説明

画像形成装置

【課題】搬送装置を開閉する際の操作性を向上させることが出来る画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成装置本体と、画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉カバーと、開閉カバーの開閉と連係して画像形成装置本体に対して開閉可能であり、開閉カバーに対して移動可能であって、搬送ベルトを搬送する搬送部材を有するベルトユニットと、ベルトユニットに設けられた係合部材70、70と、開閉カバーに設けられた係合用開口部と、係合部材70、70と、係合用開口部との係合を一箇所の操作ボタン82の操作で解除可能な解除機構80とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも、回転可能に支持された像担持体と現像剤を収容する現像剤容器とを備える複数の像担持体ユニットと、前記像担持体ユニットの寿命を検出する検出手段と、すべての像担持体に接するよう配置された無端ベルトを有する転写材担持ユニットと、前記転写材担持ユニットは前記像担持体上の像が前記転写材担持体に担持された転写材に転写されるときの第1の状態と前記第1の状態より前記像担持体ユニットから退避する第2の状態とをとりうる多色画像形成装置において、前記転写材担持体ユニットが第1の状態から第2の状態となる動作に連動して動作する連動手段と、前記検出手段の検出結果に基づき前記連動手段の動作を選択的に伝達する伝達手段と、前記伝達手段と連結し、かつ前記連動手段の動作により前記像担持体ユニットを前記転写材担持体ユニットが前記第2の状態となる際に装置本体内に形成される空間に移動させる移動手段とを有する画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−43594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、搬送装置を開閉する際の操作性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴とするところは、画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉部と、前記開閉部の開閉と連係して前記画像形成装置本体に対して開閉可能であり、前記開閉部に対して移動可能であって、像又は像を保持する用紙を搬送する搬送部材を有する搬送装置と、前記搬送装置に設けられた複数の係合部と、前記開閉部に設けられ、前記複数の係合部にぞれぞれ係合可能な複数の被係合部と、前記複数の係合部と前記複数の被係合部との係合を一箇所の操作部の操作で解除可能な解除部と、を有する画像形成装置にある。
【0006】
また、本発明の第2の特徴とするところは、画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉部と、前記開閉部の開閉と連係して前記画像形成装置本体に対して開閉可能であり、前記開閉部に対して移動可能であって、像又は像を保持する用紙を搬送する搬送部材を有する搬送装置と、前記搬送装置に設けられた複数の係合部と、前記開閉部に設けられ、前記複数の係合部にそれぞれ係合可能な複数の被係合部と、前係合部と前記被係合部との係合をそれぞれ解除する複数の解除部と、を有し、前記複数の解除部は、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する操作部をそれぞれ有し、これらの操作部は、一度の操作で、前記複数の係合部と前記複数の被係合部との係合を解除できるように配置されている画像形成装置にある。
【0007】
好適には、前記操作部は、前記画像形成装置本体の中央よりも操作面側に配置されている。
【0008】
また、好適には、前記開閉部と前記搬送装置との間に用紙搬送路が形成され、前記解除部による解除がなされた際に、前記用紙搬送路が開放されるように、前記開閉部及び前記搬送装置の少なくともいずれか一方を押圧する押圧部をさらに有する。
【0009】
また、好適には、前記搬送装置を、前記開閉部との間に開放部が形成された状態で支持する支持部をさらに有する。
【0010】
また、好適には、前記搬送装置に設けられ、前記搬送装置を前記開閉部材に対して移動させる際に用いられる把手部をさらに有する。
【0011】
また、好適には、前記把手部は、前記画像形成装置本体の中央よりも操作面側に配置されている。
【0012】
また、好適には、前記開閉部は、前記画像形成装置本体の右側面に、前記画像形成装置本体に対して右側に開放されるように設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送装置を開閉する際の操作性を向上させることができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1が正面から示されている。
