説明

画像形成装置

【課題】無駄な消費電力を抑えつつ、生産性を確保した画像形成装置を提供すること。
【解決手段】給紙するトレイを選択する給紙トレイ選択手段と、第2の給紙トレイにセットされている用紙の残量を検出する用紙残量検出手段と、第1の給紙トレイにセットされている用紙を除湿する第1の除湿手段と、第1の給紙トレイの内部の湿度を検出する第1の湿度検出手段と、給紙トレイ選択手段が前記第2の給紙トレイを選択した場合、給紙中の第2の給紙トレイの前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量及び前記第1の湿度検出手段の検出する湿度に基づいて、前記第1の除湿手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電子写真方式により用紙に画像形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、プリンタ装置及びファクシミリ装置等の画像形成装置においては、一般的に、給紙部に複数段の給紙トレイを備えているが、この給紙トレイ内に搭載した用紙が水分を含んでいると、感光体ドラムからのトナー画像を用紙に転写する際に、転写不良が発生したり、用紙がカールして搬送不良が発生するという不具合が生じる。
【0003】
そこで、従来の画像形成装置においては、除湿ヒータ等の発熱体を設けて、当該発熱体で筐体内を加熱することで、用紙を除湿して、転写不良や用紙の搬送不良の発生を防止している。
【0004】
例えば、特許文献1には、用紙残量と紙サイズによって除湿ヒーターの制御を行うことで除湿の最適化や消費電力の削減を実現した画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開2005−104718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から画像形成中に給紙中の給紙トレイの用紙がなくなると他の給紙トレイからの給紙に切り替えて画像形成を続行する機能を有する画像形成装置が存在している。
【0006】
しかしながら、上記従来技術にあっては、このような画像形成装置において、トレイのヒーター制御をどのように行うかについての開示はない。
【0007】
例えば、複数のトレイのヒーター制御を常時継続し、給紙トレイの切り替え時においても不要な待ち時間なく画像形成動作を継続するようにすることが考えられるが、電力消費が増大するという問題がある。また、特に電力容量の小さい画像形成装置では、同時に複数の除湿ヒーターをONすることができないため、指定された1つのトレイのヒーターのみをONするといった制御を行う必要がある。この場合、給紙中のトレイが紙なしで他のトレイに切り替わった後にヒーターの切り替えを行うことが考えられるが、不要な待ち時間が生じ、生産性が低下してしまうという問題がある。
【0008】
また、画像形成装置では、使用される用紙の種類も多く、用紙毎の特性も異なる。用紙によっては給送性を確保するため除湿を行う必要がある。
【0009】
しかしながら、上記従来技術にあっては、用紙残量と紙サイズ用紙に基づいて除湿ヒータの通電制御を行っており、用紙の種類については考慮されておらず、用紙の種類に応じて適切に用紙を乾燥させて、転写不良及び用紙搬送性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、無駄な消費電力を抑えつつ、生産性を確保した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.
第1の給紙トレイと、
第2の給紙トレイと、
給紙するトレイを選択する給紙トレイ選択手段と、
前記第2の給紙トレイにセットされている用紙の残量を検出する用紙残量検出手段と、
前記第1の給紙トレイにセットされている用紙を除湿する第1の除湿手段と、
前記第1の給紙トレイの内部の湿度を検出する第1の湿度検出手段と、
前記給紙トレイ選択手段が前記第2の給紙トレイを選択した場合、給紙中の第2の給紙トレイの前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量及び前記第1の湿度検出手段の検出する湿度に基づいて、前記第1の除湿手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
2.
前記制御手段は、前記第1の除湿手段の制御開始条件を給紙中の第2の給紙トレイの前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量及び前記第1の湿度検出手段の検出する湿度に基づいて決定することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
3.
前記第2の給紙トレイにセットされている用紙を除湿する第2の除湿手段と、
前記第2の給紙トレイの内部の湿度を検出する第2の湿度検出手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量及び前記第1の湿度検出手段の検出する湿度及び前記第2の湿度検出手段の検出する湿度に基づいて、前記第1の除湿手段と前記第2の除湿手段を交互に切り替えながら制御することを特徴とする前記1または2に記載の画像形成装置。
4.
