との合間には、像保持体表面にトナーが少ない状況で像保持体表面のクリーニングが行われるため、クリーニングブレードの欠けといったクリーニングブレードの破損が発生する。このようにクリーニングブレードの破損が発生した状態で画像形成が行われると、クリーニング不良のために除去されなかったトナーにより画像抜けといった画質欠陥が起きる。最近では、こうした画質欠陥の発生を防ぐため、クリーニングブレードにより像保持体のクリーニングが行われる前に、磁気ブラシによる摺擦で、像保持体表面に付着した放電生成物を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−143039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の方法では、磁気ブラシを構成する磁性粒子の量で、磁気ブラシの摺擦力が決定する。しかしながら磁性粒子の量は、画像形成の過程で変動しやすく、使用者側が制御するのが難しいパラメタである。このため、特許文献1記載の方法では、クリーニングブレードの破損を抑える能力が安定していないという欠点がある。
【0005】
特に、連続紙と呼ばれる、長くつながった用紙を用いて連続出力を行う連続紙用画像形成装置においては、連続紙上の限られた領域に画像が出力されることが多いので、連続出力の際には像保持体表面上でトナーの付着が少ない箇所が恒常的に存在しており、そうした箇所をクリーニングすることでクリーニングブレードの破損が起こりやすいので、破損防止効果を維持し続けることは重要な問題となる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、クリーニングブレードの破損による画質欠陥の抑制効果の維持に適した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の第1の画像形成装置は、
表面に電荷を付与される、電荷付与時の表面電位VH、500ms後の表面電位をVsとしたときに、上記表面に電荷を付与されてから500ms後までの表面電位の減衰率(VH−Vs)/VHが、
0.12≦(VH−Vs)/VH≦0.24
という関係を満たす、該表面に像が形成されて該像を保持する像保持体と、
上記像保持体の表面に電荷を付与する帯電器と、
上記帯電器によって電荷が付与された像保持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を、帯電したトナーで現像することで現像像を形成する像形成部と、
上記像保持体に当接するクリーニングブレードとを備えたことを特徴とする。
【0008】
従来の画像形成装置では、表面電位の減衰率が上記の式の左辺の0.12より小さく、減衰しにくい像保持体が用いられている。このような像保持体では、静電潜像以外には帯電トナーが付着しにくいという利点があるものの、そのために、帯電トナーが潤滑剤として機能しにくく、像保持体とクリーニングブレードと像保持体との間の摩擦が大きくなるという欠点がある。
【0009】
一方、本発明の画像形成装置は、表面電位の減衰率が上記の関係を満たす、従来よりも減衰率の大きい像保持体を備えている。ここで、所定電位に達してから500ms後の表面電位の減衰率が、上記の式の下限値である0.12以上であれば、帯電トナーが、像保持体表面に供給されやすくなり、クリーニングブレードと像保持体との間の摩擦が小さくなる。また、所定電位に達してから500ms後の表面電位の減衰率が、上記の式の上限値である0.24以下であれば、像保持体にトナーが供給されすぎることも防ぐことができる。
【0010】
従って、本発明の画像形成装置は、表面電位が上記の関係を満たす減衰する像保持体を備えることで、クリーニングブレードと像保持体との間の摩擦の抑制と、帯電トナーの過度な供給の抑制との両方を実現することができる。また、表面電位の減衰率は、像保持体の内部の構成に因るところが大きく、像保持体表面の経時変化の影響を受けにくい。そこで、本発明の画像形成装置は、上記の抑制効果を長期間維持することができる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の第2の画像形成装置は、
表面に電荷を付与される、電荷付与時の表面電位VH、500ms後の表面電位をVsとしたときに、上記表面に電荷を付与されてから500ms後までの表面電位の減衰率(VH−Vs)/VHが、
0.12≦(VH−Vs)/VH≦0.24
という関係を満たす、該表面に像が形成されて該像を保持する像保持体と、
上記像保持体の表面に電荷を付与する帯電器と、
上記帯電器によって電荷が付与された像保持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を、帯電したトナーで現像することで現像像を形成する像形成部と、
上記像保持体に当接するクリーニングブレードと、
上記像形成部で形成された現像像を連続紙上に転写する転写部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
一般に、連続紙を用いて高速で連続出力を行う画像形成装置では、クリーニングブレードの破損が発生やすいが、本発明の画像形成装置を適用することで、クリーニングブレードの破損を効果的に抑えることができる。
【0013】
また、本発明の第1の画像形成装置および本発明の第2の画像形成装置において、「上記帯電器は、コロナ放電を起こして生成した電荷を上記像保持体に付与するもの」であってもよい。
【0014】
一般に、コロナ放電を起こして電荷を生成する帯電器は、帯電速度が早いという長所があるものの、放電生成物が像保持体に付着して、像保持体表面とクリーニングブレードとの間の摩擦係数の増加を招くという短所がある。本発明の第1の画像形成装置および本発明の第2の画像形成装置では、コロナ放電を起こす帯電器が採用されても、クリーニングブレードと像保持体との間の摩擦が小さいので、クリーニングブレードの破損が発生しにくく、上記の長所を生かすことができる。
【0015】
また、本発明の第1の画像形成装置では、「現像像の転写の後に上記像保持体上に残留したトナーの電荷の極性を調整する極性調整部を備え、上記極性調整部が、コロナ放電を起こして生成した電荷を、上記記録媒体あるいは上記トナーに付与することで、上記トナーの電荷の極性の調整を行うものである」という形態が採用可能であり、本発明の第2の画像形成装置では、「現像像の転写の後に上記像保持体上に残留したトナーの電荷の極性を調整する極性調整部を備え、上記転写部と上記極性調整部のうち、少なくとも一方は、コロナ放電を起こして生成した電荷を、上記記録媒体あるいは上記トナーに付与することで、上記現像像の上記記録媒体上への転写あるいは上記トナーの電荷の極性の調整を行うものである」という形態が採用可能である。
【0016】
一般に、コロナ放電を起こして電荷を生成する、上記の転写部、あるいは上記の極性調整部には、高い作業効率を発揮できるという長所があるものの、放電生成物が像保持体に付着して、像保持体表面とクリーニングブレードとの間の摩擦係数の増加を招くという短所がある。本発明の第1の画像形成装置および本発明の第2の画像形成装置では、コロナ放電を起こして電荷を生成する極性調整部等が採用されても、クリーニングブレードと像保持体との間の摩擦が小さいので、放電生成物に起因するクリーニングブレードの破損が発生しにくく、上記の長所を生かすことができる。
【0017】
また、本発明の第1の画像形成装置および本発明の第2の画像形成装置において、「上記像形成部は、現像像を形成するにあたり、ブラックのトナーを用いるものであって、さらに、上記静電潜像に対する背景に、光学的濃度が、0.02以上0.06以下の範囲に属する量のブラックのトナーを付着させるものである」という形態は好ましい形態である。
【0018】
このような形態によれば、クリーニングブレードの破損による画像抜けの発生が抑制されるのに充分な量のトナーであって、目立ったカブリが発生しない程度のトナーが、上記像保持体上に供給される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、クリーニングブレードの破損による画質欠陥の抑制効果を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【0022】