画像形成装置1は、用紙にカラー画像及びモノクロ画像のいずれも形成することができるプリンタであり、画像形成装置本体2と、開閉部として用いられ、画像形成装置本体2の下端に設けられた回転軸R1を中心として回転することにより、画像形成装置本体2に対して開閉可能な開閉カバー3とを有する。
また、画像形成装置1は、画像読取装置として用いられるスキャナ100を有し、スキャナ100は、画像形成装置本体2の上部に画像形成装置本体2との間に間隔を設けるように取り付けられている。
【0016】
スキャナ100には、表示パネル106と操作パネル108とが装着されている。
表示パネル106は、画像形成装置1の状態を表示する表示手段として用いられていて、例えば液晶表示パネル等からなり、画像形成装置本体2内で用紙の搬送不良が生じた際の警告の表示や、後述する像形成ユニット10k、10c、10m、10y(図2参照)等の交換部品の交換時期が到来したことの警告表示等がなされる。操作パネル108は、操作部として用いられ、例えばテンキー等を有し、例えば画像形成を行う用紙の枚数の入力等に用いられる。
【0017】
表示パネル106、及び操作パネル108は、スキャナ100に設けることに替えて、画像形成装置本体2の図1における手前側の面4に設けても良い。画像形成装置1は、表示パネル106及び操作パネル108が設けられた側、すなわち、図1における手前側の面4側が正面であり、通常、操作者による操作は正面からなされる。すなわち、画像形成装置1の手前側の面が、操作時に操作者が位置する側の面である操作面として用いられる。
【0018】
開閉カバー3は、画像形成装置本体2の右側面に、画像形成装置本体2に対して右側に開放されるように設けられている。開閉カバー3は、画像形成装置本体2の前側である表示パネル106及び操作パネル108が設けられた側である手前側の面4に位置する操作者によって、右手で開閉することができるようになっている。
【0019】
図2には、画像形成装置本体2の断面が示されている。
画像形成装置本体2内には、画像形成のために用いられる画像形成部6が設けられていて、画像形成部6は、互いに異なるK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)各色のトナー像を保持する4つの感光体11k、11c、11m、11yが、それぞれ装着された4つの像形成ユニット10k、10c、10m、10yと、感光体11k、11c、11m、11yに潜像を形成する潜像形成装置として用いられる光書き込み装置34とを有する。
【0020】
像形成ユニット10k、10c、10m、10yは、交換部品の一つとして用いられていて、画像形成装置本体2内に着脱され、交換される。また、感光体11k、11c、11m、11yも、像形成ユニット10k、10c、10m、10yと一体として、画像形成装置本体2内に着脱され、交換されるものであり、交換部品の1つとして用いられている。
【0021】
また、画像形成装置本体2内には、搬送ベルト21を有し、搬送装置として用いられるベルトユニット20が設けられている。搬送ベルト21は、像及び用紙の少なくともいずれか一方を搬送する搬送部材として用いられている。ベルトユニット20と開閉カバー3との間には、用紙搬送路7が形成されている。用紙搬送路7は、一方の面に画像形成がなされた用紙の他方の面に画像を形成するに先立ち、用紙を反転させるために用いられる。
【0022】
感光体11k、11c、11m、11yは、搬送ベルト21又は搬送ベルト21が搬送する用紙に転写される黒の像を保持する像保持体として用いられている。
【0023】
また、画像形成装置本体2内には、用紙が収容される用紙収容容器51、用紙を搬送する搬送ロール54、用紙の搬送タイミングを調整するレジストロール55、用紙を搬送ベルト21に吸着させる吸着ロール57、用紙に転写されたトナー像を定着する定着装置58、及び画像が形成された用紙を排出する排出ロール56が設けられている。また、画像形成装置本体2の上部は、排出ロール56によって用紙が排出される用紙排出部52として用いられている。定着装置58は、ユニットとして構成され、画像形成装置本体2内に着脱され交換可能であり、交換部品の1つとして用いられている。
【0024】
像形成ユニット10k、10c、10m、10yは、いずれも同じ構造を有しており、収容したトナーの色のみが異なる。以下、各色の像形成ユニット10k、10c、10m、10yをK色の像形成ユニット10kに代表させて説明する。