各々の給紙トレイにセットされている用紙に関する情報を記憶する用紙情報記憶手段を更に備えることを特徴とする前記1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
5.
前記制御手段による除湿手段の制御を行うか否かを選択する選択手段を更に備えることを特徴とする前記1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給紙対象のトレイの用紙残量及び給紙対象でないトレイの湿度に基づいて、給紙対象でないトレイの除湿手段を制御できるため、例えば、給紙対象でないトレイの除湿手段の制御開始タイミングを高精度に決定することが可能となり、無駄な消費電力を抑えつつ、生産性を確保した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。なお、本発明は、スキャナなどの画像読み取り手段を備えないプリンタなどの画像形成装置であっても、スキャナなどの画像読み取り手段を備える複写機などの画像形成装置であっても、どちらでも適用することが可能である。
【0014】
本実施の形態では画像形成装置として電子写真方式の複写機を例に挙げて説明する。
(画像形成装置の機械的構成)
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置100の機械的構成を示す外観構成図である。
【0015】
画像形成装置100は画像データに応じた画像(トナー像)を記録紙上に形成して出力する電子写真方式の画像形成装置であり、給紙トレイから所望の用紙を画像形成部に対して給紙する給紙部と、給紙された用紙を所定の速度で搬送する搬送部と、画像データに応じたレーザビームを発生する画像書き込み部と、レーザビームに応じた潜像からトナー像を生成して用紙に転写する画像形成部と、を備えたプリンタエンジンを含んで構成されている。
【0016】
画像形成装置本体には給紙トレイを3段(101a、101b、101c)設けており、用紙を1つのトレイに大量セット可能な給紙ユニット102を画像形成装置本体の右側に接続している。この給紙ユニット102には、給紙トレイが2段(102a、102b)設けてあり、各3000枚程度の用紙を一度にセットすることが可能である。
【0017】
ここで、各給紙トレイには、それぞれ所定のサイズ(A4,B4,A4Rなど)や所定の紙種(普通紙,塗工紙など)の用紙が蓄積されている。
【0018】
すなわち、画像形成装置100は、様々な用紙種類に対応しており、用紙によって作像条件を変えて最適な条件で動作を行うように構成されている。
【0019】
用紙の中でも塗工紙は表面をコーティングしているため通気性が悪く、用紙と用紙の間の水分が他の用紙に比べ抜けにくい。この為、高湿環境で画像形成装置を使用する場合に、搬送性が低下し、搬送不良が発生しやすくなる。これを防ぐため、除湿を目的としたヒーターを設けることにより除湿を行い、搬送不良を防止する。
【0020】
画像形成装置100では、大量の用紙セットが可能な給紙ユニットの各々の給紙トレイ(102a、102b)に除湿ヒーター(103a、103b)、トレイ内部の湿度を検出する湿度検出手段(104a、104b)を設けた例を挙げる。
【0021】
また、画像形成装置100は、画像形成中に給紙中の給紙トレイの用紙がなくなると他の給紙トレイからの給紙に切り替えて画像形成を続行する(トレイスイッチ)ように構成されている。
(画像形成装置の制御部の電気的構成)
図2は、本発明の実施形態の画像形成装置の制御部の電気的構成を示すブロック図である。画像形成装置本体は、操作部201、全体制御部202、エンジン制御部203の大きく3つで構成されており、各給紙トレイの駆動部(不図示)はエンジン制御部203と接続され、エンジン制御部203にて給紙トレイの給送制御やヒーター制御を行っている。
【0022】
全体制御部202は、画像形成装置100の各装置を協調的に動作させるものであり、図示しない複数の制御プログラム及び記憶装置を有している。
【0023】
操作部201は画像形成装置の設定の操作をユーザが入力する操作入力部である。また、ヒーター制御ユーザー設定手段208は、給紙トレイの除湿ヒーターの制御を行うか否かをユーザーが選択する選択手段として機能する。
【0024】
記憶手段214は、不揮発性メモリで構成され、電源OFF後も記憶しておくべきユーザーデータやシステムデータを記憶するメモリであり、用紙情報記憶手段204として機能する。用紙情報記憶手段204には、複数の給紙トレイのそれぞれについて、各給紙トレイにセットされた用紙についての、用紙サイズや種類、斤量や用紙の縮みを考慮した表裏倍率調整等の情報が記憶されている。