この画像形成装置1000は、電子写真方式を採用した、連続紙用のモノクロ片面出力プリンタであって、高速で連続出力を行うことができる。この画像形成装置1000は、電子写真方式用の積層型の像保持体であって、図の矢印B方向に回転する像保持体61と、電源65’から電力の供給を受けて、コロナ放電を起こして像保持体61に電荷を供給することで像保持体61をマイナス帯電するスコロトロン65、帯電された像保持体61上にレーザ光を照射することにより、周囲より電位の高くなった静電潜像を形成する露光部7、像保持体61上の静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して現像像を形成する現像器64が備えられている。ここで、トナーは、静電潜像の現像に先立ち、あらかじめ現像器64内でマイナス帯電されている。静電潜像の現像の際には、静電潜像の電位よりも、トナーが付着した現像ロール640の電位が低くなるように、現像バイアス印加部641により現像ロール640にバイアス電圧が印加されることで、現像ロール640から静電潜像にトナーが付着して上記の静電潜像の現像が実現する。なお、ここでは、マイナス帯電されるトナーを採用した実施形態を例にとって説明するが、本発明では、プラス帯電されるトナーが採用されてもよく、この場合には、像保持体上に、周囲より電位が低くなった静電潜像が形成され、さらに静電潜像の電位よりも、トナーが付着した現像ロールの電位が高くなるように、バイアス電圧の印加が行われる。
【0023】
また、この画像形成装置1000には、転写電圧印加部9’からの電圧印加により発生した電荷を用紙に与えて帯電させることで、現像像を形成するトナーを用紙上に引きつけて像保持体61から用紙への転写を実現させる転写用コロトロン9、極性調整用電圧印加部66’からの電圧印加により発生した電荷を、転写後に残留したトナーに与えて、残留トナーの電荷の極性を揃える極性調整用コロトロン66、残留トナーをクリーニングブレード620を用いてクリーニングするクリーニング装置62、像保持体上の付着物の電荷を除去するための除電ランプ7’も備えられている。
【0024】
また、上記の像保持体61は、図1に垂直な方向に延びたロール状であって、そのロールの両端は、支持部材100’にロールが回転可能な様態で支持されている。支持部材100’には、スコロトロン65、クリーニング装置62、および現像器64も接続されている。このような構成を備えることで、スコロトロン65、像保持体61、クリーニング装置62、および現像器64は、支持部材100’と一体化されてプロセスカートリッジ100の構成要素となっている。画像形成装置1000にこのプロセスカートリッジ100が組み込まれることにより、プロセスカートリッジ100の構成要素である各部が画像形成装置1000に備えられることとなる。ここで、プロセスカートリッジ100が、本発明のプロセスカートリッジの一実施形態に相当する。
【0025】
また、この画像形成装置1000には、用紙上に転写された転写像の定着を行う定着器10、用紙を蓄える用紙蓄積部1も備えられている。ここで、用紙蓄積部1に蓄えられている用紙は、連続紙と呼ばれる、長くつながった用紙であって、この画像形成装置1000は、この連続紙を用いて高速の連続出力を実行する。
【0026】
次に、この画像形成装置1000における画像形成の動作について説明する。
【0027】
像保持体61は、スコロトロン65により帯電され、さらに露光部7から照射されるレーザ光を受けて像保持体上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器64によってトナーを含む現像剤で現像されて現像像が形成される。一方、このような現像像の形成と呼応して、連続紙が用紙蓄積部1から取り出されて転写用コロトロン9の位置まで不図示の搬送ロールによって搬送され、転写用コロトロン9によって、上述の現像像が、搬送されてきた用紙に転写される。さらに、用紙上の転写像に対して定着器10により定着処理が施され、定着処理後、定着像を有する用紙が図の左方向に排出される。
【0028】
以上が、この画像形成装置1000における画像形成の動作についての説明である。
【0029】
一般に、スコロトロンやコロトロンといった、コロナ放電を利用して電荷を生成する帯電装置を用いて、像保持体や残留トナーの帯電、像の転写を行う画像形成装置では、コロナ放電によって副次的にオゾンや窒素酸化物などの放電生成物が発生することが多い。放電生成物が像保持体に付着すると、放電生成物が付着した像保持体表面とクリーニングブレードとの間の摩擦係数の増加を招くことが知られており、摩擦係数の増加に伴ってクリーニングブレードの負担が増大する。像保持体表面に、ある程度の量のトナーが存在するとトナーが潤滑剤として機能するので、摩擦係数が増加してもクリーニングブレードの負担が緩和されるが、像保持体上における画像形成と、像保持体上における次の画像形成との合間では、像保持体表面にトナーが少ない状況で像保持体表面のクリーニングが行われるため、クリーニングブレードの欠けといったクリーニングブレードの破損が発生する。このようにクリーニングブレードの破損が発生した状態で画像形成が行われると、クリーニング不良のために除去されなかったトナーにより画像抜けといった画質欠陥が起きる。
【0030】
特に、連続出力を行う連続紙用画像形成装置においては、像保持体表面上の限られた領域に画像が出力されるために、像保持体表面上でトナーの付着が少ない箇所が連続出力の際には恒常的に存在しており、そうした箇所をクリーニングすることでクリーニングブレードの破損が起こりやすい。
【0031】
図1の画像形成装置1000では、こうしたクリーニングブレードの破損を防ぐため、画像形成装置1000では、静電潜像形成の合間などの、像保持体61の帯電とバイアス電圧の印加は行われるが静電潜像は形成されない画像形成休止時でも、少量のトナーが、像保持体61表面に供給されるように工夫が凝らされている。
【0032】
スコロトロン65による帯電を受けた像保持体61表面の電位は、帯電時から時間が経過するにつれ、少しずつ電位ゼロに向かって(すなわち、電位が高くなる方向に)減衰していく。このため、像保持体61の表面がスコロトロン65によりそれぞれ帯電を受けた後、像保持体61が回転して、現像ロール640の近くにさしかかる時には、像保持体61の表面電位は、スコロトロン65の位置から現像ロール640近くまで移動するのにかかる時間に応じて減衰することとなる。この画像形成装置1000では、上記の画像形成休止時において、スコロトロン65近くの像保持体61表面の電位は現像ロール640の電位よりも十分に低いが、現像ロール640の近くでの表面電位は、現像ロール640の電位よりも若干高くなるように、電位が減衰しやすい像保持体61が採用されている。具体的には、像保持体61では、帯電直後の表面電位をVHとし、500ms後の電位をVsとしたときに、500ms後の減衰率(VH−Vs)/VHが、下記の領域に属している。
0.12≦(VH−Vs)/VH≦0.24 (1)
500ms後の減衰率が0.12以上の像保持体を採用することで、画像形成休止時でも、少量ではあるが、クリーニングブレードの破損を防ぐのに充分な量のマイナス帯電トナーが、像保持体表面にそれぞれ供給されることとなり、クリーニングブレードの破損にに伴う画像抜けの発生が抑えられる。また、500ms後の減衰率が0.24以下の像保持体を採用することで、現像ロールの近くの像保持体表面の電位を、現像ロールの電位よりも若干高い程度とすることができ、こうすることで、画像形成が開始された時にトナーが静電潜像以外の箇所に付着しすぎて画像に汚れ(カブリ)が生じることが抑制される。
【0033】
実際には、像保持体61の表面電位の減衰率を式(1)の領域に属するようにすることで、像保持体61上に付着した、上述の少量のトナーの濃度(単位はSAD)は、像保持体61上のトナーを市販の粘着透明テープに写し取って測定した濃度で0.02以上0.06以下の範囲の小さい濃度に抑えられている。なお、このトナー濃度の測定には、X−Rite 404(X−Rite社製)を用いることができる。
【0034】
まとめると、画像形成装置1000では、500ms後の減衰率が式(1)の領域に属している像保持体61を採用することで、画像抜けの発生とカブリの発生の両方を抑えることができる。また、後述するように、減衰率の調整は像保持体作成時において像保持体内部の電荷発生層の構成を調整することによって実現でき、画像形成の環境にあまり影響されない。このため、画像形成装置1000では、画像形成が繰り返されても、画像抜けの発生とカブリの発生を抑える効果を、長期間維持することができる。
【0035】
なお、500ms後の減衰率が式(1)の領域内の値よりもずっと小さい像保持体を採用し、帯電直後の像保持体表面の電位を、最初から現像ロールの電位よりも若干高い程度に設定することで、画像抜けの発生とカブリの発生の両方を抑える方式も考えられる。しかし、この方式では、現像ロールからトナーが像保持体表面全体に向かって飛び散りやすいという欠点がある。本実施形態の画像形成装置1000のように、帯電直後の表面電位と、現像ロール640の近くでの表面電位とに差が出るよう工夫することで、トナーは、現像ロールの近くにさしかかった像保持体の表面に集中して付着するようになり、トナーの飛び散りが抑制される。
