説明

画像形成装置

【課題】媒体の直進性を損なわずに、媒体を幅方向に移動させること。
【解決手段】画像が記録された媒体(S)を排出する媒体排出部材(Rhd,Rhj)と、媒体(S)を媒体排出部(TRh)に排出する際の直進性を向上させるために媒体(S)に湾曲を付与する湾曲付与部材(Rhc)と、媒体排出部材(Rhd、Rhj)に向けて搬送される媒体(S)を案内する媒体案内部材(SH3,GT1)と、媒体排出部材(Rhd、Rhj)と湾曲付与部材(Rhc)と媒体案内部材(SH3,GT1)とを媒体搬送方向に交差する媒体幅方向に対して移動させて、媒体排出部(TRh)に積載される媒体(S)の位置を移動させる媒体幅方向移動機構(31,31′)と、を備えたことを特徴とする画像形成装置(U)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、媒体の排出に関する技術として、下記の特許文献1〜3が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開昭61−33459号公報には、駆動する下ローラ(7)と従動回転する上ローラ(8)とを有する排紙ローラ対(7,8)において、スプリング(13)の張力とプランジャーマグネット(11)の作動、非作動により揺動する揺動板(12)により軸方向に揺動する下ローラ(7)と、下ローラ(7)に接触する力が加えられ、下ローラ(7)の揺動に伴う摩擦力により下ローラ(7)と共に軸方向に揺動する上ローラ(8)と、により構成された排紙ローラ対(7,8)について記載されている。そして、特許文献1には、排紙ローラ対(7,8)に用紙が挟まれてから後端が抜け出るまでに、プランジャーマグネット(11)を作動させて、排紙ローラ対(7,8)を軸方向に一定距離だけ移動させ、用紙の排紙位置を通常位置から変更し、排紙受け台(9)に積載させる、いわゆるオフセット排出に関する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2としての特開2006−160401号公報には、駆動力を受けて回転するドライブローラ(3203)と、ドライブローラ(3203)とニップ領域を作るピンチローラ(3204)と、により構成された排出ローラ(3201)が記載され、この排出ローラ(3201)が、ステッピングモータ(351)とセクターギア(352)からなる駆動部(35)によって記録媒体幅方向に移動する可動側シュート(3208)と共に、ニップ領域を維持したまま記録媒体幅方向に移動する構成のシート排出装置(30)について記載されている。そして、特許文献2には、排出される記録媒体(P)の後端(Pe)が排出ローラ(3201)のニップ領域を抜け出る前後にわたり、排出ローラ(3201)を記録媒体幅方向に移動させながら、記録媒体(P)を排出させることで、可動側シュート(3208)によって記録媒体(P)に直接的な作用をさせることなく、記録媒体(P)を斜め前方に飛ばすオフセット排出に関する技術が記載されている。また、特許文献2には、記録媒体(P)の排出の際の排出ローラ(3201)の記録媒体幅方向の移動速度や移動距離を調節することで、排出される記録媒体(P)の排出位置を調節する技術が記載されている。
【0005】
特許文献3としての特開2002−348027号公報には、複数の従動ローラ(64)と、従動ローラ(64)より直径が大きい複数の押圧ローラ(65)と、がローラ軸(63)に交互に配置された第1のローラ群(61)と、複数の駆動ローラ(70)が従動ローラ(64)の配置位置に対応してローラ軸(69)に配置された第2のローラ群(62)と、により構成された押圧機構(60)が記載され、排出口(6)から排出された記録紙(P)を従動ローラ(64)と駆動ローラ(70)により挟み込んで、押圧ローラ(65)の径だけ記録紙(P)を押し込み、記録紙(P)に波形の癖をつける、いわゆる、コルゲーションを付与して排出する技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、下段排紙トレイ(31)と上段排紙トレイ(32)とを有する画像形成装置において、押圧機構(60)の下流側に、押圧機構(60)の従動ローラ(64)と駆動ローラ(70)との接触、隔離に連動して移動するゲート(48)を配置して、下段排紙トレイ(31)と上段排紙トレイ(32)への排出を切り替える構成が記載されている。下段排紙トレイ(31)に排出する場合、ゲート(48)が第一の切り替え位置に移動して押圧機構(60)でコルゲーションを付与して排出すると共に、上段排紙トレイ(32)に排出する場合、ゲート(48)が第2の切り替え位置に移動し且つ押圧機構(60)の従動ローラ(64)と駆動ローラ(70)とが隔離して、下流側の押圧ローラ(38)でコルゲーションを付与して排出している。
【0007】
【特許文献1】特開昭61−33459号公報(第2頁右上欄第2行〜第2頁右下欄第17行)
【特許文献2】特開2006−160401号公報(「0029」〜「0038」、「0042」〜「0050」)
【特許文献3】特開2002−348027号公報(「0042」〜「0052」、「0068」〜「0082」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、媒体の直進性を損なわずに、媒体を幅方向に移動させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の画像形成装置は、
画像が記録された媒体を媒体排出部に排出する媒体排出部材と、
前記媒体を前記媒体排出部に排出する際の直進性を向上させるために前記媒体に湾曲を付与する湾曲付与部材と、
前記媒体排出部材の媒体搬送方向上流側に配置され、前記媒体排出部材に向けて搬送される媒体を案内する媒体案内部材と、
前記媒体排出部材と、前記湾曲付与部材と、前記媒体案内部材と、を媒体搬送方向に交差する媒体幅方向に対して移動させて、前記媒体排出部に積載される媒体の位置を移動させる媒体幅方向移動機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記媒体排出部材へ向かう排出路と、