【0025】
さらに、除湿ヒーターの有無に関係なく各給紙トレイには用紙残量検出手段205を有し、この残量状態は変化があるとエンジン制御部203及び全体制御部202へ通知される。用紙残量検出手段205としては、本実施形態では、用紙が給紙トレイ内で略鉛直方向に積載されて収納されているので、鉛直方向の高さを測定することによって用紙残量(用紙収容量)を検出するものであればよく、例えば距離センサ、位置センサを用いるとよい。あるいは用紙を積載したとき給紙トレイにかかる圧力や質量から用紙残量を検出するものでもよく、圧力センサ、質量センサを用いてもよい。
【0026】
給紙トレイ選択手段206は、画像形成動作を行うジョブによって、用紙情報記憶手段204に記憶されている各給紙トレイにセットされている用紙情報を参照して、給紙すべきトレイを選択(決定)し、画像形成動作の指示と共に給紙トレイを全体制御部202を介してエンジン制御部203へ指示する。そして、画像形成装置100は、前述のように、画像形成中に給紙中の給紙トレイの用紙がなくなると他の給紙トレイからの給紙に切り替えて画像形成を続行する機能を有している。給紙トレイ選択手段206は、用紙情報記憶手段204に記憶されている各給紙トレイにセットされている用紙情報を参照して、切り替え先(トレイスイッチ対象)の給紙トレイを選択(決定)し、切り替え先の給紙トレイを全体制御部202を介してエンジン制御部203へ指示する。
【0027】
エンジン制御部203は、制御手段として機能を果たす。除湿ヒーターが設けられている給紙ユニット102(102a、102b)には、各々のトレイにトレイ内部の湿度を検出する湿度検知手段104(104a、104b)を設けられている。エンジン制御部203は、除湿が必要だと判断した場合(トレイ内の相対湿度が所定の閾値を超えている場合)には、給紙トレイに設けられた湿度検知手段の検出する湿度が、トレイ内目標湿度になるように除湿ヒーターを制御し、ファンにより給紙トレイ内に熱風を送ることで除湿を行う。
【0028】
また、エンジン制御部203は、切り替え先のトレイの内部の湿度から、切り替え先の給紙トレイの除湿制御の開始すべき給紙中の給紙トレイの用紙残量の閾値を記憶手段214に記憶されたテーブルから読み取り、給紙中の給紙トレイの用紙残量がこの閾値に達したかどうかを判断し、達していれば、除湿ヒーター制御手段207を介して切り替え先の給紙トレイの除湿ヒーターの制御を開始するように制御する。
【0029】
記憶手段214には、除湿ヒーターの制御が必要か否かを判断する給紙トレイの湿度の閾値、除湿ヒーターの制御を行う際の目標湿度、切り替え先の給紙トレイの湿度と切り替え先の給紙トレイの除湿ヒーターの制御を開始すべき給紙中の給紙トレイの用紙残量の閾値との関係を規定したテーブルが記憶されている。具体的には、切り替え先のトレイの内部の湿度が所定の閾値を超えた場合、その湿度の値に応じて、湿度が大きいほど給紙中のトレイの用紙残量の閾値が大きくなるように設定されている。例えば、切り替え先のトレイの内部の湿度についてそれぞれ異なる複数の閾値を設けて区分し、各区分に対応して給紙中のトレイの用紙残量の閾値が定められている。
【0030】
本例では、給紙トレイの湿度の閾値は、相対湿度で55%RHに設定され、目標湿度は相対湿度で55%RH以下に設定されている。また、切り替え先の給紙トレイの除湿ヒーターの制御を開始すべき給紙中の給紙トレイの用紙残量の閾値としては、切り替え先の給紙トレイの湿度に応じて、最大セット時の10%〜40%程度に設定されている。
【0031】
ここで、詳細は後述するが、画像形成装置の電力容量が小さく、給紙トレイ102aの除湿ヒーター103aと給紙トレイ102bの除湿ヒーター103bを同時に点灯させることができない場合(条件Y)は、交互に点灯させる必要がある。従って、切り替え先の給紙トレイのヒーターを条件Xより早めに点灯開始させるようにする。切り替え先の給紙トレイ内の湿度に加えて、この点を考慮して点灯開始時期となる給紙中の給紙トレイの用紙残量閾値を最大セット時の20%〜40%程度に設定されている。
【0032】
また、給紙トレイ102aの除湿ヒーター103aと給紙トレイ102bの除湿ヒーター103bを同時に点灯させることが可能な場合(条件X)は、条件Yに比べて遅く点灯開始しても間に合うため、同じ湿度でも閾値となる残量は、少なくても良い。切り替え先の給紙トレイ内の湿度に加えて、この点を考慮して点灯開始時期となる給紙中の給紙トレイの用紙残量閾値をを最大セット時の10%〜30%程度に設定されている。
