説明

画像形成装置

【課題】電気接続手段で接続される制御基板間の伝送線路のインピーダンスを一様にすることで、高速信号転送を正確に行い、放射ノイズを低減する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取基板202は、イメージコントローラ基板102とフラットケーブル301を介して通信することによって、画像読取制御を行い、フラットケーブル301は、樹脂部材302を介して、板金303に沿って配線し、クランプ304で固定することで、伝送線路のインピーダンスを一様にする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置を有する画像形成装置に関するものであり、特に、複写機、プリンタ、FAX等の電子写真装置に用いられる原稿読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の制御を行うための制御基板に接続されるケーブル類は、放射ノイズを低減させるため、画像形成装置が持つフレームや、板金等の導電性部材に沿うように配置されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−24621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の画像形成装置において、プリントスピードの高速化や、高画質化等に伴い、制御基板間の信号伝送の通信レートが上昇し、伝送線路のインピーダンスをコントロールしなければ、正確な信号伝送を行うことが困難になってきている。また、通信レートの上昇により、放射ノイズの対策も困難になっている。この対策として高価な同軸ケーブルや、コアの実装等により、コストアップや、サイズアップ等を招いている。
【0004】
本発明は、以上の点に着目して成されたものであり、低コストで制御基板間の信号転送を正確に行い、放射ノイズを低減する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、以下の構成を備える。
【0006】
(1)原稿を読み取るための画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた原稿の画像情報又は外部装置からの画像情報を処理し制御する画像制御部と、前記画像制御部により処理された画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置において、前記画像読取部と前記画像制御部とを電気的に接続する電気接続手段と、前記画像読取部と前記画像制御部とを接続する導電性部材と、前記電気接続手段と前記導電性部材との間に配設される非導電性部材とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0007】
(2)原稿を読み取るための画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた原稿の画像情報又は外部装置からの画像情報を処理し制御する画像制御部と、前記画像制御部により処理された画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置において、前記画像読取部と前記画像制御部とを電気的に接続する複数の電気接続手段と、前記画像読取部と前記画像制御部とを接続する導電性部材と、前記電気接続手段と前記導電性部材との間に配設される非導電性部材と、前記複数の電気接続手段を接続し、前記電気接続手段の信号線のインピーダンス整合を行う回路とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気接続手段の信号線のインピーダンスの低下を防ぐことができるため、低コストで正確な高速信号伝送を行うことが可能になり、放射ノイズを低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す背面図である。本画像形成装置は、原稿を読み取るための画像読取ユニット201と、読み取った原稿の画像情報や、外部装置からの画像情報を、記録用紙に画像形成する画像形成ユニット101(画像形成部)を持つ。
【0011】
画像読取ユニット201は、光電変換素子(例えばCCDセンサ)を実装する画像読取基板202(画像読取部)を持つ。一方、画像形成ユニット101は、イメージコントローラ基板102(画像制御部)を備える。イメージコントローラ基板102は、画像読取基板202で読み取った画像データ(画像情報)や、図示しない外部装置(例えばパーソナルコンピュータ、以下PCと記す)からの画像データの画像処理や、通信を行う。また、イメージコントローラ基板102からの画像形成情報に基づいて画像形成ユニット101の記録用紙搬送や、トナー補給制御、定着制御等を制御するエンジンコントローラ基板103を備える。画像読取基板202は、イメージコントローラ基板102とフラットケーブル301(電気接続手段)により電気的に接続される。これにより、フラットケーブル301を介して通信することによって、画像読取制御を行うことができる。
【0012】
図2は画像読取ユニット201の上視図である。本画像読取ユニット201の枠体は、重量を軽くするため、樹脂部材(非導電性部材)で形成されている。図2(a)は、画像読取基板202がホームポジションにある場合を示し、図2(b)は、画像読取基板202が、原稿を圧板読取した際に、ホームポジションから最も離れた位置に移動した場合を示す。
【0013】
フラットケーブル301は、板金303(導電性部材)と直接接触を避けるために、樹脂部材302(非導電性部材)を間に挟んで配設する。また、画像読取基板202は、圧板読取する際には、図のように移動する構成である。そこで、フラットケーブル301は、伝送線路のインピーダンスの変化を極力無くすため、図2(a)、及び図2(b)で可動しない(非可動)部分でクランプ304(固定部)にて固定する。
【0014】
図3は、フラットケーブル301と、樹脂部材302、板金303との関係を示した断面図である。フラットケーブル301は、直接板金303と接触することが無いように、樹脂部材302を間に挟んで配置する。
【0015】
伝送線路のインピーダンスZは、伝送線路の持つインダクタンスLと、静電容量Cによって、

