説明

画像形成装置

【課題】外部記憶装置を取り外し忘れてしまうことを防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】印刷データの生成が終了すれば、第2印刷中画面を表示部21に表示させる。この第2印刷中画面では、エリアA1に「印刷中」という画像形成装置1の状態が表示され、エリアA2に「安全にメモリを取り外すことが出来ます」のメッセージが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記憶装置からの画像データに従って印刷するダイレクト印刷が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、メモリカード等の外部記憶装置から画像データを直接読み込んで印刷を実行する、いわゆるダイレクト印刷が可能な画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−92445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ダイレクト印刷終了時に印刷物を持ち帰ることに気を取られて、外部記憶装置を取り外し忘れてしまう問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するために、外部記憶装置を取り外し忘れてしまうことを防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載の画像形成装置は、外部記憶装置が装着される装着部と、前記装着部に装着された外部記憶装置から画像データを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された画像データに従って印刷を実行する印刷手段と、前記取得手段が外部記憶装置から取得すべき画像データの取得を完了した場合、外部記憶装置の取り外しが可能であることを前記印刷手段による印刷終了前に報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置の取り外しを、印刷終了まで待つことなく早め(印刷中)に行うことができるため、印刷終了時に印刷物を持ち帰ることに気を取られて、外部記憶装置を取り外し忘れてしまうことを防止することができる。
また、本発明の画像形成装置は、請求項2に記載のように、前記装着部に対する外部記憶装置の装着または非装着の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づき、前記外部記憶装置の状態が装着から非装着に変化するタイミングに従って、前記印刷手段を停止させる停止手段と、を備えていてもよい。
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置を装着部から取り外すという直感的な操作によって、印刷処理を停止させることができる。
【0008】
なお、本発明の画像形成装置において、停止手段は、例えば請求項3に記載のように、前記印刷手段が印刷中のページに対する印刷を終了した時点で前記印刷手段を停止させるように構成されていることが望ましい。
【0009】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、ページの途中で印刷が中止されてしまうことを防止できる。
【0010】
本発明の画像形成装置は、請求項4に記載のように、前記停止手段により前記印刷手段が停止された場合、前記印刷手段による印刷を継続するか否かを選択する第1選択手段と、前記第1選択手段により印刷の継続が選択され、且つ前記取得手段により取得済の印刷待ち画像データが存在する場合、前記印刷手段による印刷を継続させる継続手段とを備えていてもよい。
【0011】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置が取り外された時に、画像形成装置に残っている取得済の印刷待ち画像データの処分方法をユーザが決定することができ、当該装置の使い勝手を向上させることができる。例えば、外部記憶装置の取り外しがユーザの意図しないものであった場合、第1選択手段によって印刷の継続を選択すれば、既に画像形成装置に取り込まれている画像データも有効に利用して、無駄なく印刷を継続させることができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、請求項5に記載のように、前記第1選択手段により印刷の継続が選択され、且つ印刷部数が複数に設定されている場合、前記取得手段により取得済の画像データに基づく印刷の印刷部数を設定通りとするか1部にするかを選択する第2選択手段を備えていてもよい。
【0013】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置の取り外しによる印刷処理の停止後、印刷処理を継続する際に、よりユーザの要望に即した処理を実行することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、請求項6に記載のように、前記取得手段が外部記憶装置から取得すべき画像データの取得を完了している場合、前記取得手段により取得された画像データに基づく印刷の印刷部数を設定通りとする自動選択手段を備えていてもよい。
【0015】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、画像データの取得が完了している場合には、改めて印刷部数の選択を行わなくても、設定された印刷部数通りに最後まで印刷を実行することができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、請求項7に記載のように、前記印刷手段によって印刷されるべき画像データの中で未印刷の画像データを識別するための識別情報を、所定の記憶媒体に記憶させる記憶制御手段と、前記識別情報に基づき、前記装着部へ装着された外部記憶装置に未印刷の画像データが存在すると判断された場合には、前記未印刷の画像データの印刷を行う再開手段とを備えていてもよい。
【0017】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置が取り外されることで印刷が停止された後、その外部記憶装置が再装着された場合、印刷を再開された時点で未印刷の画像データのみが印刷され、最初から印刷し直す必要がないため、無駄なく印刷を行うことができる。
【0018】
なお、前記記憶媒体は、画像形成装置内に存在していてもよいが、請求項8に記載のように、前記外部記憶装置内に存在していてもよい。この場合、画像形成装置が有する記憶媒体の使用を抑えることができる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置は、請求項9に記載のように、前記識別情報は、印刷されるべきファイルおよび印刷完了ページ数に関する情報を含んでいてもよい。
【0020】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置が取り外されることで印刷が停止された後、その外部記憶装置が再装着された場合、印刷されるべきファイ
ルおよび印刷完了ページ数を把握することができるため、印刷を再開された時点で未印刷の画像データのみが印刷され、最初から印刷し直す必要がないため、無駄なく印刷を行うことができる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、請求項10に記載のように、前記記憶制御手段は、印刷されるべきファイルについて印刷が完了したか否かを判断し、印刷が完了したと判断したときに前記識別情報を前記記録媒体から削除してもよい。