像形成ユニット10kは、K色のトナー像を保持するK色用感光体11kの他に、感光体の表面を一様に帯電させる帯電ロール12k、現像剤(トナー)が収容された現像剤収容部13k、現像剤収容部13kから現像剤搬送部14kを経由して搬送されたトナーで感光体11k上の静電潜像を現像しトナー像を形成する現像器15k、トナー像を用紙に転写させた後で感光体11kを除電する除電ロール16k、及び感光体上に残留した残留トナーを除去するクリーニングブレード17kを備えている。これらの感光体11k、帯電ロール12k、現像剤収容部13k、現像剤搬送部14k、現像器15k、除電ロール16k、及びクリーニングブレード17kは、像形成ユニット本体18k内に装着されている。
【0025】
ベルトユニット20は、ベルトユニット本体30を有し、ベルトユニット本体30に、先述の搬送ベルト21と、搬送ベルト21が架け渡された例えば3つの支持ロール22、23、24と、搬送ベルト21に付着したトナーを収容する廃トナー収容部25とを有している。支持ロール22、23、24は、搬送ベルト21を駆動する駆動ロール22、従動ロール23、及び搬送ベルト21にテンションを付与するテンションロール24からなる。以降、支持ロール22を駆動ロール22とも称し、支持ロール23を従動ロール23とも称し、支持ロール24をテンションロール24とも称する。
【0026】
駆動ロール22はK色用感光体11k側に配置されている。搬送ベルト21は駆動ロール22によって矢印D12で示す向きに循環移動する。ベルトユニット本体30には、各感光体上に形成されたトナー像を転写するための転写ロール40k、40c、40m、40yが取り付けられている。転写ロール40k、40c、40m、40yは、先述の像形成ユニット10y、10m、10c、10b等とともに、画像形成部6を構成する。
転写ロール40k、40c、40m、40yは、それぞれが導電性の樹脂材料で形成されており、搬送ベルト21に押し付けられると圧縮変形する程度の弾性を有している。転写ロール40k、40c、40m、40yは一列に配列されており、対応する色の感光体11k、11c、11m、11yに搬送ベルト21を挟んで対向する位置に設けられている。
【0027】
図3には、図1及び図2に示す画像形成装置1の開閉カバー3が開いた状態が示されている。
【0028】
開閉カバー3は、画像形成装置本体2に、図1及び図2に示す閉塞位置と、図3に示す開放位置との間で移動可能・開閉可能である。また、ベルトユニット20は、開閉カバー3側に装着されている。このため、開閉カバー3を開閉することにより、ベルトユニット20及び搬送ベルト21は、画像形成装置本体2に対して一体として開閉する。すなわち、ベルトユニット20及び搬送ベルト21は、開閉カバー3の画像形成装置本体2に対する開閉と連係して画像形成装置本体2に対して開閉可能である。
【0029】
開閉カバー3は、画像形成装置本体2内に装着された、例えば、定着装置58、像形成ユニット10y、10m、10c、10k等の交換部品を交換する際等に開かれる。また、開閉カバー3は、画像形成装置本体2内で用紙の搬送不良が生じ、搬送不良が生じた用紙を取り除く際等に開かれる。すなわち、図3に示すように開閉カバー3が画像形成装置本体2に対して開かれると、画像形成装置本体2の右側面側に開放部9が形成され、開放部9を介して、画像形成装置1内の像形成ユニット10k、10c、10m、10y等の交換部品を交換したり、紙詰まりした用紙を除去したりすることが可能となる。
【0030】
また、図3に示されるように、ベルトユニット20は、開閉カバー3に対して移動可能に設けられている。すなわち、ベルトユニット20は、開閉カバー3に対し、回転軸R2を中心として回転することができるように取り付けられている。
【0031】
以上のように構成された画像形成装置1では、画像形成動作を開始させるに前に、例えば、操作パネル108からを操作することによって、カラー画像形成を行うか(カラー画像形成モード)、黒単色の画像形成を行うか(モノクロモード)の選択がなされる。
そして、カラー画像形成がなされる際には、感光体11k、11c、11m、11yが図1に示す矢印D11で示す向きに回転し、帯電ロール12k、12c、11m、11yが感光体11k、11c、11m、11yをそれぞれ帯電させ、レーザ光Lk、Lc、Lm、Lyが4つの感光体11k、11c、11m、11yに対して照射され、レーザ光Ly、Lc、Lm、Lyが照射されることで画像情報に応じて形成された静電潜像を、現像器15k、15c、15m、15yが現像する。
【0032】
一方で、搬送ロール54が、用紙収容容器51から用紙を取り出し、レジストロール55が、タイミングに応じて用紙を送り出させる。そして用紙が感光体11k、11c、11m、11yと対応する転写ロール40k、40c、40m、40yの間を、感光体11k、11c、11m、11yと搬送ベルト21とに挟まれながらY、M、C、Kの順に通過する間に、転写ロール40k、40c、40m、40yは、各色のトナー像を用紙に転写する。