【0033】
また、エンジン制御部203は、用紙情報記憶手段204に記憶されている用紙情報を参照し、除湿は、通気性の悪い用紙(本例では塗工紙)がセットされている場合にのみ行うようにしている。また、普通紙を用いる場合においても、環境湿度から転写不良や搬送不良の可能性があると判断した場合には、除湿を行うことが好ましい。このようにするこにより、用紙の種類に応じて適切に除湿ヒーターを駆動して、用紙を乾燥させて、転写不良及び用紙搬送性を向上させることができ、無駄な消費電力を抑えることができる。
【0034】
尚、本実施形態においては除湿手段に送風手段(ファン)を設けた例を示したが、送風手段を設けずに自然対流によって給紙トレイ内を除湿しても良い。
(画像形成装置の動作)
以下、本実施形態の画像形成装置の動作の一例について、図3のフローチャートを参照して原理説明を行う。
【0035】
ここでは、給紙トレイ102aと102bに塗工紙がセットされていて、除湿不要な給紙トレイ(101a、101b、101c)には普通紙がセットされているものとする。
用紙サイズはいずれも同一とする。
【0036】
画像形成動作により塗工紙の給紙指示を受けた場合、給紙トレイ選択手段206により、給紙トレイとして102a及び102bのいずれか一方(図3におけるトレイAであり、本実施形態における第2の給紙トレイに相当する)が選択され、トレイスイッチ対象のトレイとして他方の給紙トレイ(図3におけるトレイBであり、本実施形態における第1の給紙トレイに相当する)が選択されるものとする。この際のヒーター制御と、ジョブなしでのアイドリング状態あるいは除湿不要な給紙トレイ(101a、101b、101c)での動作中におけるヒーター制御について説明する。
【0037】
また、第2の給紙トレイであるトレイAにセットされている用紙を除湿する第2の除湿ヒーター(本実施形態における第2の除湿手段に相当する)と、第1の給紙トレイであるトレイBにセットされている用紙を除湿する第1の除湿ヒーター(本実施形態における第1の除湿手段に相当する)とが同時駆動(電力供給)可能な構成とする。
【0038】
画像形成装置の電源がONされた状態においては、画像形成のメインルーチン(図示せず)と並行して、図3のフローチャートに示されるヒーター制御のルーチンが実行される。
【0039】
まず、ステップS10では、タイマー手段(不図示)により100msec時間経過したかどうかを判断する。経過していた場合は、ステップS12へ移行する。
【0040】
次に、ステップS12では、画像形成開始のジョブがあるかどうかが判断される。該判定が否定された場合には、ステップS16へ移行し、肯定された場合には、ステップS14へ移行する。
【0041】
ステップS14では、給紙トレイ選択手段206により選択されたか、あるいは、選択されて給紙中の給紙トレイがヒーター制御が必要なトレイ(給紙トレイAまたはB)かどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS16へ移行し、肯定された場合には、ステップS22及びステップS30へ移行する。
【0042】
ステップS16では、不使用時も給紙トレイA、Bのヒーター制御を行うかどうかが判断される。ヒーター制御ユーザー設定手段208に表示されるヒーター制御条件設定画面に従って、不使用時もヒーター制御を行うかどうかを、ユーザが設定する。この設定に基づいて、不使用時もヒーター制御を行うかどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS18へ移行し、肯定された場合には、ステップS20へ移行する。
【0043】
ステップS18では、給紙トレイA、Bのヒーター制御は行わない。すなわち、ヒーターの駆動は行われずに、ステップS10へ移行する。
【0044】
ステップS20では、エンジン制御部203は、トレイの内部の湿度が所定の閾値(55%RH)を超えている場合には、トレイ内目標湿度(55%RH以下)になるようにヒーター制御手段207を介して給紙トレイA、Bのヒーターの駆動を制御し、ステップS10へ移行する。
【0045】
ステップS22では、エンジン制御部203は、トレイAの内部の湿度が所定の閾値(55%RH)を超えている場合には、トレイ内目標湿度(55%RH以下)になるようにヒーター制御手段207を介して給紙トレイAのヒーターの駆動を制御し、ステップS24へ移行する。
