説明

画像形成装置

【課題】中間転写体を使用した画像形成装置において、厚紙、OHPシートを使用したときでも、2次転写中の画像トナー散りの発生を防止し、画像品質が低下することのない画像形成装置を提供することである。
【解決手段】中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に、前記中間転写体上のトナー像を押圧する押圧手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写体を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどにおいて、像担持体(以下、単に感光体とも言う)上のトナー像を記録媒体(以下記録材、又は単に用紙とも言う)に転写する方式としては、感光体上に形成されたトナー像を記録材に直接転写する方式が知られている。1方、中間転写体を用いた画像形成方式が知られており、この方式は感光体から記録材にトナー像を転写する工程内に、もう1つの転写工程を入れ、感光体から中間転写体に1次転写した後、中間転写体の1次転写像を記録材に2次転写することで最終画像を得る。上記中間転写方式は、色分解された原稿画像をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等のトナーによる減色混合を用いて再現する、いわゆるフルカラー画像形成装置における各色トナー像の重ね転写方式として採用されることが多い。
【0003】
しかしながら、中間転写体を用いたフルカラー画像形成装置では、用紙の坪量が130g/m2以上のいわゆる厚紙や、記録材の表面を特殊な樹脂剤でコートした印刷用紙、あるいはOHPシート等を使用すると、給紙部からガイド板に沿って搬送された用紙が、用紙の後端がガイド板から離れる瞬間に、用紙の復元力により中間転写体にあたり、その衝撃で中間転写体上にある画像のトナーが散り、その結果トナー散り状態の画像が転写されて画像品質が低下するという問題が発生する。さらに2次転写中の画像は、その衝撃により転写ズレが発生し、やはり画像品質が低下する。特に2次転写時に順次配置されている各色トナーの内、最後のトナー(本実施例では黒トナー)の画像のトナー散りが発生しやすい。
【0004】
上記厚紙を転写するときの画像トナー散りを防止するという問題に対して、従来は、ガイド板の先端にマイラフィルムを貼り付けて、ガイド板を中間転写体に近づけて、用紙後端が中間転写体に衝突する際の衝撃を緩和させ画像のトナー散りを防止している。あるいは転写電流を多少制御することで見かけ上の散りを抑制していた(例えば特許文献1に記載の図)。
【特許文献1】特開2001−142321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に図示されているマイラフィルム方式では、様々な紙種に対応できず、耐久性も不足する。また転写電流値を調整する方法では、散りやズレが多少は軽減する程度には改善するものの、全く発生させないような電流値にすると、全面ベタやハーフトーン画像において、その部分の濃度が変化したりして画像不良が発生する。すなわちこれらの策では限界がある。
【0006】
本発明の目的は、中間転写体を使用した画像形成装置において、厚紙、OHPシートを使用したときでも、2次転写中の画像トナー散りの発生を防止し、画像品質が低下することのない画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記構成により達成できる。すなわち
1.複数の像担持体上に形成された静電潜像を、色の異なる複数のトナーを用いて現像し、各色毎のトナー像を順次中間転写体上に転写する1次転写手段と、
前記中間転写体上のトナー像を記録媒体に一括して転写する2次転写手段と、
を有する画像形成装置において、
前記中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に、前記中間転写体上のトナー像を押圧する押圧手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
2.前記押圧手段は、前記中間転写体を挟んで、トナー付着面側に当接する金属表面を有する第1ローラと、背面側に芯部材を弾性部材で被覆した第2ローラとから構成されていることを特徴とする1に記載の画像形成装置。
3.前記押圧手段は、少なくとも1次転写相当の力で前記中間転写体を押圧することを特徴とする1または2に記載の画像形成装置。
4.前記第1ローラは電気的に接地されており、また前記第2ローラに電界を与える電界印加手段を有することを特徴とする2または3の何れかに記載の画像形成装置。
5.前記電界印加手段は、前記第2ローラに少なくとも1次転写相当の電界を印加させることを特徴とする4に記載の画像形成装置。