で表わすことができる。
【0016】
樹脂部材の比誘電率は、空気の比誘電率に比べ大きいため、樹脂部材302で所定の距離を管理することで、フラットケーブル301の持つ伝送線路のインピーダンスZをほぼ一様にすることが可能になる。
【0017】
さらに高い周波数(例えば500MHz程度)の信号を伝送するためには、反射の影響や、信号の立ち上がり、立ち下り時間の規定が厳しくなるため、伝送線路のインピーダンスマッチング(整合)をより正確に行う必要が生じてくる。本構成のように低コストであるフラットケーブルで高速信号伝送を行うためには、樹脂部材302の厚さを伝送する信号の周波数に応じて変化させて(例えば、100MHzでは、50μm、500MHzでは、100μm等)設計する。これにより、伝送線路のインピーダンスコントロールを行い、信号伝送を可能にする。
【0018】
[第二の実施形態]
図4は、本発明の第二の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す背面図である。本画像形成装置は、原稿を読み取るための画像読取ユニット201と、読み取った原稿の画像情報や、外部装置からの画像情報を、記録用紙に画像形成する画像形成ユニット101(画像形成部)を備える。
【0019】
画像読取ユニット201は、光電変換素子(例えばCCDセンサ)を実装する画像読取基板202を備える。一方、画像形成ユニット101は、画像読取基板202で読み取った画像データ(画像情報)や、図示しない外部装置(例えばPC)からの画像データの画像処理や、通信を行うイメージコントローラ基板102を備える。また、イメージコントローラ基板102からの画像形成情報に基づいて画像形成ユニット101の記録用紙搬送や、トナー補給制御、定着制御等を制御するエンジンコントローラ基板103を備える。さらに、複数のフラットケーブル311、312(複数の電気接続手段)を中継して接続し、板金315(導電性部材)にビス止めされる中継基板310(インピーダンス整合を行う回路)を備える。画像読取基板202は、イメージコントローラ基板102とフラットケーブル311、312、中継基板310を介して通信することによって、画像読取制御を行うことができる。なお、304はクランプ、313、314は樹脂部材(非導電性部材)である。
【0020】
図5は、信号線のインピーダンスマッチング(インピーダンス整合)を行うための中継基板の回路の一例である。フラットケーブル311、312を介して伝送する信号線を、中継基板310内で終端する回路構成を示す。イメージコントローラ基板102で、差動信号に変換された信号線は、フラットケーブル311を介して中継基板310へ信号伝送される。中継基板310では、信号のインピーダンスマッチングを行うため、抵抗R1、R2からコンデンサC1を介して板金315と共通化されたGND(グランド)へ終端する回路を備える。その後、信号線は再びフラットケーブル312を介して、画像読取基板202へ信号伝送され、シングルエンドへ変換される。
【0021】
このように、信号を中継基板310上でGNDへ終端することで、反射の影響を小さくすることができ、放射ノイズの低減を図ることができる。図4には図示しないが、画像読取基板202から、フラットケーブル312、中継基板310、フラットケーブル311を介して、イメージコントローラ基板102へ伝送する信号に関しても、同様なことが言える。
【0022】
また、画像読取基板202は、圧板読取する際には、図2で示したように移動する構成であり、フラットケーブル312は、伝送線路のインピーダンスの変化を極力無くすため、可動しない(非可動)部分でクランプ304(固定部)にて固定されている。そこで、クランプ304を中継基板310のように構成してもよい。
【0023】
本実施例では、高速な信号伝送の方式として一般的に用いられる差動信号を用いた方式を一例として示したが、シングルエンドの伝送においても、終端することで、同様な効果が得られる。また、終端回路の方式も、信号伝送の周波数、伝送形態に応じて最適な形態をとることで、同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す背面図
【図2(a)】本発明の画像読取ユニットの上視図で、画像読取基板がホームポジションにある場合を示す図
【図2(b)】本発明の画像読取ユニットの上視図で、画像読取基板が原稿を圧板読取した際にホームポジションから最も離れた位置に移動した場合を示す図
【図3】本発明のフラットケーブルと、樹脂部材、板金との関係を示した断面図
【図4】本発明の第二の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す背面図
【図5】本発明におけるインピーダンスマッチングを行う中継基板の回路図
【符号の説明】
【0025】
101 画像形成ユニット(画像形成部)
102 イメージコントローラ基板(画像制御部)
103 エンジンコントローラ基板
201 画像読取ユニット
202 画像読取基板(画像読取部)
301、311、312 フラットケーブル(電気接続手段)
302、313、314 樹脂部材(非導電性部材)
303、315 板金(導電性部材)
304 クランプ(固定部)
310 中継基板(インピーダンス整合を行う回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取るための画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた原稿の画像情報又は外部装置からの画像情報を処理し制御する画像制御部と、前記画像制御部により処理された画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置において、
前記画像読取部と前記画像制御部とを電気的に接続する電気接続手段と、
前記画像読取部と前記画像制御部とを接続する導電性部材と、
前記電気接続手段と前記導電性部材との間に配設される非導電性部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像読取部が、前記原稿を読み取る際に移動し、
前記画像読取部が移動する際に、前記電気接続手段の非可動となる部分を固定する固定部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記非導電性部材の厚さは、前記電気接続手段により伝送される信号の周波数に応じて変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
原稿を読み取るための画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた原稿の画像情報又は外部装置からの画像情報を処理し制御する画像制御部と、前記画像制御部により処理された画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置において、
前記画像読取部と前記画像制御部とを電気的に接続する複数の電気接続手段と、
前記画像読取部と前記画像制御部とを接続する導電性部材と、
前記電気接続手段と前記導電性部材との間に配設される非導電性部材と、
前記複数の電気接続手段を接続し、前記電気接続手段の信号線のインピーダンス整合を行う回路と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記画像読取部が、前記原稿を読み取る際に移動し、
前記画像読取部が移動する際に、前記電気接続手段の非可動となる部分を固定する固定部を有し、
前記固定部は、前記インピーダンス整合を行う回路を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の画像形成装置において、
前記電気接続手段で接続する信号が、差動信号であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像読取部の枠体が、非導電性部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記電気接続手段が、フラットケーブルであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【公開番号】特開2008−278366(P2008−278366A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121643(P2007−121643)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】