【0036】
次に、図1に示す像保持体の構成について説明する。
【0037】
図2は、図1に示す像保持体の層構造を表した模式的な断面図である。
【0038】
図1に示す像保持体61は、導電性の基体610の上に、像保持体61への入射光が基体610表面で反射することを防止するための下引き層611と、図1に示す露光部部7のレーザ光を受けて、電荷を有するキャリアを発生する電荷発生層612と、キャリアが輸送される電荷輸送層613が、順次重なった構成を備えている。
【0039】
以下、これら電荷輸送層613、電荷発生層612、下引き層611、および基体610について説明する。
【0040】
基体610の材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類が採用可能である。また、これらの金属や、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等でできた金属膜を貼り付けたプラスチックフィルムも採用可能であるし、導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等も基体610の材料として採用可能である。
【0041】
下引き層611は、基体610表面から電荷発生層612や電荷輸送層613へ不要なキャリアが流入することを防止する役割を果たしている。また、基体610における光の反射を防止する役割を果たす層とすることも可能である。下引き層611の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物や、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物や、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物や、アンチモンアルコキシド化合物や、ゲルマニウムアルコキシド化合物や、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物や、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物や、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物や、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物や、アルミニウムチタンアルコキシド化合物や、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。下引き層611は、上記の材料や結着樹脂を含む塗布液を、基体610上に塗布することによって作成される。ここで、結着樹脂としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0042】
また、下引き層611としては、金属酸化物微粒子(無機微粒子)を含有せしめたものが、特に好適に用いられる。金属酸化物微粒子としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の金属酸化物より任意に選択できるが、例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種以上の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。また、これらの金属酸化物微粒子は、少なくとも1種以上のカップリング剤で被覆されていることがより好ましく、カップリング剤としてはシランカップリング剤がより好ましい。
また、下引き層611は、基体610からの光の反射を防止するため上述の金属酸化物粒子の他にさらに別の粒子を添加することができる。この別の粒子としては有機粒子が挙げられ、具体的にはシリコン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート架橋樹脂粒子などが挙げられる。
また、下引き層611中に電子輸送性顔料を混合/分散させてもよい。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
【0043】
電荷発生層612は、光の照射を受けて電荷を発生する特性を持つ電荷発生材料(図2では、電荷発生材料の粒子6120が図示されている)を備えており、この電荷発生層612は、結着樹脂の溶液中に電荷発生材料の粒子6120を分散させた塗布液を、下引き層611の上に塗布することで作成される。電荷発生層612が、レーザ光の照射を受けてどのくらい電荷を発生するかは、例えば、電荷発生材料の粒子の、体積平均粒径(平均1次粒径)や電荷発生層中での電荷発生材料の粒子の分散の程度によって決定し、これらの値を変更することで像保持体61表面の電位の減衰率を変えることができる。ここで、電荷発生層中における電荷発生材料の粒子の分散の程度は、結着樹脂溶液中で電荷発生材料の粒子を分散処理する時間(以下、分散時間と呼ぶ)によって制御することができ、分散時間が長いほど電荷発生材料の粒子が凝集していない電荷発生層が得られ、像保持体表面の電位の減衰率は大きくなる。一方、体積平均粒径については、定性的には、電荷発生材料の粒子の体積平均粒径が大きいほど、表面電位の減衰率が大きくなるという傾向がある。
【0044】
図2の電荷発生層612で用いられている電荷発生材料の粒子6120は、体積平均粒径が0.05μm以上0.30μm以下の範囲に属する粒子である。体積平均粒径が0.05μm未満であると、体積平均粒径を変えることで像保持体の表面電位の減衰率を制御するのが困難となる。また、体積平均粒径が0.3μmより大きいと、像保持体表面に局所的な帯電不良が発生し、画像上に黒点が現れるという画質欠陥が生じる。
【0045】
また、電荷発生層612の作成の際の、電荷発生材料の粒子の分散時間は、2時間以上6時間以下である。この範囲に属するような分散時間であれば、電荷発生材料の粒子の体積平均粒径を上記の範囲内で適宜選択することで、上述の式(1)の範囲に属する減衰率の像保持体が作成できる。
【0046】
電荷発生材料としては、従来から知られている電荷発生物質が採用可能であるが、中でも、フタロシアニン顔料が好ましく用いられる。さらに、フタロシアニン顔料の中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニンがさらに好ましく用いられる。
【0047】
また、電荷発生層612で用いられる結着樹脂は、絶縁性樹脂であれがよく、好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。電荷発生物質と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1乃至1:10の範囲が好ましく、さらには、8:2乃至3:7の範囲がより好ましい。
【0048】
電荷発生層612を形成する際に用いられる結着樹脂溶液は、結着樹脂を有機溶剤に溶解することで得られる。この有機溶剤としては、結着樹脂を溶解可能なもの、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等の溶剤が使用可能である。より具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0049】
また、電荷発生材料を結着樹脂溶液中に分散する方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。ここで、電荷発生材料は、分散性を向上させるため、表面処理を施すことが可能である。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるが、これに限定されるものではない。カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、カップリング剤の他に、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物を配合してもよい。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
【0050】
なお、本発明の像保持体は、下引き層611と電荷発生層612との間に、接着性を向上させるための層である中間層が備えられていてもよい。
【0051】