前記排出路の上流端部に設定された分岐部において接続され、媒体が搬送される分岐搬送路と、
前記分岐部に配置され、且つ、前記排出路と前記分岐搬送路とを切り替えると共に切り替えられた側に媒体を案内する搬送路切り替え部材により構成された前記媒体案内部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記媒体排出部材と、前記湾曲付与部材と、前記媒体案内部材とを、一体的に前記媒体幅方向に移動させる前記媒体幅方向移動機構、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記媒体排出部材と前記湾曲付与部材とを前記媒体幅方向に一体的に移動させる第1の移動機構と、前記媒体案内部材を前記媒体幅方向に移動させる第2の移動機構と、を有する媒体幅方向移動機構を備え、
前記第1の移動機構と、第2の移動機構との媒体幅方向への移動開始時期は同時に実行し、
前記第1の移動機構の前記媒体幅方向への移動量は、前記第2の移動機構の媒体幅方向への移動量に対して大きく設定された
ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記媒体排出部材と前記湾曲付与部材とを前記媒体幅方向に一体的に移動させる第1の移動機構と、前記媒体案内部材を前記媒体幅方向に移動させる第2の移動機構と、を有する媒体幅方向移動機構を備え、
前記第1の移動機構の媒体幅方向への移動開始時期は、第2の移動機構の媒体幅方向への移動開始時期に比べて、早く設定され、
前記第1の移動機構の前記媒体幅方向への移動量は、前記第2の移動機構の媒体幅方向への移動量と同一に設定された
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、媒体排出部材、湾曲付与部材、媒体案内部材が移動して、媒体に付与した湾曲の変形量を低減させつつ、媒体を幅方向に移動させることができ、本発明の構成を有しない場合に比べて、媒体排出部における良好な媒体収容性を有する画像形成装置を提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、媒体の直進性を損なわずに、媒体を幅方向に移動させつつ、媒体案内部材により搬送路を切り替えることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、媒体排出部材、湾曲付与部材、媒体案内部材を移動させる構成を共通化でき、部品点数を少なくし費用を低減しつつ、媒体に付与された湾曲の変形量を低減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、移動量を調整、設定することができると共に、湾曲が付与された媒体に対する媒体案内部材の掃過面積が小さくなり、媒体における湾曲の変形量を低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、移動開始タイミングを調整、設定することができると共に、湾曲が付与された媒体に対する媒体案内部材の掃過面積が小さくなり、媒体における湾曲の変形量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例であるプリンタUは、画像形成装置本体U1を備えている。前記プリンタUに電気的に接続された画像情報送信装置PCから送信された画像情報は、制御部Cに入力される。前記制御部Cに入力された画像情報は、所定の時期に潜像形成用の黄色Y、マゼンタM、シアンC、黒Kの画像情報に変換され、潜像形成装置駆動回路DLに出力される。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒Kのみの画像情報が潜像形成装置駆動回路DLに入力される。
前記潜像形成装置駆動回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの各駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を所定の時期に、各色毎に配置された潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
【0018】
図1において、前記プリンタUの重力方向中央部に配置された可視像形成装置Uy,Um,Uc,Ukはそれぞれ、Y、M、C、およびKの各色の可視像を形成する装置である。
潜像形成装置LHy〜LHkの各潜像書込光源から出射したY,M,C,Kの潜像書込光Ly,Lm,Lc,Lkは、それぞれ、回転する像保持体PRy,PRm,PRc,PRkに入射する。なお、実施例1では、前記潜像形成装置LHy〜LHkは、いわゆる、LEDアレイにより構成されている。
前記Yの可視像形成装置Uyは、回転する像保持体PRy、帯電器CRy,潜像形成装置LHy、現像装置Gy、一次転写器T1y、像保持体清掃器CLyを有している。なお、実施例1では、前記像保持体PRy、帯電器CRy、像保持体清掃器CLyが、画像形成装置本体U1に対して一体的に着脱可能な像保持体ユニットとして構成されている。
前記可視像形成装置Um,Uc,Ukはいずれも前記Yの可視像形成装置Uyと同様に構成されている。
【0019】
図1において、前記各像保持体PRy,PRm,PRc,PRkはそれぞれの帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより帯電された後、画像書込位置Q1y,Q1m,Q1c,Q1kにおいて、前記潜像書込光Ly,Lm,Lc,Lkにより、その表面に静電潜像が形成される。前記像保持体PRy,PRm,PRc,PRk表面の静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤保持体の一例としての現像ロールGRy,GRm,GRc,GRkに保持された現像剤により可視像の一例としてのトナー像に現像される。
その現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定の時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
