説明

画像形成装置

【課題】定着装置を良好に熱遮断するとともに、定着装置により熱の影響を避けることを目的とした冷却により定着装置内部が冷却されるのを避ける。
【解決手段】定着装置を覆う第1ダクトと該第1ダクトを覆う第2ダクトとにより、定着装置を熱遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱定着装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方プロセスでは一般に、トナー像が、加熱・加圧により定着される。
【0003】
定着温度は通常200℃に近い高温であるために、画像形成装置内の定着装置以外の部分に対する、定着装置において発生する熱による影響が問題となり、従来から種々の対策が採れれている。
【0004】
特許文献1では、定着装置のハウジングに多孔性セラミックからなる断熱材を用いて、定着装置で発生する熱を遮断している。
【0005】
特許文献2では定着装置を熱遮断する断熱体を一層もしくは多層構造とすることが提案されている。
【0006】
特許文献3では定着装置から排出された用紙を搬送するローラに外部から導入した冷却風を当てて冷却することが提案されている。
【特許文献1】特開2005−77996号公報
【特許文献2】特開2005−338430号公報
【特許文献3】特開2004−109732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
断熱材を用いて定着装置からの熱を遮断するものでは、長期間の使用したときに、断熱材が長時間熱に曝される結果、劣化して断熱性能が低下し、画像形成装置内部の部品が熱による影響を受けるようになるという問題がある。
【0008】
また、空気を断熱層とした密閉構造の断熱手段により定着装置からの熱を遮断することも考えられるが、長時間の使用により断熱層を構成している空気の温度が上昇して断熱効果が低下してしまう。
【0009】
さらには、外部から冷却風を導入して定着装置を冷却する場合には、冷却風が定着装置内部に及んで加熱ローラの温度を低下させ、これに打ち勝つために電力が消費される結果、消費電力が増加するという問題が生ずる。
【0010】
本発明は、このような問題を解決し、定着装置からの熱を長期間にわたって十分に遮断し、しかも、定着装置内部の温度を低下させることを防止した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、下記の発明により達成される。
1.
記録材上に画像を形成する画像形成部及び画像を記録材に定着する定着装置を有する画像形成装置において、
前記定着装置を覆い、前記定着装置により加熱された空気を通す第1ダクト、
前記第1ダクトを覆い、外部から導入された冷却空気を通す第2ダクト並びに、
前記第1ダクト及び前記第2ダクトを通過した空気を排出する排気ファンを有することを特徴とする画像形成装置。
2.
前記第1ダクトと、前記第2ダクトとの合流部に設けられた第3ダクトを有し、前記排気ファンは、前記画像形成装置の奥側に設けられ、前記第3ダクトを通る空気を排気することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
3.
前記画像形成装置の手前側に設けられ、前記第2ダクトに外気を導入する外気導入ファンが設けられていることを特徴とする前記1又は前記2に記載の画像形成装置。
4.
前記第2ダクトは前記定着装置の上面と、前記定着装置の側方であって、前記定着装置が前記画像形成部に対向する側面とを覆うことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、定着装置で加熱された空気を通す第1ダクトと、該第1ダクトを覆い、冷却空気を通す第2ダクトとで構成される二重構造の断熱手段により断熱しているので、定着装置が冷却空気による冷却を受けることなく熱遮断され、消費電力がアップすることが避けられるとともに、長期間に亘って定着装置からの熱の影響が良好に防止させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態に基づいて、本発明を説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0014】
図1は本発明に係る画像形成装置の全体構成を示すである。本画像形成装置は画像形成部GH、画像読取装置YS、定着装置9等で構成される。画像形成部GHは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写体6、2次転写手段7A等で構成される。
【0015】
画像形成部GHの上部には、自動原稿送り装置501と原稿画像走査露光装置502からなる画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置501の原稿台上に載置された原稿dは搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置502の光学系により原稿の片面または両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0016】
ラインイメージセンサCCDにより光電変換されて形成された信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光手段3Y,3M,3C,3Kに送られる。
【0017】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、像担持体である感光体ドラム1Yの周囲に帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y、一次転写手段7Y及びクリーニング手段8Yを有する。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M、一次転写手段7M及びクリーニング手段8Mを有する。シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C、一次転写手段7C及びクリーニング手段8Cを有する。黒(Bk)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K、一次転写手段7K及びクリーニング手段8Kを有する。そして、帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光手段3C、及び帯電手段2Kと露光手段3Kは、潜像形成手段を構成する。
【0018】
なお、現像装置4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包する。
【0019】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。定着装置9は、定着ローラ93及び加圧ローラ94を有し、定着ローラ93と加圧ローラ94との間に形成されたニップ部で記録紙P上のトナー像を加熱・加圧して定着する。
【0020】
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に1次転写手段7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて、カラー画像合成されたトナー像が形成される。
【0021】