電荷輸送層613は、電荷発生層612で発生した電荷を輸送するための電荷輸送材料を備えており、この電荷発生層612は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む塗布液が、電荷発生層612の上に塗布されることで作成される。
【0052】
電荷輸送物質としては、具体的には、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニルN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル]−(1−ナフチル)−フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリルキナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送材料が挙げられる。なお、電子輸送材料を用いる場合には、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等が使用可能である。さらに、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体を用いることもできる。これらの電荷輸送物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0053】
また、電荷輸送層613の結着樹脂としては、電機絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(質量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。
【0054】
また、電荷輸送層用の塗布液には、結着樹脂が溶解する溶剤が用いられる。この溶剤としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば公知の有機溶剤より任意に選択できるが、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が好適に使用される。また、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送層613の厚みは、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下である。
【0055】
また、電荷輸送層613には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加することができる。
【0056】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’,−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と呼ばれ、フェノール系又はアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
【0057】
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5’,6”−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。その他の化合物として2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメート等がある。
【0058】
また、電荷輸送層613には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。電子受容性物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニルキノン、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系や、Cl−、CN−、NO2−等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0059】
また、電荷輸送層613には、磨耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることができる。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(例えば、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン及びそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。固形潤滑剤を分散すると、電荷輸送層表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散すると、電荷輸送層の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のためフッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。また、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
【0060】
以上の説明では、図1の像保持体61は、図2に示すように、電荷輸送層613、電荷発生層612、下引き層611、および基体610の4層構成であったが、本発明は、電荷輸送層613の役割と電荷発生層612の役割を、単層で行う像保持体や、図1の4つの層に加えて、像保持体を保護するために像保持体表面に設けられた保護層を有する像保持体も採用できる。これらの像保持体を採用した画像形成装置の構成および動作は、像保持体の構成が異なる点を除き、図1において説明した画像形成装置1000の構成および動作と同じである。そこで、以下では、これらの像保持体の構成に絞って説明を行う。
【0061】
図3は、電荷輸送層の役割と電荷発生層の役割を、単層で行う像保持体の構成を模式的に表した図、図4は、保護層が設けられている像保持体の構成を模式的に表した図である。
【0062】
ここで、図3および図4においては、図2の構成要素と同一の構成要素については同一の符号が付されており、これらのついての重複説明は省略する。
【0063】
図3に示す像保持体では、図2に示す電荷輸送層613および電荷発生層612の代わりに、これら2層の役割を担う感光層612’が備えられている。この感光層612’の中に、図1において上述した電荷発生材料の粒子6120が分散されることで、図3に示す像保持体は、500ms後の減衰率が式(1)の範囲に属する像保持体となっている。
【0064】
図4に示す像保持体では、図2の、電荷輸送層613、電荷発生層612、下引き層611、および基体610に加えて、像保持体を保護するための保護層614が設けられている。保護層614の材料としては、下記一般式 (I) で表される化合物を含んで形成される硬化膜が好ましい。
F−[D−A]b (I)
ここで、一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を表し、Dは2価の基を表し、Aは−SiR13−a(OR2)で表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、bは1以上4以下の整数を表す。ここで、R1は水素、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基を表し、R2は水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。aは1以上3以下の整数を表す。一般式(I)中のA、すなわち−SiR13−a(OR2)で表される加水分解性基を有する置換ケイ素基は、架橋反応による3次元的なSi−O−Si結合(無機ガラス質ネットワーク)を形成する役割を担っている。また、一般式(I)中、Fは、光電特性、より具体的には光キャリア輸送特性を有する有機基であり、従来、電荷輸送物質として知られている光機能性化合物の構造をそのまま用いることができる。Fで表される有機基としては、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、などの正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などの電子輸送性を有する化合物骨格等が挙げられる。Fで表される有機基の好ましい例としては、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。Fが一般式(II)で表される基であると、特に優れた光電特性と機械特性を示す。
【0065】
【化1】