【0020】
前記各像保持体PRy〜PRk上のトナー像は前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の像保持体PRy,PRm,PRc,PRk表面の残留物、付着物は、像保持体清掃器CLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。清掃された前記像保持体PRy,PRm,PRc,PRk表面は、帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより再帯電される。
【0021】
前記像保持体PRy〜PRkの上方には、上下移動可能且つ前方に引き出し可能な中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、中間転写体張架部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRfおよび二次転写領域対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは、前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより構成される中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより回転移動可能に支持されている。
【0022】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して2次転写部材の一例としての二次転写ロールT2bが配置されており、前記各ロールT2a,T2bにより2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域には2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで一次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写された単色または多色のトナー像は、前記2次転写領域Q4に搬送される。
前記一次転写器T1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび二次転写器T2等により、実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
【0023】
前記可視像形成装置Uy〜Ukの下方には、案内部材の一例としての左右一対のガイドレールGRが4段設けられており、前記ガイドレールGRには、給紙容器の一例としての給紙トレイTR1〜TR4が前後方向に出入可能に支持されている。給紙トレイTR1〜TR4に収容された媒体の一例としての記録シートSは、搬送部材の一例であって、送り出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離される。そして、記録シートSは、媒体の搬送路の一例である給紙路SH1に沿って、搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより搬送され、2次転写領域Q4のシート搬送方向上流側に配置された転写領域搬送時期調節部材の一例としてのレジロールRrに送られる。
前記ピックアップロールRp、さばきロールRs等により、実施例1の給紙装置Rp+Rsが構成されている。
また、前記最上段の給紙トレイTR1の左方には、手差し給紙部の一例としての手差しトレイTR0が設置されている。前記手差しトレイTR0に支持された記録シートSは、手差し給紙部材の一例としての手差し給紙ロールRp0により給紙され、手差し搬送路SH0を搬送され、レジロールRrに送られる。
【0024】
レジロールRrは、前記中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、前記記録シートSを前記給紙路SH1の下流側の搬送路の一例としての主搬送路SH2に搬送し、記録シートSを2次転写領域Q4に搬送する。記録シートSが前記2次転写領域Q4を通過する際、前記バックアップロールT2aは接地され、2次転写器T2bには前記制御部Cにより制御される電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。このとき、前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写器T2により記録シートSに転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。
【0025】
前記トナー像が2次転写された記録シートSは、定着装置Fの加熱用定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧用定着部材の一例としての加圧ロールFpの圧接領域である定着領域Q5に搬送され、前記定着領域を通過する際に加熱定着される。なお、前記加熱ロールFh表面には、記録シートSの前記加熱ロールからの離型性を良くするための離型剤が離型剤塗布装置Faにより塗布されている。
前記定着装置Fの搬送方向下流側である上方には、定着装置排出案内部材の一例としての定着装置排出ガイドGTFが配置されており、定着装置Fから排出された記録シートSを搬送路に案内する。定着装置排出ガイドGTFの下流側である上方には、記録シートSを媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに搬送する場合に排出路の一例としての排紙路SH3と、反転や画像記録面を上側にして排出される記録シートSが搬送される分岐搬送路の一例としての上方接続路SH4が配置されている。前記排紙路SH3と上方接続路SH4とが接続されている分岐部には、記録シートSの搬送先に応じて搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第1ゲートGT1が配置されている。したがって、排紙トレイTRhに排紙される場合には、定着された記録シートSが排紙路SH3を搬送され、排出部材の一例としての排紙ロールRhにより排紙トレイTRhに排紙される。