【0033】
そして、定着装置58が、転写された現像剤像を用紙に定着し、排出ロール56が現像剤を定着した用紙を用紙排出部52に排出させる。
尚、用紙の両面に画像を形成する場合には、排出ロール56が逆転し、用紙搬送路7で用紙が表裏反転し、表裏反転した状態の用紙に再び画像形成がなされる。
【0034】
一方、黒単色の画像形成がなされる際には、K色以外の像形成ユニット10c、10m、10yは動作せず、K色以外の像形成ユニット10kが画像形成を行う。他の部分の動作は、先述のカラー画像がなされる場合と同様である。
【0035】
図4には、開閉カバー3に対して、開閉動作中のベルトユニット20が示されている。ベルトユニット20は、操作者の操作により、図3に示される状態から図4に示す状態を経て、後述する支持部材68(図12参照)に支持された状態となる。ベルトユニット20が開閉カバー3に対して開かれると、用紙搬送路7が開放され、用紙搬送路7で搬送不良が生じた用紙を取り除くことができる状態となる。
【0036】
図5には、開閉カバー3及びベルトユニット20が、画像形成装置本体2から取り外された状態が示されている。
【0037】
開閉カバー3には、画像形成装置本体2に取り付けられるための取り付け孔3h1が形成されていて、取り付け孔3h1に先述の回転軸R1(図1参照)が挿入される。ベルトユニット20を構成するベルトユニット本体30、廃トナー収容部25は互いに固定され一体となっている。
駆動ロール22、従動ロール23(図2参照)、及びテンションロール24(図2参照)は、ベルトユニット本体30に回転自在に保持されている。駆動ロール22の回転軸22aは、ベルトユニット本体30を貫通し両端が突出している。尚、以降、駆動ロール22が延在する方向を左右方向とする。
【0038】
回転軸22aの一端には、画像形成装置本体2に設けられた駆動ギア65(図6参照)からの回転力が伝達される歯車22pが設けられている。
廃トナー収容部25の図5における下側には、先述の回転軸R2が左右に向かって突出するように形成されていて、開閉カバー3に形成された取り付け孔3h2に入り込んでいる。
【0039】
図6には、画像形成装置本体2と、像形成ユニット10k、10c、10m、10yとが示されている。図6においては、開閉カバー3及びベルトユニット20は、画像形成装置本体2から取り外されている。
【0040】
像形成ユニット10k、10c、10m、10yは、画像形成装置本体2に一列に装着されている。画像形成装置本体2の下端には、先述の回転軸R1が設けられている。回転軸R1が開閉カバー3の取り付け孔3h1(図5参照)にはまり込むことによって、開閉カバー3が画像形成装置本体2に回転自在に支持される。
また、画像形成装置本体2の両側面には、駆動ロール22の回転軸22aがはまり込む軸受60が孔に沿って形成されており、軸受60の外側には、歯車22pと噛み合って駆動ロール22に駆動力を伝達する駆動ギア65、及びこの駆動ギア65を回転駆動するモータ66が設けられている。
【0041】
開閉カバー3が、画像形成装置本体2に取り付けられた状態で閉塞位置(図1参照)に移動すると、画像形成装置本体2と開閉カバー3とが互いに固定され一体となる。このとき、駆動ロール22の回転軸22aが軸受60にはまり込む。この結果、閉塞位置では駆動ギア65(図6)が歯車22p(図5)と噛み合い、モータ66からの駆動力が駆動ロール22に伝達可能な状態となる。
【0042】
図7及び図8には、ベルトユニット20が示されている。
ベルトユニット本体30の、ベルトユニット本体30が開閉カバー3に対して閉じられた状態において、開閉カバー3との間に用紙搬送路7(図2参照)を形成する搬送路形成面31には、4個の開口部32が形成されていて、4個の搬送ロール54の少なくとも一部分が、開口部32からそれぞれ突出するように配置されている。
【0043】
また、ベルトユニット20には、例えば2つの係合部材70と、解除機構80と、例えば4つの押圧機構90と、把手96とが設けられている。
係合部材70、70は、搬送路形成面31の4個の搬送ロール54が設けられた位置よりも外側の位置であって、用紙搬送路7(図1参照)中を搬送される用紙の両側部よりも外側の位置に形成された2つの開口部33、33介してベルトユニット本体30の内側からベルトユニット本体30の外側に突出するように配置されている。
【0044】
解除機構80は、係合部材70、70と、後述する係合用開口部72、72(図10参照)との係合を解除可能な解除部として用いられていて、一箇所の操作部として用いられる操作ボタン82を有する。操作ボタン82は、ベルトユニット本体30の外側であって、図7及び図8における一点鎖線Cを含む面である画像形成装置本体2(図1参照)の前後方向における中央よりも前側に取り付けられている。このため、画像形成装置本体2の中央よりも後ろ側に操作ボタン82を設けた場合と比較して、画像形成装置1の手前側の面4(図1参照)側に位置する操作者に近く、操作者による操作が容易である。