6.前記電界印加手段は、前記中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に設けたことを特徴とする4または5に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に、前記中間転写体上のトナー像を押圧する押圧手段を設けた事により、厚紙、OHPシートを使用したときでも、中間転写体上にある画像のトナー散りの発生がなく、画像品質が低下することのない画像形成装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。また、以下の、本発明の実施の形態における断定的な説明は、ベストモードを示すものであって、本発明の用語の意義や技術的範囲を限定するものではない。
〈画像形成装置概要〉
図1は画像形成装置(以下、複写機という)を正面から見たときの構成を示す概略図である。
【0010】
本実施の形態の複写機は、複写機本体の上部に自動原稿送り装置1を設けるとともに、複写機本体内に画像読取部2、画像形成部3、給紙部5、排紙・切換部7及び用紙収納部9を有している。
【0011】
前記自動原稿送り装置1は、原稿を一枚ずつ送り出して画像読取位置へと搬送し、画像読取が終わった原稿を所定の場所に排紙処理する装置である。
【0012】
前記自動原稿送り装置1は、原稿を載置する原稿載置台101、載置された原稿を分離する原稿分離手段103、分離された原稿を搬送する原稿搬送部105、搬送された原稿を排紙する原稿排紙手段107、排紙された原稿を載置する原稿排紙台109および原稿の両面の画像を読み取る際に原稿の表裏を反転させるべく使用される原稿反転手段111を有している。
【0013】
処理プロセスがらみで述べるに、前記原稿載置台101上に載置された複数枚の原稿(不図示)は、原稿分離手段103によって1枚づつ分離され、前記原稿搬送部105を介して画像読取位置に向けて搬送される。
【0014】
前記原稿読取位置は、前記原稿搬送部105の下方部に設けられており、そこで、画像読取装置2を構成するスリット201を通して、原稿の画像が読み取られ、読み取られた原稿は、原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上へと排紙される。
【0015】
このような工程が原稿載置台101上に載置された原稿の枚数分繰り返される。
【0016】
前記画像読取装置2の構成を詳細に述べると、前記スリット201、原稿に光照射する光源であるランプ213と原稿からの反射光を反射させる第1ミラー215とを一体化してなる第1ミラーユニット205、第1ミラー215からの光を反射させる第2ミラー217と第3ミラー219とを一体化してなる第2ミラーユニット207と、当該第2ミラーユニット207からの反射光を、後述する撮像素子上に結像させる結像レンズ209、および、結像レンズ209によって結像された光像を光電変換して画像情報を得るライン状の撮像素子(以下、CCDという)211を有している。
【0017】
前記画像情報は、適宜の画像処理を施された後、一旦、図示しないメモリに蓄積されるようになっている。
【0018】
前記自動原稿送り装置1によって送られている原稿を、画像読取装置2で読み取る態様においては、第1ミラーユニット205及び第2ミラーユニット207は、図示の如き位置に固定されている。
【0019】
ところで、原稿の両面の画像を読み取る態様においては、片面の画像が読み取られた原稿の後端を挟み込んでいる状態にある一対のローラを含む原稿反転手段111によって表裏を反転し、再度、前記原稿搬送部105に搬送し、上述と同様に、原稿読取位置において読み取った後、前記原稿排紙台109上に排紙する。
【0020】
尚、前記自動原稿送り装置1は可倒式に構成されており、この自動原稿送り装置1を起こしてプラテンガラス203上を開放することにより、当該プラテンガラス203上に原稿を直接載置することができるように構成してある。
【0021】
なお、本実施の形態では、原稿搬送部105によって原稿を搬送しながら、原稿の画像を読み取るように構成しているが、原稿搬送部105を介して搬送された原稿をプラテンガラス上に静止させた後に、露光光学系を移動させ、前記プラテンガラス上に直接原稿を載置した時と同様に画像を読み取るように構成してもよい。
【0022】
ここで、前記プラテンガラス203上に載置された原稿の画像を読み取る態様においては、前記第1ミラーユニット205と第2ミラーユニット207とを光路長を保ちながらプラテンガラスに沿って移動させることにより行う。
【0023】
画像読み取り装置2によって読み取られた各色の画像信号はメモリより順次取り出されて各露光光学系313にそれぞれ電気信号として入力される。
【0024】
本実施の形態においては、画像形成部3は色分解画像に応じたトナー像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像形成手段(以下、画像形成ユニットという)300を含み、当該画像形成ユニットは画像形成体である感光体ドラム301、スコロトロン帯電器303、画像書き込み手段である露光光学系313及び現像器311等を1組として構成してある。