ここで、排紙ロールRh、第1ゲートGT1、排紙路SH3などにより、実施例1の媒体排出装置BHSが構成される。
【0026】
前記定着装置Fの上方には、追加媒体排出装置の一例としてのオプション排出ユニットU3が支持されており、前記オプション排出ユニットU3は、前記排紙トレイTRhの上方に配置され、排紙トレイTRhと同様に画像記録面が下側になる状態で積載される下向き積載部の一例としてのフェイスダウントレイTRh2と、画像記録面が上側になる状態で積載される上向き積載部の一例としてのフェイスアップトレイTRh3とを有する。前記オプション排出ユニットU3内部には、前記上側接続路SH4に接続される搬送路の一例としての反転・排出共通路SH5と、前記反転・排出共通路SH5に接続され且つフェイスダウントレイTRh2に記録シートSを送る搬送路の一例としてのフェイスダウン排出路SH6と、前記反転・排出共通路SH5に接続され且つフェイスアップトレイTRh3に記録シートSを送る搬送路の一例としてのフェイスアップ排出路SH7と、を有する。前記フェイスダウン排出路SH6には、搬送部材の一例であって、媒体排出部材兼媒体反転部材の一例として、正逆回転可能な反転ロールRh2が配置されており、前記フェイスアップ排出路SH7には、媒体排出部材の一例としてのフェイスアップ排紙ロールRh3が配置され、各搬送路SH6,SH7の記録シートSを搬送する。
前記反転・排出共通路SH5、フェイスダウン排出路SH6およびフェイスアップ排出路SH7との接続部には、記録シートSの搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第2ゲートGT2が配置されている。前記第2ゲートGT2は、記録シートSがフェイスダウントレイTRh2に排出される場合と両面印刷のために反転される場合にフェイスダウン排出路SH6に搬送路を切り替え、記録シートSがフェイスアップトレイTRh3に排出される場合にはフェイスアップ排出路SH7に搬送路を切り替える。
【0027】
前記画像形成装置本体U1の左側部には、追加ユニットの一例としての反転ユニットU4が設置されている。前記反転ユニットU4には、反転・排出共通路SH5の下端部に接続され、両面印刷時に記録シートSが搬送される搬送路の一例としての反転路SH8が設けられている。前記反転路SH8は、重力方向に沿って直線上に延びる主反転路SH8aと、前記主反転路SH8aと反転・排出共通路SH5とを接続する上流側反転路SH8bと、前記主反転路SH8aとレジロールRrとを接続する下流側反転路SH8cと、を有する。前記上流側反転路SH8bと反転・排出共通路SH5との接続部には、記録シートSが反転時に上方接続路SH4に搬送されないよう搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第3ゲートGT3が配置されている。前記反転・排出共通路SH5やフェイスダウン排出路SH6の搬送方向下流側の搬送路である反転路SH8には、反転路SH8内の記録シートSを搬送する反転路搬送部材の一例としての反転路搬送ロールRa2が配置されている。
【0028】
したがって、両面印刷がされる記録シートSは、前記反転・排出共通路SH5を搬送されて、反転ロールRh2により記録シートSの後端部が挟まれた状態になるまでフェイスダウントレイTRh2に排出された後、反転ロールRh2が逆回転し、記録シートSが反転路SH8に搬送される。前記反転路SH8を搬送された記録シートSは、反転路搬送ロールRa2により搬送され、表裏が反転した状態で、レジロールRrに搬送される。
図1において、前記給紙路SH1には、媒体検知部材の一例として、各給紙トレイTR1〜TR4から給紙された記録シートSを検出するための第1給紙路センサSN1、第2給紙路センサSN2、第3給紙路センサSN3、第4給紙路センサSN4が配置されている。前記上方接続路SH4、反転・排出共通路SH5、主反転路SH8bにも、媒体検知部材の一例として、記録シートSを検知するための接続路センサSN5、共通路センサSN6、反転路センサSN7が配置されている。
前記各搬送路SH1〜SH8により実施例1の搬送路SHが構成されており、前記搬送路SH、給紙装置Rp+Rs、シート搬送ロールRa、レジロールRr、排紙ロールRh、反転ロールRh2、フェイスアップ排紙ロールRh3、反転路搬送ロールRa2、ゲートGT1〜GT3等により媒体搬送装置SH+Ra〜Ra2+Rr+GTが構成されている。
【0029】
図1において、実施例1では、下側の3段分の給紙トレイTR2〜TR4の左方には、上流側開放部材の一例としての下カバーU1aが、図1の実線で示す通常位置と、図1の破線で示す開放位置との間で開閉可能に支持されている。前記下カバーU1aには、給紙トレイTR2〜TR4の左方の給紙路SH1の左側の案内、いわゆるガイドや、一対の搬送ロールRaの外側が支持されている。したがって、下カバーU1aを開放位置に移動させることで、給紙路SH1の下部、すなわち、搬送方向上流側の上流側給紙路SH1aが開放される。
図1において、前記反転ユニットU4には、下流側開放部材の一例として、前記主反転路SH8aの左方に、図1の実線で示す通常位置と、図1の破線で示す開放位置との間で開閉可能に支持された反転路開放カバーU4aが配置されている。前記反転路開放カバーU4aには、主反転路SH8aの左側のガイドが支持されており、反転路開放カバーU4aを開放位置に移動させることで、主反転路SH8bが開放される。
【0030】
前記ベルトモジュールBMの上方には黄色Y,マゼンタM,シアンC,黒Kの各現像剤を収容する現像剤補給容器の一例としての現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkに収容された現像剤は、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤の消費に応じて、図示しない現像剤補給路から前記各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに補給される。なお、実施例1では、前記現像剤として、磁性のキャリアと、外添剤が付与されたトナーとを含む二成分現像剤により構成されている。