解除機構80の詳細は後述する。
【0045】
押圧機構90は、搬送路形成面31の4個の搬送ロール54が設けられた位置よりも外側の位置であって、用紙搬送路7(図1参照)中を搬送される用紙の両側部よりも外側の位置に、それぞれが設けられていて、係合部材70、70と係合用開口部72、72(図10参照)との係合が解除機構80によって解除された際に、用紙搬送路7が開放されるように、開閉カバー3及びベルトユニット20の少なくともいずれか一方を押圧する押圧機構として用いられている。
押圧機構90に押圧されることによって、ベルトユニット20は、図3に示される開閉カバー3に対して閉じられた位置から、図4に示す開閉カバー3に対して開かれた位置へと向けて移動する。押圧機構90の詳細は、後述する。
【0046】
把手96は、ベルトユニット20を開閉カバー3に対して移動させる際に用いられる把手部にあたり、操作者が把手部を用いて操作することで、ベルトユニット20を図3に示される開閉カバー3に対して閉じられたい位置から図4に示す位置へ向けた方向へと移動させることができる。また、把手96を用いて、図4に示される位置から図3に示される位置へ向けた方向に移動させることができる。
【0047】
また、把手96は、ベルトユニット本体30の外側であって、図7及び図8における一点鎖線Cを含む面である画像形成装置本体2(図1参照)の前後方向における中央よりも前側に取り付けられている。このため、画像形成装置本体2の後ろ側に把手96を設けた場合と比較して、画像形成装置1の手前側の面4(図1参照)側に位置する操作者に近く、操作者によるベルトユニット20の移動が容易である。
【0048】
図9には、係合部材70と、解除機構80とが、図10には、係合部材70、解除機構80、及び係合用開口部72が示されている。
図9及び図10に示されるように、2つの係合部材70、70は、ベルトユニット本体30内に配置され、ベルトユニット本体30に回転することができるように取り付けられた連結軸71によって連結されている。連結軸71には、例えば、中心軸に沿った方向に突出する板状の押圧部73が設けられている。押圧部73は、例えばコイルスプリング等の弾性体からなる付勢部材74によって、連結軸71が図9及び図10に示す矢印A方向に回転するように付勢されている。
【0049】
係合用開口部72は、開閉カバー3に係合部材70と同数である2個形成されている。係合用開口部72は係合部材70が係合する被係合部として用いられ、係合用開口部72には、図10に示すように、それぞれ係合部材70が挿入される。そして、係合部材70は、押圧部73、及び連結軸71を介して付勢部材74によって、それぞれが矢印A方向に回転するように付勢されるため、2つの係合部材70、70と、2つの係合用開口部72、72とが係合した状態で、開閉カバー3とベルトユニット20とが固定される。
【0050】
解除機構80は、先述の操作ボタン82と、リンク機構84とを有する。操作ボタン82は、ベルトユニット本体30に、ベルトユニット本体30内に押し込むことができるように設けられている。リンク機構84は、操作ボタン82と押圧部73とをリンクしている。
操作者によって、操作ボタン82がベルトユニット本体30内に向けて移動するように押し込まれると、リンク機構84を介して押圧部73が押圧され、押圧部73、連結軸71、及び係合部材70、70は、付勢部材74の付勢に抗して、図9及び図10に示す矢印B方向に回転する。そして、係合部材70、70が矢印B方向に回転することで、係合部材70、70と、係合用開口部72、72との係合が解除される。
【0051】
以上のように、複数の係合部材70、70と、複数の係合用開口部72、72との係合が、一箇所の操作ボタン82を操作することで解除される。このため、複数の係合部材70、70と、複数の係合用開口部72、72との係合を、それぞれ、別々の操作ボタン等を用いて解除する必要がある場合と比較して、操作が容易である。
係合部材70、70と、係合用開口部72、72との係合がそれぞれ解除されると、開閉カバー3に対してベルトユニット20を移動させることができるようになる。
【0052】
図11には、押圧機構90が示されている。
図11に示されるように、押圧機構90は、押圧部材91と、案内部92と、付勢部材93とを有する。
押圧部材91は、一端側が開閉カバー3に当接し、開閉カバー3を押圧する。案内部92は、例えば、ベルトユニット本体30と一体をなし、例えば略円筒形状を有し、押圧部材91の移動を案内するために用いられる。付勢部材93は、例えはコイルスプリング等の弾性体からなり、一端部が押圧部材91の開閉カバー3に当接する側の端部と逆側の端部に装着され、他端部がベルトユニット本体30に連結されている。