【0046】
ステップS24では、目標湿度に達したかどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS26へ移行し、肯定された場合には、ステップS28へ移行する。
【0047】
ステップS26では、目標湿度に達するまで給紙が禁止され、S10に移行する。
【0048】
ステップS28では、目標湿度に達した状態で湿度が維持され、給紙可能状態となり、S10に移行する。
【0049】
ステップS30では、給紙トレイではない給紙トレイBについてトレイスイッチ対象のトレイとして選択される。
【0050】
ステップS32では、エンジン制御部203により、給紙トレイBの内部の湿度チェックが実施され、給紙トレイBのヒーター制御が必要かどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS34へ移行し、肯定された場合(給紙トレイBの内部の湿度が所定の閾値(55%RH)を超えている場合)には、ステップS36へ移行する。
【0051】
ステップS34では、給紙トレイBのヒーター制御は行わない。すなわち、ヒーターの駆動は行われずに、ステップS10へ移行する。
【0052】
ステップS36では、エンジン制御部203により、給紙トレイである給紙トレイAの用紙残量チェックと給紙トレイBの内部の湿度チェックが実施される。エンジン制御部203は、給紙トレイBの内部の湿度の値から、記憶手段214を参照して、給紙トレイBのヒーター制御を開始すべき給紙トレイAの用紙残量の閾値の値を読み取る。
【0053】
ステップS38では、エンジン制御部203により、給紙トレイAの用紙残量がステップS36で読み取った所定の閾値に達していているかどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS34へ移行し、肯定された場合には、ステップS40へ移行する。
【0054】
ステップS40では、エンジン制御部203は、トレイ内目標湿度(55%RH以下)になるようにヒーター制御手段207を介して給紙トレイBのヒーターの駆動を制御し、ステップS10へ移行する。
【0055】
以上のように、画像形成動作により給紙指示を受けた時、給紙していない除湿ヒーター付きの給紙トレイは、給紙動作トレイが決定したことから制御不要とすることも可能となる。ここで、トレイスイッチ対象(給紙トレイの用紙無しによる自動トレイ切り替えにおける切り替え先のトレイ)である場合、給紙中のトレイの用紙残量状態とトレイスイッチ対象のトレイの湿度から、トレイスイッチが行われた場合に除湿待ちが発生せずにジョブの継続が可能となる時間を判断し、もし現在給紙中のトレイの用紙残量がその閾値に達していたら、トレイスイッチ対象のトレイの除湿ヒーターの制御(駆動)を開始し(ステップS40)、閾値に達しておらず除湿ヒーターの制御を行なくても良いと判断すれば、トレイスイッチ対象のトレイの除湿ヒーターの制御はまだ行わず(ステップS34)、現在給紙中のトレイの用紙残量がその閾値に達したところで、除湿ヒーターの制御を開始する。
【0056】
例えば、給紙中のトレイの用紙残量が所定の閾値を超え、切り替え先のトレイの除湿制御開始タイミングは、給紙中のトレイの用紙残量状態と切り替え先のトレイの湿度によって判断し、給紙可能な目標湿度までの差異が大きくより除湿が必要と判断した場合には、例えば給紙中のトレイの用紙残量が30%の状態から切り替え先のトレイの除湿を開始する。逆に、給紙可能な目標湿度までの差異が小さく、短い時間での除湿が可能と判断した場合には、例えば給紙中のトレイの用紙残量が10%の状態からら切り替え先のトレイの除湿を開始する。
【0057】
このように、切り替え先のトレイのヒーター制御開始タイミングは、給紙中のトレイの用紙残量だけでなく、切り替え先のトレイの湿度状態により判断することで、給紙中のトレイの用紙残量が同じであっても湿度が高くより除湿時間が必要であると判断した場合には早めに除湿制御を開始し、湿度が低くより短い除湿時間で良いと判断した場合には除湿制御を開始を遅らせる等、給紙中のトレイの用紙残量と、切り替え先のもう一方のトレイの湿度状態により判断することで、無駄な消費電力を抑えつつ生産性を確保した高精度のヒーター制御が可能になる。
【0058】