【0022】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、記憶媒体の使用を抑えることができる。
また、本発明の画像形成装置は、請求項11に記載のように、前記記憶制御手段は、印刷されるべきファイルについて印刷が完了したことを判断する前に、前記検出手段の検出結果に基づいて前記外部記憶装置の装着から非装着への変化を判断した場合には、前記識別情報を前記記録媒体内に保持させてもよい。
【0023】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、印刷されるべきファイルについて印刷が完了したことを判断する前に離脱された外部記憶装置が再装着されたときに、未印刷の画像データに従って印刷を再開することができ、最初から印刷し直す必要がないため、無駄なく印刷を行うことができる。
【0024】
また、請求項12に記載の発明は、各種の指令を入力するために操作可能な操作部が配置され、装置フレームの前面側に設けられた操作パネルと、外部記憶装置が装着されるように前記装置フレームの前面側に設けられた装着部と、前記装着部に装着された外部記憶装置からの画像データに従って印刷を実行する印刷手段と、前記装着部に装着された外部記憶装置が離脱された場合、前記印刷手段を停止させる停止手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置を装着部から取り外すという直感的な操作によって、印刷処理を停止させることができる。
【0026】
また、本発明の画像形成装置は、請求項13に記載のように、前記操作部は、前記停止手段を実行させる指令を入力するための停止入力手段を備えていてもよい。
【0027】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、停止入力手段を押下する操作が直感的に操作可能でなくても、外部記憶装置を装着部から取り外すという直感的な操作によって、印刷処理を停止させることができる。
【0028】
また、本発明の画像形成装置は、請求項14に記載のように、前記装着部は、前記操作パネルに近接して配置され、前記装置フレームの前面側から前記外部記憶装置を挿入および離脱することが可能なように構成されていてもよい。
【0029】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、画像形成装置の前面に立って操作パネルを操作するユーザにとって、より直感的に外部記憶装置を装着部から取り外す操作を行うことができ、印刷処理を停止させることができる。
【0030】
また、本発明の画像形成装置は、請求項15に記載のように、前記操作パネルは表示手段を有し、前記装着部は、前記表示手段に近接して配置されてもよい。
【0031】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、表示パネルを見ながら操作を行うユーザにとって、より直感的に外部記憶装置を装着部から取り外す操作を行うことがで
き、印刷処理を停止させることができる。
【0032】
また、本発明の画像形成装置は、請求項16に記載のように、前記印刷手段によって印刷されるべき画像データの中で未印刷の画像データを識別するための識別情報を、前記外部記憶装置内の所定の記憶媒体に記憶させる記憶制御手段と、前記識別情報に基づき、前記装着部へ装着された外部記憶装置に未印刷の画像データが存在すると判断された場合には、前記未印刷の画像データの印刷を行う再開手段とを備え、前記外部記憶装置に未印刷の画像データが存在する状態で、前記外部記憶装置の状態が装着から非装着に変化した場合、前記識別情報が前記所定の記録媒体内に保持されてもよい。
【0033】
このように構成された本発明の画像形成装置によれば、外部記憶装置が取り外されることで印刷が停止された後、その外部記憶装置が再装着された場合、印刷を再開された時点で未印刷の画像データのみが印刷され、最初から印刷し直す必要がないため、無駄なく印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の構成を示すブロック図。
【図2】操作パネルの構成を示す説明図。
【図3】印刷指定テーブルの構成を示す説明図。
【図4】USBメモリのディレクトリ構成例を示す説明図。
【図5】ダイレクト印刷処理の第1タスクの処理内容を示すフローチャート。
【図6】第1タスク中で実行されるイベント対応処理の内容を示すフローチャート。
【図7】第1タスク中で実行される印刷データ生成処理の内容を示すフローチャート。
【図8】ダイレクト印刷処理の第2タスクの処理内容を示すフローチャート。
【図9】ダイレクト印刷処理の実行中に表示される画面の構成を示す説明図。
【図10】USBメモリとの関係においてダイレクト印刷処理の実行中に表示される画面の構成を示す説明図。
【図11】ファイル選択画面の詳細、及び該画面を介した操作等を示す説明図。
【図12】ファイル選択画面の詳細、及び該画面を介した操作等を示す説明図。
【図13】部数指定画面,次ファイル選択画面の詳細、及び該画面を介した操作等を示す説明図。
【図14】USBメモリ非装着時の画像形成装置の外観を示す斜視図。
【図15】USBメモリ装着時の画像形成装置の外観を示す斜視図。
【図16】別の実施形態に係るデータ読込処理の内容を示すフローチャート。
【図17】別の実施形態に係るデータ変換処理の内容を示すフローチャート。
【図18】データ変換処理の実行中に表示される画面の構成を示す説明図。
【図19】他の実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本発明を適用した画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【0036】
なお、画像形成装置1は、感光ドラム上に1頁分のトナー像を形成し、そのトナー像を記録媒体に転写する、いわゆるレーザプリンタとして構成されたものである。
【0037】
図1に示すように、画像形成装置1は、USBメモリ3等の外部記憶装置を接続するためのUSBホストI/F14(装着部の一例)を備えている。USBホストI/F14は
、図14に示すように、画像形成装置1の装置外面2(装置フレームの一例)において、後述する操作パネル12の下方側面に設けられている。そして、図15に示すように、後述するUSBメモリ3(外部記憶装置の一例)がUSBホストI/F14に装着される。また、画像形成装置1は、当該装置1を接続ケーブルを介してホストコンピュータ(図示せず)等に接続するためのホストI/F15を備えている。
【0038】
また、画像形成装置1は、記録部11と、操作パネル12と、制御部13とを備えている。記録部11(印刷手段の一例)は、紙等の記録媒体に文字や画像等のカラー印刷を実行する。操作パネル12は、当該装置1に対する指令の入力、当該装置1の操作内容や作業状況等の表示を行う。制御部13は、CPU,ROM,RAMからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、操作パネル12を介して入力される指令に従って当該装置1の各部を動作させ、USBホストI/F14を介してUSBメモリ3から読み込んだファイルに基づいて印刷を実行する、いわゆるダイレクト印刷処理を少なくとも実行する。
【0039】