【0053】
押圧機構90によって、開閉カバー3及びベルトユニット20は、互いに離間する方向に押圧される。ここで、係合部材70、70と係合用開口部72、72とが係合している場合は、押圧機構90による押圧に抗して、開閉カバー3とベルトユニット20とは、固定された状態を保つ。一方、解除機構80によって、係合部材70、70と係合用開口部72、72との係合が解除されると、ベルトユニット20は押圧機構90によって押圧され、図3に示される位置から図4に示される位置へと向かう方向へ回転するように移動する。
【0054】
図12には、画像形成装置1が有する支持部材68が示されている。
支持部材68は、ベルトユニット20(図3参照)を、開閉カバー3(図3参照)との間に開放部が形成された状態で支持する支持部として用いられていて、例えば画像形成装置本体2と一体をなし、画像形成装置本体2の内側壁から突出するように設けられている。
支持部材68は、駆動ロール22の回転軸22aが接触する位置に設けられ、支持部材68は、回転軸22aを支持するようにして、ベルトユニット20全体を支持する。
【0055】
図13及び図14には、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置1が有する係合部材70と、解除機構80とが示されている。
先述の第1の実施形態に係る画像形成装置1では、解除機構80は、操作ボタン82を1つ有していた。これに対して、この第2の実施形態においては、解除機構80は、2つの操作ボタン82、82を有している。また、この第2の実施形態では、2つの操作ボタン82、82が、リンク機構84、84、押圧部73、73、軸75、75を介して、それぞれ係合部材70、70に連結されている。
【0056】
操作ボタン82、82は、互いに近接した位置にあり、例えば、操作者が両手を使うことなく片手で操作することが可能であり、一度で操作できるように配置されている。操作ボタン82、82は、操作者による操作がなされてない場合は、付勢部材74、74に、リンク機構84、84等を介して付勢されることにより、図13(a)に示される位置にある。
この位置ある操作ボタン82、82が、操作者の一度の操作で図13(b)に示される位置へと移動すると、リンク機構84、84等を介して、操作ボタン82、82の動きが、それぞれ係合部材70、70に伝達され、係合部材70、70が、係合用開口部72、72に係合する位置から、係合用開口部72、72から離間する位置へと移動する。
【0057】
そして、係合部材70、70が、係合用開口部72、72に係合する位置から、係合用開口部72、72から離間する位置へと移動することで、開閉カバー3に固定されていたベルトユニット本体30が、開閉カバー3に対して移動することができる状態となる。そして、開閉カバー3に対して移動することができる状態となったベルトユニット本体30は、押圧機構90に押圧されて、開閉カバー3との間に空間を形成するように移動する。
【0058】
以上で説明をした第1の実施形態、及び第2の実施形態では、画像形成装置として、用紙を搬送するベルトである搬送ベルト21を用いる直接転写方式のカラープリンタの例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、搬送ベルト21を、現像剤像を搬送する中間転写ベルトで構成し、像保持体に保持されたトナー像が中間転写体を経由して最終的に用紙に転写される画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上述べたように、本発明は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ等の画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の正面を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の開閉部が開かれた状態を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の開閉部材に対して、ベルトユニットが移動する様子を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の開閉部材、及びベルトユニットを示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の画像形成装置本体を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置のベルトユニット本体を示す第1の斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