除湿ヒーターの設けてある給紙ユニットのトレイに塗工紙がセットされている場合で、かつ、給紙動作トレイのトレイスイッチ対象でない場合(アイドリング状態あるいは除湿不要な給紙トレイでの動作中)は常時、所定の湿度を保つように除湿ヒーター制御を行うか、省エネを目的として除湿ヒーターは動作させず給紙指示を受けたときに所定の湿度となるように制御を行うようにすればよい。本実施形態では、これらの制御を使用するユーザーによって切り替え可能としている(ステップS16)。
【0059】
また、生産性を最優先(除湿ヒーターは、除湿が必要な用紙(本例では塗工紙)がセットされた状態では、常にON)、あるいは、使用方法によっては除湿待ちとなる場合もあるが、給紙中のトレイの用紙残量状態とトレイスイッチ対象のトレイの湿度に基づく除湿ヒーター制御を行って消費電力を抑えるといったユーザーニーズにより制御を切り替え可能とすることで、使用状況に合わせた使い勝手の良い画像形成装置を提供できる。
【0060】
続いて、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置100の変形例について説明する。
【0061】
上記の実施の形態では、第2の給紙トレイであるトレイAにセットされている用紙を除湿する第2の除湿ヒーターと、第1の給紙トレイであるトレイBにセットされている用紙を除湿する第1の除湿ヒーターとが同時駆動可能な場合を示したが、変形例では、第2の除湿ヒーターと、第1の除湿ヒーターとが同時駆動不可能な場合であり、装置の構成自体は、上記の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。なお、本例では、第1の除湿ヒーター側と第2の除湿ヒーター側とに電源を切り替え接続するヒータスイッチを備え、エンジン制御部203が、このヒータスイッチを切り替え制御する。前記第1の除湿ヒーターの制御開始条件を、給紙中の第2の給紙トレイの前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量が、第1の給紙トレイであるトレイBの内部の湿度に応じて定められる所定の閾値に達した場合とし、給紙中の第2の給紙トレイの内部の湿度が、目標湿度(55%RH以下)に達していることを前提として、前記第1の除湿ヒーターの制御(駆動)を開始するとともに給紙中の第2の給紙トレイの前記第2の除湿ヒーターの制御(駆動)を一旦停止し、その後は、給紙中のトレイA内の湿度もある一定レベルを保つように、2つの除湿ヒーターへの電力供給を(交互に)切り替えながら切り替え先のトレイB内の除湿を行うようにするものである。
【0062】
図4は、本発明の実施形態の画像形成装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
【0063】
ここでは、給紙トレイ102aと102bに塗工紙がセットされていて、除湿不要な給紙トレイ(101a、101b、101c)には普通紙がセットされているものとする。
用紙サイズはいずれも同一とする。
【0064】
画像形成動作により塗工紙の給紙指示を受けた場合、給紙トレイ選択手段206により、給紙トレイとして102a及び102bのいずれか一方(図3におけるトレイAであり、本実施形態における第2の給紙トレイに相当する)が選択され、トレイスイッチ対象のトレイとして他方の給紙トレイ(図3におけるトレイBであり、本実施形態における第1の給紙トレイに相当する)が選択されるものとする。この際のヒーター制御と、ジョブなしでのアイドリング状態あるいは除湿不要な給紙トレイ(101a、101b、101c)での動作中におけるヒーター制御について説明する。
【0065】
画像形成装置の電源がONされた状態においては、画像形成のメインルーチン(図示せず)と並行して、図4のフローチャートに示されるヒーター制御のルーチンが実行される。
【0066】
まず、ステップS50では、タイマー手段(不図示)により100msec時間経過したかどうかを判断する。経過していた場合は、ステップS52へ移行する。
【0067】
次に、ステップS52では、画像形成開始のジョブがあるかどうかが判断される。該判定が否定された場合には、ステップS56へ移行し、肯定された場合には、ステップS54へ移行する。
【0068】
ステップS54では、給紙トレイ選択手段206により選択されたか、あるいは、選択されて給紙中の給紙トレイがヒーター制御が必要なトレイ(給紙トレイAまたはB)かどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS56へ移行し、肯定された場合には、ステップS62及びステップS70へ移行する。
【0069】