なお、USBホストI/F14には、USBメモリ3の非装着時には非導通状態、装着時には導通状態となる端子の信号レベルを監視することで、USBメモリ3の装着/非装着を検出する周知の着脱センサ141(検出手段の一例)が設けられている。
<操作パネルの構成>
図2は、操作パネル12の構成を示す説明図である。
【0040】
図2に示すように、操作パネル12は、LCD(Liquid Crystal Display)からなり、操作キー部20と、図画像や文字を表示する表示部21(第1選択手段、報知手段、表示手段の一例)とを備えている。操作キー部20(操作部の一例)は、表示部21の表示内容をスクロールする場合に操作するスクロールキー22,23、処理や操作を確定する場合等に操作する実行キー24、処理や操作を中止する場合等に操作するキャンセルキー25、設定を進める場合に操作する進むキー26、設定を戻す場合に操作される戻るキー27を備えている。
【0041】
なお、表示部21は、上下に分割された二つの表示領域からなり、以下では、上側の表示領域をエリアA1,下側の表示領域をエリアA2と呼ぶものとする。
<印刷指定テーブルの構成>
図3は、ダイレクト印刷処理で使用する印刷指定テーブルの構成を示す説明図である。
【0042】
図3に示すように、印刷指定テーブルは、ダイレクト印刷を実行するように指定されたファイルのパス(ファイル名を含む)を記憶する領域であるパスエリアT1と、その指定されたファイル(以下「印刷指定ファイル」という)に対して設定される印刷部数を記憶する領域である印刷部数エリアT2と、その印刷指定ファイルについて印刷を完了しているページ数を記憶する領域である印刷完了ページエリアT3と、その印刷指定ファイルについて印刷を完了している部数を記憶する領域である印刷完了部数エリアT4とを備えている。なお、印刷指定テーブルは、印刷部によって印刷されるべき画像データの中で未印刷の画像データを識別するための識別情報の一例である。
【0043】
そして、印刷指定テーブルは、印刷指定ファイルを指定する時に、USBホストI/F14に接続されたUSBメモリ3に作成され、全ての印刷指定ファイルについて印刷を完了した時にUSBメモリ3から削除される。但し、印刷完了前にUSBホストI/F14からUSBメモリ3が取り外された場合、印刷指定テーブルは、その取り外された時点の状態のまま削除されずにUSBメモリ3に保持される。
【0044】
なお、以下では、当該装置1の具体的な動作を説明する場合、USBメモリ3には、図
4に示すディレクトリ構造でファイルが格納されているものとする。
【0045】
即ち、ルートディレクトリROOTには、3つのサブディレクトリDIR1〜DIR3が設けられていると共に、複数のファイルが格納され、また、各サブディレクトリDIR1〜DIR3の下にも、複数のファイルが格納されている。
<ダイレクト印刷処理>
次に、制御部13が実行するダイレクト印刷処理を、図5〜図8に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本実施形態において、ダイレクト印刷処理は、互いに独立して動作する第1タスク、及び第2タスクによって実現される。
【0046】
このうち、第1タスクは、USBメモリ3から読み込んだファイルに基づいて、ページ単位で印刷データを生成し、その印刷データを第2タスクに処理させるための印刷キューを印刷キューバッファに登録するものである。一方、第2タスクは、第1タスクが印刷キューバッファに登録した印刷キューを順次取得して、その取得した印刷キューに対応する印刷データに基づき、ページ単位で印刷を実行するものである。また、第1タスクでは、印刷指定テーブルの生成,設定を行い、第2タスクでは、印刷指定テーブルの更新,削除を行う。
【0047】
そして、第1タスク及び第2タスクは、図9(b)に示す機能選択画面にて、ダイレクトプリントが選択されると起動する。
【0048】
なお、図9(a)に示す待機中画面(エリアA1に「Ready」の文字のみ表示)が表示部21に表示されている時に、「実行」キー24を押下すると、表示部21の表示が待機中画面から機能選択画面に切り替わり、機能選択画面で「戻る」キー27を押下すると、機能選択画面から待機中画面に切り替わる。
【0049】
また、機能選択画面では、エリアA1に「機能を選択して下さい」のメッセージが表示され、エリアA2に選択可能な機能名が表示される。但し、エリアA2の表示(機能名)は、スクロールキー22,23を操作することでスクロールし(表示される機能名が切り替わる)、エリアA2に所望の機能名(即ち、ここでは「ダイレクトプリント」)を表示させた状態で、「実行」キー24又は「進む」キー26を押下すると、その機能に対応する処理が起動する。
<第1タスク>
図5は、第1タスクの処理内容を示すフローチャートである。
【0050】
図9(b)に示す機能選択画面にてダイレクトプリントが選択されることにより本処理が起動すると、まず、S110では、USBホストI/F14にUSBメモリ3が装着されたか否かを着脱センサ141の出力により判断し、USBメモリ3が装着されていなければ、装着されるまで待機する。そして、USBメモリ3が装着されると、S120に進み、カレントディレクトリの設定をルートディレクトリ(ROOT)とし、続くS130にてイベント対応処理を実行して、本処理を終了する。
<イベント対応処理>
図6は、S130にて実行するイベント対応処理の詳細を示すフローチャートである。
【0051】
本処理では、まずS210にて、USBメモリ3に印刷指定テーブルが格納されているか否かを判断し、格納されていなければ、S260に進み、カレントディレクトリのファイル選択画面を表示する。
【0052】
このファイル選択画面では、図9(c)に示すように、エリアA1にカレントディレクトリが表示され(図は、ルートディレクトリを示す‘/’が表示されている状態を示す)
、エリアA2にそのカレントディレクトリに存在するファイル又はサブディレクトリ(以下総称して「ファイル等」という)の名称が一つだけ表示される(図は、ファイルの名称が表示されている状態を示す)。なお、カレントディレクトリにファイル等が複数存在する場合は、エリアA2の右端に、スクロールキー22,23による操作が可能であることを示すアイコンが表示される。つまり、このアイコンが表示されている場合は、スクロールキー22,23を操作することで、図11,12に示すように、エリアA2のファイル等の表示を順次切り換えることができる。
【0053】
続くS270では、イベントが発生したか否かを判断し、イベントが発生していなければ、発生するまで待機する。なお、イベントは、USBホストI/F14へのUSBメモリ3の挿抜や、操作パネル12上の各種キー22〜27に対する操作を契機として発生する。
【0054】
そして、イベントが発生した場合、まず、S280にて、発生したイベントがディレクトリの選択であるか否かを判断する。
【0055】
このイベント(ディレクトリの選択)は、ファイル選択画面において、エリアA2にサブディレクトリ名が表示されている状態で「進む」キー26が押下されると発生する。
【0056】
そして、発生したイベントがディレクトリの選択であれば、S290に進み、選択されたディレクトリをカレントディレクトリに設定してS260に戻る。
【0057】
例えば、カレントディレクトリがルートである場合のファイル選択画面(図11参照)において、サブディレクトリDIR1が選択されると、ファイル選択画面は図12に示すように、エリアA1に選択されたサブディレクトリDIR1(即ち、現在のカレントディレクトリ)が表示され、エリアA2には、サブディレクトリDIR1に存在するファイルの名が表示されるものに切り替わることになる。