【0025】
前記画像形成ユニット300は前記用紙収納部9の上方部において縦方向に長く配設した中間転写体401(中間転写ベルト401ともいう)の1面(張設面A)に沿って縦方向(上から、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の順)に配列されており、4組とも機械的構成を同じ構成としてあり、従って、図1においては、1組の構成についてのみ参照符号を付け、他は便宜上、省略してある。
【0026】
前記露光光学系313は、スコロトロン帯電器303に対して感光体ドラム301の回転方向下流側に配置される。露光光学系313は、レーザ光学系で構成される露光用ユニットであり、その構成自体は公知である。
【0027】
画像形成において、例えば、イエロー(Y)の画像形成は次のように成される。感光体駆動モータの始動により、感光体ドラム301は反時計方向へと回転し、スコロトロン帯電器303の帯電作用により、感光体ドラム301に電位が付与される。
【0028】
しかる後、第1の色信号即ち(Y)の画像信号に対応する露光が露光光学系313により行われ、感光体ドラム301上に原稿の(Y)の画像に対応する静電潜像が形成される。
【0029】
前記静電潜像は現像器311で反転現像され、顕像化される。
【0030】
反転現像により作製された(Y)のトナー像は、中間転写ベルト401を挟んで感光体ドラム301に対向して設けられている転写ローラ305によって、当該中間転写ベルト401上に転写される(1次転写手段という)。
【0031】
他の色信号による画像形成は上記と同様のプロセスにより、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像形成ユニットによって作られたトナー像が前記(Y)のトナー像のある画像領域と重畳するように順次転写され、中間転写ベルト401上に重ね合わせのカラートナー像が形成される。
【0032】
上記画像形成に平行して、用紙Pが用紙収納部9の送り出し部901(911、921)より給紙ローラ903(913、923)によって送り出され、レジストローラ501へと搬送される。
【0033】
レジストローラ501の駆動によって中間転写ベルト401上のカラートナー像領域と重畳するように給紙され、転写域における2次転写手段415の作用によって、カラートナー像が用紙P上に転写される。
【0034】
トナー像が転写された用紙Pは、中間転写ベルト401の周面より分離されたのち、定着部601へ搬送される。前記トナー像は、内部にヒータを有する定着ローラ603と圧着ローラ605との熱と圧力とにより溶融され、用紙P上に定着される。定着処理終了後の用紙Pは、定着排紙ローラ607、排紙ローラ703により搬送されて、排紙トレイ705上に排出される。
【0035】
また、用紙が分離された後の中間転写ベルト401は、当該中間転写ベルト401を挟んで接地された導電性ローラと対向して設けられている除電器407により除電され、しかる後、クリーニングブレード413によって摺擦され、清掃される。
【0036】
また、転写後に感光体ドラム301の周面上に残っているトナーは、ドラムクリーニング部309により除去され、不図示の帯電前の一様露光器により先の画像形成における感光体ドラム301の履歴が解消されて、次の画像形成の準備がなされる。
【0037】
ところで、前記用紙収納部9には、複数枚の用紙Pを積層状態で収納する収納容器905、915、925と送り出し部901、911、921とを含んで構成された給紙ユニット900、910、920を上下方向に配設するとともに、用紙搬送方向と平行、かつ、上位の給紙ユニットに対して、直下の給紙ユニットを下流方向にずらして配列すると同時に、上下方向には近接させて配置してある。
【0038】
前記送り出し部901、911、921は、当該収納容器905、915、925の側辺(側壁)一辺側に位置していて、一体的に引き出し可能な構造を有している。
【0039】
前記送り出し部901、911、921は、給紙ユニット900、910、920が装置内の所定箇所に押し込まれ装填完了した状態において、当該容器の上辺よりも突出した領域に位置する給紙ローラ903、913、923を含み、また、2枚送り防止用の分離ローラ906、916、926を含む。
【0040】
なお、収納容器905、915、925内に示される一点鎖線は、所定量の用紙Pが収納されたときの、最上位紙の位置を示すものである。
【0041】
なお、前記給紙部5は、前記給紙ユニット900、910、920の一部を構成する前記収納容器905、915、925のそれぞれからレジストローラ501へと用紙Pを搬送するための多数の搬送手段R1、R2、R3、R4、R5、R6を有しており、当該搬送手段は、それぞれ一対のローラで構成してある。
【0042】