【0066】
一般式(II) 中、Ar1,Ar2,Ar3,Ar4は、それぞれ独立に置換あるいは未置換のアリール基を表す。Ar5は、置換あるいは未置換のアリール基、又はアリーレン基を表す。Ar1,Ar2,Ar3,Ar4のうちb個は、−D−SiR13−a(OR2)aで表される基に結合する。kは0又は1を表す。上記一般式(II)中のAr1,Ar2,Ar3,Ar4としては、下記式(II−1)から式(II−7)までの式のうちのいずれかであることが好ましい。
【0067】
【化2】

【0068】
【化3】

【0069】
【化4】

【0070】
【化5】

【0071】
【化6】

【0072】
【化7】

【0073】
−Ar−Z’−Ar−X (II−7)
式(II−1)から式(II−7)までの式において、R6は水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R7,R8,R9はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Xは一般式(I)中の−D1−SiR13−a(OR2)を表し、m及びsはそれぞれ0又は1を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
ここで、式(II−7)中のArとしては、下記式(II−8)又は(II−9)で表されるものが好ましい。
【0074】
【化8】

【0075】
【化9】

【0076】
式(II−8)および(II−9)式において、R10及びR11はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
また、式(II−7)中のZ’としては、下記式(II−10)から式(II−17)までの式のうちのいずれかで表されるものが好ましい。
−(CH− (II−10)
−(CHCHO)− (II−11)
【0077】
【化10】