ステップS56では、不使用時も給紙トレイA、Bのヒーター制御を行うかどうかが判断される。ヒーター制御ユーザー設定手段208に表示されるヒーター制御条件設定画面に従って、不使用時もヒーター制御を行うかどうかを、ユーザが設定する。この設定に基づいて、不使用時もヒーター制御を行うかどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS58へ移行し、肯定された場合には、ステップS60へ移行する。
【0070】
ステップS58では、給紙トレイA、Bのヒーター制御は行わない。すなわち、ヒーターの駆動は行われずに、ステップS50へ移行する。
【0071】
ステップS60では、エンジン制御部203は、トレイの内部の湿度が所定の閾値(55%RH)を超えている場合には、トレイ内目標湿度(55%RH以下)になるようにヒーター制御手段207を介して給紙トレイA、Bのヒーターの駆動を制御し、ステップS50へ移行する。
【0072】
ステップS62では、エンジン制御部203は、トレイAの内部の湿度が所定の閾値(55%RH)を超えている場合には、トレイ内目標湿度(55%RH以下)になるようにヒーター制御手段207を介して給紙トレイAのヒーターの駆動を制御し、ステップS64へ移行する。
【0073】
ステップS64では、目標湿度に達したかどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS66へ移行し、肯定された場合には、ステップS68へ移行する。
【0074】
ステップS66では、目標湿度に達するまで給紙が禁止され、S50に移行する。
【0075】
ステップS68では、目標湿度に達した状態で湿度が維持され、給紙可能状態となり、S50に移行する。
【0076】
ステップS70では、給紙トレイではない給紙トレイBについてトレイスイッチ対象のトレイとして選択される。
【0077】
ステップS72では、エンジン制御部203により、給紙トレイBの内部の湿度チェックが実施され、給紙トレイBのヒーター制御が必要かどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS74へ移行し、肯定された場合(給紙トレイBの内部の湿度が所定の閾値(55%RH)を超えている場合)には、ステップS76へ移行する。
【0078】
ステップS74では、給紙トレイBのヒーター制御は行わない。すなわち、ヒーターの駆動は行われずに、ステップS50へ移行する。
【0079】
ステップS76では、エンジン制御部203により、給紙トレイである給紙トレイAの内部の湿度チェックと用紙残量チェック及び給紙トレイBの内部の湿度チェックが実施される。エンジン制御部203は、給紙トレイBの内部の湿度の値から、記憶手段214を参照して、給紙トレイBのヒーター制御を開始すべき給紙トレイAの用紙残量の閾値の値を読み取る。
【0080】
ステップS78では、エンジン制御部203は、給紙トレイAの用紙残量がステップS76で読み取った所定の閾値に達していているかどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS74へ移行し、肯定された場合には、ステップS80へ移行する。
【0081】
ステップS80では、エンジン制御部203は、給紙トレイBのヒーターの駆動(点灯)が可能かどうか、すなわち、制御ステップS76で読み取った給紙トレイAの内部の湿度が目標湿度に達していているかどうかが判定される。該判定が否定された場合には、ステップS74へ移行し、肯定された場合には、ステップS82へ移行する。
【0082】
ステップS82では、エンジン制御部203は、給紙トレイAのヒーターをOFFし、駆動停止した後、トレイ内目標湿度(55%RH以下)になるようにヒーター制御手段207を介して給紙トレイBのヒーターをONして駆動を開始し、その後は、給紙中のトレイA内の湿度もある一定レベルを保つように、2つの除湿ヒーターへの電力供給を(交互に)切り替えながら切り替え先のトレイB内の除湿を行うようにして、ステップS50へ移行する。
【0083】
以上のように、特に電力容量の小さい画像形成装置では、同時に複数の除湿ヒーターを点灯させることができず、必要に応じて切り替えて使用しなければならない場合がある。この時、給紙中のトレイの用紙残量が所定の閾値を超え、もう切り替え先のトレイの除湿制御開始タイミングは、給紙中のトレイの用紙残量状態ともう一方のトレイの湿度によって判断し、給紙可能な目標湿度までの差異が大きくより除湿が必要と判断した場合には、例えば給紙中のトレイの用紙残量が40%の状態から給紙中のトレイ内の湿度もある一定レベルを保つように2つの除湿ヒーターへの電力供給を(交互に)切り替えながら切り替え先のトレイの除湿を開始する。