【0058】
先のS280にて、発生したイベントはディレクトリの選択ではないと判断された場合は、S300に進み、発生したイベントはファイルの選択であるか否かを判断する。
【0059】
このイベント(ファイルの選択)は、図11,図12に示すように、ファイル選択画面において、エリアA2にファイル名が表示されている状態で、「実行」キー24又は「進む」キー26が押下されると発生する。
【0060】
そして、発生したイベントがファイルの選択であれば、S310に進み、図9(d)に示す部数指定画面を表示部21に表示させ、印刷部数の入力を受け付ける処理を実行する。
【0061】
この部数指定画面では、図13(a)に示すように、エリアA1に「部数を指定してください(MAX:999部)」のメッセージが表示され、エリアA2に印刷部数を表す数値が表示される。但し、エリアA2に表示される数値(印刷部数)は、スクロールキー22,23を操作することで増減し、エリアA2に所望の数値を表示させた状態で、「実行」キー24又は「進む」キー26を押下すると、その数値が印刷部数として取得される。
【0062】
続くS320では、S300にて選択されたファイル(即ち、印刷指定ファイル)のパスおよびS310にて入力された印刷部数を、印刷指定テーブルのパスエリアT1および印刷部数エリアT2に格納することで印刷指定ファイルを登録してS330に進む。但し、USBメモリ3に印刷指定テーブルが存在しない場合は、印刷指定テーブルを新たに作成して印刷指定ファイルの登録を行う。
【0063】
S330では、図9(e)に示す次ファイル選択画面を表示部21に表示させ、続くS340では、次ファイルの選択を行うか否かを判断する。
【0064】
なお、次ファイル選択画面では、図13(b)に示すように、エリアA1に「別のファイルを選択しますか?」のメッセージが表示され、エリアA2に「Yes」又は「No」のいずれか一方の選択肢が表示される。このエリアA2の表示(選択肢)は、スクロールキー22,23を操作することで交互に切り替わる。
【0065】
そして、「実行」キー24又は「進む」キー26が押下されたときに、エリアA2に「Yes」が表示されていれば、次ファイルの選択を行うものとして、そのままS260に戻る。一方、キー24又は26が押下されたときに、エリアA2に「No」が表示されていれば、次ファイルの選択を行わないものとして、S350に進み、後述する印刷データ生成処理を実行後、S260に戻る。
【0066】
先のS300にて、発生したイベントはファイルの選択ではないと判断された場合は、S360に進み、発生したイベントは「戻る」の選択であるか否かを判断する。
【0067】
このイベント(「戻る」の選択)は、ファイル選択画面が表示部21に表示されている時に、戻るキー27が押下されると発生する。
【0068】
そして、発生したイベントが「戻る」の選択であれば、S370に進み、現在のカレントディレクトリより一つ上位のディレクトリを、カレントディレクトリに設定して、S260に戻る。
【0069】
具体的には、例えば、カレントディレクトリがサブディレクトリDIR1である場合に、このイベントが発生すると、その上位にあるルートディレクトリROOTがカレントディレクトリとなる。なお、カレントディレクトリがルートディレクトリROOTである場合には、それより上位のディレクトリが存在しないため、そのままS260に戻る。
【0070】
先のS360にて、発生したイベントは「戻る」の選択ではないと判断された場合は、S380に進み、発生したイベントは「キャンセル」の選択であるか否かを判断する。
【0071】
このイベント(「キャンセル」の選択)は、ファイル選択画面が表示部21に表示されている時に、キャンセルキー25が押下されると発生する。
【0072】
そして、発生したイベントが「キャンセル」の選択であれば、S390に進み、カレントディレクトリの設定をルートディレクトリROOTにして、S260に戻る。
【0073】
先のS380にて、発生したイベントは「キャンセル」の選択ではないと判断された場合は、S400に進み、発生したイベントはUSBメモリの離脱であるか否かを判断する。
【0074】
このイベント(USBメモリの離脱)は、着脱センサ141により、USBホストI/F14からUSBメモリ3が取り外されたことが検出されると発生する。
【0075】
そして、発生したイベントがUSBメモリの離脱であれば、本処理を終了し、USBメモリの離脱でなければ、S260に戻る。
【0076】
また、先のS210にて、USBメモリ3に印刷指定テーブルが格納されていると判断
された場合は、S220に進み、図9(f)に示す印刷再開選択画面を表示部21に表示させ、続くS230では、USBメモリ3に存在する印刷指定テーブルに従って印刷を再開するか否かを判断する。
【0077】
この印刷再開選択画面では、エリアA1に「印刷の再開をしますか?」のメッセージが表示され、エリアA2に「Yes」又は「No」のいずれか一方の選択肢が表示される。このエリアA2の表示(選択肢)は、次ファイル選択画面の場合と同様に、スクロールキー22,23を操作することで交互に切り替わる。
【0078】
そして、「実行」キー24又は「進む」キー26が押下されたときに、エリアA2に「No」が表示されていれば、印刷を再開しないものとして、S240に進み、USBメモリ3に格納されている印刷指定テーブルを削除後、S260に戻る。
【0079】
一方、キー24又は26が押下されたときに、エリアA2に「Yes」が表示されていれば、印刷を再開するものとして、S250に進み、後述する印刷データ生成処理を実行後、S260に戻る。
なお、S210〜S250が再開手段の一例である。
<印刷データ生成処理>
図7は、S250及びS350にて実行する印刷データ生成処理の詳細を示すフローチャートである。
【0080】
本処理では、まずS510にて、図10(a)に示す第1印刷中画面を表示部21に表示させてS520に進む。
【0081】
この第1印刷中画面では、エリアA1に「印刷中」という当該装置1の状態が表示され、エリアA2に「読み出し中メモリを抜かないでください」のメッセージが表示される。
【0082】
S520では、USBメモリ3に格納された印刷指定テーブルに登録されている印刷指定ファイルの数をカウントし、続くS530にて、本処理で使用するファイル数カウンタの値をゼロクリアしてS540に進む。
【0083】
S540では、ファイル数カウンタの値で特定される一つの印刷指定ファイル(以下「対象ファイル」という)のパス、及び印刷部数を、印刷指定テーブルのパスエリアT1,印刷部数エリアT2から取得し、続くS550では、本処理で使用する部数カウンタをゼロクリアしてS560に進む。
【0084】
S560では、本処理で使用するページカウンタの値を1に設定し、続くS570では、先のS540で取得した対象ファイルのパスに基づき、ページカウンタで指定されたページのデータ(以下「指定ページデータ」という)をUSBメモリ3から読み込んで、S580に進む。
【0085】
S580では、指定ページデータの読込に成功したか否かを判断し、読込に成功したのであれば、S590に進んで、その指定ページデータに基づいて印刷データを作成し、これを印刷バッファに格納して、S600に進む。
【0086】
S600では、S590にて作成した印刷データの印刷実行を要求する印刷キューを印刷キューバッファにセットし、続くS610では、ページカウンタの値をインクリメント(1増加)してS620に進む。