【0031】
図2は実施例1の媒体排出装置の説明図であり、第1ゲートが記録シートを排紙トレイに案内する位置に移動した図である。
図3は実施例1の媒体排出装置の説明図であり、第1ゲートが記録シートを上方接続路に案内する位置に移動した図である。
図4は実施例1の媒体排出装置の平面図であり、図2の矢印IV方向から見た図である。
図5は実施例1の媒体排出装置の平面図であり、図5Aは図2の矢印V方向から見た図であり、図5Bは図5Aの要部拡大図である。
【0032】
図2〜図5において、実施例1の媒体排出装置BHSは、排紙ロールRhを支持する排出装置本体部1を有する。排出装置本体部1は、前後一対の前端壁2及び後端壁3と、前後方向に延び、前端壁2及び後端壁3を連結する連結部4を有している。
前端壁2及び後端壁3の右側上部には、駆動軸Rhd1を支持する駆動軸受け部2a,3aが形成されている。また、前端壁2及び後端壁3の左側上部には、前記第1ゲートGT1を揺動可能に支持する前後一対の切り替え部材支持部2b,3bが形成されている。
【0033】
後端壁3の上部には、上方に突出する付勢部材取付突起部3cが形成されている。後端壁3の前側には、板状で前方に突き出る切り替え駆動源支持部3dが形成されている。後端壁3の後側下部には、後方に突き出る媒体幅方向移動伝達支持部3eが形成され、媒体幅方向移動伝達支持部3eの下面には、左右に長い長孔状の媒体幅方向移動長孔部3e1が形成されている。
【0034】
前記連結部4の左方には、櫛歯状に切り欠かれた前後に延びる媒体案内部材の一例としての排紙搬送ガイド4aが形成されている。前記連結部4には、排紙搬送ガイド4aの右方に、前後方向に長く窪んだ従動部材収容部4bが前後一対形成され、従動部材収容部4bには付勢部材を支持する付勢部材支持部4b1が形成されている。前記従動部材収容部4bの前後両端には、右上方に突出する従動軸受け部4cが形成され、従動軸受け部4cには上方に開いたU字溝形状の図示しない軸受け溝が形成されている。
【0035】
前記従動軸受け部4cの軸受け溝には、従動軸Rhj1が軸受け溝に沿って移動可能に支持されている。前記従動軸Rhj1は、軸受け溝の内側で、前記付勢部材支持部4b1に支持された付勢部材の一例としての板ばね6により上方に付勢された状態で支持されている。前記従動軸Rhj1の両端には、媒体排出部材の一例としての従動側排紙ロールRhjが回転可能に支持されている。前記従動軸Rhj1の中央部には、前後両端の径が従動側排紙ロールRhjの径と略同じで、中央部に向かうにつれて径が徐々に大きくなる樽型状の湾曲付与部材の一例としてのコルゲーションロールRhcが回転可能に支持されている。なお、コルゲーションロールRhcは、前記媒体収容部4bの形成位置に対応して配置されている。
【0036】
前記駆動軸Rhd1には、前記従動側排紙ロールRhjと対向する位置に媒体排出部材の一例としての駆動側排紙ロールRhdが支持されている。前記駆動軸Rhd1は、前記駆動軸受け部2a,3aに回転可能に支持され、後述する駆動機構44により駆動力を受けて回転する。
【0037】
前記従動側排紙ロールRhj、駆動側排紙ロールRhdおよびコルゲーションロールRhc等により、実施例1の排紙ロールRhが構成されている。前記排紙ロールRhにおいて、前記従動側排紙ロールRhjは、前記板ばね6の付勢力により、前記駆動側排紙ロールRhdと接触した領域、いわゆるニップ領域をつくって、前記駆動側排紙ロールRhdとの間で記録シートSを挟んで挟んで搬送する。前記コルゲーションロールRhcは、駆動側排紙ロールRhdと従動側排紙ロールRhjとにより挟まれて搬送される記録シートSに接触して、記録シートSを波形に湾曲させ、記録シートSの直進性を高める。
【0038】
前記第1ゲートGT1は、前後に延びる切り替え部材本体部11を有する。前記切り替え部材本体部11には、左下方向に延びる櫛歯状案内部12が、前後方向に間隔をあけて櫛歯状に形成されている。前記切り替え部材本体部11の上方には前後一対の前側揺動軸13及び後側揺動軸14が形成されている。前記前側揺動軸13及び後側揺動軸14は、前記排出装置本体部1の前記切り替え部材支持部2b,3bに揺動可能に支持されている。
【0039】
図6は切り替え駆動部材と第1ゲートとの関係を示した図で、図6Aは図4におけるVIA−VIA線断面図で図2に対応する図、図6Bは図6Aの第1ゲートが記録シートを上方接続路に案内する位置に移動した図で図3に対応する図、図6Cは図6Bにおける矢印VIC方向から見た図である。
図6において、前記後側揺動軸14には、後側揺動軸14に沿って形成され且つ左下に延びる板状の連結板16が形成されている。前記連結板16には、上下に長い連結長孔16aが形成されている。前記切り替え部材本体部11の後端には、切り替え部材後端壁17が形成されている。前記切り替え部材後端壁17の上面には、前記付勢部材取付突起部3cに対応して、鎌形状の付勢部材取付部17aが形成されている。
【0040】
前記切り替え部材本体部11、前記櫛歯状案内部12、前記前側揺動軸13、前記後側揺動軸14、前記連結板16及び前記切り替え部材後端壁17等によって、前記第1ゲートGT1は構成されている。
図6において、前記付勢部材取付突起部3cには、付勢部材の一例としての引張バネ21の一端が支持され、他端が前記付勢部材取付部17aに支持されている。また、前記切り替え駆動源支持部3dには、切り替え駆動源の一例としてのソレノイド22が支持されている。前記ソレノイド22の可動部22aは、前記連結長孔16aを貫通し、貫通した前記可動部22aの先端部には、前記連結長孔16aを前後方向にまたぐ連結軸23が支持されている。
【0041】