【0078】
【化11】

【0079】
【化12】

【0080】
【化13】

【0081】
【化14】

【0082】
【化15】

【0083】
式(II−10)から式(II−17)までの式においては、R12及びR13はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。上記式(II−16)および(II−17)中のWとしては、下記(II−18)から式(II−26)までの式で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。
【0084】
−CH− (II−18)
−C(CH− (II−19)
−O− (II−20)
−S− (II−21)
−C(CF− (II−22)
−Si(CH− (II−23)
【0085】
【化16】

【0086】
【化17】

【0087】
【化18】

【0088】
ここで、uは0以上3以下の整数を表す。また、一般式(II)中、Ar5は、kが0のときはAr1,Ar2,Ar3,Ar4の説明で例示されたアリール基であり、kが1のときはかかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。一般式(I)中、Dで表される2価の基は、光電特性を付与するFと3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合するAとを結びつける働きを担い、且つ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担うものである。Dで表される2価の基としては、具体的には、−CnH2n−、−C2n−2−、−C2n−4−で表わされる2価の炭化水素基(nは1以上15以下の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH−C−、−N=CH−、−C−C−、及びこれらを組み合わせたものや置換基を導入したもの等が挙げられる。一般式(I)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物がSi原子を2個以上有することになり、無機ガラス質ネットワークの形成が容易となり、機械的強度が向上する傾向にある。一般式(I)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、一般式(I)で表される化合物と共に、硬化膜の機械的強度をさらに向上させる目的で、下記一般式(III)で表される化合物を併用してもよい。
B−An (III)
一般式(III)中、Aは−SiR13−a(OR2)で表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す。ここで、R1、R2、aは一般式(I)中のR1、R2、aと同様である。Bは、枝分かれを含んでもよい2価以上の炭化水素基、2価以上のフェニル基及び−NH−から選ばれる基の少なくとも1つ、或いはこれらの組み合わせから構成される。nは2以上の整数を表す。一般式(III)で表される化合物は、A、すなわち−SiR13−a(OR2)で表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。この一般式 (III)で表される化合物は、一般式(I)で表される化合物との反応又は一般式(III)で表される化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。一般式(III)で表される化合物と一般式(I)で表される化合物とを併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になり易く、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。一般式(III)で表される化合物の好ましい例を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
一般式(I)で表される化合物と共に、さらに架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−4101007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0091】
また、保護層614には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、感光体表面に対する放電生成物、現像剤および紙粉などの付着を防止する効果も有し、感光体の寿命向上に役立つ。フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが望ましい。そのようなフッ素含有化合物の例として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。フッ素含有化合物の含有量は、保護層614全量を基準として20質量%以下とすることが好ましい。フッ素含有化合物の含有量が20質量%を超えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
【0092】
また、上記化合物を含む保護層614は十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の含有量としては、保護層614全量を基準として15質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0093】
また、保護層614には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知のものを用いることができる。
【0094】
保護層614は、上記化合物を含有する塗布液を電荷輸送層613上に塗布し、加熱処理することで形成される。これにより、一般式(I)で表される化合物等が3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜が形成される。加熱処理の温度は、下層に影響しなければ特に制限はないが、好ましくは室温以上200℃以下、より好ましくは100以上160℃以下である。架橋硬化反応は、無触媒で行なってもよく、また、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、オクエ酸第一スズ等の有機スズ化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
【0095】
また、保護層用塗布液の塗布を容易にするため、必要に応じて溶剤を添加して用いることができる。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。また、塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。
このようにして形成される保護層614の膜厚は、好ましくは0.5μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下である。
【0096】
以下では、上述の式(1)の範囲に属する減衰率の像保持体を備えることで、画像抜けの発生とカブリの発生が抑えられることを、具体的な実験データに基づいて説明する。
(実施例1)
酸化亜鉛(平均一次粒径70nm:テイカ社製:比表面積15m/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理された酸化亜鉛顔料を得た。この酸化亜鉛顔料60質量部と、硬化剤であるブロック化イソシアネート スミジュール3175(住友バイエルンウレタン社製)12質量部と、ブチラール樹脂 エスレック BM−1(積水化学社製)8質量部を、メチルエチルケトン92質量部に溶解した溶液60質量部を、1mmΦのガラスビーズを用いてペイントシェーカーで0.3時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子トスパール145(GE東芝シリコーン社製)3質量部を添加し、下引き層塗布用液を得た。得られた塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ327mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ20μmの下引き層を得た。