【0087】
S620では、ページカウンタの値が対象ファイルの総ページ数を超えているか否かに
より、全ページの印刷データの生成が終了したか否かを判断し、総ページ数以下であれば、全ページの印刷データの生成が終了していないものとしてS570に戻り、S570〜S610の処理を繰り返すことで、対象ファイルの次ページについて印刷データの生成、印刷キューのセットを実行する。
【0088】
一方、ページカウンタの値が対象ファイルの総ページ数を超えていれば、対象ファイルの全ページについて印刷データの生成が終了したものとして、S630に進み、部数カウンタの値をインクリメント(1増加)して、S640に進む。
【0089】
S640では、部数カウンタの値がS540にて読み込んだ印刷部数と一致しているか否かにより、印刷部数分の印刷データの生成が終了したか否かを判断し、一致していなければ、印刷部数分の処理が終了していないものとしてS560に戻り、S560〜S630の処理を繰り返すことで、対象ファイルの印刷データを最初のページから再生成する。
【0090】
一方、部数カウンタの値が印刷部数の指定値と一致していれば、印刷部数分の印刷データの生成が終了したものとして、S650に進み、部数カウンタの値をゼロクリアすると共に、ファイル数カウンタをインクリメント(1増加)して、S660に進む。
【0091】
S660では、ファイル数カウンタの値が、先のS520でカウントした印刷指定ファイル数と一致しているか否かにより、全印刷指定ファイルについて印刷データの生成が終了したか否かを判断し、一致していなければ、印刷データが未生成である印刷指定ファイルが存在するものとしてS540に戻り、ファイル数カウンタの値で指定される印刷指定ファイルを新たな対象ファイルとして、S540〜S650の処理を繰り返すことで、新たな対象ファイルについて印刷部数分の印刷データの生成を実行する。
【0092】
一方、ファイル数カウンタの値が印刷指定ファイル数と一致していれば、全印刷指定ファイルについて印刷データの生成を終了したものとして、S670に進み、図10(b)に示す第2印刷中画面を表示部21に表示させてS680に進む。
【0093】
この第2印刷中画面では、エリアA1に「印刷中」という当該装置1の状態が表示され、エリアA2に「安全にメモリを取り外すことが出来ます」のメッセージが表示される。
【0094】
S680では、後述する第2タスクが終了しているか否かにより、印刷指定テーブルに登録された全ての印刷指定ファイルについて印刷が終了したか否かを判断し、終了していれば、そのまま本処理を終了し、終了していなければ、S690に進む。
【0095】
S690では、着脱センサ141の出力から、USBホストI/F14にUSBメモリ3が装着されているか否かを判断し、USBメモリ3が装着されていればS680に戻り、装着されていなければS710に進む。
【0096】
また、先のS580にて、指定ページデータの読込に失敗したと判断された場合は、S700に進み、S690と同様に、着脱センサ141の出力から、USBホストI/F14にUSBメモリ3が装着されているか否かを判断し、USBメモリ3が装着されていれば、全ての印刷データの作成が終了したものとしてS670に移行する。
【0097】
一方、USBメモリ3が装着されていなければ、S710に進み、図10(c)に示す継続選択画面を表示部21に表示させる。なお、継続選択画面は、USBメモリ3が取り外されることにより表示される。続くS720では、印刷バッファに格納されている未印刷の印刷データについて印刷を継続するか否かを判断する。
【0098】
なお、継続選択画面では、エリアA1に「印刷データが残っています。残りの印字をしますか?」のメッセージが表示され、エリアA2に「Yes」又は「No」のいずれか一方の選択肢が表示される。このエリアA2の表示(選択肢)は、スクロールキー22,23を操作することで交互に切り替わる。
【0099】
そして、「実行」キー24又は「進む」キー26が押下されたときに、エリアA2に「No」が表示されていれば、印刷を継続しないものとして、S730に進み、印刷バッファ及び印刷キューバッファ(但し、第2タスクが処理中のものを除く)をクリアして本処理を終了する。
【0100】
一方、「実行」キー24又は「進む」キー26が押下されたときに、エリアA2に「Yes」が表示されていれば、印刷を継続するものとして、S740に進み、第2タスクが終了(即ち、印刷が終了)するまで待機し、第2タスクが終了すると、本処理を終了する。
【0101】
つまり、第1タスクでは、印刷指定テーブルに登録された全ての印刷指定ファイルについて、指定された印刷部数分の印刷が実行されるように、印刷データを作成し、印刷キューをセットする。そして、印刷データの作成が終了すると、印刷データ,印刷キューに従って印刷を実行する第2タスクの終了を待って、本処理を終了する。
【0102】
但し、印刷データの作成中および第2タスクの終了待中に、USBメモリ3が取り外された場合は、生成済みの印刷データを用いた印刷を継続するか否かをユーザに判断させ、その判断に従って、印刷を継続、又は中止するようにされている。
【0103】
なお、本処理において、S520〜S570が取得手段の一例、S670が報知手段の一例、S710〜S720が第1選択手段の一例である。
<第2タスク>
図8は、第2タスクの処理内容を示すフローチャートである。
【0104】
図9(b)に示す機能選択画面にてダイレクトプリントが選択されることにより本処理が起動すると、まず、S800では、着脱センサ141の出力に基づき、USBメモリ3の取り外しが行われたか否かを判断し、USBメモリ3の取り外しが行われていなければS810に進み、USBメモリ3の取り外しが行われていればS803に進む。
【0105】
S803では、S800にてUSBメモリ3の取り外しが行われていると判断した時点で記録部11に実行させていたページの印刷が終了次第、記録部11による印刷を停止し、S805に進む。尚、S803において、S800にてUSBメモリ3の取り外しが行われていると判断した時点で記録部11による印刷が行われていない場合は、直ちに記録部11による印刷を停止する。
【0106】
S805では、先のS710での処理で表示部21に表示された継続選択画面(図10(c)参照)のエリアA2に表示されている選択肢(「Yes」又は「No」)に基づいて、先のS720での処理と同様に、印刷の継続が選択されたか否かを判断し、印刷の継続が選択されたのであればS810に進み、印刷の中止が選択されたのであれば本処理を終了する。
【0107】
S810では、印刷キューバッファに印刷キューが有るか否かを判断し、印刷キューが有れば、S820に進んで、印刷キューに対応して印刷バッファに格納されている印刷データの印刷を記録部11に実行させてS830に進む。
【0108】
S830では、印刷キューに基づく1ページ分の印刷が終了すると、印刷キューバッファを更新(対応する印刷キューの削除,印刷バッファの解放)し、続くS840では、印刷指定テーブル上で対象ファイルの印刷完了ページエリアT3の値を更新(1増)して、S850に進む。
【0109】
S850では、対象ファイルの印刷完了ページエリアT3の値が、対象ファイルの全ページ数と一致するか否かにより、対象ファイルの全ページについて印刷が完了したか否かを判断し、エリアT3の値(印刷完了ページ数)が全ページ数と一致していなければ、未印刷のページがあるものとして、S800に戻る。
【0110】