前記排出装置本体部1に、前記前側揺動軸13及び後側揺動軸14を介して支持された前記第1ゲートGT1は、前記ソレノイド22の電源がオフの場合に、前記引張バネ21の張力により、図2、図6Aに示すように、定着装置Fからの記録シートSを排紙ロールRhに案内する位置に保持される。前記ソレノイド22の電源がオンになると、前記可動部22aは、前記ソレノイド22の本体に引き込まれる。このとき、前記可動部22aが連結長孔16aに沿って移動可能に連結された連結板16は、前記可動部22aの連結軸23により、引張バネ21の張力に抗して、前記ソレノイド22の本体側に引寄せられる。これにより、前記第1ゲートGT1は、前記前側揺動軸13及び後側揺動軸14を中心に回転し、図3、図6Bに示すように、定着装置Fからの記録シートSを前記上方接続路SH4に案内する位置に移動する。
【0042】
図4、図5Aにおいて、前記媒体排出装置BHSは、媒体幅方向移動機構の一例としてのオフセット駆動部31を有する。前記オフセット駆動部31は、媒体幅方向移動駆動源の一例としてのオフセットモータ32を有する。前記オフセットモータ32の駆動軸32aには、伝達部材の一例としてのギア33が支持されている。前記ギア33には、媒体幅方向移動伝達部材の一例としての扇形状のセクターギア34が噛合わされている。前記セクターギア34の中心部は、画像形成装置本体U1に支持される支持軸35で揺動可能に支持されている。前記セクターギア34には、中心部から外方に延びる揺動腕34aが形成されている。前記揺動腕34aの先端部には上方に突出する媒体幅方向移動伝達突起部34bが形成されている。前記媒体幅方向移動伝達突起部34bは、排出装置本体部1に形成された前記媒体幅方向移動長孔部3e1に、長孔に沿って移動可能に連結されている。
前記オフセットモータ32、ギア33、セクターギア34、支持軸35等により、媒体幅移動機構の一例としての実施例1のオフセット駆動部31が構成されている。
【0043】
図5Aにおいて、前記駆動軸Rhd1は、画像形成装置本体U1に設けられた支持部U1cに、軸受41を介して、回転可能且つ軸方向に移動可能に前後で支持されている。さらに、前記駆動軸Rhd1の後端部には軸方向に長い伝達部材の一例としての長軸ギア42が支持されている。前記長軸ギア42は、駆動源M0により駆動される駆動ギア43と噛合っている。前記駆動ギア43は画像形成装置本体U1に回転可能に支持されている。前記長軸ギア42、駆動ギア43等により、駆動機構44が構成される。
前記排出装置本体部1、排紙ロールRh、第1ゲートGT1、引張バネ21、ソレノイド22、オフセット駆動部31、駆動機構44等により、実施例1の媒体排出装置BHSが構成されている。
【0044】
前記媒体排出装置BHSの排出装置本体部1は、駆動軸Rhd1を介して画像形成装置本体U1に前後方向に移動可能に支持されている。このとき、前記オフセットモータ32を正回転させると、セクターギア34が支持軸35を中心に回転し、前記媒体幅方向移動伝達突起部34bは、支持軸35を中心として弧を描き、媒体幅方向移動長孔部3e1を後方に押して、排出装置本体部1が後方に移動する。また、前記オフセットモータ32を逆回転させると、セクターギア34が逆回転し、媒体幅方向移動長孔部3e1を前方に押して、排出装置本体部1が前方に移動する。これにより、前記排出装置本体部1、排紙ロールRh、第1ゲートGT1、引張バネ21、ソレノイド22が前後に一体的に移動する。なお、前記オフセット駆動部31の駆動により、駆動軸Rhd1も前後に移動するが、軸方向に長い長軸ギア43は、駆動ギア44に噛合った状態が維持される。
【0045】
(実施例1の作用)
図7は媒体排出装置によって記録シートが排出される際の説明図であり、図7Aは媒体排出装置の要部拡大斜視図、図7Bは図7Aにおいて矢印VIIB方向から見た図、図7Cは図7Aにおいて矢印VIIC方向から見た図である。
実施例1の前記プリンタUにおいて、画像形成動作が開始され、2次転写領域Q4でトナー像が転写された記録シートSは、定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fによってトナー像が加熱定着された記録シートSは、定着装置排出ガイドGTFによって、排紙路SH3と上方接続路SH4の分岐部に設置された第1ゲートGT1まで案内される。前記第1ゲートGT1が、記録シートSを排紙ロールRhに案内する位置に移動している場合、図3に示すように、第1ゲートGT1、排出装置本体部1の排紙搬送ガイド4a等により、前記記録シートSは排紙ロールRhに案内される。
そして、前記記録シートSは、排紙ロールRhにより挟持され、挟持された前記記録シートSは、前記排紙ロールRhにより排紙トレイTRhに向けて排紙される。図7において、排紙される際に、排紙ロールRhのコルゲーションロールRhcは、記録シートSを波形に湾曲させて、いわゆるコルゲーションを付与して、記録シートSの直進性を高めた状態にする。前記記録シートSのコルゲーションは、前記コルゲーションロールRhcの排紙方向に形成される。このとき、排紙ロールRhの上流側にも、図7A、図7Cに示すように、コルゲーションの山が形成される。
【0046】
さらに、前記記録シートSを、シート幅方向にずらした状態で排紙トレイTRhに積載させる、いわゆるオフセット排出が行われる場合には、記録シートSの後端が定着装置Fを通過した後、排紙ロールRhに挟持されている状態で、前記オフセット駆動部31が駆動し、排出装置本体部1、第1ゲートGT1、排紙ロールRh等が一体的に移動する。これにより、前記排紙ロールRhに挟持されている前記記録シートSは、コルゲーションが形成された状態で、排紙トレイTRhに対して前後方向、すなわちシート幅方向に移動し、オフセット排出される。そして、前記記録シートSが排紙されると、オフセット駆動部31の逆回転駆動により、媒体搬送装置本体部1、第1ゲートGT1、排紙ロールRh等は元の位置に戻る。
【0047】