排紙・切換部7は、画像形成後の用紙を、排紙または再給紙するための手段を有する領域である。
【0043】
この排紙・切換部7は、トナー像が定着された用紙を前記定着部601から排出する定着排出ローラ607、搬送路を切り換える切換手段701、用紙を機外に排出するための排紙ローラ703、排出された用紙を積載する装置本体の側面に設けられた排紙トレイ705、反転搬送される用紙の表裏を反転させる反転部801及び反転された用紙を画像形成部3に向けて再給紙する反転搬送部803とを有している。
【0044】
切換手段701は、用紙をそのまま機外へ排出する場合と、表裏反転させた後に排出する場合と、用紙の裏面に画像形成するために再給紙する場合とで、搬送路を切り換えられるようになっている。
【0045】
画像形成された用紙をそのまま、即ち、画像形成された面を上側にして排出する場合は、切換手段701を図1において一点鎖線で示す姿勢に位置させ、定着排出ローラ607、排紙ローラ703によって、機外の排紙トレイ705へと排出される。
【0046】
また、画像形成された用紙の表裏を反転させて排紙、即ち、画像形成された面を下側にして排出する場合は、切換手段701を図1において実線で示す姿勢に位置させ、定着排出ローラ607により搬送される用紙を、一旦、反転部801の方向へ搬送させる。
【0047】
続いて、用紙が切換手段701を通過した後、スイッチバックさせて、排紙ローラ703によって機外の排紙トレイ705へと排出される。
【0048】
更に、用紙の裏面に画像形成する場合は、切換手段701を図1において実線で示す位置に位置させ、定着排出ローラ607により搬送される用紙を、反転部801の方向に搬送し、反転部801によってスイッチバックを行わせて表裏反転を施した後、反転搬送部803へと搬送される。
【0049】
前記反転搬送部803まで搬送された用紙Pは、後述する搬送ローラ503により、前記給紙ユニット900、910、920からの給紙と同様の搬送経路を通り、レジストローラ501へと搬送され、2次転写手段415へと搬送される。
〈押圧手段〉
次に、本発明の押圧手段30について図2、図3を用いて説明する。図2はガイド板511、512の間を通過する用紙Pの後端が、ガイド板512から離れた時に、用紙の復元力により中間転写ベルト401に衝突したところを示した図である。衝突したときに発生する振動により中間転写ベルト401上のトナー画像が飛散して、トナー散りが発生する。特に2次転写中において、この転写がずれる画像が顕著に現れる。またトナー散りが発生するトナーは、本実施例の場合黒トナーであることが認められる。
【0050】
すなわち、最後に重ね転写される黒トナーが、中間転写ベルト401上に密着していないため、わずかな中間転写ベルト401の振動によってもトナー散りが発生するためである。この現象は、不良画質サンプルの目視判定から、用紙Pの後端からトナー散りが発生している領域までの距離t1が、2次転写手段415とガイド板512との距離t2と一致していることから明らかである。
【0051】
そこで、上述したトナー散りが発生しないように、本発明の画像形成装置では、最後に中間転写ベルト401に転写する1次転写手段と、2次転写手段との間に、中間転写ベルト401を挟んで、トナー付着面側に第1ローラ321(金属ローラ321)、背面側に芯部材を弾性部材で被覆した第2ローラ322(弾性ローラ322)からなる1対のローラで構成した押圧手段30を設けている。
【0052】
弾性ローラ322は金属ローラ321に対して、1次転写手段がトナー転写するときに必要な1次転写押圧力と、少なくとも相当の力(本実施例では6N)で中間転写ベルト401上のトナー像を押圧している。
【0053】
なお金属ローラ321はアルミ材料または真鍮材などの導電性金属材料からなっており、弾性ローラ322は、導電性金属材料からなる芯金322aの表面を、CRゴムなどからなる弾性部材322bで被覆されている。本実施の形態では、弾性ローラの硬度は67±3°(JIS Aスケール)にしてある。また金属ローラ321には、表面に付着したトナーを清掃するために、クリーニングブレード323を設けている。そして金属ローラ321と弾性ローラ322は同電位となるように接地されている。
【0054】
さらに他の押圧手段の例では、図3に示すように、1次転写手段が必要な1次転写電圧を印可する電界印加手段が、中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に設けている。弾性ローラ322は、電界印加手段より1次転写電圧に相当する電圧が印加され、中間転写ベルト401を介して電気的に接地された金属ローラ321に、少なくとも1次転写相当の押圧を行うことにより、確実にトナー像を中間転写ベルト401上に密着させることができる。本実施例では押圧力を6N、印加電圧は約2kV、電流は定電流制御で50マイクロアンペアとした。
【実施例】
【0055】