一方、エリアT3の値(印刷完了ページ数)が全ページ数と一致していれば、対象ファイルの全ページについて印刷が完了したものとしてS860に進み、印刷指定テーブル上で対象ファイルの印刷完了部数エリアT4の値を更新(1増)して、S870に進む。
【0111】
S870では、対象ファイルの印刷完了部数エリアT4の値が、同じく対象ファイルの印刷部数エリアT2の値と一致しているか否かにより、対象ファイルについて印刷部数分の印刷が完了したか否かを判断し、エリアT4の値(印刷完了部数)がエリアT2の値(印刷部数)と一致していなければ、印刷部数分の印刷が完了していないものとして、S800に戻る。
【0112】
一方、エリアT4の値(印刷完了部数)がエリアT2の値(印刷部数)と一致していれば、対象ファイルについて全部数の印刷が完了したものとして、S880に進み、印刷指定テーブル上で対象ファイルについての登録内容を削除してS800に戻る。
【0113】
先のS810にて、印刷キューバッファに印刷キューがないと判断された場合は、S890に進み、印刷指定テーブルが空であるか否か、即ち、印刷指定ファイルが全て削除されているか否かを判断し、印刷指定ファイルが削除されずに残っているものがあれば、S800に戻る。
【0114】
一方、印刷指定ファイルが全て削除され、印刷指定テーブルが空である場合は、S900に進み、印刷指定テーブル自体を削除して本処理を終了する。
【0115】
なお、S820が印刷手段の一例、S805〜S820が継続手段の一例、S800及びS803が停止手段の一例、S840,S870〜S880が記憶制御手段の一例であ
る。
<効果>
以上説明したように画像形成装置1では、ダイレクト印刷中に、USBホストI/F14からUSBメモリ3が取り外された場合、印刷データを印刷する処理(第2タスク)を直ちに停止させ、生成済の印刷データについて、印刷を継続するか否かを継続選択画面を介してユーザに選択させている。
【0116】
従って、画像形成装置1によれば、USBメモリ3を取り外すという直感的な操作によって、印刷を停止させることができる。しかも、USBメモリ3が取り外された時に、装置1内に残っている生成済の印刷データの処分方法をユーザが決定できるため、装置1の使い勝手を向上させることができる。
【0117】
また、画像形成装置1によれば、生成済の印刷データによる印刷を継続しない場合は、未処理の印刷キューを削除し、処理中の印刷キューについては、その処理を最後まで実行するようにされているため、ページの途中で印刷が中止されてしまうことがなく、その印刷中の印刷物が無駄になってしまうことを防止できる。
【0118】
また、画像形成装置1では、USBメモリ3からファイルを読み込んで印刷データを生成する処理の実行中は、表示部21に第1印刷中表示画面を表示することにより、ファイル読込中にUSBメモリ3が取り外されてしまうことを防止するための報知を行い、印刷データを作成する処理が終了すると、その印刷データに基づく印刷が完了していなくても、表示部21に第2印刷中表示画面を表示することで、USBメモリ3を安全に取り外すことができることを報知するようにされている。
【0119】
従って、画像形成装置1によれば、ユーザにUSBメモリ3の取り外しを安全に行わせることができ、しかも、その取り外しは、印刷終了まで待つことなく早め(印刷中)に行うことができるため、印刷終了時に印刷物を持ち帰ることに気を取られて、USBメモリ3を取り外し忘れてしまうといった事態を防止することができる。
【0120】
また、画像形成装置1では、印刷指定ファイルの格納先(エリアT1)印刷すべき部数(エリアT2)や印刷の進捗状況(エリアT3,T4)が記録される印刷指定テーブルを、USBメモリ3上に作成するようにされている。
【0121】
このため、画像形成装置1によれば、印刷中にUSBメモリ3が取り外されたとしても、再装着された時に、USBメモリ3に残されている印刷指定テーブルの内容に従って、印刷できなかったページのみを印刷することができ、最初から印刷し直す必要がないため、無駄なく印刷を行うことができる。
[第2実施形態]
上記実施形態の図7に示された印刷データ生成処理では、ページ毎に、データがUSBメモリ3から読み出されて印刷データが生成されている。しかしながら、データ読込処理と(印刷データを生成する)データ変換処理とを独立して進行させてもよい。すなわち、読み込んだデータを保持するバッファの容量が許す限り、データ変換処理の進捗に関係なく、データ読込処理が、複数のページ、複数の部数又は複数のファイルについて進行してもよい。
【0122】
図16は、本実施形態に係るデータ読込処理の内容を示すフローチャートであり、図17は、本実施形態に係るデータ変換処理の内容を示すフローチャートである。本実施形態では、部数毎又はファイル毎に処理が実行される。
【0123】
図16に示すデータ読込処理は、例えば、図7に示すS550の印刷データ生成処理が終了すると、起動する。まず、印刷データバッファをクリアする(S1010)。次に、読込開始ページカウンタ及び読込終了ページカウンタをゼロクリアする(S1020)。そして、読込開始ページカウンタをインクリメント(1増加)する(S1030)。
【0124】
そして、読込開始ページカウンタの値に対応した指定ページのデータを、印刷データバッファに読み込み・格納し(S1040)、読み込んだデータのサイズを保存する(S1050)。なお、このサイズの保存はページ毎に実行される。
【0125】
次に、指定ページのデータの読み込みが成功したか否かを判断する(S1060)。読み込みが成功していれば(S1060:YES)、読込終了ページカウンタをインクリメント(1増加)する(S1070)。
【0126】
そして、指定ファイルの全ページのデータが読み込まれたか否かを、読込終了ページカウンタの値が指定ファイルの総ページ数を超えているか否かに基づいて判断する(S1080)。全ページのデータが読み込まれていれば(S1080:YES)データ読込処理を終了し、読み込まれていなければS1030に戻る。
【0127】
読み込みが失敗した場合(S1060:NO)、USBメモリ3が接続されているか否かを、着脱センサ141からの出力に基づいて判断する(S1090)。
【0128】
USBメモリ3が接続されている場合(S1090:YES)、印刷データバッファに格納されている最終ページのデータを削除し(S1100)、読込開始ページカウンタをデクリメント(1減少)し(S1110)、データ読込処理を終了する。最終ページのデータを削除する理由としては、USBメモリ3が接続されているにもかかわらずデータの読み込みが失敗したので、USBメモリ3が壊れており、最終ページのデータも壊れていることが考えられる。したがって、最終ページデータは削除される。但し、最終ページデータを削除しない処理を採用してもよい。
【0129】
USBメモリ3が取り外された場合(S1090:NO)、継続選択画面(図10C参照)を表示部21に表示する(S1120)。そして、ステップS720と同様に、印刷バッファに格納されている未印刷データの印刷を継続するか否かを、操作パネル12からの入力に基づいて判定する(S1130)。印刷を継続する場合(S1130:YES)、S1100に進む。
【0130】
一方、印刷を継続しない場合(S1130:NO)、印刷データバッファに格納されている全てのデータを削除し(S1140)、読込開始ページカウンタ及び読込終了ページカウンタをゼロクリアし(S1150)、データ読込処理を終了する。
【0131】