ここで、オフセット排出時に排紙ロールRhが移動して、第1ゲートGT1が、前後方向に移動をしない従来の構成では、コルゲーションの形成されている記録シートSが、第1ゲートGT1に対してシート幅方向に相対的に移動し、第1ゲートGT1の櫛歯状案内部材12により、記録シートSが擦られたり、記録シートSに形成されているコルゲーションが潰されたりして、記録シートSの直進性が低下して、排紙トレイTRhでの記録シートSの収容性が悪化したり、騒音や記録シートSにキズが発生したが、実施例1では、第1ゲートGT1も一体的に移動し、それらの発生が低減されている。したがって、実施例1では、騒音や記録シートSのキズが少なくなると共に、排出された記録シートSは排紙トレイTRhの所定の位置にバラツキが少なく積載され、さらに、前記第1ゲートGT1と媒体装置本体部1が一体化されて搬送距離が短くなった小型の構成で排紙し、給紙されてから排紙されるまでの時間が短縮される。なお、前記排紙ロールRhの上流側に第1ゲートGT1は設けられており、記録シートSの後端の位置によっては、排紙中にも第1ゲートGT1を切り替え可能である。
【0048】
図4、図5において、前記第1ゲートGT1が、上方接続路SH4に案内する場合には、第1ゲートGT1の櫛歯状案内部12が、排出装置本体部1における排紙搬送ガイド4aの櫛歯状の切り欠き部分に収容される。そして、前記定着装置Fを抜けた記録シートSは、定着装置排出ガイドGTF、第1ゲートGT1により、上方接続路SH4に案内される。なお、前記第1ゲートGT1が排紙搬送ガイド4aの切り欠き部分に収容されない場合に比べて、実施例1の媒体排出装置BHSは、案内機能を維持しながら小型に構成されている。
【実施例2】
【0049】
図8は実施例2の媒体排出装置の平面図であり、図4に対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0050】
図8において、実施例2の排出装置本体部1′では、切り替え部材支持部2b,3b、切り替え駆動源支持部3dが省略されている。したがって、実施例2の前記排出装置本体部1′には、実施例1とは異なり、第1ゲートGT1′、ソレノイド22は支持されず、画像形成装置本体U1の図示しない枠体に支持されている。すなわち、実施例2の第1ゲートGT1′は、実施例1の前側揺動軸13及び後側揺動軸14に比べて長い前側揺動軸13′及び後側揺動軸14′を有し、前記前側揺動軸13′及び後側揺動軸14′は、排出装置本体部1′における駆動軸Rhd1と同様に、画像形成装置本体U1に揺動可能且つ軸方向に移動可能に支持されている。したがって、第1ゲートGT1′が画像形成装置本体U1に揺動可能且つ軸方向に移動可能に支持されている。
【0051】
また、前記前側揺動軸13′の前端部には、連結板16′が固着されている。前記連結板16′には、実施例1の連結長孔16aに替えて、第1ゲートGT1′の軸方向の移動幅に応じた幅を有する連結長孔16a′が形成されている。前記連結長孔16a′を貫通する可動部22aには、前記連結長孔16′aの幅方向よりも長い連結軸23′が支持されている。したがって、前記第1ゲートGT1′がソレノイド22に対して前後方向に移動しても、連結板16′と連結軸23′は外れずに連結状態が保持され、実施例1と同様に、引張バネ21、ソレノイド22等により第1ゲートGT1′が揺動して搬送路が切り替え可能となっている。
【0052】
前記前側揺動軸13′の後端部は、媒体幅方向移動伝達壁51により支持されており、前側揺動軸13′を有する前記第1ゲートGT1′は、媒体幅方向移動伝達壁51と軸方向に一体的に移動する。前記媒体幅方向移動伝達壁51の下面には、排出装置本体部1′における媒体幅方向移動長孔部3e1と同様の長孔部51e1が形成されている。前記長孔部51e1には、オフセット駆動部31と同様な媒体幅移動機構の一例としてのオフセット駆動部31′が連結されている。このため、前記第1ゲートGT1′が揺動しても、媒体幅方向移動伝達壁51の姿勢は保たれ、長孔部51e1′と前記オフセット駆動部31′は外れずに連結状態が保持され、前記オフセット駆動部31′が駆動すると、媒体幅方向移動伝達壁51と共に、第1ゲートGT1′が記録シートSの幅方向に移動する。
なお、実施例2の媒体排出装置BHS′は、実施例1の排出装置本体部1、第1ゲートGT1に替えて、排出装置本体部1′、第1ゲートGT1′、オフセット駆動部31′により構成されている。
【0053】
(実施例2の作用)
実施例2において、オフセット排出が行われる場合は、実施例1とは異なり二つのオフセット駆動部31,31′が駆動する。すなわち、オフセット駆動部31の駆動により、排出装置本体部1′及び排紙ロールRh等がシート幅方向に移動して、オフセット駆動部31′の駆動により、第1ゲートGT1′等がシート幅方向に移動する。そして、記録シートSの排紙が終了すると、オフセット駆動部31,31′を逆に駆動させて、排出装置本体部1′、排紙ロールRh、第1ゲートGT1等が元の位置に戻る。
【0054】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H05)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例としてプリンタUを例示したが、これに限定されず、複写機、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、電子写真方式の画像形成装置に限定されず、インクジェット記録方式やサーマルヘッド方式などをはじめリソグラフ等の印刷機等任意の画像形成方式の画像形成装置に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
【0055】
(H02)前記実施例2において、二つのオフセット駆動部31,31′が同様に駆動して、第1ゲートGT1′と排出装置本体部1′が、シート幅方向に同じ移動量だけ移動する構成を例示したが、移動量や移動開始タイミングは、同一または同時に限定されず、移動量と移動開始タイミングともに、異ならせることも可能である。例えば、前記排出装置本体部1′と、排出装置本体部1′に支持される排紙ロールRhによるオフセット排出動作とタイミングを合わせて、前記第1ゲートGT1′の移動量を、排出装置本体部1′の移動量よりも小さくすることができる。また、第1ゲートGT1′の移動量を同一として移動開始タイミングを、排出装置本体部1′の移動開始タイミングより遅らせたり早めたりすることが可能である。なお、移動量や移動開始タイミングは同一又は同時に近いほうが望ましいが、設計や仕様等に応じて、ずらすことが可能である。