置のベルトユニット本体を示す第2の斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の押圧機構を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の押圧機構を示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るが像形成装置の押圧機構を示す斜視図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るが像形成装置の支持部を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の係合部材と、解除機構とを示す第1の斜視図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の係合部材と、解除機構とを示す第2の斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置
2 画像形成装置本体
3 開閉カバー
4 面
7 用紙搬送路
9 開放部
20 ベルトユニット
21 搬送ベルト
70 係合部材
72 係合用開口部
74 付勢部材
80 解除機構
82 操作ボタン
90 押圧機構
96 把手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉部と、
前記開閉部の開閉と連係して前記画像形成装置本体に対して開閉可能であり、前記開閉部に対して移動可能であって、像又は像を保持する用紙を搬送する搬送部材を有する搬送装置と、
前記搬送装置に設けられた複数の係合部と、
前記開閉部に設けられ、前記複数の係合部にぞれぞれ係合可能な複数の被係合部と、
前記複数の係合部と前記複数の被係合部との係合を一箇所の操作部の操作で解除可能な解除部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉部と、
前記開閉部の開閉と連係して前記画像形成装置本体に対して開閉可能であり、前記開閉部に対して移動可能であって、像又は像を保持する用紙を搬送する搬送部材を有する搬送装置と、
前記搬送装置に設けられた複数の係合部と、
前記開閉部に設けられ、前記複数の係合部にそれぞれ係合可能な複数の被係合部と、
前係合部と前記被係合部との係合をそれぞれ解除する複数の解除部と、
を有し、
前記複数の解除部は、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する操作部をそれぞれ有し、これらの操作部は、一度の操作で、前記複数の係合部と前記複数の被係合部との係合を解除できるように配置されている画像形成装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記画像形成装置本体の中央よりも操作面側に配置されている請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉部と前記搬送装置との間に用紙搬送路が形成され、
前記解除部による解除がなされた際に、前記用紙搬送路が開放されるように、前記開閉部及び前記搬送装置の少なくともいずれか一方を押圧する押圧部をさらに有する請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送装置を、前記開閉部との間に開放部が形成された状態で支持する支持部をさらに有する請求項1乃至4いずれか記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送装置に設けられ、前記搬送装置を前記開閉部材に対して移動させる際に用いられる把手部をさらに有する請求項1乃至5いずれか記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記把手部は、前記画像形成装置本体の中央よりも操作面側に配置されている請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記開閉部は、前記画像形成装置本体の右側面に、前記画像形成装置本体に対して右側に開放されるように設けられている請求項1乃至7いずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−186793(P2009−186793A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27199(P2008−27199)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】