次に、データ変換処理について説明する。図17に示すデータ変換処理は、例えば、図7に示す印刷データ生成処理のS550が終了したときに起動する。データ変換処理は図16に示すデータ読込処理にて読み込んだデータを変換することにより印刷データを生成する処理である。
【0132】
まず、ページカウンタをゼロクリアし(S1210)、USBメモリ3が接続されているか否かを、着脱センサ141の出力に基づいて判断する(S1220)。
USBメモリ3が接続されている場合(S1220:YES)、データ読込処理が起動しているか否かを判断する(S1230)。
【0133】
データ読込処理が起動していれば(S1230:YES)、印刷バッファに読込・格納されたデータを取得する(S1240)。そして、印刷バッファに未変換のデータがあるか否かを判断する(S1250)。
【0134】
未変換のデータがあれば(S1250:YES)、ページカウンタの値に対応する保存されたサイズ分のデータを変換する(S1260)。すなわち、指定ページのデータが変換されることとなる。
【0135】
そして、指定ページのデータの変換が終了したか否かを判定する(S1270)。指定ページのデータの変換が終了していれば(S1270:YES)、印刷キューを印刷キューバッファに設定し(S1280)、ページカウンタをインクリメント(1増加)する(S1290)。
【0136】
そして、全ての指定ページのデータが変換されたか否かを、ページカウンタの値が総指定ページ数を超えたか否かに基づいて判断する(S1300)。
【0137】
データ読込処理が起動していない場合(S1230:NO)、又は、全ての指定ページのデータが変換された場合(S1300:YES)には、印刷が終了したか否かを判断す
る(S1310)。
【0138】
印刷が終了していれば(S1310:YES)、データ変換処理を終了する。未変換データが存在しない場合(S1250:NO)、指定ページのデータの変換が終了していない場合(S1270:NO)、全ての指定ページのデータが変換されていない場合(S1300:NO)、又は印刷が終了していない場合(S1310:NO)には、S1220へ戻る。
【0139】
USBメモリ3が接続されていない場合(S1220:NO)、継続選択画面(図10C参照)を表示部21に表示する(S1320)。そして、S720と同様に、印刷バッファに格納されている未印刷データの印刷を継続するか否かを、操作パネル12からの入力に基づいて判定する(S1330)。印刷を継続しない場合(S1330:NO)、印刷キューバッファをクリアし(S1400)、データ変換処理を終了する。
【0140】
印刷を継続する場合(S1330:YES)、データ変換選択画面を表示部21に表示する(S1340)。図18はデータ変換選択画面の一例を示す。データ変換選択画面では、エリアA1に「全ての残っているデータを印刷データに変換しますか?」のメッセージが表示され、エリアA2に「Yes」又は「No」のいずれか一方の選択肢が表示される。このエリアA2の表示(選択肢)は、スクロールキー22,23を操作することで交互に切り替わる。
【0141】
そして、未変換データを変換するか否かを判断する(S1350)。実行キー24又は進むキー26が押下されたときに、エリアA2に「No」が表示されていれば、未変換データを変換しないものとして、S1310に進む。
【0142】
一方、実行キー24又は進むキー26が押下されたときに、エリアA2に「Yes」が表示されていれば、未変換データを変換するものとして、S1360に進む。
そして、少なくとも1ページ分の未変換データが存在するか否かを判断する(S1360)。未変換データが1ページ分未満であれば(S1360:NO)、S1310に進む。
【0143】
未変換データが少なくとも1ページ分存在すれば(S1360:YES)、ページカウンタの値に対応する1ページ分の未変換データを変換し(S1370)、印刷キューを印刷キューバッファに設定する(S1380)。そして、ページカウンタをインクリメント(1増加)し(S1390)、S1360へ進む。
【0144】
本実施形態の画像形成装置によれば、データ読込処理がデータ変換処理と独立して実行可能であるので、データ読込処理に要する時間を削減することが可能となり、USBメモリ3を早いタイミングで安全に取り外すことが可能となる。
[他の実施形態]
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することが可能である。
【0145】
例えば、図14及び15に示す実施形態では、USBホストI/F14が装置1の装置外面2前面側の左端に配置された場合について説明したが、図19に示すように、USBホストI/F14は、装置外面2前面側の表示部12近傍に設けられてもよい。ダイレクトプリントに関するメッセージは表示部12に表示されるので、USBホストI/F14を表示部12近傍に設けることにより、USBメモリ3を抜くことによる直感的な操作でダイレクトプリントを中断することが可能となる。
【0146】
また、操作パネル12の配置は図2に限定されるものではなく、たとえば図14及び15に示される配置のように、他の構成を有していてもよい。
【0147】
図14及び15に示す構成において、操作パネル12は、操作パネル12の中央に設けられた表示部21と、操作パネル12の右側に配置された矢印キーパッド28と、矢印キーパッド28の右側に配置されたテンキーパッド29と、テンキーパッド29の右側に設けられたキャンセルキー25と、テンキーパッド29の右側に設けられた実行キー24とを備える。
【0148】
矢印キーパッド28は、4方向を示す4つの矢印キー、すなわち、上方向キーと、下方向キーと、右方向キーと、左方向キーとを有する。上方向キー及び下方向キーは、それぞれ、スクロールキー22,23に割り当てられている。右方向キー及び左方向キーは、それぞれ、進むキー26及び戻るキー27に割り当てられている。
【0149】
操作パネル12には、動作中の機能を中止する入力を受け付ける中止キーを設けてもよい。そして、中止すべき機能は、ダイレクトプリントを含んでもよい。複数の機能が並行して動作している場合、予め設定された一つの機能のみを中止してもよい。例えば、ファクシミリ受信機能及びコピー機能が動作しているとき、中止キーの入力に応じて、(中止する機能として予め設定された)コピー機能の動作のみが中止される。また、複数の機能が中止されてもよい。また、キャンセルキー25(停止入力手段の一例)は、中止キーの機能を有していてもよい。
【0150】
例えば、上記実施形態では、本発明をレーザプリンタからなる画像形成装置1に適用した例について説明したが、これに限らず、例えば、プリンタの機能に加えて、イメージスキャナ、コピー機、ファクシミリとしての機能を備えた、いわゆる複合機として構成された画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0151】
また、ページ単位で印刷データを生成するレーザプリンタではなく、ライン単位で印刷データを生成するインクジェットプリンタに本発明を適用した場合、ページの途中であっても簡単に印刷を停止できるため、そのように構成してもよい。
【0152】
上記実施形態では、USBメモリ3が取り外された時に、生成済の印刷データについての印刷を継続するか否かを表示部21にてユーザに選択させるように構成したが、例えば、対象ファイルの全データが画像形成装置1に既に読み込まれている場合には、印刷部数エリアT2に設定された部数の印刷を自動的に実行する(自動選択手段の一例)ように構成したり、継続して印刷するか否かだけでなく、印刷する部数を、表示部21(第2選択手段の一例)にてユーザに選択させるように構成してもよい。