【0056】
(H03)前記各実施例において、オプション排出ユニットU3における反転ロールRh2及び第2ゲートGT2を、実施例1の排紙ロールRh、排出装置本体部1及び第1ゲートGT1または実施例2の排紙ロールRh、排出装置本体部1′及び第1ゲートGT1′と同様な構成にすることが可能である。さらに、前記反転ロールRh2及び第2ゲートGT2に、フェイスアップ排紙ロールRh3を加えて、移動可能な構成にすることも可能である。
(H04)前記各実施例において、媒体排出装置BHS,BHS′は、複数の経路に記録シートSの搬送方向を切り替え可能な第1ゲートGT1により構成されていたが、1つの経路に案内する案内部材、すなわち、切り替え移動不可能な案内部材等による構成も可能である。
【0057】
(H05)前記実施例において、オフセット排出の際に、排出装置本体部1、排紙ロールRh及び第1ゲートGT1等が、駆動軸Rhd1と共に一体的に記録シートSの幅方向に移動する構成を例示したが、特開2005−96889号公報に示すように、駆動軸Rhd1は、記録シートSの幅方向に移動せずに、駆動軸Rhd1に滑り移動可能に支持される中空の中空軸が移動し、オフセット排出を行う構成にすることが可能である。また、前記実施例における排紙ロールRhにおいて、従動軸Rhj1にコルゲーションロールRhcが支持されていたが、特開2005−96889号公報に示すように、コルゲーションロールRhcが従動軸Rhj1に回転自在に支持されたり、駆動軸Rhd1側に支持される構成にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の媒体排出装置の説明図であり、第1ゲートが記録シートを排紙トレイに案内する位置に移動した図である。
【図3】図3は実施例1の媒体排出装置の説明図であり、第1ゲートが記録シートを上方接続路に案内する位置に移動した図である。
【図4】図4は実施例1の媒体排出装置の平面図であり、図2の矢印IV方向から見た図である。
【図5】図5は実施例1の媒体排出装置の平面図であり、図5Aは図2の矢印V方向から見た図であり、図5Bは図5Aの要部拡大図である。
【図6】図6は切り替え駆動部材と第1ゲートとの関係を示した図で、図6Aは図4におけるVIA−VIA線断面図で図2に対応する図、図6Bは図6Aの第1ゲートが記録シートを上方接続路に案内する位置に移動した図で図3に対応する図、図6Cは図6Bにおける矢印VIC方向から見た図である。
【図7】図7は媒体排出装置によって記録シートが排出される際の説明図であり、図7Aは媒体排出装置の要部拡大斜視図、図7Bは図7Aにおいて矢印VIIB方向から見た図、図7Cは図7Aにおいて矢印VIIC方向から見た図である。
【図8】図8は実施例2の媒体排出装置の平面図であり、図4に対応する図である。
【符号の説明】
【0059】
31…媒体幅方向移動機構、第1の移動機構、
31′…媒体幅方向移動機構、第2の移動機構、
GT1…媒体案内部材、搬送路切り替え部材、
Rhd,Rhj…媒体排出部材、
Rhc…湾曲付与部材、
S…記録シート、
SH3…排出路、
SH4…分岐搬送路、
TRh…媒体排出部、
U…画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が記録された媒体を媒体排出部に排出する媒体排出部材と、
前記媒体を前記媒体排出部に排出する際の直進性を向上させるために前記媒体に湾曲を付与する湾曲付与部材と、
前記媒体排出部材の媒体搬送方向上流側に配置され、前記媒体排出部材に向けて搬送される媒体を案内する媒体案内部材と、
前記媒体排出部材と、前記湾曲付与部材と、前記媒体案内部材と、を媒体搬送方向に交差する媒体幅方向に対して移動させて、前記媒体排出部に積載される媒体の位置を移動させる媒体幅方向移動機構と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記媒体排出部材へ向かう排出路と、
前記排出路の上流端部に設定された分岐部において接続され、媒体が搬送される分岐搬送路と、
前記分岐部に配置され、且つ、前記排出路と前記分岐搬送路とを切り替えると共に切り替えられた側に媒体を案内する搬送路切り替え部材により構成された前記媒体案内部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記媒体排出部材と、前記湾曲付与部材と、前記媒体案内部材とを、一体的に前記媒体幅方向に移動させる前記媒体幅方向移動機構、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記媒体排出部材と前記湾曲付与部材とを前記媒体幅方向に一体的に移動させる第1の移動機構と、前記媒体案内部材を前記媒体幅方向に移動させる第2の移動機構と、を有する媒体幅方向移動機構を備え、
前記第1の移動機構と、第2の移動機構との媒体幅方向への移動開始時期は同時に実行し、
前記第1の移動機構の前記媒体幅方向への移動量は、前記第2の移動機構の媒体幅方向への移動量に対して大きく設定された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記媒体排出部材と前記湾曲付与部材とを前記媒体幅方向に一体的に移動させる第1の移動機構と、前記媒体案内部材を前記媒体幅方向に移動させる第2の移動機構と、を有する媒体幅方向移動機構を備え、
前記第1の移動機構の媒体幅方向への移動開始時期は、第2の移動機構の媒体幅方向への移動開始時期に比べて、早く設定され、
前記第1の移動機構の前記媒体幅方向への移動量は、前記第2の移動機構の媒体幅方向への移動量と同一に設定された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−167001(P2009−167001A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9619(P2008−9619)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】