【0097】
次に、BET比表面積が43.8m/g、体積平均粒径が0.26μmであるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料18質量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH:日本ユニカー社製)16質量部、n−酢酸ブチル100質量部からなる混合物を、容量100mLガラス瓶中に1.0mmφガラスビーズを充填率50%とともに入れてペイントシェーカーを用いて2.5時間分散処理し、電荷発生層用の塗布液を得た。
【0098】
ここで、BET比表面積とは、液体窒素温度下において試料となる無機化合物の粒子に窒素ガスを吸着させ、そのときの窒素吸着量から得られる実効的な表面積であり、BET比表面積をSとすると、BET比表面積Sは、下記の式を用いて決定される。
S=n×(1−P/Ps)×A×s
上式において、nは窒素吸着量(モル)、Pは吸着平衡圧、Psは窒素ガスの飽和蒸気圧、Aはアボガドロ数、sは窒素分子の占有断面積を表している。なお、吸着されるガスとしては、窒素ガスが最も簡便であるが、他の種類の気体を吸着させることによっても同様にして比表面積を求めることができる。この実施例では、比表面積の測定にあたり、窒素置換法を採用している島津製作所製フローソープII2300を用いた。
【0099】
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の体積平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製:LA−700)を用いて測定した。
【0100】
なお、一般に、粒子の形状が所定形状(例えば、球形)であれば、BET比表面積と体積平均粒径とは、粒子の特徴を記述するパラメータとしては互いに相関のあるパラメータである。そこで、上述した像保持体の表面電位の減衰率を制御する上では、どちらか一方の大きさを制御すればよいが、この実施例では、念のため、BET比表面積と体積平均粒径との両方について測定を行っている。
【0101】
上記の電荷発生層用の塗布液を、上述した下引き層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4質量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万)6質量部とをテトラヒドロフラン60質量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、さらに150℃、30分の乾燥を行うことにより膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。この作業により電子写真感光体が完成した。
【0102】
この電子写真感光体を、図1の画像形成装置と同様の構成を備えた、連続紙用画像形成装置に搭載した。そして、この連続紙用画像形成装置を用いて、連続紙4000枚(A4長手方向幅と同じ幅の連続紙であり、連続紙長さ方向に、A4短手方向と同じ幅を有する間隔のミシン目で区切られた領域を1枚として換算した。)に画像を連続出力させた。この連続出力の初期および4000枚目において、それぞれ、画像抜けの有無を目視によって判定した。また、この連続出力の初期および4000枚目において、カブリの程度を、目視による観察結果に基づき、下記のカテゴリーに分けて評価した。
<カブリ評価>
A:カブリが全く見えない
B:カブリが極薄く見える
C:カブリが薄く見える
D:カブリがはっきり見える
E:カブリが濃く見える
F:カブリが極めて濃く見える
このような評価方法では、画像抜けおよびカブリについて、C以上(すなわち、A,B,Cのいずれか)の評価が得られれば、画質上特に問題はないということができる。
【0103】
また、上記の画質評価とともに、非印字領域に存在するトナー量の測定を行った。具体的には、A4長手方向と同じ幅を有する連続紙にA4用紙2枚分の出力をさせるよう指示を出しておいて、1枚目の出力後、2枚目の全面白画像が電子写真感光体上から連続紙に転写される前に、強制的に電源を切り、電子写真感光体上に存在しているトナー量の測定を行った。トナー量の測定は、テープ転写法により行った。電子写真感光体上に粘着テープ(住友スリーエム社製:メンディングテープ810)を貼り付け、粘着テープ上にトナーを転写したのち、粘着テープを剥がし、市販のOHPシートに粘着テープを貼り付けた。トナーが転写された粘着テープを貼り付けたOHPシートを、粘着テープを貼り付けた面が下になるように、白色コピー用紙の上に置き、濃度計にてトナー濃度(単位はSAD)を測定した。トナー濃度の測定は、X−Rite 404(X−Rite社製)を用いて行った。
【0104】
また、上記の製造方法で製造した電子写真感光体の暗減衰特性を、連続回転式表面電位測定器にて測定した。この測定の際の、連続回転式表面電位測定器の測定条件は、測定時間間隔500ms、測定温度20℃、測定湿度40%RHである。そして、上記の電子写真感光体を帯電電位−500[V]に帯電し、この帯電電位−500[V]を、式(1)中のVHとし、500ms後の表面電位Vsを測定して、減衰率(VH−Vs)/VHを算出した。この実施例1における、減衰率(VH−Vs)/VH、トナー濃度、連続紙出力の初期および4000枚目における画質評価(画像抜けの有無およびカブリの程度についての評価)の結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、電荷発生層用塗布液の分散処理時間を3.0時間とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、電荷発生層用塗布液作製に用いるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料として、BET比表面積が68.3m/g、体積平均粒径が0.07μmであるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用い、分散処理時間を5.0時間とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例3において、電荷発生層用塗布液の分散処理時間を6.0時間とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例3において、電荷発生層用塗布液の分散処理時間を1.5時間とした以外は、実施例3と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例3において、電荷発生層用塗布液の分散処理時間を2.0時間とした以外は、実施例3と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例3において、電荷発生層用塗布液の分散処理時間を3.0時間とした以外は、実施例3と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例1において、電荷発生層用塗布液作製に用いるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料として、BET比表面積が41.4m/g、体積平均粒径が0.29μmであるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用い、分散処理時間を5.0時間とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例1において、電荷発生層用塗布液作製に用いるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料として、BET比表面積が41.4m/g、体積平均粒径が0.29μmであるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用い、分散処理時間を6.0時間とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0105】
【表2】