次に、実施例1として、図2に示すような、弾性ローラ322が金属ローラ321に対して1次転写相当の力で中間転写ベルト401上のトナー像を押圧する。
【0056】
実施例2として、図3に示すような、実施例1にさらに弾性ローラに印加電流を与え、画像トナー散りレベルと転写ズレの評価を行った。
【0057】
さらに比較例として、弾性ローラに印加電流のみを与え、中間転写ベルト401上のトナー像を押圧しない状態での画質評価を行った。
共通条件
画像形成装置:図1に示すフルカラー画像形成装置
使用紙:256g/m2紙 A4サイズ
ラインスピード:220mm/秒
画像パターン:0.2mmピッチハーフドットパターン
2次転写ローラ:φ30、硬度67±3°(JIS−Aスケール)
抵抗値:4×107Ω
弾性ローラ:φ30、硬度67±3°(JIS−Aスケール)
抵抗値:4×107Ω
押圧力:6N
実施例2の弾性ローラ印加電流:定電流制御で50マイクロアンペア
金属ローラ:実施例1、2ともアルミローラで接地した。
評価:用紙の後端から20mmの画像トナー散りを目視判定した。
〈結果〉
実施例1及び実施例2の何れにおいても画像トナー散り及び、転写ズレは発生しなかった。しかし比較例では、画像トナー散り及び転写ズレが僅かに発生した。
【0058】
以上の実施例に示すように、中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に、中間転写ベルト401を挟んで、トナー付着面側に金属ローラ321、背面側に芯部材を弾性部材で被覆した弾性ローラ322からなる1対のローラで構成した押圧手段を設け、弾性ローラ322が金属ローラ321に対して1次転写相当(6N)の力で中間転写ベルト401上のトナー像を押圧し、さらに弾性ローラ322に1次転写電圧相当(マイクロアンペア)の電圧を印加することにより、トナー像を中間転写ベルト401上に密着させることができ、厚紙、OHPシートを使用したときでも、2次転写中の画像トナー散りの発生を防止し、画像品質が低下することのない画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】画像形成装置を正面から見たときの構成を示す概略図である。
【図2】中間転写ベルト401に用紙の後端が衝突したところを示した図である。
【図3】第1ローラと第2ローラの電気的接地を示す押圧手段の図である。
【符号の説明】
【0060】
1 自動原稿送り装置
2 画像読取装置
3 画像形成部
5 給紙部
7 排紙・切換部
9 用紙収納部
30 押圧手段
90 分離部
300 画像形成手段
321 第1ローラ(金属ローラ)
322 第2ローラ(弾性ローラ)
401 中間転写体(中間転写ベルト)
801 反転部
901 送り出し部
P 記録媒体(記録材、用紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体上に形成された静電潜像を、色の異なる複数のトナーを用いて現像し、各色毎のトナー像を順次中間転写体上に転写する1次転写手段と、
前記中間転写体上のトナー像を記録媒体に一括して転写する2次転写手段と、
を有する画像形成装置において、
前記中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に、前記中間転写体上のトナー像を押圧する押圧手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、前記中間転写体を挟んで、トナー付着面側に当接する金属表面を有する第1ローラと、背面側に芯部材を弾性部材で被覆した第2ローラとから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記押圧手段は、少なくとも1次転写相当の力で前記中間転写体を押圧することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ローラは電気的に接地されており、また前記第2ローラに電界を与える電界印加手段を有することを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電界印加手段は、前記第2ローラに少なくとも1次転写相当の電界を印加させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電界印加手段は、前記中間転写体の移動方向における最下流位置の1次転写領域よりも下流側で、かつ2次転写手段の位置よりも上流側の位置に設けたことを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−76469(P2008−76469A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252411(P2006−252411)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】