【0084】
逆に、給紙可能な目標湿度までの差異が小さく、短い時間での除湿が可能と判断した場合には、例えば給紙中のトレイの用紙残量が20%の状態から給紙中のトレイ内の湿度もある一定レベルを保つように2つの除湿ヒーターへの電力供給を(交互に)切り替えながら切り替え先のトレイの除湿を開始する。
【0085】
このように、除湿手段を有する給紙トレイを複数備え、1箇所しか除湿手段を使用(駆動)できないような画像形成装置においても、各給紙トレイの湿度状態を見て、複数の除湿手段を切り替えながら制御を行うことで、より無駄な消費電力を抑えつつ、生産性を確保した画像形成装置を提供することができる。
【0086】
以上、本発明の各種実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。たとえば、上述した給紙トレイの数や形態は、上記実施形態に限られるものではなく、複数の給紙トレイを備え、その中の少なくとも1つの給紙トレイに除湿手段とトレイの内部の湿度を検出する湿度検出手段を備えらている構成の画像形成装置であれば本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の機械的構成を示す外観構成図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の制御部の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の画像形成装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
100 画像形成装置
102 給紙ユニット
104 給紙トレイ湿度検出手段
201 操作部
202 全体制御部
203 エンジン制御部
204 用紙情報記憶手段
205 用紙残量検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の給紙トレイと、
第2の給紙トレイと、
給紙するトレイを選択する給紙トレイ選択手段と、
前記第2の給紙トレイにセットされている用紙の残量を検出する用紙残量検出手段と、
前記第1の給紙トレイにセットされている用紙を除湿する第1の除湿手段と、
前記第1の給紙トレイの内部の湿度を検出する第1の湿度検出手段と、
前記給紙トレイ選択手段が前記第2の給紙トレイを選択した場合、給紙中の第2の給紙トレイの前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量及び前記第1の湿度検出手段の検出する湿度に基づいて、前記第1の除湿手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の除湿手段の制御開始条件を給紙中の第2の給紙トレイの前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量及び前記第1の湿度検出手段の検出する湿度に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の給紙トレイにセットされている用紙を除湿する第2の除湿手段と、
前記第2の給紙トレイの内部の湿度を検出する第2の湿度検出手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記用紙残量検出手段の検出する用紙残量及び前記第1の湿度検出手段の検出する湿度及び前記第2の湿度検出手段の検出する湿度に基づいて、前記第1の除湿手段と前記第2の除湿手段を交互に切り替えながら制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
各々の給紙トレイにセットされている用紙に関する情報を記憶する用紙情報記憶手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段による除湿手段の制御を行うか否かを選択する選択手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−37623(P2008−37623A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216763(P2006−216763)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】