【0106】
体積平均粒径がいずれも0.7μmであるが、分散時間が互いに異なるために、500ms後の表面電位の減衰率が互いに異なる実施例3、実施例4、比較例1、比較例2、および比較例3の中で比較を行うと、分散時間が3時間以下であって減衰率が0.1以下となっている比較例1、比較例2、および比較例3では、カブリが全く見えないものの(評価はA)、4000枚出力後において画像抜けが発生したという結果が得られているのに対し、分散時間が5時間で減衰率が0.20の実施例3や、分散時間が6時間で減衰率が0.24の実施例4では、カブリが極薄く見える程度であって(評価はB)、画像抜けは発生していないという結果が得られている。このことから、少なくとも減衰率が0.20以上0.24以下であれば、カブリと画像抜けの両方を抑制できることがわかる。実際、比較例1,比較例2,および比較例3では、トナー濃度が0.01と大変小さいのに対し、実施例3ではトナー濃度が0.05、実施例4ではトナー濃度が0.06と若干大きくなっており、この程度のトナー濃度であれば、4000枚連続出力後の画像抜けの発生が充分に抑制され、さらには、カブリも抑制できることがわかる。
【0107】
また、体積平均粒径については0.26μm以上0.29μm以下の同程度の体積平均粒径であるが、分散時間が互いに異なるために、500ms後の表面電位の減衰率が互いに異なる実施例1,実施例2、比較例4、および比較例5の中で比較を行うと、画像抜けについては、いずれも画像抜けが全く発生していないが、カブリについては、分散時間が5時間以上であって減衰率が0.28以上となっている比較例4および比較例5では、カブリがはっきり見えるか(評価はD)、あるいは濃く見えるという結果(評価はE)得られているのに対し、分散時間が2.5時間で減衰率が0.12の実施例1や、分散時間が3.0時間で減衰率が0.15の実施例2では、評価が一番低い実施例2であってもカブリが極薄く見える程度(評価はB)にとどまっている。このことから、少なくとも減衰率が0.12以上0.15以下であれば、カブリと画像抜けの両方を抑制できることがわかる。実際、比較例4および比較例5では、トナー濃度が0.07以上と大変大きいのに対し、実施例1ではトナー濃度が0.03、実施例4ではトナー濃度が0.04と少し小さい値となっており、この程度のトナー濃度であれば、カブリの発生が充分に抑えられ、さらには、4000枚連続出力後の画像抜けの発生も抑えられるということがわかる。
【0108】
以上の実施例1、実施例2の結果から、減衰率が0.20以上0.24以下であれば、カブリと画像抜けの両方が充分抑制できることがわかり、一方、実施例3、および実施例4の結果から、減衰率が0.12以上0.15以下であれば、カブリと画像抜けの両方が充分抑制できることがわかる。そこで、これらをひとまとめにして考えると、減衰率が0.12以上0.24以下であれば、カブリと画像抜けの両方が抑制できるということが推察される。
【0109】
また、トナー濃度については、トナー濃度が0.01の比較例1,比較例2,および比較例3では画像抜けが発生しているのに、トナー濃度が0.03の実施例1では画像抜けが発生していないことから、これらのトナー濃度の中間値である0.02程度以上のトナー濃度であれば、画像抜けの影響は小さいと考えられる。また、トナー濃度が0.07の比較例4では、カブリがはっきり見える(評価はD)のに対し、トナー濃度が0.06の実施例4ではカブリが極薄く見える程度である(評価はB)ことから、トナー濃度が0.06以下であれば、カブリの影響が小さいといえる。まとめると、トナー濃度が0.02以上0.06以下であれば、画像抜けおよびカブリを抑えられるということが推察される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す模式的な全体構成図である。
【図2】図1に示す像保持体の層構造を表した模式的な断面図である。
【図3】電荷輸送層の役割と電荷発生層の役割を、単層で行う像保持体の構成を模式的に表した図である。
【図4】電荷輸送層の役割と電荷発生層の役割を、単層で行う像保持体の構成を模式的に表した図である。
【符号の説明】
【0111】
1000…画像形成装置、
1…用紙蓄積部、
61…像保持体、
610…基体、
611…下引き層、
612…電荷発生層、
6120…粒子、
612’…感光層、
613…電荷輸送層、
614…保護層、
62…クリーニング装置、
620…クリーニングブレード
64…現像器、
640…現像ロール、
641…現像バイアス印加部、
65…スコロトロン、
65’…電源、
66…極性調整用コロトロン、
66’…極性調整用電圧印加部、
7…露光部、
7’…除電ランプ、
9…転写用コロトロン、
10…定着器、
100…プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に電荷を付与される、電荷付与時の表面電位VH、500ms後の表面電位をVsとしたときに、前記表面に電荷を付与されてから500ms後までの表面電位の減衰率(VH−Vs)/VHが、
0.12≦(VH−Vs)/VH≦0.24
という関係を満たす、該表面に像が形成されて該像を保持する像保持体と、
前記像保持体の表面に電荷を付与する帯電器と、
前記帯電器によって電荷が付与された像保持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を、帯電したトナーで現像することで現像像を形成する像形成部と、
前記像保持体に当接するクリーニングブレードとを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
表面に電荷を付与される、電荷付与時の表面電位VH、500ms後の表面電位をVsとしたときに、前記表面に電荷を付与されてから500ms後までの表面電位の減衰率(VH−Vs)/VHが、
0.12≦(VH−Vs)/VH≦0.24
という関係を満たす、該表面に像が形成されて該像を保持する像保持体と、
前記像保持体の表面に電荷を付与する帯電器と、
前記帯電器によって電荷が付与された像保持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を、帯電したトナーで現像することで現像像を形成する像形成部と、
前記像保持体に当接するクリーニングブレードと、
前記像形成部で形成された現像像を連続紙上に転写する転写部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−224756(P2008−224756A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58984(P2007−58984)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】