【0153】
この場合、印刷部数エリアT2に設定された部数を全て印刷する選択肢や、現在印刷中のものを最終ページまで印刷する選択肢、1部以上印刷されていれば直ちに印刷を終了する選択肢等を設けることが考えられる。これにより、USBメモリ3が取り外された時に、よりユーザの要望に即した処理を実行することができる。
【0154】
また、USBメモリ3が取り外された時に、対象ファイルの一部データしか読み込まれていない場合には、取り込めたページまでを印刷部数エリアT2に設定された印刷部数だけ印刷する選択肢や、ユーザによって改めて選択された部数だけ印刷する選択肢を設けてもよい。
【0155】
上記実施形態では、印刷指定テーブルをUSBメモリ3上に生成したが、画像形成装置1内に生成するように構成してもよい。
【0156】
上記実施形態では、USBメモリ3を外部記憶装置として用いたが、携帯可能な各種メモリや携帯可能な各種機器に内蔵されているメモリを外部記憶装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1…画像形成装置 3…USBメモリ 11…記録部 12…操作パネル 13…制御部 14…USBホストI/F 15…ホストI/F 21…表示部 22,23…スクロールキー 24…実行キー 25…キャンセルキー 26…進むキー 27…戻るキー
141…着脱センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶装置が装着される装着部と、
前記装着部に装着された外部記憶装置から画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された画像データに従って印刷を実行する印刷手段と、
前記取得手段が外部記憶装置から取得すべき画像データの取得を完了した場合、外部記憶装置の取り外しが可能であることを前記印刷手段による印刷終了前に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装着部に対する外部記憶装置の装着または非装着の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記外部記憶装置の状態が装着から非装着に変化するタイミングに従って、前記印刷手段を停止させる停止手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記停止手段は、前記印刷手段が印刷中のページに対する印刷を終了した時点で前記印刷手段を停止させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記停止手段により前記印刷手段が停止された場合、前記印刷手段による印刷を継続するか否かを選択する第1選択手段と、
前記第1選択手段により印刷の継続が選択され、且つ前記取得手段により取得済の印刷待ち画像データが存在する場合、前記印刷手段による印刷を継続させる継続手段と、
を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1選択手段により印刷の継続が選択され、且つ印刷部数が複数に設定されている場合、前記取得手段により取得済の画像データに基づく印刷の印刷部数を設定通りとするか1部にするかを選択する第2選択手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取得手段が外部記憶装置から取得すべき画像データの取得を完了している場合、前記取得手段により取得された画像データに基づく印刷の印刷部数を設定通りとする自動選択手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷手段によって印刷されるべき画像データの中で未印刷の画像データを識別するための識別情報を、所定の記憶媒体に記憶させる記憶制御手段と、
前記識別情報に基づき、前記装着部へ装着された外部記憶装置に未印刷の画像データが存在すると判断された場合には、前記未印刷の画像データの印刷を行う再開手段と、
を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記憶媒体は、前記外部記憶装置内に存在することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記識別情報は、印刷されるべきファイルおよび印刷完了ページ数に関する情報を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記記憶制御手段は、印刷されるべきファイルについて印刷が完了したか否かを判断し、印刷が完了したと判断したときに前記識別情報を前記記録媒体から削除することを特徴とする請求項7乃至請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記記憶制御手段は、印刷されるべきファイルについて印刷が完了したことを判断する
前に、前記検出手段の検出結果に基づいて前記外部記憶装置の装着から非装着への変化を判断した場合には、前記識別情報を前記記録媒体内に保持させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
各種の指令を入力するために操作可能な操作部が配置され、装置フレームの前面側に設けられた操作パネルを備え、
前記装着部は、外部記憶装置が装着されるように前記装置フレームの前面側に設けられたことを特徴とする請求項2乃至請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記操作部は、前記停止手段を実行させる指令を入力するための停止入力手段を備えることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記装着部は、前記操作パネルに近接して配置され、前記装置フレームの前面側から前記外部記憶装置を挿入および離脱することが可能なように構成されていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記操作パネルは表示手段を有し、
前記装着部は、前記表示手段に近接して配置されることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記印刷手段によって印刷されるべき画像データの中で未印刷の画像データを識別するための識別情報を、前記外部記憶装置内の所定の記憶媒体に記憶させる記憶制御手段と、
前記識別情報に基づき、前記装着部へ装着された外部記憶装置に未印刷の画像データが存在すると判断された場合には、前記未印刷の画像データの印刷を行う再開手段とを備え、
前記外部記憶装置に未印刷の画像データが存在する状態で、前記外部記憶装置の状態が装着から非装着に変化した場合、前記識別情報が前記所定の記録媒体内に保持されることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−166499(P2009−166499A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62438(P2009−62438)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2007−246973(P2007−246973)の分割
【原出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】