記録紙収納手段である給紙トレイ21内に収容された記録紙Pは、給紙手段20の給紙ローラ22により1枚分離されて給紙され、給紙ローラ23を経て、停止状態にあるレジストローラ24へ給紙される。そこで一旦停止されて、その先端と中間転写体6上のトナー像との位置関係が正確に一致するタイミングで、そのレジストローラ24が回転を開始することにより2次転写手段7Aに給紙され、記録紙P上にカラー画像が転写される(2次転写)。カラー画像が転写された記録紙Pは定着装置9において加熱・加圧され、記録紙P上のカラートナー像が定着される。その後、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0022】
一方、2次転写手段7Aにより記録紙Pにカラー画像を転写した後、記録紙Pを曲率分離した中間転写体6は、中間転写体クリーニング手段8Aにより残留トナーが除去される。
【0023】
なお、以上はカラー画像を形成する画像形成装置であったが、モノクロ画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0024】
図2は本発明の実施の形態における定着装置近傍の側面断面図、図3は同正面断面図である。
【0025】
図2,3に示す定着装置9は、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写体6、7次転写手段7A及び中間転写体クリーニング手段8Aを含む画像形成部に対して以下に説明する断熱手段により熱遮断される。
【0026】
定着装置9は加熱ローラ91、加圧ローラ92、ヒータ93、記録材Pを定着装置内にガイドする定着進入ガイド94及び加熱ローラ91と加圧ローラ92間のニップを通過した記録材Pをガイドし排出する定着排出ガイド95を有する。
【0027】
定着装置9は、板金又は耐熱性樹脂からなる箱状の外装90を有し、前記諸部品が外装90内に設けられる。外装90は記録材Pの導入口及び排紙口を除いて定着装置内を密閉する。
【0028】
定着装置9は中間転写体6の下方に設けられ、定着装置9と中間転写体6との間は、断熱手段により隔てられている。
【0029】
断熱手段は、定着装置9に近く、定着装置9の上方を覆う第1ダクト101、定着装置9から遠く第1ダクト101の上方を覆う第2ダクト103及び、第1ダクト101と第2ダクト102とが合流する第3ダクト103で構成される。
【0030】
第1ダクト101は図示のように、定着装置9により加熱されて矢印で示すように上昇する空気を導入する開口を有する。
【0031】
図2における第2ダクト102の右端、即ち、外気導入口には外気導入ファン104が、第3ダクト103の左端、即ち、排気口には排気ファン105が、それぞれ設けられる。
【0032】
第2ダクト102は図3に示すように、第1ダクト101の上方を覆い、第1ダクト101とともに重層の断熱層を形成する部分102A及び定着装置9の側方を覆う部分102Bを有する。
【0033】
第2ダクト102は外気導入ファン104により導入された空気を取り入れる開口を有する。
【0034】
図における矢印は空気の流れを示す。
【0035】
断熱手段を中間転写体6側から見るとき、第1ダクト101は中間転写体6から遠い位置に配置され、第2ダクト102は中間転写体6に近い位置に配置される構成である。
【0036】
外気導入ファン104により導入された外気は第2ダクト102を通り、排気ファン105により吸引されて第3ダクト103を通って画像形成装置外に排気される。
【0037】
外気導入ファン104は画像形成装置の手前側、即ち、画像形成装置に対してオペレータが操作する位置側の装置外壁に配置され、排気ファン105が奥側、即ち、オペレータが操作する位置との反対側の装置外壁に配置される。
【0038】
また、定着装置9により加熱された定着装置9近傍の空気は定着装置の上方に移動し、排紙ファン105により吸引されて、第1ダクト101を通って、第3ダクト103において、第2ダクト102からの空気と合流し、画像形成装置外に排気される。
【0039】
このように、定着装置9と定着装置9以外の画像形成装置の部分とは、外部から導入された空気により熱遮断されているので、長期間の使用後であっても、断熱性能が低下することはなく、画像形成装置内の部品が熱により影響されることが良好に防止される。
【0040】
特に、定着装置9近傍に配置された中間転写体6は、外気が流通する第2ダクト102に対向しているので、定着装置9からの熱により影響がきわめて少なく、十分に低い温度に保持される。
【0041】
なお、中間転写体6は定着装置9の上方において、第2ダクト102の上方部102Aを介して定着装置に対向するだけでなく、側方においても定着装置9の側面を覆う部分102Bを介して対向するので、中間転写体6の熱による影響を十分に防止することができる。
【0042】
また、定着装置9は、第1ダクト101の介在により外部から導入された低温の空気に直接接触しないので、定着装置9の冷却が防止される。
【0043】
従って、熱の損失がきわめて少なく、定着装置9における電力の消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る画像形成装置の全体構成を示すである。
【図2】本発明の実施の形態における定着装置近傍の側面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における定着装置近傍の同正面断面図である。
【符号の説明】
【0045】
6 中間転写体
9定着装置
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
101 第1ダクト
102 第2ダクト
103 第3ダクト
104 外気導入ファン
105 排気ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材上に画像を形成する画像形成部及び画像を記録材に定着する定着装置を有する画像形成装置において、
前記定着装置を覆い、前記定着装置により加熱された空気を通す第1ダクト、
前記第1ダクトを覆い、外部から導入された冷却空気を通す第2ダクト並びに、
前記第1ダクト及び前記第2ダクトを通過した空気を排出する排気ファンを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1ダクトと、前記第2ダクトとの合流部に設けられた第3ダクトを有し、前記排気ファンは、前記画像形成装置の奥側に設けられ、前記第3ダクトを通る空気を排気することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の手前側に設けられ、前記第2ダクトに外気を導入する外気導入ファンが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2ダクトは前記定着装置の上面と、前記定着装置の側方であって、前記定着装置が前記画像形成部に対向する側面とを覆うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−14895(P2009−14895A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174940(P2007−174940)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】